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Studio/Multimedia Monitor
アダムの正式名称は ADAM Audio GmbH であり、1998 年
A5
た ADAM と い う 名 前 は “ Advanced Dynamic Audio
Klaus Heinz によってドイツのベルリンで設立されました。ま
Monitors”の頭文字から引用されています。文字通り、アダム
は業務用途のモニタースピーカーをプロデュースすることを目
標に発足しましたが、その成果はわずか 10 年にしてプロオー
ディオ界を席巻する勢いで拡大し続けています。アダムのスピ
ーカーがそれほど急速にその認知度を高めた理由として、ハイ
ルドライバーをベースとした独自の ART ツィーターの存在が
あげられます。おりしもプロの現場では、次世代オーディオに
対応可能な広帯域かつ位相特性に優れたスピーカーが求められ
ていました。そして一部にリボンツィーターを使用したものが
現れましたが、広く受け入れられるまでには至っていません。
そんな中にあって、アダムの ART ツィーターは可聴帯域を越
える 35KHz までをフラットな位相特性でカバーし、しかもコ
ンプレッションドライバーのようなエネルギー感とパワーハン
ドリング能力を併せ持っていることで、俄然注目を集めること
になったといえます。そしてアダムの最新モデルとして登場し
た A5 は、その伝家の宝刀である ART ツィーターの搭載はも
とより、ロハセルとカーボンをサンドイッチ構造とした強靭な
ウーハーの採用等、昨年数多くの賞を獲得すると共に世界的な
ベストセラーとなった A7 の内容をそのまま踏襲しています。
さらに A5 は、LR 両方のボリュームを片側のみでコントロール
できる、Stereo-link 機構を新たに搭載することにより、その
コンパクトさと相まってスタジオのみならず、正にマルチメデ
ィアモニターと名乗るに相応しい縦横無尽のハイパフォーマン
スを実現しています。
Active Technology
現在音楽制作の現場ではアクティブ・スピーカー、また
はパワード・スピーカーと呼ばれるアンプを内蔵したス
ピーカーの使用が主流となっています。その大きな理由
としては、モニタリングの中心をなすスピーカーとそれ
高密度に実装されたアンプ部
をドライブするアンプを一体化することにより、現場環
境の変化や相性といった心配をすることなく、より正確で安定した判断を下すことが出来る、という点にあります。し
かしアダムが一貫してアンプ内蔵型のスピーカーを推進するのは、他にも大きなアドバンテージがあるからに他なりま
せん。通常パッシブ型と呼ばれるスピーカーには、各ユニットの再生帯域を分けるためにクロスオーバー・ネットワー
クが搭載されています。しかしそれはアンプとユニットの間にコイルやコンデンサー等が介在することになり、音の純
度の低下を始めとして数々の悪影響を及ぼしてしまいます。また一台のアンプが複数個のユニットをドライブするため、
それらの相互干渉による音質劣化は避けられません。特にウーハーからの逆起電力は、ツィーターの濁りを誘発してし
まいます。対して A5 は、エレクトロニック・チャンネルディバイダーによって分割された信号が、ウーハー用とツイ
ーター用それぞれのアンプに送られ、そしてダイレクトにユニットをドライブします。これは理想のドライブ方式とし
て、昔からハイエンド・オーディオの世界では憧れの存在となっていましたが、奇しくもアンプ内蔵型のモニタースピ
ーカーによって現在に甦った手法ともいえるでしょう。また内蔵型のアンプにはチャンネルディバイダーのみならず、
ゲイン調節やイコライジング機能等も簡単に盛り込むことが可能です。そして何よりもスピーカーとアンプの一体化は、
それぞれが最大の真価を発揮できるように専用設計が可能であり、コストを最小限
に抑えるとても合理的な方法といえます。そして A5 には、アンプ内蔵型スピーカ
ーに関するアダムの最新技術が惜しみなく網羅され、結果としてそのサイズや値段
を遥かに上回るハイパフォーマンスを獲得することに成功しています。
ART Tweeter
アダムのアイコンともいえる ART ツィーターは、ウーハーやドームツィーター等
のダイレクトラジエーター型のダイアフラムが前後方向に振動するのに対して、プ
リーツ状に折り込まれたダイアフラムが横方向に振動して前に空気を放射するハイ
ルドライバー型となっています。この ART ツィーターのプリーツ形状は機械加工
ができず、一枚一枚人の手によって折り込みが行われるという、とても手間暇のか
かるものとなっています。しかしこのドームツィーターの何倍ものコストを要する
ART ツィーターが、A5 の価格帯で採用されるのは世界的にも例のないことであり、
正に A5 がアダムの戦略モデルであることを如実に表すものとなっています。アダ
ム ART ツィーターの特徴は、エアモーション変換方式による斬新なドライブ方式
があげられます。それは大きな面積の振動板で空気を取り込み、小さな出入り口か
ら出し入れする圧縮伸張動作となりますが、ART ツィーターではその圧縮伸張比が
4:1 になるように設計されています。それは通常のユニットと比較して 4 倍のスピ
ドームツィーターとの振動版面積の比較
ードで空気をドライブすることを意味しており、その理想ともいえるハイトランジェントな応答特性により、楽器の質
感描写はもとより微細な残響成分までも余すことなく再現し切ることが可能となります。またダイアフラムの面積は一
般的なドーム型ツィーターの 10 倍以上、そして空気をドライブする放射面積は 2.5 倍を誇っていますが、逆に実効質
量は 2 分の 1 程度である 0.17g に抑えることに成功しています。特に放射面積の大小はダイナミックレンジの優劣に
大きく関わる項目といえますが、ART ツィーターはその高い能率と相まって、ドームツィーターに対して 2~3 倍の
パワーハンドリング能力を実現しています。しかも 1,500Hz からの低い周波数レスポンスを有することにより、A5
では 2,200Hz のクロスオーバー周波数を可能としており、実に 4 オクターブにわたって ART ツィーターが担当する
こととなります。結果として肝心な中域の密度感のアップに大きく貢献し、他のコンパクト2ウェイでは決して味わえ
ないまるでフルレンジのような一体感を醸し出すことに成功しています。またボイスコイルを使用しない ART ツィー
ターは、インピーダンスならびに位相特性においても比類のない高性能ぶりを発揮し、空間情報の再現性と音像定位の
確かさは天下一品といえます。
Rohacell/Carbon Woofer
A5 に求められたウーハー性能、それは圧倒的なトランジェントレスポ
ンスを誇る ART ツィーターに負けない反応の素速さでした。そしてそ
れを追い求めた結果、A5 のウーハーコーンにはこのクラスでは贅沢と
もいえる、ロハセルとカーボンファイバーの複合型が採用されています。
硬質プラスチックの発泡体であるロハセルは、航空機やスペースシャト
ルのボディーにも採用されており、軽く硬くそして内部損失が大きい、と
いったウーハーコーンとして理想の物性をもっています。A5 のコーンは、
カーボンファイバーを前面にしてロハセルを後面に貼り合せた、比類のな
い軽量高剛性仕様となっています。そのカーボンによるたわみを一切発生
させない剛性の高さ、そしてロハセルによる適度な内部損失が実現する色
づけの少なさは、大音量時においても決して音程の明確さを失うことはあ
りません。それは強大な磁力を誇るネオジウムマグネットによって強力に
ドライブされ、ハイトランジェントかつ濁りや曖昧さを排除したクリアな
ベースレンジを捻り出します。またウーハー前面のパンチングメタル・グ
リルは、見た目の好みによってあるいはよりシビアなリスニングに際して
は、取り外して使用することも可能となっています。
Features
A5 には L/R のボリューム操作を、片側のツマミのみで同時にコント
ロールすることができる Stereo-link 機構が搭載されています。これ
は RCA 入力に対応しており、音量調節機能を持っていない CD プレ
イヤー等をダイレクトに接続する場合に効果を発揮し、さらに L/R の
バランス調整を行うこともできます。また L/R リンク用の RCA ケー
ブルは、長さ 2m のものが付属しています。A5 のリアパネルには3
つの可変ボリュームが搭載されており、ART ツィーターのレベル(±4dB)、150Hz 以下のイコライジング(±6d
B)、そして 6KHz 以上のイコライジング(±6dB)の各コントロールを行うことができます。これは A5 の使用環境
に対しての補正はもちろん、簡単に自分好みのサウンドを演出することが可能となっています。
Finishes
A5 の仕上げは標準の艶消しブラック、
ピアノブラック、そしてピアノホワイ
トの 3 種類から選択でき、またそれら
に対応した専用のスタンドが用意され
ています。
型
式
2 ウェイ 2 ユニット・アクテイブ式 バスレフ型
ウーハー
12.5cm ロハセル/カーボン複合型(防磁タイフ)
ツイーター
4:1 変換比 ART 型
内蔵アンプ
25W/RMS×2
周波数特性
55Hz~35KHz/±3dB
クロスオーバー周波数
2,200Hz
THD
1.5%以下/80Hz 以上
SPL
101dB 以上/max/1m
入力端子
XLR バランス(2 番 hot)×1、RCA アンバランス×1
入力インピーダンス
10KΩ
質
5Kg
量
サ イ ズ
172 W×285 H×200 D/mm
フロント・コントロール
パワースイッチ、入力ボリューム
リア・コントロール
ツィーターレベル・コントロール/±4dB
価
格
低域コントロール
150Hz 以下/±6dB
高域コントロール
6KHz 以上/±6dB
オープンプライス(実勢価格:ペア 10 万円前後)