建設構造設計製図 その 2 M M γ

建設構造設計製図 その 2
5.2 安全性の照査
・安全性:
与えられた荷重条件のもとで,曲げモーメント,せん断力よる断面破壊に対して安全性
を有していること.つまり,終局荷重の作用によって曲げ破壊,せん断破壊しないこと.
安全性の照査は以下の項目を確認することによって行う.
(1)最小鉄筋量の確認
定性的な表現:
曲げモーメントの作用によりひび割れが生じると同時に部材が過大な変形を生じない.
定量的な表現:
曲げひび割れ発生に相当する曲げモーメントを載荷したときに鉄筋に生じる応力度が
設計降伏強度 fyd 以下である.
示方書[構造性能照査編]
6.2.2
構造細目
【解説】
通常の鉄筋(fy=350 N/mm2 程度)とコンクリート(f’ck=30 N/mm2 程度以下)とを用
いた場合には,引張鉄筋比を 0.2%以上とすればこの種の破壊は避けられる.
(2)最大鉄筋量の確認
曲げモーメントの作用による圧縮側コンクリートの破壊よりも先行して引張鉄筋の降伏
する.つまり,設定されて断面の引張鉄筋比が釣合い鉄筋比の 75%以下であることを確認
する.
以上(1),(2)より曲げモーメントの作用により部材が曲げ引張破壊すること,つ
まり,曲げ破壊に対して充分なじん性を有していることを確認する.
(3)曲げモーメントに対する安全性の確認
終局荷重作用時に生じる設計曲げモーメント Md と設定された断面から算定される設計
曲げ耐力 Mud が以下の条件を満足していることを確認する.
i
Md
 1.0
M ud
示方書[構造性能照査編]6.2 参照
曲げモーメントに対する安全性の照査は,曲げモーメントが最大となる箇所で行う.
注)中立軸の計算結果を必ず示す.
(4)せん断力に対する安全性
終局荷重作用時に生じる設計せん断力 Vd と設定された断面から算定される設計せん断
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耐力 Vyd が以下の条件を満足していることを確認する.
i
Vd
 1 .0
V yd
V yd  Vcd  Vsd
ここに,
Vcd:斜めひび割れ発生時の設計せん断耐力
b=1.3
Vsd:圧縮斜材の角度が 45°のトラス作用で受け持たれる設計耐力
b=1.1
示方書[構造性能照査編]6.3 参照
せん断力に対する安全性の照査は支点から桁の有効高さ d/2 だけ離れた箇所で行う.
せん断耐力を確保するために過剰にせん断補強筋を配置したり,自重を軽減するために
ウェブ厚を極端に薄くした場合,トラス機構の圧縮斜材となるコンクリートに圧縮破壊が
生じる危険性がある.そこでウェブコンクリートの圧縮破壊に対する安全性を以下の条件
を満足していることを以って確認する.
i
Vd
 1 .0
Vwcd
Vwcd  f wcd bw d /  b
ここに,
Vwcd:腹部コンクリートの設計斜め圧縮破壊強度
f wcd  1.25 f ' cd  7.8 ( N / mm 2 )
b=1.3
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