[PRESS RELEASE] 平 成 2 7 年 2 月 9 日 感冒薬に関連して発症した眼合併型 Stevens-Johnson 症候群の発症関連遺伝子 IKZF1 本学大学院視覚機能再生外科学と東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野とで進めてきた研究 「感冒薬に関連して発症した眼合併型 Stevens-Johnson 症候群の発症関連遺伝子 IKZF1」の論文が科学 雑誌 “The Journal of Allergy and Clinical Immunology” に2月9日に掲載されました。 ○研究代表者 京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学 東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野 客員講師 教授 講師 教授 上田真由美 木下 茂 外園 千恵 徳永 勝士 ○論文名 New Susceptibility Gene, IKZF1, for Cold Medicine–Related Stevens-Johnson Syndrome/Toxic Epidermal Necrolysis with Severe Mucosal Involvements ○論文名(日本語) 感冒薬に関連して発症した眼合併型 Stevens-Johnson 症候群の発症関連遺伝子 IKZF1 ○著者 上田真由美 1,2, 澤井裕美 3, 外園千恵 1, 人見裕基 3, 鹿庭なほ子 4, Mee Kum Kim 6, Kyoung Yul Seo 7 , Kyung-Chul Yoon 8, Choun-Ki Joo 9, Chitra Kannabiran10, Tais Hitomi Wakamatsu11, Virender Sangwan10, Varsha Rathi10, Sayan Basu10, 大関健志 5, 莚田泰誠 5, 杉山永見子 4, 前川京子 4, 中村亮 介 4, 相原道子 12, 松永佳代子 13, 関根章博 14, José Álvaro Pereira Gomes11, 羽室淳爾 1, 斎藤嘉朗 4, 久保充明 5, 木下茂 1, 徳永勝士 3 ○著者所属 京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学 1、同志社大学生命医科学部 2、東京大学大学院医 学系研究科人類遺伝学分野 3、国立衛研・医薬安全科学部 4、理化学研究所統合生命医科学研究 センター5、Seoul 大学眼科学教室 6、Yonsei 大学眼科学教室 7、Chonnam 大学眼科学教室 8、Catholic 大学眼科学教室 9、 L V Prasad 眼研究所 10、São Paulo 大学眼科学教室 11、横浜市立大学皮膚科 学教室 12、藤田保健衛生大学皮膚科学教室 13、 京都大学院医学研究科 EBM 研究センター14 ○責任著者 京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学 東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野 客員講師 教授 上田真由美 徳永 勝士 ○掲載雑誌:The Journal of Allergy and Clinical Immunology, publication date of February 9, 2015. ○研究概要 Stevens-Johnson症候群(SJS)及びその重症型である中毒性表皮壊死症(TEN)は、重症薬疹であり、 突然の高熱と少しの発疹から始まり、全身性の発疹へと広がるとともに口腔、眼、外陰などの粘膜上皮 傷害を生じて30%は死に至る重篤な疾患です。約半数に重篤な眼障害を合併し、一命を取り止めても失 明に至ることが少なくありません。 今まで抗痛風薬や抗てんかん薬による重症薬疹とHLAとの関連の報告はありました。また、昨年、本 学大学院視覚機能再生外科学と東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野らのグループでは、広く用 いられる感冒薬に関連して発症した眼合併症を伴うStevens-Johnson症候群の発症には、HLA-A*02:06 が関連していることを報告いたしました。 今回、本グループでは、アジア人向けのチップを用いて全ゲノム関連解析を行い、感冒薬に関連して 発症した眼の合併症を伴うStevens-Johnson症候群には、IKZF1の遺伝子多型が関連していることを見出 しました。すなわち、IKZF1遺伝子の一塩基多型の一つについて、高リスクタイプを持つ人は、持たな い人より2.7倍発症しやすいことがわかりました。さらに、このIKZF1遺伝子の一塩基多型は、日本人だ けではなく、韓国人、インド人でも関連が確認されており、世界共通の遺伝素因の可能性が高く、本疾 患の発症と病態に大きく関与していることが推測されます。これまでに見出したHLA-A*02:06などの遺 伝素因と合わせ、感冒薬関連Stevens-Johnson症候群の遺伝素因の全容の解明が進むことにより、将来の 予防法や治療法の開発に貢献することが期待されます。 Stevens-Johnson症候群は大変まれであり、同じ家族内で2人以上の発症例は報告されていません。そ の発症に患者自身の遺伝素因(体質)が関与しているのは明らかですが、いくつかの異なる遺伝素因が 合わさり(体質) 、さらに薬剤の投与ならびに何からの感染が加わってはじめて発症すると推測されます。 問い合わせ先 【研究に関すること】 京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学 客員講師 上田 真由美 (電話)075-251-5578 【その他(大学広報担当) 】 京都府立医科大学 研究支援課 企画担当 森 (電話)075-251-5208
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