No.10 頭痛は、最も頻繁に症状として訴える症状の一つです。日頃から

No.10
頭痛は、最も頻繁に症状として訴える症状の一つです。日頃から頭痛に悩まされている方の数も
人口の 40%にも達しているとも言われています。日常的に経験されることからも頭痛を安易に
捉え、市販の鎮痛剤の服用で済ませてしまう方も多いのではないでしょうか。頭痛が、稀に生命に関
わる緊急の対応が必要な疾患の徴候である場合もあり、又、片頭痛などが生活に重大な障害をもたら
す事を考えると、適切な診断と治療が欠かせません。
頭痛には、器質性頭痛と機能性頭痛とがあります。器質性頭痛とは、脳血管障害(脳出血など)や
感染症(髄膜炎、副鼻腔炎など)、頭部外傷、脳腫瘍、緑内障などからくる頭痛です。単に鎮痛剤を
服用して治療できる病気では有りません。機能性頭痛には、緊張型頭痛と片頭痛、群発頭痛がありま
す。
緊張型頭痛と片頭痛の特徴
緊張型頭痛
片頭痛
頻度
時々∼毎日
時々
部位
両側性
片側性が多い
頭痛の性状
締め付けられる様
拍動性
日常生活への影響
影響は少ない
支障あり
運動と頭痛の関連
なし
あり
悪心・嘔吐
なし
あり
随伴症状(前駆症状)
肩こり、めまい
光や音、匂いに過敏
家族歴
希薄
濃厚
初発年齢
30 歳以降もあり
30 歳以下
器質性頭痛の治療には、原疾患の治療と並行して鎮痛剤投与などの対症療法が行われます。
頭痛治療(片頭痛など)には以下の代表的な薬剤があります。
分類
トリプタン
エルゴタミ
ン
消炎鎮痛剤
種類
スマトリプタン
ゾルミトリプタン
エレトリプタン
エルゴタミン合剤
ジヒドロエルゴタミン
アスピリン
イブプロフェン
医薬品名
イミグラン
ゾーミック
レルパックス
カフェルゴット
ジヒデルゴット
バファリン
ブルフェン
備考
痛みがあってからの使用も有効
中等度から重度の片頭痛に使用
エルゴタミンより有効
中等度から重度の片頭痛に使用
軽度から中等度の片頭痛に使用
種々の頭痛に適応
片頭痛治療薬として新規に開発されたトリプタン系の薬剤は、三叉神経終末と脳血管に働いて炎症を鎮
め、脳血管を収縮させることで効果を表します。頭痛が起こってからでも有効で悪心・嘔吐・光過敏・
音過敏などにも効果があり、これまでの薬剤より優れています。欠点として、頭痛の再発があること
や虚血性心疾患・脳血管障害の方には、使用できないことです。
又、高価であることも問題でしょう。エルゴタミン製剤は、頭痛発作の初期の
段階で服用することが効果的です。トリプタン系薬剤で無効の場合、エルゴタミン
製剤を試すことも良いでしょう。その他アスピリンなども軽度の頭痛には、
第一に選択されるべき薬剤といえます。安価であることもこれらの薬剤の
利点です。
片頭痛の予防薬とは、
頭痛の発作回数が多い場合や痛みが強い場合、又、鎮痛剤が有効でない場合には、予防薬の服用が検討
されます。ロメリジン(ミグシス)は、脳血管に選択的に作用し、拡張させる Ca 拮抗剤です。又、気
分がふさぐ事が多い場合は、抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール)がよく使用されます。他
に抗痙攣剤のバルプロ酸(デパケン)やβ遮断薬のプロプラノロール(インデラル)が使われます。
医師の診察を受けないで、市販の鎮痛剤を飲みつづける方がいますが、決してお勧め出来ません。
1)
頭痛には、他の疾患から随伴して起こっている場合がある。
2)
頭痛には、緊急の処置を要する疾病の危険信号である場合がある。(多くは、経験したことのな
い痛みに襲われる)
3)
頭痛の種類によって治療方法が異なる。
4)
鎮痛剤の長期連用によって起こる頭痛がある。
これらのことから、一度は医師の診察を受け、治療計画を立てていただく事が重要です。
片頭痛に用いるトリプタン系薬剤は、効果の持続時間が種類によって異なるため、短時間での再発があ
る場合は、医師に相談することで、長時間効果の持続する薬剤を処方していただけるこ
とがあります。
又、いずれの鎮痛剤も一ヶ月に 10 回程度の使用を目安にし、多くなるようであれば、
予防薬の使用など対策を練る必要があります。
片頭痛の誘発因子
①
睡眠・・・寝すぎや睡眠不足は、片頭痛の誘因になります。自分の最適
な睡眠時間を探しましょう。
②
食事・・・無理なダイエットは、片頭痛の誘発因子になります。早朝の
頭痛には、寝る前の軽食が有効かもしれません。
③
ホルモン・・・月経と関連して起こる片頭痛は、薬剤の効果が出にくい場合があるため、予防薬の
服用が必要かもしれません。
④
食品・・・赤ワインやチーズ、チョコレートなどが頭痛の誘因となる場合があります。思い当たる
食品の摂取は避けましょう。
⑤
環境・・・光や匂い、騒音などが、頭痛発作の誘因になることがあります。寒暖の差も気をつけて
ください。出来るだけそのような環境に身をおかないようにしてください。又、時期的なことが明
確であれば、予防薬の服用が良いでしょう。
⑥
ストレス・・・ストレスをためすぎないように注意しましょう
緊張型頭痛の原因
首や肩のこり、口やあごの機能異常やストレスうつ状態からの発症、
頭痛薬の乱用などが原因でおこります。鎮痛剤とともに筋弛緩剤や抗うつ剤
抗不安剤が用いられます。
クスモト薬局