第2章 職業能力開発を促進する国家政策

第2章
職業能力開発を促進する国家政策
職業訓練を改善し発展させるために、近年ベトナム政府は、職業訓練に関する多くの
政策を公布している。
2.1 政策目的
労働市場の需要を満たすよう労働力全体に占める訓練を受けた労働者比率を増加させ
る。
雇用と起業を生み出すこと。
国家の近代化と工業化に対して高い質の人材を供給するために職業訓練の質を高める
こと。
2.2 政策の適用範囲
労働疾病兵社会問題省が規定した条件を満たす組織と個人は、職業訓練サービスとそ
のコンサルティングサービスの運営を許可されなければならない。有能であり職業訓練
への需要を持つ個人へ適用される。この政策はベトナム全土で適用される。
2.3 政策の主要な内容
2.3.1. 職業訓練を奨励する政策
職業訓練に参加する経済分野、組織、個人の奨励
国家は、非営利目的であり且つ国家計画とその運営に適した民間の職業訓練組織の広
範な開発を奨励する。民間の職業訓練組織の活動は高く評価されており、公的な職業訓
練組織と等しく取り扱われる。国家は、法律で規定されたように、教育開発のために全
ての形態の人材と組織を動員するよう組織及び個人に奨励する。特に、教育の普遍化に
関する政策は、訓練と生涯学習(長期、短期、定期訓練、不定期訓練、実地研修など)
及び、公共と民間による形態の職業訓練学校の開発と多様化に適用されてきた。
職業訓練組織への優遇措置
土地:
民間組織を含む職業訓練組織に対して土地が配分される。職業訓練学校、寮、
図書館建設に関する土地は、長期間、国家により配分され、土地税は免税される。
税金: 職業訓練組織は、法人税の優遇措置を受ける。土地を配分された民間職業訓練組
織は、建物税、土地税を免除され、土地使用権登録料も免除される。付加価値税も免税である。
職業訓練組織の教官への措置
職業訓練組織の教官への給与の 30%∼50%相当の手当てに関する規定がある(大学、
短大での教官は 30%、専門学校、職業訓練に関わる教官は 35%、教員養成の大学、短大、
職業訓練学校での教官は、50%)。
さらに、職業訓練組織における教官を奨励するために、教育へ貢献をした者への「人
民教官」「勲功教官」の称号や、「教育への貢献」メダルの授与がなされる。
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実習生に関する規定
実習生に関する規定は、フェローシップと授業料に関する規定を含む。
フェローシップ
奨学金や好成績もしくは高い技術を得た職業訓練生への便益を含む
フェローシップは、少数民族の大学入学前の学生や少数民族学校の学生、中央政府によ
る戦争障害者の子息、障害者、その他の政策的優遇策の適用が必要である人に対して規
定されている。
授業料
少数民族や遠隔地における授業料に関する規定がなされており、人民委員会、
人民評議会、国家が管理する職業訓練組織の長に授業料に関する決定権が付与される。
職業訓練への資金
職業訓練への資金は、国家予算からの基金、人民からの拠出、企業の投資、訓練組織
の投資、NGO の支援、外国直接投資、外国からの援助(ODA)など、多様な資金から支
出される。
2.3.2 職業訓練組織を管理する政策
職業訓練組織の設立と運営規定
職業訓練学校、職業訓練センターを設立するための条件と手続きに関する規定、職業
訓練運営の登録に関する規定、職業訓練学校の合併、分離、及び公的職業訓練学校の民
営化に関する手順と手続きに関する規定、職業訓練組織の活動停止と解散に関する規定
を含んでいる。
職業資格と証明書の管理に関する規定
職業資格と証明書は、職業訓練組織によりベトナム全土で一貫して適用される。職業
資格と証明書は、職業訓練総局により印刷され、管理され、発行される。職業訓練学校
の学長もしくは職業訓練センター長は、規定に従い、訓練結果に基づいて職業資格認定
と卒業証書発行を行う。
職業訓練組織は、労働疾病兵社会問題省を通じて職業訓練総局から職業資格認定を受
け取る。
2.3.3 技術労働者の利用に関連した政策
これらの一連の政策の主な内容は、労働集約的な事業を行っている全ての経済部門、
組織、個人を奨励している。国家は、労働需要と供給関係を統制するマクロ政策を実施
する。
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