NSST HIROHATA report No.M-1624 GPCによる分子量分布測定 高分子の物理的性質(引張強度,硬度,脆性,剛性)に影響を与えるパラメーターとして、分子量および 分子量分布があります。性質に影響する重要な値であり、その測定は高分子材料の品質管理,材料特性 評価などに広く利用されます。 弊社では、GPC( Gel Permeation Chromatography ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いた分子量分布 測定や各種平均分子量算出が可能です。 【各種平均分子量と相関のある物理的性質】 Mn : 数平均分子量 引張強度、硬さ Mw : 重量平均分子量 脆性、流動特性 Mz : Z平均分子量 剛性 等 1.原理 GPCは、SEC( Size-exclusion chromatography サイズ排除クロマトグラフィー)とも呼ばれ、高分子の分子量 分布、平均分子量を測定する液体クロマトグラフィーの一種です。 カラム内の充填ゲルには細孔が数多く存在しており、大小の溶質分子が流れていく際に、分子量の大きい分 子(分子サイズの大きいもの)は、ゲル表面の細孔への浸透が少なく早くカラム内を移動して溶出します。分子 量の小さい分子は、細孔の奥まで浸透しながらゆっくり移動します。その結果、大きな分子が早く、小さな分子 は遅くカラムから溶出し、分子の大きさごとに分離することが出来ます。 移動相の流れ 溶質分子 カラム充填ゲル カラム充填ゲル 大きい分子が早く、 小さい分子が遅く 溶出される 図2.サイズ除去による分子分離イメージ 図1.装置原理イメージ 2.装置仕様 装置 : 東ソー製 高速GPCシステム HLC-8320GPC 検出器 : RI(示差屈折)、UV カラム恒温槽温度範囲 : 30~60℃ 試料量目安 :粉末3g程度 (何らかの溶媒に可溶であること) 弊社では溶媒系、水系どちらの移動相にも対応できます。 図3.GPC装置外観写真 材料営業部 TEL079-236-0041 FAX079-236-1501 NSST HIROHATA report No.M-1624 GPCによる分子量分布測定 3.分析事例 緩衝材の分子量分布測定を行いました。 測定試料 緩衝材 0.1wt% 分子量標準 ポリスチレン 0.05wt% 【分析条件】 カラム TSKgel SuperHM-H(6.0mm I.D×15cm×2本) 溶離液 THF 流速 0.6mL/min 検出器 RI 温度 40℃ 分子量大 分子量小 7 ポリスチレン 分子量標準1 [log 分子量] [mV] 6 ポリスチレン 分子量標準2 ポリスチレン 分子量標準3 4.0 4 3 測定試料 解 析 5 2 6.0 8.0 10.0 [分] 図4.クロマトグラム 6.0 12.0 8.0 [分] 図5.検量線 10.0 分子量 分子量既知のポリスチレン標準の溶出時間から溶出時間と -0.055 3,357,586 分子量の関係(図5)を把握しておき、測定試料の溶出時間 7.385 18.151 166,280 9.522 -0.016 1,669 時間[分] 電位[mV] ピークスタート 5.947 ピークトップ ピークエンド から分子量を算出します。 算出結果 Mn 数平均分子量 Mw 重量平均分子量 268.579 重量平均分子量 Mw=Σ(Hi・Mi)/Σhi Mz Z 平均分子量 541.001 Z 平均分子量 Mp ピークトップ分子量 166.281 Mw/Mn 多分散度 98.176 2.736 数平均分子量 Mn=ΣHi/Σ(Hi/Mi) Mz= Σ(Hi・Mi2)/Σ(Hi・Mi) Hi:ベースラインからの高さ 、 Mi:分子量 Mw/Mn 多分散度 (1に近いほど分子量のばらつき幅が狭いことを示す) 材料営業部 TEL079-236-0041 FAX079-236-1501
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