ーFa-3 シコニンの染色化学的性質

被 服
〔(社) 日 本 家 政 学 会
シコニン の染色化学的性質
I Fa-3
○ 長 嶋 直 子 、 片 山 明 (東 京 家 政 大 )
坂田 佳 子 ( 京 都 女 子 大 )
目 的 : 紫 草 の 主 色 素 成 分 、シ コ ニン の 染 色 化 学 的 性 質 を アJしミ 錯 体の 構 造を 中 心 に 検 討 する こ と
を 目 的 と し た。
方 法'. 市 販 の 染 色 用 乾 燥 紫 根 (田 中 直 商 店 ) か ら シ コ ニ ン を 抽 出 、 精 製し 、 色 素 の 水 に 対 する 溶
解 を 測 定し た。 ま た 、シ コ ニ ン 水溶 液 の 吸 収 スペ クトJしに 及 ぼ1 溶 液 のPH の 影 響 、 メ タ ノ ー ル
溶 液 の 吸 収 ス ペク トJしに 及ば す ナト リ ウ ム ーメ チ ラ ート 、塩 化 ア ルミ ニ ウ ム 添 加 の 影 響 を 調 べ て
考 察を 行い 、シ コ ニ ン ーア ルミ 錯 体 の 構 造 を 推 定し た 。
結 果 : 水 に 対 する 溶 解度 (30 ℃ )は1.74 ×lO-'mol/l 71 、 難 水 溶 性 で あ る 。 シ コニ ン 水 溶 液 の 吸
収 スペ ク ト ル はpH8 付 近 から 顕 著 に 変 化し はじ め る の で 、こ の 付 近 で ま ず 水酸 基 の 1 つ が 解 離し
はじ め 、PH12-14 で は ス ペ クトJしは ダ プJしピ ー ク を も つ 特 有 の パ タン を 示し 、2 つ の 水 酸 基 が と
も に 解 離 する と 考え ら れ る 。シ コ ニ ン の メ タ ノ ール 溶 液 に 大 過 剰 の ア ルミ を 添 加 する と 、吸 収 ス
ペ クトJしは 顕 著 に 変 化 する が 、そ の パ タ ン はDH12-14 の 水溶 液中 で 得ら れ る も の と 類 似し てい る 、
こ の よ う な 事 実 は 、メ タ ノ ー ル 中 で 形 成 さ れる シ コ ニン ーア ル ミ 錯 体は 、シ コ ニ ン の 2 つ の 水 酸
基 が そ れぞ れ 隣 接 す る キ ノン カ ル ポ ニJしと の 間 で アJしミ・ キ レ ート を 形 成l る こ と を 示 唆 する 。
こ のよ う な 系 に 塩 酸 を 添 加し て も 吸 収 スペ クト ル に 変 化 は 認 め ら れ ず 、錯 体 は 酸 に 対し て 安 定 で
あ る 。 また 、絹ヒ プ ロ イン を 製 膜し 、 アJしミ で 先 媒 染し た 後 、シ コ ニ ン で 染 色し た 染 色 膜の 吸 収
ス ペ クト ル を 測 定し た と こ ろ 、そ の パ タ ン は 、メ5> ノ ー)l 中 の シ コ ニ ン ーア ルミ 錯 体 の そ れと 類
似し て:い た 。
I Fa
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藍の生 葉染めの過程におけるインジル ビンの生成
○牛田 智 谷上由香 太 田真祈
( 武庫川女大)
( 緒 言 》 藍 の生 葉 染め で は 、条 件 に よ って は 青 く染 色で き ない 場 合 があ る 。藍 の 色 素で
あ る イ ンジゴ の生 成 過程 で 、 そ の構 造異 性 体 であ る 赤 色色 素 の イン ジ ルビ ン が生 成 す るこ
と も一 因 であ るか 、 どの よ う な条 件 で イ ンジ ル ビ ンが生 成 す るの か 、詳 し く 検討 さ れ てい
な い 。 ま たこ の 赤 色 のイ ン ジ ルビ ン を積 極 的 に染 色 に利 用 す れば 、 イ ンジ ゴ の青 と混 ざ
っ
て 、 赤 紫 色の 染 色 物 を生 葉染 めで 得 る こと か 可能 で あ ると 考え ら れ る。
( 方 法 》 酢 酸 イ ン ドキ シ ルを アル カ リで 加水 分 解 し てイ ンド キ シ ルを 生成 さ せ 、PH を
調 整 後 絹布 を 浸 潰 し 、 ―定時 間 放 置 後洗 浄し た。 ま た、藍 の 生 葉 染 めを 絹布 に対し て 様 々
な 条 件 で行 っ た 。染 色布 は測 色 を す ると と も に、生 成 色 素を DM S Oで 抽出 し てHP LC
によ る 分析 を 行 っ た。
《 結果 》 イ ン ジル ビ ン は、 藍 の葉 に含 ま れる イ ン ジゴ の前 駆 体で あ る イン ジ カ ンの 加水
分 解物 であ る イ ンド キシ ルと 、 その 酸 化生 成 物 であ るイ サチ ンとの 反 応 で生 成 する こ とが
わ か って い る 。 イ ン ジカ ンの 代 わり に 酢酸 イ ンド キ シル から ア ルカ リ加 水 分 解 でイ ン ドキ
シ ルを 生 成 さ せ、PH を 中 性 付近 に 下 げ絹 布 を 染色 し たと こ ろ 、長 時間 放 置 し てお い た も
の か赤 紫 色 に染 色 さ れ た。酢 酸 イン ド キ シル の メタ ノー ル溶 液を 絹 にし みこ ま せて 長時 間
放 置 す るこ と に よ って も赤 紫 色 に染 色 さ れる こ とが わか った 。生 葉 染 めを 様 々 な条 件 で検
討し たと ころ 、イ ン ド キ シル が酸 化 さ れる 時 に アル カ リ性 に な る条 件 、 また 水へ の溶 解 性
の小 さい イ サ チ ンを 可溶 化 で き るよ う な条 件 で赤 紫 色 に染 色 する こ とか で き た。
《謝 辞 》 実 験 に 協力 さ れ た熊 本 直 子さ ん に感 謝 す る。
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