S E T L I S T 《1st Stage》 01. あいのこども 02. 祝福 03. 男の子と女の子 04. そして僕は途方に暮れる 05. 音タイム 06. あいのわ 07. PEOPLE GET READY 08. マドベーゼ 09. 家族の風景 《2nd Stage》 01. 光と影 02. ボク・モード キミ・モード 03. プカプカ 04. ぼくはぼくでいるのが 05. エイリアンズ 06. Don't think twice, It's All Right 07. あいまいにあまい愛のまにまに 08. 明日天気になれ 09. おあいこ E N C ORE 01. 大安 02. オリビアを聴きながら 03. いいぜ 04. サヨナラ COLOR L I V E R E P O R T ま YO-KING ( 真心ブラザーズ ) 作の『祝福』 、く を駆使して、ダビーな音響空間を創出。圧倒的な るりのカバー『男の子と女の子』――静謐と呼ぶ ゆらぎの中に観客たちを引きずり込む。声の魅力 には温かく、オーガニックと呼ぶには緊張感を孕 だけではない、鬼気迫るサウンド異空間をたった んだ演奏が続いていく。それは大沢誉志幸の『そ 独りで立ち上げる能力もハナレグミのものである。 して僕は途方に暮れる』でひとつのピークを迎え、 ライブはその後、アップテンポの『明日天気に 永積のハスキーボイスと哀愁メロの幸福な合体に なれ』 、RADWIMPS・野田洋次郎が書き下ろし 酔いしれる。いやはや、これは絶品ではないか。 た『おあいこ』で本編終了。引っ込む時間ももど とにかく特筆すべきは音の良さである。オリジ かしいとばかりにそのままアンコールに突入し、 ナルで製造したという多面体スピーカーから聞こ 本当のラスト『サヨナラ COLOR』のイントロが えるギターの響きをくまなく再現した PA に、永 鳴ると、客席から待ってましたと言わんばかりの 会場に入ってのけぞった。ここは尾道駅から東 積の誰にも似てない声が乗る。また、永積はあえ 大歓声が響き渡った。 に 2 キロほど離れた浄泉寺。確かに音楽をやるに て声を張らず、自然体でつぶやき、繊細に爪弾く ハナレグミはこの 8 月に 4 年ぶりとなる最新ア はチョット変わった場所だが、靴を脱いで本堂に ものだから、演奏が始まると観客は集中して、車 ルバム『What are you looking for』を発表し 上がると、目に飛び込んできたのはあまりにも斬 座はギュッと凝縮したようになる。 たが、本作のテーマは旅だったという。その名の 新なレイアウトだった。畳敷きの大広間の中央に カーティス・メイフィールドが歌った『PEOPLE 通り今回のライブはギターを持ったさすらい人・ 人 1 人分の空間があるだけで、そのまわり 360 度 GET READY』に日本語詞を乗せ、ソロデビュ 永積 崇の孤独と人懐っこさが十全に表れた、素 を座布団に座った観客が何重にも取り囲んでいる ー曲『家族の風景』を終えるとライブはいったん 晴らしく私的で詩的な内容だったように思う。実 のだ。いわゆる車座の格好だが、最前列の客とハ 休憩に入った。オリジナルとカバーが普通に混ざ はすでに来年、バンド編成でのツアーも決まって ナレグミ・永積 崇との距離は 1 メートルも離れて り合い、新曲も旧曲も分け隔てなく、豊穣な演奏 いる。ひとりのハナレグミから、仲間とのハナレ ないだろう。もちろん寺の本堂だけに天井は高く、 のすぐ後に抱腹絶倒の気さくな MC が繰り出され グミへ。この日のライブに来た人で次に行かない 金色の装飾に灯籠も吊るされている……そんな特 るハナレグミ・ワールド。それは後半も変わらな 人はいないんじゃないかと思うほど、 『サヨナラ 殊な状況で、秋の夜長のコンサートが始まった。 い。静かな生命力に満ちている 『光と影』 。 『ボク・ COLOR』が鳴り終えた後の本堂は誰もが拍手で、 今回のライブは【弾きが旅ばっ旅~ 2015 ま モード キミ・モード』でビートをシャッフルさ 彼の歌と音楽を心から祝福していた。 だまだ行ってないとこで歌いたい!から緊急ミー せると客席に手拍子が伝染、そのまま西岡恭蔵の ティング編~】と題されているように、永積ひと 『プカプカ』につなぎ、口でトランペット・ソロ りの弾き語り仕様である。演奏する曲目も即興で を披露するとヤンヤヤンヤの大喝采。本堂はこの 決めるので、前日の岡山とは異なるメニューが展 日一番の盛り上がりを見せる。 開される。フラリと出てきた永積がまず歌い始め 「尾道は秋が似合うね。秋は心がか弱くなりま たのは『あいのこども』 。染み入るようなギター せん?」――そんな言葉を挿み、今宵のクライマ の音と、染み入るようなカスレ声。肩から力が抜 ックスへ。キリンジ『エイリアンズ』 。ここで永 けていき、一気に心がリラックスする。そのま 積はエレキギターのフィードバックにビブラート 10 15 thu. 尾道・浄泉寺 ハナレグミ 秋の夜、寺の本堂にて。 車座で聴いた旅人との 幸福な《音タイム》 text_koji shimizu 2015 DEC. New Album 『What are you looking for』 out now!! ★【Tour What are you looking for】 2016. 3月13日(日)広島 JMS アステールプラザ大ホール © 2015 YUMEBANCHI Co.,Ltd. All rights reserved.
© Copyright 2024 ExpyDoc