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 会報 第 328 号・平成27 年9月号 厚木の本間重連と日蓮
島口 健次
厚木市内には、本間重連ゆかりの寺院がある。本間氏は相模国愛甲郡依智の武士であり、海老名季
貞の子、義忠が本間氏を名乗ったことにはじまる。
『吾妻鏡』には本間義忠が源頼朝に仕えた御家人であったことが記されている。本間氏が領した依智
は現在の厚木市上依知、猿ヶ島、山際、関口、中依知、下依知、金田が郷域であった。
本間氏のゆかりの寺院は、妙伝寺、蓮生寺、妙純寺、建徳寺である。本間氏はこの依智郷に屋敷を
構える武将で、また、佐渡の守護代を務めていた。守護代とは守護が幕府の譜代直臣的な家臣が登用
されたために、鎌倉や京都に在住するのが原則であり、任国の業務、統治は、守護代以下に任される
場合が多かったことから、設けられた制度である。この本間氏ゆかりの寺院の建徳寺(金田)は臨済
宗であるが、他は日蓮宗である。日蓮は斬首の刑をかろうじて逃れ、佐渡流罪となる直前、妙純寺(金
田)の本間重連の館に留めおかれ、ここから弟子達に送った数通の手紙が「御書」として大切にされ
ていることなどと関連があるのだろう。日蓮は文永八年九月十三日、この本間氏の館で十三夜の月に
向かって経文を唱えると、天から明星が庭前の梅の木に下ったという。いわゆる「星下り」の奇瑞が
妙純寺に伝えられている。現在この妙純寺のみではなく、妙伝寺、蓮生寺の寺にも「星下りの梅」と
称する古木があり、この三ヶ寺それぞれが日蓮滞留の遺跡であることを伝えている。厚木歴史研究会
では講演会の中で、この日蓮と本間氏縁の寺院について市民にアピールしている。 以上