ルカによる福音書1:5-25

主日集会 2015.12.6
先駆者ヨハネ誕生の告知
ルカ福音書1:5-25
おう
とき
くみ
もの
さい し
かれ
つま
し そん
1:5 ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫
な
で、名をエリサベツといった。
かみ
み まえ
ただ
しゆ
いまし
さだ
おち ど
ふ
おこな
1:6 ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての 戒 めと定めを落度なく踏み 行 っていた。
ふ にん
おんな
かれ
こ
とし
1:7 エリサベツは不妊の 女 だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた。
じ ぶん
くみ
とうばん
かみ
み まえ
さい し
(2)エリサベツは不妊の女だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた(7節)
この夫婦には子どもがいなかったが、それはユダヤ人にとって恥ずべき状態だった。医者であるルカは、その理
由をエリサベツが不妊の女だったからだと記している。「ふたりとももう年をとっていた」という事実がこの問題を
さらに悪化させていた。
つと
1:8 さて、ザカリヤは、自分の組が当番で、神の御前に祭司の務めをしていたが、
さい し しよく
しゆうかん
ひ
しゆ
しんでん
はい
こう
1:9 祭司 職 の 習 慣によって、くじを引いたところ、主の神殿に入って香をたくことになった。
かれ
こう
あいだ
おお
たみ
そと
いの
1:10 彼が香をたく 間 、大ぜいの民はみな、外で祈っていた。
しゆ
つか
かれ
あらわ
こうだん
みぎ
(3)さて、ザカリヤは、自分の組が当番で、神の御前に祭司の務めをしていたが、祭司職の習慣によ
って、くじを引いたところ、主の神殿に入って香をたくことになった。彼が香をたく間、大ぜいの
民はみな、外で祈っていた(8-10節)
た
1:11 ところが、主の使いが彼に 現 れて、香壇の右に立った。
み
ふ あん
おぼ
きよう ふ
おそ
1:12 これを見たザカリヤは不安を覚え、 恐 怖に襲われたが、
み つか
かれ
い
ねが
き
1:13 御使いは彼に言った。「こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願いが聞かれたのです。あ
つま
おとこ
こ
う
な
なたの妻エリサベツは 男 の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。
こ
よろこ
たの
おお
ひと
たんじよう
よろこ
1:14 その子はあなたにとって 喜 びとなり楽しみとなり、多くの人もその誕 生 を 喜 びます。
かれ
しゆ
み まえ
もの
かれ
しゆ
つよ
さけ
の
はは
たいない
1:15 彼は主の御前にすぐれた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲まず、まだ母の胎内
せいれい
み
にあるときから聖霊に満たされ、
おお
こ
かれ
かみ
しゆ
た
かえ
1:16 そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせます。
かれ
れい
ちから
しゆ
まえ
ちち
こころ
こ
む
さか
もの
1:17 彼こそ、エリヤの霊と 力 で主の前ぶれをし、父たちの 心 を子どもたちに向けさせ、逆らう者
ぎ じん
こころ
た
もど
ととの
たみ
しゆ
よう い
を義人の 心 に立ち戻らせ、こうして、 整 えられた民を主のために用意するのです。」
つか
い
わたし
なに
し
わたし
1:18 そこで、ザカリヤは御使いに言った。
「 私 は何によってそれを知ることができましょうか。 私
とし よ
つま
とし
ももう年寄りですし、妻も年をとっております。
」
つか
こた
い
わたし
かみ
み まえ
た
はなし
よろこ
1:19 御使いは答えて言った。「 私 は神の御前に立つガブリエルです。あなたに 話 をし、この 喜 び
つた
つか
のおとずれを伝えるように遣わされているのです。
み
お
ひ
聖所に入って香をたく特権にあずかれるのは、一生に1度あれば良いほうだった。
エリサベツ(「神の誓い」の意)も、祭司の家系、アロンの子孫だった。彼女とその夫は敬虔なユダヤ人であり、
道徳律法においても、儀式律法においても、細心の注意を払って、旧約の教えを守っていた。もちろん、彼らに罪
がなかったわけではないが、罪を犯した時、彼らはいけにえをささげたり、儀式上のきまりをきちんと果たしたり
して、落ち度のないようにしていた。
い
はな
1:20 ですから、見なさい。これらのことが起こる日までは、あなたは、ものが言えず、話せなくな
わたし
しん
わたし
とき
く
じつげん
ります。 私 のことばを信じなかったからです。 私 のことばは、その時が来れば実現します。」
ひとびと
ま
しんでん
ひま ど
ふ し ぎ
おも
1:21 人々はザカリヤを待っていたが、神殿であまり暇取るので不思議に思った。
かれ
で
き
ひと びと
はな
かれ
しん でん
まぼろし
み
1:22 やがて彼は出て来たが、人々に話すことができなかった。それで、彼は神殿で 幻 を見たのだ
かれ
あい ず
つづ
くち
とわかった。ザカリヤは、彼らに合図を続けるだけで、口がきけないままであった。
つと
き かん
お
かれ
じ ぶん
いえ
かえ
1:23 やがて、務めの期間が終わったので、彼は自分の家に帰った。
のち
つま
ご
げつ
あいだ ひ
い
1:24 その後、妻エリサベツはみごもり、五か月の 間 引きこもって、こう言った。
しゆ
ひとなか
わたし
はじ
と
のぞ
こころ
いま
わたし
1:25 「主は、人中で 私 の恥を取り除こうと 心 にかけられ、今、 私 をこのようにしてくださいまし
た。」
【祈りながら考えよう】
(1)ザカリヤとエリサベツはどういう人たちでしたか。
(2)バプテスマのヨハネはどういう3点で「主の御前にすぐれた者」となるのですか。
(3)16節と17節によれば「主」とはどういう方を意味していますか。
ある日、ザカリヤは神殿の中で祭司としての義務を果たしていた。聖所に入って香をたくよう、くじによって選
ばれたのだから、その日は彼の生涯において特別な日だった。民はすでに神殿の外に集まって祈っていた。
この福音書が、人々が神殿で祈っている場面で始まり、人々が神殿で神をほめたたえている場面で終わっている
ことは、私たちに何かを語りかける。その間に記されているのは、人々の祈りが主イエスご自身とそのみわざにお
いてどのように答えられたかということである。
(4)ところが、主の使いが彼に現れて、香壇の右に立った。これを見たザカリヤは不安を覚え、恐怖
に襲われたが、御使いは彼に言った。「こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願い(英訳 your
prayer)が聞かれたのです。あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。
その子はあなたにとって喜びとなり楽しみとなり、多くの人もその誕生を喜びます(11-14節)
祭司と民が祈りに従事していたその時こそ、神の啓示にふさわしい時であり、舞台だった。主の使いが香壇の右
(恵みの場)に現れたのである。ザカリヤは最初、非常に恐れた。彼と同時代の人で御使いを見た人はまだひとり
もいなかった。しかし、その御使いはすばらしい知らせを告げてザカリヤを安心させた。
エリサベツに男の子が生まれるので、ヨハネ(「主の恵み」の意)と名づけよと言うのである。その子は両親に喜
びと楽しみをもたらすだけでなく、多くの人にとっても祝福となると言うのである。
(5)彼は主の御前にすぐれた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲まず、まだ母の胎内に
あるときから聖霊に満たされ、(15節)
ヨハネは「主の御前にすぐれた者となる」(本当に大切なのは、主の御前にすぐれているかどうかである)。彼は
まず第1に、神のためにこの世から自分自身を分かつという点ですぐれた者となる。彼はぶどう酒(ぶどうの実から
できたもの)も強い酒(穀物からできたもの)も飲まないのである。
第2に、ヨハネは霊的な資質においてすぐれた者となる。「まだ母の胎内にある時から聖霊に満たされ」ていると
いうのである(キリストの先駆者として特別な使命のために彼を備えさせるために、神の御霊が最初から彼の内に
宿っていたということである)。
(6)そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせます。彼こそ、エリヤの霊と
力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、逆らう者を義人の心に立ち戻らせ、こ
うして、整えられた民を主のために用意するのです。」(16-17節)
ルカはまず、バプテスマのヨハネの両親を紹介している。彼らは、邪悪な(ヘロデ)大王が「ユダヤの王」だっ
た時代に生きていた。ヘロデはエドム人、すなわちエサウの子孫だった。
ザカリヤ(主に覚えられるの意)は(アビヤの組)に属する祭司だった。ダビデはユダヤの祭司職を24の組に分
けたが、アビヤの組はそのうちの1つだった(Ⅰ歴代誌24:10)。どの組も、年に2度、ある安息日から次の安息日ま
での間、エルサレムの神殿で務めを果たさなければならなかった。この当時はあまりにも多くの祭司がいたので、
第3に、ヨハネはメシヤの先駆者としての役割においてすぐれた者となる。彼は多くのユダヤ人を主に立ち返らせ
る。彼の働きは預言者エリヤの働きのようになる。悔い改めを通して、人々を神との正しい関係に入らせようとす
るのである。
ヨハネの宣教によって、子どもたちのことに無関心だった親も、子どもたちにとって霊的に真に必要なことは何
なのかを考えるべきだった。また、不従順で反抗的な子どもたちは「義人の心」に立ち戻るべきだった。
すなわち、ヨハネは、主が来られた時に主に会う備えができている信仰者の群れを、この世から集めようと努め
るのである。これは私たち全員にとって価値のある働きである。
16節には、「イスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせる」とある。そして、17節には、ヨハ
ネが「主の前ぶれ」をするとある。
17節の「主」ということばは、だれのことを言っているのだろうか。前節の「彼らの神である主」のことである
のは明らかである。さらに、ヨハネはイエスの先駆者だった。結論は明らかである。イエスは神なのである。
-1-
-2-
【解
説】
(1)ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫
で、名をエリサベツといった。ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度な
く踏み行っていた(5-6節)
主日集会 2015.12.6
(7)そこで、ザカリヤは御使いに言った。「私は何によってそれを知ることができましょうか。私もも
う年寄りですし、妻も年をとっております。」(18節)
老齢のザカリヤは、この全く不可能と思われる約束に衝撃を受けた。彼も彼の妻も子どもをもうけるには年を取
り過ぎていた。彼がもの悲しげに問いかけたことによって、彼の心が疑念に満ちていたことがよく表されている。
(8)御使いは答えて言った。「私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおと
ずれを伝えるように遣わされているのです(19節)
御使いはまず、自分の名前はガブリエル(神の力強い者)であると告げた。ガブリエルは天使長と呼ぶ人たちも
いるが、聖書では「神の御前に立つ」者と記されているだけである。彼は神のメッセージを人に伝えている(ダニ
エル8:16、9:21)。
(9)ですから、見なさい。これらのことが起こる日までは、あなたは、ものが言えず、話せなくなり
ます。私のことばを信じなかったからです。私のことばは、その時が来れば実現します。」(20節)
ザカリヤは疑ってしまったので、子どもが生まれるまで口がきけなくなった。信者が神のことばに関して疑いを
抱くと、自分の証しと歌を失ってしまう。不信仰によって口は閉ざされてしまう。信仰が回復し、賛美し、証しし
始めるまで、閉ざされたままなのである。
ひ ま ど
(10)人々はザカリヤを待っていたが、神殿であまり暇取るので不思議に思った。やがて彼は出て来た
が、人々に話すことができなかった。それで、彼は神殿で幻を見たのだとわかった。ザカリヤは、
彼らに合図を続けるだけで、口がきけないままであった。(21-22節)
外では、人々がいらいらしながら待っていた。通常ならば、香をたく祭司はもっと早く出て来るはずだった。ザ
カリヤはようやく出て来たが、彼は身振り手振りで自分の意思を伝えなければならなかった。それで人々は彼が「神
殿で幻を見たのだとわかった」。
(11)やがて、務めの期間が終わったので、彼は自分の家に帰った(23節)
神殿で勤務期間が終わると、ザカリヤは帰宅したが、御使いが予告した通り、まだ話すことができなかった。
香壇で香をたくザカリヤに主の使いが現れる
(12)その後、妻エリサベツはみごもり、五か月の間引きこもって、こう言った。「主は、人中で私の恥
を取り除こうと心にかけられ、今、私をこのようにしてくださいました。」(24-25節)
エリサベツは妊娠し、5ヶ月間、自分の家に引きこもった。彼女は、子どもがいないという不名誉を主が取り除い
て下さったことを心の中で喜んでいた。
-3-
-4-