発表 4-2 教員自らが主体的に資質・能力を高めていく研修の在り方に関する研究 -初任者研修における「教師力自己評価票」の開発を通して- 企画開発室 教科教育室 1 越 渡 竹 窪 山 田 智 邉 井 田 田 鍋 誠 真 賢 賢 智 真 二 介 二 治 子 紀 石 崎 一 水 山 岡 健 二 井 上 睦 美 三 浦 茂 樹 研究の目的 社会の変化や様々な教育課題に対応するために、ライフステージに応じて教員自らが、主体的に 資質・能力を高めていくことが求められている。そのためには、教員一人一人が自らのよさと課題 を踏まえ、個人目標を明確にすることによって主体的に研修に取り組み、資質・能力を高めること が重要であると考えた。そこで、研究の1年次は、教員としての基盤を形成する時期である初任者 研修に焦点を当て、初任者が自らの成長と課題を把握しながら主体的に研修に取り組むための「教 師力自己評価票」の開発と試行を行い、その有効性を検証することとした。 2 研究の内容 ⑴ 全国の教員研修機関における先行事例の調査・分析 文部科学省実施の「平成22年度に実施された教員採用選考試験の募集要領等に記載された教育 委員会が求める教師像」に関する調査や、教職員に求める資質・能力を特に明確にして、各年次 研修を実施している6都県(東京都・千葉県・長野県・岡山県・高知県・福岡県)の事例等を参 考に、教職員に求められる資質・能力を分析した。その結果、教職に関する専門的な資質・能力 だけでなく社会人としての資質・能力を高める必要性を確認した。 ⑵ 初任者研修によって高めるべき資質・能力の明確化 中央教育審議会答申等における教員に求められる資質・能力に関する提言、愛媛県教育委員会 が実施する基礎研修において高める資質・能力などを踏まえ、「教員としての基礎的素養」「教 育のプロとしての資質・能力」「組織の一員としての資質・能力」「社会人としての資質・能力」 の4点を教師力として捉えることとした。それらをキーワードで整理し、教員として高めるべき 資質・能力と社会人としての資質・能力の二つにまとめた。 ⑶ 「教師力自己評価票」の開発と試行 初任者が主体的に資質・能力を高めるために、初任者として身に付けるべき具体的な教師力を 自覚させ、個人目標の設定と評価を自ら行う「教師力自己評価票」を開発し、初任者研修におい て小・中・県立学校教諭を対象に試行した。 ⑷ 「教師力自己評価票」の検証と改善 管理職及び初任者指導教諭へのアンケート調査及び、初任者全員への質問紙調査とヒアリング による意識調査を行い、その結果を基に「教師力自己評価票」の有効性を検証し、改善の方向性 を検討した。 3 研究のまとめ 「教師力自己評価票」の活用により、初任者は、回次ごとの研修のねらいと個人目標を絶えず意 識し、研修に主体的に取り組むことができた。また、自らの資質・能力を高め、研修内容を学校で の実践につなげることができた。更に自発的で主体的な研修にしていくために、「教師力自己評価 票」を活用した初任者研修を実施していくとともに、2年目以降の教員研修においても活用してい く方法を検討していきたい。
© Copyright 2024 ExpyDoc