IFSJアート日本伝統アート研究クラスタ 茶道の知とイノベーション 村田珠光 古市澄胤 村野紹鴎 平成27年3月26日(木)18時30分 於 小石川後楽園涵徳亭別間 発表者 小野瀬由一 千利休 小堀遠州 目次 1.茶道の歴史と知 2.『岡倉天心・茶の本』の要点 3.茶道のイノベーション 【参考文献】 ・立木智子著『岡倉天心・茶の本鑑賞』(1998年) ・千宗室著『茶の心』(2001年10月、淡交社) ・田中仙翁著『茶道ハンドブック』(2007年4月、三省堂) ・木村宗慎著『利休入門』(2010年1月、新潮社) ・千玄室著『茶のこころを世界へ』(2014年12月、PHP研究所) 1.茶道の歴史と知① 年代 ・英国文学の父アダム・ ビート(673~735) ・中国・唐代の陸羽『茶峡』 を完成(760年頃) ・日本『古事記』(712)『日本 書記』(720)『万葉集』 (758?)、東大寺大仏開眼 (752) ・サラセン帝国モスク建 設 ・中国・唐山水画の祖浩然 ・『竹取物語』(950?) ・田楽→平安時代確立 ・雅楽→芝、東儀、豊の三 家制定 ・宮廷騎士叙情詩『ルー オトリーブ』(1030?) ・中国・宋抹茶の時代 ・レオナン『オルガヌム大 全』→記譜法 1200 ・ドイツボロニア大学創 設(1088) ・スコラ哲学起こる ・ケンブリッジ大学創立 (1209) 1300 ・マルコポーロ『東方見 聞録』(1299) 1400 ・イタリア人ダンテ『神 曲』(1304) ・猿楽→能楽確立 ・能楽→室町武家の式学 ・華道→室町僧侶が確立 ・金閣寺建立(北山) 場:公家奉納 □団茶法:茶葉→蒸す→乾かし固め→米 粒→則(ちゃさじ)で湯に入れる→浮き上が る茶葉と一緒に盌(ちゃわん)で味わう ・『日本後紀』に嵯峨天皇梵釈寺大 僧都永忠から団茶を奉納(815) ・「遣唐使」廃止(894) □慶滋保胤(よししげやすたね)『池亭記』 →草庵の萌芽(982年) 型:抹茶 場:禅宗寺院 ・栄西、源実朝に抹茶と『喫茶養 生記』を献じる(1214)→禅宗寺院 の「茶礼」として定着 型:闘茶 室町・ 北山文化 ・アラビア文化隆盛 (1320) □陸羽『茶経』⇒茶の製法・飲用・薬用+ 仙境に学ぶ⇒「草庵の精神」 型:団茶 ・鳥羽僧正覚『鳥獣戯画』 (1140) ・検校→鎌倉時代の視覚障 害者保護(琵琶法師等) ・中国山水画家梁楷・場麟 ・『新古今和歌集』(1205) ・鴨長明『方丈記』(1212) ・金沢文庫創立(1270?) ・吉田兼好『徒然草』 中国宋・抹茶の時代 ・史官書『師光年中行事』に聖武天 皇元年(729)衆僧へ「引茶」賜る 鎌倉文化 ・マグナカルタ大憲章制 定(1215) ・紫式部『源氏物語』 (975?) ・源氏物語絵巻(1100) 中国唐・餅茶(団茶)の時代 茶道の知 平安文化 ・ビザンチン文化(建築・ 騎士道文学)復興(850) ・ウネマ譜考案→『グレ 後リア聖歌』 中世・ ビザンチン文化 900 1000 1100 東洋Eastern 奈良文化 800 西洋Western 中国から日本への茶の伝来 白鳳文化 700 芸術Artの歴史 場:武家(会所) ・佐々木道誉、勝持寺の「花見の 会」で派手な演出 All Copyright©2008Y.ONOSE □抹茶法:茶碗+抹茶+湯⇒薄茶 □唐物:民間の中国貿易の黙認により唐 物輸入盛ん □闘茶:茶産地(本茶:栂尾⇔非茶:醍醐・ 宇治・葉室・般若寺・神尾寺)当てる競技 □会所(六間)の茶:唐絵+花瓶+香炉+ 文房具→席入り+懐石(食事+酒)→散歩 →会所(茶)→後段(酒)⇒書院造りによる 3 美の創造(同朋衆) 1.茶道の歴史と知② 年代 1400 芸術Artの歴史 茶道の知 僧侶茶→町人茶 大名茶 門前茶 ・ルネッサンス三大巨匠→ビ ンチ{モナリザ}・ミケランジェ ロ「ダビデ増」・ラファエロ「聖 母子像」 ・後期ルネッサンス→ミケラ ンジェロ「最後の晩餐」&建 築 ・世阿弥『花伝書』(能学の完 成1418) ・華道→京都六角堂の僧侶 により確立「池坊(いけの 坊)」 ・香道→香木の分類法確立 「六国五味」 ・雪舟『山水長巻』 ・銀閣寺建立(東山) ・書院造建築 ・村田珠光「数寄 (唐物名物 の茶)」←一休宗純に参禅← 京都 場:茶室 ・会所の出現→足 利将軍の会所→ 同朋衆(座敷飾り +唐絵・唐者の管 理・鑑定・連歌)能 阿弥→芸阿弥→ 相阿弥一族登場 (唐者荘厳の茶) ・社寺門前の茶 売り→一服一銭 (路傍の茶)の茶 売り ・茶道→千利休確立 ・出雲の阿国、かぶき踊り演 じる(1603) ・市川団十郎、江戸に歌舞伎 (荒事)を開く(1673) 安土桃山文化 ・英国劇作家→シェークスピ ア『ハムレット』『マクベス』『オ セロ』『リア王』 ・スペイン絵画→ベラスケス ・オランダ海が→ルーベンス、 レンブラント 室町・ 東山文化 東洋Eastern ルネサンス文化 西洋Western 1500 1600 日本の茶道の歴史 ・坂田藤十郎、大阪に歌舞伎 (和事)を開く (1678) バロック文化 1700 ・狩野派狩野探幽『探幽縮 図』 ・琳派尾形光琳『紅白梅図屏 風』 ・浮世絵菱川師宣『見返り美 人図』 江戸文化 ・仏画家ダビッド『アンティオ コスとストラトニケ』ローマ賞 ・ウィーン古典派→ハイドン、 モーツアルト、ベートーベン ・浄瑠璃→歌舞伎の語り→ 江戸時代芸道管轄役所「嵯 峨御所」により家元認定 ・人形芝居生まれる 新古典主義 ・フランスロココ時代絵画→ ヴァトー「メズダン」 ・後期バロック音楽→ドイツ・ テレマン、英国バッハ、ヘンデ ル ・古市澄胤(ふるいちちょうい ん)による淋間茶湯(風呂+ 茶の湯) ・武野紹鷗による和歌の思想 による和風化←堺 形:わび茶 ・千利休(わび茶の深化→一 畳半茶室)←紹鴎の弟子→ 秀吉が重用→秀吉関白→朝 廷より居士号「利休」勅賜 ・千道安・少庵(子)追放→宗 旦(孫)→三男江岑宗左(表 千家)・四男仙叟宗室(裏千 家)・次男一翁宗守(武者小 路千家) ・草間直方(豪商の茶) ・大阪:淀屋个庵、鴻池道億 ・江戸:川村伝左衛門、冬木 喜平次⇒一般町人にも流行 場:社寺門前 場:大名 貴族茶 ・織田信長→豊臣 秀吉(政道の茶) ←今井宗久、津田 宗及、宗易 ・古田織部(織部 茶碗)→秀忠指南 ・小堀遠州(きれい さび)←織部弟子 ・片桐石州、四代 将軍徳川家綱へ 献茶(わび茶への 傾斜) ・七事式の創案⇒家元制度 ・諸藩の茶 →精神性や心のあり方を忘 ・流派の分派 れがち All Copyright©2008Y.ONOSE 場:禁中 ・後水尾天皇(禁 中の茶=茶の湯 +遊宴) ・常習院宮によ る茶の湯の伝授 ・ 後西天皇 ・真敬法親王 ・近衛家熈(この えいえひろ) □『南方録』⇒珠光の茶屋(四畳半+1軒 床+台子→客前での点茶 □利休の高弟『山上宗二記』⇒「侘数寄」 は一物を持たず「胸の覚悟一、作分一、 手柄一」の条件を備えた人 □紹鴎の箇条⇒一、数寄者は捨れたる 道具を見立て茶器に用候事、一、数寄者 というは隠遁の心第一に侘びて、仏法の 意味+和歌の情を感じ候 □利休の茶:紹鴎の茶継承+工夫(茶席 を北向きから南向きへ) □利休の茶道精神⇒「和敬清寂」→「和」 (互いに認め合い。譲り合う)→「敬」(主客 共に尊厳な人格であることを相互に認め 合い互いに礼拝すること)→「清」(心を清 め、その清められた心から自在に動き出 すこと)→「寂」(変化によって動揺すること のない心の寂然不動の心境) □「型」+「血」(型をマスターし命がけで 取り組む)=「形」 □点前作法=形が身につくことで心も育 つ→三要素=位置+順序+動(序破急) →三体(真行草) □七事式→「花月」「且座(さざ)」「茶かふ き」「廻り炭」「廻り花」「一二三」「数茶」 □宗匠:久田宗全、覚々斎原叟、久田宗 4 也など 1、茶道の歴史と知③ 年代 芸術Artの歴史 西洋Western ・仏画家フリードリヒ『氷の 海』 写実主義 ・仏画家クールベ『オルナ ンの埋葬』 ・仏画家ミレー『晩鐘』 ・オペレッタ→オッフェン バック『天国と地獄』、シュト ラウス『こうもり』 ・写生画⇒円山応挙『雪 松図屏風』 ・浮世絵⇒喜多川歌麿 『婦人図』、葛飾北斎『富 嶽三十六景』、歌川広重 『東海道五十三次』 ・能楽成立→能・式三番。 狂言 ・民謡→ヨナ抜き音階 ・新舞踊→大正時代坪内逍遥 らが公演 ・仏画家モネ『印象・日の 出』『睡蓮』 ・日本画⇒横山大観『屈原』 『生々流転』、下村観山『木の 間の秋』、菱田春草『落葉』 ・浮世絵⇒月岡芳年『和漢百 物語』、河鍋暁斎『東京開化名 勝』 ・新民謡→北原白秋『松島温 度』『ちゃっきり節』 ・新派劇→歌舞伎対抗した演 劇、『金色夜叉』(尾崎紅葉)、 『婦系図』(泉鏡花) 大名茶 茶道の知 貴族茶 ・松平不味『古今名 物類聚』+『贅事』 『茶礎』著し、茶の 湯のめざす心示す 国宝 待庵 黒楽「釈迦」 井戸「少庵」 「九十九茄子」 ・井伊直弼『茶湯一 会集』(大名茶の到 達点)→客と亭主の 心の触れ合い一期 一会 明治維新 ・裏千家第11代宗室→京都 府知事に「茶道の源意」表す →京都博覧会で「立礼式」考 案(明治5・1872) 明治文化 ・洋画⇒黒田清輝『湖畔』、青 木繁『海の幸』『 アールヌーボ ・仏画家ルノワール『ムー ラン・ド・ラ・ギャレット』 ・三大ポスト印象派→仏画 家セザンヌ『サント・ヴィクト ワール山』・仏画家ゴーギャ ン『タヒチの女』・仏画家 ゴッホ『ひまわり』 ・後期ロマン派→マーラー、 R・シュトラウス 印象派 1900 ・文人画⇒与謝蕪村『鳶 烏図』→俳画 ・文人画⇒渡辺崋山『鷹 見泉石像』 ・仏画家マネ『草上の昼 食』 ・仏画家ドガ『バレエのレッ スン』 わび茶→町人茶 江戸文化 ・独画家ドラクロワ『民衆を 導く自由の女神』 ・ロマン主義音楽→バッハ、 モーツアルト、ベートーベ ン 東洋Eastern ロマン主義 AD 1800 日本の茶道の歴史 ・明治政府、日本伝統文化の排斥 数寄者の茶 □茶書:『茶之湯三伝集』(1691)、『茶 道全書』(1700) ・「茶の湯7則」 1.花は花のように 2.炭は湯の沸くように 3.夏は涼しく 4.冬は暖かく 5.刻限は早めに 6.降らずとも雨の用意 7.相客に心をつけよ ・茶の理念→「一期一会」(瞬間瞬間を 大切にする) ・守破離(修練の階段)→「守」(法を順 守し身に付ける段階)→「破」(法を破る 段階)→「離」(法を離れて自由闊達の 境地) ・古美術品収集 ・収集品による大寄せ茶会 ○益田鈍翁(三井物産)→茶会大師会 〇根津青山→根津美術館 ・大日本茶道会発足(明治 ○五島慶太→五島美術館 31・1898) All Copyright©2008Y.ONOSE ・茶道を社交界への仲間入り道具から 茶道研究により先人を教えを学ぶ→京 都で鳥居得庵会長による茶道研究会→ 大日本茶道会 ・大日本茶道会『茶道講義』発刊 5 1、茶道の歴史と知④ 年代 芸術Artの歴史 西洋Western 東洋Eastern 野獣派 AD 1900 ・仏画家マティス『ブー ローニュの森』 ・印象主義音楽→ラベ ル、ドビュシー 抽象絵画 ・仏画家ローランサン 『招待』 ・文芸⇒芥川龍之介、有 島武郎・武者小路実篤・ 志賀直哉ら活躍 ・トーキー映画登場 ・臣民謡→当地ソング「東 京温度」など 家元・宗匠の茶 ・茶湯の大衆化 昭和文化 ・新歌舞伎→坪内逍遥 『桐一葉』、岡本綺堂の 『修善寺物語』『鳥辺山心 中』、岡鬼太郎『今様薩 摩歌』、真山青果『元禄 忠臣蔵』 アールデコ バウハウス 作曲『ショーボート』 (1936) ・岡倉天心『The Book of TEA』 □「利休百首」抄 ニューヨークにて出版(1906年)し、 ・「茶の湯とは只湯をわかし茶をたてて呑むば 茶の湯を世界に広めた かりなるもとを知るべし」 ・「目にも見よ耳にもふれよ香を嗅ぎて事を問 ひつつ能く合点せよ」 ・「稽古とは一より習い十をしり十よりかへるも とのその一」 ・「茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はい つも直合にせよ」 ・「点前には重きを軽く軽きをば重くあつかふ ・裏千家第13代宗室学校茶道へ の進出(女性の茶湯) アールヌーボ ・ベルギー画家マグリッ ト『光の帝国』 ・米国ジャズ→ガーシュ イン『ラプソディ・イン・ ブルー』、バーンスタイ ン『ウエスト・サイド・ス トーリー』 ・近代ミュージカル→ ジェローム・カーン シュルレアリズム ・スペイン画家ダリ『時 間のプロフィール』 ・日本画⇒村上華岳『日 高河清姫図』 利休350年祭(1936年) ・洋画⇒林武『梳る女』、 小磯良平『斉唱』 ・日本画⇒奥村土牛:『踊 り子』、東山魁夷:『濤声』 『山雲』 茶道の知 数奇者の茶 エコール・ ド・ パリ ・仏画家ユトリロ『ラパ ン・アジル』 ・洋画⇒岸田劉生『麗子 像』、梅原龍三郎『狩野 川』、安井曾太郎『金蓉』 わび茶 大正文化 キュビズム ・ピカソ、ブラックとキュ ビズム創始 ・露画家カンディンス キー『モスクワ』 日本の茶道の歴史 ・戦後、茶道は一時廃絶の危機 (1945) ・裏千家若宗匠千宗興米国ハワイ 州へ茶道紹介(1951) All Copyright©2008Y.ONOSE あぢはひをしれ」 □露地鑑賞⇒中門+腰掛待合+役石+蹲踞 +塵穴+手水鉢+石灯篭+垣+植栽⇒①樹 木の佇まい、②石の据え方、③役石の景色+ 露地は飛び石や縁段の上を歩き、決して苔や 土を踏まない □茶室鑑賞⇒①待合(寄付き、内待合、腰掛 待合、露地草履、露地下駄、円座、煙草盆、 手焙、柄杓、塵箸など)、②床の間(掛物、花 入れ、香炉・香合、掛物)、③茶道具(茶壺、 茶入、茶器、釜、風炉、炉縁、棚物、水指、建 水・蓋置、茶碗、茶杓、炭道具)、④懐石道 具・菓子器 6 2、『岡倉天心・茶の本鑑賞』の要点 各章要点 概要 第1章人間性の一椀 (The Cup of Humanity) ⇒茶椀に秘めたヒューマニズム 構成:第1、東洋(精神性)⇔西洋(物質文明)、第2、近代化・産業主義への抵抗 「茶道」は日常生活の些細な事柄に美を見出し、賛美し、それを礼賛すること→衛生学(清潔)・経済学(簡素)・精神的 幾何学(宇宙における人間の存在)→茶は東洋の民主主義の真髄(茶の愛好者を趣味の上で高貴な者にする)→毎日 の生活の些細な事柄の美を見出すことが日常のわずらわしさを逃れさす 第2章茶の流儀 (The Schools of Tea) ⇒茶に生きる“宗教” 「茶道」は俗世界を超越する手段→天心の“アート・オブ・ライフ(生きる技)”→宗教(俗世界を超越する哲学)→茶道に より生きる哲学を学べる 第3章道教と禅 (Taoism and Zennism) ⇒茶の本における道教 構成:中国茶→第1:唐の時代=団茶(古典派) 第2:宋の時代=抹茶(ロマン派) 第3:明の時代=煎茶(自然派) 「茶道」は道教思想(自由+個人主義→独立心+個性を培うのが目的)=老荘思想+仏教=この世の生き方(宗教)= 環境適応→適応とは「生きる技」=「芸術」→芸術の発展、東洋の宗教(俗世界を超越する信条=哲学→茶は俗世界を 超越する生き方)⇔西洋の宗教(崇拝の様式+神に対する考え)、禅宗(南宋)←道教教義⇒茶の作法の確立→「自己 実現(己を知る)」の手段→茶の湯=「生きる技」の宗教=哲学 第4章茶室 (The Tea-Room) ⇒日本の茶室と西洋のインテリア 構成:第1.茶室の装飾=空の装飾(変化する装飾)⇔西洋のインテリア=寄せの美しさ(固定化された装飾)、第2.茶 室の特徴=非対称性(非重複)西洋のインテリア=対称性・重複 露地(瞑想の第1段階)→茶室(物理的仮の宿・無常→「空」または「虚」の概念)→床の間(場の雰囲気との融合のため の絵画+生花)→時代と環境と共に変化・適応→茶室を支える精神(簡素な佇まいを美しくする精神+不完全を心の中 で完全なものにする精神)は永遠 第5章芸術の鑑賞 (Art Appreciation) ⇒芸術作品との語らい 芸術鑑賞=作品と見る人の精神的コミュニケーション→謙虚に互いを敬う態度 「人が欲しがるものは、高価なものであって、洗練された作品ではなく、はやりのものであって、美しいものではないの です。」 第6章花(Flowers) ⇒“花の心”と“茶の心” 「生け花」は第1.草花や木の自然の姿をそのまま表現しようとすること 第2.野山や沼などあらゆる自然界が美しいと 感じ、それを生け花の花材として使うこと⇔西洋のフラワーアレンジメント(花だけが美しい、富の見せびらかし) 第7章真の茶人とは(Tea Masters)⇒ 宇宙との調和を求める茶人 「茶人」は第1.茶法を通して日常生活にも精進→茶人自身が芸術 第2.茶人は建設、室内装飾、庭園、陶器、織物等 芸術で貢献→実生活における料理、ファッション、自然に接する態度など価値観や行動様式に影響を与える 3.茶道とイノベーション 場(エリア) 茶道の知 茶道の知とイ ノベーション に関する考察 型(モデル) ・公家奉納の場 ・平安時代、永忠嵯峨天皇へ団茶を奉納 ・禅宗寺院「茶礼」の 場 ・武家「会所」の場 ・鎌倉時代、栄西源頼朝へ抹茶を献じる→禅宗寺院の「茶礼」として定着 伝承 イノベーション ・禅宗寺院の「茶礼」と して定着 ・室町時代前期、武家の「会所の場」で「闘茶」として普及 ・僧侶による「茶室」の 場 ・室町時代後期、僧侶の「わび茶」登場 ・大名・禁中の場 ・安土桃山時代、大名の「荘厳の茶」競う、貴族による「禁中の茶」始まる ・数寄者の場 ・江戸時代、町人・豪商の「数寄者の茶」盛ん ・大衆・女性の場 ・大正時代、家元による大衆・女性向け「茶道」盛ん ・海外の場 ・昭和時代、戦後に家元による「茶道」海外展開開始(1951) 【茶道の場】 ・公家奉納の場→禅 宗寺院「茶礼」の場→ 僧侶による「茶室」の 場→大名・禁中の場 →数寄者の場→大 衆・女性の場→海外 の場への展開を通じ、 「茶道」の維持発展 【茶道の形式化】 ・江戸時代、茶書:『茶之湯三伝集』(1691)、『茶道全書』(1700)など盛ん ・江戸時代、七事式の創案=「茶道」の型の見える化 【茶道のビジネスモデル】 ・ 「茶道」は日常生活の些細な事柄に美を見出し、賛美し、それを礼賛する こと。俗世界を超越する手段。茶道により生きる哲学を学べる ⇒露地(瞑想の第1段階)→茶室(物理的仮の宿・無常→「空」または「虚」の 概念)→床の間(場の雰囲気との融合のための絵画+生花)→時代と環境と 共に変化・適応→茶室を支える精神(簡素な佇まいを美しくする精神+不完 全を心の中で完全なものにする精神)は永遠 ⇒芸術鑑賞=作品と見る人の精神的コミュニケーション→謙虚に互いを敬う All Copyright©2012Y.ONOSE 態度を養う ・千家による「茶の湯」 の家元伝承始まる ・村田珠光→村野紹鴎→千利休に よる「わび茶」の確立 ・千家による「茶の湯」家元伝承始 まる ・家元による「茶道」の 伝承 ・裏千家による「茶道」の海外展開 【茶道の伝承】 ・家元制度改革とロー カライズによる海外展 開と世代間伝承が課 題 【茶道のイノベーション】 ・「茶道」⇒衛生学(清潔)+経済学 (簡素)+精神的幾何学(宇宙にお ける人間の存在)→茶は東洋の民 主主義の真髄→茶の愛好者を趣味 上高貴な者にする ・「茶道」⇒禅宗(南宋)=道教教義 →茶の作法の確立→「自己実現 (己を知る)」の手段→茶の湯=「生 きる技」の宗教=哲学 ・「茶碗は丸い地球」+「茶は緑」= 8 失われる地球を大切に(千玄室)
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