2015年3月7日(土)の講習報告 - 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学

平成 26 年度
大阪女学院大学
「教員免許状更新認定講習3」簡易報告
まとめ:中井
弘一
発信型の英語コミュニケーション能力の育成
・ 「効果的に発信する仕組みと工夫(ジャンル分析)」
・ 「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」
平成 27 年 3 月7日(土)
■ 講座のねらい
■ 「使える英語」が昨今の英語教育のキーワードの一つになっているが、単に英会話ができるという次元の
ことを指しているのではないだろう。自分で考えたこと、感じたことを相手に効果的に伝える発信型の英語
コミュニケーション能力の育成が求められていると考える。本講習では、効果的に発信する仕組みと工夫(ジ
ャンル分析)と効果的な英語のプレゼンテーションを行うことに焦点を当て、発信型の英語コミュニケーシ
ョン能力の育成をねらいとした講習を実施する。
効果的に伝える発信型の英語コミュニケーション能力育成にあたっては、ジャンル分析の考え方が役立つ。
ジャンル分析では、まず、発信の対象と目的を明確にし、次に、どのような表現パターンが用いられている
かを分析する。第一部では、天気予報、新聞記事、広告文、メールなど、生徒たちにとって身近なジャンル
を捉えて、効果的な発信の仕組みと工夫を考える。
英語教育に限らず、今求められている能力の一つに問題解決能力がある。「問題の定義-現状の理解-原因
の分析-方策の決定・実行」というプロセスを思考することである。プレゼンテーションは、そうしたシナ
リオを描きそのビジョンを相手に説得することを最終目的としている。第二部では、発信型のコミュニケー
ションとして効果的に英語のプレゼンテーションを行うための基本的なスキルを紹介し、即興のプレゼンテ
ーションを通して、英語授業でプレゼンテーションを取り入れるための工夫を考える。
講座のねらい
■ 講座内容
① 9:10∼10:10
「効果的に発信する仕組みと工夫(ジャンル分析)」 (1)
② 10:20∼11:20
「効果的に発信する仕組みと工夫(ジャンル分析) (2)
③ 11:30∼12:30 「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」(1)
̶プレゼンテーションの方略̶
(昼食)
④ 13:20∼14:20
「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」(2)
̶プレゼンテーションの例̶
⑤ 14:30∼16:00
「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」(3)
̶教科書の導入・まとめや指定トピックのワークショップ̶
⑥ 16:10∼16:40
講習認定試験
講師
「効果的に発信する仕組みと工夫(ジャンル分析)」①②
東條 加寿子
大阪女学院大学 教授
「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」③④⑤
中井 弘一
大阪女学院大学 教授
大阪女学院大学
平成 26 年度
教員免許状更新講習3
受講者評価書
(文科省提出)
評価基準
4:よい(十分満足した・十分成果を得られた)
3:だいたいよい(満足した・成果を得られた)
2:あまり十分でない(あまり満足しなかった・あまり成果を得られなかった)
1:不十分(満足しなかった・成果を得られなかった)
I.
本講習の内容・方法についての(下記の1∼5の視点を踏まえた)総合的な評価
平均
受講者
9名
3.89
4
3
8人
1人
2
1
1.学校現場が直面する諸状況や教員の課題意識を反映して行われていた。
2.講習のねらいや到達目標が明確であり、講習内容はそれらに即したものであった。
3.受講生の学習意欲がわくような工夫をしていた。
4.適切な要約やポイントの指摘等がなされ、説明が分かりやすかった。
5.配付資料等使用した教材は適切であった。
II. 本講習を受講したあなたの最新の知識・技能の修得の成果についての(下記の6∼9の視点を踏まえた)
総合的な評価
受講者9名
平均
4
4.00
9人
3
2
1
6.教職生活を振り返るとともに、教職への意欲の再喚起、新たな気持ちでの取り組みへの契機となっ
た。
7.教育を巡る様々な状況、幅広い視野、全国的な動向等を修得することができた。
8.各教育活動に係る学問分野の最新の研究動向、これまでの研修等では得られなかった理論・考え方・
指導法や技術等を学ぶことができ、今後の教職生活の中での活用や自らの研修での継続した学習が見
込まれる。
9.受講前よりも講習内容への興味が深まり、教員としての知識技能の厚みや多様さを増す一助となっ
た。
III. 本講習の運営面(受講者数、会場、連絡等)についての評価
受講者
9名
平均
4
4.00
9人
3
2
1
「効果的に発信する仕組みと工夫(ジャンル分析)」
東條 加寿子
大阪女学院大学 教授
「効果的な英語プレゼンテーションを行うために」
中井 弘一
優れたプレゼンテーションの6つの要素
• Simple シンプルであること
• Unexpected 意外性
• Concrete 具体性
• Credible 信頼性
• Emotional 感情
• Story (line)ストーリー
大阪女学院大学 教授
●SDS法 Summary(全体要約)-Details(詳細説明)-Summary(全体要約)
(1)聞き手に、これから何を話すのかを要約し、概要を話す。
(2)本論を実際に詳しく話す。
(3)最後に、もう一度何を話したかをまとめる。
●PREP法 Point(要点)-Reason(理由)-Example(具体例)-Point(要約)
(1)最初に、自分の言いたい結論を述べる。
(2)次に、その理由を述べる。
(3)具体例、実例、事例を挙げる。
(4)最後に、もう一度自分の言いたいポイントを繰り返し締めくくる。
Presentation Skill 1
visual
horizontal
TAIL:
One Last Hook
SPINE: Main Storyline
START
HEAD:
Main Idea
v
e
r
t
i
c
a
l
A
B
C
A1
B1
C1
A2
B2
C2
END
Hook and guide your audience in your opening.
• Start with a story when your speech is
emotional and entertaining.
• Start with a shocking statement to catalyze
LEGS:
Supporting details,
data,
anecdotes…
B3
your audience.
• Open with a question to get your audience
thinking. Start with why. why—how—what!
People do not buy what you did but why and
how you did.
42
73
My favorite proverb
ハイテクトイレ High-tech Toilets
覚えておきたい語句・表現
advanced 「先進の」 features 「特徴、機能」
heated seat 「暖房便座」
squat 「スクワット」
• Choose one proverb you like most from the Proverb
List 101.
• You draw or paint a picture to describe the proverb on the paper. Write the proverb on it. Make a poster.
• Hoist the poster paper to your group members and
explain the meaning of the proverb and how it is used.
• Explain why you like the proverb most.
• Your group members ask some questions on the
proverb.
Donovan J. (2014). How to Deliver a TED Talk, McGraw, Hill Education
bidet 「ビデ」
*通常はエクザサイズ用語だが、和式のお手洗いの座り方も英語ではsquat。
nozzle 「ノズル」
bottom 「おしり」本比較的ていねいな言葉。
massaging fountain 「マッサージ用噴水」
キーワードはbidet (ビデ)。
ビデとおしり洗浄のボタンには、絵柄と日本語だけで、英語の説明の付いていないものもありますので、
水を流すつもりで間違って押してしまう外国人がいます。初めて来日する外国人には、必ず事前に説明
しましょう。本来、bidetとは、小型のシャワーのようなもので、主にフランスなどで使用されている。
通常英語圏で使用されないため、bidetと言っても通じない場合が多いと思われる。
"Do you have a bidet in your home?" "Of course. Once you use one of those, you can't go
back."
貯水タンクのつまみの「大」 (more flushing water) 、「小」 (less flushing water) も説明したほう
が親切です。flush は、「(トイレで)流す」という意味です。
ちなみに「ウォシュレット」 はTOTO 社の登録商標で固有名詞であり、washlet と言ってみても、英語
圏の人には通じません。
広瀬直子(2014)『日本のことを1分間で話してみる』KADOKAWA
Comparing Objects
Comparing Objects
Speakers not only describe objects but also
compare them to other related objects in order
to highlight similarities and differences.
Rather than simply describing differences, the
speaker may also offer a critique of the two
objects.
Butterflies
Moths
事前アンケートまとめ
1.この講習の受講を希望した理由はなんですか。
・今年度の教員免許状更新講習の1,2を受講して、講義自体の内容だけでなく雰囲気も良くとても刺激
的に勉強させていただけたので是非次も受講したいと思いました。
・英語教育に関しての講習を受けようと探していました。その中で、貴校の講座では、身近なジャンルを
通して発信する工夫などについて学べると知り希望しました。
・昨年の夏に講習を受け、大変役に立つヒントを多くいただけたので今回も受講したいと思いました。
・本校にプレゼンルームが設置されます。プロジェクター3台と iPad42 台が導入され、生徒にプレゼン
テーション能力をつける授業が求められます。しかし、私自身プレゼンをしたことも、プレゼンの基本
を学んだこともなく、何からはじめればいいのか、見当もつきません。限られた授業時間・1クラス4
0名でもできる効果的な活用方法のヒントをいただければと思い、受講を希望しました。
・以前、貴学の教員講習を受講したことがあり、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。また、
その後も News Letter を送っていただき、感謝しております。今回も前回同様、たくさんのアイディ
アをいただきたいと思い、希望しました。
・昨年の3月にも講習を受講させていただき、色々と勉強させていただき、今回も申し込みさせて頂きま
した。
・同じ敷地内で受講できることと、効果的な英語教育のプレゼン能力が日々求められているため、少しで
も日々の実践に取り入れることが出来ればと思いました。
・講習の内容に興味があったから。
2.この講習に期待することをご記入ください。
・高校、中学の校種間での交わり(情報交換)がふだんなかなかとれないので、各現場での話なども聞け
たらいいなと思っています。中学校ではどんな力をつけてきているのか、それを高校ではどのようにつ
なげていかなくてはいけないのか
そんなことを考えるきっかけにしたいです。
・できるだけたくさん、実際の授業で使えるような活動や指導方法を学んで、実践していけるようにした
いです。英語のプレゼンテーションのスキルについては、知らないことばかりだと思うので、新しく知
識を増やしたいです。
・実践例をお聞かせいただければすぐに授業で取り入れ役に立ちます。他校の先生方との意見交換も貴重
です。
・生徒がやってみたくなるプレゼンテーションの課題。プレゼンテーションで用いられる具体的な英語表
現。具体的な授業計画。生徒に与えるためのプレゼンテーション例。よいプレゼンテーションを作るた
めの生徒への具体的アドバイス。よい例・悪い例。その違い。その理由など。
・大がかりなことではなく、日常的な授業の中で、少し工夫できるアイディアがあれば、大変助かります。
また、協同学習について学べる機会があれば、有り難いです。
・40 名の生徒相手に発信型のコミュニケーション能力をどのようにつけさせていけばよいのか御指導い
ただけることを楽しみにいたしております。
・レベルが高くない生徒でもプレゼン等の発信するような活動を取り入れるための工夫が知りたい。
3.ご自身の英語の教科活動で日頃課題としていることはなんですか。
・今年度の高校2年生から教育課程が変わり、彼らが来年受験するにあたってどうしたらいいのかわかり
ません。「コミュニケーション重視」とか「英語で授業を」とか言われるままにこの2年間模索してき
たものの本当に求められている力をつけられているのか、また、どのように彼らの力が受験において評
価されるのか私自身もわかってない状態です。
・生徒にさせる活動を、よりたくさん、より興味深いもの、より、わかりやすいものにする。・低学力の
生徒へどうやって力をつけていくか。
・ICT の活用などです。
・「覚える」(作業)のではなく「考える」(思考)ことができる授業にしたいと日頃、いろいろ試しなが
ら取り組んでいます。
・今英語教育に求められている能力を私自身が持ってない、身に着けることができていないので、何から
変えていけばいいのかが分からない。
・協同学習の進め方(ペア活動は定着しているが、効果的なグループ学習がいまだ出来ていない)
・心を持った人間が使う言葉であるので、表現や言葉の使われ方などにおいて、英語と日本語の似たよう
な場合を探すようにしている。また、文化的な違いによる発想の違い、幾つかの意味を持つように見え
る単語など、その語の中真のイメージを伝え、意味の幅の広がりを意識させるよう心掛けている。
・生徒への動機付け、飽きさせない授業の工夫。Input から output の流れ。
・英語学習そのものを楽しいと感じさせること
受講後アンケート
・いわゆる英会話の勉強は的を絞れないので、一番難しいということを日々伝えているが、本日の東條先
生の話でスッキリしました。
・前半の東條先生の講習では、普段の生活の中でぼんやりと考えていたことを logical に説明していただ
き大変興味深く為になりました。後半の中井先生は、400 ページという膨大な量のプレゼン資料が表
すように、熱意溢れるお話をしてくださり、大変感謝しております。時間が限られていて、じっくり
整理することができていませんが、資料をいただきましたので、後日ゆっくりと復習しようと思いま
す。ありがとうございました。
・毎回、役立つ情報がいっぱいあり、1 日があっという間に過ぎてしまいます。どうしても受け身型の授
業になりがちなのですが、何とか発信型、また発信することのできる雰囲気づくりから取り組んで行
かなければならないと感じました。中井先生や東條先生のように聴いている人がなるほどと納得し、
うなずけるような話し方も勉強しなければいけないなと思いました。
・とてもよい勉強になりました。先生方の教えてくださったことに刺激を受け、今の自分の授業のやり方
の間違っている点に気づきました。日々の授業で、少しずつでよいから生徒自身に考えさせること、
その考えたことを人に伝える練習をどのように取り入れるか、また、パソコンやプロジェクターを使
う琴でどのような効果が得られるかがよくわかりました。免許状更新をきっかけとして、このような
勉強ができて本当によかったです。これからも参加できる勉強会がありましたら是非一緒に学ばせて
ください。
・ジャンル分析はとても新鮮でした。「効果的に教材を理解する(させる)には」ばかり念頭に置いて教
材研究をしてきた自分にとって、理解した内容を自分なりに発信するために必要な表現を知ることが、
抜けていた事に気付かされました。今回の講習で、レシピや通知文、天気予報など実際はどのように
使われているか演習した経験が次に繋がるヒントになりました。また、
「プレゼンテーションは無理!」
という感情でしたが、今回の講習で、
「すぐにいつでもできる小さな活動の積み重ねによって充分でき
る活動であること」がわかりました。参加して楽しい講習であったので、生徒にも参加していて楽し
くためになったと思ってもらえる授業を作っていきたいです。ありがとうございました。
・ジャンルという考え方は、これまで習ってこなかったため、とても新鮮に感じました。確かに場面(内
容)に応じた「型」があり、それを知ることで内容理解や表現・発信には大変有効だと感じました。天
気予報のところでは、 will be とはあまり言わないとおっしゃっていましたが、中学生の教科書(2 年
生)では、 will be が使われているのでどう教えたら良いかなあと考えさせられました。プレゼンテー
ションについては、いろいろなプレゼンを拝見して、とても勉強になりました。同じ、文法的な内容(複
数形)を教えるのでも、パワーポイントを使えば、楽しく授業受けられると感じました。
・発信させたいと思って教師になりました。生徒があまりにも単語すら覚えていないこと、電子辞書すら
抵抗を示す先輩教員、いろいろな壁にぶち当たっています。それでも、おもしろいことをすれば生徒
は必ず反応してくれる。その生徒の反応に他の教師も反応すると信じて気長に取り組みたいと思いま
す。今日の教材は大切にします。ありがとうございました。楽しかったです。
・「ジャンル分析」は東條先生のおっしゃる「ジャンル」のイメージをつかむのに時間がかかり過ぎたの
で、P.4 から入って p.1 に戻っていた方が、ジャンル分析の有効性がより認識できたと思います。先
生のお話を聞いて、英語教育に何が足りなかったのか自分の中ではっきり分かったような気がします。
中井先生の講習については、常に「生徒の心に寄り添う」というお気持ちからスタートされている姿
勢に感銘を受けました。プレゼンテーションの基本構造から例まで、幅広い題材を用意してくださり
ありがとうございました。