通電加熱ホットスタンピングにおける焼入れ性の向上

1. 通電加熱ホットスタンピングにおける焼入れ性の向上
極限成形システム研究室 中尾 吉孝
炉加熱ホットスタンピング
引張強さ
1.5GPa
ダイクエンチ
成形部品
炉加熱
生産性:低
酸化スケール:多
設備規模:大
コスト:大
通電加熱ホットスタンピング
通電加熱
ダイクエンチ
ホットスタンピングによる
超高張力鋼部品
問題点
成形部品
生産性:高
酸化スケール:少
設備規模:小
コスト:小
100μ m
未変態フェライト:多
通電加熱ホットスタンピングにおける焼入れ性の向上
1. 最高温度保持方法
2. 最高温度保持結果
通電加熱ホットスタンピングにおける最高温度保持方法
ブランク:熱間プレス成形用鋼板 155×90×1.6 mm
ブランク
電極
2s
鋼板温度 /℃
(a)通電加熱
(b)搬送
研究目的
保持時間 t
900
搬送
(c)ダイクエンチ
成形
通電加熱時の
最高温度保持
通電加熱
0
3+ t
3
加熱開始からの時間 /s
硬さの向上
通電加熱ホットスタンピング方法
下型
ブランク
電極
電極
通電加熱ホットスタンピング方法
熱間プレス成形用鋼板 155×90×1.6 mm
通電加熱 900℃(3.2 s)
最高温度保持(t =10 s)
ダイクエンチ
通電加熱ホットスタンピングにおける焼入れ性の向上
1. 最高温度保持方法
2. 最高温度保持結果
通電加熱を用いた最高温度保持結果
1000
温度保持あり
1.45 kA
鋼板温度 /℃
800
温度保持なし
(加熱後 電流停止)
600
20mm
7.5 kA
400
放射温度計
200
t =10 s
0
2
8
6
4
加熱開始からの時間 /s
10
12
14
平均硬さおよび硬さの標準偏差に及ぼす保持時間の影響
未変態フェライト
50mm
50mm
4
A’
400
硬さ測定(平均値)
300
200
A
A’
1 mm
A
3
2
1
100
0
炉加熱平均硬さ
炉加熱標準偏差
2
4
6
保持時間 t /s
8
10
硬さの標準偏差
/%
平均硬さ
平均硬さ /HV20
500
均一マルテンサイト
平均硬さおよび硬さの標準偏差に及ぼす昇温時間の影響
温度
保持時間 t
低速昇温
昇温時間
3
A’
300
2
200
A
硬さ測定(平均値)
100 A
0
1 mm
2
4
A’
1
炉加熱標準偏差
8
6
昇温時間 /s
10
12
14
平均硬さ
炉加熱平均硬さ
400
/%
4
硬さの標準偏差
平均硬さ /HV20
500
酸化スケール厚さに及ぼす保持時間の影響
スケール厚さ= t1-t2
t1
酸洗前
t2
(a)成形品 (b)切り出し (c)酸洗
酸洗後
(d)測定
酸化スケール厚さ /mm
40
炉加熱酸化スケール厚さ
30
20
炉加熱成形品
保持時間あり
低速昇温
10
0
2
4
6
保持時間 /s
8
10
通電加熱成形品
まとめ
1. 昇温後に保持時間を設けることで平均硬さが増
加し,硬さのばらつきもほとんど無くなった.
2. 低速昇温を行うことで温度保持ありと比較して同
等の平均硬さが得られたが,ばらつきは増加した.
3. 保持時間の増加に伴い酸化スケール厚さも増加
したが,炉加熱と比較すると小さかった.