【背景:お化け屋敷3? 立ち絵:かなめ(普通) 】 暗闇を抜け、色々な物が雑多にある場所に出た。 かなめ:もう明かりは必要なさそうだね。 互いに辺りを見回し、警戒しながら先へ進む。 ???:久し振り。もう会えないかと思った。 かなめ:…っ!? 【立ち絵:かなめ(不快) 暁(微笑) 】 先の角から、細身の男が現れた。優しく微笑むその男の視線は、かなめをまっすぐ捕らえ る。 その男は、右腕が巨大な化け物に呑まれていた。無数の目があちこちを睨み、巨大な口は 男の肩を食んでいる。 男はゆっくりとこちらへ近付いて来る。 かなめは後退りながら男に応えた。 かなめ:何の用? ???:持ってるんだろ?シロップ。もう随分長いこと飲んでなくてね。何分イライラし ちゃってるんだよー。感覚的には悪くないんだけど取り敢えずまぁ、……寄越せよ。早く。 …ね? かなめ:お前にやるシロップなんて、持ってない。 化け物が勢い良く壁に叩き付けられる。 男は些細な事という調子で崩れ落ちる壁と損傷した胴体を流し見てから、再度問いかける。 ???:あー…。これでも? かなめ:それでも。 ???:何とかしてシロップ貰えないもんかねぇー…。 かなめが後手に数本手渡してきた。気付かれないようにそっと自分のポケットの中に押し 込める。 【立ち絵:暁(無表情)】 ???:…あぁ。そっかそっか。ならそいつから奪えばいいんだな? かなめ:…っ!! 男は納得したように頷き、急に軟らかな表情が消える。かなめにやっていた視線が、こち らへと移動した。 真横に風が吹いてから間を置いて、左腕に激痛が走る。 化け物の鋭い尾が伸び、腕に切りかかったのだ。 よろめき腕を抑えるが、どくどくと血が流れて行くのを止めることができない。 ???:へぇー…。いいなぁ。お前は人間なんだな。痛いんだろ?死ぬんだろ? 良かったなぁ生きてるじゃないか。ははは…。 【効果音:ゴキゴキゴキ!(何かが変形する音か、お化け屋敷が破壊される音) 立ち絵: 暁(返り血ぶしゃー) 】 かなめが腕を掴もうとこちらへ手を伸ばすが、化け物が間に割って入り、それは叶わなか った。 内装が壊され、天井が落ちてしまった。かなめの姿が見えない。 男の腕に絡みついていた化け物は、大きく破損していた。 男の方まで返り血が噴き出していて、服が先程よりも汚れている。 化け物は損傷の激しさからスピードは落ちたようで、ゆっくりとこちらを睨みつけてきて いる。 男は戻ってきた化け物の頭を撫でながら、数度頷いている。 ???:…うんうん。今のはなかなか痛かった。 かなめはどうやら無事だったようで、瓦礫の向こうから声が聞こえた。 声の調子がいつも通りに聞こえる点からも、特に怪我もしていないようだ。 かなめ:聞こえる!?早くそこから逃げて!私も別の道を探すから! その声に応えると、かなめは遠くへと駆けて行った。 ???:逃げられるわけないだろ。お前はここで、俺に殺されるんだ。殺されるんだよ。 いいよなぁ。痛みや恐怖を感じたまま死ねるんだからさ。 男が合図を送ると、化け物がずるずると伸び出して、こちらへ近付いて来る。 ???:お前が死ねば、俺はまたシロップを飲むことができるんだ。 後退ったときに、自分のポケットの中にあるシロップが、水音を立てた。 飲むか、と手を伸ばした後、先程のペルシックの姿が頭をよぎった。 どちらの選択が正しいのだろうか? -------------------【選択肢】 ・シロップを飲んで合流を試みる ・シロップを握り締めて走って逃げる ※このルートでは死なない? シロップを飲んで戦ったとしても、明らかに強いので戦おうとは思わないような。 -------------------【シロップを飲んで合流を試みる】 よぎる不安を振り払い、シロップを飲み干した。口の中に強い甘さが広がり、気分が高ま る。 すると関節がぐにゃりと曲がり、柔らかくなったのを感じた。 まるで蛸のように身体が自在にうねり、どの角度でも曲がる。 ???:…お前…なにそれ。 男は唖然としてこちらを見ている。 動きが止まっている隙に素早く瓦礫の隙間に腕を入れ頭を入れ胴体を入れ、かなめがいた 側へと移動した。 【立ち絵:暁←消える】 ???:おいおい反則だろ…?出て来いよ…っ、くそ…! 男は駆け寄り瓦礫をどかし始めるが、体力が追いつかないようで、こちらへ来ることがで きないようだ。 シロップが足りないのもあるのだろう。 未だ身体は軟らかいままだが、進むことはできる。 男のいる瓦礫の向こうへ注意を払いながら、かなめの足音が消えていった方角へ急いだ。 【7章へ】 -------------------【シロップを握り締めて走って逃げる】 よぎる不安を胸に、シロップへ伸ばしかけた手は、そのままシロップを握るだけに留めた。 後ろを振り返り、男がいる方とは逆へ全速力で駆け出す。 ???:おいおい…。俺から逃げる気?まさかなぁ…。 ゆっくりと、しかし着実にこちらへ攻撃が飛んでくる。 瓦礫が次々と降り注ぎ、腕や背中、行く手に直撃する。何度もよろめくが、なんとか持ち こたえることができた。 曲がり角を曲がって暫く走った後も、それは続いた。 降り注ぐ瓦礫や男の声が、近付く死を告げているかのように錯覚してしまう。 必死で死を振り払うように腕を振り回し、右へ左へと何度も角を曲がった。 【立ち絵:暁←消える】 自分の心臓の音しか聞こえなくなった頃には、男の攻撃は届かなくなった。 どうやら逃げ切れたようだ。 かなめはこちらへ進んでいるのだろうか。逃げるのに必死で、方角を気にすることができ なかった。 不安は残るが、そのまま道を進んで行った。 【7章へ】
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