4−1 最大出力電圧

ウィークエンド電子工作に!
オーディオ用 OP アンプ回路 中野
第4章
正次
Masatsugu Nakano
電源(1.8∼5.0V)
R6
R5
10k
10k
C5
220μ 25V
C4
C6
47μ 25V
IC1
22k
C1
入力
0.1μ
R1
C3
1μ
NJU7043
(JRC)
単電源 OP アンプで構成し
604Ω
51Ω
47μ 25V
R4
R 3 100k
R2
た増幅回路
1k
ゲイン 101 倍のフラット・ア
C2
ンプ.負荷抵抗は E96 の値で
22μ
25V
51Ω と 604Ω を使用した
+15V(+2.5V)
C5
測定ターゲット
2電源OPアンプ
ハイ・ゲイン・
アンプ
(101倍)
220μ 25V×2
C 6 0.1μ
C1
5
R1
22k
6
8
×2
7
2
R 5 10k
IC1a
4
R2
1k
100k
IC1b
1
3
R4
R3
10k
C4
C3
C2
−15V
(−2.5V)
オーバ電圧
テスト用
ボルテージ・
フォロワ
(b)入力電圧範囲を
確認する回路
IC1a,IC1b:NJU4580(JRC)
(a)最大出力電圧やひずみを確認する回路
図 Y 本章の例題回路②…両電源 OP アンプで構成した増幅回路
ゲイン 101 倍のフラット・アンプとボルテージ・フォロワ.4558 では
ゲイン 10 倍で使用(R 3 を 9.1 kΩにした)
● 二つの例題回路
本章では,図 X と図 Y に示す二つの回路を例に,オ
ーディオ用 OP アンプ回路のプロフィール作りに必要
な性能と測定方法を紹介します.
(1)単電源用 OP アンプ版
図 X は単電源 OP アンプを使った例題の回路で行い
ます.OP アンプの直流動作点は,電源電圧の半分に
なっていて,入出力ともコンデンサで直流を切り離し
ています.また,アンプのゲインは 101 倍と高く設定
しているので,直流のゲインは下げています.ゲイン
を高くしたのは,OP アンプの特性が目立つようにす
るためです.これは,あくまで測定の説明の対象なの
で,アンプ設計の理想を示すものではありません.
(2)両電源用 OP アンプ版
図 Y は両電源用 OP アンプを使った例題回路です.
基本は単電源用と変わりませんが,出力のコンデンサ
を省略しています.また,入力電圧の範囲を確認する
ため,ボルテージ・フォロワの回路も付加しました.
ただし,両者は同時には測定しません.
4−1 最大出力電圧
● 意味
最大出力は,パワー・アンプの最大出力は電力で示
されますが,その前までのアンプでは電圧で表示します.
特に明記されていなければ,600 Ωの負荷をつない
で正弦波を入力したときの,全高調波ひずみ率が 10
%に達する出力電圧の実効値を最大出力とします.最
大出力は電源電圧に直接依存しているので,条件パラ
メータとして明記しなければなりません.これは,暗
黙の前提がないからです.
132
負荷抵抗
47k
図 X 本章の例題回路①…
1μ
ポリエス
テル
測定ターゲット
単電源OPアンプ
点検
23
● ひずみ率が 10 % のときの出力電圧が一つの目安
最大出力をピーク電圧で測定すると,ある値で限界
(クリップ)に達して,それ以上は入力が上がっても変
化しなくなります.しかし,クリップ状態でも実効値
は上がり続けます.
例えば,OP アンプ NJU7043 で作った単電源アンプ
の入出力波形は,写真 1 のとおりです.ひずみ率が
0.2 % から 10 % まで,出力電圧のピーク・ツー・ピー
ク値は一定ですが,実効値はかなり変化しています.
2015 年 4 月号