足回り部品の弾塑性解析

はんだボール粒径測定装置
(1)ボール吹上治具にボールを投入する。等間隔に配
置された吸着穴をもつ吸着ハンドを降下させた状態で,
ボールを吹上げながらボールを吸着穴に吸引する。
(2)ブロック上に接着剤を均一に伸ばし,吸着板下方
にセットする。
(3)吸着ヘッドを降下し,ボンドをボール先端に転写
する。
(4)吸着ヘッド下方に厚さ0.12mmのカバーガラスを固
定した測定用ブロックをセットする。
(5)吸着ハンドを降下し,カバーガラス上にボールを
押し当て,ボールの吸引を解放する。
(6)完成した試料を測定用ブロックごと粒径測定装置
にセットする。事前にティーチングされた座標にした
がってXYステージを移動し,自動測定を行う。
r
結 言
接着剤を使ってはんだボールをカバーガラス上に整
列した状態で固定するマウント装置,およびXYZステ
ージを持ち透過光によりカバーガラス上のはんだボー
ルを画像化し,画像処理により粒径・真円度を自動で
測定する粒径測定機から構成される粒径測定装置を開
発した。本装置の測定精度は粒径±0 . 1 µ m ,真円度
0.001以内である。また,測定時間は約5分/60個である。
足回り部品の弾塑性解析
Nonlinear Static Analysis of
Automotive Suspension Parts
599.4
599.3
599.2
599.1
599
598.9
598.8
598.7
2
0
0
2
・
1
・
23
参考文献
1)小瀬他:光工学ハンドブック,朝倉書店,
(1985)p.4 3
2
0
0
2
・
2
・
6
2
0
0
2
・
2
・
20
1
2
0
0
2
・
3
・
6
2
0
0
2
・
3
・
20
2
0
0
2
・
4
・
3
2
0
0
2
・
4
・
17
2
0
0
2
・
5
・
1
2
0
0
2
・
5
・
15
2
0
0
2
・
5
・
29
2
0
0
2
・
4
・
3
2
0
0
2
・
4
・
17
2
0
0
2
・
5
・
1
2
0
0
2
・
5
・
15
2
0
0
2
・
5
・
29
±0.0001
真円度
0.9998
0.9996
0.9994
0.9992
2
0
0
2
・
2
・
6
2
0
0
2
・
2
・
20
2
0
0
2
・
3
・
6
2
0
0
2
・
3
・
20
(b)真円度
図9 標準鋼球測定値の推移
Fig. 9
日立金属株式会社 生産システム研究所
日立金属株式会社 安来工場
(a)粒径
0.999
2
0
0
2
・
1
・
23
Motoyuki Itoh
Koji Sato
Transition of standard ball measured value
久保井健
Takeshi Kuboi
日立金属株式会社 安来工場
吉沢 亮
*
原 雅徳
*
Yoshihiro Nakamichi
Akira Yoshizawa
Masanori Hara
We have established a linear FEA technique to estimate yield strength but we
are struggling to develop a nonlinear FEA technique to estimate fracture
strength. First, we did a tensile test and a bending test, and we considered to
select a method to estimate the fracture strength of the bending test piece.
This result was applied to the FEA of knuckle steering. And we found we could
estimate fracture strength very accurately.
伊藤元通
佐藤光司
*
自動車機器カンパニーでは,自動車の足回り部品において弾性解析を用いて
降伏荷重を精度良く予測する解析技術を確立している。現在,破断荷重を予
測するための弾塑(そ)性解析技術の確立に取り組んでいる。まず,基礎的
な引張り試験と三点曲げ試験を行い,曲げ部位の破断判定方法を検討した。
その結果を自動車足回り部品のナックルステアリングに適用し,精度良く破断
荷重を予測できることを確認した。本稿ではこれらの内容について紹介する。
3.4 測定値安定性
図9に1日1回行うφ599.1µmの標準鋼球を測定する
ことによる点検の結果を示す。データは光軸調整を行
った2002年1月23日以降,6月4日までの約4ヵ月間のも
のである。
粒径の測定値変動は±0 . 1 µ m ,真円度の変動も±
0.0001以内であり,安定した測定が行えていることが
わかる。
中道義弘
q
w
緒 言
近年,コンピュータの性能向上と低価格化や,CAD/
CAM/CAEなどのアプリケーションソフトの性能向上に
より,製造産業での物造りはデジタル化による効率向上
が進んでいる。自動車の設計開発においてもデジタルモ
ックアップ
(コンピュータ上で車を組上げ仮想的に試作)
によるバーチャルな開発へ移行してきている。部品メー
カーにおいても設計開発には自動車メーカーとタイアッ
プしたCADが不可欠であり,CAEによる事前検討が必須
項目となっている。
自動車機器カンパニーでも,自動車の鋳物強度部品に
おいて,CADを中核としFEA(有限要素モデルによる解
析)
を用いて事前に強度検討を行うことで,試作回数の低
減と開発期間の短縮に効果を上げている。また, RP
(ラピッドプロトタイピング)をデザインレビューや短
納期試作に活用し,高い CS (顧客満足度)をいただい
ている。
足回り部品ではFEAによる強度検討において,弾性解
析を用いて降伏荷重を精度良く予測する解析技術を確立
している。しかし,破断荷重は実際の試作品を用いて台
上試験で評価しているのが現状である。そのため,FEA
で破断荷重を予測するための弾塑性解析技術の確立に取
り組んでいる。まず,テストピースによる基礎的な試験
を行い,その結果をナックルステアリングに適用し破断
荷重の予測精度を確認した。本稿ではこれらの内容につ
いて紹介する。
引張り試験および三点曲げ試験
2.1 引張り試験
弾塑性解析を行うには材料の応力-ひずみ線図が必要
であるため引張り試験を行った。試験片は JIS 4号引張
り試験片とした。材料は足回り部品に良く用いられる
FCD(球状黒鉛鋳鉄)相当材であるHNM材(HNM380,
HNM450,HNM500,HNM600)を用いて試験を行った。
HNM材の機械的性質を表1に示す。また,切削加工の試
験片だけでなく鋳肌品の伸びを調べるため,標点間を鋳
肌品とした試験片も準備した。試験本数はそれぞれ6本
とした。
なお,HNM各材料には硬度の範囲があり,FEAで強度
検討する場合,安全を考慮するため硬度下限の材料特性
を用いて強度設計する必要がある。そのため,試験片は
硬度下限材となるように鋳造した。硬度が高くなってし
まった材料は硬度下限相当になるように,試験結果を補
正した。
表1 HNM材の機械的性質
Table 1
Mechanical properties of HNM material
硬度(HB)
0.2%耐力
(MPa)
引張り強さ
(MPa)
伸び(%)
HNM380
170以下
HNM450
143∼207
230以上
380以上
18以上
290以上
450以上
HNM500
12以上
170∼235
340以上
500以上
HNM600
8以上
201∼262
262以上
600以上
4以上
引張り試験で得られた応力-ひずみ線図を図1に示す。
*
86
日立金属技報 Vol.19
(2003)
日立金属株式会社 素材研究所
*
Casting Technology Research Laboratory, Hitachi Metals, Ltd.
日立金属技報 Vol.19
(2003)
87
足回り部品の弾塑性解析
中立面の応力は0であるため,表面応力が引張り試験で
の 0.2% 耐力を超えても曲げ試験片全体では降伏しない
ためである。また,完全塑性理論でも長方形断面の曲げ
の降伏応力は,引張り試験での降伏応力の1.5倍となる1)。
このことから,実際の足回り部品での弾性解析による降
伏荷重の予測において,曲げ部位の降伏応力は引張り試
験での0.2%耐力の約1.5倍の応力で判断できると考えら
れる。
図6 解析結果の一例(ひずみ分布)
Fig. 6
80
HNM600
An example of FEA result (strain contour)
図9 解析結果(ミゼス応力分布)
HNM600
Fig. 9
80
60
応力
HNM450
HNM380
HNM500
HNM600
40
0
HNM450
40
変位(mm)
図4 三点曲げ試験結果(鋳肌品)
Fig. 1
Fig. 4
Stress-Strain curves by tensile test
次に,曲げ部位の破断についてはどのような判断基準
が適用できるか検討した。試験片中央にひずみゲージを
貼(は)りひずみを測定したが,破断時のひずみは大変
大きいためひずみを実測することができなかった。その
ため弾塑性解析で三点曲げ試験を再現し,
破断時の応力,
ひずみを調査した。解析モデルを図5に示す。要素タイ
プは,足回り部品で用いているテトラ(三角錐)2次要
素とした。要素長は3.75mmとし自動メッシュで要素分
割した。材料設定は,引張り試験で得られた応力-ひず
み線図を用いた。
伸び(%)
引張り強さ(MPa)
図2 鋳肌付き試験片の伸びと引張り強さ
Fig. 2 Elongation and tensile strength of test piece with casting
surface
2.2 三点曲げ試験
弾塑性解析において曲げ部位の破断荷重を予測するた
めの判断基準を検討するため,三点曲げ試験を行った。
試験片寸法と試験方法を図3に示す。試験片は切削加工
品と鋳肌品それぞれ6本の試験を行った。
15
荷重
150
20
図3 三点曲げ試験方法
Fig. 3
Method of bending test
試験結果(鋳肌品)を図4に示す。この図から降伏荷
重を読み取り,降伏応力を算出した。その値と引張り試
験での 0.2% 耐力を比較すると、三点曲げ試験での降伏
応力は,引張り試験での0.2%耐力の1.45∼1.48倍となっ
ている。これは、曲げ試験では表面が最大応力となるが
88
日立金属技報 Vol.19
(2003)
図5 三点曲げ試験の解析モデル
Fig. 5
:試験結果
:解析結果
Result of bending test
0
:切削加工試験片
:鋳肌付き試験片
:本稿の鋳肌付き試験片
HNM380
20
ひずみ
図1 引張り試験による応力-ひずみ線図
HNM500
60
HNM380
20
:試験結果
:設定値
:鋳肌品の伸び
Analysis result (Mises stress contour)
HNM450
荷重(kN)
荷重(kN)
HNM500
Analysis model of bending test
解析結果の一例としてひずみの分布を図6に示す。中
央部が最大ひずみとなっている。また,試験と解析の荷
重-変位線図を比較すると図7に示すように解析結果は
整合性が取れていることがわかる。
破断荷重を予測する判断基準に応力値を適用すると,
塑性域では応力値の増減が小さいためわずかな解析誤差
が生じただけでも判断を誤る恐れがある。そのため,ひ
ずみを用いて破断荷重の判定を検討した。三点曲げの弾
塑性解析で破断荷重を負荷したときの最大ひずみを調
べ,HNM各材料において最大ひずみを整理しデータベ
ース化した。
この結果をナックルステアリングに適用し,
破断荷重の予測精度を確認した。
変位(mm)
図7 三点曲げ試験結果(鋳肌品)
Fig. 7
3
Result of bending test
足回り部品の弾塑性解析
3.1 弾性解析
ナックルステアリングにおいて,弾性解析による降伏
荷重の予測精度を確認した結果を紹介する。解析モデル
は図8に示すように,ステアリングアームに荷重を入力
し(車両の内側から外側方向に負荷)
,ベアリング挿入
部を拘束した。解析結果を図9に示す。最大応力部位と
台上試験での破断部位(図10)は良く一致しており,
この最大応力部位が最初に降伏する部位であると考えら
れる。試作品はHNM450であり,実測硬度から0.2%耐力
を求めた。この値を1.45倍した応力値を曲げ部位の降伏
応力と推測した。この応力値を用いてFEAで降伏荷重を
予測すると 12.6kN となる。台上試験での降伏荷重を次
に示す。
破断部位
図1
0 破断部位
Fig. 10
Fracture point
台上試験での荷重-変位線図を図11に示す。この図か
ら降伏荷重は 13.0kN と読み取れ,解析では 12.6kN の予
測であり解析誤差は3 %となる。この結果から三点曲げ
の降伏応力を用いることで,降伏荷重を精度良く予測で
きることが確認できた。現在,この解析技術を強度設計
に活用しており,開発期間の短縮に効果を上げている。
30
25
20
荷重(kN)
図中の実線が切削加工品の試験結果であり,鋳肌品の破
断は△印で示している。鋳肌品は伸びが低いが,破断ま
での応力−ひずみ線図は加工品と同等である。また,鋳
肌品の伸びはばらつきが大きいが,過去のデータと比較
すると(図2)
,本稿試験の伸びはばらつきの下限に近
い値となっている。
この試験結果から FEA で設定する応力-ひずみ線図を
●印で示すように多直線で近似し,この設定値をナック
ルステアリングの弾塑性解析に適用した。
足回り部品の弾塑性解析
15
降伏荷重:13.0kN
10
5
0
荷重点変位(mm)
図1
1 台上試験での荷重-変位線図
Fig. 11
図8 ナックルステアリングの解析モデル
Fig. 8
Analysis model of knuckle steering
Load-Displacement of bench test
3.2 弾塑性解析
同じナックルステアリングにおいて,弾塑性解析によ
る破断荷重の予測精度を確認した結果を紹介する。図9
で示した解析モデルにおいて,材料設定は引張り試験で
得られた応力-ひずみ線図を用いた。荷重の設定は,変
形量が大きくなるに従い荷重が減少する場合があるため
強制変位で入力した。解析結果のひずみ分布を図12に
示す。最大ひずみ部位と図10に示した台上試験での破
断部位は良く一致している。
日立金属技報 Vol.19
(2003)
89
足回り部品の弾塑性解析
中立面の応力は0であるため,表面応力が引張り試験で
の 0.2% 耐力を超えても曲げ試験片全体では降伏しない
ためである。また,完全塑性理論でも長方形断面の曲げ
の降伏応力は,引張り試験での降伏応力の1.5倍となる1)。
このことから,実際の足回り部品での弾性解析による降
伏荷重の予測において,曲げ部位の降伏応力は引張り試
験での0.2%耐力の約1.5倍の応力で判断できると考えら
れる。
図6 解析結果の一例(ひずみ分布)
Fig. 6
80
HNM600
An example of FEA result (strain contour)
図9 解析結果(ミゼス応力分布)
HNM600
Fig. 9
80
60
応力
HNM450
HNM380
HNM500
HNM600
40
0
HNM450
40
変位(mm)
図4 三点曲げ試験結果(鋳肌品)
Fig. 1
Fig. 4
Stress-Strain curves by tensile test
次に,曲げ部位の破断についてはどのような判断基準
が適用できるか検討した。試験片中央にひずみゲージを
貼(は)りひずみを測定したが,破断時のひずみは大変
大きいためひずみを実測することができなかった。その
ため弾塑性解析で三点曲げ試験を再現し,
破断時の応力,
ひずみを調査した。解析モデルを図5に示す。要素タイ
プは,足回り部品で用いているテトラ(三角錐)2次要
素とした。要素長は3.75mmとし自動メッシュで要素分
割した。材料設定は,引張り試験で得られた応力-ひず
み線図を用いた。
伸び(%)
引張り強さ(MPa)
図2 鋳肌付き試験片の伸びと引張り強さ
Fig. 2 Elongation and tensile strength of test piece with casting
surface
2.2 三点曲げ試験
弾塑性解析において曲げ部位の破断荷重を予測するた
めの判断基準を検討するため,三点曲げ試験を行った。
試験片寸法と試験方法を図3に示す。試験片は切削加工
品と鋳肌品それぞれ6本の試験を行った。
15
荷重
150
20
図3 三点曲げ試験方法
Fig. 3
Method of bending test
試験結果(鋳肌品)を図4に示す。この図から降伏荷
重を読み取り,降伏応力を算出した。その値と引張り試
験での 0.2% 耐力を比較すると、三点曲げ試験での降伏
応力は,引張り試験での0.2%耐力の1.45∼1.48倍となっ
ている。これは、曲げ試験では表面が最大応力となるが
88
日立金属技報 Vol.19
(2003)
図5 三点曲げ試験の解析モデル
Fig. 5
:試験結果
:解析結果
Result of bending test
0
:切削加工試験片
:鋳肌付き試験片
:本稿の鋳肌付き試験片
HNM380
20
ひずみ
図1 引張り試験による応力-ひずみ線図
HNM500
60
HNM380
20
:試験結果
:設定値
:鋳肌品の伸び
Analysis result (Mises stress contour)
HNM450
荷重(kN)
荷重(kN)
HNM500
Analysis model of bending test
解析結果の一例としてひずみの分布を図6に示す。中
央部が最大ひずみとなっている。また,試験と解析の荷
重-変位線図を比較すると図7に示すように解析結果は
整合性が取れていることがわかる。
破断荷重を予測する判断基準に応力値を適用すると,
塑性域では応力値の増減が小さいためわずかな解析誤差
が生じただけでも判断を誤る恐れがある。そのため,ひ
ずみを用いて破断荷重の判定を検討した。三点曲げの弾
塑性解析で破断荷重を負荷したときの最大ひずみを調
べ,HNM各材料において最大ひずみを整理しデータベ
ース化した。
この結果をナックルステアリングに適用し,
破断荷重の予測精度を確認した。
変位(mm)
図7 三点曲げ試験結果(鋳肌品)
Fig. 7
3
Result of bending test
足回り部品の弾塑性解析
3.1 弾性解析
ナックルステアリングにおいて,弾性解析による降伏
荷重の予測精度を確認した結果を紹介する。解析モデル
は図8に示すように,ステアリングアームに荷重を入力
し(車両の内側から外側方向に負荷)
,ベアリング挿入
部を拘束した。解析結果を図9に示す。最大応力部位と
台上試験での破断部位(図10)は良く一致しており,
この最大応力部位が最初に降伏する部位であると考えら
れる。試作品はHNM450であり,実測硬度から0.2%耐力
を求めた。この値を1.45倍した応力値を曲げ部位の降伏
応力と推測した。この応力値を用いてFEAで降伏荷重を
予測すると 12.6kN となる。台上試験での降伏荷重を次
に示す。
破断部位
図1
0 破断部位
Fig. 10
Fracture point
台上試験での荷重-変位線図を図11に示す。この図か
ら降伏荷重は 13.0kN と読み取れ,解析では 12.6kN の予
測であり解析誤差は3 %となる。この結果から三点曲げ
の降伏応力を用いることで,降伏荷重を精度良く予測で
きることが確認できた。現在,この解析技術を強度設計
に活用しており,開発期間の短縮に効果を上げている。
30
25
20
荷重(kN)
図中の実線が切削加工品の試験結果であり,鋳肌品の破
断は△印で示している。鋳肌品は伸びが低いが,破断ま
での応力−ひずみ線図は加工品と同等である。また,鋳
肌品の伸びはばらつきが大きいが,過去のデータと比較
すると(図2)
,本稿試験の伸びはばらつきの下限に近
い値となっている。
この試験結果から FEA で設定する応力-ひずみ線図を
●印で示すように多直線で近似し,この設定値をナック
ルステアリングの弾塑性解析に適用した。
足回り部品の弾塑性解析
15
降伏荷重:13.0kN
10
5
0
荷重点変位(mm)
図1
1 台上試験での荷重-変位線図
Fig. 11
図8 ナックルステアリングの解析モデル
Fig. 8
Analysis model of knuckle steering
Load-Displacement of bench test
3.2 弾塑性解析
同じナックルステアリングにおいて,弾塑性解析によ
る破断荷重の予測精度を確認した結果を紹介する。図9
で示した解析モデルにおいて,材料設定は引張り試験で
得られた応力-ひずみ線図を用いた。荷重の設定は,変
形量が大きくなるに従い荷重が減少する場合があるため
強制変位で入力した。解析結果のひずみ分布を図12に
示す。最大ひずみ部位と図10に示した台上試験での破
断部位は良く一致している。
日立金属技報 Vol.19
(2003)
89
足回り部品の弾塑性解析
4
http://www.hitachi-metals.co.jp
結 言
営 業 品 目
基礎的な引張り試験と三点曲げ試験を行い,FEA弾塑
性解析で曲げ部位の破断ひずみを調査した。その結果を
ナックルステアリングに適用し,弾塑性解析を用いて破
断荷重を精度良く予測できることを確認した。このこと
から,事前に破断荷重を予測した強度設計が可能になっ
たと考えている。
参考文献
1)中原:“材料力学(上巻)
”
、養賢堂(1987)
.
図12 弾塑性解析結果(ひずみ分布)
Fig. 12
特殊鋼カンパニー
®
高級特殊鋼(
ヤスキハガネ )
ヤスキハガネ
金型・切削工具用材料
自動車エンジン・部品材料
航空・宇宙機器用材料
複写機・OA機器関連部品
ディスプレイ関連材料(シャドウマス
ク材,液晶用ターゲット材,蒸着用マ
スク材)
半導体等パッケージ材料(リードフレ
ーム材,はんだボール)
ロールカンパニー
鉄鋼圧延用ロール・非鉄金属圧延用ロー
ル・非金属用ロール
射出成形機用部品(シリンダ,スクリュ)
構造用セラミックス部品
®
®
鉄骨構造部品(HIBASE ,ハイブレード )
建設機械・造船その他一般産業機械用鋳
鋼品,鍛鋼品
磁材カンパニー
フェライト・希土類・鋳造・ボンドマグ
ネット
(自動車用電装品・家電製品・AV機器・通
信機器・情報機器用)
マグネット応用品
(電子複写機用マグネットロール他部品,
リニアモータ,義歯用磁性アタッチメン
ト他)
Result of nonlinear static analysis
また,台上試験と解析での荷重-変位線図を比較する
と,図13に示すように両者の整合性は良いことがわか
る。この試作品の材質はHNM450であり,実測硬度から
三点曲げ試験の破断ひずみ(鋳肌)を硬度補正した値を
ナックルステアリングの曲げ部位の破断ひずみとして,
破断荷重および最大変位を予測した。台上試験と比較し
た結果を表2に示す。
破断荷重と最大変位の解析誤差は,
それぞれ 4.2% , 4.9% であり,大変高い精度で予測でき
ることが確認できた。
中道義弘
Yoshihiro Nakamichi
日立金属株式会社 素材研究所
吉沢 亮
30
Akira Yoshizawa
情報部品カンパニー
アイソレータ,積層部品(マイクロ波通
信・移動体通信機器用)
ソフトフェライト(AV機器,OA機器,情
報通信機器)及び応用電子部品(トラン
ス,コイル他)
EMC 部品(ビル用電波吸収体, ETC 用電
波吸収シート他)
自動車機器カンパニー
®
高級ダクタイル鋳鉄製品[HNM ]
(エンジン系・シャシー系・駆動系部品)
®
耐熱鋳造製品[ハーキュナイト ](エン
ジン排気系部品)
®
アルミホイール[SCUBA ]その他アルミ
ニウム製品
(エンジン系・シャシー系・駆動系部品)
配管機器カンパニー
プラスチック配管機器(ガス・水用ポリ
エチレンパイプ,エレクトロフュージョ
ン継手,ポリブテンパイプシステム)
®
ステンレス配管機器(ガス・水用 印ソ
®
®
フレックス , Zlok , P-lok ,オメガシリ
ーズ)
®
鉄管継手(ガス・水・蒸気用 印管継手)
®
®
管端防食継手(
印PQW-K )
排水鋼管用可とう継手(CD・MDジョイン
ト)
®
冷却水配給装置(チルドタワー )
®
精密流体制御機器(
マスフローコ
ントローラ,メタルダイヤフラムバルブ他)
密閉式膨張用タンク(空調用,給湯用)
環境システムカンパニー
環境設備(水処理・汚泥処理・焼却・廃
棄物処理・有機性廃棄物処理)
産業設備(アトラスサイロ,飼料プラン
ト,搬送システム)
土壌環境浄化
OE事業推進部
IT機器用材料・部品(光通信用スイッ
チ・周辺部品,GMRセンサ,3軸加速度セ
ンサなど)
AV 用部品・材料(磁気ヘッド部品,カラ
ーCRT用複合型真空蒸着材など)
ファインメット事業推進部
®
ナノ結晶軟磁性合金[ファインメット ]
薄帯・粉末
応用製品
EMC 部品(コモンモードチョーク ®,
EMIフィルタ,サージ抑制用コア,磁
気シールドシート,電磁波吸収シー
®
)
ト[アブソシールド ]
パワーエレクトロニクス部品(パワ
ートランス,パワーチョーク,可飽
和リアクトル)
パルスパワー部品(磁気スイッチ,
パルストランス,加速空洞用コア)
各種センサ・アンテナ
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日立金属株式会社 素材研究所
25
荷重(kN)
20
本 社(シーバンスN館) 〒105−8614 東京都港区芝浦一丁目 2 番 1 号
原 雅徳
15
Masanori Hara
日立金属株式会社 素材研究所
10
:台上試験
:解析結果
5
0
荷重点変位(mm)
図1
3 台上試験と解析での荷重-変位線図
Fig. 13
Load-Displacement of bench test and FEA
表2 解析精度の確認
Table 2
Accuracy of nonlinear static analysis
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5765−4000(ダイヤルイン案内)
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Fax(03)
5765−8311
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特殊鋼カンパニー 磁材カンパニー 情報部品カンパニー
環境システムカンパニー OE事業推進部 ファインメット事業推進部
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東
陸
松
岡
海 支 店
営 業 所
営 業 所
営 業 所
関
西
岡 山
支
店
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432−8600
Fax(092)
451−8620
FEAでの予測値
台上試験結果
誤差
破断荷重
25.1kN
26.2kN
4.2%
中
国
福 山
最大変位
15.0mm
14.3mm
4.9%
九
州
支
店
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浜松市鍛冶町319番地の28
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上記連絡先は2003年1月現在のものです。
変更になる場合もありますので、電話やファクシミリがつながらない場合はお手数ですが、
下記までご連絡をお願いいたします。
本社 広報室 0
(03)5765-4081 FAX
(03)5765-8312 E-mail:[email protected]
日立金属技報 Vol.19
発 行
日 2003年1月
(5765)4185
発 行
元 日立金属株式会社 〒105−8614 東京都港区芝浦一丁目 2 番 1 号(シーバンスN館) 電話 03
編集・発行人 篠原 肇
(5281)5001
印 刷 所 日立インターメディックス
(株)〒101−0054 東京都千代田区神田錦町二丁目 1 番地 5 号 電話 03
(ダイヤルイン案内)
90
日立金属技報 Vol.19
(2003)