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The 42nd Annual Meeting
Me
eeting of
of Japan
Jap
pan Brain Science society
第42 回
日本脳科学会
プログラム・抄録集
会期
2015年 11月 12日 ・13日
20
会場
ANAホリディインリゾート宮崎
大会長
髙宮 考悟
宮崎大学医学部・医学獣医学総合研究科 機能制御学講座 統合生理学 分子から脳機能、そしてこころの解明
大会長からのご挨拶
第 42 回日本脳科学会 大会長
髙宮 考悟 宮崎大学医学部・医学獣医学総合研究科
機能制御学講座 統合生理学分野 教授
日本脳科学会会員の皆様、平成 27 年 11 月 12、13 日の両日に第 42 回日本脳科学会をこの
宮崎の地で開催することになりました。今回の学会のお世話させていただく、宮崎大学の髙
宮と申します。
脳神経の研究は、遺伝子・タンパク質などの分子神経科学、発生、システム脳科学、行動
学、疾患医学と幅広く、詳細に専門化が進み、異なった領域の知識を容易に理解することが
困難となっています。さらにより高度な研究を行おうとすると、一分野にとらわれず生化学、
分子生物学、遺伝学、行動学、電気生理学とさまざまな技術を用いて、多方面からアプロー
チすることが要求されるようになってきました。
脳神経科学が科学研究をリードする大きな領域を占めるようになって久しくなりますが、
まだまだ未解明の部分が多く、精神疾患におきましては、わからないことばかりが多いのが
実情です。にもかかわらず、世間の私たち、研究者に対する期待は日に日に大きくなり、神
経科学に携わるものとしての責任を痛感している次第です。
私は、脳科学会に所属して日も浅く、このような学会を主催する経験に乏しいために、昨
年、一昨年開催された浜松や福井の学会のスタイルを踏襲しつつ、昨今の大きな学会では味
わえないアットホームでコンパクトでありながら、各分野のこれまでの流れや最新の知見を
勉強できるように学会を企画していきたいと思います。
私自身が基礎研究を専門にしていることもあり、また参加されている先生方が精神科の臨
床の方が多いという学会の特徴から、基礎から臨床まで幅広いテーマで、異分野の知識を吸
収できるような有意義な学会になればと思っています。そのために、複数の特別講演やラン
チョンセミナーを軸として、1 日半にわたって活発な討議をしていただきたいと思います。
若い方々にも質問や意見交換など積極的に参加していただくことを希望いたします。また
13 日の午後からは、サテライトシンポジウムとして本学の鶴名誉教授が企画されたてんか
んシンポジウムが予定されています。ご興味のある方は、あわせてご参加ください。
晩秋の 11 月の開催となりますが、宮崎はまだ暖かく、皆様に南国での学会をお楽しみい
ただけたらと思います。さらに宮崎は、宮崎牛や地鶏、伊勢海老を代表とする海産物など多
くのすばらしい食材にあふれた土地です。また、全国的に有名な焼酎も取り揃っています。
海岸線では天然記念物である鬼の洗濯岩をはじめとして、雄大な太平洋の眺望が楽しめます
し、少し足を伸ばせば、パワースポットとして有名な高千穂峡や温泉の豊富な霧島がありま
す。学会で疲れた脳を、これらで少し休ませてお帰りになるのも一案と思います。
それでは、皆様の宮崎における第 42 回日本脳学会へのご参加を心よりお待ちしています。
―1―
参加者へのご案内
1.
受 付
時 間:11 月 12 日(木)
8:30 ∼
11 月 13 日(金)
8:30 ∼
場 所:ANA ホリデイ・インリゾート地下 1 階 学会会場パームブルー前
受付で登録確認後、参加証(ネームカード)をお渡しします。学会期間中は、ご着用く
ださい。
2.
参加申込・参加費
参加申込のお手続きがまだの方は、学会当日受付でご登録ください。
参加費は以下の通りです。
学会参加費:当日登録 会員 7,000 円 非会員 8,000 円 大学院生 2,000 円
学部学生 無料
(連合小児発達学研究科大学院生で日本脳科学会会員は無料です。)
懇 親 会 費:会員・非会員 6,000 円(大学院生、学部学生は無料です。)
入会手続きは、下記の学会事務局までご連絡ください。
日本脳科学会事務局:浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター内
〒 431-3192 静岡県浜松市東区半田山 1-20-1
TEL:053-435-2088 FAX:053-435-2291
URL:http://jsfbs.com/
3.
抄録集・プログラム
会員の方は事前に郵送された抄録集をご持参ください。
非会員など抄録集をお持ちでない方には、受付にて 1 冊 1,000 円にて販売いたします。
4.
懇親会
懇親会は、大会 1 日目(11 月 12 日(木)
)19:30 から、学会会場 ANA ホリデイ・イン リ
ゾート地下 1 階パームブルーにて行います。
当日の参加も受け付けますので、多数ご参加ください。
また、懇親会会場にて本年度の奨励賞の発表を行います。
5.
クローク
学会会場の地下 1 階パームブルー前のロビーにクロークを設置しております。ご利用時
間は 1 日目は 8:30 ∼ 18:00、2 日目は 8:30 ∼ 12:00 となります。
―2―
演者・座長へのご案内
1.
発表形式と時間
発表は、全て口演で行います(日本語もしくは英語)
。演者の方は、発表時間 10 分前ま
でに次演者席にご着席ください。一般演題の持ち時間は、口演 10 分、討論 5 分の計 15
分です。口演終了時にベルを 1 回、討論終了時に 2 回鳴らします。持ち時間で終了する
ようにご協力をお願いいたします。
2.
発表方法及び機器
PC による発表のみです。PC 用液晶プロジェクターを用意します。
電子媒体にてデータを持ち込む方
USB フラッシュメモリまたは CD-R に保存したデータをお持ちください。講演台に
用意しているノート PC にデータをコピーさせていただきます。なお、コピーした
データは、学会終了後に事務局で責任を持って消去させていただきます。
こちらで用意するパソコンは、OS が「Windows8」
、ソフトは「PowerPoint 2013」
となります。
パソコンを持ち込む方
PC 付属の AC アダプタを必ずご持参ください。会場の PC ケーブルコネクタの形状
は Mini D-sub15 ピンです。Mac をご使用の方は変換コネクタを忘れずにお持ちくだ
さい。また、電源アダプタは必ずご準備ください。
当日は、ご自身の口演発表セッション前の「休憩」の時間中に、会場舞台下の PC 受
付までパソコンをお持ちいただき、動作確認をしてください。
3.
発表データおよびパソコンの受付
各セッション前の休憩時間に、必ず会場舞台下の PC 受付にお越しいただき、試写を
行ってください。また、両日ともに最初のセッションに口演発表される方は、学会開始
時間までに必ず PC 受付も済ませてください。
(休憩時間中に PC 受付ができない場合
でも、セッション中のご自身の発表 30 分前には受付を済ませてくださいますようお願
いします。
)
4.
座長へのご案内
座長の方は、担当されるセッション前の休憩時間、もしくはセッション開始予定時刻 30
分前までに、受付にてご在籍の旨をお知らせください。その後、担当されるセッション
開始 5 分前に次座長席にお座りくださいますようお願いいたします。
また、所定の時間内にセッションがスムーズに終了しますように、ご配慮をお願いいた
します。
―3―
会場アクセス
ANAホリデイ・イン
リゾート宮崎 パームブルー
〒889-2162 宮崎市青島1丁目16番1号
TEL : 0985ー65 1555 / FAX : 0985ー65 2655 http://www.anahirmiyazaki.com/
一ツ
葉
有料
道
路
運動公園
10
宮崎西
10
宮崎駅
宮崎PA
道路
宮崎県庁
日
JR
269
宮崎
有料
大淀川
葉
ツ
豊
本
線
東九州自
動車
道
南宮崎駅
宮崎港フェリーターミナル
一
田吉駅
赤江
宮崎空港
田吉
宮崎空港駅
清武
宮崎自動車道
宮崎カントリークラブ
南方駅
JR日南線
清武JCT
220
宮崎県総合運動公園
清武南
木花駅
● 宮崎空港から :タクシーで15分、
路線バスで約25分
● 宮崎ICから
日向灘
ANAホリディ・イン
リゾート宮崎
運動公園駅
:車で約20分
● JR宮崎駅から :タクシーで約35分、
路線バスで約50分
ホテル駐車場 200台分(無料 先着順)
曽山寺駅
子供の国駅
青島
青島駅
青島ゴルフ倶楽部
ANA ホリデイ・イン リゾート宮崎 シャトルバス
空港より会場ホテルまでのシャトルバスがございます。
シャトルバス時刻表
宮崎空港発
ホテル着
ホテル発
宮崎空港着
( 日南方面 2 番乗り場)
(玄関前乗り場 )
( 玄関前乗り場 )
( 日南方面 2 番乗り場 )
10:00
11:10
13:40
14:50
16:20
10:16
11:26
13:56
15:06
16:36
9:30
10:40
11:50
14:17
15:30
17:00
9:46
10:56
12:06
14:36
15:46
17:16
宮崎空港→ホテルの乗り方 宮崎交通宮崎空港構内案内所にてシャトルバス乗車券を受け取り、宮崎
交通日南方面 2 番乗り場でシャトルバス運転手に乗車券を渡しご乗車く
ださい。
ホテル→宮崎空港の乗り方 ホテル 2 階フロントにてシャトルバス乗車券を受け取り、ホテル玄関前
乗り場でシャトルバス運転手に乗車券を渡しご乗車ください。
※シャトルバスは最大 13 名様まで乗車可能です。( お荷物などで乗車人数に変動がございます。
)
※乗車人数には限りがございますので、お急ぎの場合には宮崎交通路線バス日南線( 965 番線 宮崎空港経由 )
でも、シャトルバスチケットがご利用頂けます。
( 宮崎交通路線バスは通常ダイヤでの運行となりますので、宮崎空港とホテル間は運行時間約 25 分です。)
―4―
会場案内図
第2駐車場
駐車場
1F
バス専用駐車場
駐車場
こどものくに
入園受付
エントランスホール
青島アクティビティセンター
(青島サーフィンセンター)
玄関
ウェディング
サロン
ショップ
Zaboonすとあ
エントランスホール
EV
EV
中国料理
龍 王
EV
EV
EV
会場・
宴会場
(アクアマリン)
会場・
宴会場
(トパーズ) ヴーナス
(サファイア)
BF
会議・宴会場
パームブルー
EV
EV
(ブルーシップ)(ブルーウェーブ)
EV
EV
メインダイニング
ラグーンテラス
EV
ロビー
チャペル
―5―
日 程 表
11 月 11 日(水)
18:00 ∼ 19:00
理事会・評議員会
19:00 ∼ 20:00
会長招宴
会場:ブルーシップ
会場:ブルーウェーブ
11 月 12 日(木)
会場:パームブルー
8:30
受 付
9:00 ∼ 10:15
一般演題 1 01 ∼ 05
10:15 ∼ 10:30
10:30 ∼ 12:00
12:00 ∼ 12:30
座長:鶴
連合小児発達学研究科セッション 06 ∼ 11
座長:片山
泰一( 大阪大学大学院
連合小児発達学研究科 分子生物遺伝学 )
休 憩
座長:石田
康( 宮崎大学医学部
精神医学講座 )
「オレキシンとは?睡眠覚醒調節における役割について 」
山中 章弘先生( 名古屋大学
13:30 ∼ 13:45
休 憩
13:45 ∼ 14:25
総 会
環境医学研究所 神経系分野 2 )
特別講演 1
14:30 ∼ 15:30
医学部 )
休 憩
ランチョンセミナー
12:30 ∼ 13:30
紀子( 宮崎大学
座長:平松
緑(東北公益文科大学
公益学部公益学科 )
「 Alzheimer s Disease and Type 2 Diabetes: Underlying Mechanisms and
Finding Preventive Strategies 」
Dr. Jiankang Liu( Xi'an Jiaotong University )
15:30 ∼ 15:45
休 憩
15:45 ∼ 16:45
一般演題 2 12 ∼ 15
16:45 ∼ 18:00
一般演題 3 16 ∼ 20
19:30 ∼ 21:30
懇親会・奨励賞発表
座長:佐藤
康二( 浜松医科大学
座長:西
解剖学講座 神経機能学分野 )
昭徳(久留米大学
11 月 13 日(金)
8:30
会場:パームブルー
受 付
特別講演 2
9:00 ∼ 10:00
医学部 薬理学講座 )
座長:髙宮
考悟( 宮崎大学
医学部 統合生理学分野 )
「痛みと痒みの脳内認知機構 」
柿木 隆介先生( 自然科学研究機構
10:00 ∼ 10:15
休 憩
10:15 ∼ 12:00
一般演題 4 21 ∼ 27
13:45
てんかんシンポジウム
生理学研究所 統合生理研究系 )
座長:福田
敦夫( 浜松医科大学
神経生理学講座 )
会場:シーガイア
―6―
プログラム
11 月 12 日(木) 会場:パームブルー
8:30
受 付
9:00 ∼ 10:15
一般演題 1
*:奨励賞対象
座長:鶴
紀子( 宮崎大学
医学部 )
01 * Electroconvulsive shock altered schizophrenia-like behavior and glial activation
in Gunn Rat
○Limoa Erlyn1)、橋岡 禎征 1)、宮岡 剛 1)、土江 景子 1)、荒内 亮輔 1)、和気 玲 1)、林田 麻衣子 1)、
荒木 智子 1)、Tanra Andi Jayalangka2)、堀口 淳 1)
1 )島根大学 医学部 精神医学講座、2 )インドネシア マカッサル ハサヌッディン大学 医学部 精神医学講座
02
発生期マウス大脳皮質においてタウリンは神経前駆細胞の時系列的性質変化を制御する
○栃谷 史郎 1)2)3)、古川 智範 4)、伊藤 崇志 5)、小島 俊男 6)、松
秀夫 1)2)3)、福田 敦夫 4)
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター こころの形成発達研究部門、
2 )大阪大学大学院・大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科、
3 )福井大 生命科学複合研究教育センター、4 )浜松医科大学 神経生理学講座、5 )兵庫医療大学 薬学部、
6 )豊橋技術科学大学 健康支援センター
03
多発性硬化症モデルにおける自己抗体を介した脱髄分子機序の解明
○板東 良雄、吉田 成孝
旭川医科大学 解剖学講座 機能形態学分野
04
最上紅花の脳疾患予防並びにアンチエイジング効果におけるポリフェノールの検討
○平松 緑 1)、五十嵐 喜治 2)、及川 彰 3)、高橋 知子 1)、鈴木 淳子 4)、村上 惇希 1)
1 )東北公益文科大学、2 )山形大学農学部生物資源学科、3 )慶応大学先端生命学研究所、4 )東北公益文科大学大学院
05 Neuroserpin の虚血時の脳細胞における神経保護作用
○浅川 哲也 1)、杉山 憲嗣 2)、野崎 孝雄 2)、小林 奨 2)、王 亮 3)、張 揚 3)、楊 雪蓮 3)、
鈴木 勝昭 1)、難波 宏樹 2)、森 則夫 1)
1 )浜松医科大学 精神医学講座、2 )浜松医科大学脳神経外科講座、3 )中国上海複旦大学付属華山病院神経内科
10:15 ∼ 10:30
休 憩
10:30 ∼ 12:00
連合小児発達学研究科セッション
座長:片山
*:奨励賞対象
泰一( 大阪大学大学院
連合小児発達学研究科 分子生物遺伝学 )
06 Effects of oxytocin and analog, Lipo-oxytocin 1 on paternal behavior,
social memory in CD38-/- mice.
○Cherepanov Stanislav
金沢大学子どものこころの発達研究センター
―7―
07 * Altered frontal pole development affecting self-generated working memory in children
with ADHD
○新井 清義 1)、岡本 悠子 2)、藤岡 徹 3)、猪原 敬介 4)、石飛 信 5)、松村 由紀子 3)、丁 ミンヨン 2)、
河村 佳保里 6)、滝口 慎一郎 7)、友田 明美 2)、和田 有司 3)、平谷 美智夫 6)、松浦 直己 8)、
小坂 浩隆 2)
1 )大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科、
2 )福井大学子どものこころの発達研究センター、3 )福井大学医学部病態制御医学講座精神医学領域、
4 )電気通信大学大学院情報理工学研究科、
5 )独立行政法人国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター児童・思春期精神保健部、
6 )平谷こども発達クリニック、7 )福井大学大学院医学系研究科、8 )東京福祉大学大学院社会福祉学研究科
08
自閉症スペクトラム障害児における神経ネットワーク障害の検討:
脳磁図の複雑性解析およびグラフ解析
○高橋 哲也
金沢大学 子どものこころの発達研究センター
09
広汎性発達障害の認知的特性の評価および認知機能改善療法の有効性に関する
オープン試験
○奥田 朋子 1)、沼田 法子 1)2)、公家 里依 2)、清水 栄司 1)2)、中里 道子 1)
1 )千葉大学子どものこころの発達教育研究センター、2 )千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学
10
潜在曲線モデルによる乳児期の就寝遅延と神経発達に関する縦断的検討
― 浜松母と子の出生コホート( HBC )から ―
○奥村 明美 1)2)、髙貝 就 1)2)、土屋 賢治 1)2)、鈴木 勝昭 1)3)、浅野 良輔 1)2)、武井 教使 1)2)4)、
森 則夫 2)3)
1 )大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科(浜松校)、
2 )浜松医科大学子どものこころの発達研究センター、3 )浜松医科大学精神医学講座、
4 )Institute of Psychiatry, King s College of London
11 *
閉塞性睡眠時無呼吸( obstructive sleep apnea:OSA )のある小児の
アデノイド扁桃摘出後の行動変化の検討
○村田 絵美 1)、毛利 育子 1)、加藤 久美 1)2)、飯村 慈朗 3)、橘 雅弥 1)、松澤 重行 1)、小川 真 4)、
谷池 雅子 1)
1 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科、2 )太田睡眠科学センター、3 )太田総合病院 耳鼻咽喉科、
4 )大阪大学大学院 医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頚部外科学
12:00 ∼ 12:30
休 憩
12:30 ∼ 13:30
ランチョンセミナー
座長:石田
康(宮崎大学医学部
「 オレキシンとは? 睡眠覚醒調節における役割について 」
山中 章弘先生(名古屋大学 環境医学研究所 神経系分野 2 )
―8―
精神医学講座 )
13:30 ∼ 13:45
休 憩
13:45 ∼ 14:25
総 会
14:30 ∼ 15:30
特別講演 1
座長:平松
緑( 東北公益文科大学
公益学部公益学科 )
「 Alzheimer s Disease and Type 2 Diabetes:
Underlying Mechanisms and Finding Preventive Strategies 」
Dr. Jiankang Liu( Xi'an Jiaotong University )
15:30 ∼ 15:45
休 憩
15:45 ∼ 16:45
一般演題 2
*:奨励賞対象
座長:佐藤
12 *
康二( 浜松医科大学
解剖学講座 神経機能学分野 )
アルツハイマー型認知症における脳内 Aβ蓄積とニコチン様α 7 受容体
○中泉 享子
浜松医科大学 精神科 大学院 3 年
13 Rac1 GTPase activating protein( GAP )である alpha1-chimaerin の
アルツハイマー病患者における発現
○加藤 智子 1)、小西 吉裕 2)、下濱 俊 3)、Beach T. G. 4)、赤津 裕康 5)、遠山 育夫 1)
1 )滋賀医科大学 分子神経科学研究センター 神経難病診断学分野、
2 )国立病院機構 鳥取医療センター 臨床研究部、3 )札幌医科大学 医学部 神経内科学講座、
4 )Banner Sun Health Research Institute、5 )名古屋市立大学大学院 医学研究科 地域医療教育学
14 *
抗うつ薬による歯状回 - 貫通線維シナプスの形態変化:FIB-SEM を用いた構造解析
○北原 陽介 1)、太田 啓介 2)、首藤 隆秀 1)、黒岩 真帆美 1)、外角 直樹 1)、蓮尾 博 3)、
都合 亜記暢 4)、中村 桂一郎 2)、西 昭徳 1)
1 )久留米大学 医学部 薬理学講座、2 )久留米大学 医学部 解剖学講座(顕微解剖・生体形成部門)、
3 )久留米大学 医学部 生理学講座(統合自律機能部門)、4 )久留米大学 医学部 電子顕微鏡室
15
脳内グルコ−ス増大による海馬空間認知の促進
○大村 裕
九州大学 医学部 統合生理学
―9―
16:45 ∼ 18:00
一般演題 3
*:奨励賞対象
座長:西
昭徳( 久留米大学
医学部 薬理学講座 )
16 * Kcnq2 遺伝子変異マウスに見られる発達期海馬の GABA ネットワーク異常
○内田
1)
、弟子丸 正伸 2)、小山 進 3)、柳川 右千夫 4)、廣瀬 伸一 1)5)
1 )福岡大学 てんかん分子病態研究所、2 )福岡大学 理学部 化学科、3 )第一薬科大学 生命薬学講座 薬物治療学分野、
4 )群馬大学大学院 医学系研究科 脳神経統御学講座 遺伝発達行動分野、5 )福岡大学 医学部 小児科学
17 CRH 放出機構における新規 GABA 作用の発見
○福田 敦夫 1)、柿沢 圭亮 1)2)、渡部 美穂 1)、大川 雄太 1)2)、大石 敏弘 2)、山下 美保 2)、
柳川 右千夫 3)、沖 隆 4)
1 )浜松医科大学 神経生理学講座、2 )浜松医科大学 第二内科、
3 )群馬大学大学院 医学系研究科 遺伝発達行動学分野、4 )浜松医科大学 地域家庭医療学
18 * Fluoxetine enhances the expression of miR-572 and miR-663a in human
neuroblastoma cell lines
○Vasu Mahesh M1)、Anitha Ayyappan3)、Thanseem Ismail3)、Iwata Keiko2)、
Takahashi Taro1)、Yamada Kohei1)、Suzuki Katsuaki1)、Mori Norio1)
1 )Department of Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine、
2 )Research Center for Child Mental Development, University of Fukui、
3 )Institute for Communicative and Cognitive Neurosciences, India
19 * COMT 遺伝子多型が小児期 ADHD の線条体の灰白質異常に及ぼす影響
○島田 浩二 1)2)3)、藤澤 隆史 1)2)、滝口 慎一郎 1)、成瀬 廣亮 2)、小坂 浩隆 1)2)、岡沢 秀彦 1)3)、
友田 明美 1)2)
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター、
2 )大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科(福井校)、
3 )福井大学 高エネルギー医学研究センター
20
某市 5 歳児発達健診における発達性協調運動障害の疫学
○斉藤 まなぶ 1)、山田 順子 2)、下山 修司 3)、尾崎 拓 3)、上野 伸哉 4)、中村 和彦 1)3)
1 )弘前大学大学院 医学研究科 神経精神医学講座、2 )弘前大学大学院 保健学研究科 医療生命科学領域、
3 )弘前大学 医学部 附属子どものこころの発達研究センター、
4 )弘前大学大学院 医学研究科 脳神経生理学講座
19:30 ∼ 21:30
懇親会・奨励賞発表
― 10 ―
11 月 13 日(金) 会場:パームブルー
8:30
受 付
9:00 ∼ 10:00
特別講演 2
座長:髙宮
考悟( 宮崎大学
医学部 統合生理学分野 )
「 痛みと痒みの脳内認知機構 」
柿木 隆介先生(自然科学研究機構 生理学研究所 統合生理研究系 )
10:00 ∼ 10:15
休 憩
10:15 ∼ 12:00
一般演題 4
座長:福田
21
敦夫( 浜松医科大学
神経生理学講座 )
脊髄におけるオーファン受容体 GPR83 は痒み伝達機構に関与する
○中山 直野 留美 1)3)、船橋 英樹 2)、西森 利數 2)、髙宮 考悟 1)
1 )宮崎大学 医学部 機能制御学講座(統合生理学分野)、
2 )宮崎大学 医学部 臨床神経科学講座(精神医学分野)、3 )日本学術振興会 特別研究員
22
ラットの三叉神経節および三叉神経感覚核におけるサブスタンス P および
ヘモキニン 1 の分布
○井川 加織 1)、西森 利數 2)、船橋 英樹 2)、宮原 裕 2)、松尾 寿栄 2)、石田 康 2)
1 )宮崎大学医学部感覚運動医学講座顎顔面口腔外科学分野、2 )宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野
23 Post-traumatic stress disorder-like behaviors in FABP3 null mice
○福永 浩司 1)、矢吹 悌 1)、高畑 伊吹 1)、大和田 裕二 2)
1 )東北大学大学院 薬学研究科 福永浩司、2 )東北大学大学院 医学研究科 組織解剖学分野
24
新規 SERT 制御因子としての NSF ∼自閉症発症メカニズムへの関与∼
○岩田 圭子 1)、松崎 秀夫 1)、立花 太郎 2)、中村 和彦 3)、片山 泰一 4)、森 則夫 5)
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター、2 )大阪市立大学 工学研究科 化学生物系専攻、
3 )弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座、4 )大阪大学 連合小児発達学研究科 小児発達学専攻、
5 )浜松医科大学 精神医学講座
25
神経系おける Sumal Ubiquitin like Modifer 1( SUMO1 )の働き
○松崎 伸介 1)2)3)、天野 元揮 1)、向井 春香 1)、佐藤 大樹 1)、韓 薩日那 1)、高村 明孝 1)2)、
三好 耕 1)2)、片山 泰一 1)
1 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 こころの発達神経科学講座 分子生物遺伝学領域、
2 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 子どものこころの分子統御機構研究センター、
3 )大阪大学大学院 医学系研究科 神経機能形態学講座
― 11 ―
26 BDNF-TrkB signaling in the nucleus accumbens plays a key role in methamphetamine
withdrawal symptoms
○橋本 謙二、任 乾、馬 敏、楊 春、張 継春、姚 偉
千葉大学社会精神保健教育研究センター
27
成人期 ADHD の脳内における活性化ミクログリア
○竹林 淳和 1)、中村 和彦 2)、尾内 康臣 3)、横倉 正倫 1)、岩田 泰秀 1)、森 則夫 1)
1 )浜松医科大学 医学部 精神医学講座、
2 )弘前大学 大学院医学研究科 神経精神医学講座、
3 )浜松医科大学 メディカルフォトニクス研究センター
13:45
てんかんシンポジウム
会場:シーガイア
― 12 ―
抄 録
特別講演 1
Alzheimer s Disease and Type 2 Diabetes: Underlying
Mechanisms and Finding Preventive Strategies
Yunhua Peng, Ying Tang, Jiangang Long, and Jiankang Liu
Center of Mitochondrial Biology and Medicine, The Key Laboratory of Biomedical Information
Engineering of Ministry of Education, School of Life Science and Technology and Frontier
Institute of Science and Technology , Xi an Jiaotong University , Xi an, 710049 , China, and
School of Pharmacy, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Alzheimer disease (AD) and Type 2 diabetes (T2D) are two highly prevalent
pathological conditions of the world. Epidemiology studies have found that there is
a close link between AD and T2D, however, the underlying mechanisms of the link
remains unknown. We propose that both central and peripheral metabolic disorders
involve insulin resistance and mitochondrial dysfunction in T2B may be an
important risk factor for accelerating AD occurrence and development. In our
experiments, we have cultured primary neurons with high glucose, and found that
neuronal mitochondrial dysfunction precedes insulin signaling. We further fed a
high fat diet (HFD) to APP/PS mice, an AD mouse model, to induce the diabetic
phonotype. It is found that AD mice have an increased susceptibility to HFDinduced obesity, glucose dysregulation as well as hepatic insulin resistance and
mitochondrial dysfunction, however, AD mice exhibited a resistance to lipogenic
effects of consuming HFD, leading to inhibition of fat liver formation. In addition, a
body weight gain induced by the HFD feeding significantly improved bone mass in
female AD mice without detriments to exploration ability and spatial memory.
These findings suggest that AD pathogenesis systemically affects glucose and lipid
metabolism; high glucose acts as an independent risk factor in neuronal impairment
and cognitive function, and inhibition of insulin resistance and mitochondrial
dysfunction are the key aspects to prevent T2D and AD. Further, because female
AD patients suffer from progressive weight loss and osteoporosis., a moderate body
weight gain may benefit AD patients by improving bone health, leading to the
improvement of their life quality.
― 14 ―
Biography
Dr. Liu received his BS from Xi an JiaotongUnviersity in 1982 and PhD of Medical
Science from Okayama University School of Medicine in 1994. He completed post-doc
training in Dr. Bruce Ames laboratory at University of California, Berkeley and worked
as a faculty at University of California at Berkeley, Children Hospital Oakland Research
Institute, University of California at Irvine, University of Kentucky College of Medicine,
and Shanghai Institute for Nutritional Science of Chinese Academy of Sciences.
Currently, he is a Professor and the Dean of Xi an Jiaotong University School of Life
Science and Technology and an Adjunct Professor of the School of Pharmacy,
University of Southern California. Dr. Liu s research interests include molecular and
cellular mechanisms of aging, stress, and age-/stress-associated degenerative diseases
with a focus on nutritional regulation of mitochondrial metabolism. He has published
more 150 papers in international journals with more than 4000 times citations and was
elected as one of the 2014 Most Cited Chinese Researchers in the area of
Biochemistry, Genetics and Molecular Biology by Elsevier.
― 15 ―
特別講演 2
痛みと痒みの脳内認知機構
柿木 隆介
自然科学研究機構 生理学研究所 統合生理研究系
ヒトでの痛みと痒みの脳内認知機構を、高い時間分解能(ミリ秒単位)を有する脳波、
脳磁図と、高い空間分解能を有する機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて解析している。
1. 痛覚認知
痛覚に関連する小径有髄の A-delta 線維(first pain)と無髄の C 線維(second
pain)を選択的に刺激することが可能となってきた。A-delta 線維刺激、C 線維刺激
共に、両側の視床、S2、島、帯状回に有意な活動上昇が見られた。島前部、帯状回
の一部、pre-SMA では、C 線維刺激により特異的に活動が上昇しており、second
pain 認知に特異的な部位である可能性が示唆された。
私達は、実際に痛み刺激を与えられなくても痛いと感じる時がある。それは「心
の痛み」と称される場合が多い。痛いと感じそうな写真を見せて fMRI を記録した。
すると、S2、島、帯状回などに、実際に物理学的な痛み刺激を与えた時と非常に良
く似た部位の活動が見られた。
「心の痛み」は実際に存在することが示唆された。
痛覚認知は、
「注意」などの情動によって大きく影響される。瞑想中には痛みを全
く感じないというヨガの達人を対象とした興味深い結果もご紹介したい。
2. 痒み認知
世界で初めて、通電刺激による痒み発生装置を開発し、痒みの脳内認知機構の解
明を行っている。左右大脳半球の広範な部位に活動が見られ、痛み認知と類似して
いるが、楔前部(precuneus)は痒み刺激時だけに特異的に活動が見られた。
「他人の
痒みは伝染する」が、その時には、島回と大脳基底核との相関が増すことが明らか
になった。
「掻くと快感を覚える」時には「報酬系」と称される大脳基底核の線条
体と中脳が活動する事を明らかにした。
― 16 ―
略 歴
現職:自然科学研究機構 生理学研究所 統合生理研究系・教授
国立大学法人総合研究大学院大学・教授
順天堂大学医学部・客員教授
昭和 47 年
福岡県立修猷館高校卒業
昭和 53 年
九州大学医学部卒業
九州大学医学部付属病院にて研修( 内科、神経内科 )
昭和 57 年
佐賀医科大学内科 助手
昭和 60 年
ロンドン大学医学部留学( 62 年に帰国 )
昭和 62 年
佐賀医科大学内科 助手に復職、その後講師に昇任
平成 5 年
岡崎国立共同研究機構 生理学研究所 教授
平成 16 年
法人化に伴い、施設名称が自然科学研究機構に変更
日本内科学会認定医
日本神経学会専門医
学会活動等( 主要なもの ):学会長:日本生体磁気学会
理事:日本臨床神経生理学会
監事:日本疼痛学会、日本顔面口腔痛学会
President:Asia-Oceania Chapter of International
Federation of Clinical Neurophysiology
Journal の Editor:PAIN, NeuroImage, Frontiers in Integrative Physiology,
Open Journal of Pain, その他多数
趣味:将棋( アマ三段 )、俳句( 伝統俳句、ホトトギス派 )
― 17 ―
ランチョンセミナー
オレキシンとは?睡眠覚醒調節における役割について
山中 章弘
名古屋大学 環境医学研究所 神経系分野 2
一日のうち 8 時間眠るとすると、人生の 1/3 もの時間を睡眠に費やすことになる。に
もかかわらず、睡眠覚醒がどのように調節されているのかについては未だによく分かっ
ていない。
近年、神経ペプチド「オレキシン」を産生するオレキシン神経視床下部が重要な役
割を担っていることが分かってきた。オレキシン遺伝子欠損マウスがナルコレプシーに
酷似した症状を示したため、ナルコレプシーとの関連が考えられた。ナルコレプシーの
主症状は、日中の耐え難い眠気、入眠時幻覚、情動脱力発作である。実際にナルコレプ
シー患者の脳ではオレキシン神経だけが無くなっていることが明らかになった。これら
のことから、
オレキシン神経特異的な脱落がナルコレプシーの原因であることが判明し、
オレキシン神経が睡眠覚醒調節において重要な役割を担っていることが明らかとなっ
た。オレキシン神経は覚醒中枢に投射し、これを活性化させることから、睡眠中枢と覚
醒中枢との間の相互抑制関係を安定化し、覚醒状態を維持するのに重要な役割を担って
いると考えられる。しかし、これまで技術的な問題から神経活動と睡眠覚醒状態変化を
繋げるような研究を行うことが難しかった。近年開発されて急速に発展している光遺伝
学「オプトジェネティクス(Optogenetics)
」を用いることによって、神経活動と行動
発現との因果関係について個体を用いて直接解析することが可能となり、その調節の仕
組みの一部が解明されつつある。
今回の講演では、最新の脳科学として、睡眠の生理的役割についての新しい報告を紹
介する。
― 18 ―
略 歴
1994 年 3 月
静岡県立大学 薬学部 製薬学科卒業
2000 年 3 月
筑波大学 医学研究科 博士課程修了 博士( 医学 )取得
2000 年 4 月
筑波大学 先端学際領域センター 助手
2001 年 4 月
ERATO 柳沢オーファン受容体プロジェクト研究員 兼任(∼ 2006 年 6 月)
2002 年 12 月 筑波大学 基礎医学系 講師
2006 年 7 月
日本学術振興会 海外特別研究員
エール大学医学部神経外科学 兼任(∼ 2008 年 1 月 )
2008 年 2 月
自然科学研究機構 生理学研究所 准教授
2010 年 10 月 科学技術振興機構 脳神経回路 さきがけ研究員 兼任(∼ 2012 年 3 月)
2012 年 4 月
名古屋大学 環境医学研究所 神経系 2 分野 教授
参考文献
Sakurai T et al.( 1998 )Orexins and orexin receptors: a family of hypothalamic
neuropeptides and G protein-coupled receptors that regulate feeding behavior.
Cell 92: 573-585.
Chemelli RM, Willie JT, Sinton CM, Elmquist JK, Scammell T, Lee C, Richardson JA,
Williams SC, Xiong Y, Kisanuki Y, Fitch TE, Nakazato M, Hammer RE, Saper CB,
Yanagisawa M( 1999 )Narcolepsy in orexin knockout mice:molecular genetics of sleep
regulation. Cell 98: 437-451.
Tsunematsu T, Kilduff TS, Boyden ES, Takahashi S, Tominaga M, Yamanaka A(2011)
Acute optogenetic silencing of orexin/hypocretin neurons induces slow-wave sleep in
mice. J Neurosci 31: 10529-10539.
Tabuchi S, Tsunematsu T, Black SW, Tominaga M, Maruyama M, Takagi K, Minokoshi
Y, Sakurai T, Kilduff TS, Yamanaka A( 2014 )Conditional ablation of orexin/hypocretin
neurons: a new mouse model for the study of narcolepsy and orexin system function.
J Neurosci 34: 6495-6509.
― 19 ―
一般演題 1
01 *
*:奨励賞対象
Electroconvulsive shock altered schizophrenia-like behavior
and glial activation in Gunn Rat
○ Limoa Erlyn1)、橋岡 禎征 1)、宮岡 剛 1)、土江 景子 1)、荒内 亮輔 1)、和気 玲 1)、
林田 麻衣子 1)、荒木 智子 1)、Tanra Andi Jayalangka2)、堀口 淳 1)
1 )島根大学 医学部 精神医学講座、
2 )インドネシア マカッサル ハサヌッディン大学 医学部 精神医学講座
Electroconvulsive shock (ECS) is used to treat severe mental disorders but
the therapeutic mechanism remains unclear. Recent studies indicate that ECS
affects the immune system, including immune-related cells, such as microglia and
astrocytes. We previously demonstrated that Gunn rats showed schizophrenia-like
behavior and microglial activation in their brains. In this study we evaluated the
effects of ECS on startle response, microgliosis and astrogliosis in Gunn rat.
The rats were divided into 4 groups, i. e. , Wistar sham, Wistar ECS, Gunn sham and
Gunn ECS. ECS groups received ECS once daily for 6 consecutive days. Subsequently,
prepulse inhibition test (PPI) was performed, and immunohistochemistry analysis
was carried out to determine the activation degree of microglia and astrocytes,
using anti-CD11b and anti-GFAP antibody, respectively.
We found PPI deficit in Gunn rats compared to Wistar rats and it was significantly
improved by ECS. The expression of CD11b and GFAP were significantly higher
in Gunn rats compared to Wistar rats, and ECS attenuated their expression.
We concluded that ECS ameliorates schizophrenia-like behavior in Gunn rats
and attenuates microglial activation and astrocytic activation in the hippocampal
of Gunn rat. Accordingly, therapeutic effects of ECT may be exerted in part by
inhibition of glial activation.
― 20 ―
一般演題 1
02
発生期マウス大脳皮質においてタウリンは神経前駆細胞の
時系列的性質変化を制御する
○栃谷 史郎 1)2)3)、古川 智範 4)、伊藤 崇志 5)、小島 俊男 6)、松
福田 敦夫 4)
秀夫 1)2)3)、
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター こころの形成発達研究部門、
2 )大阪大学大学院・大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科、
3 )福井大 生命科学複合研究教育センター、
4 )浜松医科大学 神経生理学講座、
5 )兵庫医療大学 薬学部、
6 )豊橋技術科学大学 健康支援センター
発生期大脳皮質において神経前駆細胞は時空間的にその性質を制御されながら、多
様な神経細胞等を生み出す。このことが大脳皮質の組織構築の基礎となる。我々はこ
れまでに GABAA 受容体が神経前駆細胞の性質変化の制御に関与することを見出し
ている。GABAA 受容体の内在的なリガンドは GABA とタウリンである。Ca2+ イメー
ジングの結果、タウリンは神経前駆細胞に細胞内 Ca2+ 濃度の上昇を引き起こすこと、
この Ca2+ の上昇は GABAA 受容体阻害剤である picrotoxin により阻害されること、
妊娠 12 日目以前には神経前駆細胞は GABA には殆ど反応せず、タウリンに選択的に
反応することが示された。哺乳類胎児はタウリン合成能が低く、母親から胎盤を介し
て与えられるタウリンに依存する。taurine transporter( TauT)が胎盤を介したタウ
リン輸送に関与する分子である。HPLC による定量は TauT KO 胚大脳皮質において、
タウリン濃度がほぼ 0 であることを示した。また組織学的解析の結果、E12 において
神経発生の遅延、ラジアルグリア細胞の減少等が観察され、TauT KO 胚大脳皮質は
picrotoxin 等の GABAA 受容体阻害剤への曝露により GABAA 受容体の機能阻害を
受けた大脳皮質の表現型に類似した表現型を呈すことが明らかになった。さらに、
E10 から E12 にかけて picrotoxin 投与によりタウリン - 受容体相互作用を阻害すると、
仔の生後 4 週において新規環境における多動、通常環境における低活動、穏やかな社
会性の低下、不安様行動等が観察された。以上の結果は、タウリンが GABAA 受容
体を介して神経前駆細胞の性質制御に関与すること、また大脳皮質発生初期における
タウリン - 受容体相互作用の破綻が神経発達障害の原因となる可能性を示唆する。
― 21 ―
一般演題 1
03
多発性硬化症モデルにおける自己抗体を介した
脱髄分子機序の解明
○板東 良雄、吉田 成孝
旭川医科大学 解剖学講座 機能形態学分野
多発性硬化症は中枢神経系における炎症性脱髄性疾患であり、脱髄および軸索変性
が認められる。しかしながら、我々はこれまでに炎症細胞の浸潤が認められない部位
においても脱髄が認められることを明らかにしてきた。そこで本研究では、多発性硬
化症のモデルとして確立されている実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis:EAE)を用いて、炎症細胞の浸潤を伴わない脱髄機序
について検討した。
C57BL/6 雌マウス(6-8 週齢)にミエリン構成蛋白の一つである myelin oligodendrocyte glycoprotein のペプチド(MOG35-55)をアジュバンドとともに皮下に免疫
することによって EAE を誘導し、形態学的解析を行った。末梢から中枢神経組織内
への炎症細胞の浸潤は免疫後 10-12 日目に認められたが、髄鞘の微細構造変化は免疫
後 3 日目から既に生じており、MOG に対する自己抗体の存在を中枢神経組織内で確
認した。そこで、培養オリゴデンドロサイトに抗 MOG 自己抗体を添加したところ、
オリゴデンドロサイトの形態異常が認められ、脱髄関連因子であるセリンプロテアー
ゼ Kallikrein 6( KLK6)の発現も上昇した。また、KLK6 ノックアウトマウスに
EAE を誘導し形態学的解析を行ったところ、急性期における髄鞘の微細構造変化は
ほとんど認められなかった。
以上のことから、抗 MOG 自己抗体がオリゴデンドロサイトにおける KLK6 を介
した脱髄機序を誘導することが明らかとなった。
― 22 ―
一般演題 1
04
最上紅花の脳疾患予防並びにアンチエイジング効果における
ポリフェノールの検討
○平松 緑 1)、五十嵐 喜治 2)、及川 彰 3)、高橋 知子 1)、鈴木 淳子 4)、村上 惇希 1)
1 )東北公益文科大学、
2 )山形大学農学部生物資源学科、
3 )慶応大学先端生命学研究所、
4 )東北公益文科大学大学院
最上紅花の花びらには血流改善作用、血圧降下作用、抗腫瘍作用、鎮痛作用、抗炎
症作用および免疫賦活作用が見出されている。さきにこの花びらは活性酸素・フリー
ラジカル消去作用、外傷性てんかんモデルラットの脳内酸化状態を抑えグリア細胞死
を防ぐこと、花びらの赤色色素(carthamin)及び花びら抽出液は脳組織に移行するこ
とを認めた。また認知症モデルマウスである老化促進モデルマウス(SAM)の
SAMP8 および SAMP10 に最上紅花の花びら抽出液を飲ませると、受動回避試験によ
り学習獲得と記憶保持の効果を認め、SAMP10 においては延命効果が観察された。こ
れらの効果はポリフェノールの血流改善作用、活性酸素・フリーラジカル消去作用お
よび抗炎症作用によることが示唆される。最上紅花の花びらには黄色色素の safflomin
A(hydroxysafflor yellow A)
、anhydrosafflor yellow B、safflomin C、carthamin
前駆体および carthemin が同定され、safflor yellow と carthamin はビタミン C およ
びビタミン E と同程度の抗酸化作用を有していた。また safflor yellow には血栓形成
防止、微小循環改善、抗不整脈および抗心筋虚血などの作用がある。メタボローム解
析と高速液体クロマトグラフィーの分析では、最上紅花の花びらおよび若菜には
luteolin と quercetin、およびそれらの配糖体が高濃度に存在することが明らかとなっ
た。Luteolin にはアレルギー症状の緩和、
肝臓の解毒作用並びに免疫力の強化作用が、
quercetin には抗炎症作用、動脈硬化の軽減作用が明らかにされている。これらのこ
とを勘案すると、最上紅花の花びらには脳血管疾患、認知症などの予防効果並びにア
ンチエイジング効果のあることが示唆された。
― 23 ―
一般演題 1
05
Neuroserpin の虚血時の脳細胞における神経保護作用
○浅川 哲也 1)、杉山 憲嗣 2)、野崎 孝雄 2)、小林 奨 2)、王 亮 3)、張 揚 3)、
楊 雪蓮 3)、鈴木 勝昭 1)、難波 宏樹 2)、森 則夫 1)
1 )浜松医科大学 精神医学講座、
2 )浜松医科大学脳神経外科講座、
3 )中国上海複旦大学付属華山病院神経内科
【 研究目的 】Neuroserpin(NSP)は、血栓溶解療法に用いる薬剤である t-PA の抑制
剤として、様々な脳疾患(脳卒中、パーキンソン氏病など)に対する神経保護作用が
ある。本研究の目的は、大脳の主な細胞(neuron, astrocyte と microglia)の虚血時
における NSP の神経保護作用を検証すること、及びそれらの保護作用の制御機序を
明らかにすることである。
【 研究方法 】neuron, astrocyte 及び microglia はそれぞれ新生ラットの大脳皮質から
採取後、約一週間培養した。次に、脱酸素・脱グル・再酸素付加コース法(OGD/R)
を用い、細胞の虚血モデルを確立した。これらの各々の虚血細胞モデルに、NSP を
投与し、細胞の変化及び炎症因子の変化を観察した。Microglia については mitogenactivated protein kinase( MAPK)経 路、astrocyte に つ い て は NF-κB 経 路 を
Western blotting 法で観察した。
【 結果 】NSP は脳虚血時、neuron, astrocyte と microglia に対する神経保護作用があ
ることが次のように確認された。まず NSP 投与後、これらの細胞の生存率、relative
lactate dehydrogenase( LDH)及び炎症因子(nitric oxide( NO)
、TNF-α、IL-1β)
の放出が有意に改善された。更に、astrocyte 細胞に対する、NSP の作用機序は NFκ B 経路と関連性があることを確認した。また Microglia における NSP の作用機序
については MAPK 経路との関連が示唆された。
【 結語 】NSP の虚血時の脳細胞における神経保護作用を確認した。NSP 脳梗塞患者
及び脳虚血動物モデルに対して治療効果があるという報告と合わせて考えて、NSP
は脳虚血に対する新規脳神経保護薬として有効であると考えられる。
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連合小児発達学研究科セッション
06
Effects of oxytocin and analog, Lipo-oxytocin 1 on paternal
behavior, social memory in CD38‒/‒ mice.
○Cherepanov Stanislav
金沢大学子どものこころの発達研究センター
Autism is disorder characterized by core deficits in sociability, repetitive behavior and restricted interests. Perspective field of autism therapy is nanopeptide
oxytocin (OT). Oxytocin has important roles in the social behavior. Analog of OT
with long-lasting properties should have a benefit as a therapeutic drug. To assess
this, we synthesized OT analog, lipo-oxytocin-1 (LOT-1), which conjugates two palmitoyl groups at the amino group of the cysteine and the phenolic hydroxyl group
of the tyrosine in the OT molecule.
We investigated OT and LOT-1 on paternal behavior and social memory in
CD38-/- mice. This is model of autism symptoms. In parental behavior test male
mice demonstrate low pups retrieving scores. In the case of treatment by OT or
LOT-1,30 minutes after injection CD38-/- demonstrate increasing retrieving scores.
After 24 hours of injection, mice treated by LOT-1 demonstrate increased parental behavior while mice treated by OT demonstrate parameters are constant
at 30 minutes and 24 hours.
In the social memory test CD38-/- male shows low level of social discrimination.
The OT and LOT-1 recover social memory in CD38-/- mice and the mice shows
similar pattern of behavior with wild-type mice.
Finally, we show LOT-1 in vitro effects for oxytocin receptors.
Together, these results suggest that LOT-1 has a functional advantage for recovery of social behavioral impairment.
― 25 ―
連合小児発達学研究科セッション
07 *
*:奨励賞対象
Altered frontal pole development affecting self-generated
working memory in children with ADHD
○新井 清義 1)、岡本 悠子 2)、藤岡 徹 3)、猪原 敬介 4)、石飛 信 5)、松村 由紀子 3)、
丁 ミンヨン 2)、河村 佳保里 6)、滝口 慎一郎 7)、友田 明美 2)、和田 有司 3)、
平谷 美智夫 6)、松浦 直己 8)、小坂 浩隆 2)
1 )大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科、
2 )福井大学子どものこころの発達研究センター、
3 )福井大学医学部病態制御医学講座精神医学領域、
4 )電気通信大学大学院情報理工学研究科、
5 )独立行政法人国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター児童・思春期精神保健部、
6 )平谷こども発達クリニック、
7 )福井大学大学院医学系研究科、
8 )東京福祉大学大学院社会福祉学研究科
【 目的 】注意欠如多動性障害(ADHD)は自己の行動に基づく self-generated spatial
working memory(SWM)課題の発達に伴う成績改善が報告されているが、神経基盤
の 発 達 的 変 化 は 明 ら か に さ れ て い な い。 本 研 究 は、ADHD 児 に お け る selfgenerated SWM の発達的変化を課題成績と脳活動の観点から検討する。
【 方法 】ADHD 男児 30 名(平均年齢 9.5 ± 1.6 歳)
、定型発達(TD)の男児 35 名(平均
年齢 9.0 ± 1.6 歳)を対象とした。CANTAB Ⓡ の SWM 課題施行時の脳活動変化を
NIRS により計測した。発達的変化を検討するため、年齢と課題成績、および年齢と
脳活動変化の相関分析を各群で行った。
【 結果 】ADHD 群、TD 群ともに年齢とエラー数に負の相関を認め(ADHD:p =
0.040;TD:p < 0.001)
、両群ともに年齢に伴う課題成績の改善を示した。脳活動で
は各群で異なる結果を示した。ADHD 群は年齢と脳活動に有意に相関を示した
NIRS のチャンネルはなかったが、TD 群は両側の外側前頭前野(4ch:p = 0.049;
13ch:p = 0.001)と前頭極(10ch:p =0.013;11ch:p = 0.008)に年齢と正の相関
を示した。回帰係数の傾きの差の検定の結果、前頭極の活動に群間差を認めた(10ch:
p = 0.021;11ch:p = 0.044)
。10 歳以上の対象者に絞り、前頭極(10ch, 11ch)の活
動を t 検定により比較した結果、TD 群に比べ ADHD 群における 10ch の活動が有意
に低下していた。
【 考察 】本研究の結果、ADHD 児は年齢に伴う課題成績の改善を認めたが、TD とは
異なり前頭前野の機能成熟を認めなかった。ADHD 児は前頭前野の発達が不十分な
ため、他の領域による代償的な活動によって課題成績を補っている可能性がある。
倫理的配慮:本研究は本学倫理審査委員会の承認を得ている。
― 26 ―
連合小児発達学研究科セッション
08
自閉症スペクトラム障害児における神経ネットワーク障害の検討:
脳磁図の複雑性解析およびグラフ解析
○高橋 哲也
金沢大学 子どものこころの発達研究センター
自閉症スペクトラム障害(ASD)における神経基盤の一つに神経ネットワーク障害
仮説が多くの研究で支持されているが、幼児期から学童期に焦点を当てた研究は未だ
希少である。一方、複雑性理論およびグラフ理論を基盤とする定量的複雑ネットワー
ク解析の脳磁図への適用は、神経ネットワーク機構を理解する上で大きな役割を果た
す。中でも、時系列データの複雑性を多時間軸で捉える multiscale entropy 解析お
よび phase lag index を用いたグラフ解析は、近年注目されている神経ネットワーク
解析法である。本研究では、3 歳から 10 歳までの ASD 児および定型発達(TD)児を
対象にアニメ視聴時の脳磁図を計測し、multiscale entropy 解析および phase lag
index を用いたグラフ解析を用いて ASD 児における神経ネットワーク障害の特徴抽
出を試みた。結果、TD 児では加齢に伴う複雑性の増加とスモールワールド性の上昇
(ネットワークにおける高いクラスター性と最短経路長の短縮)を認めたが、ASD 児
では月齢と解析結果の間に有意な関係性はみられなかった。ASD 児と TD 児の比較
においては、ASD 児における高い複雑性とスモールワールド性がみられ、その特徴
は幼児期(70 ヵ月以下)においてより顕著であった。また ASD の症状重症度が複雑
性の低下と関連することが明らかとなった。これらの解析結果は、ASD における神
経ネットワークの早期過剰発達仮説に一致する結果であると考えられる。
本研究から、
定量的複雑ネットワーク解析の脳磁図への適用は、定型的神経発達や ASD の病態生
理に関する神経基盤の解明において重要な糸口となり得る可能性が示唆された。
なお、
本研究は金沢大学の倫理委員会の承諾を受けている。
― 27 ―
連合小児発達学研究科セッション
09
広汎性発達障害の認知的特性の評価および認知機能改善療法の
有効性に関するオープン試験
○奥田 朋子 1)、沼田 法子 1)2)、公家 里依 2)、清水 栄司 1)2)、中里 道子 1)
1 )千葉大学子どものこころの発達教育研究センター、
2 )千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学
認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy;CRT)は認知機能の改善を
目的として、思考スタイルや方略に働きかける心理療法である。CRT がターゲット
とする認知機能は central coherence( CC)の障害や、set shifting(SS)の困難さであ
るが、これらは広汎性発達障害の認知特性と重なるところである。そこで本研究では
広汎性発達障害の者に対して CRT を実施により CC と SS に関する認知機能が改善
するという仮説を立て、その効果を検討した。
研究デザインはオープン試験であり、倫理委員会の承認および書面による同意を得
て実施した。対象者は DSM-IV-TR に基づき広汎性発達障害と診断された 18-50 歳
の者とした。
CRT 実施前に認知機能検査(Brixton test;レイの図形等)
、
心理指標(ローゼンバー
グ自尊感情尺度、認知的柔軟性尺度等)
、知能発達検査を実施、CRT 全セッション
終了後の 1 週間後、3 ヶ月後にも再度認知機能検査、心理指標を実施した。CRT セッ
ションは原則週 1 回、40 分程度を 10 回実施、プログラムは Tchanturia らの作成した
テキストを元に、当センターで翻訳および修正したプロトコル及びマニュアルを用い
て実施した。
これまで 13 名がエントリーしたが、10 名(うち男性 8 名)が対象となり、うち 7 名
が 3 ヵ月後の認知機能検査まで終了した。7 名の認知機能検査においては CC を測定
する「レイの図形」の総合得点において CRT 前後、3 か月後の検査を通して有意に
得点が高くなっていた。SS を測定する Brixton test のエラー数においても CRT 前後、
3 か月後の検査を通して有意にエラー数が低くなっていた。本発表では広汎性発達障
害の認知的特性の評価および認知機能改善療法の有効性に関する考察を報告する。
― 28 ―
連合小児発達学研究科セッション
10
潜在曲線モデルによる乳児期の就寝遅延と神経発達に関する
縦断的検討 ― 浜松母と子の出生コホート( HBC )から ―
○奥村 明美 1)2)、髙貝 就 1)2)、土屋 賢治 1)2)、鈴木 勝昭 1)3)、浅野 良輔 1)2)、
武井 教使 1)2)4)、森 則夫 2)3)
1 )大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合
小児発達学研究科(浜松校)
、
2 )浜松医科大学子どものこころの発達研究センター、
3 )浜松医科大学精神医学講座、
4 )Institute of Psychiatry, King s College of London
【 目的 】わが国の乳幼児の睡眠時間は他の先進国と比較して短く、就寝時刻は遅い傾
向にある。幼児期の睡眠時間と認知機能発達との関連については既にいくつかの先行
研究があるが、乳児期の睡眠動態に着目した知見は少なく、就寝時刻とその後の発達
との関連については十分な検討がなされていない。本研究では、これまでの予備的な
解析で生後 10 か月時の睡眠と生後 24 か月時の神経発達指標のスコアとの関連につい
て回帰分析で検討したが、神経発達の評価が 1 時点のみであったため、児の成長にと
もなう縦断的な変化量との関連を評価できなかった。そこで、今回は潜在曲線モデル
を用いることで、乳児期の睡眠と縦断的な神経発達との関連について前方視的に検討
を行った。
【 方法 】浜松母と子の出生コホート(HBC)に参加した母子 1,258 組のうち 967 組を対
象とした。睡眠動態は、生後 10 か月時に Brief Infant Sleep Questionnaire により就
寝時刻、睡眠時間の評価を行った。神経発達の指標としては、生後 10 か月から 24 か
月に 4 回にわたって Mullen Scales of Early Learning(MSEL)により粗大運動、微
細運動、視覚受容、受容言語、表出言語を評価した。潜在曲線モデルを用いて、生後
10 か月から 24 か月における MSEL スコアの縦断的な変化と生後 10 か月時における
就寝時刻との関連を検討した。
【 結果 】遅寝群(22 時以降に就寝)では標準群(20 時 30 分∼ 21 時に就寝)と比較して、
潜在曲線の変化量が有意に低かった(粗大運動(b=-0.23, p < 0.01)
、微細運動(b=0.17, p < 0.05)
、視覚受容(b=-0.41, p < 0.001)
、表出言語(b=-0.21, p < 0.01)
)
。
【 結論 】乳児期の就寝時刻の後退が、その後の神経発達の軌跡に負の影響を与える可
能性が示唆された。
― 29 ―
連合小児発達学研究科セッション
11 *
*:奨励賞対象
閉塞性睡眠時無呼吸( obstructive sleep apnea:OSA )のある
小児のアデノイド扁桃摘出後の行動変化の検討
○村田 絵美 1)、毛利 育子 1)、加藤 久美 1)2)、飯村 慈朗 3)、橘 雅弥 1)、松澤 重行 1)、
小川 真 4)、谷池 雅子 1)
1 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科、
2 )太田睡眠科学センター、
3 )太田総合病院 耳鼻咽喉科、
4 )大阪大学大学院 医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頚部外科学
【 はじめに 】小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の有病率は 1 ∼ 4% とされるが、成人
と異なり、
眠気を訴えることが少ないために看過されていることが多いと考えられる。
さらに、小児では注意欠如多動症類似の症状が前面に出ることがある。
OSA 治療後に行動面の問題が改善された例が報告されており(Malow, et al, 2006,
Marcus, et al, 2013)
、持続陽圧呼吸療法(CPAP)導入後に多動性が改善した自験例
がある(三善ら、2006)
。
【 目的 】4-18 歳児用養育者記載版子どもの行動チェックリスト(Child Behavior
Check List:CBCL)を用いて治療前後の OSA のある小児の行動変化を検討する。
【 方法 】いびき等を主訴に大阪大学医学部附属病院、または太田睡眠科学センターを
受診し、OSA または OSA 疑いと診断され、アデノイド扁桃摘出術(adenotonsillectomy:AT)を受けた小児の養育者 151 名を対象に、
AT 前後で CBCL に記載を依頼し、
全症例、AT 前の OSA の重症度別(無呼吸低呼吸指数が 5 未満群を mild OSA、15
以上群を severe OSA)
、発達障害の有無による分類で、各尺度得点について AT 前
後で対応のある t 検定を行った。
【 結果 】対象児は男子 111 名、女子 40 名で、AT 平均年齢は 6 歳 1 か月± 1 歳 10 か月
であった。全対象児における CBCL T スコアは、
AT 後に全尺度で有意に改善した(p
< 0.01)
。OSA の重症度別、発達障害の有無による分類においても、AT 後に全尺度
で改善し、総得点と上位尺度では、いずれの場合においても有意差が得られた(p <
0.01)
。
【 考察 】小児 OSA では、mild OSA や発達障害併存例においても、AT によって行動
面の問題の改善が認められることから、発達的な視点を加味して AT の適応を検討
する必要がある。
― 30 ―
一般演題 2
12 *
アルツハイマー型認知症における脳内 Aβ蓄積と
ニコチン様α 7 受容体
○中泉 享子
浜松医科大学 精神科 大学院 3 年
【 背景と目的 】アルツハイマー型認知症(AD)の病態にはアミロイドβ蛋白(Aβ)の
異常な蓄積が関与している。また、AD では、ニコチン様α7 受容体( α7-nAChR)
の低下に代表されるコリン系の異常も重要な役割を果たしている。本研究では、AD
患者における Aβの蓄積とα7-nAChR 低下との関係を明らかにする目的で、陽電子
放射断層法(PET)により両者を測定した。
【 対象と方法 】AD 患者 20 名(平均 64.7±9.1 歳)及び年齢・性別を一致させた健常高齢
者 20 名に対し、以下を実施した。①Frontal Assessment Battery( FAB)による認知
機能の評価、②T1強調 MRI、③ 11 C-PIB(Aβ蓄積の評価)
、11 C-MeQAA(α7-nAChR
結合の評価)の 2 つのリガンドによる PET 検査。各被験者の 11 C-PIB と 11 C-MeQAA
それぞれの結合能を Simplified Reference Tissue Model により求め、群間比較と両結
合能の相関、及び、認知機能との関係を調べた。
【 結果 】AD 患者では脳の広範な部位で 11 C-PIB 結合が有意に増加していた。一方、
11
C-MeQAA 結合は前頭・側頭・頭頂皮質、前部・後部帯状回などのコリン系の投
射部位、および、マイネルト基底核で有意に低下していた。これらの脳部位では
11
C-PIB 結合と 11 C-MeQAA 結合との間に有意な相関はなかったが、マイネルト基
底核における 11 C-PIB 結合が高いほどコリン系投射部位における 11 C-MeQAA 結合
が低いという有意な逆相関が認められた。また、内側前頭前野の 11 C-MeQAA 結合
は FAB スコアに有意に関連していた。
【 結論 】Aβ蓄積がα7-nAChR の機能低下を引き起こし、認知機能障害に関与してい
ることが明らかとなった。
― 31 ―
一般演題 2
13
Rac1 GTPase activating protein( GAP )である
alpha1-chimaerin のアルツハイマー病患者における発現
○加藤 智子 1)、小西 吉裕 2)、下濱 俊 3)、Beach T. G. 4)、赤津 裕康 5)、遠山 育夫 1)
1 )滋賀医科大学 分子神経科学研究センター 神経難病診断学分野、
2 )国立病院機構 鳥取医療センター 臨床研究部、
3 )札幌医科大学 医学部 神経内科学講座、
4 )Banner Sun Health Research Institute、
5 )名古屋市立大学大学院 医学研究科 地域医療教育学
α1-chimaerin は、低分子量 G タンパク質 Rho ファミリーの一員である Rac1 を不
活性化するタンパク質のひとつである。α1-chimaerin は脳に特異的に発現し、
Rac1 を通してシナプス部で樹状突起のスパイン制御に関わっている。最近のアルツ
ハイマー病研究ではシナプス障害が早期の病変のひとつとされており、アルツハイ
マー病のシナプス障害におけるα1-chimaerin の役割を解明することは重要と考えら
れる。今回、われわれはアルツハイマー病患者の脳におけるα1-chimaerin の発現お
よび局在を調べ、アルツハイマー病におけるα1-chimaerin の病的意義を検討した。
まず、アルツハイマー病患者と対照例のヒト側頭葉皮質および海馬を用い、in situ
hybridization 法で、α1-chimaerin の mRNA の局在と発現を調べた。さらに、ヒト
側頭葉皮質を用いて、定量的 PCR 法でα1-chimaerin の mRNA 発現量を調べた。そ
の結果、α1-chimaerin の mRNA はニューロンに局在し、アルツハイマー病患者の
脳では、α1-chimaerin の mRNA は、対照例に比べて有意に減少していることがわ
かった。これらの結果から、α1-chimaerin はアルツハイマー病の病態機序と関連が
あることが示唆された。
― 32 ―
一般演題 2
14 *
*:奨励賞対象
抗うつ薬による歯状回 貫通線維シナプスの形態変化:
FIB-SEM を用いた構造解析
○北原 陽介 1)、太田 啓介 2)、首藤 隆秀 1)、黒岩 真帆美 1)、外角 直樹 1)、
蓮尾 博 3)、都合 亜記暢 4)、中村 桂一郎 2)、西 昭徳 1)
1 )久留米大学
2 )久留米大学
3 )久留米大学
4 )久留米大学
医学部 薬理学講座、
医学部 解剖学講座(顕微解剖・生体形成部門)
、
医学部 生理学講座(統合自律機能部門)
、
医学部 電子顕微鏡室
抗うつ薬は気分障害や不安障害に広く用いられており、主にセロトニン、ノルアド
レナリンなどの中枢モノアミン神経機能を増強して作用を示す。しかし、抗うつ薬の
作用メカニズムの詳細は未だ不明な点が多い。海馬歯状回において、抗うつ薬の慢性
投与は神経新生を活性化するが、成熟した顆粒細胞の興奮性を促進することも報告さ
れており(Kobayashi et al. , 2010)
、海馬歯状回は抗うつ薬の標的部位のひとつと考
えられている。
我々は、嗅内皮質から海馬歯状回に入力するグルタミン酸作動性の歯状回 - 貫通線
維シナプスに注目して、電位感受性色素を用いた神経機能解析を行った。その結果、
抗うつ薬により歯状回 - 貫通線維シナプスの興奮性伝達が亢進することを明らかにし
た。そこで、抗うつ薬による機能変化が形態変化とどのように関係するか、3D 電顕
(FIB-SEM)を用いて歯状回 - 貫通線維シナプス形態の解析を行った。樹状突起スパ
インでは、慢性抗うつ薬投与(fluoxetine 15 mg/kg/day for 14 day)により巨大なス
パインが誘導され、巨大なスパインは大きなシナプス後肥厚(PSD)を伴っていた。
また、巨大なスパインには大きな神経終末ボタンが結合していた。その神経終末ボタ
ン内のシナプス小胞とミトコンドリアの体積は神経終末ボタンの体積に相関して増加
しており、形態的にシナプス強度の増強と関連する構造変化であった。以上の結果か
ら、抗うつ薬は歯状回 - 貫通線維シナプスにおいて巨大なシナプスを誘導し、このシ
ナプスが興奮性伝達の亢進に関与することが示唆された。
― 33 ―
一般演題 2
15
脳内グルコ−ス増大による海馬空間認知の促進
○大村 裕
九州大学 医学部 統合生理学
摂食により脳内グルコース(G)濃度が 2 倍の 7mM になると海馬による学習記憶の
促進がおこる。すなわち海馬 CA1 の節前線維と節後ニューロン活動増大が起こり長
期増強によるラットの学習記億(空間認知)の促進が起こる。同時に神経化学的に
CAMKII と PKC のリン酸化促進が起きている。
これらの神経科学的機序をさらに明らかにするため神経細胞 cell line( N2A)による
G 効果を検討した。外液 G を 2 倍の 7mM にすると PKB と CREB(cyclic AMP responsive element binding protein)のリン酸化が起こり、BDNF(神経由来神経栄養因
子)の発現が増大する。この BDNF の増大は CREB の減少により消失する。さらに G
増大はヒストンデアセチラーぜ(HDAC)により抑制される。また HDAC の作用を抑制
する SAHA(スべラニロヒドロクサミン酸)により BDNF は増大する。これらの事実は
G による空間認知の促進は、BDNF の機能増大が関与いていることを示している。
― 34 ―
一般演題 3
16 *
*:奨励賞対象
Kcnq2 遺伝子変異マウスに見られる発達期海馬の
GABA ネットワーク異常
○内田
1)
、弟子丸 正伸 2)、小山 進 3)、柳川 右千夫 4)、廣瀬 伸一 1)5)
1 )福岡大学 てんかん分子病態研究所、
2 )福岡大学 理学部 化学科、
3 )第一薬科大学 生命薬学講座 薬物治療学分野、
4 )群馬大学大学院 医学系研究科 脳神経統御学講座 遺伝発達行動分野、
5 )福岡大学 医学部 小児科学
電位依存性カリウムイオンチャネルサブユニット KV7.2 をコードする KCNQ2 遺伝
子変異は、良性家族性新生児てんかん(BFNE)および早期乳児てんかん性脳症
(EIEE7)の原因として知られており、この変異により、KV7.2 が構成する M-channel
の機能低下が知られている。
BFNE、EIEE7 ともに生後一週間以内にてんかん発作がおこるが、BFNE は生後
三か月ほどで発作が治まるのに対して、EIEE7 は三か月を過ぎても発作が継続し治
療は困難である。さらに広汎性発達遅延および認知障害に発展する。同じ遺伝子の変
異が原因にも関わらず二つの疾患の症状の違いが何に起因するか詳細は不明である。
一方で抑制性神経伝達物質γアミノ酪酸(GABA)は、脳発達期の未熟な神経細胞
において興奮性に働き、また新生児期にはてんかん発作のトリガーとなる可能性が示
唆されている。BFNE および EIEE7 の発作開始時期と GABA が興奮性として働く
時期が一致する。このため M-channel の機能低下による GABA 作動性神経の過剰
興奮が病態に関与している可能性がある
そこで BFNE 患者から発見された変異(p. Y284C)と同様の遺伝子変異を持つノッ
クインマウスを作成し、幼若齢マウス海馬 CA1 領域の GABA 作動性神経細胞から
自発発火を細胞接着記録法で測定したところ、Kcnq2 変異マウスは発火頻度が有意
に多かった。GABA 作動性神経細胞の M-current は有意に減少していた。CA1 領
域の錐体細胞から GABA 作動性シナプス後電流を測定したところ、最大振幅、減衰
幅は変化がなかったが頻度が有意に増加していた。これらのことは GABA 作動性神
経細胞における KCNQ2 遺伝子変異が M-channel の機能を低下させ、細胞興奮を引
き起こした結果、GABA の放出を増加させたと考えられる。
― 35 ―
一般演題 3
17
CRH 放出機構における新規 GABA 作用の発見
○福田 敦夫 1)、柿沢 圭亮 1)2)、渡部 美穂 1)、大川 雄太 1)2)、大石 敏弘 2)、
山下 美保 2)、柳川 右千夫 3)、沖 隆 4)
1 )浜松医科大学 神経生理学講座、
2 )浜松医科大学 第二内科、
3 )群馬大学大学院 医学系研究科 遺伝発達行動学分野、
4 )浜松医科大学 地域家庭医療学
視床下部室傍核の CRH ニューロンはストレス応答に重要である。CRH ニューロン
の興奮性は室傍核への GABA 作動性入力によって制御されている。今回、GABA 合
成 酵 素 の GAD67 を GFP で 置 換 し た GAD67-GFP knock-in ヘ テ ロ マ ウ ス で は
GAD67 由来 GABA 合成量が半減かつ GAD67 含有細胞を同定できることを利用し、
CRH 放出機構における GABA 作用をさらに検討した。血漿 corticosterone、ACTH、
視床下部 CRH mRNA 発現量、室傍核 CRH 免疫染色、視床下部 CRH 含有量を成熟
野生型と比較したところ、CRH mRNA 発現量が同等にもかかわらず、血漿 corticosterone と ACTH が有意に減少していた。室傍核 CRH を詳細に検討したところ、
CRH 免疫染色陽性細胞数と細胞毎の染色強度が有意に増加し、CRH 含有量も有意に
増加していた。一方、この染色強度の差はコルヒチンによる軸索輸送の阻害で消失し
た。以上から、GAD67 減少により、CRH 放出量が減少していることが示唆された。
そこで、正中隆起の CRH ニューロン神経終末に着目した。GABA 作動性線維が入
力する CRH ニューロン神経終末には GABAA 受容体と Na+-K+-2Cl- 共輸送体
(NKCC1:Cl- 取込)が発現しており、対照的に室傍核 CRH ニューロン細胞体には
GABAA 受容体と K+-Cl- 共輸送体(KCC2:Cl- 汲み出し)が発現していた。この
ことから、GABAA 受容体作用が細胞体では抑制、終末では興奮と仮説した。CRH
ニューロン選択的に細胞内 Ca2+ 感受性蛋白 GCaMP3 を発現するマウスを作製して
GABAA 受容体作動薬投与による細胞内 Ca2+ 反応を記録したところ仮説に合致し
ていた。すなわち、CRH ニューロン神経終末は NKCC1 発現により細胞内 Cl- 濃度
が高く、GABA が興奮性に作用して CRH 分泌を促進するという、新たな CRH 放出
機構を発見した
― 36 ―
一般演題 3
18 *
*:奨励賞対象
Fluoxetine enhances the expression of miR-572 and
miR-663a in human neuroblastoma cell lines
○Vasu Mahesh M1)、Anitha Ayyappan3)、Thanseem Ismail3)、Iwata Keiko2)、
Takahashi Taro1)、Yamada Kohei1)、Suzuki Katsuaki1)、Mori Norio1)
1 )Department of Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine、
2 )Research Center for Child Mental Development, University of Fukui、
3 )Institute for Communicative and Cognitive Neurosciences, India
Background:Micro ribonucleic acids (miRNAs) are small noncoding RNA molecules. The miRNAs are shown to regulate the expression of over a half of all
protein coding genes. Recent investigations have suggested that miRNAs serve as
important regulators of drug induced gene expression. In this study, we examined
possible effect of fluoxetine, a selective serotonin reuptake inhibitor, in the expression of miRNAs in human neuroblastoma cells.
Methods:We selected previously reported 13 neurologically relevant miRNAs as
matters of interest. In the initial screening we used four different concentrations
of fluoxetine (1, 5, 10 and 25µM) in SK-N-SH and SH-SY5Y cell lines. The screening
results are then validated by further quantitative analysis. The targets of altered
miRNAs were predicted by suitable ontology tools.
Results:In the initial screening, expressions of four miRNAs (miR-320, miR-489,
miR-572, and miR-663a) were commonly affected in both neuroblatoma cell lines.
By quantitative analysis, we found that the expression of miR-572 and miR-663a
was up-regulated in both cell lines by fluoxetine challenge. The targets of these
two miRNAs were predicted to be involved in the regulation of gene expression in
different neurological pathways.
Conclusion:The result suggests that fluoxetine treatment induces expressions of
neurologically important miRNAs in neuroblastoma cell lines.
― 37 ―
一般演題 3
19 *
COMT 遺伝子多型が小児期 ADHD の線条体の灰白質異常に
及ぼす影響
○島田 浩二 1)2)3)、藤澤 隆史 1)2)、滝口 慎一郎 1)、成瀬 廣亮 2)、小坂 浩隆 1)2)、
岡沢 秀彦 1)3)、友田 明美 1)2)
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター、
2 )大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
(福井校)
、
3 )福井大学 高エネルギー医学研究センター
注意欠如多動性障害(ADHD)は、発達段階に不釣り合いな不注意、多動性、衝動
性の症状で特徴づけられる神経発達障害である。主な病因には前頭葉 - 線条体システ
ムのドパミン機能の異常が関連している。最近の先行研究では、ドパミンの代謝酵素
であるカテコール -O- メチル基転移酵素(COMT)遺伝子の機能的多型(Val158Met)
が、ADHD 児の線条体の灰白質異常に影響を及ぼすこと、つまり、白人の小児期
ADHD では Val/Val 多型に線条体の灰白質異常がより強く関連すると報告された。
COMT 遺伝子多型の効果には 人種差 があるという健常者研究に基づき、本研究
は以下の仮説を立てた。日本人の小児期 ADHD では遺伝子 - 脳の相互作用パターン
が白人とは異なり、Met-carrier 多型に線条体の灰白質異常がより強く関連づけられ
る。この仮説を検証するため、ADHD 児 17 名と定型発達(TD)児 15 名を対象に
MRI 脳構造画像が撮像され、また、COMT 遺伝子多型データが取得された。脳画像
データ解析には Voxel-based morphometry が用いられた。ADHD と TD の群間差
を見ると、左半球の線条体の灰白質容積が ADHD で有意に減少した。この線条体灰
白質異常の多型間差を見ると、ADHD Met-carrier 多型の灰白質容積が ADHD
Val/Val 多型に比べて有意に減少した。本結果は、仮説どおり、白人の小児期
ADHD の結果とは反対に、日本人の小児期 ADHD では COMT 遺伝子の Metcarrier 多型に線条体の灰白質異常がより強く関連づけられることを示した。本研究
と先行研究は、ADHD 関連の線条体の構造異常に対する COMT 遺伝子多型の効果
には 人種差 が存在することを示唆しており、ADHD の病態の多様性の理解およ
び診断・治療方法の改善に寄与しうると考えられる。
― 38 ―
一般演題 3
20
某市 5 歳児発達健診における発達性協調運動障害の疫学
○斉藤 まなぶ 1)、山田 順子 2)、下山 修司 3)、尾崎 拓 3)、上野 伸哉 4)、
中村 和彦 1)3)
1 )弘前大学大学院 医学研究科 神経精神医学講座、
2 )弘前大学大学院 保健学研究科 医療生命科学領域、
3 )弘前大学 医学部 附属子どものこころの発達研究センター、
4 )弘前大学大学院 医学研究科 脳神経生理学講座
発達性協調運動障害(DCD)は不器用、運動技能の遂行における遅さと不正確さに
よって明らかになる障害である。日本では DCD が協調という脳機能の発達の問題と
しての認識は低く、
「不器用」
「運動音痴」等と思われていることが多いため支援が
遅れているのが現状である。DCD は幼児期から学童期のうちは運動困難が注目され
るが、学童期から青年期にかけては周囲からの孤立や自尊心の低下、将来の運動嫌い
など二次的な心理・社会的問題として発展することが報告されている(Cantell.
1994)
。疫学は DCD の有病率は学齢児童の 5-6%、男性の有病率が高く男女比は 2:
1 ∼ 7:1 と報告されている。また DCD には注意欠如・多動性障害(ADHD)
、学習
障害(LD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)が併存し、症状、経過や転帰にさら
なる影響を与える。これらのことから DCD の早期発見、早期療育が強く望まれる。
本研究では DCD の疫学研究を目的として、2013 年及び 2014 年に施行した某市 5 歳
児発達健診(対象:N=2571)の結果を用いて有病率、併存率、スクリーニング
(DCDQ-J)結果等について統計学的解析を行った。
未返却者(n=652)を除いた 1,919 名よりスクリーニングが回収された。さらに 5 歳
児健診対象不参加者(n=132)を除いた 282 名が健診に参加し、M-ABC2 で 15 パーセ
ンタイル未満を DCD と診断した。有病率は 1,783 名を母集団として算出した。
DCD の有病率は 4.77%(95%CI:3.78 ‒ 5.76)
、併存障害のない DCD は 27.1%、
ASD の合併は 41.2%、ADHD の合併は 35.3%、ID の合併は 38.8% であった。DCD
は有意に男子に多い(p < 0.01)結果となった。DCDQ-J では保護者評価の微細運動
スコアの平均点においてに男子が有意に低い結果となった。
― 39 ―
一般演題 4
21
脊髄におけるオーファン受容体 GPR 83 は
痒み伝達機構に関与する
○中山 直野 留美 1)3)、船橋 英樹 2)、西森 利數 2)、髙宮 考悟 1)
1 )宮崎大学 医学部 機能制御学講座(統合生理学分野)、
2 )宮崎大学 医学部 臨床神経科学講座(精神医学分野)、
3 )日本学術振興会 特別研究員
【 背景・目的 】神経系における痒み分子に関する研究は、2007 年に痒みに特異的な受
容体が脊髄にあると報告されたことを始まりとする研究分野である。一方、アトピー
性皮膚炎を含めた難治性の痒みに対する薬剤がほとんどないことが臨床的な課題であ
るため、中枢神経系にある痒み分子がその標的になると考えられている。
我々はこれまでに、サブスタンス P(SP)受容体とそのリガンドを対象とする脊髄
における痛み伝達系の研究を行ってきた。その結果、SP は痛みの伝達物質として作
用し、ヘモキニン -1( HK-1)は痛み伝達物質として機能しないことが示唆された。
そこで、HK-1 をリガンドとするオーファン受容体 GPR83 が痛み伝達とは異なる機
能を有する受容体であると推測され、この受容体について痛みおよび痒み伝達に対す
る解析を行った。
【 方法 】くも膜下腔にカテーテルを留置した SD ラットに GPR83 および SP 受容体に
対する siRNA を投与し、これらの受容体が脊髄だけでノックダウンされるモデル動
物を作製した。これらの動物の皮下に痒み誘発物質を投与し、痒み行動を評価した。
また、ホルマルン投与による痛み行動を評価した。さらに、GPR83 ノックアウトマ
ウスでも同様に解析した。
【 結果 】GPR83 のノックダウン動物では痒み行動を抑制したが、痛み行動は抑制しな
かった。SP 受容体のノックダウン動物では痛み行動を抑制したが、痒み行動を抑制
しなかった。また、GPR83 ノックアウトマウスでも痒み行動を抑制できたが、痛み
行動は野生型と違いが認められなかった。
【 考察・結論 】脊髄における GPR83 が新たな痒み分子であることが示唆された。
― 40 ―
一般演題 4
22
ラットの三叉神経節および三叉神経感覚核における
サブスタンス P およびヘモキニン 1 の分布
○井川 加織 1)、西森 利數 2)、船橋 英樹 2)、宮原 裕 2)、松尾 寿栄 2)、石田 康 2)
1 )宮崎大学医学部感覚運動医学講座顎顔面口腔外科学分野、
2 )宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野
口腔・顔面領域の痛みや痒みの情報は三叉神経節の細胞を介して三叉神経感覚核の
細胞を興奮させ、その情報は高次脳へ伝達されるとされる。三叉神経感覚核は主知覚
核と脊髄路核に 2 分され、さらに脊髄路核は吻側亜核、中間亜核と尾側亜核に細分さ
れている。哺乳動物において、タキキニンペプチドファミリーが神経伝達物質として
の機能を有していることはよく知られ、このグループの代表であるサブスタンス P
(SP)は痛みの伝達に関与し、ヘモキニン -1( HK-1)は痒みの伝達に関与すると指摘
されているが、HK-1 の三叉神経感覚核における分布は報告されていない。この 2 つ
のペプチドは同じタキキニンファミリーに属しているため、C 末端領域はほぼ同じア
ミノ酸配列を有し、N 末端領域のアミノ酸配列にはほとんど類似性がない。そこで、
これらのペプチドの N 末端領域からなるペプチド由来の抗体を作成し、免疫組織化
学手法を用いて、これらペプチドの三叉神経節および三叉神経感覚核における分布に
ついて検討した。
その結果、三叉神経節においては SP および HK-1 陽性細胞は小細胞群に分布して
いた。三叉神経感覚核においては SP および HK-1 陽性反応は、主知覚核、吻側亜核、
中間亜核ではほとんど認めることができず、尾側亜核と paratrigenimal nucleus で
は認めることができた。このことは、HK-1 が一次求心性線維における神経伝達物質
である可能性を支持している。
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一般演題 4
23
Post-traumatic stress disorder-like behaviors in FABP3 null
mice
○福永 浩司 1)、矢吹 悌 1)、高畑 伊吹 1)、大和田 裕二 2)
1 )東北大学大学院 薬学研究科 福永浩司、
2 )東北大学大学院 医学研究科 組織解剖学分野
We reported that fatty acid binding protein 3 (FABP3) binds to the intracellular
loop of dopamine D2 receptor and that FABP3 null mouse reveals dysfunction of
dopamine-regulated motor coordination (J Neurosci. 2010;30:3146-55). Binding of
FABP3 to alpha-synclein in the dopaminergic neurons aggravates alpha-synclein
oligomerization in Parkinson disease model (J Biol Chem, 2014;289:18957-65).
We here documented that FABP3 null mouse also exhibits an enhanced anxiety
and impaired memory extinction. Wild type and FABP3 null mice underwent fear
conditioning once a day with consecutive 5 days and measured the fear acquisition
and extinction for 35 days. The acquisition of contextual fear memory in FABP3
null was not distinguished from those in wild type mice. However, FABP3 null
mice had deficits in extinction of contextual fear memory. One month after exposure to contextual stimulation, wild mice significantly reduced the elapsed time until entering the chamber given footshock, showing normal extinction. The elapsed
time remained unchanged in FABP3 null mice. cFos expression in the amygdala
after exposure to conditional stimulation remained elevated in FABP3 mice but declined in the wild type mice at one month later. FABP3 null mice are novel model
of PTSD and are useful for drug development to improve the PTSD-like behaviors.
This work is supported by Kakenhi 26102704 (K.F.).
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一般演題 4
24
新規 SERT 制御因子としての NSF
∼自閉症発症メカニズムへの関与∼
○岩田 圭子 1)、松崎 秀夫 1)、立花 太郎 2)、中村 和彦 3)、片山 泰一 4)、森 則夫 5)
1 )福井大学 子どものこころの発達研究センター、
2 )大阪市立大学 工学研究科 化学生物系専攻、
3 )弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座、
4 )大阪大学 連合小児発達学研究科 小児発達学専攻、
5 )浜松医科大学 精神医学講座
自閉症の病態を説明する有力な説の一つに「セロトニン仮説」がある。近年、中村
らにより、自閉症者の脳内で広範囲にわたってセロトニントランスポーター
(SERT)
の機能が低下していることが明らかになり、
「セロトニン仮説」を強く支持するもの
となった。そこで本研究では、SERT の機能異常の原因を追究することにした。
我々はまず SERT の発現の変化を疑い、自閉症者死後脳とリンパ球を用いて SERT
の遺伝子発現を解析した。その結果、SERT 自体の遺伝子発現には異常がないことを
明らかにした。一方、以前より SERT に結合し SERT の機能を調節する分子がいく
つか報告されている。本研究では、哺乳類の脳内で実際に SERT と結合している分子
の同定を目的とし、マウスの脳を用いた pull-down 法、それに続く質量分析を行った。
その結果、新規 SERT 結合分子として N-ethylmaleimide-sensitive factor( NSF)を
同定した。さらに、SERT を安定的に発現させた細胞において NSF の発現を減少さ
せると、SERT の細胞膜での発現減少および SERT の取り込み機能が減少することが
明らかになった。またマウスの脳を用いた免疫沈降法によって SERT-NSF 結合を確
認した。続いて、自閉症者において NSF の発現は変化しているのかについて、上記
死後脳とリンパ球を用い、自閉症者における NSF の発現を解析した。その結果、
NSF 遺伝子発現は自閉症者死後脳では減少傾向が、リンパ球では有意な減少がそれぞ
れ確認された。
以上の結果から、自閉症者では NSF が減少し、その結果 SERT の膜移行が滞り、
機能低下が起こっている可能性が示唆された。現在これらの結果を生体内で検討する
ため NSF の conditional KO mouse の作製中である。
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一般演題 4
25
神経系おける Sumal Ubiquitin like Modifer 1( SUMO 1 )の働き
○松崎 伸介 1)2)3)、天野 元揮 1)、向井 春香 1)、佐藤 大樹 1)、韓 薩日那 1)、
高村 明孝 1)2)、三好 耕 1)2)、片山 泰一 1)
1 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 こころの発達神経科学講座 分子生物遺伝学領域、
2 )大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 子どものこころの分子統御機構研究センター、
3 )大阪大学大学院 医学系研究科 神経機能形態学講座
Small ubiquitin-like modifier-1 (SUMO1) plays a number of roles in cellular
events and recent evidence has given momentum for its contributions to neuronal
development and function. Here, we have generated a SUMO1 transgenic mouse
model, which displayed elevated levels of mono-SUMO1 and increased high
molecular weight conjugates in all brain regions, and proteomic analysis using
immunoprecipitation of total brain extract of the mice revealed∼95 candidate
proteins from a variety of functional classes, including a number of synaptic and
cytoskeletal proteins. SUMO1 modification of synaptotagmin-1 was found to be
elevated as compared to non-transgenic mice. This observation was associated
with an age-dependent reduction in basal synaptic transmission and impaired
presynaptic function as shown by altered paired pulse facilitation, as well as a
decrease in spinedensity. The changes in neuronal function and morphology were
also associated with a specific impairment in learning and memory while other
behavioral features remained unchanged. These findings point to a significant
contribution of SUMO1 modification on neuronal function which may have
implications for mechanisms involved in mental retardation and neurodegeneration.
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一般演題 4
26
BDNF-TrkB signaling in the nucleus accumbens plays a key
role in methamphetamine withdrawal symptoms
○橋本 謙二、任 乾、馬 敏、楊 春、張 継春、姚 偉
千葉大学社会精神保健教育研究センター
Depression is a core symptom of methamphetamine (METH) withdrawal
during the first several weeks of abstinence. Several lines of evidence suggest
the key role of brain-derived neruotrophic factor (BDNF) and its specific receptor,
tropomyosin-related kinase (TrkB), signaling in the pathophysiology of depression.
In this study, we examined whether BDNF-TrkB signaling plays a role in the
METH withdrawal symptoms (depression and behavioral sensitization). In the
tail-suspension test, forced swimming test, 1% sucrose preference test, repeated
administration of METH (3 mg/kg/day for 5 days) caused depression-like behaviors
in mice, and depression-like behavior persisted more than 2-weeks after the final
administration of METH. Western blot analysis showed that levels of BDNF and
phosphorylated-TrkB in the nucleus accumbens (NAc) of METH treated mice
were significantly higher than those of control mice although levels in the other
regions, including prefrontal cortex, hippocampus, were not different. Furthermore,
METH-induced depression and behavioral sensitization could be improved after
subsequent repeated administration of TrkB antagonist ANA-12, but not TrkB
agonist 7,8-dihydroxyflavone (7, 8-DHF). Interestingly, METH-induced depression
and behavioral sensitization could be improved after a single bilateral infusion
of ANA-12 into NAc. These findings suggest that BDNF-TrkB signaling in the
NAc plays a key role in the withdrawal symptoms in mice after repeated METH
administration, and that TrkB antagonists would be potential therapeutic drugs for
METH withdrawal symptoms in humans.
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一般演題 4
27
成人期 ADHD の脳内における活性化ミクログリア
○竹林 淳和 1)、中村 和彦 2)、尾内 康臣 3)、横倉 正倫 1)、岩田 泰秀 1)、森 則夫 1)
1 )浜松医科大学 医学部 精神医学講座、
2 )弘前大学 大学院医学研究科 神経精神医学講座、
3 )浜松医科大学 メディカルフォトニクス研究センター
【 目的 】注意欠如・多動症(ADHD)の病態に果たす活性化ミクログリアの役割につ
いて、特異的トレーサー 11C-( R)-PK11195 による陽電子放射断層法(PET)で検討
する。
【 方法 】ADHD を有する成人 18 名(男性 9 名、女性 9 名、平均 29.1 ± 5.1 歳)
、および、
年齢・性別・IQ を一致させた健常成人 18 名(28.9 ± 5.8 歳)を対象とした。ADHD
症状をコナーズ成人 ADHD 評価尺度(CAARS)で、注意・作業記憶・反応抑制など
の前頭葉機能をケンブリッジ神経心理学的検査バッテリー
(CANTAB)で、それぞれ
評価した。PET 画像より 11C-( R)-PK11195 結合能を求め、活性化ミクログリア数
の指標とした。各被験者の MRI 上で前頭葉を中心に複数の関心領域(ROI)を置き
11C-( R)-PK11195 結合能を求め、ADHD 群と対照群との比較、および、ADHD 症
状や前頭葉機能との関連の有無を調べた。
【 結果 】11C-( R)-PK11195 結合能は、いずれの脳部位においても ADHD 群と対照
群との間に有意差はなかった。しかし、性別を考慮すると、ADHD 群の女性では対
照群の女性に比べ前部帯状回(p=0.048)
、左側背外側前頭前野(p=0.017)において
11C-( R)-PK11195 結合能が有意に高かった。そして、これらの脳部位の 11C-( R)
-PK11195 結合能は CANTAB における作業記憶に関する指標の複数と有意に相関し
ていた。一方、ADHD 群の男性は対照群の男性に比べ左側視床における 11C-( R)
-PK11195 結合能が有意に低かった。同部位の 11C-( R)-PK11195 結合能と CAARS、
CANTAB の指標との間には、有意な相関関係は認められなかった。
【 結論 】成人期の ADHD 者の脳内活性化ミクログリアは、性差が影響する可能性が
示唆される。
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第 42 回日本脳科学会大会 賛助団体芳名
(協賛・広告・展示 )
MSD 株式会社
株式会社 JVC ケンウッド
株式会社トーアサイエンス
グラクソ・スミスクライン株式会社
公益財団法人みやざき観光コンベンション協会
大日本住友製薬株式会社
田辺三菱製薬株式会社
( 五十音順 敬称略 )
本大会を開催するにあたり、上記各機関・企業より多大なるご賛助を
いただきました。ここにご芳名を記して、感謝の意を表します。
2015 年 11 月
第 42 回日本脳科学会
大会長 髙宮
考悟
第 42 回 日本脳科学会
プログラム・抄録集
大会長:髙宮 考悟
事務局:宮崎大学医学部 機能制御学講座 統合生理学分野
〒 889-1692 宮崎市清武町木原 5200
TEL:0985-85-0870
E-mail:[email protected]
出 版:株式会社セカンド
〒 862-0950 熊本市中央区水前寺 4-39-11 ヤマウチビル 1F
TEL:096-382-7793 FAX:096-386-2025
http://www.secand.jp/
劇薬
処方せん医薬品(注意−医師等の処方せんにより使用すること)
※「効能・効果」、「効能・効果に関連する使用上の注意」、「用法・用量」、「用法・
用量に関連する使用上の注意」、「警告・禁忌を含む使用上の注意」等につき
ましては、製品添付文書をご参照ください。
2014年11月作成
(1)
㼣㼣㼣㻚㼠㼛㼍㼟㼏㼕㼑㼚㼏㼑㻚㼏㼛㻚㼖㼜
(2)
(3)
第42回 日本脳科学会 事務局
宮崎大学医学部 機能制御学講座 統合生理学分野
〒889-1692 宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-0870
E-mail : [email protected]