平成 26 年度中国地区私立幼稚園教育研修会岡山大会分科会報告 第8

平成 26 年度中国地区私立幼稚園教育研修会岡山大会分科会報告
第8分科会
テーマ
会場
研修俯瞰図番号 E6・E7
公開保育② ─学校法人尾形学園 しらゆり幼稚園─
学校法人尾形学園 しらゆり幼稚園
講師
北条郁美先生(くらしき作陽大学講師)
「音楽遊びを通して友だちとかかわる力を育てる」というテーマのもと、子どもが遊ぶ中
ねらい
で、人とかかわる力を育てる保育のあり方や教師の指導のあり方を公開保育を通して参
加者と共に協議しながら明らかにしていく。
日程
8:15
岡山駅西口バスセンター
8:25
バスセンター発
9:30~10:30
保育参観
10:45~11:50
研究協議
12:50
岡山駅西口 着 解散
集合
≪内容≫
<主題>
「みんなで遊ぶって楽しい」~遊びを通して人とかかわる力を育む~
<主題(主題設定の理由)>
近年、子どもの成長の過程で「コミュニケーション能力の乏しさ」が大きな問題となっている。
本園の子どもの様子からも、年長になっても一人遊びが中心であったり、友だちに対するかかわ
りが一方的なため、友だちと密にかかわりあって遊ぶ姿が乏しかったりする。そのため、集団遊
びは長く続かず、子どもたちだけで遊びを進める力がない。そういった子どもたちが、将来、生
きていくうえで大切に「なる「コミュニケーション能力」をいつ、どうやって学んでいくのだろ
うか?今、やるべきことはないだろうか?またどんな遊びを通して人とかかわる力を育むのか?
と考えたとき、本園の子どもの姿から定期的にある専門講師によるリトミックやクラスでのリズ
ム遊び等、音楽遊びは日ごろから慣れ親しんでおり、保育に取り入れやすいのではないかと考え
た。また、集団遊びをしたりすることが人とかかわるうえでは大切なのではないかと考えた。こ
のことから、友だちと声を合わせて歌い、きまりを守って遊んだり、自分たちで遊びを発展させ
たりできる「うた遊び」を通して「みんなで遊ぶって楽しい」と心から感じることのできる子ど
もが育ってほしいと願い主題を設定した。
<研究内容 ~うた遊びを取り入れた保育~>
うた遊びを取り入れることの利点として、集団で遊べること、特別な楽器が必要ないこと、年
齢(発達)に応じた歌遊びが考えられること、リズム感があり模倣しやすいことなどがあげられ
る。また、うた遊びのことばは、リズム感に富んでおり、コミュニケーションをとるうえで大切
になる言語の発達にも良い影響があると思われる。
本園では「うた遊び集」を作成し、年齢に応じたことば、リズム、遊びの長さ、集団性などを考
え、クラスの状況や、子どもの発達に合わせた遊びを選び、教師も子どもたちと一緒に遊ぶ。そ
して、うた遊びを繰り返して遊ぶことで、教師主体から子ども主体で遊びが進むように配慮する。
友だちと一緒に遊ぶ中で、友だちと遊ぶ楽しさを十分に味わえる子どもに育つ様子を研究してい
く。
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主題設定の経緯
本園の子どもの姿は年長になっても・・・
現代の子どもの背景
個・・・ひとり遊びが多い
・園外での友だちとのかかわりが希薄
友だちに対するかかわりが一方的である
集団・・遊びが長く続かない
・近所に友だちがいない
・近所に遊べる場所がない
ルールのある遊びを子どもたちだけで
・メデイアやゲームへの興味関心が強い
進められない
・家庭での会話不足
など
コミュケーション能力が乏しい・・友だちと遊ぶ楽しさが十分に味わえていないのでは?
友だちと遊ぶ楽しさを充分に味わうためには・・
・個の人とかかわる力を育て、人間関係を深める力を養うことが大切
・子どもが主体となって、友だちとかかわりながら遊びを進められる力を育むことが大切
コミュニケーション能力を高める=大人になった時の生きる力のひとつになる
園での子どもの姿から何を保育にとりいれられるか?
・言葉で思いを伝えることが苦手な子、集団の中で力を発揮しにくい子でも音楽に対する興味が
強く、音楽性のある遊びには積極的になれること。
・落ち着いて過ごしにくい子、集中しにくい子でも音楽を聴いている間を示し、何かしらの反応
をすること。
・講師によるリトミックを集中して楽しめること。
人とかかわるため
には、集団遊びを
音楽遊びには慣れ親しんでいることから
音楽性のある「うた遊び」を保育に取り入れる
することが有効
うた遊びの利点
○模倣しやすい
○特別な楽器がいらない
○年齢(発達)に応じた遊びを考えられる
○ことばがあり、言語の発達にも良いとおもわれる
○集団で遊べる
○リズムを感じ合わせることができる
子どもたちが主体となってうた遊びを繰り返して遊ぶことで、人とかかわる力が育まれ「みんな
で遊ぶって楽しい」と感じられる子どもが育っていく姿を研究する。
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<本日の公開保育の進め方について>
9:10~9:20
9:30~10:30
10:45~11:20
11:30~11:50
12:10
移
全体会
保育参観
動
研究協議(各保育室)
全体会・講演
<全体会>
コーデイネーターの先生より本日の公開保育について説明を受ける。
* 全体会にて参観クラスを決め、各クラスの「問い」について、参観後に意見や感想を付箋に記
入する。
* 参観後は、クラス単位で持ち寄った付箋をもとにコーデイネーターの先生を中心にバズセッシ
ョンを行う。
* バズセッション後、全体会にて講師による話を聞く。
<保育参観>
例:年中さくらA組
ねらい : リズムを感じながら友だちと、うた遊びを楽しむ。
問い ① 子どもたちは、リズムやテンポを友だちと共有してうた遊びを楽しめていましたか?
② 今日のうた遊びは、ほかにどのように遊ぶことができますか?
幼児の姿
年少の頃から簡単なうた遊びをしてきた。年中になり 2 人組遊びやクラス全体の遊
びを通して、ルールのある遊びを多く経験している。歌をしっかりうたったり、リ
ズムやテンポを共有しながら遊んでいる。
「かごめ」
「だるまさんがころんだ」
「はな
いちもんめ」等、教師や同学年の幼児のみならず、年少や年長の幼児とのかかわり
が広がってきている。
子どもの活動
*役割交代遊び「おちゃをのみにきてください」
*2 人組表現遊び「タンブリンはどこですか」
<参観後の研究協議=バズセッションの様子>
「否定的な意見や指導の在り方にばかり焦点をおくのではなく、子どもの姿に着目したり、良さ
に目を向けることの大切さや、自分以外の参加者の意見に同調したり、逆に気づいたりすること
で保育の幅を広げること、つなげていくこともこの協議の中では大切にしたいことです」
(コーデイネーターの先生より)
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<本日の保育について ~担任より~>
一つの遊びを自分たちで展開していけるように形を変えながら進めていった。
遊びをみんなで楽しめること、楽しむことにポイントをおいた。
リズムを感じながら、友だちと合わせようとする姿もみられたのではないだろうか。
①
付箋を持ち寄り“問い”に対しての感想や意見を交換しあう。
*
活動を通して友だちとのかかわりも深めている様子がよくわかった。
*
一つのうた遊びでも、いろんなバリエーションがあること、それによりかかわりも広
がってくることが子どもの姿を通してよくわかった。
*
子ども同士で進めながらの工夫が見られたり、相手(友だち)を意識しながら楽しん
だりしている姿がみられていた。
*
十分にルールを把握できていない子どもに対して、教師が一緒にすることで、理解し
一緒に楽しめたのではないかと思う。等
②
参加者から出た意見を分類していく。今回は下記の3つに分類された。
1、子どもの姿
2、遊びの展開・バリエーションについて
3、教師の配慮・援助について
③
これまでの協議を通して感じたことを出し合い、まとめへ。
自分なりの表現の仕方を楽しみ、その姿を「受け入れることの大切さ」を改めて感じた。
クラスの子どもの姿をしっかり捉えたうえで、活動を進める大切さを再認識した。
うたやピアノをうまく使い興味を引き付けている点が参考になった 等々。
バズセッションでは、自分の意見や感想をしっかり出し合い、そのことについての議論が活発
に行われた。
<全体会=講師による話>
”うた遊び”を保育に取り入れることでのコミュニケーション能力また
対人力の育ちについて、本日の保育またこれまでの会場園の取り組みを通
して具体的な話をしてくださった。
音楽遊び、わらべうた遊びは、①人と人とのシチュエーションを変える ②
対人のバリエーションを変えるなど、発達に即した変化を取り入れること
<講師::北条郁美先生>
で「対人力」を育てることにもつながっていく。また、日常の保育の中で
も教師間での保育内容の共有、子どもの姿の共有を行うことで、教師同士
のコミュニケーション能力の育ちとなり、これらが子どものコミュニケー
ション能力の育ちにもつながるのではないだろうか。
≪担当園・記入者≫
竹中幼稚園
小山光子
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