~気候変動のくらしへの影響と適応策~ 開催報告 地球温暖化は私たちのくらしに関わる大きな問題です。すでに国内各地でも変化は現れてきて います。今回法政大学の田中 充教授より、地球温暖化のしくみとそれによる気候変動について、 そして自然や経済社会、生活への影響と適応策などについてお話を伺いました。 緩和策をとっても避けられない温暖化に対応していくために私たちに求められることもお話い ただき、意識を変えていくこと、行動していくことの必要性を学ぶことができました。 日時 2015年6月18日(木)10時~12時 会場 中野区産業振興センター 3階大会議室 講師 田中 充氏(法政大学社会学部教授) タイムスケジュール 10:00 開会 あいさつ 参加人数 48人 10:10 講演 主催 東京都生協連環境対策連絡会 11:50 質疑応答 協賛 東京都消費者月間実行委員会 12:00 閉会 開会あいさつ 環境対策連絡会でも長い間議論している 環境問題は、さまざまな取り組みと広が りを見せているが、なかなか環境はよく 司会 東都生協 和田健太郎さん ならない現状がある。 東京都生協連でも学習や視察を重ね、エ 東京都生協連 竹内専務 ネルギー問題にも取組み始めている。今 年度からは環境とエネルギーを一緒に議 論していく。 環境問題に大変詳しい田中先生から今日 はじっくり学んでください。 講師プロフィール 田中 充 氏 法政大学社会学部長(教授・大学院政策科学研究科教授) 長野県生まれ、東京大学大学院修了理学修士、川崎市(公害局・環境局) 勤務を経て2001年 4 月に法政大学社会学部に着任、2014年4月より 現職、現在に至る。 2015年 1 月から中央環境審議会臨時委員、専門委員(地球環境部会、 環境影響評価小委員会)のほか、かながわ水源環境保全県民会議座長、中野 区、足立区、町田市など地方自治体の環境審議会委員等を務める。 主な著書: 「地域からはじまる低炭素・エネルギー政策の実践」(ぎょうせい、2014) 「気候変動に適応する社会」(技報堂、2013)「ゼロから始める 暮らし に生かす再生可能エネルギー入門」(家の光協会、2014)など 講演内容~地球温暖化の動向と今後の適応~ イースター島から考える持続可能な社会 ポリネシア人の移住によって高度な文明を持ったイースター島が、島という孤絶した 空間(環境容量)の中での生活に失敗し、森林と食糧の枯渇によって自らの営みの中で 崩壊していった。その歴史は文明の興亡の縮図ともいえるのではないか。 開発により 森林伐採 人口増 土壌流出 島の荒廃 人食 森林消滅 食糧難 自滅 地球温暖化問題の要因と将来予測 ようい 世界平均気温の上昇量予測 今後厳しい緩和・低炭素の努力 を行っても気候変動の深刻影響 は避けられない。 日本は特に地域特性に応じた適 応策が必要になる。 ◇温暖化による日本への影響◇ ・真夏日と豪雨の増加(極端な降雨) ・高波・高潮のリスク増加 ・熱中症患者の増加 ・デング熱流行のリスク地域拡大 ・農業影響:米の収量変化(北は増収、西は減収) 果物(リンゴ等)の生育適地の変化 ◇日本に必要な適応策◇ 世界に比べて日本はヒートアイランド現象により上昇度が大きく、 特に大都市で激しい。 経済社会のしくみを気候変化に対応し得るように変えていくことが 必要であり、地域特性に応じた適応策が求められる。 既存の対策の強化と新しい対象への視点が必要。 私たち生活者に求められるもの 意識変化 → 行動変化 → 社会のしくみ変化 情報によって意識を変えていく、意識が変われば行動が変わる。その行 動の集積が社会のしくみを変えていくことにつながる。これが温暖化 社会への対応であるとのアドバイスを心に刻みました。 質疑応答 Q.地球温暖化懐疑論があるのはなぜか? A.温暖化シミュレーションでは予測値と実測 値があり、高い値と低い値もあるためかと思 う。世界の排出量が上がり続ければ温暖化は 確実だが、排出量が減れば抑制される。但し これには自然活動によるものは含まれない、 あくまでも人為的な要因のみのことである。 Q.日本政府が積極的な対応をとれないのはな ぜか? A.産業界との関係のためと思われる。 産業界にとってはエネルギーコストの優 位なものを使用したいと思いがある。 アンケートまとめ より 提出枚数36枚 所属団体:生協(28)消費者団体(6)その他(3) ほとんどの方が所属団体の機関紙等からの情報で参加され、 講演についてもほぼ理解できたとの回答でした。 温暖化の時代に生きる心がけとして、意識を持ち、生活のな かの小さなことから行動していくということを挙げた方が 多くいました。 感想より *私たちの意識が社会システムを変えられる、温暖化にブレ ーキをかけられることに心強くなりました。周りに働きか けていきたいと思います。 *対策についてはこれまで緩和策が強調されることが多か ったが両論としての適応策の視点について認識できた。 *地域特性に応じた気候変動適応策の話はとても大切なこ とと思いました。
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