進路指導室から第30号

平成 27 年 10 月 19 日
進 路 指 導 部
はじめに
秋も深まりつつあります。地域によっては初雪が観測された地域もあるとのことです。これから寒くなります。
さて、百人一首の秋の歌の中に、
「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ」 (文
屋康秀)があります。この歌の意味は、
「風がふきおろすとたちまち秋の草木がしおれてしまうので、なるほどそ
れで山からふく風を嵐というのだろう。
」ですが、平安時代には、一つのことばを分解して楽しむ遊びがさかんで
した。この歌にもそんな技巧がとり入れられています。草木を「あらす」から「荒らす」であり、
「山」と「風」
との二字を組み合わせると「嵐」という字になるのだ…と。作者の才能がたくみに生かされた歌といえるでしょ
う。また、リズム感の豊かさもこの歌の特徴です。
その他、
「古今集」のなかには、
「 雪降れば 木毎(ごと)に花ぞ 咲きにける いづれを梅と わきて折らまし 」
(紀友則)
、
「事ごとに悲しかりけりむべしこそ秋の心を愁ひといひけれ」
(藤原季通)などがあります。梅の字を
「木毎」
、愁の字を「秋」と「心」に分解しますが、ことばの世界は奥深いものです。
「保護者対象進路説明会」について(1・2年生)
(再掲)
以下の日程で、1年生・2年生保護者対象の進路説明会を行います。
〔1年生〕
日時 : 平成27年10月24日(土) 9:30~11:00(受付開始:9:00~)
場所 : 本校講堂
〔2年生〕
日時 : 平成27年10月24日(土) 14:00~15:30(受付開始:13:30~)
場所 : 本校講堂
当日の内容は、卒業生の進路状況、入試制度の現状、学年の実態と今後の課題等を予定しています。
なお、欠席された場合は、後日、お子様を通して、当日の資料等をお渡しいたします。
11月進研模試について(1・2年生)
以下の日程で、
「11月進研模試」を行います。
〔1年生〕
登
校
8:15
国
語
8:30~ 9:50 (80分)
数
学
10:00~11:40(100分)
英
語
11:50~13:10 (80分)
(リスニングテストを含む)
自己採点
13:10~
〔2年生〕
登
英
数
国
自己採
校
語
学
語
点
8:15
8:30~ 9:50 (80分)
(リスニングテストを含む)
10:00~11:40(100分)
(A:創表、B:普通)
12:00~13:20 (80分)
13:20~
なお、当日、やむを得ず欠席される場合は、進路指導部(082-224-4668)に連絡をお願いいたし
ます。
「大阪市立大学医学科出張講義」について
以下のとおり、
「大阪市立大学医学科出張講義」を行います。
日
時 : 平成27年11月6日(金) 15:45~17:15(90分)
場
所 : 本校視聴覚教室
講
師 : 大阪市立大学医学部 大学院医学教育学
教授 首藤 太一 先生
内
容 : 「医学科を志望するにあたって」
申込方法 : 進路指導室前に用意された申込用紙に必要事項を記入し、提出ボックスに投函
(先着90名まで)
全校集会での講話
10月13日(火)の全校集会で、以下のことを生徒に話しました。
この講堂の場で皆さんの前で話をするのは2回目になります。
1回目の4月の時には、皆さんに、
「学校を休まない」
、
「学校での取組を大切にする」
、
「基礎・基本を大切にす
る」
、
「学校行事やクラブ活動を大切にする」
、
「叱ってくれる先生を見つける」といったことを話しました。少しで
も覚えていますか。あれから、半年が過ぎましたが、この半年の時間の中で、前に進むことができました。
先週、ノーベル賞の発表があり、医学生理学賞は、北里大学特別栄誉教授の大村智先生が、物理学賞は、東京大
学宇宙線研究所長の梶田隆章先生が受賞されました。
梶田先生は、宇宙に存在する最も基本的な粒子の一つとされる「ニュートリノ」の研究のなかで、
「ニュートリ
ノ」の質量があるとのことを発見されました。そして、その発見が宇宙の成り立ちの解明のつながるのではないか
といわれています。
一方、大村先生は、土壌で見つけた微生物の作り出す物質が、寄生虫に効果があることを発見されました。そし
て、その成果が薬剤の開発に結ぶつき、アフリカや南アジア、中南米で寄生虫による失明や深刻な病気の危機にお
びえる多くの人々を救ったといわれています。
いずれの研究についても、両先生の長年の地道な研究が高く評価され、受賞に至ったことは容易に想像すること
ができます。
さて、大村先生は異色の経歴をもたれているとのことです。
山梨県韮崎市の韮崎高ではサッカーや卓球、スキーに没頭。特にスキーは、大学生のときに国体出場したほどの
腕前だったとのこと、その後、山梨大学を卒業し、東京都立墨田工業高校定時制の教師として5年間務められまし
たが、生徒たちは、昼間、工場で働いた後に登校し、熱心に勉強していたとのこと。中には手に油がついたままの
生徒もいたそうです。
大村先生は、
「自分も頑張らなければ」と一念発起され、夜は教師を続けられながら、昼は東京理科大学の大学
院に通い分析化学を学ばれ、大学院卒業後、教師をやめて山梨大学の助手となり、そこで微生物に出会ったそうで
す。
大村先生は、会見の中で、私たち、学問に関わる者としてのあり方を考えさせるような話をたくさんされました。
その中のいくつかを、紹介したいと思います。
「私自身が偉いものを考えたり難しいことをやったのではなく、全て微生物がやっている仕事を勉強させていた
だいたりしながら今日まできている。そういう意味で私がこのような賞をいただいていいのかなという気持ちで
す。
」
「科学者は人のためにやらなければダメなんだ。人のためにやるということが大事です。
」
「私は人まねはしない。人のまねをするとそこで終わり。それより越えることは絶対ありえない。
」
「成功した人は失敗を言わない。成功した人は人より何倍も失敗していると思う。失敗してもいいからやってみ
ようと。1回2回失敗したからってどうってことない、若いうちは。
」
大村先生の研究に対する謙虚な姿勢がよく伝わってきます。学問には終わりはありません。遠くなるような距離
でも、誠実に前に進もうとする姿勢が必要ではないでしょうか。
次に各学年に対する思いです。
まずは、3年生。現在は、受験中心の生活を送っていることかと思いますが、受験に成功するために大切にして
もらいたいことが3つあります。
一つは、強い気持ちをもつことです。
センター試験まで100日を切りました。多くの生徒は思うようにはかどっていないというのが現実ではないで
しょうか。でも、それは基町高校の生徒だけではありません。これからは、サバイバル・ゲームです。そこから、
自ら戦いの場から離れていく人たちがたくさん出てきます。戦わずに勝つことはできません。まずは、自ら戦いの
場から逃げ出さない、強い気持ちをもって残りの時間を大切にしてください。
二つは、学校の授業を大切にすることです。
塾に行っている人もいるかと思いますが、
中には塾での勉強が中心になっている人はいませんか。
そうした人は、
高い割合で失敗します。
三つは、放課後や休日は学校で学習することです。
第2回考査の際には、多くの生徒たちが学校に残って勉強していました。これは基町高校の特徴の一つですが、
放課後や休日に学校で学習をしている人の成功する割合は高いように思います。
基町高校のモットーは、
「受験は団体戦」です。みんなで切磋琢磨し、頑張ってもらいたいと思っています。
10月は、3週連続模試があります。今週も行われますが、いい評価を得るというより、この段階における弱点
箇所や課題を明らかにし、しっかりと対応することが大切です。よく言われるように、現役生はこれからです。
次に、2年生。2年生についても、3つあります。
一つは、受験生になるという気持ちをもつことです。
修学旅行が終わり、高校生活も半分となりました。まずは、これまでとは違った気持ちで生活を送ってください。
二つは、家庭学習時間を増やすことです。
受験に成功した生徒の家庭学習時間を調べてみました。成功するためには、どのくらいの家庭学習時間が必要だ
と思いますか。調べた結果、約4300時間です。4300時間に到達するために、今のペースで到達できるか考
えてみてください。たぶん、多くの生徒は厳しい状況だと思います。
三つは、覚悟を決めることです。
人生は、
「あれも、これも」ではなく、
「あれか、これか」の選択の積み重ねだと考えています。
この中で、受験を意識し、部活動との両立について考えている人もいるかもしれません。私自身は、もし、受験
に支障があるならば、勉強に専念することも一つの選択だと思います。ただし、これまで、勉強と部活動との両立
を図るために「あれか、これか」の選択の中で最善の時間の使い方であったか考えてみてください。結構、
「無駄
と思われる」時間、でもその時は、最善の選択をしたつもりであったかと思いますが、多いのではないかと思いま
す。
最後に1年生。この学年は、大学の先生をお迎えしての模擬授業や東大・京大オープンキャンパス研修に参加す
る生徒が多く、進路に対する意識が高い学年だと思っています。1年生は2つあります。
一つは、すべての教科を大切にすることです。
これは1年生に限ったことではありませんが、
「主要教科」とか「副教科」と分ける人がいますが、そもそも学
問、そして教科に「主要」とか「副」とかの区別はないはずです。
今年度から新課程入試に全面移行します。また、現在、大学と高校の教育改革が検討されていますが、その中で
重視されているのは、
「思考力」
、
「判断力」
、
「表現力」です。今年度入試から、他の大学に先だって、東京大学が
推薦入試、京都大学が特色入試として導入しますが、たくさんの情報をただ暗記するだけの勉強では、難関大学問
といわれる大学には対応できなくなるのではと考えています。
二つは、本をたくさん読んでください。
読書には、知識が増える、語彙が増える、文章を書く能力がつく、感性が磨かれるといった効果があるといわれ
ています。しかし、ある調査によると、一ヶ月間に雑誌や漫画を除いた本を 1 冊も読まない人の 16 歳以上の全国
平均が 47.5%にのぼる事が分かっています。
2年生、3年生と上級の学年になると、ゆっくりと読書をする時間もなかなか取れなくなります。この時期だか
らこそ、読書をしてください。大学受験の際にも意外に大きな力となります。
今日から後期が始まります。しっかり頑張ってください。
最後に
この「進路指導室から」も30号を迎えました。意外な人から、
「見ていますよ」と声をかけていただくことが
あります。既卒生のなかにも、
「進路指導室から」と「桐志」を楽しみで、基町高校のホームページをたびたびチ
ェックしてくれる人もいるようです。
基町高校で行っている進路指導についてご理解をいただけるよう、これからもできるだけ多くの発行を心がけ
ていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
(文責:進路指導部 池本 邦彦)