学籍番号 TK 氏名 平成 年 月 日 工業物理化学 II 第1回のクイズ 以下のクイズ、例題、問に解答したい。クイズ1∼6、問1、2、例題1∼3 は電卓を 使って計算して、全員解答し、「提出用;本日のクイズ」に氏名、学生番号とともに記 入して提出して下さい。その他の例題、問については、次回の講義で Excel とVBプロ グラムでの解答方法と併せて説明します。興味のある方は、ヒントを参考に考えてみて 下さい。また、次回の講義の初めには、復習として、このプリントの内容の簡単なクイ ズを行います。 本日の主題;環境問題と物理化学 補助資料 高分子物理化学と工業 P.1∼17、P.33∼43 テキスト P.154∼162 クイズ1 環境関連のニュースなどで、「 持続可能な循環型社会 」ということがしばしば使われま す。では、「持続可能な」という言葉を英語でいうと? A)global B) green C) sustainable D) recycle クイズ2 最も深刻な環境問題とは? A) オゾンホール B) 地球温暖化 C) 酸性雨 D) 海洋汚染 クイズ 3 自分たちの開発する技術や科学で解決したい環境問題とは? A) オゾンホール B) 地球温暖化 C) 資源エネルギー D) 海洋汚染 クイズ 4 地球温暖化に効果的な技術とは? A) 石油脱硫 B) 窒素酸化物減少 C) 生分解性プラスチック D) 活性炭吸着 クイズ 5 地球環境の観点から石油に代わる次世代資源として有望なものは? A) メタンハイドレート B) ウラン C) 生ゴミ D) 水素 クイズ 6 大気中の二酸化炭素を植物(芋やサトウキビ)の光合成で回収し、糖やデンプンとなっ た炭素を工業的にポリ乳酸として使用するために、乳酸菌を使用する試みがある。次の中 で乳酸菌をほとんど含んでいないものは? A) 牛乳 B) みそ C) ヨーグルト 1 D) 漬け物 この「クイズ 工業物理化学 I」を解くために必要となる主なヒント、基礎知識と用語 の解説を以下に示します。I 20 世紀、人類は、石油・石炭などの化石資源を有効に利用する技術を進歩させた。 21 世紀の工業は、 地球環境問題を考慮し 、 持続可能な循環型社会 を形成できるように さらに技術革新を進める必要があります。環境調和型の技術革新を行う有力な道具 として の工業物理化学 具体的な事例から調べてみましょう。 「愛地球博;2005 年日本国際博覧会」にみる環境技術 糖やデンプンなど分子構造 ポリ乳酸の分子構造(ただし、L体とD体がある。 HO H グルコース H OH HO H CH2OH O H H H O H CH2OH OHH O H H OH H OH デンプン O CH2OH O H HO 乳酸 P.193 補助資料 H H OH H n n セルロース COOH HO CH2ーH CH3 乳酸 ー[ーOCH(CH3)COー]ポリ乳酸 2 3 生ゴミから環境に優しい ポリ乳酸の製造 工場 紙を多く含む 茶の搾りかす 焼酎粕 家庭 古紙 生ゴミ 天然木材資源 ゴミを 二次資源 長所 ・非常に高い生産性 ・薬剤・触媒の添加が不要 ・省エネルギーな方法 乳酸 乳酸発酵 分離精製 開環重合 ポリ乳酸 生分解性プラスチック 生分解性 押し出し成型器 高分子発泡体 発泡押し出し 成形加工 食品バイオ技術実用化の問題点 食品バイオ技術実用化の問題点 新規バイオ技術 新規バイオ技術 限定された対象成分 発酵の短所 遅い生産速度 CO、H2 塩酸回収 生産に適した菌株の探索 メタノール 酢酸 etc バイオ技術 乳酸発酵を利用した生ゴミからの生分解性プラスチック製造 都市部でのごみ 約1.5×104 トン/日 を一度で処理する には 発酵 タンク 3ヶ月 物質収支・熱収支 ブタノール 6000トン アンモニア 1800トン ブタノール 1500トン 水 2700トン 廃液 5500トン フィルター 約3×107 L 以上のタンクが 必要 残渣 1500トン エステル化 乳酸エステル 加水分解 精製 蒸発濃縮 肥料・発泡体 等に再利用 残渣 1500トン 4 全加熱 エネルギー 2×1010cal 精製乳酸 184トン 乳酸濃度 40% H+ OH- 圧力 [atm] 水の状態図 水の状態図 Polymer 超臨界水 加圧熱水 218 OH- [水] 臨界点 通常の水 飽和蒸気圧曲線 [氷] H+ Oligomer OH- 実験範囲 1 三重点 [水蒸気] 100 374 温度 [℃] 水熱反応を利用した有機酸製造プロセス 水熱反応を利用した有機酸製造プロセス 物質収支・熱収支 物質収支・熱収支 都市部での排出家庭ゴミ 約1.5×104トン/日 アルコール 6000トン アルコール 1500トン 水 2700トン 廃液 5500トン 全加熱 エネルギー 2×1010cal 超臨界水酸化 グルコン酸 精製 蒸発濃縮 水熱反応器 数時間 残渣 1500トン 5 加水分解 精製有機酸 600トン 例題 生分解性の高分子であるポリ乳酸を作りたい。10 トンのデンプンを原料にして 1 乳酸発酵により、9.00 トンの乳酸を含む乳酸水溶液を製造した。この水溶液中に含まれる 乳酸の物質量 n [mol]を計算して下さい。ただし、乳酸の分子量は、 M =90.08 とする。 [解] 水溶液中に含まれる乳酸の重さが9トンですから、グラムに換算すると含まれ乳酸 の質量 W [g]は、 W =9.00×10 6 g 物質量 nは、質量 W [g]を分子量で割ればよいので、 n= W 9.00 × 10 6 = = 9.99 × 10 4 M 90.08 9.99×10 4 mol 答 例題 2 前問の乳酸水溶液を原料として、ブタノールを添加して、エステル化した後、 水と乳酸を蒸留操作で分離した。精製後の乳酸は、98%を回収したという。高分子の原料 として使用できる乳酸の物質量を求めよ。 [解] 水溶液中に含まれる乳酸の物質量は、前問より、9.99×10 4 molであり、回収率が 98% であったので、実際に高分子の原料として使用できる乳酸の物質量 n 1 は、 n 1 =0.98 n =0.98×9.99×10 4 =9.79×10 4 mol mol 答 例題 3 9.79×10 4 mol 前問の乳酸を原料として、ラクチドに変換して、重合したところ、原料乳酸の 90%をポリ乳酸に変換できた。このポリ乳酸の重量平均分子量(今は低分子の分子量と同 様に考えて下さい。重量平均などのことばの意味は次回説明します。)M w =50,000 であっ た。生成したポリ乳酸の物質量を求めよ。 [解] 原料の乳酸の物質量は、前問より、9.79×10 4 mol であり、そのうち 90%をポリ 乳酸に変換できたので、使用できた乳酸の物質量 n 2 は、 n2 =0.90 n 1 =0.90×9.79×10 4 =8.81×10 4 mol mol また、分子量 50,000 のポリ乳酸1分子を作るために使用される分子量 90.08 の乳酸の 物質量n 3 は、 n3 = 50000 = (90.08 − 18) 694 従って、ポリ乳酸の物質量は、使用できた乳酸の物質量の 1/694 となるので、 ポリ乳酸の物質量 n 4 は、 n4 = n 2 8.81 × 10 4 = = 1.27 × 10 2 n3 694 mol 6 問 1 生分解性の高分子であるポリ乳酸を作りたい。鹿児島産のサツマイモを原料とし て20 トン使用した。サツマイモ1kgからデンプン 0.8kgを取り出せる。このデンプンの 90%を乳酸菌によって乳酸に変換できた。さらに、その乳酸水溶液から水と乳酸を蒸留操 作で分離した。精製後の乳酸は、98%を回収した。また、精製した乳酸を原料として、ラ クチドに変換して、重合したところ、原料乳酸の 90%をポリ乳酸に変換できた。このポリ 乳酸の重量平均分子量 M w =30,000 であった。生成したポリ乳酸の物質量を求めよ。 ただし、乳酸の分子量は、 M =90.08 とする。 問 2 石油を原料としたプラスチックと比べて、生分解性プラスチックは廃棄して焼却 または土中で微生物に分解されて二酸化炭素になっても、大気中の二酸化炭素濃度を増大 させる心配はないと言われています。理由を説明して下さい。 問 3 1)問1で計算したポリ乳酸を土の中に埋めておいたところ、3ヶ月で完全にポ リ乳酸が分解されて、二酸化炭素と水になった。このとき、ポリ乳酸から発生した二酸化 炭素の物質量を計算せよ。 問 4 2)この発生した二酸化炭素の標準状態での体積を求めよ。 問1,3は電卓で計算できる。これらの計算について数値を入れ替えて計算でき るプログラムを作りたい。どのようにすればよいでしょうか。 7
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