(第16回)「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」

平成 27 年度(第 16 回)
「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」
農林水産大臣賞受賞
この度、「オーシャンテクト VNN」(まはたウイルス性神経壊死症不活化ワクチン)
の開発者・黒田 丹(くろだ あかし)が、栄えある農林水産大臣賞を受賞いたしま
した。
本ワクチンの開発・普及に際しましては、各方面の関係者の皆様方の絶大なるご支援
並びにご指導ご鞭撻を賜り、深く感謝申し上げます。
今後とも、農林水産業界発展のため、日々の努力を惜しまず邁進していく所存でござ
いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
【功績の概要】
マハタは既存養殖魚に比べて高単価で取引される高級養殖魚である。しかし、致死率
が高いウイルス性神経壊死症に対する有効な治療法や予防手段がなく、ワクチン開発
が養殖業関係者から強く求められていた。このため、本病に対するワクチンの開発に
着手し、各種試験において有効性及び安全性を確認するとともに製造方法を確立し、
世界で始めてマハタのウイルス病ワクチンを実用化、マハタ養殖の被害軽減に貢献し
た。
「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」では、農林水産業その他関連産業に関する
研究開発のうち民間が主体となって行っているものについて、その一層の発展及びそ
れに従事する者の一層の意欲向上に資するため、優れた功績をあげた者に対して、農
林水産大臣賞ほか各賞が授与されます。
マハタのウイルス病ワクチンの開発
【農林水産大臣賞】
黒田
丹氏
(日生研株式会社)
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業績の概要
背景
マハタは既存養殖魚に比べて高単価で取引され、期待のかかる次世代の高級養殖魚である。しかし、
致死率が高いウイルス性神経壊死症(VNN)の被害が問題化し、マハタ養殖の産業化を阻む大きな
ブレーキとなっていた。これまで本病に対する有効な治療や予防手段がなく、養殖業者や行政から本
病に対するワクチンの開発が強く求められていた。
研究内容・成果
本病原因ウイルスは未報告の新ウイルスであったことから、ワクチン開発上必須となるウイルスの
血清型別(A/B/C型)の解明や野外発生状況等の知見を蓄積する必要があり、専門家の協力を得な
がら課題を一つずつ解決した。ウイルスの大量培養法の確立や臨床試験を経て、製造方法に関する特
許権を取得し、平成24年1月に農林水産省から水産用医薬品として認可を受け、世界で初めて本病に
対するワクチンの実用化に成功した。本ワクチンはアジュバントを含まない液状不活化ワクチンであ
り、接種動物(マハタ)に副作用を及ぼさず、高い有効性と安全性を示す。本ワクチンの実用化は、
マハタ養殖の疾病被害を軽減し、持続的な安定生産に貢献した。
開発されたウイルス性神経壊死症
ワクチン「オーシャンテクトVNN」
連続注射器を用いたワクチン接種
幻の高級魚「マハタ」
普及状況
ワクチンは平成24年度から販売が開始され、初年度が18万尾分(ドース、以下同じ)、平成25
年度が28万尾分(対前年度比156%)、平成26年度が31万尾分(同111%)と推移し、これま
での3年間の累計販売量は77万尾分に達する。なお、平成26年度は供給が追いつかず、実際の需要
量は48万尾分(同171%相当)であった。国内外に同種製品及び類似製品はなく、国内市場占有率
は100%である。また、本病の被害に悩む関係諸国からも本ワクチンに関する照会を受けている。
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評価のポイント
高級養殖魚として期待されているマハタに対する有効なウイルス病ワクチンの実用化に世界で初
めて成功し、マハタ養殖の被害軽減に貢献していることを高く評価した。
【連絡先】日生研株式会社(住所:〒198-0024 東京都青梅市新町9丁目2221番地の1 TEL:0428-33-1001)