Top Commitment ▶ G4-1, 2, DMA 総合力を発揮して 社会に安全と安心を 太平洋セメント株式会社 代表取締役社長 「到達したい未来像」の設定 当社グループの持続的成長へ向けた中長期的な方 向性を明確にするため、 「太平洋セメントグループ経 「10 年後の太平洋セメントグループを、どういう 企業集団にしたいのか。」 営理念」を踏まえ、2020 年代半ばをイメージした 「ありたい姿・目指す方向性」として、 「グループの 2015 年度からスタートする新たな中期経営計画 総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全・安 の策定にあたって、私たちがまず自らに問うたの 心を提供する企業集団を目指す」を設定しました。 は、「到達したい未来像」でした。 その上で、この「ありたい姿・目指す方向性」を 国内においては、東日本大震災の復興、2020 年 実現するための第 1 ステップとして、2015 年度か の東京オリンピック・パラリンピック等の大型イン ら2017 年度の3カ年を実行期間とする「17 中期経 フラプロジェクト、国土強靭化、人口減少による社 営計画」を策定し、当社グループは新たなスタート 会構造変化。グローバルにおいては、新興国の成長 を切りました。 に伴う都市化の進展、インフラ整備や廃棄物処理 ニーズの高まり、資源枯渇や環境問題の顕在化。社 14中期経営計画における最大の成果 会には様々な課題があります。このようなニーズに 対し、社会基盤産業として製品やソリューションを 2014 年度までの3 カ年を実行期間とした「14 中 提供し、持続可能な社会の実現に貢献することが、 期経営計画」では、①社会的使命の遂行 ②本業の 太平洋セメントグループの使命であると考えます。 追求 ③成長分野の拡大の 3 つを事業戦略として掲 長期的な視点で社会の変化を予測し、その中で当 げ、取り組んできました。 社グループの事業領域や強みをどのように活用・強 なかでも、東日本大震災の発生において、復旧の 化していけば、この使命を果たせ、自身も成長でき ためにまず対処すべき社会的課題となった災害廃棄 るのか。 物の処理と、復興段階における建設資材や多様な工 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 05 法・技術のニーズに対し、グループの総力をあげて さらに、 「CSR 目標 2025」として①災害防止 ② 取り組んできました。この貢献こそ、社会的使命を 温室効果ガス排出抑制 ③ダイバーシティの 3 分野 担う当社グループが果たすべき責任であり、 「14 中 の定量目標を定め、 「4 つの事業戦略」の一つである 期経営計画」における最大の成果であったと捉えて 「経営基盤の強靭化(経営の根幹強化) 」に、経営の います。一方で、今後の持続的成長のための資本投 重要なフォーカスポイントとして組み込みました。 下については、海外事業を中心に案件を探索したも 災害防止は、社会に安全・安心を提供する企業集 のの実施には至らず、課題を残すこととなりました。 団を目指すには、まず自らの職場が安全でなければ 「17 中期経営計画」においては、国内外で既存事 メーカーとしての存立にかかわるという問題意識か 業の拡大とともに新たな事業の種を蒔き、その芽を ら設定した、当社グループの必達目標です。温室効 育てることに取り組んでいきます。 果ガス排出抑制は、セメントの製造過程で大量の CO₂ が発生する事業特性から、重要な環境課題と 「17中期経営計画」へのCSR長期目標の組み込み して削減努力を継続しています。ダイバーシティで は、特に長期的な対応が必要な女性の活躍推進に焦 「ありたい姿・目指す方向性」の実現に向けた第1 点を当てています。 ステップである「17 中期経営計画」においては、① これらの長期的な定量目標設定によって CSR 活 成長に向けて前進する企業集団の構築 ②社会基盤 動の到達程度を見える化し、CSR 課題の改善に継続 産業として、安全・安心社会の確立への貢献 ③収 的に取り組んでいきます。 益基盤の強化と財務体質のさらなる改善の「3 つの 基本方針」に則り、 「4 つの事業戦略」を遂行するこ 安心して生活を営むことができる社会の構築 とによって、企業価値の最大化を目指します。 「CSR 目標 2025」を中期経営計画に組み込んだ のは、太平洋セメントグループが、CSR は事業活動 と不可分であり、経営の根幹に置くべきものと捉え ていることのあらわれにほかなりません。 2020 年代半ばのありたい姿「グループの総合力 を発揮し、環太平洋において社会に安全・安心を提 供する企業集団」のさらにその先に、私たちが仰ぎ 見ているのは、グループ経営理念に掲げる「持続可 能な地球の未来」です。 太平洋セメントグループは、安心して生活を営む ことができる社会を構築し、持続可能な地球の未来 を拓くために、事業活動を通じて社会との新たな共 有価値の創造を続けます。 06 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 「17中期経営計画」 (2015〜2017年度) の策定 ● 持続的成長へ向けた中長期的な⽅向性 ありたい姿・⽬指す⽅向性 (2020年代半ば) 中計 (第3ステップ) 中計 (第2ステップ) グループの総合⼒を発揮し、 環太平洋において 社会に安全と安⼼を提供する 企業集団を⽬指す 17中計(第1ステップ) 成長の土台となる当社グループの経営基盤 (⼈財、技術⼒、研究・開発⼒、営業⼒、資源、ノウハウ等) 太平洋セメントグループ 経営理念 太平洋セメントグループは、持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざし、 経済の発展のみならず、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を⾏います。 ● 17中期経営計画:概要 ● 17中期経営計画:経営目標 2017年度⽬標 基本⽅針 将来の環境変化を先取りし、あらゆる角度からのイノベーションを図り、 成⻑に向けて前進する企業集団を構築する。 社会基盤産業として、国⼟強靭化 (ナショナル・レジリエンス) に向けて、 資材提供・技術開発を通して安全・安⼼社会の確⽴に貢献する。 永続的発展を⾒据え、徹底的なコスト削減による事業の強靭化を⾏い、 収益基盤の強化と財務体質の更なる改善を強⼒に推進する。 売上⾼営業利益率 8.4%以上 ROA (経常利益) 7%以上 ● 17中期経営計画:経営目標達成のガイドライン 収益⼒の創出・向上 2014年度実績 2017年度計画 8,428億円 9,500億円以上 売上⾼ 営業利益 EBITDA ※ 事業戦略 既存事業の強化と 成⻑戦略の策定・実⾏ 800億円以上 1,250億円以上 ※ EBITDA=営業利益+減価償却費 (のれん等償却費を含む) 国家的プロジェクトへの対応 経営基盤の強靭化 ─ 経営の根幹強化 ─ 654億円 1,106億円 柔軟かつ強靭な財務体質の構築 2014年度実績 ネットD/Eレシオ 研究開発の強化 純有利⼦負債/EBITDA倍率 株主還元の充実 CSR目標2025 災害防止 温室効果ガス排出抑制 ダイバーシティ 配当 2017年度計画 1.14倍 1倍未満 3.1倍 2.6倍以下 2015年度 (予定) 2016年度、2017年度 (予定) 6円/株 (1円増配) 成⻑投資への資⾦需要、 業績等勘案し実施 「14中期経営計画」 (2012〜2014年度) の総括 持続的成⻑を確実なものとするため、 成⻑分野への資本投下と収益基盤強化に取り組む 事業戦略 社会的使命の遂⾏ 本業の追求 成⻑分野の拡⼤ •東⽇本⼤震災復興事業、災害廃棄物処理への取り組み •増⼤するセメント需要に対し安定供給 •⽔処理ビジネスへの本格参⼊ •廃棄物処理の拡⼤ •海外事業の回復 財務体質の強化 売上高 •海外事業を中⼼に多数の案件を探索 •有利⼦負債を着実に削減 2011年度実績 2014年度計画 2014年度実績 7,278億円 7,350億円 8,428億円 291億円 520億円 654億円 売上高営業利益率 4.0% 7%以上 7.8% ROA (経常利益) 1.9% 4.5%以上 6.6% 729億円 940億円 1,106億円 営業利益 EBITDA 財務指標 (連結) 財務戦略 成⻑分野への 資本投下 損益目標 (連結) 有利子負債 2011年度実績 2014年度計画 2014年度実績 5,101億円 4,600億円 3,991億円 ネットD/Eレシオ 2.6倍 1.8倍 1.14倍 純有利子負債/EBITDA倍率 6.1倍 4.2倍 3.1倍 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 07 セグメント別 事 業 活 動 ▶ G4-2, 4, EC2, EC7 セメント事 業 し、高度で安定した品質を維持してい 事 業内容 ◦国内における普通ポルトランドセメントをはじめとする多種多様な セメント・固化材・地盤改良材・生コンクリート等の製造・販売 ◦全国のセメント物流拠点による供給サービス提供 ます。また、より多くの、さらに他産 業では処理困難な廃棄物・副産物の セメント原燃料利用に取り組んでい ます。 販売では、 「顧客満足度の向上」を 最重要課題と捉え、営業・技術担当を 製品・技術による貢献 建屋内での保管に努め、悪臭の拡散、 はじめ各部門が連携して顧客要求事項 高品質で多様な建設資材を供給す 飛散の防止を図っています。製造段階 への迅速かつ適切な対応を図っていま ることによって、安全 ・ 安心な社会資 ではエネルギー使用の効率化、大気汚 す。技術部門は、製品の品質保証活動 本の構築に貢献することを目指して 染物質の排出削減のため、キルンの安 のほか、製品使用に関する技術的要望 います。 定運転や環境保全設備、省エネ設備 への対応やお客様の技術力向上の支援 の導入に努めています。また、NOx、 等幅広い業務を行っています。 事業活動における取り組み 【環境】 SOx、ばいじん、ダイオキシンなどの 測定を行い、結果を開示しています。 る」をモットーに、グループ会社、協 廃棄物・副産物をセメントの原燃料 物流段階でも、船舶・トラックへの省 力会社を含む保安安全の体制整備・活 として利用することで地球環境保全と エネ設備導入や往復輸送などによる 動を推進しています。さらに、多様性 資源循環型社会の実現に寄与してい CO₂ 排出量削減に取り組んでいます。 と人権を尊重し長期的な人材の育成に ます。廃棄物 ・ 副産物の受け入れにあ たっては、事前に受け入れに伴う影響 08 現場では「安全はすべてに優先す も注力しています。 【社会】 工場では、住民説明会・工場見学会 評価を行い、使用時には厳格な管理の 物流拠点整備や輸送力の強化によ の開催、施設の住民利用開放、地域祭 もと、操業の安定と環境汚染物質を放 る 製 品 の 安 定 供 給 に 努 め て い ま す。 礼への参加など地域とのコミュニケー 出しないよう努めています。廃棄物は ISO9001 による品質管理体制を構築 ションや貢献にも努めています。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ▶ G4-2, 4, EC2, EC7 資源事業 事業内容 ◦セメント原料、土木建築・鉄鋼・化学用途等の石灰石製品・骨材供給 ◦汚染土壌処理等の土壌ソリューション事業 ◦資源ケミカル事業 石灰石鉱山 製品・技術による貢献 建設現場等で発生する建設発生土の 事業活動における取り組み 事業の中核となる鉱山においては、 維持するため、必要に応じ外部の有識 者を交えた研究会を立ち上げ、長年に セメント資源化のほか、セメント資源 その開発から終掘に至るまでの各段階 わたり活動を続けています。こうした 化が困難な汚染土壌の処理提案および において、安全の確保と環境への負荷 取り組みと併せ、鉱山の周囲を一段高 土壌の重金属類不溶化に高い能力を発 低減に努めています。各鉱山の取り組 く残して採掘することで、景観保護に 揮する「デナイトシリーズ」の販売を みは立地条件によって様々ですが、環 配慮した鉱山もあります。また生物多 行っています。また LED の原材料と 境に配慮し、大気汚染、水質汚濁、騒 様性保全の問題にもいち早く取り組 なる「チッカライト®」やパワー半導 音、振動といった鉱害の防止に努める み、希少植物のバイオ技術による保護 体用単結晶原料となる「超高純度炭化 とともに、客土と植栽による鉱山の緑 育成で成果を挙げてきました。 ケイ素」の製造販売など、環境ニーズ 化を推進しています。安全面では、採 に対応する商品を提供しています。 掘跡地、たい積場、残壁等の安定性を 環境事業 事業内容 ◦セメント製造工程の特性を活かした高度な廃棄物処理サ-ビス (セメント資源化システム) の提供 ◦保有資源を活用した環境関連商品の開発・販売 廃棄物の受入場 製品・技術による貢献 硫材として火力発電所に販売するだけ 事業活動における取り組み セメント資源化システムでは、様々 ではなく、その副産物として発生する 環境ビジネスにかかわる企業グルー な種類の廃棄物や他産業から排出され 石膏をセメント原料として引き取るこ プとして、コンプライアンスやリス た副産物を安全かつ大量に再資源化す とで循環を形成するなど、資源循環型 ク・安全管理を重視し、取引先や地域 ることが可能であり、廃棄物や副産物 社会の構築に貢献しています。 住民の皆様にも安心・信頼していただ を資源としてリサイクルすることは、 また、グループ内の水関連技術を結 けるよう努めています。廃棄物の取り 最終処分場の延命効果があるととも 集させ、水のろ過・浄化の分野におい 扱いでは「廃棄物受入活用マニュア に、天然資源の枯渇防止など、環境負 ても環境問題の解決に貢献するよう事 ル」を定め、セメント製造工程への影 荷の低減に寄与しています。 業化を進めています。 響がないことや事故防止、環境保全を 環境関連商品では、石灰石を排煙脱 確認しています。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 09 ▶ G4-2, 4, EC2, EC7 海外事業 事業内容 ◦環太平洋地域におけるセメント、生コン、骨材事業 ◦セメント製造技術に基づく省エネ、環境負荷低減のソリューション提供 大連小野田水泥有限公司(中国) のオペレーションルーム 製品・技術による貢献 米国では、西海岸各州でセメント、 いるほか、タイでは鉱産品の仕入・販 事業活動における取り組み 売等を行っています。パプアニューギ 海外グループ会社との協働にあたっ 生コン、骨材事業などを展開していま ニアではクリンカ粉砕事業を、韓国で ては、CSR 経営が不可欠です。様々 す。中国では、セメント製造・販売の は雙龍洋灰工業への資本参加を行って なステークホルダーとの相互コミュニ 合弁会社 3 社を核とし、セメント製造 います。セメントトレーディング事業 ケーションや、様々な課題への対応を 技術をベースとする省エネ、環境負荷 では、国内外のグループ会社の生産拠 行っています。ベトナムのコンクリー 低減のソリューションも加えた事業展 点からアジア・オセアニア、北米、ア ト技術者養成学校の無償開設、フィリ 開を図っています。東南アジアでは、 フリカ等へ販売を行っています。これ ピンでの大学進学奨学制度、地域の医 セメント・生コン事業をベトナムで、 らを通じて各国のインフラ整備に貢献 療や生活インフラ構築の支援などの社 セメント事業をフィリピンで展開して しています。 会貢献活動にも取り組んでいます。 建 材・建 築 土 木 事 業 建設現場の多種多様なニーズに応え る土木・建築資材の製造・販売ならび に建設工事等を行っています。 を取り扱い、当社グループ独自のネッ トワークで提供しています。 また地盤改良工事や耐震補強工事を 土木・建築資材としては、高機能プ 行うとともに、コンクリート構造物を長 レミックス製品やコンクリート用混 寿命化させる診断・補修事業も数多く 和材をはじめとするセメント系製品、 の実績を重ねており、社会インフラの ALC(軽量気泡コンクリート)パネル 長期にわたる安全・安心な利用に貢献 や舗装ブロック等のコンクリート製品 するために積極的に取り組んでいます。 不動産の活用、スポーツ施設運営、 倉庫事業、各種建材プラントのエン の多岐にわたる事業活動を展開して 保険代理業を担う不動産事業、運輸・ ジニアリング事業、情報処理事業等 います。 表面平滑塗装ALC「セグエンテ」 その 他 事 業 10 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ▶ G4-2, 4, EC2 研究開発 研究開発の目標 ◦既存事業の持続的成長に貢献する研究開発 ◦成長分野(海外・資源・環境・建材) のエンジンとなる研究開発 ◦地球環境負荷低減に寄与する研究開発 ◦国家的プロジェクトやインフラ保全に貢献する技術開発 幅広い分野の研究開発を推進 研究開発活動の状況 情報を活用したコンクリートソリュー セメント分野では、品質の維持・向 ション(CS)活動を進めるとともに、 上を重点課題とし、先進的な品質予 世界最高強度を発現するセメント系材 測システムの開発をはじめ製造におけ 料の研究開発や、診断・補修技術等の るコスト低減や環境保全、省エネ化、 安全・安心なインフラ基盤に貢献する CO₂ 排出量低減などの研究開発に取り 技術開発、コンクリート舗装の普及活 組んでいます。 動にも注力しています。 コンクリート分野では蓄積した技術 ■ 研究開発費の内訳(2014年度連結) セラミックス・ エレクトロニクス セメント・ コンクリート 435 建材・ 建築土木 313 環境 2,115 合計 4,422 (単位:百万円) 915 中央研究所正面玄関前のコンクリート舗装技術の展示 海外のセメント・コンクリートに関 の開発に加え、排水の浄化・リン回収 しては、グローカル戦略のもと現地市 等のアクア事業関連、放射性物質除去 場に対応した開発を行っています。 技術の開発にも取り組んでいます。 資源分野では、中空粒子や高純度炭 建材・建築土木分野では、グループ 化ケイ素といった保有資源の高付加価 開発シナジーの拠点となるよう取り組 値化を目指した機能性マテリアルの開 みを進めています。 発および不溶化材等の汚染土壌対策技 術の研究開発を推進しています。 環境分野においては、処理困難廃棄 資源 644 物の再資源化技術や希少資源回収技術 機能性中空粒子の開発 機能性中空粒子は、粒子内部に空洞が存在す る微小粒子です。直径は1~10μmと小さく、 粒子を構成する材質が酸化アルミニウムやアル ミノシリケートなどの酸化物でつくられていま す。また、表面に凹凸のないきれいな球状で、 膜厚が0.1μm 以下と薄いため、粒子1個あたり の空気の割合が80% 以上(従来品は60%程度) 機能性中空粒子 開発品 の高い中空率を有します。このため、従来品よ りも優れた断熱性能を発揮し、省エネ化への貢 献が期待される高機能材料です。当社既存事業 であるセメント・コンクリート以外に、資源・ 環境分野での新規事業展開を狙い、本材料の実 用化に向け開発を進めています。 膜厚は 0.1マイクロメートル 以下 空気層 従来品 直径1〜10 マイクロメートル TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 11 太平洋セメントグループの重要課題とアプローチ 太平洋セメントグループが事業活動を通じて取り組むべき重要課題を、 右のプロセスを経て抽出しました。 ▶ G4-2, 11, 12, 18, 19, 20, 21, 24, 25, 26, 27, 48, DMA STEP 1 石灰石鉱山 課題の特定 セメントの主原料となる 石灰石等を採掘しています。 セメント工場 当社グループのバリューチェーンを俯瞰 し、環境・社会の側面における重要な課題 を整理しました。 ごみ焼却施設 建設工事現場 廃棄物処理業者 アッシュセンター/資源センター 上・下⽔処理場 製鉄所 発電所 石炭火力発電所の石炭灰や石膏、製鉄所のスラグ等の副産物、建設発生土、家庭から 排出されたごみ、上下水汚泥などをセメント原燃料や混合剤として利用しています。 各フェーズにおける主要な課題と太平洋セメントグループの対応事例 Ⓣ:太平洋セメントグループ ●:外部 原料調達 生産 環境 Ⓣ 石灰石鉱山 ● 廃棄物関連施設・発電所・製鉄所・養豚場 Ⓣ セメント工場 Ⓣ アッシュセンター ● 課題 ● 対応 ● 課題 ● 対応 CO₂排出 廃棄物使用による天然資源使用量削減 CO₂排出 廃熱発電 生物多様性保全 希少生物保護・緑化 資源生産性 代替原料使用 資源循環 環境影響評価 社会 ● 課題 ● 対応 労働安全衛生/人財育成 OSHMS ※の運用 多様性・人権の尊重 地域活性化 エネルギー消費 代替エネルギー使用 各種制度・相談窓口 現地雇用と地域参画 ※ OSHMS:労働安全衛生マネジメントシステム 太平洋セメントグループの主なステークホルダー 主なステークホルダー 太平洋セメントグループは、様々なス テークホルダーからの期待・要請に応え て責任を果たし、直接的・間接的に良好な 関係を築き続けることを目指しています。 太平洋セメントグループの事業の特性 ステークホルダー 資本提供者 株主・投資家 ⾦融機関 ◦各種報告書発行 (有価証券報告、アニュアルレポート、CSRレポート等) ◦HP・IRサイト ◦IR活動 ◦各種調査への回答 お客様 セメント販売店 (生コン会社、 建設会社、発注者) 廃棄物排出事業者 ◦本支店営業窓口 ◦ユーザー会・工業会 ◦技術情報誌、商材カタログ ◦技術講習会 ◦HP 12 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ◦労使協議会・労使説明会 ◦研修 ◦相談・通報窓口 ◦HP・イントラネット ◦社内報 ◦CSRレポート 従業員 社会 や環境を踏まえ、特定した主なステーク ホルダーは右表の通りです。 主なエンゲージメント機会 サプライヤー 操業地域コミュニティ ◦説明会・報告会・見学会・モニター制度 ◦社会貢献活動 ◦CSRレポート ◦ダイアログ 行政 ◦各種届出 ◦CSRレポート ◦ダイアログ NGO/NPO ◦各種会議・集会 ◦各種調査 ◦ダイアログ ◦社会貢献活動 取引企業 (調達) ◦調達説明会 協力企業 (構内作業) ◦安全衛生協力会 STEP 1 プロセス 課題の特定 STEP 2 STEP 3 優先順位付け STEP 4 妥当性の確認 レビュー グループ企業・社会 海外拠点 アメリカ西海岸、中国、そして東南アジア。 太平洋セメントのビジネス拠点は、文字通りパン・パシフィック。 広大な太平洋を囲むように世界へ広がります。 石炭輸送 海運 本社/中央研究所 生コン工場 サービスステーション 陸運 太平洋セメントの原料調達から生産、製品の輸送・販売、廃棄・再資源化に至る事業活動のプロセス (バリューチェーン) は世界に広がっています。これらバリューチェーンのすべてにおいて、私 たち太平洋セメントは、社会からの期待と要請に応え責任を果たすために、環境や社会に関する様々な課題に向き合い、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。 本社:「CSR長期ビジョン」に基づく活動のマネジメント 中央研究所:バリエーションの各フェーズにかかわる研究開発 物流/供給 使用 Ⓣ● 原燃料・製品の輸送 (陸運・海運) Ⓣ サービスステーション (SS) Ⓣ グループ企業 Ⓣ● 生コン工場 ● 課題 ● 対応 ● 課題 ● 対応 CO₂排出 陸運:往復輸送、エコドライブ 資源循環型社会構築 環境配慮製品・技術・サービスの提供 廃棄物発生 SS:セメント再原料化 エネルギー消費 海運:電気推進船、省エネ運航 水の循環利用 廃棄コンクリートからの骨材回収 ●課題 ● 対応 ● 課題 ●対応 安定供給 各輸送機能の管理、機能強化 安全・安心な社会基盤構築 社会資本構築に資する 製品・技術サービスの提供 輸送による交通影響緩和 鉄道輸送による道路交通影響の緩和 各種技術支援/新興国の技術者養成 主な期待・要請 経済 社会 環境 ◦経営の安定性・成長性 ◦安定的な利益還元 ◦情報開示 ◦適切な経営資源配分 ◦情報開示 ◦適切な経営資源配分 ◦情報開示 ◦製品の安定供給 ◦高付加価値製品 ◦廃棄物処理の経済効率向上 ◦製品の品質・安全性の維持 ◦製品使用情報の提供 ◦製品使用技術支援 ◦苦情対応 ◦地域の資源循環の向上 ◦環境機能製品の提供 ◦廃棄物処理の環境負荷低減 ◦正当な対価の支払 ◦人権の尊重 ◦多様性の尊重 ◦差別の撤廃、公正な評価、機会均等 ◦労働安全の確保・労働環境の整備 ◦技能開発・キャリア形成の支援 ◦対話機会の確保 ◦環境配慮経営の推進 ◦社会資本構築への貢献 ◦製品の品質 ◦安全性の維持 ◦雇用創出 ◦人権と地域の尊重 ◦社会貢献活動 ◦情報開示 ◦地域の環境負荷低減 ◦地球温暖化対策 ◦代替エネルギー使用 ◦エネルギー効率向上 ◦生態系の保全 ◦情報開示 ◦対等で公正な関係 ◦人権の尊重 ◦労働安全の確保・労働環境の整備 ◦環境配慮の正当な評価 ◦環境対策の支援 ◦環境配慮経営の推進 ◦社会費用負担 ◦納税 ◦活動支援・協賛 ◦正当な対価の支払 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 13 経済 ● 重要課題 高 サステナビリティ上の各種課題を国際的ガイドラインならびにステークホル ダーからの情報と当社の事業内容から抽出し、それらを「ステークホルダーへ の影響」と「当社グループにとっての重要度」を指標として、社内の協議によっ て優先順位付けを行い、15 の重要課題を特定しました。 低 ■ 太平洋セメントグループの重要課題とアプローチ カテゴリー 重要課題 主な影響の範囲 組織内 間接的な経済影響 原材料 産業界 地域廃棄物関連施設 活動報告 P.07 P.60-64 P.34-47 【方針】・「安全保安衛生方針」 【体制】・「安全保安衛生委員会」 を設置し、全工場・鉱業所でOSHMSを運用 【活動評価】・「CSR目標2025」 ・協力会社を含む安全保安衛生のデータ P.58-59 多様性と機会均等 【方針】・「人材開発基本方針」 【体制】・多様性に関する基本方針 ・長期的な人材育成制度、公正な評価制度、働きやすい職場環境を整備 【活動評価】・「CSR目標2025」 ・多様性に関する数値目標 ・各種人事データのモニタリング P.54-57 投資 【方針】・「グループ行動指針」 「CSR基本方針」 で「人権」 を重要課題と特定 【体制】・「人権・労働慣行委員会」 による全社活動の推進 ・相談窓口 【活動評価】・全社活動計画に基づく進捗管理、労使協議会における交渉・意見交換 生物多様性 工場周辺地域 大気への排出 製品およびサービス 社会 コンプライアンス 労働安全衛生 協力会社 労働慣行と ディーセント・ ワーク 人権 【方針】14中期経営計画 (2012〜2014年度) に基づく事業活動を展開しています。 高 【方針】・「環境経営方針」 ・WBCSD-CSI「CSI憲章」 【体制】・「環境経営委員会」 を設置し、全工場・本社・支店・中央研究所で ISO14001を運用 ・「地球温暖化対策委員会」の設置 【活動評価】・「CSR目標2025」 ・「CSI憲章」 に基づくグループ環境目標およびKPI エネルギー 環境 工場周辺地域 太平洋セメントにとっての重要性 (課題への貢献度および自らの成長への寄与度) マネジメントアプローチ 組織外 経済的パフォーマンス 経済 社会 優先 順 位 付け 社会 2 環境 ステークホルダーにとっての重要性 (社会からの期待度) STEP 経済的パフォーマンス 間接的な経済影響 原材料 エネルギー 生物多様性 大気への排出 製品およびサービス コンプライアンス 労働安全衛生 多様性と機会均等 人権(投資) 地域コミュニティ コンプライアンス 顧客の安全衛生 製品およびサービスのラベリング P.24-25 P.54 社会 地域コミュニティ 工場周辺地域 【方針】・「グループ行動指針」 「CSR基本方針」で「社会とのコミュニケーション」を 重要課題と特定 【体制】・「ステークホルダー・コミュニケーション委員会」による全社活動の推進 【活動評価】・全社活動計画に基づく進捗管理と情報の共有 P.24-25 P.60-64 社会 コンプライアンス 製品責任 顧客の安全衛生 セメントユーザー 社会 製品およびサービスの ラベリング セメントユーザー STEP 1および2の作業に あたって以下を参照しました 【方針】・「コンプライアンス基本方針」 ・「コンプライアンス規程」 【体制】・「リスク・コンプライアンス委員会」 による全社活動の推進 ・内部通報制度による体制強化 【活動評価】・内部統制システムの一環としての活動評価制度 (監査制度) P.29-33 【方針】・「品質方針」 【体制】・製品の開発・設計・製造のISO9001による一元管理 ・TBC活動 (太平洋ブランド・セメント・コンクリート活動) による技術支援活動 【活動評価】・品質関連の指摘・問い合わせデータの分析 ・製品の安全性に関するデータのウェブ開示 P.48-51 ◦GRIサステナビリティ・レポーティング・ガイドライン「G4」 ◦ ISO26000 ◦AA1000SES (AA1000ステークホルダー・エンゲージメント基準) ◦SRI調査 ◦社内アンケート、ヒアリング ◦ステークホルダー・ダイアログ ◦CSRレポートアンケート ◦外部有識者、アドバイザーの意見・助言 STEP 3 STEP 妥当性の確認 特定した課題について、「当社グループの重要な課題が網羅さ れているか」 「ステークホルダーの期待が反映されているか」を十 分に吟味した上で、最終的に決定しました。 ➡「CSRレポート編集タスク フォース会議」における検討 ➡「CSR経営委員会」における 報告・承認 14 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 4 レビュー 発行レポートについて毎年度レビューを実施 ◦ 組織内 ➡ 太平洋セメント(株)全従業員へ冊⼦配布、 アンケート実施 ➡ レポート説明会を全事業所・工場で巡回開催 (2014年度は計26回) ◦ 組織外 ➡ 有識者による第三者意⾒ ➡ CSRレポートアンケート ➡ 外部アドバイザーのレビュー [ニーマルニーゴー] [C S R目標 2 025]の策定 CSR 重要課題に取り組み、当社グループの究極の目標「持続可能な未来を拓く先導役」を目指すための推進エンジンとして、 2015 年 5 月に「CSR 目標 2025」を策定しました。 CSR 目標 2025 目標到達年度: [Ⅰ] 項目: 目標: 目標到達方針: 対象範囲: [Ⅱ] 項目: 目標: 目標到達方針: 対象範囲: [Ⅲ] 項目: 目標: 目標到達方針: 対象範囲: 2025 年度 災害防止 死亡災害ゼロ ① 全ての従業員、関係会社社員、協力会社が PDCA サイクルを自己完結できる安全活動の推進 ②「挟まれ・巻き込まれ」、「墜落・転落」災害撲滅へ向けての職場環境整備強化 当社グループ各事業所(含む海外)における従業員、協力会社従業員 温室効果ガス排出抑制 2025 年度までに2000 年度比でネット CO₂ 排出原単位を 10%以上削減 ① 更なる資源循環型社会構築への貢献推進 ・セメント製造における従来型廃棄物・副産物の利用技術の国際展開推進 ・代替エネルギーを中心とした処理困難廃棄物の処理技術開発の推進 ② 更なる省エネルギーの推進 ・省エネルギー設備の導入並びに廃熱発電等の自家発電設備増設 ・再生可能新エネルギーを中心とした省エネの更なる推進 ③ 革新的セメント製造技術等、地球環境負荷低減に向けた研究開発の推進 ・新規技術開発、並びに実用化へ向けての推進 当社及びグループ(含む海外)のセメント製造拠点 ダイバーシティ 女性採用比率の向上:総合職採用における女性採用比率を 30% 以上とする。 適正な人材ポートフォリオの構築:女性従業員比率を 10% 以上とする。 女性管理職登用の推進:新任管理職登用に占める女性割合 10% を目指す。 ① 適正な人材ポートフォリオの構築にむけて、女性の積極採用(アトラクション)と定着(リテンション)を促進するこ ととし、そのための施策を推進 ② 生産性の向上と、多様な人材の能力を最大限発揮できる組織を構築するためにワーク ・ ライフ・マネジメントを促 進することとし、そのための施策を推進 単体 2015 年 5 月 1 日制定 位 置 付け 「CSR目標 2025」は、経営理念に描くグ ループのあるべき姿「持続可能な未来を拓 太平洋セメントグループ グループ 経営理念 く先導役」を目指す過程で、長期的に何を ありたい姿・ 目指す⽅向性 17中期 経営計画 達成しようとしているかを具体化した定量 目標です。 「17中期経営計画」では、経営 基盤強靭化の戦略目標と位置付けています。 ⾏ 動 指 針 事業戦略 CSR 長期目標 2025 経営基盤の強靭化 策 定のプロセス 2007 年に「CSR 長期ビジョン」 (10 年後のあるべき姿) を策定し、取り組んできましたが、到達度を検証する指標 がないことなどの問題意識から、改定の検討を開始しま した。タスクフォースで議論を重ねた結果、「CSR 長期ビ ジョン」は廃止し、あるべき姿(ビジョン)の長期的な定 量目標を制定するという結論に至りました。 タスクフォース編成(2014 年 10 月) CSR 経営委員会の各専門委員会事務局担当 検討 検討会議 計 9 回開催 ステークホルダー・ダイアログの実施 制定(2015 年 5 月) CSR 経営委員会および取締役会における承認・制定 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 15 第11回ステークホルダー・ダイアログ 「C S R 長期ビジョン」の 改定にあたって ▶ G4-26, 27, 43 「CSR 長期ビジョン」改定のために、2014 年 10 月に結成された社内横断 組織「ビジョン改定タスクフォース」 。このタスクフォースによる改定作業 の過程において、太平洋セメントグループに対する社会からの要請を理解し 改定に反映させること、改定作業の方向性について示唆を得ることを目的と して、2014 年 12 月に外部有識者とメンバーの意見交換を行いました。 主な検討テーマ 「ビジョン」の概念と機能の整理 ▶ ▶ 改定作業における検討ポイントの考察 参加者 ● 有識者 (五十音順) 上妻 義直氏(上智大学経済学部教授) 専門研究分野は環境会計論および国際会計論。環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、内閣府、日本公認 会計士協会等のCSR・環境関係の検討会・研究会等で座長・委員等を歴任。2012〜2015年CSRレポートの第三 者意見者。 藤井 敏彦氏(経済産業研究所 コンサルティングフェロー) 企業の社会的責任、製品関連環境規制、対EUロビイングを専門領域とする。主な著書に『競争戦略としてのグ ローバルルール』 (東洋経済新報社) 、 『グローバルCSR調達』 (共著、日科技連出版社) 等がある。2013・2014年ス テークホルダー・ダイアログの参加者。 ● 太平洋セメント CSR担当役員および「ビジョン改定タスクフォース」メンバー(計15名) ● 司会 堀江 美保氏(サスティービー・コミュニケーションズ シニアコンサルタント) 16 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ■ ディスカッション の 骨 子 上妻 義直氏 会社と社会にとっての最適解を判断する、その軸は何か 会社が、中長期にわたってビジネスを円滑に進め、持続的な成長を遂げようと すれば、社会や地球環境との摩擦をなるべく少なくしてリスクを下げることが、 成長促進を支える強固な基盤づくりにつながるでしょう。そのためには、社会が どんな方向に動いているのか、何がインパクトになるのか、をよく考慮したリス ク評価が有効です。また、社会の動きや時間軸によって、リスクの大きさや質、 会社に対する役割期待が変化することにも注意が必要です。 どの課題にどこまで対応するべきかについて、常に会社と社会にとっての最適 解を探し、効果が極大化される方向に舵を切る。その判断の軸とロードマップが 明確になれば、今後のビジョンが見えてくるのではないでしょうか。 藤井 敏彦氏 ビジョンが機能するには、忘れていては意思決定ができないものでなければならない ビジョンは、10 年後の社会をどうするのかという問いかけと密接不可分です。 現状追認・単純延長なものでは、読まなくてもビジネスに影響はありません。ビ ジョンが業務の中で「常に振り返るもの」として機能するには、意思決定におけ るベースになるもの、忘れていては意思決定できないものでなければならないと 思います。 「仮に利益を出せても、これは自分たちが目指している社会と違うのではない か」 、もしくは「この社会を実現するために社内には様々な課題があるが、これを 乗り越えていこう」というような判断をくだす。そのために、自分たちに何が足 りないのか。ビジョンから現状との差分が出てくる必要があると考えます。 太 平 洋セメント参加者 ◦財務事項を中心とする中期経営計画と非財務事項を中心とする CSR の長期的なビジョンの整合性を取らな ければ、もはや経営は正しい方向に進まない。 ◦ CSR 経営委員会の各専門委員会の事務局をメンバーとするタスクフォースで策定作業を進めているのは、策 定に際して広く意見を集めるためと、出来上がったものの実行性を担保するため。 ◦ 10 年後のあるべき姿を掲げた「CSR 長期ビジョン」策定から 8 年経つが、到達したのかどうか分からない、 スローガンのような位置付けになっている。 ◦ビジョンを、経営理念をより具体的に展開していって、ある時期までに到達するべき姿と捉えると、我々が つくりたいのは「目標」なのかもしれない。 「CSR長期ビジョン」 改定への反映 意見交換の内容を踏まえながら検討を続けた結果、最終結論として「CSR 長期ビ ジョン」は廃止し、長期計画的に何を達成しようとしているのかを内外に示す、あ [ニーマルニーゴー] るべき姿(ビジョン)の長期定量目標[CSR 目標 2 0 2 5 ]を制定しました。 ※「CSR長期ビジョン」改定に関する詳細はP.15で報告しています。併せてご覧ください。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 17 │ 特集│ 建設工事現場で掘られた「土」のゆくえ 建設発生土のセメント資源化 ▶ G4-EC7 建設工事に必要なものは、セメントだけではありません。 構造物をつくる前に、まず掘った⼟を処理しなければなりません。 太平洋セメントグループは、建設現場の⼟も資源としてリサイクルしています。 処理しなければ工事が止まる? 建設発生土 事の増加に伴って、膨大な量の建設発生土をいかに円 滑に処理するか、また有効活用するかが社会的課題と なっています。 2020 年に開催される東京オリンピック・パラリン 太平洋セメントは、建設現場にセメントを供給する ピックに向けて、首都圏では今、空港・道路等のイン だけでなく、この建設発生土を受け入れて、セメント フラ整備や都市のリノベーションのための大規模工事 の原材料として資源化処理を行っています。また、汚 が活発化しようとしています。 染などの無い良質な建設発生土については、鉱山の埋 建設工事で構造物をつくるには、まず地面を掘削し め戻し材として受け入れを行っています。 ます。掘り出した土砂は、現場の埋め戻しに使用して も余ることがあります。これが建設発生土です。場外 に搬出しなければ工事を進めることができません。工 セメント資源化による 建設発生土の有効利用 かつて建設発生土は処分場へ廃棄されていました が、2003 年に土壌汚染対策法が施行され、資源とし て利用する動きが強まっています。太平洋セメント は、土壌汚染対策法の施行以前より、建設発生土のセ セメント工場に受け入れた 建設発生土 18 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 メント資源化によるリサイクルを行い、有効利用の推 進に取り組んできました。 建設発生土は有効活用すべき再 生資源ですが、セメント資源とし て利用するのは実は簡単なことで 建設発生土セメント資源化の受入実績 (t) 700,000 はありません。工事現場は常に工 期の問題があり、急に電話が入っ 617,608 600,000 521,775 500,000 500,297 て「今日すぐに受け入れてもらえ 545,293 504,722 ないと工事が止まってしまう」と 400,000 要請を受けることもあります。一 300,000 方で、セメントの品質を保つに 200,000 は、使用する土壌の成分・安全性の厳格な管理が必要で 100,000 0 2010 2011 2012 2013 す。安定的な受け入れの実現は、長年積み重ねてきた技術 2014(年度) 力と、グループならではの柔軟な対応力があるからだと自 負しています。今後は、汚染土壌の無害化製品の研究開発 を進め、対策のさらなる多角化を目指します。 建設発生土の処分は、まずサンプリングと分析から 始まります。セメント原料として利用可能であること 技術力と柔軟な対応力で 安定的な受け入れを実現しています を確認すると、搬出して陸路で中継基地または直接工 政彦 IC E を必要に応じて行います。処理が完了した建設発生土 資源事業部 土壌ソリューショングループ サブリーダー 守屋 VO 場まで運び、セメント原料として投入するための改質 は、海上輸送で全国のセメント工場へ送られ、セメン ト工場でセメント製造ラインに投入されます。太平洋 セメントは、分析調査から、輸送、工場での処理まで 社会の動脈と静脈の両方を担う をグループで一貫して請け負う体制を整え、建設発生 量も土壌の状態も処理のニーズも現場によって異な 土の発生地と全国展開している各工場とを有機的に結 る建設発生土に対して、分析から処理まで、幅広いソ びつける中間基地を整備しています。 リューションをワンストップで提供できるのは、太平 発生場所によって組成や成分がばらばらな土壌で 洋セメントならではの強みです。建設発生土を「出す も均一で高品質のセメントを製造できるのは、長年 側」と資源として「利用する側」が連携してこそ、様々 培った高度な技術があるから。さらに分析の結果土 なアプローチが可能になり、工事のスムーズな進行と 壌汚染が判明した場合でも、セメント工場まで安全に 発生土の資源としての有効利用が実現します。 輸送してセメント資源化によって無害化する、汚染が 太平洋セメントは、現場から建設発生土を受け入れ 判明した場所で重金属などの汚染物質が溶出しない てセメントを生産する静脈機能と、現場にセメントを よう処理するための不溶化材を提供する等、汚染の状 供給する動脈機能の両方を担うことで、社会基盤整備 況と現場のニーズに応じた様々な選択肢を提供して の現場を支え、同時に資源循環型社会の実現を目指し います。 ているのです。 太平洋セメントグループによる建設発生土の資源利用・無害化 建設現場 分析 中継基地 そのまま 再利用可能 ・改正土壌汚染対策法 にしたがって、土壌検 査を実施します ・セメント原料として の受け入れを想定す る場合は、鉱物組成と 微量成分の含有量を 測定します 処理が必要 陸上輸送 建設発生土 汚泥/建設汚泥 改質/汚染の除去 セメント原料として投入 するための改質/汚染 の除去を行います セメント工場 海上輸送 セメント資源化 セメントの品質を一定に 保つために、ロットごと に成分が異なる土壌を 管理して投入します 原位置不溶化 汚染が判明した場所で 汚染物質が溶出しない よう不溶化剤等を使っ て処理します TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 19 │ 特集│ 使う場所のすぐそばで 都心への安定供給を支える次世代型の生コンプラント 東雲新プラント 2015年1月、東京湾岸エリアで、太平洋セメントグループの 環境配慮型最新鋭生コンプラントが新たに稼動を開始しました。 1967年当時の旧晴海プラント 施工現場に届けるまで90分。 鮮度が命の生コン た。2015 年 1 月には、晴海から同じ湾岸エリアの江 東区東雲に移転し、次世代の都市型プラントからの出 荷を開始。東雲新プラントは、1 時間あたり 540m³ 「生コン(生コンクリート) 」とは、生コン工場でセ という国内最大の出荷能力、1,000 種類を超える高 メントと骨材(砂や砂利) ・水・混和剤などの練り混 品質の生コンをカスタマイズ生産する機能を備えてい ぜを行い、フレッシュな状態で運搬車によって現場に ます。 配達されるコンクリートのことです。JIS 規格では練 り混ぜ開始から現場での荷降ろしまで 90 分以内と定 められており、供給は時間との勝負。生コンは、鮮度 が重要な「ナマモノ」なのです。そのため、使う場所 のそばに製造プラントが必要です。 ビルの中にプラント。最先端の環境配慮 この国内最大級・最先端の生コンプラントを支えて いるのは、オペレーション担当者、品質管理の技術者な ど、現場の高い技術力です。原材料受入から出荷まで 東京ベイエリアに位置する 国内最大級の生コンプラント 20 すべてを連動させるトータル管理システムによる生産・ 管理で、多様化・高度化するニーズに対応しています。 さらに、都心での操業にあたり周辺環境への影響を ※ 太平洋セメントグループの晴海小野田レミコン (株) 最小化するために、ほとんどの設備を建屋内にすっぽ が東京湾岸エリアの中央に位置する晴海地区で操業を りとおさめ、粉塵・騒音・振動が外に漏れないよう設 開始したのは 1954 年、1964 年の東京オリンピック 計しました。構内緑地や建屋の屋上を緑化し、断熱効 開催の 10 年前のことでした。以来、高度経済成長期 果による CO₂ の削減に貢献しています。また、地下 を経て今日まで 60 年あまり、累計約 1,900 万 m³ の の雨水槽に雨水を集め、ミキサー車やベルトコンベア 生コンを出荷し、増大する東京の需要に応えてきまし の洗浄に繰り返し利用しています。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ※1954年当時は、晴海小野田レミコン (株)の前身である小野田レミコン (株) ターンテーブル 骨材サイロ 計量器 セメントサイロ 普通のビルに見える建屋 の中には、巨大なサイロや プラントの心臓部である ミキサ、国内最大級の垂直 ベルトコンベアなど、外観 からは想像もつかない設 備が収められています。 骨材サイロ 養生水槽 生産から供給へのバトンをつなぎ、 社会の基盤構築に参加 厳格な検査・試験を実施 し高い品質を維持してい ます。品質維持を担う技術 者は、男女の区別なく能力 向上を図っています。 首都圏では、2020 年の東京オリンピック・パラリ ンピック後も見据えた都市再開発の計画が進んでいま す。東雲新プラントが位置する晴海地区に五輪選手村 が建設されるほか、築地市場の豊洲移転工事、首都圏 交通網の強化など、様々な大規模プロジェクトがあり ます。東雲新プラントは、太平洋セメントグループ の一員として、セメント生産から製品の供給に至るリ レーのアンカーとして、最後のバトンをつなぐ役割を 担っています。 太平洋セメントグループは、これからも安定供給と いう責任を果たし、社会基盤の構築に参加していき ます。 ミキサー車すべてにGPSを搭載し、車の位置・現場での待機・荷降 ろし状況をリアルタイムで把握、迅速で効率的な出荷管理を行っ ています。 VO E 晴海小野田レミコン株式会社 技術部 品質管理課 伊藤 IC 技術力を常に磨く気概を持って 日々の業務にあたっています 良太 品 質 管 理 を 担 当し て い ま す。コンクリートは気温や湿 度などで日々変動する生き 物 で す。 品 質 管 理 は、 そ れ をいかに一定に保つか、日常 上野 15km 東京スカイツリー 新宿都庁 10km オリンピックスタジアム 五輪選手村 5km 築地市場移転予定地 晴海小野田レミコン株式会社 管理で変化をコントロールす る力が試される仕事だと感じ ます。業務に必要な資格も、 取ってからが本当の勝負だと 羽田空港 思っています。常に努力して技術力を高め、後輩より 1 歩先を歩きながら皆を引っ張っていくのも自分の責 任だという気概を持ってやっています。これからも品 質管理チーム、さらには工場全員で連携し、最高品質 生コンの供給先は、拠点の江東区を含め都内一円。製造開始から90分以内に現 場で荷降ろしするためにカバーできる配送距離は道路事情にもよりますが、お およそ10km〜15km圏です。 の生コンを社会に送り出していきます。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 21 22 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 各分野における取り組み マネジメント 24 環境への取り組み 34 社会との取り組み 48 熊谷工場 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 23 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み CSRマネジメント 「持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざす。」 このグループ経営理念の実現を目指して、 部門横断的に課題の共有と活動に取り組む推進体制として「CSR経営委員会」 を設置し、 事業活動と一体化したCSR推進活動に取り組んでいます。 CSR経営推進の基本方針 ■ CSR経営の推進体制(CSR経営委員会と専門委員会) ▶ G4-56, DMA 当社は、経営理念の具現化および行動指針の実践に 関する基本的事項を定め、当社が事業内外において社 会的責任に則った活動を推進し、社会および当社の持 続可能な発展を追求することを目的とするCSR要綱を ・組織統治 ・公正な事業慣行 グループ 会 社 [ニーマルニーゴー] [CSR目標 2 0 2 5 ] の制定 ▶ 5. CSR 経営推進の状況を踏まえ、ステークホルダーに 対して適切な情報開示・コミュニケーションを実践 し、信頼関係を構築する。 6. CSR 経営推進を当社グループ全体の活動として位置 付け、グループ企業全社に周知徹底する。 監査部 全事業所 2. コンプライアンスを最重視する企業風土を醸成し、 全役員・従業員が常に主体的に最適な判断を行うこ とを志向する。 4. CSR の重点課題について、積極的に取組み、適正な 優先順位付けと資源配分を行う。 監査 専門委員会 ステークホルダー・ コミュニケーション委員会 環境経営委員会 品質管理委員会 安全保安衛生委員会 1. 当社の経営理念・行動指針を踏まえ、目指すべき理 想のCSR 経営を明確にし、CSRに基づいた事業活動 の進展を図る。 3. 環境保全・人権擁護・地域貢献等が当社の社会的使 命であると認識した経営を行う。 委員長:社長 事務局:総務部 CSR推進グループ ・人権 ・環境 ・消費者課題 ・人権 ・労働慣行 ・コミュニティ参画および発展 人権・労働慣行委員会 【 CSR経営推進の基本方針 】 CSR経営委員会 情報セキュリティ委員会 経営を推進するための基本方針を定めています。 ISO26000 社会的責任の 中核主題 リスク管理・ コンプライアンス委員会 定めCSR 経営を推進しています。また、本要綱にCSR 取締役会 G4-56, DMA 2015 年 5 月に、新たに定量目標「CSR 目標 2025」 を制定しました。 当社は、グループ経営理念の浸透を進めることを 目的に 2007 年に経営理念を具体化して 10 年後の当 社 CSR 活動のあるべき姿を端的に示した CSR 長期ビ ジョンを策定しました。 しかし、その内容が経営理念や行動指針と重複し、 CSR経営の推進体制 位置付けが不明確で、かえって CSR 理念体系を複雑難 G4-34, 35, 36, 37, 44, 45, 46, 48, DMA 解にし、浸透していないとの指摘があるなど、CSR 長 社長を委員長とし、取締役会直属で全取締役がメン 期ビジョン策定時の目的に必ずしも適していないと考 バーであり部門横断的に構成される「CSR経営委員会」 えられること、また社会的変化により、当時特定した を設置し、CSR 経営を推進しています。 課題と現在の課題との間に一部乖離が見られる状況と ▶ CSR 経営委員会は、全社 CSR 実施計画等の重要事項 の審議と実施状況のレビューを行っています。 CSR 経営委員会傘下には7つの専門委員会を設け CSRの個別課題に取り組んでいます。各専門委員会は 担当役員が委員長を務め、課題に対し最も関連の強い 部署が事務局となっています。 24 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 なっていること、また、あるべき姿に関する定量目標 がないためビジョンの達成度も検証不能であることな どから、2015 年 5 月に CSR 長期ビジョンを廃止し、 新たに定量目標「CSR 目標 2025」を制定しました。 (内容は P.15 に掲載) CSR CSRマネジメント マネジメント CSR研修・教育 コーポレート・ ガバナンス リスクマネジメント コンプライアンス ンバーとして、世界の 23 社のセメント企業とともに ▶ G4-43 新入従業員研修、新入従業員フォローアップ研修(2 持続可能な発展に向けた国際的な活動に取り組んでい ます。 年目) 、キャリア開発研修(10 年目前後) 、新任管理職 CSI は、世界中のステークホルダーとの対話を踏ま 研修等の各階層別研修において CSR に関する教育を えたセメント産業の持続可能性に関する調査研究に基 実施しています。人権などの CSR の個別課題に関す づき 20 年間のビジョン「自主行動計画」を策定し、 る教育については個別の委員会が実施しています。ま 2002 年にコアメンバー 10 社の共同コミットメント た、グループ会社を含めたトップ層に対し年 1 回 CSR として公表しました。 関連の研修を実施しています。さらに、2014 年度 「自主行動計画」では、気候変動への対応、原燃料の も、全事業所を巡回し CSR レポート説明会をのべ 21 効率的利用、大気汚染物質の排出削減、生物多様性、 回実施しました。 水問題、安全衛生やサプライチェーンマネジメントな ど重要課題ごとに作業部会を設置し、メンバー共同で それらの課題に対する主要業績評価指標(KPI:2014 ■ トップ層研修開催実績(2014年度) 開催日 2014年 11月27日 参加社数 95社 年度実績はP.64参照)やガイドラインの開発を行って テーマ ・ 社員が幸せになるコンプライアンス ・ 経営戦略としてのダイバーシティ います。また、各社が独自に排出量の削減などの目標 を設定公表し持続可能な社会の構築に取り組んでい ■ CSRレポート説明会開催実績(2014年度) 開催日 2014年 10月〜12月 ます。 開催場所 参加人数 ・ 本支店工場研究所など21カ所 740名 特に地球温暖化問題への対策では、世界のセメント 会社共通の「CO₂ 排出量算定報告基準(CO₂・エネル ギープロトコル) 」を開発し CO₂ 排出量とエネルギー 使用に関する信頼性の高い情報を収集する体制を整え ました。そして、グローバルなデータベースを構築 し、CO₂ 排出量ならびにエネルギー使用に関するデー タを公表しています。CSI の取り組み課題は、当社に おいても重要な経営課題と認識し、取り組みに努めて います。 ● 東京人権啓発企業連絡会への参画 「東京人権啓発企業連絡会」に当社は参画していま す。同団体は、1979 年11月に発足し、東京に本社を CSRレポート説明会(本社開催) 置く企業を主体に124社(従業員約100万人、2015年 外部団体との協働 4 月現在)で組織され、 「自主的運営と全員参加の精神」 ▶ G4-14, 15, 16 ● WBCSD-セメント産業部会 当社は、2000 年よりWBCSDのセメント産業部会 を基本理念にもって、企業の立場から同和問題をはじ め、様々な人権問題の解決に向けて取り組んでいる任 意団体です。 (CSI=Cement Sustainability Initiative)のコアメ TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 25 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 2014年度CSR活動の主な実績 ▶ G4-27 計画 活動主体 実績 判定 関連 ページ リスク管理•コンプライアンス委員会 1.PDCAサイクルによるグループ会社も含めた推進活動の継続的改善、新たなリスク課題への対応と既存課題への取り組み強化 ・大気汚染 ・キルンBGF化:2014年6月藤原5K、2015年6月埼玉6K設置完了 ○ 29-31 ・情報リスク ( 「誹謗・中傷、悪評の流布」対策含む) ・太平洋セメントソーシャルメディアポリシー策定、工場支店・グループ会社で DVD研修会実施 △ 31 ・納期性能未達 ・品質管理員会と連携し、品質異常時の発生マニュアルを改訂 ○ 30 ・当社管理 (社有・貸借) 設備および土地 (社有・賃借含む) の管理状況調査を実施 ○ 30 ・事業所におけるリスク、被害想定の洗出し、対策事項の立案、検討を実施 ○ 30 ・タイ政変への対応ならびに香港集会抗議活動時の対応を事例として取りまとめ △ 30 ・リスク管理・コンプライアンス上のグループの ・リスク管理対象グループ会社を支店に集め、 コンプライアンス研修実施 ガバナンス強化 △ 31 ・地震・津波 ・南海トラフ地震想定、 「本社-現地連携訓練」 実施 (現地対策本部関西四国支店) ○ 30 ・A評価とB評価の合計が92%と昨年度を上回る進捗状況であることを確認 ○ 29-30 ・当社従業員・グループ会社へコンプライアンスおよびソーシャルメディアに関 する研修を実施 ○ 30-31 ・コンサルタントの危機管理広報講義受講、 「危機管理広報トレーニング」実施 ○ 30 全社リスク対策取り組 ・遊休設備の管理不足 み計画の実行による推 ・豪雨・洪水・内水氾濫 進活動の強化 ・暴動・テロ PDCAサイクルによる推進活動の継続的改善 2. コンプライアンス意識の一層の浸透 組 織 統 治 / 公 正 な事 業 慣 行 教育・研修および情報 提供の充実 ・教育・研修ツールの充実、教材の作成・進化 3.緊急時における迅速、且つ適確な危機対応とサポートの実施 危機対応 活動主体 ・緊急事態におけるマスコミへの適切な対応 情報セキュリティ委員会 1.「情報セキュリティマネージメントシステム (ISMS) 」 体制の強化と継続運用・改善 グループ体制の確立 ・情報セキュリティレベル調査結果およびグルー プ各社設定の課題についてのフォロー ・調査結果・各社設定課題に対する事務局コメントをグループ各社に報告 ・グループ会社フォロー (訪問) 2社実施 ○ 30-31 単体管理の強化 ・発生したセキュリティ問題への迅速・適切な対応 ・バックアップセンター起動訓練、システム担当者を交えた災害対策訓練実施 ○ 30-31 2. 安全・事故・障害対策の計画的実施 情報関連設備投資計画 の確実な実施 ・2014年度情報セキュリティ関連2案件の計画的実施 ・情報セキュリティ技術的対策の確実な運用 ・「メール添付ファイル暗号化およびオンラインストレージ拡充」運用開始 ・「パソコン管理システム」機能増強完了 ○ 31 2015年度設備投資 計画 ・情報関連設備投資計画の立案、申請承認 ・バックアップセンター増強、データセンターネットワーク障害対策、インター ネット出口対策、計3件承認 ○ 31 ・太平洋セメントグループ・ソーシャルメディアポリシー制定、全社掲示、社内報、グルー プ会社には書状を送付で周知。社内およびグループ会社を対象としてDVD上映会実施 △ 31 ・計画通り実施 ○ 31 ○ 31 誹謗・中傷、悪評の流布 ・誹謗・中傷、悪評の流布対策ガイドライン作成と 対策 周知 3.教育・研修・啓発の実施 階層別教育の実施 ・各階層別教育研修での教育の定期実施 意識の啓発、浸透 ・従 業 員 教 育 ( セ キ ュ リ テ ィ ニ ュ ー ス 公 開 +e・セキュリティニュース公開(6月、11月) 、e-ラーニング実施(7月~2月に5回実施) ラーニング) の充実 4. 情報セキュリティの保持状況のモニタリング、評価 モニタリング監視 ・定期モニタリングによる適正利活用の推進 ・インターネット不適切利用のモニタリング実施、不適切利用に関する注意喚起実施 ○ 31 遵守状況評価、改善 ・内部監査の実施 ・全事業所の書面監査、大分工場・関東支店実地監査実施 ○ 31 ・社有携帯電話紛失3件 (2013年度4件)すべて電話帳ロックあり ・「社有携帯電話の紛失 (個人情報漏洩防止) について」通達発信 ○ 30-31 ・基本方針策定完了 ○ 54 5.「個人情報保護マネジメントシステム」 の継続的運用•改善 タスクフォースの課題 対応 遵守、教育、監査状況 の確認と対応 活動主体 ・関連障害、環境変化への迅速・確実な対応 ・個人情報保護MSの継続的実践と充実 人権・労働慣行委員会 1. 人権・労働慣行委員会基本方針の策定 基本方針の策定 ・社内外に公開する基本方針を策定 2.グループ会社も含めた「人権意識」 の高揚と継続的研修の実施 人権/労働慣行 社内研修 ・各階層従業員研修 ・人権啓発推進室が中心となり実施、7コース381名参加 ○ 54 グループ会社研修・啓発 ・各階層従業員研修支援、研修用教材提供、関係資 料の定期的提供 ・人権啓発推進室が中心となり実施、関係会社にて幹部社員36名に同和問題を中 心に研修実施、 東京人企連発行の冊子「明日へ」 および障害者・公正採用等法改正 に関する情報を関係会社107社へ送付。 CSRトップセミナー開催:118名参加 ○ 54 人権啓発企業連絡会 ・東京人権啓発企業連絡会、大阪同和問題企業連絡会 ・東京人企連延べ99日参加。 大阪同企連延べ82日参加。 ○ 25 ・社内特例子会社の効率的運用 ・日豊オノダ社:障がい者2名 (うち1名女性) 採用 ○ 56 ・身体障がい者の定期採用化 ・太平洋セメント奨学会に障がい者枠1名を設定し1名を支給対象とした ○ 56 ・既存採用ソースの関係維持と新規ソースの開拓 ・千葉県立障害者技術校より知的障がい者1名中途採用 ○ 56 ・グループ会社の障がい者雇用の支援 ・太平洋コンサルタント社が千葉県立障害者技術校より障がい者1名採用 ・グループ会社の障害者雇用率についてアンケート調査実施 ○ 56 女性活躍推進に向けた積極採用(アトラクション) 、定着(リテンション)プ ログラム ・社内向けトップメッセージ「女性活躍推進施策実施にあたって」発信 ・全事業所向け説明会実施 ○ 54-57 新教育体系に基づく教育研修、グローバル人材育成プログラム等の取り組 み状況 ・米国研修生の帰朝報告会を開催 ・全事業所向け説明会実施 ○ 54-55 3.グループ会社も含めた障がい者雇用の推進 法定雇用率2%達成 4.人事制度の検討状況報告 26 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 CSR CSRマネジメント マネジメント 計画 活動主体 コーポレート・ ガバナンス 実績 リスクマネジメント コンプライアンス 判定 関連 ページ 安全保安衛生委員会 1. 国の行事および社内安全・衛生活動における文書発信 2014年度安全保安衛生方針、全国安全週間・鉱山保安週間、全国労働衛生 週間、年末年始無災害運動のメッセージの作成と配布と活動の展開 人権/労働慣行 ・計画通り実施 ○ 58-59 ・全社安全保安統計まとめと報告、 目標:死亡災害ゼロ ・ 災害発生件数 2014年度:93件(うち死亡災害2件) 、2013年度:110件、2012年度:89件 ・バラ車運転手墜落死亡災害に伴う対策など実施 △ 58-59 ・衛生統計まとめと報告、休業率目標0.3%台 ・休業率 2014年度:0.547%、2013年度:0.570% ・新患発生率 2014年度:4.195%、2013年度:3.772% △ 58-59 表彰関係 ・外部表彰・社内表彰事例を紹介 ・連絡のあった表彰事例について委員会で報告し、各組織への意識高揚を促した ○ 58 特別強調事業所対応 ・安全保安管理特別強調指定事業所のフォロー ・秩父鉱業社指定(6カ月) 、関西マテック社指定、推進状況のフォロー実施、2年間の活動を総括 ○ 58-59 災害報告 ・主幹部より対策・対応を含み報告 ・重大災害、安全基本原則違反による災害を中心に報告、対策対応質疑 ○ 58-59 その他 ・WBCSD-CSI(セメント産業部会) 安全活動報告 ・計画通り実施 ○ 58-59 2. 情報発信による啓発、注意喚起、取り組みへの反映 安全保安衛生統計 3. 日常の啓発、注意喚起等 労働災害注意喚起 ・発生状況および注意内容をデータベースにて発信 ・労働災害に対し、発生状況、留意点等を含めコメントを付して情報提供を継続した ○ 58-59 通達 ・重大災害および災害多発時の通達など ・労働災害防止徹底通達 (4月) など発信、各主管部による安全会議開催 ○ 58-59 ・当社ISO9001にかかわるQMSの確実な運用 ・サーベイランス受審、不適合・観察事項0件でシステムの有効性を確認 ○ 48 顧客の品質ニーズ ・顧客ニーズと他社品調査等を受けた品質目的策定 ・品質基準改訂および規格票配布:27件 ○ 48 コンプライアンス・ リスク対策 ・製品の安全性確保 (社内基準100%遵守) ・微量成分、放射能濃度社内基準100%遵守 ○ 49 緊急時対応マニュアル ・品質問題発生時の対応手順見直し ・緊急連絡体制周知と重大品質異常時の対応マニュアルの改訂と周知実施 ○ 30,48 ・関係会・製品・サービス特定と品質保証体系とのリンク ・対象品リストの抽出実施、品質保証体制の現状把握実施 ○ 48 ・品質異常防止:前年度比20%減 ・対前年度比37%減 (件数) ○ 48 ・物流過程重大事故0件、 苦情前年度比20%減 ・重大事故0件、 苦情件数対前年比39%減 ○ 48 ・関係会社の課題把握、リスク低減策と対策の具現化 ・グループ会社品質保証体制の拡充実施 ○ 48,50 ・再認証審査受審、軽微な不適合2件、観察事項12件、認証継続 ○ 34-35 活動主体 品質管理委員会 1. 品質マネジメントシステム QMSの維持改善 2. 品質リスク管理 3.関連製品対応 品質保証体制の確立 4. 品質異常、苦情、クレーム対策 人権/環境/消費者課題/コミュニティ参画および発展 顧客満足度向上 活動主体 環境経営委員会 1. 全社EMSの推進 システムの継続的改善と効果的運用、認証の継続 2. 地球温暖化対策への対応 省エネ法、温対法 ・セクター別ベンチマーク指標:3,891MJ/t以下(出荷含む) ・2013年実績:3,872MJ/t (ベンチマークに対し19MJ/t 減) ○ 39-41 低炭素社会実行計画 ・セメント製造エネルギー原単位3,391MJ/t以 下 (2020年度業界目標) ・当社 3,380MJ/t ○ 39-41 埼玉県実行計画 ・目標:基準年比 -6% ・第一計画期間:実績見込み -11.2% ○ 39-41 ・関係会社で発生した発塵事例をEMSに則り、各工場での是正予防処置に横展 し、類似トラブル防止 ・キルン EP の BGF 化:2014 年 6 月藤原 5K 設置完了、2015 年 6 月埼玉 6K 設 置完了 ・法規制動向の把握と対応策策定 ○ 35 ・環境月間活動:社長メッセージ配布、実績(含むグループ会社)を社内報に掲載、ポー タルサイトにて啓発実施 ・通年クール・ウォームビズ実施 ・本社ビル防災訓練実施および各工場で緊急事態の特定と想定訓練を実施 ○ 35 ・ネットCO₂排出原単位686kg-CO₂/t-cementitious ・NOx、SOx、ばいじん排出量:1,404、75、50g/t-clinker ○ 40,44, 64-65 ・「役員と語る会」全事業所実施によるトップマネジメント浸透 ・e-ラーニングによるコミュニケーションスキルの向上(在職管理職修了率80%) ○ 57 ・当社既存指針・方針等の確認実施、グループ各社の理念・指針の実態調査実施 ○ 24-25 ・国際標準との整合 ・和文9月、英文10月発行完了、GRI-G4コア準拠、環境コミュニケーション大賞・優良賞受賞 ○ 66 ・評価のフィードバック ・CSR経営委員会へ評価結果から見た当社CSR取り組み状況を報告 ○ 24,28 ・各事業所の活動情報を収集整理し横展開できるよう、ポータルサイトで情報提供 ○ 60-63 3. 環境リスク(大気汚染) 対策 環境法規制違反・環境汚染事故に対するリスク低減 4.教育・啓発・情報 環境に係る啓発事項 5. WBCSD-CSI活動 KPIデータの収集、集計、評価、開示 活動主体 ステークホルダー・コミュニケーション委員会 1.コミュニケーション活発化 従業員の意識改革 ・従業員意識調査結果に基づく課題解決策実施 2.CSR経営のグループ会社への浸透 グループ会社へのCSR浸透策の検討 3.CSRレポート制作・発行 伝達性・内容の向上 4.SRI調査等への対応 CSR活動向上 5.社会とのコミュニケーション 地域とのコミュニケーション 活動主体 ・地域活性化を支援する活動の検討、 実施 その他 「グループトップ層向けCSR研修」の実施 ・11月実施(95社参加) ○ 25 グループ会社地域社会関係情報定期報告の実施 (年2回) ・4月、10月実施 ○ ー グループ法務懇談会の開催 ・11月実施(98社・111名参加) ○ 31 ※ 実績欄は、各専門委員会の2015年3月末の実績報告を記載。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 27 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み コーポレート・ガバナンス コーポレート・ガバナンスの強化は、企業価値を高め、株主の皆様をはじめ、 すべてのステークホルダーに対する責任を果たすために不可欠です。 信頼される企業として、さらなる経営の健全性確保に取り組んでいきます。 太平洋セメントグループの経営体制 ▶ ています。なお、監査役室を設置し、室長以下 3 名の G4-34, 35, 38, 39, 40, 44, 45, 46, 49, 52, 53 体制で事前情報の提供など、監査役の業務を全般的に 補助しています。また、監査部を設置して内部監査を ● コーポレート・ガバナンス体制 経営機構は、取締役会と監査役会を基本としていま 実施し、改善すべき事項を明らかにした上で、社長に す。法令および定款に基づく事項や経営の意思決定事 監査結果の報告を行い、内部監査の実効性をより高め 項は取締役会で決議します。取締役会の議長は、代表 ています。 権を持たない会長が務めています。その他の重要事項 そのほかに CSR 経営委員会を設置し、事業活動のあ は経営会議において決定しています。また、執行役員 り方を CSR の観点から見直し、コーポレート・ガバナ 制度を導入し、法令の範囲内で経営の意思決定および ンスの強化を図っています。 監督機能と業務執行の分離・区分に努めています。 取締役は代表取締役 2 名を含めて13 名(うち社外取 締役 2 名、いずれも独立役員)です。また、執行役員は 2014 年度は取締役会を 14 回開催し、出席率は取 締役、監査役いずれも 100%でした。2014 年度の経 営会議の開催回数は 23 回でした。 取締役兼務者 8 名を含めて22 名で構成されています。 取締役候補は、当社グループの経営理念を実現し、社 会的責任を果たすためにふさわしい資質・能力をもっ ● 役員報酬に関する事項 役員報酬は、株主総会の決議により、取締役および た人材を、取締役会で決議の上、株主総会に上程し、 監査役の報酬限度額を決定しています。各報酬額につ その議決をもって選任されています。 いては、取締役は取締役会の決議に、監査役は監査役 監査役は4名(うち社外監査役2名、いずれも独立役 の協議により決定しています。取締役の報酬は固定報 員)です。社外取締役は経営全般に対する監視・監督 酬と変動報酬で、社外取締役および監査役の報酬は固 を行い、社外監査役は取締役の職務執行の監査を行っ 定報酬のみで構成されています。2014 年度の取締役 の年間報酬総額は 658 百万円(対象:11 名)、監査役 の年間報酬総額は 86 百万円(対象:6 名)でした。 ■コーポレート・ガバナンス体制図 株主総会 選任・解任 選任・解任 選任・解任 内部統制システム ▶ 監査 監査役会 連携 会計監査人 補助 取締役会 監査役室 (経営の意思決定・監督) 監査 報告 選定・解職・監督 選任・解任 代表取締役 役付執行役員 報告 CSR 経営委員会 決裁・指示・監督 執行役員 28 「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、①業 務の効率性 ②リスク・コンプライアンス ③財務報 告の観点から内部統制システムを構築し、諸活動の充 実に取り組んでいます。2015 年 4 月 28 日取締役会 経営会議 (重要案件の審議) 本社、支店、工場、研究所 (業務執行) G4-46 監査 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 監査部 ※高度な専門性 などが要求され る意思決定や業 務執行にあたっ ては、常 任の法 律顧問をはじめ、 顧問法律事務 所 、経 営コンサ ルタント等、専門 家のアドバイス を受けています。 決議にて、 「会社法の一部を改正する法律」および「会 社法施行規則等の一部を改正する省令」で新たに追加 された規定等に基づき、本方針を一部改定しました。 当社は、本方針を基本に2014 年度の財務報告に関 わる内部統制は有効であるとの内部統制報告書を作成 しており、監査法人からもすべての重要な点において 適正に表示しているとの意見表明がなされています。 CSR マネジメント コーポレート・ コーポレート・ ガバナンス リスクマネジメント コンプライアンス リスクマネジメント コンプライアンス 法令遵守およびリスク管理は、事業活動の基盤です。 事業の健全性と持続可能性を維持・向上させるために、より実効性の高いリスク管理活動、 グループ会社におけるコンプライアンスの徹底に取り組んでいます。 リスク管理・コンプライアンスの基本方針 ▶ G4-56, DMA, SO4 背景にある社会通念やグループ経営理念、当社行動指 針、社内諸規程の遵守を含むものとなっています。 ● リスク管理基本方針 当社においてひとたび重大なリスクが顕在化すれ ば、当社の経営資源が損なわれるだけではなく、当社 を取り巻くステークホルダーにも悪影響を与え、信頼 関係が崩壊し、社会的な信用を失墜するなど、極めて 深刻な影響がもたらされるおそれがあります。 このため、事業を継続し持続的に発展することを目 的として、以下の通りリスク管理に係る基本方針を定 め、リスク管理体制を整備するとともに実効性あるリ 【 コンプライアンス基本方針(要旨) 】 ◦ 経営理念、行動指針、社会規範の遵守 ◦ 社内諸制度・規程の整備と周知徹底 ◦ グループ各社の連携と教育・啓発活動推進 ◦ 問題発生時の適切な対応と施策打ち出し ◦ 必要な情報の適時・適切な開示とコミュニケーション ◦ 国際基準・ルール遵守と現地文化・習慣尊重 ◦ 反社会的勢力・団体の不正・不当な要求拒否 スク管理活動を推進し、重大なリスクの低減と、顕在 化したリスクによる損失の最小化に努めています。 リスク管理・コンプライアンス推進体制 ▶ 【 リスク管理基本方針 】 1. 当社は、製品・サービスの品質と安全性を確保し、従業員 および家族の生活と安全を守り、ステークホルダーから 一層の信頼を得るため、リスクの予防と低減に努める。 2. 当社は、事業活動を取り巻く様々なリスクを適切に 管理するための体制を整備する。 3. 当社は、計画・実践・評価・是正のサイクルを通じて リスク管理を推進する。 リスクが顕在化した際に迅速かつ適切に対処する。 4. 当社は、 5. 当社は、当社グループ各社と連携し、事業環境の変化 に伴い新たに生じるリスクを機敏に感知し、太平洋 セメントグループとして迅速かつ適切に対処するた めの体制を構築する。 G4-46, 47, 58, SO4 リスク管理・コンプライアンス推進の最高責任者は 社長であり、社長より指名された統括責任者(総務部 担当役員)が、組織的かつ計画的にリスク管理・コン プライアンス推進活動を推進するため、 「リスク管理・ コンプライアンス委員会」を主宰・運営しています。 同委員会は、方針の展開、全社リスクの洗い出しと特 定、PDCA サイクルによるリスク管理活動ならびに コンプライアンスを推進する役割をはじめ、リスク管 理・コンプライアンスに関する規定の制定や改訂、従 業員への啓発・教育推進など、当社グループのリスク 管理・コンプライアンス推進の中核を担っています。 2014 年度は、委員会を4回開催しました。 委員会の下、各事業所ならびにグループ会社に、そ れぞれ「リスク管理・コンプライアンス責任者」と ● コンプライアンス基本方針 「リスク管理・コンプライアンス推進者」を置き、リス 当社は「行動指針」において“法令遵守と社会の良 ク管理・コンプライアンス推進に関する具体的な取り 識に則り行動する”ことを宣言し、コンプライアンス 組みを行っています。また、グループとしてのリスク はCSR 経営の基盤と考え、2005 年 3 月に「コンプラ 管理とコンプライアンスを確かなものとするため当社 イアンス基本方針」を公表し、併せて「コンプライア はグループ会社に様々なサポートを提供しています。 ンス規程」を制定しました。当社の「コンプライアン ス」の定義は、狭義の法令遵守にとどまらず、法令の TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 29 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み その結果、①大気汚染 ②誹謗・中傷、悪評の流布 ■ リスク管理・コンプライアンス推進体制 ③在庫管理の失敗 ④納期・性能未達 ⑤遊休設備の 最高責任者:社長 統括責任者:総務部担当役員 リスク管理・ コンプライアンス委員会 委員長:統括責任者 (総務部担当役員) 委 員:本社各事業所長 管理不足 ⑥豪雨・洪水・内水氾濫 ⑦地震・津波 評価制度 (是正制度) 事務局: 総務部 全社リスク対策活動に加え、当社が 2014 年度に実 (従業員) (従業員) リスク 対 策 取 り 組 み 状 況 報 告 リスク管理・ コンプライアンス責任者 リスク管理・ コンプライアンス推進者 (内部通報制度) リスク管理・ コンプライアンス責任者 リスク管理・ コンプライアンス推進者 (内部通報制度) グループ会社 ンスの 10 種類の全社リスクを特定しました。 ● リスク対策活動 年度取り組み計画 本社各事業所 (研究所含む) 工場・支店 ⑧暴動・テロ ⑨輸送中の事故 ⑩財務コンプライア リスクの洗い出し・評 価 施した主なリスク対策活動は以下の通りです。 ■ リスク管理・コンプライアンス推進活動(2014年度) 主なリスク 全社リスク・ 対策活動 従業員の 不正・犯罪 • e-ラーニングによる教育研修を全従業員対象に毎月 実施 地震 「 • 大震災発生時の本社-現地(関西四国支店)連携訓 練」を本社および関西四国支店従業員対象に実施 「 • 本社震災対応マニュアル」 ( 自衛消防隊マニュアル 編) を改定 法令違反 • 不当要求対応に関するビデオの巡回上映を工場・支 店にて実施 •コンプライアンスに関するビデオの巡回上映を本社・ 工場・支店にて実施 リスク管 理の実 践・教 育 管理対象:グループ会社104社 (2015年4月現在) リスク管理・コンプライアンス推進活動 ● 全社リスクの洗い出し・評価 2013 年度に本社・工場・支店の 38 事業所を対象 として全社リスクの洗い出しを実施しました。 ■ 全社リスクの洗い出し・評価手順 事業環境の分析 ● 緊急対策本部 2014年度は緊急情報が8件ありましたが、緊急対策 本部を設置し対応するべき案件はありませんでした。 ● 危機管理広報トレーニング 記者会見の基本ルールを遵守しつつ、記者の質問に 内部環境および外部環境の変化を分析 (SWOT分析) 対して納得性が高い応答ができるかどうかを確認・評 定性リスク評価 価する「危機管理広報トレーニング」を 2015 年 2 月 今後新たに発生するリスク、今後増大するリスクを把握 リスク分類表に基づくリスクの洗い出し 161のリスク分類/ワーストシナリオを起案/ Man, Machine, Media, Managementの4Mの視点からワーストシナリオの 発生原因を特定/発生可能性、影響度、対策度からリスクを定量評価 新規・強化対策を立案・実施 30 主な活動 「 • 全社リスクの洗い出し・評価」を基に、以下の全社リ スクの対策を立案・実施 ①大気汚染 ②誹謗・中傷、悪評の流布 ④納期・性能未達 ⑤遊休設備の管理不足 ⑥豪雨・洪水・内水氾濫 ⑦地震・津波 ⑧暴動・テロ TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 に実施しました。 コーポレート・ ガバナンス CSR マネジメント リスクマネジメント コンプライアンス ● リスク管理・コンプライアンス推進研修(グループ会社対象) による通報も可としました。2014 年度の通報実績は リスク管理・コンプライアンスの効果的な実施のた 1 件であり、運用規程に則って適切に処理しました。 め、グループ会社のリスク管理・コンプライアンス責 任者ならびに推進者を対象とした研修を実施していま 社 報告 長 指示 指示 社外窓口 総務部担当役員 報告 総務部 報告 社内窓口 通報 保護 企業経営にかかわる重要な法律への理解を深め、グ 調査対応 ● グループ法務懇談会(グループ会社対象) 通報者 ライアンス診断演習」を11月に実施しました。 違法行為 関するグループ・ガバナンスの強化」および「コンプ 発見 す。2014 年度は、 「リスク管理・コンプライアンスに ■ 内部通報制度 ループ会社のコンプライアンス体制整備の一助とする ため、法令改正への対応などを中心として法務情報を 共有する場として、グループ会社の経営層・法務担 情報セキュリティ 当者による懇談会を 2005 年度から開催しています。 2014 年度は以下のテーマで行いました。 当社では、情報資産のセキュリティを確保するた め、 「情報セキュリティ管理規程」を制定し、これに基 ■ グループ法務懇談会開催実績(2014年度) 開催回 第21回 開催日 2014年 11月28日 参加人数 98社 111名 テーマ • 不良品を売るとどうなるか • 商業登記の実務における注意点 づく管理体制のもと、積極的に情報セキュリティ保持 活動に取り組んでいます。 2014 年度は、強化取り組み事項として、 「ソーシャ ルメディアポリシーの制定と周知」、「モバイルパソコ ンのハードウェア・ソフトウェア情報およびログの収 ● 内部通報制度 社内手続に則る報告・申し出に適正に対処するとと もに、 「コンプライアンス・ホットライン」を設置して 集」、「メール添付ファイルの自動暗号化」を重点に取 り組みました。情報セキュリティに関する重大な事故 等は 2014 年度もありませんでした。 います。通報受付窓口は社内(総務部 CSR 推進グルー プ)、社外(弁護士事務所)にあります。社内では、担 当者だけが入室できる施錠された専用の部屋に専用回 線の電話・FAX と専用アドレスのパソコンを設け通 ■ 情報セキュリティ体制 CSR 経営委員会 (情報セキュリティ最高責任者:社長) 報の守秘を担保しています。グループ会社従業員も当 情報セキュリティ委員会 社社外窓口の利用を可能とし、グループガバナンスの 情報セキュリティ統括責任者 強化、制度の実効性向上と各社の負担軽減を図りまし 情報セキュリティ担当責任者 た。また、この制度を利用したことを理由に通報者に 不利益な取り扱いがなされないよう「内部通報制度運 用規程」に定めています。さらに、2015 年 1 月に「内 部通報制度運用規程」を改定し、顕名(所属・氏名を 評価・指導 各事業所 グループ会社 情報管理責任者(事業所長) 情報取扱責任者(業務部長・選任者) 明らかにする)に加え、匿名(所属・氏名を秘匿する) TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 31 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 知的財産の保護と活用 して一般化学業界の傾きは 2.8 と大きく、発明創出効 果が高い業種であり、その中でも当社(赤丸)は平均以 ● 知的財産方針 当社は、事業戦略・研究開発戦略とベクトルの合った 上の位置を占めており、研究開発投資が有効に発明に 結びついていることが分かります。 知的財産活動を展開し、知的財産による太平洋セメント グループの収益向上に貢献することを知的財産基本方 針としています。 ● 知的財産管理体制 ■ セグメント別国内特許出願件数 (件) 300 250 200 当社では、「知的財産取扱規程」を制定し、これに 150 基づく管理体制のもと知的財産活動に取り組んでいま 100 す。知的財産部は本社と中央研究所に部員を配置し、 本社では主に管理業務、中央研究所では出願、権利化、 調査業務を行っています。また、事業部門、中央研究 セメント 環境 資源 単体 建材 205 197 2011 2012 セラミックス・エレクトロニクス 212 156 その他 181 50 0 2010 2013 2014(年度) セラミックス部門は他社へ事業譲渡したため、2014年度の関連特許の出願は ほとんどありませんでした。 所に知的財産業務の窓口として知的財産推進者を配置 し、知的財産部と連携し戦略的に知的財産活動を推進 しています。さらに、定期的に主要グループ会社の知 的財産担当者を招集して情報交換や勉強会を行うとと もに、個々の業態に応じた指導を行い、グループ会社 の知的財産活動の推進にも取り組んでいます。 ■ 国内保有特許権のセグメント別割合(2014年度) 単 体 セラミックス・ エレクトロニクス その他 4% 6% 建材 3% 合計 セメント 986件 環境 45% 31% 資源 ● 保有知的財産の概略 11% 2014 年度末時点での当社の出願中特許は 585 件、 保有特許権は 986 件、登録商標は241 件です。また、 セラミックス部門の事業譲渡に伴い保有特許権も譲渡したため、2013年 度と比較して総件数が減少しました。 グループ全体での保有特許権は約 1,800 件です。 保有特許権についてはセメント分野が多くを占めて いますが、ここ数年の出願の特徴は、当社の事業戦 略・研究開発戦略に対応して環境、資源分野の出願比 率が高くなっていることです。またビジネスとして収 益拡大につなげるには1つの特許だけではなく、その 周辺技術についても特許化する必要があるとの方針か ら、 「特許網の強化」を図って積極的な特許出願を進め ています。 一般化学分野の企業を対象とした、研究開発費と国 内特許出願件数(2012 年度実績)の関係は、全業種を 対象としたグラフの近似式の傾きが 0.9 であるのに対 32 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ■ 研究開発費に対する国内特許出願件数 (件) 10,000 y = 2.7635x R²= 0.8801 当社 1,000 100 10 1 1 10 100 1,000 年間研究開発費 (億円) 「知的財産経営に関する実態調査 (2013年11月) 」 (日本知的財産協会) を 元に当社で作成 コーポレート・ ガバナンス CSR マネジメント ● 知的財産リスク対策 リスクマネジメント コンプライアンス の意識の教育・啓発を図りました。上述の知的財産担 知的財産の取得・管理は、 「知的財産の取得・管理 当者による情報交換や勉強会の実施も含め、グループ 指針」 (経済産業省)に沿って独自に作成した「知的財 全体としての知的財産管理・活用力の向上を図ってい 産戦略ガイドライン」を指針とし、個々の事業の実態 ます。 に即した展開を図っています。 出願後の特許などの知的財産は、知的財産部のデー ■ 知的財産に関する社内研修体系 高 タベースによって一元管理されています。 特許権侵害防止研修 他社権利に対する侵害リスク防止は、選択的な特許 レベル 特許調査研修 情報の定期的回覧、問題特許監視制度、特許確認制度 明細書作成研修 等によって日常的に行っています。また、社内教育に 工場・支店研修 より従業員の意識付けの徹底を図っています。これま 入門研修 でに知的財産権侵害で訴えられ、事業に支障の出た事 低 新入従業員 例はありません。 営業秘密の管理や技術流出の防止などに関しては、 リーダー 中堅技術者 部長 ■ 知的財産研修開催実績(2014年度) それぞれ「リスク管理要綱」 、 「情報セキュリティ管理 研修内容 (単位:名) 参加人数 従業員 グループ会社 合計 規程」、「文書管理規程」 、 「ノウハウ判断ガイドライ 入門 14 23 37 ン」を定めて運用することで対応しています。さら 明細書 11 6 17 侵害防止 85 0 85 著作権 31 0 31 0 20 20 50 0 50 191 49 240 に、 「知的財産権取扱規程」に基づく実績補償⾦の支払 いを発明者に対して行っています。 グループ会社については、知的財産権取扱規程の整 備、あるいは発明者との譲渡契約の締結を徹底するよ 不正競争防止法 特許法改正 合計 うに指導し、これらの整備・指導を完了しています。 また、国内のみならず海外へのライセンスも戦略的 に行っていることから海外ライセンスのリスク対策に も注力しています。 ● 教育・啓発 知的財産意識啓発のため、研究部門と技術開発部門 を中心に国家資格である知的財産管理技能検定の受験 特許権侵害防止研修 を推奨しています。また、日本知的財産協会の講習会 の利用や、中央研究所および本社での社内研修の開催 ● ライセンス関連活動 など、従業員の教育・啓発にも力を注いできました。 自社の事業活動に強みを発揮することを優先に研究 2014 年度は表に示すような研修を実施し、グルー 開発を行っていますが、有用な技術を他社にライセン プ会社も含めて 240 名の参加がありました。研修を スすることにも前向きに取り組んでいます。もちろ 通じて従業員の知的財産に関する意識を高めるととも ん、自社事業に貢献することが見込まれる場合は他社 に、権利侵害リスクや他社による自社権利侵害発見へ からライセンスを受ける場合もあります。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 33 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 環境マネジメント 環境経営委員会を設置し、社内横断的に環境戦略を立案し、積極的に環境問題の解決に取り組んでいます。 2009年4月には、工場個別で進めていた環境マネジメントシステムを統合し、 全社環境マネジメントシステムとしてISO14001の認証登録を受け、環境パフォーマンスの向上に努めています。 環境経営方針 全社環境マネジメントシステム (EMS) ▶ G4-DMA 当社は環境経営方針により、汚染防止にとどまらず、 ▶ G4-DMA 当社は、1997年6月から工場単位のISO14001の認 循環型社会の構築、地球温暖化防止、環境負荷低減、水 証登録を開始し、1999年までに全工場が認証登録を受 資源保護や生物多様性といった社会的な環境問題への けました。2009年4月には、工場単位のマネジメントシ 積極的な取り組みを重要な経営課題と位置付けて、環 ステムだけでは不十分と考え、工場だけではなく本社・ 境パフォーマンスの向上に取り組んでいます。 支店・中央研究所にまで適用範囲を広げた全社EMSを 構築し、 (一財)建材試験センターにてISO14001認証 【 環境経営方針 】 太平洋セメントは、社会的な環境問題への積極的な 取り組みを重要な経営課題と位置付け2006年1月に 「環境経営方針」を制定しました。以下の6項目に重点的 に取り組むとともに、国際社会から地域社会までの広 範なステークホルダーとコミュニケーションを図り、 WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)セ メント産業部会の一員として、持続可能なセメント産業 の在り方を追求していきます。 2006年1月制定 2012年4月改定 1. 環境に配慮した事業活動 事業活動における環境影響を適切に評価し、環境管理の徹 登録を受けました。2015 年 3 月には全社として第 2 回目の更新審査を受け認証登録を継続しています。 ● EMS体制 トップマネジメント(生産部担当役員)が委員長を 務める「環境経営委員会」を組織し、環境経営におけ る最高意思決定機関としています。環境経営委員会の 下、工場部門、鉱業所部門、支店の管理を本社所管部 が行う「アンブレラ方式」を採用しています。 ■ 全社EMS体制図 底ならびに環境負荷の低減に役立つ製品・技術の開発と採 環境経営委員会 用により、環境効率の向上に取り組む。あわせて地域社会 の一員として、良好な環境の保全に努める。 事業活動において適用を受ける環境に関連する法規制な らびに当社が同意するその他要求事項を確実に遵守する。 3. 資源循環型社会への貢献 セメント産業固有の能力と機能を活かし、産業や生活から 発生する廃棄物等をセメント原燃料として資源化する。 4. 地球温暖化問題への積極的な取り組み 事業活動全体にわたり一層の省エネルギー化を推進する とともに、社会全体の温室効果ガス排出削減に繋がる技術 開発に挑戦する。 5. 国際協力 当社が保有する環境保全や省エネルギーならびに廃棄物 等のリサイクルに関する技術の海外への移転と普及を促 進する。 6. 自然保護への取り組み 自然との共生に役立つ製品と技術を提供するとともに、自 然保護活動に取り組む。 所管部 2. 環境法規制等の遵守 生産部環境管理グループ 生産部、鉱業部、総務部、 セメント事業本部・管理部、営業部、 資源事業部、環境事業部 各工場 各鉱業所 トップマネジメント 生産部担当役員 EMS事務局 その他 本社 事業所 各支店 中央 研究所 ■ グループ環境目標 WBCSD CO₂排出削減目標 当社ならびにグループのセメント製造に伴うCO₂排出を ネットCO₂排出原単位で 2015年度までに2000年度比で4.5%削減します。 [CSR目標2025] 2025年度までに10%削減します。 主要大気汚染物質の削減目標 当社ならびにグループのセメント製造拠点において キルン主煙突から排出される NOx、SOx、ばいじんの排出原単位(g/t-clinker) を 2015年度までに2010年度比で5%削減します。 34 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 ● グループの取り組み状況 環境負荷の低減 水資源の適正利用 生物多様性の保全 環境法令遵守の状況 国内外の当社グループのセメント会社は、それぞ れ 環 境 保 全 に 取 り 組 ん で い ま す。2014 年 度 現 在、 環境配慮型の製品・ 技術サービス ▶ G4-EN29, EN34 ● 環境事故 ISO14001 の認証工場で製造されるセメントは、全 2014 年度も当社では、罰金・科料を受けるような 製造量の 95%以上に達しています。ISO の認証を受 法令等の違反はありませんでした。また、工場敷地外 けていない工場においても、独自の EMS を運営して に影響の出た可能性のあった環境事故もありませんで います。 した。グループの鉱山会社で発破による飛び石事故が 2 件ありましたが、防止対策を講じました。 ● 内部環境監査 2014 年度も、当社の全事業所を対象として内部環 境監査を実施しました。 ● 環境事故対策 各工場では、環境事故を想定した「緊急時対応計画」 本年度の監査の重点観察項目には、共通事項として を作成しています。そして、定期的に地元消防署と協 法令およびその他の要求事項の順守評価の確認、外部 力した消防訓練、環境事故発生時の影響緩和措置、行 コミュニケーションの確認を、工場特定事項として環 政への通報などの訓練を行っています。 境不適合に関する是正・予防処置のフォロー状況、緊 急事態への対応状況を特定しました。 ● 環境苦情 監査の結果、総指摘件数は24 件(内改善要求したも 利用する廃棄物・副産物の多様化と増加に伴い、環 の 4 件) 、改善要求した4 件については、すべて是正処 境に配慮する事項が増加しています。屋内型置き場や 置を講じました。 密閉式受入設備の設置増設ならびに煙突の改良など、 各種の環境対策を実施することにより環境影響の低減 ● 環境教育 に努めています。寄せられた環境情報に対しては、で 当社では、6 月の環境月間にあわせ社長メッセージ きる限り速やかに現地に出向いて、状況を確認すると の発信やポータルサイトに設けた環境のページで各種 ともに、原因を調査し状況を説明の上、当社に起因す の教材の提供を通して環境に関する啓発ならびに教育 る場合には改善策を実施しています。 を、グループ会社を含め奨励しています。それぞれの 2014 年度にセメント工場に寄せられた環境情報は 職場で環境に関するDVDの視聴や講演会の開催、美 23 件で、うち7件に当社に原因のある環境苦情とし 化運動などに取り組んでいます。2014 年度も、グ て対応しました。 ループ会社を含め200 件以上の活動が行われました。 ■ 環境苦情件数の推移 (件) 20 単体 その他 悪臭 水質 振動 騒音 大気・粉じん 17 15 12 10 10 7 7 5 0 2010 2011 2012 2013 2014 (年度) 公害委員パトロール(大分工場) TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 35 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 事業のマテリアルバランス ▶ G4-8, 9, 17, 23, EN1, EN2, EN3, EN15, EN16, EN21, EN22, EN23 当社は、低炭素社会の実現と資源循環型社会の構築に貢献すべく、 事業活動における様々な環境への影響を把握、管理し、製造プロセスで発生した熱を廃熱発電で回収したり、 廃棄物、副産物を原燃料として使用するなどの努力を続けています。 I N PU T エネルギー 原料 石炭 (t) 2,304,399 石灰石 (t) 33,206,397 314,837 15,189 1,078,884 603 軽油 (kℓ) 14,866 (t) 天 粘土 然 (t) 資 けい石 源 石膏 (t) 灯油、 その他 (kℓ) 15,923 その他 (t) 石油コークス (t) 重油 (kℓ) 18,677 555,772 廃棄物燃料 (t) 購入電力 (MWh) 123,142 鉄原料 (t) 259,413 廃 副産石膏 (t) 491,406 棄 物 ・ フライアッシュ・石炭灰 (t)2,031,406 副 産 (t) 978,523 物 高炉スラグ 637,945 70,000 60,000 50,000 61,655 40,000 53,752 30,000 20,000 10,000 2010 発電 2011 2012 耐火物 (t) 粉砕媒体 鋳鋼品 (t) 3,833 14,180 1,232 潤滑油 13,640 薬品類 (kℓ) その他 (t) 2013 389 うち工業用水(千m3) 3,459 うち河川水(千m3) 9,502 うち地下水(千m3) 8,002 うち雨水(千m3) 404 うち海水(千m3) 152,533 (千m3) 36,143 250,000 40,587 38,869 39,950 200,000 180,233 30,000 150,000 20,000 100,000 10,000 50,000 0 2014 (年度) 174,289 うち上水(千m3) 10,920 48,155 50,000 40,000 0 火薬 (t) ■ 水資源投入量 (千t) 78,093 79,334 60,099 添加剤等 (t) 9,873 ■ 総物質投入量 ■ 総エネルギー投入量 80,000 用水 用水計 (千m3) 2,353,200 その他 (t) (千GJ) 材料 2010 2011 2012 石炭・石油コークス・用水等 2013 2014 (年度) 0 140,300 2010 2011 154,377 2012 電力 発電所 資源 電力 軽油・火薬等 骨材等 鉱山 セメント 石炭・購入電力・添加剤等 石灰石等天然鉱物 石灰石等製品 セメント工場 環境 廃棄物・副産物 アッシュセンター 36 排煙脱硫材等 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 フライアッシュ製品等 サービスステーション 174,938 174,289 2013 2014 (年度) 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 環境負荷の低減 水資源の適正利用 環境配慮型の製品・ 技術サービス 生物多様性の保全 ●集計範囲: 当社単体の鉱山・工場 (自家発電所を含む) ・サービスステーションと、当社に原料を供給して いる以下の子会社鉱山(7社8鉱山)と発電事業を行う関係会社(2社、2013年度より追加)に おいて、セメント、資源、環境、発電の4事業を対象として集計しています。 新津久見鉱山 (大分県) 田海鉱山 (新潟県) 三輪鉱山 (埼玉県) 叶山鉱山 (群馬県) 糸魚川発電所 (新潟県) 大船渡鉱山 (岩手県) 龍振鉱業株式会社 武甲鉱山 (埼玉県) 武甲鉱業株式会社 御堂鉱山 (埼玉県) 秩父鉱業株式会社 藤原鉱山 (三重県) 株式会社イシザキ 土佐発電所 (高知県) 土佐発電株式会社 大分太平洋鉱業株式会社 明星セメント株式会社 秩父太平洋セメント株式会社 秩父太平洋セメント株式会社 糸魚川発電株式会社 OU T PU T CO 2排出量 NOx排出量 CO2(千t) 13,467 ※ うち購入電力分 (千t) 219 廃棄物等の排出量 NOx (t) 24,480 ※ (t) 10,000 11,508 12,593 14,983 13,467 30,000 20,000 22,608 21,768 2010 2011 2012 2013 2014 0 (年度) ※セメント・発電事業のみ (購入電力分は除く) 400 2010 2011 2012 2013 0 2014 434 2,000 2010 1,074 672 2011 2012 2013 2014 (年度) 600 400 316 379 2010 2011 284 200 0 2012 475 ※セメント・発電事業のみ (購入電力分は除く) 0.07 2013 2014 総排出量(g-TEQ) 165,485 うち海水 (千m3) 152,533 うち淡水 (千m3) 12,651 302 400,000 300,000 調査対象キルン数 (基) (ng-TEQ/m3N[O2=12%]) 2014 (年度) (千m3) (年度) 200,000 175,889 134,670 149,715 162,590 165,485 100,000 2012年度 2013年度 2014年度 排ガス平均濃度 2013 うち生活雑排水 (千m3) 434 ダイオキシン類排出量 ダイオキシン類※ (g-TEQ/年) 2012 258 204 排水 (千m3) 800 2,457 2,331 2011 38 水域への排出量 ばいじん※ (t) (t) 6,000 45 2010 (年度) ※セメント・発電事業のみ (購入電力分は除く) (t) 0 600 ばいじん排出量 2,331 3,664 655 200 SOx排出量 SOx※ (t) 4,000 18,438 800 198,749 最終処分量 (t) 25,388 24,480 10,000 5,000 0 258 金属くず等有価物 (t) (千t) 15,000 13,015 264 うち最終処分量 (t) ※輸送によるCO2は別途算出 (P.43参照) 20,000 外部処理委託廃棄物等 (t) ※セメント・発電事業のみ (購入電力分は除く) 12 12 12 0.004 0.002 0.002 0.15 0.10 0.07 0 発 電 事 業 資 源 事 業 セ メ ン ト 事 業 環 境 事 業 2010 2011 2012 2013 2014 (年度) 電力[売電( ]MWh) 1,766,942 骨材 (t) 8,479,775 石灰石製品 (t) 8,016,829 その他 (t) 270,032 ポルトランドセメント (t) 14,050,882 混合セメント (t) セメント系固化材 (t) クリンカ[輸出用等( ]t) 2,216,627 561,765 事 業 別 製 品 1,175,643 排煙脱硫材 (t) 294,812 フライアッシュ製品 (t) 192,489 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 37 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 環境会計 当社では事業活動に伴う環境負荷の把握と併せて、環境保全に要したコストを網羅的に抽出することで、 事業活動や設備投資の費用対効果を的確に評価できると考え、環境保全のコストと効果を集計しています。 ■ 環境保全コスト 単体 ▶ 分類 内訳 事業エリア内コスト 公害防止コスト 地球環境保全コスト 資源循環コスト 上・下流コスト 管理活動コスト 研究開発コスト 社会活動コスト 環境損傷対応コスト G4-EC2, EN31 (単位:百万円) 主な取り組みの内容 水質汚濁防止ほか 廃棄物前処理設備ほか 廃棄物処理コストほか 原燃料リサイクルコストほか 環境マネジメントほか セメント製造プロセス革新ほか 工場見学対応ほか 汚染負荷量賦課金ほか 合計 12年度 2,420 1,241 1,051 128 3,520 93 135 4 2 6,174 投資額 費用額 13年度 14年度 12年度 13年度 14年度 1,964 2,868 18,292 15,291 15,383 795 1,944 8,304 6,926 6,582 937 779 8,582 7,638 8,098 231 144 1,406 727 703 1,639 2,026 5,837 5,766 5,218 42 75 323 352 509 249 295 425 486 660 0 0 18 28 22 2 33 106 123 99 3,896 5,297 25,001 22,046 21,891 (単位:百万円) 項目 12年度 13年度 14年度 当該期間の 投資額の総額 16,153 16,875 21,462 当該期間の研究 開発費の総額 862 969 1,109 ● 「セメント資源化システム」の取り組みによる外部経済効果の算定 当社では、外部からの廃棄物利用拡大に伴う社会的 認識しています。2014 年度は、震災廃棄物処理終了 な環境負荷低減効果を貨幣価値に換算し、 「外部経済 に伴う廃棄物・副産物の利用減により若干外部経済効 効果」として評価しています。一種のみなし効果です 果が減少しました。 が、2014 年度は1,017 億円の社会的効果を上げたと ■ 外部経済効果(2014年度) 単 体 インパクト G4-EC1, EC2 インべントリ 地球温暖化 インベントリ 設定市場価格 (円/t) 外部経済効果 (億円) 3,135,472 818 26 削減量( t ) CO₂ エネルギー資源枯渇 鉱物資源枯渇 ▶ 292,535 18,400 54 天然原料 原油 5,134,121 1,000 51 廃棄物 5,906,832 15,000 最終処分場枯渇 合計 886 1,017 (億円) 1200 900 1,021 1,017 731 600 0 2012 2013 外部経済効果の算定方法について ◦当社で他産業の廃棄物リサイクルを行わない場合に、社会全体が受ける環境影響を独自の方法で算定したものです。 ◦WBCSD-CSIのCO₂プロトコルで収集したデータ等から廃棄物 ・ 副産物を使用したことによる化石エネルギーや天然原料の使用削減量を計算しました。 ◦削減量(環境保全効果)に、当社で設定した市場価格を乗じて経済効果に置き換えています。 それぞれのインベントリの市場設定価格は2000 年度から据え置いていますが、設定の根拠は以下の通りです。 CO₂:炭素税 3,000 円 /t、原油:輸入価格、天然原料:購入価格(仮定) 、廃棄物: (管理型処分場)の処理費用(首都圏) ◦この算定方法による外部経済効果のうち、一部は当社損益に反映されています。 プロジェクト別環境会計 上磯工場 都市ごみ焼却灰受け入れ設備新設 ▶ G4-EC2, EN31 上磯工場では、年間約 5 万トンの都市ごみ焼却灰の受け入れ能力を有する設備を新 設して、2013 年度から北海道内で発生する都市ごみ焼却灰を受け入れ、セメント原 料として処理しています。この処理により上磯工場は、北海道で逼迫していた廃棄物 の埋立処分場の延命に貢献しています。 上磯工場 投資額:約23億円 38 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 埋立処分場延命効果:約10億円/年 (埋立処分費用20,000円/tとして計算) 2014(年度) 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 環境負荷の低減 水資源の適正利用 生物多様性の保全 環境配慮型の製品・ 技術サービス 地球温暖化防止 当社グループは、全社EMSならびにWBCSD-CSIの活動展開の中で 地球温暖化防止に向けてセメント工場を中心とし輸送部門やオフィス部門をも含めて 温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいます。 温室効果ガス排出状況と取り組み対象 ▶ G4-14, EN15, EN16, EN17 当社グループの中心的な事業はセメント事業です。 ● 温室効果ガス排出量の集計・公表と削減目標・取引 ◦ 省エネ法・温対法 当社は、エネルギーの使用状況を「エネルギー使用 セメントは 1,450℃という高温での焼成が必要なこ の合理化に関する法律」に準じて、温室効果ガスの排 と、焼成過程の化学反応により原料である石灰石が脱 出状況を「地球温暖化対策の推進に関する法律」に準 炭酸(CaCO₃ → CaO+CO₂)することなどから、製造 じて集計し報告しています。 過程で多量の CO₂が発生します。 国内の関係会社のうち、 「地球温暖化対策の推進に ◦ WBCSD-CSI 関する法律」に準じて事業者別温室効果ガス排出量 WBCSD-CSI の メ ン バ ー と し て、CSI で 定 め た が公表されている会社(発電事業会社を除く)の総排 CO₂ プロトコルにしたがって当社グループのセメン 出量に占めるセメント製造会社分は約 94%(2012 年 ト製造工場ならびに粉砕工場のセメント製造にかかわ 度)でした。また、当社の温室効果ガス排出量のうち、 る CO₂ を集計し公表するとともに 2015 年度までに サービスステーション、本支店、特定荷主、購入電力 2000 年度比でネットCO₂ 排出原単位を4.5% 削減す にかかわる部分は約 5%(2014 年度)でした。また、 るという目標を設定し、削減に取り組んでいます。 セメントの Scope3 の試算(下流はセメントが中間製 品のため計算せず)では、その排出量は Scope1,2 の 約 4%(2014 年度)でした。 ◦ 埼玉県目標設定型排出量取引制度 当社の熊谷工場ならびに埼玉工場が、埼玉県の目標設 このように、当社ならびにグループ各社の事業活動 定型排出量取引制度の対象となっています。それぞれ に伴って排出される温室効果ガスの大部分は、セメン 平成26 年度に6%削減の目標に対し、実績は14.2%と ト製造に伴うCO₂が占めています。そこで、セメント 8.5%となり超過達成しました。2期目の平成31年度の 製造に伴うCO₂を自らの努力により削減することを 目標達成に向け引き続き削減努力を続けています。 主要な課題として、 「CSR 目標 2025」においてセメン ト製造にかかわるネットCO₂排出原単位を2025年度 に2000 年度比 10% 削減するという目標を掲げ、温暖 化対策活動を展開しています。 ◦ 経団連低炭素社会実行計画 当社は、(一社)日本経済団体連合会で策定された 低炭素社会実行計画にセメント協会の一員として参加 また、当社では、2008 年度から全社 EMSを浸透・ し、セメント製造エネルギーを原油換算で2020 年度 定着させることにより、セメント工場だけでなく輸送 までに 2010 年度に対し 5.6 万キロリットル削減とい やオフィスにおける CO₂ 排出量の削減にも統合的に う業界目標の達成に向け努力しています。 取り組んでいます。 さらに、地球温暖化対策に関する企業の取り組みへ ◦ クレジットの取得状況 の期待の高まりと温室効果ガス排出に関する規制が強 クレジット獲得のための一つの手段として石炭から 化される中、WBCSD-CSIのコアメンバーの一員とし 未利用のバイオマスへのセメントキルン燃料代替に てセメント産業が公平効率的に温室効果ガス排出削減 よりJ-VERのクレジットを2011年度より獲得してい を実現できるよう、CO₂プロトコルの開発や国際的議 ます。 論の場で「セクター別アプローチ」の必要性の意見発 信を積極的にしています。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 39 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み セメント製造工程における取り組み ● 省エネルギー設備の導入 G4-EN3, EN5, EN6, EN18, EN19 当社グループでは、廃熱発電などの省エネルギー設 セメント製造に伴い発生する CO₂ の約 35% がエネ 備の導入やキルン運転の安定化・効率化によるエネル ルギー由来のもの、約 55% が原料の脱炭酸によるも ギー消費削減努力により、CO₂ 排出量の削減に取り組 の、約 10%が電力使用によるものです。 んでいます。 ▶ CO₂ の削減では、これまでも省エネルギー設備の導 2014 年度の当社グループのセメント製造会社の 入や省エネルギー活動に取り組んできました。さらに クリンカ焼成熱量原単位は、3,305MJ/t-clinker と これらを推進すると同時に廃棄物由来のエネルギー源 2013 年度より 19MJ/t-clinker 増加しました。この やバイオマス由来のエネルギー源の使用により、化石 原単位増加によりネットCO₂排出原単位が0.3%増加 エネルギーの使用割合を減らす等の対策を進めていま (石炭の排出係数 0.096kg-CO₂/MJ として換算)し す。また、原料の石灰石の脱炭酸に伴う CO₂ の削減 たと試算されます。 では、脱炭酸のないリサイクル資源の原料活用に取り 2014 年度の当社グループのセメント製造会社の 組んでいます。電力からの CO₂ の削減では、廃熱発 廃熱発電による発電量(セメント製造での使用量)は 電の導入を進めています。 496GWhで、消費電力の約 10.2%にあたります。外 2014 年度のネット CO₂ 排出原単位は、クリンカ 部の火力発電(排出係数を 0.69t-CO₂/MWh と設定) 焼成熱量の増加、廃棄物由来エネルギーの利用率の低 から購入した場合に比較し約 34.2 万トンの CO₂ 排出 下、混合材利用率の低下などにより 692kg-CO₂/ を削減したと試算されます。 t-cemetitious と、2013 年度に比較して約 0.9% 増 加しました。しかし、生産量が約 1.3% 減少したため ■ クリンカ製造のための熱量原単位 WBCSD 排出の絶対量は約 0.3% 減少しました。 熱量原単位(MJ/t-clinker) 3,500 3,321 3,287 3,300 ■ セメント製造によるCO₂排出量およびネットCO₂排出原単位 WBCSD Ver.3 排出原単位 (kg-CO2/t-cementitious) (千t) 42,000 725 700 707 675 650 29,848 699 694 31,512 32,019 686 32,225 692 32,116 38,000 26,000 2010 2011 2012 2013 3,286 3,305 3,100 2,900 2,870 2,829 2,803 2011 2012 2,771 2,814 2,700 0 2010 2014 2013 (年度) 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコル Ver.3」 34,000 30,000 625 0 Ver.3 排出量 うち、化石エネルギー分 3,316 0 2014 (年度) 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコル Ver.3」 ■ 廃熱発電量 WBCSD 発電量 (GWh) 600 電力代替率 487 400 515 456 10.0 9.4 (%) 15 496 10.5 10.2 5 200 0 10 2011 2012 2013 2014 (年度) 0 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコル Ver.3」 40 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 環境負荷の低減 水資源の適正利用 生物多様性の保全 環境配慮型の製品・ 技術サービス ● 代替エネルギーの使用 当社グループでは、廃タイヤ、廃プラスチック、廃 削減に取り組んでいます。主な取り組みとして、ト 油、木屑などを代替エネルギーとしてセメント製造 ラック部門においては、往復輸送の計画的実施やエコ に使用しています。2014 年度は当社グループのキル ドライブを奨励するとともに、各車両にデジタルタコ ンで使用するエネルギーの約 15% を代替化石エネル メーター、エコタイヤ等の省エネ装備の導入を奨励し ギーとバイオマスマスエネルギーでまかないました。 ています。船舶部門においては、省エネルギー技術を この代替エネルギー使用により CO₂ 排出量を約 187 追求しており、多くの省エネルギー技術を導入した船 万トン削減(石炭の排出係数 0.096kg-CO₂/MJ とし 舶を新造就航させるとともに、既存の船舶においても て換算)したと試算されます。 省エネ運航を奨励しています。 今後も、下水汚泥、オイルスラッジ、廃塗料、自動 2014 年度は CO₂ 排出量が 2013 年度より約 6% 減 車シュレッダーダスト等のほかの産業では取り扱いが 少しました。これは、主に輸送量が約 7% 減少したこ 困難な代替エネルギーの使用に取り組んでいきます。 とによります。 当社は、陸上輸送と海上輸送の両面で鋭意 CO₂ 排 ■ 代替化石・バイオマスエネルギー使用率 WBCSD 代替化石エネルギー 全キルンエネルギーに対する比率 (%) 20 15 10 14.8 15.5 15.7 14.9 11.4 12.8 13.2 13.4 12.7 1.3 2010 2.0 2011 2.3 2012 2.3 2013 2.2 2014 (年度) 12.7 5 0 出削減に取り組んでいきます。 バイオマスエネルギー 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコル Ver.3」 ■ 輸送手段別CO₂排出量(2014年度) 単 体 輸送手段 輸送量 (千t) 平均輸送距離 (km) 輸送トンキロ (千tkm) CO₂排出量 (千t) 船舶 18,642 461 8,595,587 114 トラック 14,620 57 827,605 48 貨車 5,556 28 153,750 3 合計 38,818 247 9,576,942 165 オフィス部門での取り組み ● 代替原料の使用 当社グループでは、鉱さいなどCaOを含む副産物・ 廃棄物を石灰石の代替として利用することでセメント 製造における原料からのCO₂ 排出を削減しています。 ■ 石灰石の代替原料によるCO₂排出原単位の削減 WBCSD 排出原単位削減量(kg-CO2/t-clinker) 10 6.2 7.8 7.7 2011 2012 9.2 7.3 5 0 2010 2013 2014 (年度) 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコル Ver.3」 ● 本社オフィスの省電力 本社ではクールビズ、ウォームビスの通年実施によ り、空調電力の削減を実施しました。また、外光の取 り入れや使用頻度の低い部分の消灯、パソコンの省電 力モード移行時間の短縮、コピー・プリンターの統合 複合機化などの数々の省電力活動を実施しています。 ● ハイブリッド車の積極的導入 環境負荷軽減の一環として、2006 年度から車両の 入れ替えや購入の際には、CO₂ や NOx の排出量を低 輸送部門での取り組み 減するハイブリッド車を積極的に導入しています。こ ▶ G4-EN17, EN19, EN30 当社の原燃料および各種製品の輸送は、輸送会社に の取り組みにより、ハイブリッド車の占める割合は全 社用車の 28% となりました。 委託しており、当社は特定荷主の立場から CO₂ 排出 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 41 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 資源循環の促進 当社は、あらゆる産業から排出される廃棄物や副産物をはじめとして、家庭から排出される廃棄物まで、 セメント製造設備で安全かつ大量にセメントへとリサイクルする「セメント資源化システム」 を通じて、 多くの産業や地域社会とつながりを持ち、資源循環型社会の構築と促進に取り組んでいます。 産業界との資源循環 確保が厳しい状況にあります。特に大都市圏を中心と ▶ G4-EN27 した各自治体では「ごみ処理問題」が悩みの種になっ ており、今後ますます深刻になるものと予想されま ● 電力会社との資源循環 当社は、石炭火力発電所から発生する大量の石炭灰 す。当社グループでは、社会のニーズに合わせた3つ を引き取り、セメント原料である粘土の代替として使 の都市ごみ資源化システムを推進し、地域社会の資源 用するとともに、さらなる有効活用を目的としてアッ 循環の形成と環境問題の解決に取り組んでいます。 シュセンター 事業を展開しています。また、石炭を ※ 燃やすと有害な硫黄酸化物が発生しますが、その除去 材(排煙脱硫材)として石灰石粉末を供給し、排煙脱硫 材と反応してできた石膏もセメント原料として有効活 用しています。 ※アッシュセンターとは、収集運搬 (積替保管) 機能と中間処理 (粉体混合) 機能とを併せ 持つ物流拠点で、火力発電所から発生する石炭灰を引き取り、セメント工場へ安定供 給するという役割と、石炭灰を有効に活用して、ユーザーニーズに合った多様な商品 を供給するという役割を担っています。 ◦エコセメントシステム エコセメントとは、都市ごみ焼却灰を主原料としてつく られる新しいタイプのセメントです。都市ごみ焼却灰など の廃棄物をエコセメント1トンあたり 500kg 以上使用し ています。 ◦灰水洗システム 灰水洗システムは、都市ごみ焼却灰を前処理(焼却主灰 の異物除去、ばいじんの含有塩素の水洗除去)し、既存のセ メント工場でセメント原料として利用するシステムです。 ● 製鉄会社との資源循環 製鉄会社では、鉄鉱石から鉄をつくる過程で、鉄鉱 石中に含まれる不純物を除く精錬工程があります。当 社は、この精錬工程で使用される石灰石粉末や生石灰 を精錬材として供給しています。また、精錬後に発生 するスラグ・鉄さいなどの副産物をセメント原料や混 合材として使用しています。 ◦AKシステム 家庭から排出されたごみや事業系一般ごみそのものを、 ごみ資源化キルンを利用して生分解反応(発酵)させ、既存 のセメント工場でセメント原燃料としてリサイクルするシ ステムです。 ■ 産業との資源循環 ● 建設発生土の資源循環 従来処分場に廃棄されていた土壌をセメントの原材 料として有効活用することにより、建設発生土のリサ イクルに貢献するとともに処分場の延命にも寄与して います。当社は、環境省指定調査機関の認定を取得 し、調査から工事、物流、工場での処理までを一貫し て請け負える体制を整え、さらに建設発生土の発生地 火力発電所 石炭灰 スラグ、 鉄さい、 高炉ダスト等 セメント工場 普通セメント工場 わたしたちの 生活 AKシステム 灰水洗システム セメント工場で都市ごみ そのものを普通セメントの 原燃料としてリサイクル セメント工場でごみ焼却 灰を普通セメントの原料 としてリサイクル エコセメント工場 エコセメントシステム ▶ G4-EN27 清掃工場 エコセメント工場でごみ焼却灰をエコセメント 原料としてリサイクル 都市ごみの多くは焼却され、その焼却灰は最終処分 場に埋め立てられていますが、現在では最終処分場の 42 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 製鉄所 ■ 地域社会との資源循環 都市ごみ 地域社会との資源循環 石灰石粉末、 生石灰 石膏 アッシュセンター と全国展開している各工場とを有機的に結びつける中 間基地を整備し建設発生土の資源化に努めています。 石灰石粉末 焼却灰 生コン工場 コンクリート製品工場 普通 ポルトランド セメント (JIS R 5210) 太平洋 セメント エコセメント (JIS R 5214) エコ セメント 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 廃棄物・副産物のセメント資源化実績 ▶ 資源循環の促進 環境負荷の低減 水資源の適正利用 環境配慮型の製品・ 技術サービス 生物多様性の保全 G4-EN1, EN2, EN3, EN27 当社は、廃棄物・副産物をセメントの原燃料として再利用 するセメント資源化を進めています。このことは、最終処分 場の延命、天然資源の枯渇防止、温室効果ガスの排出抑制、 ■廃棄物・副産物の使用原単位推移 原単位 (kg/t-セメント) 500 400 汚染物質の大気への排出の低減に寄与しています。2014年 300 度は、震災廃棄物の処理の完了により資源化した廃棄物・副 200 産物は昨年より約331千トン減少し6,955 千トンとなりま 単体 394.6 409.9 429.5 430.1 427.9 2010 2011 2012 2013 267.3 100 0 した。セメント1トンの製造で427.9kgの廃棄物・副産物 2000 2014(年度) を再資源化したことになります。 ■セメント製造工程と利用廃棄物・副産物 トラック 原料ミル 石灰石 貨車 仕上ミル ロータリーキルン 各種原料 船 原料調合・粉砕工程 焼成工程 仕上工程 出 荷 石灰石・鉄原料等を調合 ・乾燥し、原料ミルで粉砕 します。 予 熱した 後 、ロータリー キルンで 焼 成します。そ の 後 急 冷し、クリンカと いう半製品ができます。 クリンカに少量の石膏を 添加し、仕上ミルで粉砕し てセメントが完成します。 こうしてつくられたセメ ントは、船・トラック・貨車 で出荷されます。 原料 石膏 燃料 スラグ粉、 フライアッシュ 利用廃棄物・副産物例 原料 高炉スラグ、石炭灰、汚泥スラ ッジ、非鉄鉱さい、製鋼スラグ、 建設発生土、鋳物砂 都市ごみ焼却灰、飛灰、廃白土、 下水汚泥 廃油、廃プラスチック、廃タイヤ、 木くず、廃パチンコ台、RDF (都 市ごみ) 、再生油、BOF 排脱石膏、化学副産石膏 混合材 <参考> セメント1tの製造に必要な原料 石 灰 石 類:1,100 kg 粘 土 類: 220 kg 60 kg け い 石 類: 30 kg 鉄 原 料 他: 35 kg 石 膏: 石 炭 等: 110 kg 電 力: 105 kWh ■ 主な廃棄物・副産物の使用量と原単位 (2014年度) 単 体 廃棄物・副産物 産業系 生活系 総合計 石炭灰(含むJIS灰) 高炉スラグ 副産石膏 建設発生土 未燃灰、ばいじん、ダスト 汚泥、スラッジ 廃プラスチック 木くず 廃油 その他 小計 上・下水汚泥+下水汚泥焼却灰 都市ごみ焼却灰 一般廃棄物+その他 小計 原料系廃棄物 燃料系廃棄物 使用量 (t) 1,878,491 1,474,015 581,698 545,293 417,650 411,044 128,875 109,229 103,357 830,016 6,479,668 355,350 100,459 19,717 475,526 6,955,195 6,469,407 485,788 原単位 (kg/t-セメント) 115.6 90.7 35.8 33.5 25.7 25.3 7.9 6.7 6.4 51.0 398.6 21.9 6.2 1.2 29.3 427.9 398.0 29.9 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 43 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 環境負荷の低減 当社は、環境汚染の防止、資源の有効利用、廃棄物の削減、化学物質の適正な管理など、 地域環境の保全と環境への負荷を低減する活動を続けています。 環境汚染防止 す。調査の結果、処置の必要性が発見された所には、 ▶ G4-EN21 ● 大気汚染防止 セメント製造における主な大気汚染物質は、セメン トキルンの燃焼排ガスに含まれるNOx、SOx、ばいじ んです。これらを適正に管理するため、排ガス中の排 出濃度を連続監視することにより適正運転に努めると 必要な対策を順次実施しています。 また、廃棄物置き場からの汚水や油タンク、酸・ア ルカリタンク等からの漏洩液の浸透防止を行い、土壌 汚染の防止に努めています。 廃棄物の削減 同時に、脱硝装置の強化、排ガス処理装置のバグフィ ▶ G4-EN23 ● 工場・鉱山での取り組み ルター化などの排出量削減対策を進めています。 排出量はすでに低位にあり、変動の範囲内で管理さ れています。 セメント工場や鉱山では、発生した廃棄物を工場内 でセメント原料として再利用することで外部に処理委 託する廃棄物量を削減しています。また、キルンレ ンガのクロムフリー化を進める事などで最終処分(埋 ■ モニタリング比率 WBCSD (%) 96 100 75 95 99.8 96.4 96.4 99.6 63.4 62.8 59 99.9 99.9 99.6 立)する廃棄物量の削減にも取り組んでいます。 ■ 廃棄物最終処分量 54.0 55.1 50 99.9 (t) 800 25 600 0 2010 2011 2012 2013 2014 (年度) ■ NOxの連続測定器を導入しているキルンにより製造されたクリンカ量の割合 ■ SOxの連続測定器を導入しているキルンにより製造されたクリンカ量の割合 400 0 NOx 1,500 1,300 1,289 ばいじん (g/t-clinker) 1,404 62 64 75 60 47 50 50 40 0 20 20 2010 2013 2014 (年度) 0 2013 2014 (年度) サービスステーションでは、製品の入れ替えなどで 発生するサイロ内の残余のセメントを工場に戻し、セ 2010 2013 2014 (年度) 0 廃棄物量を削減しています。 2010 2013 2014 (年度) 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「排出物質モニタリング Ver.2.0」 ● 土壌汚染防止 2000 年度にセメント工場敷地内で土壌汚染の可能 性がある場所について、専門コンサルタントによる土 地履歴等の調査を行い、リスク評価を実施していま す。その後順次、リスクの高い場所から優先してボー リング調査を行って、土壌汚染の有無を確認していま 44 38 2012 メントの原料として再度利用することで外部委託する 40 500 45 2011 ● サービスステーションでの取り組み (g/t-clinker) 80 60 1,000 2010 258 WBCSD SOx (g/t-clinker) 204 200 ■ ばいじんの連続測定器を導入しているキルンにより製造されたクリンカ量の割合 ■ 大気汚染物質の排出原単位 655 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ● オフィスでの取り組み 当社の特例子会社である太平洋セメントサービス (株) では、紙の再生設備を導入し、当社の使用済みコピー 用紙の再生利用をしています。2014 年度は A4 換算 で約 58 万枚を再生しました。 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 環境負荷の低減 水資源の適正利用 環境配慮型の製品・ 技術サービス 生物多様性の保全 水資源の適正利用 将来顕在化する可能性のある課題として、 リスク分析、水使用の状況の把握を 開始しています。 化学物質の適正管理 水使用の状況 ▶ G4-EN23 ● PRTR(化学物質排出移動量届出) ▶ G4-EN8, EN9, EN22 当社グループのセメント工場で使用される水の多く 当社では、熊谷工場に設置した都市ごみ焼却灰を水 は機器や自家発電の冷却用です。海浜にある工場で 洗する設備が化管法、PRTR 制度届出対象に該当して は、自家発電の冷却に海水を使用しています。場内 います。水域へのダイオキシン類と塩化第二鉄の排出 で使用する淡水はすべて循環使用し(生活雑排水を除 の届出量は次の通りです。 く)取水量の低減と排水による水域汚染の防止に努め ています。さらに越流による汚染防止のため公共水域 ■ ダイオキシン類・塩化第二鉄の排出届出量 物質 排出届出量 2012年度 ダイオキシン類(mg-TEQ) 塩化第二鉄(kg) への排水ルートには、沈殿池(槽)、油水分離槽、油膜 単体 2013年度 2014年度 0.0009 0.010 0.0020 130 160 160 検知器を設置しています。 ■ 水使用の状況 WBCSD 水源 ● PCB廃棄物管理 当社は、2001年 6 月に制定されたPCB 特別措置法 に基づき、全国 43カ所で保管しているPCB 廃棄物の 適正保管・処分状況を確認し、毎年届出を行っていま 海水 151,535 151,535 ■ 工場の水循環フロー例 海水 冷却水 自家発電 回収水槽 側溝 散水 ど全国 7カ所に保管してあるコンデンサを処理する計 機器冷却他 循環水 ス、コンデンサを処理しました。2015 年度には、熊谷 工場、秩父三輪鉱業所、神戸サービスステーションな 置場等 場内 雨水 用水槽 場、山陽白色セメント(株)など保管してあったトラン 14,253 補給水 2014 年度には、旧秩父工場第一プラント、埼玉工 35,791 河川水 ています。 淡水 地下水 を結び、保管しているPCB 廃棄物の計画的処理を進め 排水量 セメントキルン す。2006 年に日本環境安全事業(株)と処理委託契約 (単位:千m³) 取水量 油水 分離槽 沈殿槽 油膜検知器・ 濁度計・PH計 河川 水路 冷却塔 自家発電 海域 画です。 水リスク分析 ■ PCB廃棄物の状況 廃棄物 2013年度末 保管 単体 (単位:台数) 2014年度 新規対象 2014年度 処理実績 2014年度末 保管 2015年度 処理計画 ▶ G4-EN9 当社グループの工場の水リスクを、Aqueduct ※を 191 8 78 121 100 用いて分析した結果、総合評価で極めてリスクが高い 1 1 2 0 0 と評価されたものはありませんでした。高リスクと評 安定器 283 4 14 273 0 価される流域に位置する工場で生産されているクリン 合計 475 13 94 394 100 カ量は、全生産量の 14% でした。しかし、各工場の状 コンデンサ トランス 況分析では、差し迫った状況は見られませんでした。 ※世界資源研究所 (WRI) が開発した水リスクマップ。水資源不足、洪水、干ばつ、水量の 季節変化、水質等の物理的リスク、規制リスク等による事業影響を評価する。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 45 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 生物多様性の保全 事業者にとって、事業活動における生物多様性の保全は重要な課題です。 セメント・資源事業の中で、自然と生きものに数多くふれあいながら、人間活動と自然の共存を目指して、 厳しい法令基準の遵守をはじめとする生物多様性の保全活動に取り組んでいます。 事業活動と生物多様性のかかわり ▶ 調査・開発 ◦環境影響評価 操業(採掘) G4-EN11, EN12, EN13, MM1, MM2 終掘(跡地整備) ◦希少動植物保護 ◦公鉱害の防止 ◦鉱山緑化 ◦跡地利用 最近の環境影響評価実施例 活動事例 緑化実績 ・ 藤原鉱山再開発工事 (2012年2月) 現在事後調査実施中 ・ 大船渡鉱山新規開発工事 (2011年6月) 現在事後調査実施中 ・ 三輪鉱山、藤原鉱山における自生希少植 物の保存、増殖活動 ・ 諸法令、地域公害防止協定に基づく騒 音、粉塵、水質汚濁防止実施 ・ 種子吹付:17,000m²、苗木植栽:4,000本 ※2014年度当社グループ石灰石鉱山実績 跡地利用 ・メガソーラー事業 (当社社有地8.5ha) ※関西太平洋鉱産 (株) 管理跡地 ● 鉱山緑化・跡地利用 ● 環境影響評価 セメントの製造は、その主原料である石灰石を鉱山 採掘過程で形成される階段状の岩盤の斜面部分いわ で採掘するところからはじまります。採掘は地表を削 ゆる「残壁」については、形成した段階において可能 るために、少なからず自然環境や景観に影響を与えま な限り緑化する努力を続けています。また、掘削した す。そこで当社では、地域の生態系の保全に配慮し、 表土等の堆積場についても、すぐに形状を変えること 地元の振興を図っていくことが、鉱山開発において重 のない場所については植栽をしています。植栽する植 要であると考え、環境影響を最小化できるよう保全対 物はその山にもともと自生している植物を可能な限り 策を検討・実施し、持続可能な鉱山開発の実現を目指 活用することにより、生態系の保全に努めています。 しています。この基本的な考え方に基づき事前の環境 採掘が終了した鉱山は 影響評価では、自然環境や生物多様性への影響を最小 「緑」の復元を基本とし、 限にする方策を地方行政、地域社会、学識者と意見交 周辺環境や地域社会を考 換をし、それらの意見を検討し実施しています。 慮して跡地利用を行う計 画となっています。 ● 希少植物保護 残壁緑化 埼玉県秩父市にある秩父太平 WBCSD-CSIでの活動 洋セメント (株) の三輪鉱山では、 1972 年から武甲山に自生する G4-MM2 希少植物の保護育成に取り組み、鉱山内の「植物園」で WBCSD-CSI で 2012 年に開発した「鉱山修復に関 65 種類の希少植物を地元の専門家等の協力を得ながら するガイドライン」に準拠し、鉱山修復に関する KPI 保存するとともに、播種や挿木により増殖し、植え戻し 活動を行っています。併せて1995年からは当社中央研 究所で、チチブイワザクラ、ミヤマスカシユリの、2011 年からアツモリソウ、フキヤミツバのバイオ技術による 絶滅危惧希少植物の保存・増殖、自生固体の遺伝的多 様性の検証に関する研究・開発を継続しています。 46 ▶ 生体系現況調査 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 (主要業績指標)を収集・公表しています。 ■ 鉱山に対するWBCSD-CSIの主要業績指標 WBCSD 指標 2012年度 2013年度 2014年度 鉱山に対して適切な修復計画がある 操業中の事業所の割合 (%) 100 100 100 生物多様性の課題に取り組んでいる 操業中の事業所の数 4 4 4 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「鉱山修復に関するガイドライン」 環境マネジメント 事業の マテリアルバランス 環境会計 地球温暖化防止 資源循環の促進 環境負荷の低減 ⽔資源の適正利用 生物多様性の保全 環境配慮型の製品・ 技術サービス 環境配慮型の製品・技術サービス ▶ G4-EN27 環境保全に取り組む社会のニーズに対し、 これまで培ってきたセメントおよび関連技術が持つ優位性を活かし、 省資源やCO₂削減に貢献する環境配慮型の製品・サービスを提供しています。 ● 杭頭処理用静的破砕材「太平洋クイカッター」 ● 低変位超高圧噴射攪拌工法「LDis工法」 [太平洋マテリアル (株)] [小野田ケミコ (株)] 「LDis 工法」とは、固化材スラリーの供給を必要最 現場造成杭は、杭頭の余盛コンクリート部分を撤去 小限に抑えるとともに、地盤改良時に原土の一部を地 するためのはつり作業※による騒音・振動・粉塵等発 表に排土することで、地盤へのスラリーの供給に伴う 生の問題がありました。そのため安全で環境負荷の小 体積増加を可能な限り少なくした施工時の変位が少な さな工法が強く望まれていました。 「太平洋クイカッ い地盤改良工法です。エアを用いた低変位工法は排泥 ター」はこのような社会的ニーズに応えるべく研究開 方式により多量の産業廃棄物処分を伴うのに対して、 発された水和反応で膨張する杭頭処理用破砕材です。 当工法は排土量を 15 〜 鉄筋籠に本製品を予め取り付け、本体杭と余盛コン 正回転 排出された原土 30% 程度に抑制できま す。水中施工においても 固化材流出による水質汚 染がないことから,都市 噴射による改良域内 部の圧力増加と排土 盤の押上げ作用によ り、体積増加に見合 う原土を排出する。 貫入時の加水乱し工 程により形成された 縁切層 内部圧力の増加 排土盤の効果 河川や重要港湾等水辺で 超高圧ジェット 噴流 の耐震化対策として幅広 く採用されています。 DH 「LDis工法」の改良原理と排土作用 クリートの境界にクラックを発生させます。クラック 発生後に、杭頭余盛コンクリートを吊り上げて撤去す ることにより、はつり作業時に発 生していた振動・騒音・粉塵を抑 制することを実現しました。 国土交通省「NETIS登録」 :KT-000128-V 東京都建設局「新材料・新工法」登録:NO.0001006 ※ はつり作業:主に建設現場において、コンクリートで つくられた壁や土間などの構造物を壊したり、形を 整えるために表面を鑿で削ったりすること。 「太平洋クイカッター」を用い た余盛コンクリートの撤去 ● 高透水性舗装ブロック 「オーシャンハイスルー」 [太平洋プレコン工業(株)] 「オーシャンハイスルー」は、独自の技術によって高 ● 環境保全型肥料「ケイ酸カルシウム水和物α」 [クリオン (株)] い連続空隙率と強度とを併せ持った舗装用ブロックで 「ケイ酸カルシウム水和物α」は、ケイカル(珪酸石 す。ブロック表面は、天然石を浮き出させることで、 灰肥料)など従来品の 2 倍以上の作物利用効率を有す 敷石のような落ち着いた質感と色合いを持たせていま る効果の高い農林水産大臣登録けい酸質肥料です。農 す。本製品の特長である通常の透水性ブロックの10 林水産省が推進している環境保全型農業(農薬や化学 倍以上の透水性能(10 × 10 cm/sec.)により、近年 肥料を可能な限り削減するなど環境に配慮しつつ、収 頻発するゲリラ豪雨や集中豪雨時においても雨水を速 量の確保と高品質な作物生産を行う)をケイ酸の力で やかに地中に浸透させます。水溜まりのない安全・安 サポートします。 -2 心な歩行空間を提供するとともに、排水施設への負荷 低減によってCO₂の削減にも貢献しています。 環境保全型農業の普及により、 多孔質で良く効くケイ酸とカルシ ウムが特長の本品独自の優れた効 果は、水田・畑向け肥料のほか、根 の発達が特に重要な野菜苗作りで も高い評価を受け、国内肥料では 異例の全国的な需要拡大が続いて 高透水性舗装ブロック「オーシャンハイスルー」 藤川駅 (名古屋鉄道) 駅前広場の舗装 います。 「ケイ酸カルシウム水和物α」 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 47 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 お客様とともに 〜 品質・技術・研究開発 当社は100年以上にわたるセメント製品の製造によって培ってきた製造・品質管理技術により、 製品に対する安全・安心を保証する取り組みを推進しています。 品質保証に取り組む姿勢を明らかにした品質方針のもと、業界トップクラスの品質を維持し、 国内外の市場における当社ブランドの信頼に応えるべく、システムおよび製品の継続的な改善を行っています。 品質方針 います。その結果、太平洋セメント発足当時に40~ G4-DMA 60 件発生した品質課題が、ここ数年は20~30 件 / 年 当社は1998 年の太平洋セメント発足時に経営方針 まで低減できています。品質課題については、2012 に基づいて品質方針を定め、この品質方針を組織全体 ~2014 年度の件数(平均)に対して毎年 20%減を目 に周知するように取り組んでいます。品質方針を実現 標にして2015 年度から活動を進めていきます。 ▶ するため、従業員一人ひとりが品質方針に基づいた活 また、2013 年度から当社製品だけでなく、グルー 動を行うことで、確かな技術と品質保証体制を確立し プ会社の製品についても品質保証体制を拡充し、重要 て高品質な製品・サービスを提供し、お客様に信頼さ 課題の抽出や解決に向けて各部門横断的な活動を進め れ、期待される企業であり続けるように努めています。 ることで太平洋ブランドへの信頼感と顧客満足度の向 上を図っていきます。 【 品質方針 】 ユーザーニーズに即した品質設計を追求し、 ■ QMS概念図 品質保証を確実に行い、顧客満足度の向上を図る。 お客様 品質要求 品質マネジメントシステム ▶ G4-DMA, PR1 当社では品質保証活動の取り組みとして、 「各種セメ 営 業 研究・開発部門 品質要求事項の明確化 品の設計・開発および製造」を登録範囲として、品質 品質要求事項のレビュー マネジメントシステムの国際規格 ISO9001(JIS Q 品質要求事項に応じた品質設計 9001)の認証を(財)建材試験センターより取得してい 試製・評価 月より1つの本社サイトにスリム化したQMSへと再構 築し、ISO9001の要求事項である「トップマネジメン トの責任」 、 「業務の継続的改善」 、 「顧客満足度の向上」 への取り組みを充実させています。 ● 顧客との関係の強化 「顧客満足度の向上」への取り組みを最重要課題と 捉え、各部門間で定期的な情報交換・連絡を実施し、 お客様の要求に応える品質重視の製品づくりを徹底 しています。お客様よりいただいた製品品質、デリバ リー等のサービスに関する要望は、支店・営業所等の 営業・技術担当が窓口となって情報収集し、これら情 報を分析・改善してフィードバックするように努めて TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 資材調達 流 通 技術サービス ント製品、各種クリンカ製品、各種セメント系固化材製 ます。製造工場ごとに構築していたQMSを2013 年 4 48 製品・技術サービス 営業部門 出荷検査 製造部門 ●製造条件管理 ●工程内での品質つくり込み ●工程内検査 受入検査 品質・技術・ 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 セメントの安全性 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション ■ 「普通ポルトランドセメント」の微量成分含有量の推移(単位:mg/kg) ▶ 1987年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 平均 - 490 453 403 449 377 最大 - 595 503 543 583 418 最小 - 403 412 266 352 321 平均 - 67 73 67 69 75 全クロム 最大 - 79 81 81 81 86 最小 - 50 58 59 55 65 平均 17.4 6.9 7.2 5.8 6.0 7.4 最大 32.3 8.1 8.8 6.6 7.2 8.6 最小 5.3 5.6 6.1 5.4 5.1 6.1 平均 556 553 430 474 526 540 最大 1,059 830 547 682 689 711 最小 137 385 176 284 403 412 平均 221 61 63 63 62 61 最大 668 89 99 105 97 85 最小 18 45 44 42 40 42 平均 122 150 155 142 189 183 最大 233 281 246 224 277 281 最小 17 94 104 88 131 131 平均 17 8 10 10 12 12 最大 39 24 24 26 25 30 最小 2 2 2 3 4 5 平均 - 0.6 0.5> 0.6 0.6 0.7 最大 - 0.7 0.5> 0.6 0.6 0.8 最小 - 0.5> 0.5> 0.5> 0.5> 0.5> 1.8 G4-PR1 昨今、あらゆる製品に対し安全・安心が求められて フッ素 おり、社会資本整備に欠かせない建設材料であるセメ ントについてもその例外ではありません。 静脈産業であるセメント業界では、天然資源の代替 として古くより高炉スラグ、石炭灰、副産石膏などの 産業系廃棄物・副産物を活用しており、当社の場合も 都市ごみセメント資源化システムの技術開発による生 水溶性 六価 クロム 亜鉛 活系廃棄物のほか、建設発生土、建設廃材などのセメ ント資源化を実施しています。廃棄物をセメント工場 鉛 に受け入れるにあたっては、廃棄物の搬入・一時保管 は密閉型のトラックや置き場を使用するなど、飛散防 銅 止や悪臭防止を図り、周辺地域や工場内の環境保全に 努めています。 ヒ素 また、廃棄物に限らず天然原料にもクロム、鉛など の重金属類が微量に含まれていますが、セメント工場 セレン では廃棄物の受け入れ量増加に対応して微量成分の管 理強化を行っています。新規の廃棄物の受け入れにあ 平均 1.5 3.2 3.0> 3.2 3.0> カドミウム 最大 2.6 4.0 3.0> 4.0 3.0> 3.0 最小 0.6 3.0> 3.0> 3.0> 3.0> 1.0> 平均 - 0.007 0.005> 0.008 0.008 0.006 最大 - 0.014 0.005> 0.011 0.011 0.008 最小 - 0.005> 0.005> 0.005> 0.005> 0.005> たっては発生元情報、化学成分、試験使用結果に基づ く三段階の検査を行い、製品の品質や周辺環境に影響 水銀 を及ぼさないことを確認した後に受け入れ可否の最終 判断を行うなどルール化を徹底しています。 ■ 「普通ポルトランドセメント」の微量成分含有量 安全データシート (SDS) による情報提供 ▶ G4-PR1, PR3 セメント製品をより安全にご使用いただくため、危 険有害性情報を記載した SDS(安全データシート)を ホームページに公開しています。 また、労働安全衛生法にかかわる規則改正により、 袋・フレコン等包装容器へのラベル表示が努力義務と なりました。当社では、2014 年 8 月よりラベル表示 された袋・フレコンへの切替を順次行っています。セ メント製品をより安全に使用いただくための情報を正 確に広く伝えることによって、使用者の安全・健康お よび環境保全に努めていきます。 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 情報開示 土の含有量範囲※ (mg/kg) 1,600 1,500 900 800 700 600 500 400 300 200 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 棒グラフは当社2014年度の平均 540 377 183 75 61 12 0.7 (7.4) 1.8 0.006 フッ素 全クロム 亜鉛 (水溶性六価クロム) 鉛 銅 ヒ素 セレン カドミウム 水銀 ※ 出典:H.J.M.Bowen著、浅見輝男・茅野充男訳『環境無機化学』 (博友社、1983年) TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 49 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 お客様とともに 〜 放射能事故に対する製品の安全性の確保 ▶ 各種ユーザー会・工業会活動 G4-PR1, PR3 ▶ G4-PR3 東京電力(株)福島第一原子力発電所の放射能事故の 当社では、セメントユーザーにおける事業の活性 影響により、2011 年にセメントの原料として使用し 化、技術競争力の構築等を支援するため、各種ユー ていた一部の産業廃棄物について高濃度の放射能物質 ザー会・工業会を設立・運営しています。このうち最 が検出されました。当社は、使用するセメントの原燃 大規模のユーザー会である「全国太平洋セメント生コ 料の放射能濃度を厳重に管理することで、国が定める ン会」では、北海道から九州まで10地区の地区太平洋 安全基準 を確実に下回るセメント製品を出荷する体 セメント生コン会を設立し、様々な活動を行っていま 制を整えており、その測定値については定期的にホー す。技術的な取り組みとしては、技術懇談会・発表会 ムページに掲載するなど情報公開に努めています。 の開催、地区事情にあわせた特定テーマ活動のほか、 ※ 2011年5月以降、国がセメントの放射能濃度にかかわる安全基準について、クリア ランスレベルを100Bq/kg以下と定めています。 コンクリート技士・主任技士・診断士の資格取得支援 ※ に注力しています。 セメント製品の放射能測定結果について ■http://www.taiheiyo-cement.co.jp/news/ sokutei.html 生コン会のほか、コンクリート製品会社間の相互発 展を目的として、「太平洋セメント舗装ブロック工業 会」、「スプリットン工業会」、「植栽コンクリート工業 太平洋ブランド力の強化 会」を設立して積極的な技術支援を行っています。今 ▶ G4-PR3 当社は、当社グループを含めた「太平洋ブランド」 後ともユーザーの皆様にとって有意義な支援活動を推 進します。 の強化にも注力しています。ユーザーの皆様に当社お よびグループ企業が保有している商材・工法へのご理 解を深めていただくため、主要な商材・工法を集めた カタログ「太平洋ナビ」を 2012 年に発刊しました。 2014 年には、補修・補強材料の活用シーンを充実化 させた改訂版を発刊しておりますが、この度、ユー ザーの皆様のご意見を反映させ、スマートフォンなど タブレット型端末向けのアプリ化を行いました。 これにより、活用シーンごとの商材・工法が容易に 検索できるようになりました。ユーザーの皆様にタイ ムリーな提案を行えるよう、今後とも内容の充実に取 り組んでいきます。 タブレット端末用アプリ 「太平洋ナビ」 50 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ■ 生コン会活動の一例(特定テーマ活動) 地区 北海道 内容 生コン工場での業務改善事例集の作成 東北 コンクリート強度コンテスト (申告目標強度) 東京 生コン工場での業務改善事例集の作成 関東 骨材試験コンテスト (群馬県) 北陸 高機能AE減水剤の使用による暑中コンクリート対策室内試験 中部 コンクリート強度コンテスト (申告目標強度) 関西 コンクリート強度コンテスト (申告目標強度) 四国 初期材齢におけるコンクリートの強度発現性の把握試験 中国 生コン工場での業務改善事例集の作成 九州 フレッシュコンクリートの工程検査の実態調査 品質・技術・ 品質・技術・ 研究開発 研究開発の推進 公正な取引 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション ● 酸化マグネシウム系不溶化材「デナイト®」の開発 リニア新幹線や東京オリンピック・パラリンピッ 中央研究所と各事業部門との密接な連携のもと、セ クなど大型の公共工事で発生する自然由来の重金属 メント・コンクリートを中心に、周辺分野である資 汚染土の対策が社会問題になっています。当社では 源、環境、建材・建築土木分野まで幅広く展開してい 汚染土壌事業を拡大するため酸化マグネシウム系不 ます。 溶化材「デナイト®」を開発し、2007 年から販売を開 始しています。デナイト®を汚染土に混合することで、 ● セメント産業の環境負荷低減効果の 従来工法の掘削除去に比べて対策費用を安価に抑制 定量化の研究 することが可能となります。現在、大型公共工事に採 セメント産業の環境への貢献をより適切に評価する 用されるなど実績を増やすとともに、市場ニーズにあ ために、大学等とも連携しながらセメントの環境影響 わせた新商材も開発・販売しています。今後も現場 評価について検討を進めています。セメントの環境影 が抱える様々な課題を解決する材料を開発し、社会貢 響としては CO₂ の排出がクローズアップされがちで 献を実現していきます。 すが、一方でセメント産業では多量の廃棄物を原燃料 として活用することにより環境への貢献もしていま Denite® す。開発中の手法では、各廃棄物・副産物の処理の困 難さなどを一つの指標として、廃棄物利用による環境 貢献の定量的な評価を試みています。さらには、CO₂ 排出を含めた様々な環境影響を同一の評価軸で比較で きるよう、既存の評価手法(下図)も活用しながら新た な環境影響評価手法の開発に取り組んでいます。 周辺への飛散防止を考慮し、 デナイトをスラリーで施工。 飛散防止とともに混合精度を向 上させることが可能となります。 ■ 日本版被害算定型影響評価手法(LIME2)による ポルトランドセメントの統合化評価例 セメント製造における廃棄物の活用は、CO₂排出による環境負荷と比較しても同等以上 の貢献があることが示されています。 (円/t) 4,000 2,000 0 -2,000 -4,000 都市域大気汚染 酸性化 負荷 資源消費 地球温暖化 (CO₂) 廃棄物利用 貢献 -6,000 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 51 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 お取引様とともに 〜 公正な取引 当社は、持続的発展のためには、お取引先をパートナーとして信頼関係を構築し協働していくこと、 加担の防止やお取引先の持続的発展への取り組みへの配慮が重要と考えています。 基本的な考え⽅ まず、独占禁止法の三本柱である「私的独占」 「不当 な取引制限(カルテル)」および「不公正な取引方法」 お取引先をともに成長するパートナーと考えていま を中心に独占禁止法の概要を説明し、そして、独占禁 す。お互いの信頼関係を構築し協働していくために、 止法上の問題となる行為を「べからず集」の形で挙 公正な契約に基づいた取引を行うことはもとより約束 げ、従業員が具体的にイメージできるように解説して の遵守を推進していきます。公正な取引を確かなもの います。 とするため、行動基準の「社外との誠実な関係づくり」 2014 年度も引き続き、ケースブック、マニュアル を題材としたe-ラーニングを月 1 回のテスト形式で当 の項では、 ①談合やカルテルなどのない、公正な市場取引、入 社全従業員(グループ会社等への出向含む)を対象に 実施しました。 札を実施します。 ②協力会社との適性で透明なパートナーシップを保 持します。 【 太平洋セメント⾏動基準 】 ③公正 ・ 公平に取引先を選定します。 ④節度ある接待 ・ 贈答を行います。 ⑤正直で誠実な、宣伝広告 ・ 表示 ・ 説明を行います。 ⑥お客様の声に適切に対応します。 ⑦政治 ・ 行政との透明な関係を保ちます。 ⑧事業を展開する地域の文化、習慣を尊重します。 と定めています。 お取引先との信頼関係を築く源は、従業員一人ひと りの行動にあると考え、従業員に各種ツールを通して 公正な取引の推進を促しています。 取引に関するコンプライアンス教育 ▶ G4-S04 ● ⾏動基準ケースブックの配布 一人ひとりの行動のよりどころとして制定した「行 動基準」に公正な取引に関する項目を設けています。 [目指す方向性] 私たちは、「社会基盤の整備、資源循環の促進、そして 地域社会の活性化を支える」太平洋セメントグループ の一員として、自ら考え行動します。 [公正さの追求] 私たちは、常に公平で公正な姿勢を保ちます。 [社外との誠実な関係づくり] 私たちは、様々な関係者に対し誠実・公正に対応します。 [連携と協調の職場づくり] 私たちは、働く仲間を大切にし、ともに成長していくこ とを目指します。 [会社資産・情報の適切な使用] 私たちは、重要な経営資源である会社資産や情報を、適 切・適正に取り扱います。 [役職者の率先垂範] 役員をはじめとする役職者は、この行動基準の実現が 自らの役割であることを認識し、職場に浸透するよう 自ら行動します。 行動基準に沿って具体的にどのように行動すればよい か個々の事例を示した「行動基準ケースブック」を作 成し、全従業員に配布しています。 ● 独占禁止法遵守マニュアルの配布 取引に関するコンプライアンスを徹底するために 「独占禁止法遵守マニュアル」を作成し全従業員に配 布しています。 52 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 行動基準ケースブック、 独占禁止法遵守マニュアル 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション 〜 投資家とともに 〜 情報開示 当社の活動をご理解いただくために、様々な媒体を通じての情報発信に努めています。 また、お寄せいただいたご意⾒や情報は⽇頃のIR活動や経営に役⽴てています。 情報開示⽅針 各種情報公開ツール 当社は「太平洋セメントグループ経営理念」を具現 当社グループへの理解を深めていただけるよう、そ 化するにあたり、情報開示を通じてステークホルダー れぞれのステークホルダーに向けて、様々なツールを の皆様のご理解と信頼を得ることが必要不可欠と考え 活用したタイムリーな情報発信を心がけています。 ています。積極的に情報を開示することは、企業の社 会的責任の一つと認識しており、2007 年 5 月に制定 した「情報開示方針」に則り企業情報を適時・適切か つ公平に開示しています。 ● ホームページ ニュースリリースや 製品・サービスの情報 2014 年度は26 件のニュースリリースを行いまし はもとより、採用情報 た。ニュースリリースについては、過年度分も含めて や研究開発部門の情報 当社ホームページからご覧いただくことができます。 も掲示しています。 当社ホームページトップ画面 IR活動 ● アニュアルレポート 当社は株主・投資家の皆様に、当社グループの企業 国内外の投資家向けIRツールとして年 1 回発行して 価値について適正な判断をしていただくため、適時・ います。当社の財務状況を当該年度のトピックスとと 適正な情報開示に努めています。機関投資家の方を対 もに掲載しています。 象とした年 2 回の決算説明会では、経営トップが経営 ● 技術情報誌「CEM'S」 方針などを直接お伝えしています。 2014 年度も、個別ミーティングの実施や証券会社 当社製品ユーザー向けに技術情報誌「CEM'S」を年 が主催する IR カンファレンスに参加しました。この 4回発行しています。セメント・コンクリート、建材、 ほかにも投資家の方々のご要望に応じて、生産現場で 環境関連の技術動向の解説、時流に即した研究開発、 ある工場や鉱山の見学会なども随時実施しています。 最新の施工事例等を紹介しています。 ■ IR活動(2014年度) 単 体 ● 太平洋セメント研究報告 活動 決算説明会 回数 出席者数 2 206 199 278 会社施設見学会 4 20 証券会社主催カンファレンス 2 13 個別ミーティング 当社における研究開発の成果についてまとめたも ので年 2 回発行しています。バックナンバーの一部は ホームページでもご覧いただけます。 ● 社内報「Taiheiyo」 社内のコミュニケーションツールとして年 6 回発行 しています。経営トップへのインタビュー等による経 営方針や、グループ会社の紹介、従業員の声などを掲 載しています。社内だけではなく、地域社会やマスメ アナリスト向け 施設見学会 ディアへも配布しています。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 53 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 社会・従業員とともに 〜 人権・多様性の尊重、活気ある職場づくり 当社は、人権・多様性の尊重は持続可能な社会形成の原則であると認識しています。 この原則のもと、人材の育成、女性の活躍推進、 雇用の多様性・ワーク・ライフ・バランス実現に配慮した施策の導入などに取り組み、 従業員一人ひとりが成長する働きやすい職場づくりに努めています。 人権・労働慣行基本方針 ■ 社内研修と標語参加実績(2014年度) 単 体 ▶ 社内研修と標語 G4-DMA 当社は、人権・多様性の尊重は持続可能な社会形成 の原則であると認識し、2015 年 4 月に人権・労働慣 行基本方針を策定しました。 参加実績 本社階層別人権研修 381名 事業所人権研修 334名 トップ層研修 (関係会社107社を含む) 118名 人権週間標語 (従業員・家族) 【 人権・労働慣行基本方針 】 1. 人権尊重は経営基盤であるとの認識のもと、人権問 題の解決に努めます。 2. 多様性を尊重し、一切の差別・ハラスメントを認めま せん。 3. 国際規範や各国の法令・労働慣行を踏まえ、労働者の 権利を尊重し、雇用において差別的取り扱いを行わ ないとともに機会均等に努めます。 4. 安全と健康に配慮した労働条件や職場環境の整備に 努めます。 5. 一切の児童労働および強制労働は認めません。 人権尊重 1,446点 ● 人権に関する相談窓口の運用 全事業所に配置しているセクシュアルハラスメント 相談委員や人権啓発推進委員を通じて発生防止のため の啓発活動や苦情対応などの活動を行い、明るい職場 づくりに努めています。 ■ セクハラ相談窓口 社内 社外 全事業所にセクハラ相談窓口員を配置 (46名) 「21世紀職業財団セクハラ・パワハラ相談窓口」に 電話とウェブ相談による対応を委託 人材の育成と評価 ▶ G4-58, DMA, HR2 ▶ G4-58, DMA, LA10, LA11, HR2 人権・労働慣行基本方針の下、従業員一人ひとりの 当社は従業員を当社グループの持続可能な発展を支 行動の規範となる「行動基準」に、 「人権を尊重し、国 える最も重要な経営資源「人財」と捉え国籍や性別な 籍、性別などによる差別をしません」 「ハラスメントの どにかかわりなく多様な個性・価値観を持った人材の ない職場をつくります」などの項目を掲げ、従業員は 個々が能力を最大限に発揮するよう「人材開発基本方 もとより事業活動に関係する人々の人権を尊重するよ 針」に則る長期的な人材育成制度と公正な評価制度を う取り組んでいます。 整備しています。 ● 人権啓発活動 当社の人 権啓発活動は1981年から継続しており、 2014年度は381名が階層別研修に参加するとともに、本 社以外の事業所主催の研修にも334名が参加しました。 一方、社外で行われる講習会などにも積極的に参加し、 人権についての学びを継続しています。また、関係会社 の人権研修にも積極的に対応しており、2014年度の研修 実績は1社38名でした。さらに、関係会社107社に対し て人権啓発の冊子配布や情報提供を行いました。人権週 間では、協力企業も含めた従業員およびその家族を対象 に標語の募集を行い人権啓発の推進に努めました。 54 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 【 人材開発基本方針 】 社内外に通用する人材の育成を目指します 1. 人材開発はOJTとこれを補完するOFF-JTを基本と します 2. それぞれの分野および階層において次代を担う後継 者を育成します 3. 常にグループ経営を視野に入れ行動する人材を育成します 4. 世界に通ずるグローバルな人材を育成します 5. CSR推進の積極的な活動を通じ、環境への配慮、社会 への貢献が出来る人材を育成します 6. 自己啓発により、意欲溢れる視野の広い従業員とな ることを支援・促進します 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 ● 人材の育成 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 多様性の尊重 当社は、階層別集合教育やグローバル人材の育成 等、全社横断的施策とともに、組織活性の礎となる 社会との コミュニケーション ▶ G4-DMA, LA10, LA12 ● 女性の活躍推進 「個」の能力開発に主眼を置いた仕掛けについても企 当社は、女性の積極採用と定着を促進し、仕事と 図し、自主性・自立性を醸成する個人学習の機会を提 生活の両面を自律的にマネジメントできる人材づく 供することによって従業員の伸長意欲をかきたて、仕 りと、それを後押しする社内制度を充実させていき 事や教育を通じて従業員がキャリアの柱を主体的に見 ます。この具体的な取り組みを加速させるため 2013 出す風土づくりを推進しています。 年 12 月には下記の目標および基本方針を定め、社内 また、全従業員を対象に年 1 回、自己のキャリア形 外に公表しました。さらに 2015 年 7 月には専任組織 成、希望勤務地、家庭の事情などを申告する自己申告 であるダイバーシティ推進室を設置するとともに諸施 制度を実施し、従業員が長期にわたって定着し、能力 策への女性従業員の意見を取り入れる場として女性 を最大限に発揮できる環境の整備に努めています。 ワーキンググループを発足しました。当社の女性従業 教育体系については当社ホームページをご参照ください。 ■http://www.taiheiyo-cement.co.jp CSRの取り組み→ CSRレポート→資料編 員比率は、2015 年 4 月時点において約 6.3%ですが、 2020年までに10%以上とすることを目指して、女性 の採用を積極的に行っています。「女子学生のための 仕事説明会」を実施するなど採用面での取り組みの結 期待人材像 人材育成の観点から、新生太平洋セメントの創出という企 業変革に向けた期待人材像と求める要素三点を次のとおり 果、G コース(総合職)に占める女性比率は 2014 年 4 月入社では約 20%、2015 年 4 月入社では約 40%と 女性採用比率は年々上昇しています。 とします。 当社グループの持続的成長を担う、自負と使命感に溢れた人材 ❶成長戦略の推進役として 「豊かな構想力」 「逞しい推進力」 「アグレッシブな姿勢」を有する人材 ❷グローバルに活躍できる人材 ❸グループ経営に貢献できる人材 目標および基本方針 1. 目標 ❶女性採用比率の向上 2014 年度以降Gコース採用における女性採用比率を 30%以上とする。 ● 人事評価制度 当社の人事評価制度は処遇を過度に意識しない育成 型評価システムを導入しており、被評価者へのフィー ドバックを通じて、評価への納得性を高めると同時 に、育成のポイントなどについて、評価者と被評価者 の間の意見交換をより重視する仕組みとしています。 評価・育成スキルのさらなる向上と評価者のマネジ メント力向上を目的とする「マネジメント(人事評価) 研修」を 2007 年度より実施しており、2014 年度ま でにのべ約 560 名が受講しています。 ❷適正な人材ポートフォリオの構築 2020 年までに女性従業員比率を 10%以上とする。 ❸女性管理職登用の推進 2020 年までに新任管理職登用に占める女性割合 10% を目指す。 2. 基本方針 「多様な人材の発想、価値観によるイノベーションを促進 し、更なる企業価値の向上を目指して」 ・適正な人材ポートフォリオの構築にむけて、女性の積極 採用(アトラクション)と定着(リテンション)を促進する ・生産性の向上と、多様な人材の能力を最大限発揮できる 組織を構築するためにワーク・ライフ・マネジメントを 推進する TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 55 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み ● 障がい者雇用の推進 刻繰上げ繰下げ)を制度化しています。 当社は、2000 年度に「障がい者雇用促進委員会」を 設置し、特例子会社を3社設立するなど改善に取り組ん 2014年度の育児休業取得実績は、女性5名(取得率 100%)・男性 5 名となりました。 できました。その結果、雇用率は着実に改善され2014 年6月の報告時点では2.15%となり、法定雇用率2.0% を達成しました。また、年間平均雇用率でも2.17%と なり8 年連続で法定雇用率を達成しています。 ◦ 次世代育成支援対策推進法に基づく取り組み 「次世代育成支援対策推進法」に基づき、2005 年度 より「一般事業主行動計画」を策定しています。2015 2014 年度には、障がい者雇用のさらなる拡大のた め、植栽事業を展開する特例子会社でビニールハウス 年度からは4 期目となる「一般事業主行動計画」を策 定し、諸施策への取り組みを行っています。 の増設を行い 2 名の障がい者を新規採用しました。そ の結果、2015 年 6 月の報告は2.26%となり法定雇用 率を達成しています。 計画期間:2015年4月~2017年3月までの2年間 目標1 年次有給休暇の取得促進のための措置を実施する ■ 障がい者雇用率の推移 (各年6月1日の実績) 単 体 雇用率 (%) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 1.49 当社 1.93 1.85 1.65 1.69 2000 2.15 2.05 1.82 1.76 対策 2.26 2011 2012 2013 2014 年休奨励日の設定、年次有給休暇の計画的付与の実 施等により、年次有給休暇取得率の向上を図る 民間企業平均 目標2 働き方の見直し・仕事と育児の両立に資する多様な 労働条件の整備に努める 法定雇用率2.0% (2013年3月まで1.8%) 0.82 一般事業主行動計画 2015 (年) ● 定年後再雇用制度 対策 労使による専門委員会等を通じた多様な労働条件 のあり方の検討を進め、ワーク・ライフ・マネジメ ント実現のための労働条件整備に努める ● 柔軟な働き方の実現 当社の再雇用制度は、厚生年金支給開始までは希望 当社は、就業に関する様々な制度を導入し、従業員 者全員を原則再雇用し、支給開始後も労使で協定した 各々のワーク・ライフ・マネジメントを実現するため状 再雇用基準に照らして 65 歳まで再雇用することとし 況に合わせた柔軟な働き方の実現に取り組んでいます。 ています。また、再雇用先をグループ会社まで広げ て、再雇用者の職場確保に努めています。 柔軟な働き方を可能とする主な制度 ◦フレックスタイム制度 働きやすい職場づくり ◦裁量労働制度 ◦年次有給休暇の半日単位での取得制度 ◦特別積立休暇(有効期間経過後の年次有給休暇積立) ● ワーク・ライフ・バランスの取り組み ◦ 育児・介護に対する支援 当社では、育児・介護休業の当初 5 日間有給化や子 の看護休暇・介護休暇の半日使用を認めるなど、育 児・介護を目的とした休業・休暇の取得支援を行って いるほか、休業を希望しない従業員に対しても支援す る措置(フレックスタイム制・短時間勤務・始終業時 56 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ◦リフレッシュ制度 ◦コース別人事管理制度(地域限定勤務) など ■ 休暇および労働時間の状況 項目 年次有給休暇取得率 時間外労働 (月平均) ※ 暦年 (1~12月) 実績 単体 2012年 2013年 2014年 62.0% 68.6% 72.3% 17.3時間 17.5時間 17.7時間 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 ● ボランティア活動の支援 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション 会」 ならびに当社管理職を対象としたコミュニケーショ 当社では、2012年6月より「ボランティア休暇制度」 ンスキル向上のためのe-ラーニングを実施しました。 を制定し、従業員の自発的なボランティア活動を支援し ています。2014 年度までにのべ28 名が取得しました。 従業員の状況 ▶ ■ 従業員の状況 (各年度末実績) ● メンタルヘルスケア 単体 連結 「労働安全衛生法」などに基づき、当社全従業員対象 のメンタルヘルスチェックを実施しています(2014 年度受診率 89.6%) 。また、メンタルヘルス不全予防 に主眼を置き、心身の健康の保持増進や自己健康管理 の具体的方法の習得を目的とした研修会も実施してい 女性 従業員 臨時従業員 従業員 臨時従業員 男性 98 7 1,204 367 G4-10 (単位:名) 合計 1,612 21 11,855 815 1,710 28 13,059 1,182 ※ 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は年間の平均人員の外数 健全な労使関係 ます。従業員とその家族も利用できる太平洋セメント ▶ G4-11, LA8 健康保険組合が契約するカウンセリング等をはじめ 当社の従業員の労働協約の対象者に対する労働組合 としたメンタルヘルスサポートシステム(無料相談窓 加入率は 100%です。相互信頼・相互理解を基本と 口)の設置など、職場環境の改善に努めています。 した労使間における交渉・意見交換の場である「労使 協議会」 「労使説明会」を随時開催しています。2014 ● 従業員意識調査 年度は 24 回開催し、いわゆる交渉だけではなく、会 従業員の働きがい向上のため2013 年度に出向者を 社業績の説明、賃金・賞与の改定、制度・規程の改訂 含む当社全従業員を対象に従業員意識調査を実施しま 等幅広いテーマを取り上げ、会社と労組が互いに意志 した。調査により「役員の考えの浸透、経営理念を意識 を疎通させることを目的としています。また、労使協 した行動」 、 「職場コミュニケーション」 が不十分との結果 議会の諮問機関として 4 つの専門委員会を設置し積極 が得られたので、2014 年度に全事業所で「役員と語る 的な交渉・意見交換を図っています。 ■ 従業員意識調査結果 ■ 専門委員会の目的 仕事 5.0 全体的な気持ち (総合) 業務負荷 4.0 コンプライアンス 良好 及第 注意 問題 当社/全体 他社平均 3.0 職場 2.0 お客様志向 トップマネジメント 上司 人事制度 委員会名 目的 人事・処遇制度 専門委員会 人事・処遇制度全般についての見直し検討を目的に設置。 雇用・就業形態 専門委員会 雇用・就業形態が多様化する中で人事・労務管理の運用に 関する検討を目的に設置。 労働時間 専門委員会 労働時間および労働時間管理等に関する問題点、労働時 間法制に対する対応についての検討を目的に設置。 ダイバーシティ 推進専門委員会 雇用の多様化を進めていく上で必要となる諸施策の検討 を目的に設置。 経営層と従業員の直接コミュニケーション コミュニケーション活発化推進活動の一環として2014 年度は「役員と語る 会」と題し、役員と従業員の直接対話の場を設けました。当社全事業所と関係 会社 2 社の合計全国 20カ所で開催し、1,072 名の参加がありました。 役員と語る会の様子 (左:上磯工場、右:関西四国支店) TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 57 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 従業員とともに 〜 安全で健康な職場づくり 「働く仲間の安全と健康の確保」が企業存立の基盤をなすものと捉え、 サプライチェーンなどを含めた労働災害の撲滅と快適な職場環境の実現を目指し、 組織的な安全保安衛生活動を継続的に推進しています。 安全保安衛生方針 指導を行っています。 ▶ G4-DMA 当社の安全保安衛生方針を次の通り定めています。 本方針の精神に則り、本社と事業所では年度ごとに安 全(保安)衛生管理方針を策定し活動しています。 2002 年にOSHMS ※の運用を開始し、2003 年から は、すべてのセメント工場・鉱業所で展開しています。 ※OSHMS:Occupational Safety and Health Management System:1999年に 厚生労働省が示した指針。連続的かつ継続的な安全衛生管理を自主的に行うことによ り、事業所の労働災害の潜在的な危険性の低減、および快適職場を促進させる仕組み。 ■ 安全保安衛生体制 【 安全保安衛生方針 】 太平洋セメント株式会社は、従業員の安全と保安および 健康の確保が企業の存立の基盤をなすものと認識し、労 働安全衛生法及び鉱山保安法の精神に基づき労働災害 及び職業性疾病の発生を防止するために適切な経営資 源を投入し、以下の基本方針を効果的に実施していくこ ととします。 基本方針 1. 労働災害ゼロを目指し、労使協力の下に安全保安衛 生活動を推進します。 2. 安全保安衛生関係諸法令を遵守するとともに、当社 で定めた安全保安衛生管理規程と事業所で定めた安 全保安衛生規定類に基づき、従業員と協力会社の安 全保安衛生を確保します。 3. 労働安全衛生マネジメントシステムの実施及び運用 を積極的に推進し、設備の本質安全化並びに教育訓 練や啓蒙活動を継続的に実施し安全保安衛生水準の 向上に努めます。 4. 全社と事業所の安全保安衛生委員会を通して技術の 進歩及び安全保安衛生の新しい知識情報に適応し、 職場環境と作業方法を継続的に改善します。 5. 全社と事業所及びグループ関係会社の安全保安衛生委 員会のリーダシップで労働災害撲滅活動を進め、太平洋 グループ全体の安全保安衛生の確保を推進します。 全社安全保安衛生委員会 [委員長] 安全担当役員 本社各部門 本社・ 中央研究所 各工場 各支店 東京支店 安全衛生委員会 安全衛生委員会 安全衛生委員会 安全衛生委員会 各鉱山 保安委員会 関係会社 安全衛生委員会 保安委員会 ● 安全作業責任者認定制度 労働災害の削減には、指示命令系統の一本化が鍵で あり、従業員に加え、工場で働くすべての協力会社を 対象とし、工場での認定講習会および労働安全衛生 法に規定する「職長教育」の修了者に対してのみ認定 証を発行する「安全作業責任者認定制度」を設けて、 2007 年度より運用しています。 ● 労働災害データベースの運用 類似災害を防止するため、当社とグループ会社の従 業員、臨時を含むすべての協力会社の労働災害につい て、4M(人、設備、作業方法、管理)の分類に沿って の不安全行動と不安全状態の原因分析とそれに基づく 対策内容を記した労働災害検討書について、整理した データベースを 2008 年度から運用しています。 安全保安衛生体制 ▶ G4-DMA 工場・鉱業所・支店の事業所別に「安全(保安)衛生 委員会」を開催し、それを統括する本社では安全担当 役員を委員長として「全社安全保安衛生委員会」を設 置しています。ともに労使双方の代表で構成していま す。また、全社安全保安衛生委員会では当社に限らず グループ会社の安全に対してもデータの収集ならびに 58 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ■ 災害検討書登録数推移 ■死亡 ■休業 ■不休 (件) 120 90 114 110 89 88 98 60 30 0 2010 2011 2012 2013 2014 (年度) 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 安全保安衛生の実績 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 情報開示 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション ● 海外事業所の安全担当者会議 ▶ G4-LA6 2014 年度は、「全社労働災害防止徹底の特別対応」 全社労働災害防止徹底特別対応の具体策の一つとし て、2014 年 10 月海外事業本部所管の 5 カ国 12 事業 の最終年度として事業所ごとに改善計画を作成・活動 所の安全担当者を本社に集めて安全担当者会議を開催 しました。その結果、関連事業部や海外事業本部管轄 しました。会議では、各事業所の事例報告や熊谷工場 事業所の災害は大幅に減少し効果が出ました。しか を訪れての安全対策の視察などが行われました。 し、セメント工場や鉱山・資源、セメント事業本部 管轄事業所の災害が頻発しており、特に、動く機械 に手を出す等の安全基本原則違反による災害が多く、 2015 年度の課題として残りました。 ■ 災害発生の実績 WBCSD 指標 5カ国の担当者が集合した海外事業所安全担当者会議 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 死亡災害 直接雇用の 従業員の死亡件数 (件) 直接雇用の従業員の1万人 あたりの死亡度数率 間接雇用の従業員(協力企業と 下請企業) の死亡件数 (件) 第三者(雇用関係になし)が 含まれる死亡件数 (件) 2 0 0 1 0 4.21 0 0 2.18 0 0 1 7 1 1 1 0 0 0 0 13 11 13 8 9 1.24 1.05 1.23 0.77 0.88 休業災害 直接雇用の 従業員休業災害件数(件) 直接雇用の従業員の災害度数率 (100万人時あたり) 間接雇用の従業員(協力企業と 下請企業)の休業災害件数(件) 11 17 10 9 13 ※ 参照ガイドライン:WBCSD-CSI「セメント産業の安全報告Ver.4.0」 ● 安全体感教育 ● 衛生管理 当社の全従業員を対象に年 1 回の労働安全衛生法に 基づく健康診断を実施しています。受診率は、2014 年度も 100%でした。また、健康維持増進のための講 習会や社内報での情報発信を行っています。 ■ 休業率の実績 休業率 単体 (単位:%) 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 0.650 0.411 0.531 0.570 0.547 ● アスベストによる健康障害について 一人ひとりの安全に対する感性を高めるため、身近 当社における健康障害の発生状況については、当社 な作業における危険を仮想体験させる安全体感教育を 元従業員で労災認定を受けて死亡した方が 42 名、同 推進しています。2011 年度からは、同じ工場で働く じく労災認定を受けて現在治療中の方が 5 名となって 仲間が一度に多く受講でき、認識を共有できる利点を います(2015 年 5 月 31 日現在)。 考慮し、社外講師による安全体感出張教育を輪番制で 実施しています。 また、当社ではアスベスト使用製品の製造に携わっ た方および工場勤務者OBを中心に継続的に健康診断 2014 年度は、11 月 6、7 日の 2 日間にわたり大船 を実施しています。なお、これまで近隣住民の方から 渡工場で開催しました。工場 の健康異常のお申し出はなく、近隣住民の方を対象と と 協 力 業 者 合 わ せ て 175 名 した健康診断は実施していません。 の参加者が高所、回転体、電 詳細については当社ホームページをご参照ください。 気、玉掛け等の危険体感教育 を熱心に受講しました。 安全体感教育 (大船渡工場) 高所作業 ■ http://www.taiheiyo-cement.co.jp CSRの取り組み→ CSRレポート→資料編 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 59 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み 〜 社会とともに 〜 社会とのコミュニケーション ▶ G4-EC7 国内外の各拠点において、事業活動を行うのみならず、地域コミュニティのニーズに対して、 太平洋セメントグループの事業特性を活かした様々な参画を行い、 地域とともに持続的な成長を目指しています。 ■ 主な活動実績(2014年度) テーマ 地域環境 保全 活動項目 年間実施回数 住民説明会 90 環境報告会 11 環境モニター制度 40 清掃活動 177 森林や地域の自然保護活動 地域文化・ 交流の 活性化 地域の発展 教育・ 人材育成 災害支援 11 工場・鉱山見学 295 施設開放 1,451 イベントの主催、参加・協力 66 資材の提供、重機の貸出 31 地域医療支援 17 地域産業振興の支援 4 防災活動 8 奨学金制度 1 技術者養成 1 インターンシップ、職場体験 33 その他 7 被災地支援 2 参加者数 活動事例 2,265 ◦設備新規増設の説明会 196 ◦近隣地区への環境報告会 ◦地域役員の工場パトロール 48 ◦環境モニター会議・報告会・懇談会 1,343 ◦拠点周辺の道路・河川等の清掃活動、下草刈り ◦地域の清掃活動への参加 259 ◦苗木の植樹、間伐等の森林保全活動への参加 ◦地域の農地保全活動の支援 5,571 ◦近隣の児童・生徒、住民、行政等の工場・鉱山見学 11,783 ◦学校や地域の部活動にグラウンド、体育館、会議室等を開放 1,073 ◦少年野球等スポーツ大会の主催 ◦地域イベントへの参加・協力 ─ ◦地域の公共広場・道路・水路整備への資材提供、重機貸出し 237 ◦構内をドクターヘリポートとする協定 ◦無料医療診断や治療薬配布の実施 5 ◦地域産業振興支援活動への参加 ◦カキ殻堆積場工事の航路協力 55 ◦災害時の地域支援活動協定の締結 ◦地域合同防災訓練、地域消防団活動 20 ◦拠点周辺地域の経済的に困窮している学生を支援する奨学金制度 100 ◦コンクリート技術学校の無償開設 117 ◦国内外インターシップの受け入れ ◦職場体験学習、鉱山実習 ◦大学生の技術指導 212 ◦地域学校建設への資材提供 地域環境保全 1 ◦被災地域の公民館用地へ社有地を無償で賃借 ◦被災地ボランティア活動 ◦台風被災者へ食糧・衣料の寄付 しています。また、積極的な情報開示に努めており、 2014 年度は住民説明会を 2 回実施しました。 ● 環境コミュニケーション 積極的な情報開示とコミュニケーションによる透明 性の向上は、地域に対する責任の一つと捉えていま ● 日高市「環境ボランティア」への参加(埼玉工場) 埼玉工場では、毎年新入従業員研修の一環として、 す。新規に事業を開始する際や、採掘する区域の変更 地元・日和田山の環境ボ がある時には、地域の方々を対象に説明会を開催して ランティアで地域の方々 います。リサイクル資源の受け入れ状況や排ガス測定 と一緒に汗を流す地域密 着型の活動に取り組んで 値なども定期的に報告しています。また、工場近隣に お住まいの地域住民の方々に環境情報を寄せていただ 地域の里山として愛される日和田山の 保全活動に参加 います。 く環境モニターをお願いし、工場周辺の環境情報の迅 速な把握に努め、対応しています。さらに工場を中心 とした各事業所では、児童・生徒を中心に、近隣にお 住まいの方々、従業員家族、行政関係者、企業の方々 等に対し見学会を実施しています。 例えば大船渡工場で (鉱業部土佐山鉱業所・土佐事務所) 2011 年から高知県「協働の森づくり」事業に参画 しています。2015 年 2 月、従業員 18 名が参加し、間 伐材を使って本棚、プランター、道具箱を製作しまし は、 近 隣 の 方 々 に 対 た。木工作業終了後には、地元 して操業ならびに環境 有志の婦人会“花菖蒲”の皆さ 状況についての報告を んの地元食材による手作り料理 行 う 場 と し て、 定 期 をいただきながら地域住民の 的に環境懇談会を開催 60 ● 高知県「協働の森づくり」事業への参加 環境懇談会 (大船渡工場) TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 方々と交流を深めました。 間伐材の利用を考える活動に参加 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 ● 11年連続「Energy Star」優秀賞を受賞 (米国 カリフォルニアポルトランドセメント社(CPC社)) 2015年4月、CPC社は、11年連続で「Energy Star」 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション 産関連設備に対するばいじん、粉じん、SOx、NOx 等の排出濃度に関する基準値が強化されています。 2015 年 7 月に新たに適用される規格および河北省の 優秀賞を受賞する快挙を成し遂げました。 「Energy 上乗せ規準に対応すべく、秦皇島浅野水泥有限公司で Star」は、米国の環境保護庁(EPA)とエネルギー省 は、キルン排気およびクーラー排気の各電気集塵機か (DOE)が、自主的に環境保護に貢献する登録団体企 ら濾過式集塵機(バグフィ 業を表彰するプログラムです。CPC 社は 1996 年か ル タ ー)へ の 改 造 工 事 を ら参加し、2005 年から省エネ部門で連続受賞してい 2014 年 4 月から開始し、 翌 ます。2015 年も、セメント工場だけでなく生コン工 年3月に竣工しました。 場・骨材採掘場・アスファルト工場・セメントターミ 新たに設置した濾過式集塵機 (バグフィルター) ナルでの省エネ推進と、これまでの持続的なコミット メントや活動が評価され、受賞に至りました。 地域文化・交流の活性化 ● 佐倉市産業まつりへの出展(中央研究所) ワシントンD.C.で行われたエナジースター授賞式 ● 鉱山の緑化および鉱山路整備 (中国 江南小野田水泥有限公司) 中央研究所は、地元企業の事業や商品を紹介する産 業まつり「佐倉モノづくり Festa2015」 (2015 年 5 月開催)に出展し、セメント産業が廃棄物リサイクル や、安全・安心な街づくりに果たしている役割を模型 江南小野田水泥有限公司の茨山鉱山では、緑化復元 やポスターなどで紹介しました。2 日間の期間中 600 の推進や鉱山道路整備による発塵防止に努めていま 名以上の市民の方々が当社のブースを訪れ、ダクタル す。緑化については、2014 年は 660 本の苗木を採 (超高強度繊維補強コンク 掘ベンチ周辺および残壁犬走り部に植栽しました。ま リート)を用いた実物のベ た全鉱山道路への散水を毎日実施し道路整備に努めて ンチがスマートだと好評で います。これに用いる散水車を 2015 年に更新しまし した。 地元ケーブルテレビ局の取材を受ける 当社ブース た。また車両通行時の発塵抑制対策のため、鉱山道路 722m²を砂利道からコンクリート舗装に変更しました。 ● 「北斗市夏祭り」への参加(上磯工場) 上磯工場では、2014 年 7 月に開催された「北斗市夏 祭り」に参加し、大太鼓を載せた山車や子ども神輿によ るパレードで祭りを盛り上げました。市民の皆様には、 鉱山の緑化復元のための植樹 鉱山道路の発塵抑制コンクリート舗装 ロゴ入り風船と工場の写真 が印刷された団扇を配布し ● キルン・クーラ排気BGF化工事 (中国 秦皇島浅野水泥有限公司) 大気汚染の悪化を受けて、中国国内ではセメント生 ており、毎年大変好評です。 「北斗市夏祭り」に参加 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 61 マネジメント 環境への取り組み 社会との取り組み ● 地域の夏祭りに協力(熊谷工場) らドクターヘリでの搬送を想定した防災訓練を実施し 地域コミュニケーションの一環として、熊谷工場で ました。緊急時の支援活動を確実に実施できる体制を は工場近隣の夏祭りに協力しています。例年子ども神 維持し、地元に信頼される鉱山を目指していきます。 輿が工場内に入り、事務所 ● 山岳地域への給水システム支援 前を休憩場として利用して (フィリピン 太平洋セメントフィリピンズ) います。子どもたちの元気 太平洋セメントフィリピンズ社の工場および鉱山 な掛け声が工場内に響く夏 の風物詩となっています。 工場構内を進む子ども神輿 に近接する山岳地域のバランガイ(小規模行政区)で あるティヌブダン地区とトンゴ地区に、地域支援活 ● 工場施設の地域への開放(藤原工場) 藤原工場ではグラウンドを地域開放しており、健康 増進や親睦等を目的として毎年多くの方が利用されて 動プロジェクト SDMP(Social Development and Management Program)の一環として、給水システ ム(井戸、ポンプ、タンク等)を支援しました。 います。中でも恒例行事と ティヌブダン地区には良質な湧水地がなかったこと なっている地区老人会グラ から、まず水源探知機にて水源を見つけ、そこに深さ ンドゴルフ大会には、工場 85mの井戸を掘り、井戸の最深部に水中ポンプを設置 しました。現在、その井戸から毎分 78リットルの水が からも参加し地域との交流 工場グラウンドで開催された地区老人会 グラウンドゴルフ大会 を図っています。 常時湧き出ています。また、トンゴ地区の集落は山岳 部に位置しており、湧水地ははるか下方の谷部にあり ● 青江ダム山桜まつり駅伝大会への参加(大分工場) ますが、電気を使用しない水圧給水ポンプを設置する 2015年3月に「青江ダム山桜まつり」が開催されまし ことにより、湧水地か た。この祭りで最も盛り上がりを見せるのが、小学生から ら山岳部頂部まで水を 一般まで出場する駅伝大会 送ることができるよう です。大分工場も、大会ルー になりました。 設置を支援した給水システム ルに則り5名で160歳以上に ● 近隣小中学校へのトイレの寄贈 なるようチームを編成し、5 チームがエントリーしました。 駅伝大会に参加した大分工場チーム (ベトナム ギソンセメント) ニンビン省タムディエット町にある小中学校のトイ 地域の発展 レは築 25 年を経過しており、屋根がなく腐食が進行 し、周辺は臭気が充満し校内の衛生環境は劣悪な状態 ● 高知市消防局と連携し防災訓練実施 (鉱業部土佐山鉱業所・土佐事務所) ドクターヘリでの搬送訓練 62 にありました。そこでギソンセメント社ならびに日系 企業 8 社が共同で、手洗い場を備えたトイレ施設を無 2014 年に「災害時におけ 償提供し、校内の衛生環境 る支援活動に関する協定」を の改善を図りました。今後 高知市と締結しました。11 も近隣地域とともに発展す 月と12月の2回、高知市消防 るために活動を継続してい 局と連携し、土佐山鉱業所か きます。 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 トイレ寄贈の調印式 品質・技術・ 研究開発 公正な取引 ● 地域医療支援団体に寄付金を拠出 (パプアニューギニア PNG太平洋セメント) 情報開示 人権・多様性の尊重、 活気ある職場づくり 安全で健康な 職場づくり 社会との コミュニケーション 市、ビン市、ダナン市、ニャチャン市およびホーチミ ン市周辺で運営してきました。卒業者数は 2015 年 3 パ プ ア ニ ュ ーギニアの医療体制はいまだ不 十 分 月現在、のべ 1,119 名とな で、資金や人材等が不足しています。地域医療支援団 りました。今後も人材の育 体「SIR THEOPHILUS FOUNDATION」はパプア 成を通じてベトナムの発展 ニューギニアの首都にあるポートモレスビー総合病院 を支えます。 等の改善を目的として 2012 年に設立され、活動を続 卒業証明書授与式での記念撮影 けています。 PNG 太平洋セメント社は、2014 年 6 月に開催され た資金調達イベント(fundraising event)に参加し、 ● 小学生の工場見学会の受け入れ (中国大連小野田水泥有限公司) 同団体に寄付金を拠出しました。イベントには支援団 住宅地に近接する大連小野田水泥有限公司の地域交 体の後援者の一人であるオニール首相や約 150 名の 流の一環として、地元大連市の「嘉文小学校」に通う小 パプアニューギニア経済界のトップが集まり、盛会の 学3年生70名を2日間に分けて招待し、工場見学会を うちに終了しました。 実施しました。子どもたちは初めて見るセメント製造 設備に興味津々な様子で、従業員に熱心な質問を次々 教育・人材育成 に投げかけていました。後日、見学会の作文や絵が学校 から届けられ、清潔で環境 ● 大学生への生コンクリート技術指導(東北支店) に配慮された工場設備に感 毎年 5 月、日本大学工学部建築学科の学生へ生コン 銘を受けたことや、地元企 クリート技術指導を行っています。対象となる学生は 業で社会勉強ができたこと 2 年生で、学生生活 4 年間の中で唯一コンクリートに を誇りに思っている様子を 触れることができる貴重な時間です。実習では実際に 伺い知ることができました。 工場見学会でセメント製造の説明を受け る子どもたち 使用される生コンクリートに関する基本的な知識を習 得してもらうことを目的としています。2 日間でのべ 被災地支援 220 名 の 学 生 が 参 加 し、グループごとにス ● 東日本大震災支援 「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト」への参加 ランプ試験、空気量試 (太平洋セメント (株)) 験、塩分測定、供試体 の作製までの流れを指 導しました。 当社は、経済同友会による東日本大震災の復興支援 大学生への技術指導 プロジェクト「IPPO IPPO NIPPON」に賛同し、参 加しています。同プロジェクトは、真に必要とすると ● コンクリート技術者の育成 (ベトナム ギソンセメント) ころに寄付を届けるプラットフォームで、「人づくり」 成長を続けるベトナムでは、優れた技術者の確保が 「経済活性化」をテーマに、専門高校 重要課題となっています。ギソンセメント社では、コ への実習教材の提供など中長期的な ンクリート技術の学校を無償で開設し、ベトナム人 支援活動を行っています。 技術者の養成に力を注いでいます。これまで、ハノイ TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 63 WBCSD-CSIに基づく主要業績評価指標(KPI) ▶ G4-EN2, EN3, EN5, EN8, EN18, EN19, EN21, LA6, MM2, SO1 CSI の各メンバー会社は CSI 憲章で、セメント産 業における優先的に取り組むべき課題の実績につ びに目標は次の通りです。 この中で「気候変動防止に関するマネジメント」 、 いて、CSI で開発した指標に基づき公表すること、 「排出物のモニタリングと報告」、 「安全衛生」、 「水使 CO₂ 排出ならびに主要大気汚染物質については削 用」の項目についての実績は KPMG あずさサステ 減目標を定め、その達成に取り組むことを約束して ナビリティから第三者による限定的保証を受けてい います。この指標に基づく当社グループの実績なら ます。 CO₂排出削減目標 当社ならびにグループのセメント製造に伴うCO₂排出を ネットCO₂排出原単位で 2015年度までに2000年度比で4.5%削減します。 主要大気汚染物質の削減目標 当社ならびにグループのセメント製造拠点においてキルン主煙突から排出される NOx、SOx、ばいじんの排出原単位 (g/t-clinker) を 2015年度までに2010年度比で5%削減します。 WBCSD-CSIガイドラインによる算定 WBCSD-CSIガイドラインによる算定 ※1 ■ 2014年度CSIにおける主要業績評価指標(KPI) 気候変動防止に関するマネジメント(CO₂排出・エネルギー使用) 2012年度 2013年度 2014年度 排出インベントリを作成するためにCSI CO₂・エネルギープロトコル・ガイドラインを使用している施設の数 排出インベントリを作成するためにCSI CO₂・エネルギープロトコル・ガイドラインを使用している施設の割合 (%) 総排出量 年間CO₂排出量 (百万トン/年) ネット排出量※2 総排出 ※3 (kg-CO₂/t-cementitious) Cementitious トンあたりのCO₂排出量 ネット排出原単位 購入電力からの排出量 (百万トン/年) クリンカ製造のための熱量原単位 (MJ/t-clinker) 代替燃料の比率:キルン使用熱量に占める代替燃料の熱量の割合 (%) バイオマス燃料の比率:キルン使用熱量に占めるバイオマスの熱量の割合 (%) クリンカ/セメント係数:CSI CO₂・エネルギープロトコル・ガイドラインにしたがって算出したクリンカ使用量とセメント製造量の比率(%) 排出物質のモニタリングと報告 総排出量 (t/年) 排出原単位 (g/t-clinker) NOx SOx ばいじん NOx SOx ばいじん NOx SOx ばいじん 地域社会への影響 16.5 2013年 15.7 2014年 0 0 7 0 1 2.18 1 0 0 0 1 0 13 1.23 10 8 0.77 9 9 0.88 13 100 96.4 63.4 99.9 49,484 3,367 2,160 1,249 85 55 100 99.6 55.1 99.6 51,430 2,539 1,981 1,289 64 50 100 99.9 54.0 99.9 55,503 2,947 1,969 1,404 75 50 2012年度 2013年度 2014年度 100 100 4 100 100 4 淡水 海水 淡水 海水 37,242 35,791 150,402 151,535 14,632 14,253 150,402 151,535 ※12014年度のKPIの収集報告は、WBCSD-CSI「セメントCO₂・エネルギープロトコルVer.3.1」 、 「原燃料の選択と使用Ver.2.0」 、 「セメント産業の安全報告Ver.4.0」 、 「排出物質モニタリングVer.2.0」 、 「鉱山修復に関するガイドライン」 、 「水使用データの算定報告規準Ver.1.0」の各ガイドラインによる。 ※2 ネット排出:総排出から代替燃料由来の排出を差し引いた値 ※3 Cementitious製品:クリンカと混合材の合計 64 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 100 100 4 2012年度 2013年度 2014年度 水使用 排水量 (千m 3) 22 100 33.4 32.1 720 692 1.7 3,305 12.7 2.2 83.9 2012年度 2013年度 2014年度 地域社会が関与する計画がある事業所の割合 (%) 鉱山に対して適切な修復計画がある操業中の事業所の割合 (%) 生物多様性の課題に取り組んでいる操業中の事業所の数 取水量 (千m 3) 16.5 2012年 安全衛生 死亡災害 直接雇用の従業員の死亡件数 (件) 直接雇用の従業員の1万人あたりの死亡度数率 (件) 間接雇用の従業員 (協力企業と下請企業) の死亡件数 (件) 第三者 (雇用関係になし) が含まれる死亡件数 (件) 休業災害 直接雇用の従業員休業災害件数 (件) 直接雇用の従業員の災害度数率 (100万人時あたり) 間接雇用の従業員 (協力企業と下請企業) の休業災害件数(件) 主要排出物質について連続測定器を導入しているキルンにより製造されたクリンカ量の割合 (%) 22 100 33.6 32.2 715 686 1.6 3,286 13.4 2.3 83.9 2012年度 2013年度 2014年度 代替原料の利用 代替原料の比率:セメント・クリンカ製造用全原料使用量に占める代替原料の割合 (%,乾燥重量ベースで算出) 連続・不連続測定に係らず、モニタリングシステムを有するキルンで製造されたクリンカ量の割合 (%) 22 100 33.4 32.0 723 694 1.7 3,316 13.2 2.3 83.9 WBCSD-CSIに基づく主要業績評価指標 (KPI) の第三者保証報告書 ▶ G4-33 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 65 ▶ G4-17, 28, 29, 30, 31, 32, 33 編集方針 報告対象範囲 当社のCSR活動をステークホルダーの皆様にご報告するとともに、広く [対象期間] ご意見をいただき、活動と開示の充実を図るコミュニケーションツール 2014年度 (2014年4月1日~2015年3月31日) を目指しています。2015年版は、以下のような試みを行いました。 一部対象期間外の活動内容も時期を明示して掲載しています。 ◦前半パート (P.02~21) は、CSR活動報告のサマリーとしてもご覧い [対象組織] ただけるよう編集し、後半パート (P.22~63) では、各分野の活動を 太平洋セメント (株) 単体を中心に、グループ会社を含みます。 「当社」と 報告しています。 記載の場合は単体を指し、グループ会社にかかわる事項は社名を明記し ◦ 「ダッシュボード」ページを新たに設けました。事業の概況、財務・ ています。 非財務の両側面におけるパフォーマンスの推移と中長期的な目標 を統合的に俯瞰し、太平洋セメントグループの状況を示す「計器盤」 ◦定量情報の対象組織 としての機能を目指しています。続いてトップコミットメントをお 連結および以下の3区分で集計しています。区分①・②は、集計範囲の 読みいただき、太平洋セメントグループのアプローチを総合的に理 アイコンを各データに表示しています。 解いただくことを意図しました。 ◦2013レポートのバリューチェーンの俯瞰、2014レポートの重要 課題の特定に続き、今回レポートではCSR長期定量目標「CSR目標 2025」策定の報告を行いました。 ◦ 「CSR目標2025」策定のプロセスにおいて、外部有識者とタスク フォースメンバーのダイアログを実施しました。 ◦活動報告に、GRIガイドラインの開示項目番号を表示しました。 区分① 単体 太平洋セメント (株) 単体 区分② WBCSD WBCSD※1-CSI※2 のKPIのデータ収集範囲:P.3に記載 区分③ (その他) ・事業のマテリアルバランス (P.36〜37) 、廃棄物最終処分量 (P.44) : [参照したガイドライン] P.37に記載 GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版(G4) 」 ・死亡災害件数 (P.3) 、災害検討書登録数推移 (P.58) : 環境省「環境報告ガイドライン2012年版」 当社グループ各事業所 (含む海外) における従業員、協力会社従業員 環境省「環境会計ガイドライン2005年版」 [発行時期] 2015年9月 (前回発行:2014年9月、次回発行予定:2016年9月) ※1 WBCSD (World Business Council for Sustainable Development) :持続 可能な発展のための世界経済人会議。約200社の国際的な企業をメンバーとし、持 続可能な社会形成のために様々な活動を行っている。 ※2 CSI (Cement Sustainability Initiative) :セメント産業部会 GRIガイドラインへの準拠 本報告書は、GRI「サステナビリティ・レポーティング・ ガイドライン第4版 (G4) 」の「中核 (Core) 」に準拠して います。本報告書がG4の開示枠組みに沿って作成され ていることについて、 (株) サステナビリティ会計事務所 (所在:東京都千代田区) による第三者チェックを受けて います。GRIガイドライン対照表については当社ホーム ページをご参照ください。 ■http://www.taiheiyo-cement.co.jp CSRの取り組み→ CSRレポート→資料編 本報告書に記載された定量指標を除く記述情報が会社 の関連情報と整合しているかについても、 (株) サステナ ビリティ会計事務所による保証を実施しています。 [Web掲載情報] 以下の情報をホームページに掲載しています。 http://www.taiheiyo-cement.co.jp CSRの取り組み CSRレポート 資料編 ・廃棄物・副産物使用量推移 ・人材教育体系図 ・アスベストによる健康障害の発生状況 ・GRIガイドライン対照表 [お問い合わせ先] 太平洋セメント株式会社 総務部CSR推進グループ Tel:03-5531-7335 Fax:03-5531-7552 E-mail:[email protected] 66 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 ◦見通しに関する注意事項 本レポートに掲載されている計 画、見通しに関する内容につい ては、現時点で入手可能な情報 に基づき判断した予想であり、 リスクや不確定要因を含んでい ます。したがって、掲載された 将来の計画数値、施策の実現を 確約したり、保証するものでは ありません。 第三者意見 ▶ G4-18, 26, 27 GRI ガイドライン(G4)に準拠するなら、14 頁右上に掲げ 株式会社日本総合研究所 理事 足達 英一郎 られた図の横軸は「当社グループにとっての重要度」では 氏 なく「当社グループが生じさせる影響の重要度」とすべき でしょう。さらに「CSR 目標 2025」には、 「2025 年度ま でに 2000 年度比でネット CO₂ 排出原単位を 10% 以上削 減」が掲げられていますが、将来的には国内での需要予測 を踏まえ絶対量での削減目標を設定されることを期待いた します。 わが国では、第 2 次世界大戦後の国土復興期とその後の 他に課題を感じたのは、本書の内容を「方針」 、 「取り組 高度成長期において、新幹線、高速道路、港湾、空港など み」 、 「実績」と分けたとき、 「実績」の部分の進捗について の膨大な社会基盤施設が建設され、暮らしや経済活動のた でした。WBCSD セメント産業部会のもとに「自主行動計 めの利便性が大きく向上しました。そのことにセメント産 画」を策定され、主要業績評価指標で進捗管理を進めてお 業が果たしてきた貢献は計り知れません。一方で、今後を られることは特徴的ですが、64 頁に掲載されている時系 展望すると、高齢化、人口減少、気候変動といった変化を 列的な実績推移を拝見しますと、 「気候変動防止」や「安全 踏まえ、環境負荷の低減といったネガティブな要素を緩和 衛生」などのいくつかの項目では、必ずしも改善の方向性 する側面と、国土強靭化、資源循環サイクルの確立といっ が明確になっていない点が気がかりでした。 たポジティブな要素を発揮する側面とが、セメント産業が 一方でポジティブな要素を発揮する側面では、「資源循 果たすべき新たな貢献になると判断します。そうした認識 環サイクル確立への貢献」について、特集(18 頁~ 19 頁) を基本に、本書を通読しました。 や資源循環の促進の節(42 頁~ 43 頁)を通じて、具体的な 2014 年度の進捗として、「17 中期経営計画」と「CSR 理解を一層進めることが出来ました。今後は、米国、中国、 目標 2025」を制定された事実がまず目を惹きました。 東南アジアなどの海外においても資源循環にどんな貢献を 「CSR 目標 2025」には「災害防止」と「温室効果ガス排出 果たしているかを開示していただければ幸いです。 抑制」を柱として盛り込まれたことを評価いたします。こ 最後に、わが国においても豪雨、竜巻、巨大台風などの の他に、セメント産業の注目点としては、「大気汚染の抑 自然災害が顕在化してきています。地震、津波などととも 制」 「エネルギー管理」 「生物多様性保全」 「労働安全衛生」 「透 に、こうした災害に備えるためにも、セメント産業への期 明性ある価格政策」などがあると考えます。これらの項目 待は一層大きくなっています。国の気候変動適応策も近々 について、本書では概ね一定の開示がなされていると感じ には取りまとめられると伝えられていますが、業界リー ました。ただ、些細な点ですが、重要課題抽出プロセス ダーである御社グループが、技術の可能性に関する発信や のうち優先順位付け(14 頁)で、温室効果ガス排出自体が 政策的な提言を、今後積極的に行っていかれることを期待 明示されていない点にはやや意外感がありました。また、 申し上げます。 ◉ご意見をいただいて 高齢化、人口減少、気候変動といった変化を踏まえ、環境負荷の低減といったネガティブな要素を緩和する側面と、国 土強靭化、資源循環の確立といったポジティブな要素を発揮する側面とが、セメント産業が果たすべき新たな貢献である という、我々が進もうと考えている方向に対し、共通の認識をお持ちいただけたことを心強く思います。また、資源循環 への貢献に対する取り組みに対し、具体的な理解を深めていただけたことをうれしく思います。一方、業績評価指標で取 り組みの進捗管理をしている中で、 「気候変動防止」や「安全衛生」などの方向性が明確でないとのご指摘に対しては、よ り取り組みの内容を改善し、成果が上がるよう努めてまいります。 今後もセメント産業に対する社会の期待に応えられるようステークホルダーとのコミュニケー ションに努めてまいります。本レポートの読者の皆様からも忌憚のないご意見を賜りますようお 願い申し上げます。 CSR推進担当 取締役 常務執行役員 笠村 英彦 TAIHEIYO CEMENT CSR REPORT 2015 67
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