感 染 症 学 雑誌 504 第57巻 第6号 糖 尿病 患 者 多核 白血球 の ス ーパ ーオ キサ イ ド産 生 能 弘前大学第三内科学教室 熊坂 義裕 中畑 久 裕一 石戸 裕之 小沼 富男 工藤 幹彦 今村 憲市 弘前大学付属病院中央検査部 武部 和夫 工 平井 藤 肇 (昭和58年1月24日受付) (昭和58年3月15日 Key words : Diabetes 受 理) mellitus, Polymorphonuclear 要 旨 糖 尿 病 患 者 に お い て は,易 感 染 性 と の 関 連 に お い て,多 回,多 leukocytes, Superoxide anion. 核 白 血 球 殺 菌 能 の 低 下 が 指 摘 さ れ て い る.今 核 白血 球 の 殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の 解 明 を 目的 と し て 患 者 多 核 白血 球 の ス ー パ ー オ キ サ イ ド(0の 産 生 能 を 検 討 し,同 時 に 多 変 量 解 析 法 に よ り臨 床 検 査 所 見 とO-2産 生 能 と の 関 連 を 分 析 した. 糖 尿 病 患 者54例,健 常 人25例 を 対 象 と し,Jonstonら に よ り産 生 され る05を10分,30分 後 にCytochromeCの の方 法 に 準 じphorbol O-2産 生 能 は,健 常 人 に 比 し糖 尿 病 患 者 で 有 意 に 低 下 して い た.〔健 常 人:10分 SD,nmo1/4×105 cells),30分 値,69.76±12.66,糖 myristate acetateの 刺激 還 元 に よ り測 定 し た. 尿 病 患 者:10分 値,38.81±8.11(mean± 値,30.04±10.93. (p<0.001), 30 分 値,57.18±16.78(p<0.01)〕. 8つ の 臨 床 検 査 所 見(年 ンA1値)とO-2産 齢,性 別,治 療 法,罹 生 能 との 関 連 に お い て,単 偏 相 関 に お い て10分 値 で,ヘ 病 期 間,網 膜 症,蛋 相 関 で は,10分,30分 白尿,空 腹 時 血 糖 値,ヘ モグ ロビ 値 と も有 意 の 相 関 を み な か っ た が , モ グ ロ ビ ンA、 値 との 有 意 の 負 の 相 関 を 認 め た(P<0.05). 糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の0互 産 生 能 は,低 下 して お り,こ の 低 下 に は 持 続 的 高 血 糖 が 関 与 す る こ とを 示 唆 され た.又,こ れ ら の結 果 は,同 時 に 患 者 多 核 白血 球 の 殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の 一 因 を 説 明 す る可 能 性 が あ り,易 感 染 性 との 関 連 が 示 唆 され た. は じめ に 糖 尿 病 患 者 が 感 染 症 に 罹 患 しや す く,治 療 に 抵 抗 性 で あ る こ とは経 験 的 に よ く知 られ て い る.糖 尿 病 患 者 の 易 感 染 性 の 機 序 につ い て は古 くか ら興 味 が もた れ 細 胞 性 免 疫,体 液 性 免 疫,白 血 球 機 能 殺 菌 能 に つ い て も従 来 よ りそ の 低 下 が報 告 さ れ て お り,我 々 もstaphylococcuo aurmsを 用 いた検討 に お い て 殺 菌 能 の低 下 を報 告 して き た8). 近 年,貧 食 球 は 細 菌 を 貧 食 す る際(あ る い は細 胞 膜 に 適 当 な刺 激 が 加 わ っ た 時),酸 素 由 来 の 諸 物 な ど の面 か ら多 くの研 究 が 行 な わ れ て き た.し か 質(O-2, H2O2, OH, 1O29)10))を 産 生 し,こ れ らは し,そ の 本 態 に 関 して は 今 日で も十 分 に解 明 され 活 性 酸 素 と よ ぼ れ殺 菌 活 性 に重 要 な役 割 を 果 す こ て い る とは 言 難 い。 一 般 に 易 感 染 性 は,多 核 白血 球 機 能 異 常 に 負 う とが 次 第 に 明 らか に され 注 目 され て い る11)12). と こ ろ が大 で あ り糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 の機 能 異 解 明 を 目的 と して,多 核 白血 球 の 産 生 す る活 性 酸 常 を 追 求 し た報 告 も多 い1)∼8)13)∼15)20)21)。 この 中 で 素 の1種,ス 別 刷 請 求先:(〒036)弘 熊坂 ーパ ー オ キ サ イ ド(O-2)産 生能を検 討 す る と共 に,多 変 量 解 析 法23)によ り臨 床 検 査 所 前 市在 府 町5番 地 弘 前 大学 医 学 部 第3内 科 今 回,患 者 多 核 白血 球 の殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の 義裕 見 と05産 生 能 との 関 連 を 分 析 し た の で 報 告 す 昭 和58年6月20日 505 る. を1,5か 対 象 な ら び に方 法 5)網 ら10年 未 満 を2,10年 膜 症,無 を1,有 1. 対 象 と臨 床 検 査 所 見 無 を1,有 弘 前 大 学 第 三 内 科 外 来 通 院 また は 入 院 中 の糖 尿 モ グ ロ ビ ンA1値. 病 患 者54例(男27例,女27例)を 対 象 と した.年 を2と こ れ ら の 対 象 と し て は,18歳 齢 は,16歳 か ら80歳 に お よ び平 均53.4±14.2歳(以 常 人25例(男14例,女11例,平 下mean±SD)で を 対 照 と し て 選 ん だ. あ った.糖 尿 病 治 療 と して は, 食 事 療 法 者17例,経 口血 糖 降 下 剤 併 用 者14例,イ ン ス リン使 用 者23例 で あ っ た.罹 病 期 間 は2ヵ 月 ∼20年 で あ った .合 併 症 と して は 網 膜 症 保 有 者33 例,蛋 を1,女 目で あ る.1)年 を2と 数 量 化 した.3)治 食 事 療 法 の み を1,経 ンス リン療 法 を3と 齢, 療 法, 口血 糖 降 下 剤 併 用 を2,イ した.4)罹 実 験 方 法(Fig51) 1) 多 核 白血 球 の 調 整 白 尿, 腹 時 血 糖 値,8)ヘ か ら77歳 まで の 健 均 年 齢45.2±17.5) 以 上 の 対 象 よ り早 朝 空 腹 時 に 約300単 位 のヘ パ Superoxide よ り約10ml採 血 し た 。直 ち に6%デ キ ス トラ ン 生 理 食 塩 水1/4な い し1/5量 吸 引 し 充 分 に 混 和 後,室 温 に 針 を 上 に し て 約30分 直 立 し 静 置 し た.次 病 期 間,五 年 未 満 Fig. 1 2. し た.6)蛋 し た. リン の入 った デ ィス ポ ー ザ ブル 注 射 器 に て 静 脈 血 白尿 保 有 者19例 で あ った. 臨 床 検 査 所 見 は以 下 の8項 2)性,男 を2と し た.7)空 以 上 を3と anion 血 球 を 含 む 血 漿 層 を,Fico11-paqueの (O-2) generation assay に白 上 に重 層 し 感 染 症学 雑 誌 506 500G,30分 間 遠 沈 し,沈 含 ま な いHanks 渣 を フ ェ ノ ー ル レ ッ ドを balanced に て150G,6分 salt solution 間 洗 浄(2回)し 渣 に 滅 菌 蒸 留 水5mlを た.次 加 え,30秒 に て 再 び150G,6分 用 い て550nmの (HBSS) に て 測 定 し,Cytochrome 間緩や かに混 じ 生 量 を 定 量 し た.尚,測 ト ロ ー ル と し,1検 塩 水 を5ml加 多 核 白血 球 浮 遊 液 を 作 成 した 。 (Sigma社 (Sigma社 0.6mlと た 製)24mgを 製)溶 し,37℃ myristate 含 む,Ferri C 加 え計 に て 振 盗 培 養 し た.10分 後 に 培 養 試 験 管 を 氷 水 中 に 移 し,氷 1,2mlを cytochrome 後,30分 冷 し たHBSS 加 え 反 応 を 止 め,150G,6分 遠 沈 し多 核 績 を 対 象 と しPhorbol anion generation of PMNs (normal controla, n=4) myristate 値 の0互 産 生 は,そ cells),1.59±0.21,30分 2.50±0.76で,加 値 は,78.45±5.99, え な い 系 で は ほ と ん ど05の 生 が み ら れ な か っ た.又,phorbol acetateを 加 え た 系 の60分 79.13±6.04と30分 後 のO-2産 3 生 は, 値 と ほ と ん ど 同 じ 値 を 示 し,30 と考 え ら れ た.よ Fig. 産 myristate っ て,O-2産 達 して い る もの 生 能 の 測 定 は,反 過 程 に あ る10分 値 と,maximumに 値 の2点 れ ぞれ 下mean±SD,nmol/4×105 分 で 既 にO-2産 生 は,maximumに Fig. 2 Superoxide 験 系 を 作 成 しそ 加 え た 系 と加 え な い 系 の 両 者 につ い て 41.65±2.79(以 acetate 液(1.44mM),0.1mlを 健 常 人4人 経 時 的 に 測 定 し た.10分 多 核 白 血 球 浮 遊 液0.5m1 りPhorbol 還 元 量 に よ り05産 基礎 的 検 討 acetateを ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 の 測 定 前 記8×105個/mlの 成 1. 色 塗 沫 標 本 を 作 成 し,HBSSに て8×105個/mlの に,1mlあ Cの 定 に は常 に 健 常 人 を コ ン 体 に つ き2試 に 白血 球 数 を 算 定 お よ びGiemsa染 2)ス 清 を と り ミク ロセ ル を の 平 均 値 を 測 定 値 と し た17). 遠 沈 し た 後,HBSS 洗 浄 し,次 第6号 吸 光 度 を 日 立 分 光 光 度 計(220S) に こ の沈 赤 血 球 を 破 壊 し た 後,直 ち に1.8%食 え 等 張 に も ど し,150G,6分 白 血 球 を 沈 殿 さ せ た 後,上 第57巻 で 行 な っ た(Fig.2). Superoxide anion generation of 105) (normal controls: 応 反 応 し た30分 n=4 PMNs (4•~ 507 昭和58年6月20日 次 に 健 常 人4人 105,2×105,4×105と た.O-2の 30分 値 と も全 く 相 関 は み ら れ な か っ た が,ヘ を 対 象 と し 多 核 白 血 球 数 を1× 変 え て0喜 産 生 能 を 検 討 し 産 生 は,10分 値 で,6.75±2.26,19.45± 5.57,44.62±12.20,30分 ロ ビ ンA1値 と は,10分 (p<0.1)が 認 め ら れ た. 値 で,16.70±3.75, 39.47±12.52,80.71±9.63と し て 増 加 し た.本 ほ ぼ 白血 球 数 に 比 例 実 験 系 で は4×105を 用 い た Fig. 4 Superoxide anion generation of PMNs 10) (Fig.3). 2.糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 のO-2産 糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の05産 で,30.04±10.93と 3.O-2産 比 し有 意 下 し て い た(Table1).個 々 の値 示 し た. 生 能 と 臨 床 検 査 所 見 の 単 相 関,偏 相 関 翼 単 相 関 行 例 をTable2に 示 し た,単 と0喜 産 生 能 と年 齢,性,治 療 法,罹 Table 値 で も 健 常 人 の69.76±12.60に 分析 症,蛋 値 比 し有 下 し て い た.又,30分 に(p<0.01)低 は,Fig.4に 生能 生 能 は,10分 健 常 人 の38.81±8.11に 意 に(p<0.001)低 57.18±16.78と 白 尿,空 1 相関 でみ る 病 期 間,網 腹 時 血 糖 症 と の 間 に は,10分 Superoxide control and diabetic anion generation of PMNs 膜 値, in patient *p<0 .01**p<0.001(significantlydifferentfrom control) Table 2 Simple correlation analysis between superoxide anion generation of PMNs and clinical findings (n=54) *p<0 .1 r=0.231 Table 3 モグ 値 にお いて 負 の相関傾 向 Partial correlation analysis between superoxide anion generation of PMNs and clinical findings (n=54) *p<0 .1 r=0.243 **p<0.05 r=0.288 (4 •~ 508 感 染 症 学 雑誌 偏 相 関 行 列 をTable3に 示 した.偏 相 関 で は, 10分 値 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ソA1値 との間 に有意 の 負 の 相 関(p<0.05)が 認 め られ た.又,30分 で も,ヘ モ グ ロ ビンA1値 と負 の相 関傾 向(P<0.1) が 認 め られ た.一 因 子 とは,全 値 方,偏 相 関 に お い て も,他 の7 く相 関 は み られ な か った. 考 第6号 を検 討 す る こ とは 殺 菌 能 の低 下 の機 序 を考 え る上 で 意 義 が 極 め て 大 き い. 過 去 糖 尿 病 患 者 白血 球 のO-2産 生 能 を 報 告 し た 成 績 と して は,佐 野13),堺14),Kitahara15)ら の報 告 が あ る.佐 野 らは,中 川 原 ら16)の方 法 に準 じ コ ン カ ナ バ リンAと サ イ カ ラ シ ンDの 二 重 刺 激 に よ っ て 案 末 梢 穎 粒 球 のO-2産 生 能 を 測 定 し,糖 尿 病 で は 有 糖 尿 病 患 者 に易 感 染 性 が 認 め られ る とい うこ と は 経 験 的 に よ く知 られ た 事 実 で あ るが,そ の機 序 意 に低 下 して い る こ とを 見 い 出 し,こ の0至 産 生 能 は,空 腹 時 血 糖 値 の 悪 い群 に低 下 が み られ た と に つ い て は 多 方 面 か ら追 求 され て きた に も か か わ 報 告 し て い る.一 らず 十 分 に解 明 され て い る とは 言 難 い。 一 般 に易 感 染 性 は ,多 核 白 血 球 機 能 異 常 に負 う Zymosanを と ころ が 大 で あ り糖 尿 病 患 者 に お け る 易感 染 性 と い る.Kitaharaら の関 連 を 追 求 した報 告 も多 い.Mowatl),Hi112)ら を貧 食 させ て05産 は,糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 で は遊 走 能 が低 下 して で は,む い る と し,又,Perille3), 第57巻 Bybee4), Begdade5)ら は, 貧 食 能 の低 下 を 報 告 して い る. 方,堺 ら は,多 核 白血 球 に 貧 食 させ た 際 のO-2産 生 能 を 測 定 し, 健 常 人 との 間 に有 意 差 を 認 め な か った と報 告 し て は,単 球 にopsonized zymosan 生 能 を検 討 し糖 尿 病 患 者 単 球 しろ充 進 し て い た と報 告 して い る。 我 々は,食 作 用 類 似 代 謝 誘 導 物 質 と して 脂 肪 酸 の一 種,Phorhol myristate acetate(P.MA.)を 多 核 白血 球 の殺 菌能 に つ い て も従 来 よ りそ の 異 用 い,Jonstonら17)の 方 法 に 準 じた 測 定 法 の 基 礎 常 が指 摘 され て お り,Tan6)ら は,血 糖 値 に 関 係 な 的 検 討 を 経 た 後,患 者 多 核 白血 球 のO-2産 生 能 を く低 下 が み られ た と し,又,Begdade7),堺 検 討 した.P.M.A.は,1974年,Repineら18)に らは,血 よっ 糖 コ ン トロー ル の 悪 い群 に低 下 が み られ た と報 告 て み い 出 され た 代 謝 誘 導 物 質 で一 種 の 表 面 活 性 剤 して い る.我 々 も,Staphylococcus とみ な され て い る.P. M. A.は,種 aureusを 用 い 々の代謝誘導物 て 検 討 し,健 常 人 に 比 し有 意 な殺 菌 能 の低 下 を み 質 の 中 で も微 量 で も っ て非 常 に強 力 な 作 用 を有 す て お り,こ の 殺 菌 能 の 低 下 は糖 尿 病 コ ン トロ ール る と され,そ の 悪 い群 に 多 く,特 に 空 腹 時 血 糖 値 よ りも ヘ モ グ との疎 水 結 合 に よ る と され て い る19). ロ ビ ンA1値 の 悪 化 と よ り密 接 な 関 連 が あ る こ と の代 謝 誘 導 の 機 序 は,貧 食 球 細 胞 膜 結 果 は,健 常 人 に比 し糖 尿 病 患 者 で は,10分 値, を 報 告 した8).こ れ らの こ と よ り一 般 に糖 尿 病 患 30分 値 と もO-2産 生 能 が 有 意 に 低 下 し て い た.特 者 多 核 白血 球 で は,殺 菌 能 異 常 が 存 在 して い る も に10分 値 に お い て よ り強 い有 意 差 を も っ て低 下 し の と推 定 され る. 近 年,貧 て い た こ とは,糖 尿 病 患 者 に お い て は,P.M.A.に 食 球 は 細 菌 を 貧 食 時(あ る い は細 胞 膜 対 す る初 期 反 応 の 遅 れ が存 在 して い るの か も しれ に適 当 な 刺 激 が加 った 時),酸 素 由 来 の諸 物 質(0互 , な い 。 実 験 方 法,刺 激 剤 の 種 類 が異 な るが 我 々 の H202,OH,1O2)9)10)を 結 果 は,佐 野 らの 報 告 を裏 づ け る もの で あ り生 菌 産 生 し,こ れ らは 活 性 酸 素 と呼 ばれ 殺 菌 活 性 に重 要 な 役 割 を果 す こ とが 次 第 を用 い た 殺 菌 能 の 低 下 の報 告 と相 ま って,そ に 明 ら か に され 注 目さ れ て い る11)12) . 下 を 裏 づ け る機 序 と してO-2産 生 能 の 低 下 が 関 与 今 回,糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 にみ られ る殺 菌 能 の低 下 す る原 因 と し て,活 性 酸 素 産 生 能 の 異 常 が の低 して い る可 能 性 を 示 唆 し て い る. 尚,臨 床 で 最 近 よ く繁 用 され るNBT還 元能が 存 在 す る の で は な い か と考 え 活 性 酸 素 の一 種 ス ー パ ー オ キ サ イ ド(O-2)産 生 能 を検 討 した .O-2は 貧 糖 尿 病 患 者 で 低 下 す る と の 報 告 が み ら れ る20)21) 食 球 が細 菌 を貧 食 時,最 初 に産 生 され る活 性 酸 素 砺 が 関 与 す る こ とが いわ れ て お り,佐 野 や,我 々 で あ り,又,O-2は の 結 果 は,同 時 にNBT還 直 接 細 菌 に作 用 して 殺 菌 作 用 を 示 す こ とが 推 定 さ れ て い る こ と もあ り,O-2産 生 能 が,NBTの 還 元 は,Baehner22)ら に よ り主 と して 元 能 の 低 下 の機 序 を 説 明 す る1つ の 根 拠 に な る と思 わ れ る. 509 昭 和58年6月20日 次 に0万 産 生 能 の低 下 が 臨 床 的 諸 因 子 と ど の よ 示 唆 さ れ た.又,持 続 的 高 血 糖 が,ス ーパ ー オ キ うに か か わ りあ い を も っ て い るか を,多 変 量 解 析 サ イ ドの 産 生 低 下 を も た ら す 可 能 性 が あ る こ と か 法23)によ り試 み た.一 般 に単 相 関 分 析 で は 相 互 の ら長 期 の血 糖 コ ン トロー ル が重 要 で あ る こ とが 示 関 係 を 除外 して いず,真 唆 さ れ た. の相 互 関 係 を み る に は相 結 互 の関 係 を 除 外 した偏 相 関 分 析 を 行 な う必 要 が あ る.8項 目の 臨 床 検 査 所 見 とO-2産 生 能 の単 相 関 分 析 で は,10分 値 で ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 相 関 傾 向 が み られ た だ け で,他 との み 負 の の7因 子,特 に佐 野 ら13)が関 連 あ り と した 空 腹 時血 糖 値 と も全 く相 関 は み られ な か った.一 方,偏 値 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 相 関 分 析 で は10分 と有 意 の 負 の 相 関 が み られ,更 に30分 値 に お い て も負 の 相 関 傾 向 が み られ た.過 去,多 変 量 解 析 法 に よ り臨 床 検 査 所 語 糖 尿 病 患 者 の 易 感 染 性 の 機 序 を 知 る 目的 で 患 者 多 核 白 血 球 をPhorbol 激 し,ス myristate acetateに て刺 ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 を 検 討 し 以 下 の 結 論を得た。 1.糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の ス ーパ ー オ キ サ イ ド産 生 能 は,健 2.臨 常 人 に 比 し 有 意 に 低 下 し て い た. 床 的 諸 因 子(年 齢,性,治 網 膜 症,蛋 白 尿,空 腹 時 血 値,ヘ 療 法,罹 病 期 間, モ グ ロ ビ ンA1値) 見 とO-2産 生 能 の 検 討 を 行 な った 成 績 は な い が, と ス ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 と の 関 連 を 多 変 量 解 相 互 の関 係 を 除 外 した 偏 相 関 分 析 に お い て,年 齢, 析 し,偏 相 関 分 析 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 性,治 療,罹 意 の 負 の 相 関 を 認 め た. 病 期 間,合 併 症,空 腹 時 血 糖 値 とは 全 く相 関 が な く,ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 との み 有 意 の 負 の 相 関 が あ っ た こ と は 興 味 深 い.1968年 Rahbar24)ら に よ っ て糖 尿病 患 者 で は,ヘ モ グ ロ ビ ンA、 値 が増 加 して い る こ とが 見 い 出 され て 以 来, ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 は,1∼3ヵ 月前 の血 糖 値 と強 い 正 相 関 す る こ とが証 明 され,長 期 の 血 糖 コン ト ロ ー ル を示 す 最 も鋭 敏 な 検 査 と して 注 目さ れ て い る.ヘ モ グ ロ ビンA1値 と易 感 染 性 との 関 連 に つ い て,堺 ら35)は興 味 深 い報 告 を行 な って お り,感 染 症 出 現 頻 度 とヘ モ グ ロ ビ ンA1値 述 べ て い る.又,我 と が 正 相 関 した と 々 も前 述 の殺 菌 能 の 検 討8)にお い て,殺 菌 能 の低 下 は,空 腹 時 血 糖 値 よ り もヘ モ グ ロ ビ ンA1値 と密 接 な相 関 が あ る こ と を 見 い 出 し て お り,今 回 の ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 とO-2産 生 能 の 偏 相 関 分 析 に よ る有 意 の負 の 相 関 は,こ れ らの 知 見 を 裏 づ け る1つ と し て注 目 され る.す なわ ち, 多 核 白血 球 か らみ た 易 感 染 性 とい う点 に お い て は,持 続 的 高 血 糖 が 悪 影 響 を及 ぼ して い る こ とは ほ ぼ 間違 い な い事 実 と思 わ れ る. 以 上,今 回 得 られ た 知 見 を 総 合 す る と糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 のO-2産 生 能 は低 下 して お り,こ の O-2産 生 能 の 低 下 は ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 と逆 相 関 す る こ とが 証 明 され た.易 感 染 性 の 機 序 の一 因 と し て多 核 白血 球 の殺 菌 能 低 下 が い わ れ て い るが,そ の機 序 と し て ス ーパ ー オ キ サ イ ド産 生 能 の 低 下 が と有 (稿 を終 るに あた り,御 援 助下 さ った 弘前 大 学病 院 中 央 検 査 部,小 亀 圭一 博 士,山 本 藤 男技 官,中 田伸 一技 官,葛 西 猛 技官,並 び に藤 沢薬 品中 央研 究 所,西 田実 博士,峯 靖 弘 博 士,俵 修 一研 究 員 に深 謝 す る。) 1) Mowat, 文 献 A. 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The Oi production in diabetics was 30.04 10.93 (meanSD, nmol per 4x 105 cells) at 10 min., 57.18 16.78 at 30 min., and in controls 38.81 8.11 at 10 min., 69.76 12.60 at 30 min., statistically significant differences were observed between these two groups at both 10 min. (p<0.001) and 30 min. (p<0.01). The correlation between Oj production and 8 clinical labolatories indices (age, sex, kinds of therapy, duration of diabetes mellitus, retinopathy, proteinuria, fasting blood glucose value, hemoglobin Al value) in 54 diabetics was investigated by multivariate analysis. In simple correlation, all clinical laboratory indices were not found to be related to Oi production at either 10 min or 30 min. In partial correlation, however, O production at 10 min possessed a negative correlation with hemoglobin Al value, (p<0.05). These findings suggest that impaired Oi production might be one of the factors accounting for impaired bactericidal activity of polymorphonuclear leukocytes in diabetics, and that a protracted hyperglycemia might shed some effect on Oi production.
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