第156号

共創・共育・共感
尾鷲市教育長だより
2015.12.18.(金)
第156号
「成績」は伸びるための資料
12月22日は、二学期の終業式です。子どもたちには「通知表」が渡さ
れます。二学期、子どもが学校から受けた評価(テストの結果や成績表)を
親はどのように受け止めたらよいのでしょうか。
例えば、テストの点数がクラス平均以下の点数のテストをもって帰ったと
きです。そういうとき、点数を見て、お決まりのように「ちゃんと勉強しな
いからこんな点数をとるのよ。もっとちゃんと勉強しなさい」とガミガミと
言ってしまうことが多いのではないでしょうか。
これは、あまりよい受け止め方ではないということは、たいていの人はわ
かっていると思います。しかし、ついついこのように言ってしまうのです。
子どもは学校でテストを返してもらって結果を知った時から、自分の悪い
ところはわかっています。
それに追い打ちをかけるように言ってしまっては、叱咤激励のつもりでも、
子どものやる気をそぐ原因にもなりかねません。
では、どうすればいいのでしょう。
まず、テストの点や成績への親の受け止め方を、考え直してみることが必
要かもしれません。
「成績」は、子どもが一定期間学習したことの大切な「結果」ですが、そ
れはあくまでも、その時点での「結果」に過ぎません。
「テスト」や「成績」は、後の「活用」こそが大切
そのときどきのテストの結果や成績がかんばしくなくても、その結果を活
用して弱点克服の努力をする人は、のちのち大きく伸びてきます。そのとき
どきの結果や成績では上にいても、やりっ放しの人はやがて追い越されてし
まいます。テストや成績は、後の活用こそが大切なのです。後の取り組み方
によっては、どんどん変わっていくものなのです。
「成績」は、その時点での強みと弱みを明らかにして、強みはより伸ばし、
弱みは改善していくための「資料」なのです。子どもの全能力や努力したこ
とすべてが評価されているわけではなく、将来を決定づけるものでもありま
せん 。「 成績」を 、 子ども の未来への 可能性を切 り拓 いていく 「資 料」 として
受け止めれば、大きな価値がでてきます。
家庭で、親子で、数字だけでなく、テストの中身や成績表の記述を見て話
し合うことをオススメします。
そうすれば、子どもが自分の得意分野、不得意分野などを理解することが
できます。そして、今後、何に力を入れていけばよいのか、どういう勉強方
法が効果的かを知ることもできます。
成績は、他人との比較ではなく、わが子のもっている資質や興味関心に目
を向けていくと、親は長い目で子どもの成長をみることができるのではない
でしょうか。
学校では、どの子にも一人残らず確かな学力と豊かな育ちを保障しようと
努力していますが、親ほどの愛情をもって、親ほどのきめ細かさをもって子
どもをみることはなかなかできることではありません。
例え、学校からあまりよくない点数のテストをもって帰っても、親が子ど
もの 努 力 している ところを見つけ、「ここはよくできているね 」と評価し てあ
げれば、子どもは救われます。
「前よりも、よくなったね」と言ってあげれば、
それまでの取り組みが報われ、やる気も出てきます。
そういう受け止め方をされた子どもは、これをきっかけにしてこれから先、
グングン伸びていけるのです。
しかし、やる気を失い、間違えたところをそのままに放置してしまっては、
せっかくの伸びるチャンスを失ってしまうことになるのです。
できていないところこそ、これから大きく伸びていくための芽なのです。
自分一人で悩んで、問題を解決しようとするのではなく、親をはじめ、先生
や友だちに聞いたりしながら、間違えたところを直すよう励ましたいもので
す。 間 違 い直しを とおして 、「そうだった のか」 と自分なり に納得でき ればう
れしくなります。
自分のわからないところやできないところをまわりの人に聞いたり、教え
てもらいながら、わかったり、できるようになることは、私たちが生きてい
く上でも大変重要なことではないでしょうか。