P. ii - 高崎経済大学

三瓶憲彦教授退職にあたって
副学長 大 宮 登
三瓶憲彦先生は昭和45年3月に東京外国語大学外国語学部ドイツ語学科を卒業後、同大学研
究科ゲルマン系言語学専攻科修士課程に進学し、文学修士を修め、株式会社日本特殊陶業に入社
しました。そのあと、昭和49年4月に高崎経済大学経済学部に助手として着任され、昭和50年
に専任講師となり、昭和53年に助教授に昇格、平成2年に経済学部の教授に昇格し、平成8年
の地域政策学部開設に伴い、地域政策学部の教授となり、平成25年3月に定年退職を迎えるまで、
高崎経済大学に長きにわたって貢献していただきました。高崎経済大学一筋の研究者生活であり
ました。
経済学部では、ドイツ語の担当教員として学生の指導にあたり、学生たちにグローバルな感覚
を身につけさせるためにご尽力を賜りました。平成8年に地域政策学部の開設に伴って、経済学
部から地域政策学部に異動してからは、第2外国語科目のドイツ語の指導とともに、ドイツの文
学や文化についての専門の教育にも携わり、卒業論文の指導を含めて、ドイツ文学と文化を通じ
て、国際的な視野をもった地域文化の教育研究に携わっていただきました。
三瓶先生は西欧的な自立の精神を常に有し、集団に安易に群れることなく、ご自身の価値理念
に従って行動し、発言をなさっていました。そして、教授会等で決まったことが、たとえご自身
の価値判断と異なったとしても、決定事項に従って民主的に行動していました。まさに、近代的
な自立の精神に基づいて行動している先生であったと感じております。
三瓶先生の研究は、著書の『カフカ 罪と罰』『カフカ 内なる法廷』『カフカ 隠喩の森から
共同体へ』に象徴されるように、カフカ研究を中心に展開されました。私も大学時代にカフカや
カミュ、トーマス・マンなどを愛読した一人ですが、素人なりに三瓶先生の著書を読ませていた
だくと、いずれの著書にも、カフカに対する深い洞察、鋭い分析、溢れる共感があります。キル
ケゴールやワーグナーなどの翻訳もなされ、ドイツの文学、哲学、音楽に関する造詣の深さを改
めて感じることができます。
三瓶先生の本学におけるこれまでの長年にわたるご貢献に、心より感謝を申し上げるとともに、
今後のますますのご活躍をお祈りし、退職記念号の挨拶とさせていただきます。
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