「行動療法の基本視点~教育相談への展開に向けて~」 - Hi-HO

第9分科会
「行動療法の基本視点~教育相談への展開に向けて~」
佛教大学
免田
賢
1.はじめに
認知行動療法とは、行動療法と認知療法の総称である。狭い意味では、行動療法と認知療法が重なった
部分(積集合)を認知行動療法と呼ぶが、広い意味では、行動療法と認知療法の総称(和集合)を認知行
動療法と呼ぶ。同じ条件づけの原理に従って、恐怖症や強迫性障害などの不安障害の症状を消去したり、
適応的な行動習慣を再学習しようとするのが「行動療法」である。
行動療法
認知療法
○の重なった部分に認知行動療法が入ります。
認知行動療法(広義)
2.軸となる考え方
●エビデンスに基づいた機能獲得アプローチ
私たちは、学習を通して様々なことを身に付けている。生徒も教師も同様である。
○生徒が、適応に向けて対人関係スキルやストレス対処スキル、適応行動を身につければ様々な問題に対
応できるのではないか。
(機能獲得アプローチ・スキル習得モデル・心理教育モデル・ピア、サポートモデルなどを通して)
○これまで問題に対して、やってきたこと・努力してきたことを適応力としてみる。
○症状も症状に対する対処行動も、その人の持っている力、適応力としてと
らえなおすと、治療に生かすことが出来る。
3.実践にあたり
A.関係を形成する (実践的研究から明らかになっていること)
・面接者がCIとポジティブな関係を築こうとする程、治療効果は高まる。
・面接者とCIが共通目標を持ち、達成に向けて協働した場合に、変化と効果が促進される。
◎クライエントと関係を作る。
B.目標行動を決める
・具体例を記入、行動が明確になれば記録がしやすくなる。出来たときには褒めやすく、一貫した方針
で対応できる。生徒もどうすればよいか分かりやすい。
① 生徒と一緒に目標行動を決める時の方法
② 問題の成り立ち(面接の質問)諸々
③ ケースフォーミュレーション
④ 大まかなすすめ方
C.望ましいこと行動を増やす
・強化には技術が必要である。
「ほめても効果がありません」「喜びません」
・どう強化しているか、記録をつけてきてもらう。
「ポイントを足すのを忘れていました」
・日頃、強化を使っていない時は効果が高い親の強化子への対応。
☆正の強化の例、負の強化の例などを踏まえ、引っ込み思案の生徒に・・・
行動をなくすよりも、言い換えて出来るようにする方がやりやすい。
D.行動の起こり方を分析する
・教師自身がやっている複雑行動も生徒の行動も(刺激一行動一刺激の連鎖)からなっていることに気
づいてもらう。
・丁寧な課題分析をする → 「宿題をする」の課題分析 → 問題が起こる前に働きかける → 分かりやすい声
賭け → 約束の上手な伝え方 → 指示の出し方等
E.困った行動をどう減らすか
・困った行動の3パターン
⑴ きっかけ → 困った行動 → 強化になっているパターン
⑵ きっかけ → 困った行動 → 生徒にとって嫌なことがなくなるパターン
⑶ きっかけ → 望ましい行動 → 結果を与えないパターン
F.認知の視点の導入
・環境、行動、認知の3つの関係、関わり合い
4.行動療法
・人間の4つの機能
① 生理機能・・神経系、循環器系、消化器系等
② 情動機能・・不安、うつ、怒り、恐怖等
③ 認知機能・・判断、思考、推理、記憶等
④ 行動機能・・歩く、乱暴する、引きこもる等