「いじめ・暴力追放」をめざして【児童・生徒】

「いじめ・暴力追放」をめざして【児童・生徒】
有年小学校
児童会
1 平成26年度の振り返り 「心一つに」を目指して
【一人一人の願いを生かし,児童が自発的に取り組む活動】
昨年度の児童会活動では,子どもたち一人一人の良さを発揮できる自発的な活動を促す
取り組みの工夫と充実を図った。
①委員会活動
当番的な活動だけでなく,自発的な活動にも積極的に取り組めるようにした。各委員会
がそれぞれのアイデアとやる気を発揮して,「自分たちの学校生活がもっといじめ・暴力
のない楽しい学校」になるにはどうすれば良いか考え,実施した。例えば,12月の学校
生活目標「今年をしっかりしめくくろう(あいさつ・言葉づかい・整理整頓)」をもとに
して次のような活動が各委員会において展開された。
放送委員会
・お昼の放送で,あたたかい言葉をかけ合った出来事を
毎日紹介した。
・あたたかい言葉クイズを放送した。
運動・生活委員会
・「進んであいさつをしようソング」を自分たちでつく
り,全校に広めた。
掲示委員会
・あたたかい言葉を自由に書ける掲示物をつくり,児童
玄関に掲示した。
・美しい整理整頓の写真を掲示した。
図書委員会
・「あたたかい言葉に関するおすすめの本」のブースを
つくり,全校に紹介した。
活動後には,各委員会で「振り返り」を行い,低学年にインタビューした内容や自分た
ちの感想を伝え合う場を設定している。「振り返り」を行うことにより,有年っ子一人一
人の願いを生かして,次の活動に取り組めることができている。
②代表委員会の充実
本校の代表委員会は,5・6年生の運営委員4名と3年生以上の学級代表が参加し,月
に一回行うようにしている。運営委員の児童が低学年の頃,有年小の合言葉「心一つに」
が制定された。運営委員の児童は,学校行事や児童会活動を経験することにより,「心一
つ」にすると人を思いやる心,助け合う心が育つことを実感している。その経験を生かし,
議題を選ぶ際には「心一つの有年小学校」を目指し,どうすれば有年小学校がいじめ・暴
力のない楽しい学校になるか常に意識して,議題を選定している。また,運営委員が全ク
ラスに議案書を配布し,「話し合う内容について」事前に説明し,各クラスで話し合う時
間を設けている。そうすることにより,低学年も含めた一
人一人が議題や提案理由を理解し,自分たちの願いをもつ
ことができ,願いを生かした主体的な話し合い活動が行え
るようなった。
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成果と課題
これまでにはなかった新しい活動を児童が主体的になって考え,実行することができて
いる。自分たちのアイデアを生かした活動であるため,児童も楽しみながら委員会活動を
行い,代表委員会に参加できるようになった。このような活動を数多く経験することによ
り,よりよい有年小学校にしていこうとする意欲的な態度が養われている。また,児童が
主体的に行動することによって,一人一人の変容が見られた。低学年のある児童は,「放
送を聞いて,どんな言葉があたたかい言葉なのかよく分かった。私も使いたくなった。」
と言い,高学年のある児童は,「音楽会のテーマを運動会とつなげて話し合うことで,改
めて心一つの意味を考えることができた。」と振り返っていた。また,教師間でも「振り
返り」
「伝え合い」の場を設けることにより児童会活動を見直すことができた。
今後は,教師が活動の中で児童のアイデアをどう吸い上げていけるか,どのように折り
合いをつけさせていくか共通理解を図る必要がある。児童が自発的に取り組む活動は,い
じめや不登校などの問題に対する予防的な役割を果たし,児童の成長に欠かせない教育活
動である。今後も「心一つに」を合言葉に児童一人一人の良さを発揮できる主体的な活動
を促す取り組みの工夫と充実を図っていきたい。
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願いを伝える
昨年度も6年生を送る会で,5年生は卒業する6年生の運営委員から,合言葉の掲示
物を引き継いだ。そして,今年度も全校朝会で改めて合言葉を運営委員が紹介し,「心一
つに」の意味を一人一人が確認することができた。
今年度の4月,6年生児童から「自分たちもあいさつ隊をして有年小を明るくしたい。」
「今までの6年生以上の元気を全校に与えたい。」という意見が出された。そして,今年
度も6年生を中心としたあいさつ隊が結成され,下校時には玄関前に立ち,気持ちの良い
あいさつをしてくれている。このように先輩達の「精神」はしっかりと受け継がれている。
【児童の感想】
・最初は恥ずかしかったけど,みんなが笑顔に
なってくれると嬉しい。6年生になったんだ
と実感できる。今までの6年生のように頑張
ろう。
・帰るときに元気よくあいさつしたら,明日の
学校も楽しみになった。
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ここに注目
○委員会の連携
今年度,体力向上を目指し,年間を通して業間マラソン(GM)を行うようになった。
それに合わせて,各委員会が連携しみんなで体力を高めていこうとする意欲が高まってい
る。運動委員会と放送委員会・掲示委員会が連携を図って,2000周到達お祝い放送を
行ったり,走った距離を日本地図に記録し児童玄関前に掲示したりしている。どれも,児
童が発案し,各委員会の児童同士で協力しながら活動
を進めている。それぞれの委員会のアイデアを持ち寄
ることにより,新しい活動が生まれることを児童は実
感し,より積極的に委員会活動に取り組もうとする姿
勢が見られている。
「いじめ・暴力追放」をめざして 【小・中学校教職員】
赤穂市立有年小学校
1
平成26年度の振り返り
「児童を中心に据えて」という基本方針に基づき,いじめを生まない環境づくりを進
めてきた。特に重点を置いた取組は,有年小学校いじめ防止基本方針の策定と組織づ
くり,児童理解を深めること,保護者や地域との関わりの3点である。今年度は昨年
度の取組を継続するとともに,中身についてより持続可能な取組となるように見直し
を図ってきた。
2 いじめ・暴力追放を実現するために
(1)最終提言を具体化する取組
兵庫県いじめ防止基本方針,いじめ問題等再発防止に係わる第三者委員会の最終
提言書を受け,昨年度有年小学校でもいじめ防止基本方針を策定した。今年度もい
じめを未然に防止するため,最終提言にも記載されていた次の3点について重点的
に取り組んでいる。1点目は学校の役割に関することの「組織的に動ける実質的な
体制づくり」について,2点目は児童生徒力と主体性の向上に関することの「児童
生徒力と主体性の向上」の取組について,3点目は地域社会の役割に関することの
「地域と学校のつながり(地域の人材を学校へ)」の取組についてである。また,校
長,教頭,主幹教諭,生徒指導,教育相談,学年部代表などにより,いじめ防止対
策委員会を設置し,定期的に委員会を開き対応している。
(2)組織的に動ける実質的な体制づくりについて
① 全ての職員が全ての児童に関わる
全ての職員が全ての児童に関わるという意識をもって,互いに相談したり助け合っ
たりしながら問題に対処する組織をつくることができている。児童が活躍している
様子を見れば担任に伝え認める機会をつくったり,休み時間には運動場に出て児童
と一緒に遊んだりと,普段から児童の様子に目を配るようにしている。
② ブロック朝会の取組
有年小学校ではブロック朝会を設け,校内や校外の生徒指導上の問題についてそれ
ぞれ低中高に分かれ指導を行っている。ブロックに分かれて指導することによって,
教師の指導方針にぶれが生じにくく,自分以外の学年の児童の指導にも責任をもつ
ようになっている。また,問題に対して「なぜ問題なのか」を児童が考えられるよ
うな場を設けることによって,自分自身の行いを客観的に捉え,振り返ることがで
きるように取り組んでいる。
③ 生徒指導委員会・情報交換会の実施
毎月,月末に生徒指導委員会を行っている。その月の児童の様子を学年部の枠を超
えて伝え合い,そこから見えてきた課題をもとに,今月の目標を設定し職員が一丸
となって子ども達の指導を行っている。また,職員会議後には必ず情報交換会も行
っている。各学年の児童について,少しでも気にかかる様子があれば,全職員で共
通理解し,担任一人が抱え込むのでなく,学校全体で一つのチームとなり,問題の
解決に向けて日々取り組んでいる。
④ いじめアンケート実施による早期発見・早期対応・早期解決
6月に今年度1回目のいじめアンケートを児童に実施した。アンケートを行うこと
で,悲しい思いやつらい思いを周囲に言えず悩んでいる児童がいないか,早期発見
に努めている。また,「からかわれた。」「わらわれた。」など,些細なことでも重大
ないじめにつながるという認識をもって,個別に話を聞いたり,細かな観察を行っ
たりと,早期解決につなげるようにしている。それだけでなく,臨時のいじめ防止
委員会も開き,早期対応を鉄則に取り組んでいる。また,教師自身も人権チェック
を行い,教師が児童の手本となれているか,日頃の言動・環境づくり等を振り返り,
よりよくなるように努めている。
(3)地域とのつながり(地域の人材を学校へ)について
① 開かれた学校
開かれた学校を目指し,児童に生け花をしてくださる方を定期的にお招きしたり,
3年生の里山体験で地域の方を講師にお迎えしたりして,様々な方が学校と関わり
を持てるように取り組んでいる。里山体験では地域に出かけていき,里山の自然環
境を維持管理するために働く人と出会うことで,地域に貢献することの大切さに気
付く活動に取り組んでいる。地域のみなさんと連携して学校教育を行うためには,
地域に出かけ地域の方と活動することや地域の方が学校に足を運んでくださること
が,何よりも大切だと考えている。
② 地域ボランティアとの連携
一昨年度より,年一回,地域の方をゲストティーチャーに招いての授業を各学年
部で行っている。下校時には,老人クラブの方などがボランティアで見守り隊を結
成し,見守ってくださっている。地域のみなさんは,放課後も児童の様子に目を配
り,地域での良い行いや,少し気になる行動等,すぐに連絡を下さっている。夏季
休業中には地域の方が児童の学習支援を行いたいという温かいい申し入れも受けて
いる。今後も,保護者・地域のみなさんとの連絡を密にし,子ども達を育てていき
たい。
3 児童生徒力と主体性の向上について
(1)居場所づくりと自主性の育成
授業の中での居場所づくり,学級活動を通しての居場所づくりとあわせて,全校の
中での居場所づくりにも力を入れている。毎週火曜日の有年っ子タイム,1年生を
迎える会などの児童会行事,年数回行う交流給食などにおいて,有年っ子きょうだ
い班(縦割り班)で活動し,そのふり返りを積み重ねることで,集団の一員として
の自覚を育てている。また,児童会の6年生が中心となって,月ごとに誕生日集会
を行っている。誕生日集会では誕生日の児童が自分の頑張っていることや好きなこ
とを発表するだけでなく,6年生がその児童のよさを紹介しその児童の手形を押し
た色紙をプレゼントしている。いじめや暴力をおこさないために,6年生が中心と
なった主体的な活動によって,一人一人の自尊感情を育み,児童の居場所をつくる
取組を進めている。そのことによって,課題を持つ児童も安心して集団の中に溶け
込むことができている。
(2)自律性の育成
毎月の生活目標設定では,児童が主体的に取り組めるように工夫している。各学級
で話し合いを行い,学級の実態に応じた具体的な目標を設定している。そうするこ
とで,自分達の学校を,自分達でよりよくしていこうとする姿が芽生えると考えて
いる。また,必ず目に見える形で評価を行うことで,児童が達成感を味わい,次へ
の意欲を持てるようにしている。
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市民へのメッセージ
地域のみなさまの温かい声かけ・見守りがあるからこそ,子ども達は毎日安心して
暮らすことができています。子ども達は様々な人との関わりの中で成長していきます。
これからもお力添えをいただきますよう,どうぞよろしくお願いします。未来を担う
子ども達を育てているという自負をもち,一人一人が毎日生き生きと学校生活を送れ
るよう,私たちはこれからも全力で取り組みます。