広島県のタンポポの画像と花粉 ク シ バ タ ン ン ポ ポ

広島県のタンポポの画像と花粉
▲ ク シ バ タ ン ン ポ ポ
Taraxacum
pectinatum(倍数体 花粉はバラバラ)
岡山県新見市哲西町大野部を基準産地とし
て北村(1933)が記載したタンポポ。
総苞外片は圧着する。総苞外片は総苞の 1/2 程
度の長さで、幅は広く、辺縁が赤くなること
はない。角状突起はないが、中央部がもりあ
がり、先端部はこぶ状に盛り上がる。典型的
な葉は羽状に深く裂けて、櫛の葉状になるこ
とに和名は由来するが必ずしもなるわけでは
ない。
▲シロバナタンポポ Taraxacum albidum(角状
突起が目立つ、花粉はバラバラ)
総苞外片はやや開いて、先端に明瞭な角状突
起があるのが典型的な頭花であるが、春先には
あまり開かず、角状突起もはっきりしないもの
があり、キビシロタンポポとの区別が困難な場
合もある。
● キ バ ナ シ ロ タ ン ポ ポ Taraxacum albidum
forma sulfureum
シロバナタンポポの集団の中に、総苞外片の
開き方、角状突起の形などシロバナタンポポそ
っくりだが、花の色が黄色のタンポポが見つか
る。小泉(1936)はシロバナタンポポの硫黄色花と
して、キバナシロタンポポと命名した。
▲キビシロタンポポ Taraxacum hideoi(くも
毛が多く、角状突起は目立たない)花粉はバラバ
ラ
シロバナタンポポと比べると、頭花は小さく、総
苞外片は圧着して、角状突起はほとんどなく、花
の色はうすいクリーム色である。花茎が短く、せ
いぜい 30cm 程度で、葉の程度の高さである。総
苞外片のへりは赤くなり、辺毛がある傾向が強
く、この点ではヤマザトタンポポに似ている。4
月後半以降は、総苞外片がやや開出し、角状突起
もあることが多く、シロバナタンポポに似てく
る。
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▲ヤマザトタンポポ Taraxacum arakii 3401386
総苞外片は圧着する。総苞外片は総苞の 1/2 以上の長さでやや細長い。総
苞外片のへりは時に赤くなり、辺毛も多い。総苞外片の先端には角状突起
起はほとんどない。明瞭な角状突起をもつものはケンサキタンポポとされ
れるが、芹沢(2006)は同種として扱っている。
(角状突起が目立つ。総苞が大きい)丹波・丹後・但馬で活躍した植物研
研究家、荒木英一が兵庫県豊岡市出石町東床尾山で採集した標本に基づ
く。
▲ カ ン サ イ タ ン ポ ポ Taraxacum
japonicum(2倍体)花粉は均一
(頭花は小型で、ほっそり、総苞外片は総
苞の 1/2 以下の長さであり、角状突起は目立
たず、あってもごくわずか)広島市・福岡
市にまとまってカンサイタンポポが見られ
る。ともに城址に多産しており、憶測の域
であるが、古く江戸時代に城国替えととも
に植木などとともに持ち込まれたという説
明も可能だろう。
セイヨウタンポポ Taraxacum officinale(倍数体 花粉はバラ
ラバラ)
総苞外片は反り返るが、在来種との雑種を作っており、今回の
の調査で DNA 解析により約 6 割のセイヨウタンポポが雑種であ
ることが明らかになった。そのためか、総苞の反り返り具合もさ
さまざまで、まったく開かず、カンサイタンポポのように総苞が
が圧着するものも多くある。そのようなものでも総苞の形を詳し
しく観察すると、カンサイタンポポと区別できるが、自信の無い
い時は、花粉を観察して大きさがバラバラであれば外来種と判断
断すると良いだろう。
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アカミタンポポ Taraxacum laevigatum(倍数体 花粉はバラバラ)
アカミタンポポはセイヨウタンポポと比べ、頭花が小さく、タネが
赤褐色で小型といった傾向がある。タネはうすい赤色から黒赤褐色ま
で変異があり、雑種も含めて、多様なクローンがあると考えられる。
都市部に集中する傾向がある。コンクリートのすき間にはアカミタン
ポポを見かけることが多く、都市部の乾いた環境に適応しているのか
もしれない、
シナノタンポポ Taraxacum hondoense(2倍
体)花粉は均一
.総苞外片は圧着からやや開出する。やや大型の頭
花で、総苞は長さ 15-20mm、総苞外片の幅は広く
(広卵形~広披針形)、総苞内片の 2/3 長程度の
長さになり、角状突起はほとんどない。兵庫、鳥
取、山口、高知、佐賀で見つかった。しかしなが
ら、公園など植栽による移入が予想される場所で
あり、持ち込まれた可能性が高いと思われる。
▲ トウカイ タンポポ Taraxacum
longeappendiculatum(2倍体)花粉
は均一
総苞外片は圧着からやや開出する。総
苞外片の長さが総苞の 2/3 以上の長さ
で、細長い(広披針形~線状披針形)、
明瞭な角状突起(長さ 2-6mm)がある。
三重県・滋賀県では多数のトウカイタ
ンポポが見つかっている。ただし、集
団内での変異は大きく、角状突起が目
立たない個体や内片の 1/2 程度の長さ
になる個体もまじる。和歌山県潮岬の
分布も当然といえるが、和歌山県北
部・中部や大阪府、兵庫県、岡山県、
鳥取県でも見つかっている。新しい公
園など植栽などによる持ち込みを予
想できる場所もある。
※頭花と花粉の画像は、2014 年に調査の参加者から送られてきたサンプルを撮影した。
※解説文は、タンポポ調査・西日本 2015 のホームページから引用
http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/ogawa/tanpopo/taxon/
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