海 外 最 新 文 献 メディカルカスタム(編集協力 HealthDay) 2015-08 未治療進展型小細胞肺癌に対する化学療法後 (シスプラチンまたはカルボプラチンとエトポシド)の スニチニブ維持療法 ― 無作為化二重盲検プラセボ対照 第 II 相試験 CALGB 30504 (Alliance) Chemotherapy With or Without Maintenance Sunitinib for Untreated Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Phase II Study-CALGB 30504 (Alliance). Ready NE.et al.: J Clin Oncol, 33(15):1660-5, 2015 背 景 小細胞肺癌(SCLC)と診断された患者の大部分は進展型の疾患を有する。標準療法はプラチナ製剤を含む化学療法であ る。80%の患者では初期に良好な効果が得られるが、6 カ月以内に再発することが多く、全生存期間(OS)は 3 カ月から 10 カ月にしか改善しない。しかし初期の化学療法後、維持化学療法を実施することにより、無増悪生存期間(PFS)が改 善する可能性がある。 SCLC 患者の 80%では血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体が発現する。スニチニブは VEGF 受容体を阻害するチロシ ンキナーゼ阻害剤である。 目 的 本試験の目的は、プラチナ製剤を含む初期の標準的化学療法後の進展型 SCLC 患者を対象に、維持化学療法としての スニチニブをプラセボと比較することであった。主要評価項目は PFS とし、スニチニブの有害反応を安全性のために評 価した。 方 法 Cancer and Leukemia Group B(CALGB)30504 試験は、無作為化プラセボ対照第 II 相試験であり、進展型 SCLC 患者を、 プラチナ製剤を含む化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチンとエトポシド)を開始する前に登録した。進展型疾患 の定義は、胸腔外転移、悪性胸水、または対側リンパ節腫脹があることとした。治療後、完全奏効または部分奏効、 あるいは病勢安定が認められた患者を、スニチニブまたはプラセボによる維持療法群に無作為に割り付けた。プラセボ 群の患者は増悪後にクロスオーバーが許可された。 結 果 本試験の登録患者のうち、138 例が初期のプラチナ製剤を含む化学療法を受け、うち 95 例がスニチニブまたはプラセ ボによる維持療法に無作為に割り付けられた。スニチニブ投与群の 44 例、プラセボ投与群の 41 例が主要解析の対象と なった。プラセボ群の 18 例の患者で、スニチニブへのクロスオーバーが許可された。 PFS 中央値はスニチニブ群の 3.7 カ月に対し、プラセボ群では 2.1 カ月だった。OS 中央値はスニチニブ群の 9.0 カ月 に対し、プラセボ群では 6.9 カ月だった。スニチニブ群の 3 例の患者で、維持療法中に完全奏効を達成できた。クロスオー バーによる効果を評価した 13 例のうち 10 例で、6 ∼ 27 週間にわたり病勢安定を達成できた。 スニチニブ群で発現したグレード 3 の有害事象は、疲労、好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症だった。グレー ド 4 の有害事象が発現したのはスニチニブ群の 2 例のみだった。 結 論 スニチニブ維持療法は、進展型 SCLC において安全であり、PFS を改善する。OS の改善に対しても有望だった。少数 の患者では、大きな治療上のベネフィットが得られた。今後の課題として、スニチニブ維持療法を OS で評価する試験や、 SCLC への VEGF 受容体阻害剤の効果について、予測バイオマーカーを考慮した研究が必要と思われる。 提供:光製薬株式会社 制作:エイ・ジェイ・アドバイザーズ LLC 編集・発行:株式会社プロウェーブ KSB0015 1508
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