マタイ 26 章 69~75 節 ~マタイ福音書連続講解説教 99~

「イエスを否定するペテロ」
マタイ 26 章 69~75 節
~マタイ福音書連続講解説教 99~
イントロダクション
1) 捕縛され十字架までのプロセス
1. 夜明け前に、アンナス・カヤパらの大祭司による尋問と留置
2. 夜明け後に、サンヘドリンによる宗教裁判~冒とく罪による死刑判決
3. ローマによる政治裁判~反逆罪による死刑判決
2) 主と弟子たちの関係を概観
1. 最後の晩餐の席上
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「その愛を残るところなく示された」(ヨハネ 13:1)=洗足
イスカリオテ・ユダの放免
ペテロのイエス否認の預言
ペテロと他の弟子たちが預言否定
2. ゲッセマネの園での祈り
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「誘惑に陥らないよう祈れ」とのイエスの命令
眠りこける弟子たち
イエス逮捕前のペテロの蛮勇
逮捕後、弟子らの逃亡
3. 裁判と十字架
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カヤパ公邸での裁判に同行したヨハネ、尾行し侵入したペテロ
イスカリオテ・ユダの後悔と賄賂金返金、そして自殺
ペテロの逃亡
十字架まで見届けるヨハネ
Ⅰ 勇気を示すペテロ
1) 豪語
① 預言は成就されるとの主の言葉(26:31)
② 3 回のイエス否認を預言されるが、断固として節操を誓う(34~35)
2) 蛮勇
① 「剣を用意せよ」との主の言葉を誤解して解釈した弟子たち(ルカ 22:38)
② 大祭司のしもべ・マルコスの耳をペテロが切り落とす(51)
③ 「剣をもとに納めなさい」(52)
 神のタイムテーブルを理解していないペテロ
 人間的なガンバリズムは神の計画実現を邪魔するもの
Ⅱ 否認するペテロ
1) 尾行
① 他の弟子らは逃亡する中、尾行して観察(58)
② 大祭司の知り合いのヨハネに官邸に入れてもらう(ヨハネ 18:15~16)
2) 3 度イエスを否認
① 門番の女中の問い(69)~彼女の記憶から~打ち消した(70)
② 他の女中と人々による問い(71、ヨハネ 18:25)~目撃証言~誓って打ち消し
た(72)
③ 人々のなまり観察(73)とマルコスの親類による目撃証言(ヨハネ 18:26)
~のろいをもって誓い、否定する(74)
3) イエスの預言成就(ルカ 22:59~62)
① ペテロの否認の言葉が言い終えないうちに、鶏が鳴いた。午前 3 時ころか。カ
ヤパ官邸侵入時から 1 時間ほど経過
② 3 回の否認は回を追うごとに強度を増している
③ 正体を隠して尾行した当初からの誤りに、否認の原因がある
Ⅲ 悔い改めるペテロ
1) イエスのまなざし(ルカ 22:61)
① 遠くで裁判中の主が振り向いてペテロを見つめる
② 主のまなざしは? 断罪か赦しか?
③ ペテロの涙が意味すること
 彼の悔い改めが現わされている
 イスカリオテ・ユダとの違い
 悔い改めと人間的な後悔の相違
 メタノイア:救いに至る神の業
 メタメロマイ:良心の咎めによる後悔の念
2) イエスのとりなし(ルカ 22:31~32)
① サタンによる攻撃が聞き届けられた
② 信仰が失われないように祈られた主
③ 回復が約束されている
④ やがて試練を通じて他の信者を励ますものに変えられる
3) 回復されるペテロ(ヨハネ 21:15~29)
① 主を 3 度否定したペテロから、3 度の愛の告白を引き出される
② 「あなたがご存知です」と自己の限界と弱さを知った上での告白
③ 「この人たち以上に愛しますか」・ペテロの首位権が確立された
結論
失敗から学ぶために
1) 失敗の原因
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ペテロの自負心と自分へのこだわり、自己義を見よ
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「祈れ」との主の言葉に謙遜になれなかった
2) 回復の保証
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大祭司であられるイエスが天にてとりなしておられる(へブル 7:25)
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聖霊がうめきをもってとりなしていてくださる(ローマ 8:26)
3) 成長への変貌
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最も大きな失敗をしたものが、最も大きな責任をゆだねられた
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変貌をとげるために、主の視線は常に注がれてる
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復活の知らせをペテロに先ず告げよ(マルコ 16:7)
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復活の主はペテロに個人的に顕現された(Ⅰコリント 15:5)
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神の言葉に実存的に触れるとき、真に自己を客観視できる