5.精神および行動の障害 (F509 摂食障害) 文献 Mclver S, et al. “Yoga as a treatment for binge eating disorder: A preliminary study,” Complementary Therapies in Medicine. 2009, 17: 196-202. PubMed ID:19632546 1.目的 むちゃ食い障害に対する 12 週間のヨガ実習効果の予備調査 2.研究デザイン ランダム化比較試験(RCT) 3.セッティング オーストラリア市街地または郊外のフィットネスセンター 4.参加者 むちゃ食い障害の肥満女性 71 名(25-65 歳) BMI25 以上、むちゃ食い尺度 Binge Eating Scale で 20 以上の者。 5.介入 Arm1:(介入群)ヨガ群:34 名1回 60 分/週 1 回/12 週間 自宅実習 30 分(最低 5 日/週) Arm2:(対照群)コントロール群:37 名 6.主なアウトカム評価指数 主要評価項目:ベースライン、介入終了後、3 ヶ月後に実施。 ・Binge Eating Scale (BES) International Physical Activity Questionnaire (IPAQ, 身体活動量)で調査 副次評価項目:ベースライン、介入終了後に実施・BMI(kg/m2) ウエスト、ヒップ周経(cm) 7.主な結果 BES:介入後ヨガ群でむちゃ食いの有意な減少が認められた(P<0.001)。対照群では有意な変 化はなかった。 身体活動量 IPAQ:介入後ヨガ群で身体活動量の有意な増加が認められた(P=0.001)。対照 群では有意な変化はなかった。ヨガ群において介入後と3ヶ月後のフォローアップを比べ ても BES(P=0.090)、IPAQ(P=0.230)の改善は維持していた。 BMI ウエスト、ヒップ周経:介入後、ヨガ群で BMI(P=0.009) ウエスト(P=0.001)、ヒップ (P=0.001)周経の有意な減少があったが、効果量は小さかった。対照群では有意な変化はな かった。 ITT 解析:ヨガ群で BES の有意な減少があり効果量は d=1.2。また身体活動量の有意な増 加があり効果量は d=0.6。効果量は小さいが、BMI,ウエスト,ヒップ周経も有意な減少が認 められ、ドロップアウトが結果に影響を与えなかったと考える。 8.結論 ヨガ実習はむちゃ食い障害の改善に効果が期待できる。成功率(64%)は減量プログラムや 心理的プログラムと比べても遜色がない。 9.安全性に関する言及 有害事象なし 10.ドロップアウト率とドロップアウト群の特徴 ヨガ群:9 名(26%) 対照群:12 名(32%) 両群とも家庭や仕事の事情、旅行などのため 11.ヨガの詳細 呼吸法 5 分 ハタ・ヨガ 45 分 深い呼吸に連動したゆっくりとした動きのアーサナ リラクゼーション 10 分 マインドフルに食事をする指導 12.Abstractor のコメント 症状が改善したのはヨガの多面的アプローチに因ると思われる。心が安定し、自制するた めの意志力/客観視力も徐々についていったと考える。一方で食欲は心理的な欲求でもあ り、むちゃ食い行動の根本的な原因が解決しなければ、食習慣や運動習慣の改善が持続す るのか、効果についてより長期の研究が望まれる。 13.Abstractor の推奨度 むちゃ食い障害の人に対してヨガを勧める 14.Abstractor and Date スタッブ 陽子 岡 孝和 2015.2.1
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