申請者は,最近渡辺敬一氏,後藤四郎氏(明治大学

平成 26 年度
日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書
学科・資格 数学科・教授
申請者氏名 吉田 健一
研 究 課 題
研究目的
お よ び
報
研究概要
告
研 究
の
の
概
結 果
要
研
究
の
考 察
・
反 省
㊞
単純特異点上の極大CM加群の研究
申請者は,最近渡辺敬一氏,後藤四郎氏(明治大学),高橋亮氏(名古屋大学)らと一般化さ
れた Ulrich 加群の共同研究を行い,古典的なマッカイ対応とリーマン・ロッホ公式を用い
て,2 次元の Gorenstein 商特異点の場合に, Ulrich 加群と Ulrich イデアルの分類定
理を証明した。2 次元の Gorenstein 商特異点は 2 次元の単純特異点である。また,
Knorrer の周期性により,単純特異点上のCM加群の AR 図式の決定は低次元の場合に帰
着することが知られている。さらに,単純特異点は超曲面であるが,行列分解の理論の応用
として,超曲面の Ulrich イデアルを制御する方法を発見した。本研究の目的は,その理論
を整備し,単純特異点における Ulrich 加群の分類を完成することである。
申請者は超曲面における Ulrich イデアルが、超曲面を定義する多項式の行列式分解から
定まるあるイデアルのクラスに含まれることを証明した。また、2 次元と1次元の場合の結果を
利用することにより、単純特異点の Ulrich 加群の分類、及び Ulrich イデアルの決定に成
功した。その一部は昨年のベトナムの研究集会でも公表したが、現在論文として整理する作
業を続けている。また、平成 26 年度 6 月に名古屋大学大学院多元数理科学研究科の集中
講義にて、Ulrich 加群・イデアルに関する研究報告を行った。その際に提出した巡回商特
異点の Ulrich 加群の構造に関する問題をきっかけとして、名古屋大学大学院多元数理科
学研究科在住の中嶋氏と共同研究をスタートさせた。
単純超曲面の Ulrich 加群・Ulrich イデアルに関する分類はほぼ予想通りの結果が得られ
た。証明方法としては、有限表現型と Gorenstein 単純特異点の関係を証明した方法を参
考にした。その考察から、高々有限個の Ulrich イデアルを持つ超曲面は有限表現型に限
るだろうという予想を得た。また、今後の課題としては、トーリック特異点や数値的半群を持
つ次数付き Ulrich イデアルの分類問題などに取り組みたいと考えている。
年末に忙しくなったため、予定していた出張(名古屋大学)を中止せざるを得なかった。
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項について御記入ください。
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌 名
巻・号
発行年月日
発行所・者
可換環論シンポジウム, Integrally closed ideals of 2-dimensional normal singularities,
2014 年 11 月 24 日, IPC 生産性センター(神奈川県葉山市).
第 25 回可換環論セミナー, Almost Gorensteinness of Rees algebras of pg-ideal, 2015 年 1 月 26 日, 静
岡大学理学部(静岡県静岡市).
Shiro Goto, Kazuho Ozeki, Ryo Takahashi, Kei-ichi Watanabe and Ken-ichi Yoshida, Ulrich ideals and
modules, Math. Proc. Camb. Phil. Soc. 156, 137-166, 2014 年.