「GimRET」の開発 (先端生命科学研究院 教授 金城政孝

PR
RESS RE
ELEASE
20
016 年 3 月 10 日
理化学研
研究所
大阪
阪大学
北海道
道大学
分子
子混雑が
が計測で
できる蛍光
光タンパ
パク質「GimRET
T」の開発
発
- 定
定量評価の
の実現によ
より、分子 混雑と細胞
胞機能の関
関連の議論
論が可能に
に -
要旨
旨
理
理化学研究所
所(理研)生命システ
テム研究セ
センター先端バイオイ
イメージン
ングチ
ーム
ムの森川高光
光大学院生
生リサーチ・アソシエ
エイト(研究
究当時 大阪
阪大学大学
学院生
命機
機能研究科)
)渡邉朋信
信チームリー
ーダー、大
大阪大学大学
学院理学研
研究科 今田
田勝巳
教授
授、同産業科
科学研究所
所 永井健治
治教授、北海
海道大学大
大学院先端生
生命科学研
研究院
※
金城
城政孝教授ら
らの共同研
研究グループ
プ は、細胞
胞内の分子
子混雑状態に
により色が
が変わ
[1]
る蛍
蛍光タンパク
ク質 「Gim
mRET(Glyciine inserted
d mutant fR
RET senso r)」の開発
発に成
功し
しました。
細
細胞内にタン
ンパク質が
が詰め込まれ
れた状態を
を「分子混雑
雑[2]」とい
いいます。近
近年、
試験
験中と細胞中
中では、タ
タンパク質の
の折り畳ま
まれ方が異なることが
が発見され
れまし
た。また、分子
子混雑がタ
タンパク質の
の機能にも
も影響を与える可能性
性が示唆さ
されて
いま
ます。例えば
ば、タンパ
パク質の混 雑が過剰に
になると、細胞内では
はアミロイ
イド[3]
が凝
凝集し神経疾
疾患を引き
き起こします
す。細胞内
内の分子混雑を評価す
することは
は、試
験内
内実験と細胞
胞内での実
実験とを繋 げるための
の重要な要素であると
と共に、分
分子混
雑が
が細胞機能に
に与える影
影響を知るこ
ことにも役
役に立つと期
期待されま
ます。
これまで、分
分子混雑を
を評価する指
指標として
て、流動性(分子の動
動き)が使
使われ
てき
きました。混
混雑状態と
と流動性は、
、必ずしも
も一致しません。細胞
胞内では、細胞
骨格
格やクロマチ
チンのよう
うなタンパ ク質が集ま
まった構造体が存在し
し、流動性
性に影
響を
を与えます。
。従って、細胞内の分
分子混雑は
は、混雑状態(分子の
の量)と流
流動性
の両
両面から評価
価する必要
要があります
す。そこで
で共同研究グループは
は、生きた
た細胞
内で
で分子の混雑
雑状態と流
流動性を同時
時に計測す
する技術の開
開発に挑み
みました。
共
共同研究グル
ループの森
森川大学院生
生リサーチ
チ・アソシエイトは、 従来の蛍
蛍光タ
ンパ
パク質にわず
ずか一つの
のアミノ酸 を挿入する
ることで分子混雑の具
具合によっ
って明
るさの変わるこ
ことを見い
いだしまし た。このユ
ユニークで有効な改変
変方法に多
多くの
研究
究者が興味を
を持ち、今
今回の共同研
研究グルー
ープが立ち上がりまし
した。そし
して分
子の
の混雑状態に
に依存して
て色が変わる
る蛍光タン
ンパク質「G
GimRET」を
を開発・実
実証し
まし
した。GimRE
ET から発せ
せられる蛍
蛍光の色を解
解析することで、分子
子の混雑状
状態が
評価
価できます。同時に、光
光学顕微鏡
鏡を用いることで Gim
mRET の細胞
胞内での拡
拡散速
度が
が計測可能で
です。
蛍
蛍光タンパク
ク質にアミ
ミノ酸を挿入
入するとい
いうシンプルなアイデ
デアが、分
分子混
雑を
を定量的に評
評価する方
方法の開発 につながり
りました。今後、これ
れまで議論
論でき
なか
かった分子混
混雑と細胞
胞機能の関連
連について
て、議論が可能になる
ると見込ま
まれま
す。また、Gim
mRET は、基
基礎的な生
生命科学分野
野のみなら
らずアミロイ
イド―シス
ス[3]な
1
どの
の分子混雑が
が関連する
る病気の原因
因解明など
ど、医学分野において
ても役立つ
つこと
が期
期待できます
す。
本
本研究は、英
英国科学誌
誌『Scientific
ic Reports』電子版(英
英国時間: 3 月 9 日)
)
(日
本時
時間:3 月 9 日 19 時)
)に掲載さ
されました。
。
共同研究グル
ループ
※共
理化学研究所
生命システム研究センター 細胞動
動態計測コア
ア 先端バイ
イオイメージ
ジングチーム
ム
大学院生リサーチ・ア
アソシエイト
ト
森川 高光(もりかわ たか
かみつ)
(研究当時、大阪大学
学大学院生命
命機能研究科
科)
チームリーダー
渡邉 朋信(わたなべ とも のぶ)
研究員
市村 垂生(いちむら たろ う)
研
テクニカル
慶澤 景子(よしざわ けい
ルスタッフⅠ
いこ)
大阪大学
大学院理学研
研究科
今田 勝巳(いまだ かつみ
教
教授
み)
産業科学研究
究所
永井 健治(ながい たけは
教
教授
はる)
免疫学フロンティア研究
究センター
藤田 英明(ふじた ひであ き)
特任准教授
授
町山 裕亮(まちやま ひろ あき)
特任助教
北海道大学 大学院先端生
大
生命科学研究
究院
金城 政孝(きんじょう ま さたか)
教
教授
北村 朗(きたむら あきら )
助教
山本 条太郎(やまもと じ ょうたろう)
特任助教
堀尾 尚司(ほりお たかし )
修士課程
産業技術総合研
研究所 バイオメディカ
カル研究部門
門
研
研究員
佐々木
木 章(ささき あきら )
1.背景
細
細胞内は、水
水よりもむ
むしろタンパ
パク質が詰
詰め込まれた「分子混
混雑」と呼
呼ばれ
る状
状態です。これは、
こ
生化
化学実験を
を行う試験管
管内の状態
態とはかけ離
離れていま
ます。
分子
子混雑とタン
ンパク質機
機能との関係
係性に関す
する研究がされており
り、分子混
混雑は
タン
ンパク質の構
構造の不安
安定化を引 き起こした
たり、逆に安定化した
たり、酵素
素活性
に影
影響を与える
る可能性が
が示唆されて
ています。
細
細胞内で分子
子混雑を構
構成する要因
因は主にタ
タンパク質の濃度であ
あり、タン
ンパク
質濃
濃度とその溶
溶液の粘性
性(流動性)
)に相関が
があることから、これ
れまでは、細胞
内の
の分子混雑は
は、流動性
性により評価
価されてき
きました。詳しくは、 細胞内に
に微小
粒子
子と仮定でき
きる蛍光色
色素や蛍光 タンパク質
質といったプローブを
を導入し、その
拡散
散係数を測る
ることで、分子混雑の
の指標とし
してきました。しかし
し、実際の
の細胞
の中
中には、細胞
胞骨格やク
クロマチンな
など、タン
ンパク質が集まってあ
ある構造を
を持っ
2
て機
機能していま
ます。そし
して、プロー
ーブの拡散
散はこの構造体の挙動
動により影
影響を
受け
けてしまいま
ます。した
たがって分子
子混雑は、細胞内の混雑状態 (分子の量
量)と
流動
動性(分子の
の動き、拡
拡散係数)の
の両面から
ら評価する必要があり
ります。分
分子混
雑と細胞の機能
能メカニズ
ズムとの関連
連は生命現
現象を理解する上で、 明らかに
にすべ
き重
重要課題の一
一つですが
が、これまで
では流動性
性を評価する技術しか
かなく、混
混雑状
態を
を評価する有
有効な方法
法がありませ
せんでした
た。
そ
そこで共同研
研究グルー
ープは、混雑
雑状態によ
よって色の変わる蛍光
光タンパク
ク質の
開発
発と、その蛍
蛍光タンパ
パク質を用 いて、混雑
雑状態と流動性との同
同時計測に
に挑み
まし
した。
2.研究手法と
と成果
が溶液の疎
共
共同研究グル
ループは、分子混雑が
疎水性と直接関与して
ていることに注
目し
しました。そ
そして、溶
溶液全体の疎
疎水性は、分子混雑のうち最も
も大きなフ
ファク
ター
ーであるタン
ンパク質濃
濃度と見なせ
せると考え
えました。このとき、 計測技術
術の基
盤として選んだ
だのは蛍光
光タンパク質
質です。蛍
蛍光タンパク質を用い
いることで
で、生
た細胞の中で
での計測が
が可能になる
るためです
す。
きた
蛍
蛍光タンパク
ク質が発す
する光の強度
度を、溶液
液中の疎水性に依存さ
させることが、
本研
研究の最初の
の課題でし
した。蛍光 タンパク質
質は円柱型をしていて
て、蛍光を
を発す
る発
発光団はその
の円柱構造
造の内部にあ
あります(
(図 1A)。円柱構造が
が発光団を
を水分
子との相互作用
用から守っ
っているため
め、発光団
団の蛍光は溶液中の疎
疎水性には
は依存
しま
ません。つま
まり、蛍光
光が失われな
ない程度に
に発光団と水分子を相
相互作用さ
させる
ことができれば
ば、溶液中
中の疎水性 によって発
発光の量が変わる蛍光
光タンパク
ク質に
こで森川大
大学院生リサ
サーチ・ア
アソシエイトは、蛍光
光タンパク
ク質の
なります。そこ
柱構造に「穴
穴をあける」というア
アイデアを
を試しました
た(図 1B)
)。
円柱
図 1 分子混雑
雑に反応する蛍
蛍光タンパク
ク質開発の基本的なアイデ
デア
A:蛍
蛍光タンパク質
質の模式図。発
発光団は単体で
では、水分子に
にさらされてい
いて蛍光を発す
することができ
きない。
円柱が
が水分子の発光
光団へのアクセ
セスを抑制する
るため、発光団
団は光ることが
ができる。
B:通常の蛍光タンパク質では、水
水分子と発光 団との相互作用が抑制されているため、蛍
蛍光タンパク質の蛍
光は、周囲の水分子
子の状態(本研究
究では疎水性))により影響を受けにくい。水分子か通る
水
くらいの穴を円柱に
あける
ることで、少数
数の水分子だけ
けが発光団と相
相互作用できる
ると考えられる
る。
3
蛍
蛍光タンパク
ク質の遺伝
伝子改変には
は、通常、アミノ酸を置換する
る方法が用
用いら
れま
ます。今回の
の目的は穴
穴をあける ことなので
で、あえて余計なアミ
ミノ酸を挿
挿入し
まし
した。これに
により、円
円柱構造の一
一部が少し
しだけ壊れ、数個の水
水分子だけ
けが発
光団
団に相互作用
用するようになりまし
した(図 2)
2 。そこで
で、まずアミ
ミノ酸の一
一種で
あるグリシンを
を一つだけ
け蛍光タンパ
パク質に挿
挿入したところ、溶液
液の疎水性
性によ
って
て蛍光強度が
が変わる蛍
蛍光タンパク
ク質になる
ることが分か
かりました
た。
図 2 グリシン残
残基が挿入された蛍光タン
ンパク質の発光
光強度のエタノール濃度依存
存性と結晶構造
造
オワンクラゲ由来の緑
緑色蛍光タンパク
ク質の亜種であ
ある黄色蛍光タン
ンパク質の 145
5 番目のアミノ酸
酸残基の直前に
にグリシ
ン残基
基を一つだけ挿入
入することで、溶
溶液中のエタノー
ール濃度により
り蛍光強度が大きく変化する蛍
蛍光タンパク質が
ができた
(エタノ
ノール濃度が高
高くなると蛍光強
強度が下がる)。 結晶構造解析
析により詳しく見てみると、この蛍
蛍光タンパク質内部で
は、発
発光団近くに水分
分子が配置され
れていることが明
明らかになった。
さらに、蛍光
光共鳴エネルギー移動
動法[4]を適応
応すること
とで、分子混
混雑が上昇
昇する
と、黄色から青
青色に色が
が変わる蛍光
光タンパク
ク質が得られ
れました (図 3A)。共同
研究
究グループは
は、カクテ
テルのギムレ
レット(Gim
mlet)と同じ色の蛍光を
を発する、この
新し
しい蛍光タン
ンパク質を
を「GimRET (Glycine insserted muta
ant fRET s ensor)」と
と名付
けました。Gim
mRET を哺乳
乳類細胞に
に発現させた
たところ、細胞からは
はさまざま
まな色
の蛍
蛍光が確認さ
されました
た(図 3B)。これは哺乳
乳類細胞の
の中のタンパ
パク質の混
混み具
合が
が、細胞ごと
とにばらつ
ついている ことを示し
しています。どの細胞
胞でもその
の中の
タン
ンパク質濃度
度は同じで
である、と考
考えていた
た共同研究グループに
にとって、この
観察
察結果は驚く
くべき発見
見でした。
さらに共同研
研究グルー
ープは、Gim
mRET によっ
って見積もられる混雑
雑状態と、従来
の方
方法である分
分子の拡散
散速度とを比
比較してみ
みました。拡散速度を
を測るプローブ
は、GimRET そのものです
そ
す。試験管
管の中では、拡散速度
度と混雑状態
態は直線的
的な関
係性
性にありまし
した。しか
かし細胞の中
中ではその
の直線的な関
関係が確認
認されたもの
のの、
その
の直線の傾き
きが違って
ていました。
。この結果
果は、タンパク質の混
混雑状態に
に違い
がな
なくても、細
細胞核内と
と細胞質内で
ではタンパ
パク質の流動性には違
違いがある
ること
を示
示しています
す。同時に
に、細胞内分
分子混雑を
を研究する上で流動性
性を評価す
する従
来の
の方法だけで
では情報が
が不足して いることも
も示しています。これ
れは、タン
ンパク
質内
内部の混雑状
状態の直接
接計測が、こ
これまでに
にない情報を
を与えた一
一つの実例で
です。
4
図 3 分子混雑により
分
り色が変わる蛍
蛍光タンパク質
質 GimRET
mRET の模式図
図(左)と蛍光スペ
ペクトルのタンパ ク質濃度依存性
性(右)濃度によ
よって強く発光す
する波長が異なる。
A:Gim
B:Gim
mRET を哺乳類細胞に発現させ
せた例。混雑状
状態によって色の
の違いが出ていることが分かる((右)。
C:拡散
散係数と GimRE
ET の色との相関
関を示すグラフ。
。拡散速度が遅
遅くなるほど高混
混雑状態となる。
。
蛍
蛍光タンパク
ク質は細胞
胞を生かした
たまま計測
測できるので
で、24 時間
間もの間、細胞
の分
分子混雑を計
計測し続け
けることが可
可能です。そこで共同
そ
同研究グルー
ープは、Gim
mRET
を用
用いて細胞が
が分裂する時の分子混
混雑の経時
時的な変化を
を測りまし
した。
(図4
4)細
胞は
は分裂するま
までに娘細
細胞のため にタンパク
ク質を合成しているの
ので、細胞
胞分裂
に同
同期して混雑
雑状態が変
変化し、Gim
mRET の色
色も変化するはずです
す。予想通
通り、
GimR
RET の色は
は細胞分裂に
に同期して
て変化しました。また
た、細胞の大
大きさを強
強制的
に大
大きくしたり
り小さくし
したりするこ
ことによっ
っても、GimR
RET の色は
は変化しました。
共同
同研究グルー
ープは、さまざまな検
検証実験を
を行い、Gim
mRET が確か
かに細胞内
内の混
雑状
状態により色
色を変えることを実証
証しました
た。
図 4 GimRET を用いた細胞
を
胞分裂中の分子
子混雑変化を経時計測した
た例
5
蛍光タ
タンパク質は、細
細胞を生かしたま
まま計測できる
るので、24 時間
間もの間、細胞の
の分子混雑を計
計測し続けること
とができ
る(左)。細胞は分裂す
する前に娘細胞
胞のためにタンパ
パク質を合成するので、タンパク
ク質濃度が上が
がると考えられる
る。細胞
分裂直
直後から GimRE
ET の色を計測し
してみると、細胞
胞分裂直後にタ
タンパク質濃度が
が上がることが確
確認された(右)。
3.今後の期待
待
共
共同研究グル
ループは、GimRET を
を胚性幹細胞
胞(ES 細胞))に発現させ
せ、分化前
前後で
細胞
胞核内の分子
子混雑状態
態がどう変化
化するかも
も調べていま
ます。未分
分化の状態で
であ
る ES
S 細胞は、かなり混雑
雑している
る状態にあり、分化が
が進むに従い
い混雑状態
態は減
少し
していくこと
とが分かりました。E
ES 細胞にお
おいて、細胞の未分化
化維持に重
重要な
[5
5]
転写
写因子 Myc が、他の多
多くの転写
写因子の発現
現量を全体
体的に増加さ
させることは過
去に
に報告されて
ており、共
共同研究グル
ループの発
発見と矛盾が
がありませ
せん。この発
発見
は、分子混雑と
と ES 細胞の
の未分化維
維持とが密接
接に関連し
していること
とが強く示
示唆し
てい
います。
本
本研究では、非常に単
単純な遺伝子
子改変によ
より多大な効
効果をもた
たらす蛍光タ
タン
パク質を開発し
しました。これまで直
直接的に測
測ることがで
できなかっ
った分子混雑
雑が
測れ
れるようにな
なったことで、生命科
科学に新た
たな知見がも
もたらされ
れると見込ま
まれ
ます
す。
4.論文情報
<タイトル>
Depeendence of fluorescent protein brrightness on protein co
oncentratioon in solution and
enhaancement of it.
<著
著者名>
Takaamitsu J. Morikawa, Hideaki FFujita, Akirra Kitamura, Takashii Horio, Jotaro
Yamamoto, Massataka Kinjo, Akira Saasaki, Hiroaki Machiyam
ma, Keiko Y
Yoshizawa, Taro
Ichim
mura, Katsumi Imada, Takeharu
T
N agai, Tomo
onobu M. Watanabe.
<雑
雑誌>
Scien
entific Repor
orts
5.補足説明
[1] 蛍光タンパ
パク質
分
分子量約 27k
kDa の円柱状
状のタンパ ク質で、光
光エネルギー
ーを吸収し、 蛍光を発す
する機
能
能を持つ。蛍
蛍光タンパク
ク質は、遺伝
伝子導入等で容易に生きた生物試
試料内に発現
現させ
ら
られることか
から、分子生
生物学、細胞
胞生物学、基
基礎医学など、様々な
な分野で、も
もっと
も
も良く用いら
られる研究ツ
ツールの一つ
つとなってい
いる。1960 年代に、下
下村脩博士に
により
発
発見され、こ
この功績によ
より下村博士
士は 2008 年にノーベル
年
ル化学賞を受
受賞した。
[2] 分
分子混雑
細
細胞の中は、水よりも、むしろ、大 小様々なタンパク質に
により埋め尽
尽くされてお
おり、
6
こ
この状態を分
分子混雑(m
molecular croowding)と呼ぶ。例えば、大腸菌
菌の細胞内の
のタン
パ
パク質濃度は
は、約 350g
g/L と見積 もられている。通常の
の生化学的な
な実験では、試験
管
管内は、試料
料以外のタン
ンパク質は混
混入しておらず、細胞内の環境と
とはかけ離れ
れた状
況
況である。分
分子混雑は、酵素反応や
やシグナル伝
伝達効率、タンパク質
質の構造安定
定性な
ど
ど与えると言
言われており
り、分子混雑
雑は、試験管
管実験と生試料実験と
とを繋ぐ重要
要なフ
ァ
ァクターと考
考えられる。
[3] アミロイド
ド、アミロイドーシス
ス
ア
アミロイドは
は、繊維状の
の構造を持つ
つ、水に溶けないタンパク質であ
ある。病理組
組織を
一
一般染色法で
であるヘマト
トキシリン ・エオジン染
染色を用いて観察する
ると、アミロ
ロイド
は
は、淡桃色の
の細胞外沈着
着物として確
確認される。
。アミロイドの器官や
や臓器への凝
凝集・
沈
沈着が原因で
で起こる疾患
患の総称が、
、アミロイドーシス(アミロイド
ド症)である
る。ア
ル
ルツハイマー
ー型認知症や
やプリオン病
病が、脳のア
アミロイドー
ーシスとして
て有名であるが、
他
他臓器あるい
いは全身にア
アミロイドが
が沈着する可
可能性がある
る。
[4] 蛍光共鳴エ
エネルギー移動法(F RET 法)
2 つの蛍光分
分子がごく近
近接して存在
在する場合に
に、片方の蛍
蛍光分子(ド ナー)からも
もう片
方
方の蛍光分子
子(アクセプタ
ター)へエネ
ネルギーが移
移行する現象
象。FRET の
のエネルギー
ー移動
効
効率は 2 つの
の蛍光分子の
のスペクト ルの重なりの大きさ、距離と角度
度により左右
右され
る
る。この原理
理を用いて、ドナーとア
アクセプターの蛍光強度比を測定
定する事によ
よりタ
ン
ンパク質相互
互作用、生化
化学反応や細
細胞内シグナル伝達が可視化され
れるプローブ
ブが数
多
多く開発され
れている。FRET は Fluo rescence Resonance En
nergy Transsfer の略。IUPAC
(
(国際純正 ・応用化学 連合)の表
表記法では、
、「フェルス
スター共鳴 エネルギー
ー移動
(
(Förster Resonance Ene
ergy Transf er)
」である
る。
[5] 転
転写因子 Myc
M
細
細胞の成長と
とアポトーシ
シスに作用す
する転写調節
節因子の一つで、多く の遺伝子の
の発現
に
に関わってい
いる。細胞内
内で、Myc が
が強く働くと、細胞のがん化を促
促進すること
とがよ
く知られてい
いる。人工多
多能性幹細胞
胞(iPS 細胞
胞)作成法が
が確立された
た時に、初期
期化因
子
子として使用
用された4つ
つの転写因子
子(Oct3/4
4、Sox2、K
Klf4、c-Mycc)の一つで
である
c-Myc は、M
Myc ファミリ
リーに属する
る転写因子で
である。
7
6.発表者・機
機関窓口
<発表者> ※研究内容に
については発
発表者にお問
問い合わせく
ください。
理化学研究所
生命システム研
研究センター
ー 細胞動態
態計測コア 先端バイオ
オイメージン
ングチーム
大学院生リサーチ・アソ
森川 高光(もり
ソシエイト
りかわ たか
かみつ)
(研究当時大阪大学大学院生
生命機能研究
究科)
チームリーダ
渡邉 朋信(わた
ダー
たなべ とも
ものぶ)
FAX:06-6155-0112(渡邉) E-maail:tomowa
[email protected](渡邉
邉)
大阪大学
大学院理学研究
究科
教授
授
今田 勝巳(いま
まだ
TEL:06-6850-5455/545
56 FAX: 06
6-6850-54
455
@chem.sci.os
saka-u.ac.jpp
E-maail:kimada@
産業科学研究所
所
教授
永井 健治(なが
授
がい
TEL:06-6879-8480 FAX:06-687
75-5724
E-maail:[email protected]
かつみ
み)
たけは
はる)
北海道大学 大学院先端生
大
生命科学研究
究院
教授
金城 政孝(きん
授
んじょう
TE
EL:011-70
06-9005
FAX:01 1-706-904
45
E-mail:kinjo@
@sci.hokudai.ac.jp
ま
まさたか)
<機関窓口>
理化学研究所 広報室 報道担当
報
TEL:048-467-9272 FAX:048-46
62-4715
E-maail:[email protected]
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