糖尿病患者多核白血球のスーパーオキサイド産生能

感 染 症 学 雑誌
504
第57巻
第6号
糖 尿病 患 者 多核 白血球 の ス ーパ ーオ キサ イ ド産 生 能
弘前大学第三内科学教室
熊坂
義裕
中畑
久
裕一
石戸
裕之
小沼
富男
工藤 幹彦
今村 憲市
弘前大学付属病院中央検査部
武部
和夫
工
平井
藤
肇
(昭和58年1月24日受付)
(昭和58年3月15日
Key words :
Diabetes
受 理)
mellitus, Polymorphonuclear
要
旨
糖 尿 病 患 者 に お い て は,易 感 染 性 と の 関 連 に お い て,多
回,多
leukocytes, Superoxide anion.
核 白 血 球 殺 菌 能 の 低 下 が 指 摘 さ れ て い る.今
核 白血 球 の 殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の 解 明 を 目的 と し て 患 者 多 核 白血 球 の ス ー パ ー オ キ サ イ ド(0の
産 生 能 を 検 討 し,同
時 に 多 変 量 解 析 法 に よ り臨 床 検 査 所 見 とO-2産 生 能 と の 関 連 を 分 析 した.
糖 尿 病 患 者54例,健
常 人25例 を 対 象 と し,Jonstonら
に よ り産 生 され る05を10分,30分
後 にCytochromeCの
の方 法 に 準 じphorbol
O-2産 生 能 は,健 常 人 に 比 し糖 尿 病 患 者 で 有 意 に 低 下 して い た.〔健 常 人:10分
SD,nmo1/4×105
cells),30分
値,69.76±12.66,糖
myristate
acetateの
刺激
還 元 に よ り測 定 し た.
尿 病 患 者:10分
値,38.81±8.11(mean±
値,30.04±10.93.
(p<0.001),
30
分 値,57.18±16.78(p<0.01)〕.
8つ の 臨 床 検 査 所 見(年
ンA1値)とO-2産
齢,性
別,治
療 法,罹
生 能 との 関 連 に お い て,単
偏 相 関 に お い て10分 値 で,ヘ
病 期 間,網
膜 症,蛋
相 関 で は,10分,30分
白尿,空
腹 時 血 糖 値,ヘ
モグ ロビ
値 と も有 意 の 相 関 を み な か っ た が ,
モ グ ロ ビ ンA、 値 との 有 意 の 負 の 相 関 を 認 め た(P<0.05).
糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の0互 産 生 能 は,低 下 して お り,こ の 低 下 に は 持 続 的 高 血 糖 が 関 与 す る こ とを 示
唆 され た.又,こ
れ ら の結 果 は,同
時 に 患 者 多 核 白血 球 の 殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の 一 因 を 説 明 す る可 能 性
が あ り,易 感 染 性 との 関 連 が 示 唆 され た.
は じめ に
糖 尿 病 患 者 が 感 染 症 に 罹 患 しや す く,治 療 に 抵
抗 性 で あ る こ とは経 験 的 に よ く知 られ て い る.糖
尿 病 患 者 の 易 感 染 性 の 機 序 につ い て は古 くか ら興
味 が もた れ 細 胞 性 免 疫,体
液 性 免 疫,白 血 球 機 能
殺 菌 能 に つ い て も従 来 よ りそ の 低 下 が報 告 さ れ て
お り,我 々 もstaphylococcuo
aurmsを
用 いた検討
に お い て 殺 菌 能 の低 下 を報 告 して き た8).
近 年,貧
食 球 は 細 菌 を 貧 食 す る際(あ
る い は細
胞 膜 に 適 当 な刺 激 が 加 わ っ た 時),酸 素 由 来 の 諸 物
な ど の面 か ら多 くの研 究 が 行 な わ れ て き た.し か
質(O-2,
H2O2, OH,
1O29)10))を 産 生 し,こ れ らは
し,そ の 本 態 に 関 して は 今 日で も十 分 に解 明 され
活 性 酸 素 と よ ぼ れ殺 菌 活 性 に重 要 な役 割 を 果 す こ
て い る とは 言 難 い。
一 般 に 易 感 染 性 は,多 核 白血 球 機 能 異 常 に 負 う
とが 次 第 に 明 らか に され 注 目 され て い る11)12).
と こ ろ が大 で あ り糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 の機 能 異
解 明 を 目的 と して,多 核 白血 球 の 産 生 す る活 性 酸
常 を 追 求 し た報 告 も多 い1)∼8)13)∼15)20)21)。
この 中 で
素 の1種,ス
別 刷 請 求先:(〒036)弘
熊坂
ーパ ー オ キ サ イ ド(O-2)産
生能を検
討 す る と共 に,多 変 量 解 析 法23)によ り臨 床 検 査 所
前 市在 府 町5番 地
弘 前 大学 医 学 部 第3内 科
今 回,患 者 多 核 白血 球 の殺 菌 能 の 低 下 の 機 序 の
義裕
見 と05産
生 能 との 関 連 を 分 析 し た の で 報 告 す
昭 和58年6月20日
505
る.
を1,5か
対 象 な ら び に方 法
5)網
ら10年 未 満 を2,10年
膜 症,無
を1,有
1. 対 象 と臨 床 検 査 所 見
無 を1,有
弘 前 大 学 第 三 内 科 外 来 通 院 また は 入 院 中 の糖 尿
モ グ ロ ビ ンA1値.
病 患 者54例(男27例,女27例)を
対 象 と した.年
を2と
こ れ ら の 対 象 と し て は,18歳
齢 は,16歳 か ら80歳 に お よ び平 均53.4±14.2歳(以
常 人25例(男14例,女11例,平
下mean±SD)で
を 対 照 と し て 選 ん だ.
あ った.糖
尿 病 治 療 と して は,
食 事 療 法 者17例,経 口血 糖 降 下 剤 併 用 者14例,イ
ン ス リン使 用 者23例 で あ っ た.罹 病 期 間 は2ヵ 月
∼20年 で あ った .合 併 症 と して は 網 膜 症 保 有 者33
例,蛋
を1,女
目で あ る.1)年
を2と 数 量 化 した.3)治
食 事 療 法 の み を1,経
ンス リン療 法 を3と
齢,
療 法,
口血 糖 降 下 剤 併 用 を2,イ
した.4)罹
実 験 方 法(Fig51)
1)
多 核 白血 球 の 調 整
白 尿,
腹 時 血 糖 値,8)ヘ
か ら77歳
まで の 健
均 年 齢45.2±17.5)
以 上 の 対 象 よ り早 朝 空 腹 時 に 約300単
位 のヘ パ
Superoxide
よ り約10ml採
血 し た 。直 ち に6%デ
キ ス トラ ン 生
理 食 塩 水1/4な
い し1/5量 吸 引 し 充 分 に 混 和 後,室
温 に 針 を 上 に し て 約30分 直 立 し 静 置 し た.次
病 期 間,五 年 未 満
Fig. 1
2.
し た.6)蛋
し た.
リン の入 った デ ィス ポ ー ザ ブル 注 射 器 に て 静 脈 血
白尿 保 有 者19例 で あ った.
臨 床 検 査 所 見 は以 下 の8項
2)性,男
を2と
し た.7)空
以 上 を3と
anion
血 球 を 含 む 血 漿 層 を,Fico11-paqueの
(O-2) generation
assay
に白
上 に重 層 し
感 染 症学 雑 誌
506
500G,30分
間 遠 沈 し,沈
含 ま な いHanks
渣 を フ ェ ノ ー ル レ ッ ドを
balanced
に て150G,6分
salt solution
間 洗 浄(2回)し
渣 に 滅 菌 蒸 留 水5mlを
た.次
加 え,30秒
に て 再 び150G,6分
用 い て550nmの
(HBSS)
に て 測 定 し,Cytochrome
間緩や かに混 じ
生 量 を 定 量 し た.尚,測
ト ロ ー ル と し,1検
塩 水 を5ml加
多 核 白血 球 浮 遊 液 を 作 成 した 。
(Sigma社
(Sigma社
0.6mlと
た
製)24mgを
製)溶
し,37℃
myristate
含 む,Ferri
C
加 え計
に て 振 盗 培 養 し た.10分
後 に 培 養 試 験 管 を 氷 水 中 に 移 し,氷
1,2mlを
cytochrome
後,30分
冷 し たHBSS
加 え 反 応 を 止 め,150G,6分
遠 沈 し多 核
績
を 対 象 と しPhorbol
anion generation of PMNs
(normal controla, n=4)
myristate
値 の0互 産 生 は,そ
cells),1.59±0.21,30分
2.50±0.76で,加
値 は,78.45±5.99,
え な い 系 で は ほ と ん ど05の
生 が み ら れ な か っ た.又,phorbol
acetateを
加 え た 系 の60分
79.13±6.04と30分
後 のO-2産
3
生 は,
値 と ほ と ん ど 同 じ 値 を 示 し,30
と考 え ら れ た.よ
Fig.
産
myristate
っ て,O-2産
達 して い る もの
生 能 の 測 定 は,反
過 程 に あ る10分 値 と,maximumに
値 の2点
れ ぞれ
下mean±SD,nmol/4×105
分 で 既 にO-2産 生 は,maximumに
Fig. 2 Superoxide
験 系 を 作 成 しそ
加 え た 系 と加 え な い 系 の 両 者 につ い て
41.65±2.79(以
acetate
液(1.44mM),0.1mlを
健 常 人4人
経 時 的 に 測 定 し た.10分
多 核 白 血 球 浮 遊 液0.5m1
りPhorbol
還 元 量 に よ り05産
基礎 的 検 討
acetateを
ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 の 測 定
前 記8×105個/mlの
成
1.
色 塗 沫 標 本 を 作 成 し,HBSSに
て8×105個/mlの
に,1mlあ
Cの
定 に は常 に 健 常 人 を コ ン
体 に つ き2試
に 白血 球 数 を 算 定
お よ びGiemsa染
2)ス
清 を と り ミク ロセ ル を
の 平 均 値 を 測 定 値 と し た17).
遠 沈 し た 後,HBSS
洗 浄 し,次
第6号
吸 光 度 を 日 立 分 光 光 度 計(220S)
に こ の沈
赤 血 球 を 破 壊 し た 後,直 ち に1.8%食
え 等 張 に も ど し,150G,6分
白 血 球 を 沈 殿 さ せ た 後,上
第57巻
で 行 な っ た(Fig.2).
Superoxide
anion
generation
of
105)
(normal controls:
応
反 応 し た30分
n=4
PMNs
(4•~
507
昭和58年6月20日
次 に 健 常 人4人
105,2×105,4×105と
た.O-2の
30分 値 と も全 く 相 関 は み ら れ な か っ た が,ヘ
を 対 象 と し 多 核 白 血 球 数 を1×
変 え て0喜 産 生 能 を 検 討 し
産 生 は,10分
値 で,6.75±2.26,19.45±
5.57,44.62±12.20,30分
ロ ビ ンA1値
と は,10分
(p<0.1)が
認 め ら れ た.
値 で,16.70±3.75,
39.47±12.52,80.71±9.63と
し て 増 加 し た.本
ほ ぼ 白血 球 数 に 比 例
実 験 系 で は4×105を
用 い た
Fig.
4
Superoxide
anion
generation
of
PMNs
10)
(Fig.3).
2.糖
尿 病 患 者 多 核 白 血 球 のO-2産
糖 尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の05産
で,30.04±10.93と
3.O-2産
比 し有 意
下 し て い た(Table1).個
々 の値
示 し た.
生 能 と 臨 床 検 査 所 見 の 単 相 関,偏
相 関
翼
単 相 関 行 例 をTable2に
示 し た,単
と0喜 産 生 能 と年 齢,性,治
療 法,罹
Table
値 で も
健 常 人 の69.76±12.60に
分析
症,蛋
値
比 し有
下 し て い た.又,30分
に(p<0.01)低
は,Fig.4に
生能
生 能 は,10分
健 常 人 の38.81±8.11に
意 に(p<0.001)低
57.18±16.78と
白 尿,空
1
相関 でみ る
病 期 間,網
腹 時 血 糖 症 と の 間 に は,10分
Superoxide
control and diabetic
anion
generation
of PMNs
膜
値,
in
patient
*p<0 .01**p<0.001(significantlydifferentfrom control)
Table
2
Simple correlation
analysis between
superoxide
anion generation
of PMNs and clinical findings
(n=54)
*p<0 .1 r=0.231
Table
3
モグ
値 にお いて 負 の相関傾 向
Partial correlation
analysis between
superoxide
anion generation
of PMNs and clinical findings
(n=54)
*p<0 .1 r=0.243
**p<0.05
r=0.288
(4 •~
508
感 染 症 学 雑誌
偏 相 関 行 列 をTable3に
示 した.偏 相 関 で は,
10分 値 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ソA1値
との間 に有意
の 負 の 相 関(p<0.05)が
認 め られ た.又,30分
で も,ヘ モ グ ロ ビンA1値
と負 の相 関傾 向(P<0.1)
が 認 め られ た.一
因 子 とは,全
値
方,偏 相 関 に お い て も,他 の7
く相 関 は み られ な か った.
考
第6号
を検 討 す る こ とは 殺 菌 能 の低 下 の機 序 を考 え る上
で 意 義 が 極 め て 大 き い.
過 去 糖 尿 病 患 者 白血 球 のO-2産 生 能 を 報 告 し た
成 績 と して は,佐 野13),堺14),Kitahara15)ら の報 告
が あ る.佐 野 らは,中 川 原 ら16)の方 法 に準 じ コ ン カ
ナ バ リンAと サ イ カ ラ シ ンDの 二 重 刺 激 に よ っ て
案
末 梢 穎 粒 球 のO-2産 生 能 を 測 定 し,糖 尿 病 で は 有
糖 尿 病 患 者 に易 感 染 性 が 認 め られ る とい うこ と
は 経 験 的 に よ く知 られ た 事 実 で あ るが,そ
の機 序
意 に低 下 して い る こ とを 見 い 出 し,こ の0至 産 生
能 は,空 腹 時 血 糖 値 の 悪 い群 に低 下 が み られ た と
に つ い て は 多 方 面 か ら追 求 され て きた に も か か わ
報 告 し て い る.一
らず 十 分 に解 明 され て い る とは 言 難 い。
一 般 に易 感 染 性 は
,多 核 白 血 球 機 能 異 常 に負 う
Zymosanを
と ころ が 大 で あ り糖 尿 病 患 者 に お け る 易感 染 性 と
い る.Kitaharaら
の関 連 を 追 求 した報 告 も多 い.Mowatl),Hi112)ら
を貧 食 させ て05産
は,糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 で は遊 走 能 が低 下 して
で は,む
い る と し,又,Perille3),
第57巻
Bybee4), Begdade5)ら
は,
貧 食 能 の低 下 を 報 告 して い る.
方,堺
ら は,多
核 白血 球 に
貧 食 させ た 際 のO-2産 生 能 を 測 定 し,
健 常 人 との 間 に有 意 差 を 認 め な か った と報 告 し て
は,単 球 にopsonized
zymosan
生 能 を検 討 し糖 尿 病 患 者 単 球
しろ充 進 し て い た と報 告 して い る。
我 々は,食 作 用 類 似 代 謝 誘 導 物 質 と して 脂 肪 酸
の一 種,Phorhol
myristate acetate(P.MA.)を
多 核 白血 球 の殺 菌能 に つ い て も従 来 よ りそ の 異
用 い,Jonstonら17)の
方 法 に 準 じた 測 定 法 の 基 礎
常 が指 摘 され て お り,Tan6)ら は,血 糖 値 に 関 係 な
的 検 討 を 経 た 後,患
者 多 核 白血 球 のO-2産 生 能 を
く低 下 が み られ た と し,又,Begdade7),堺
検 討 した.P.M.A.は,1974年,Repineら18)に
らは,血
よっ
糖 コ ン トロー ル の 悪 い群 に低 下 が み られ た と報 告
て み い 出 され た 代 謝 誘 導 物 質 で一 種 の 表 面 活 性 剤
して い る.我 々 も,Staphylococcus
とみ な され て い る.P. M. A.は,種
aureusを 用 い
々の代謝誘導物
て 検 討 し,健 常 人 に 比 し有 意 な殺 菌 能 の低 下 を み
質 の 中 で も微 量 で も っ て非 常 に強 力 な 作 用 を有 す
て お り,こ の 殺 菌 能 の 低 下 は糖 尿 病 コ ン トロ ール
る と され,そ
の 悪 い群 に 多 く,特 に 空 腹 時 血 糖 値 よ りも ヘ モ グ
との疎 水 結 合 に よ る と され て い る19).
ロ ビ ンA1値 の 悪 化 と よ り密 接 な 関 連 が あ る こ と
の代 謝 誘 導 の 機 序 は,貧 食 球 細 胞 膜
結 果 は,健 常 人 に比 し糖 尿 病 患 者 で は,10分 値,
を 報 告 した8).こ れ らの こ と よ り一 般 に糖 尿 病 患
30分 値 と もO-2産 生 能 が 有 意 に 低 下 し て い た.特
者 多 核 白血 球 で は,殺 菌 能 異 常 が 存 在 して い る も
に10分 値 に お い て よ り強 い有 意 差 を も っ て低 下 し
の と推 定 され る.
近 年,貧
て い た こ とは,糖 尿 病 患 者 に お い て は,P.M.A.に
食 球 は 細 菌 を 貧 食 時(あ
る い は細 胞 膜
対 す る初 期 反 応 の 遅 れ が存 在 して い るの か も しれ
に適 当 な 刺 激 が加 った 時),酸 素 由 来 の諸 物 質(0互 ,
な い 。 実 験 方 法,刺 激 剤 の 種 類 が異 な るが 我 々 の
H202,OH,1O2)9)10)を
結 果 は,佐 野 らの 報 告 を裏 づ け る もの で あ り生 菌
産 生 し,こ れ らは 活 性 酸 素
と呼 ばれ 殺 菌 活 性 に重 要 な 役 割 を果 す こ とが 次 第
を用 い た 殺 菌 能 の 低 下 の報 告 と相 ま って,そ
に 明 ら か に され 注 目さ れ て い る11)12)
.
下 を 裏 づ け る機 序 と してO-2産 生 能 の 低 下 が 関 与
今 回,糖 尿 病 患 者 多 核 白血 球 にみ られ る殺 菌 能
の低 下 す る原 因 と し て,活 性 酸 素 産 生 能 の 異 常 が
の低
して い る可 能 性 を 示 唆 し て い る.
尚,臨 床 で 最 近 よ く繁 用 され るNBT還
元能が
存 在 す る の で は な い か と考 え 活 性 酸 素 の一 種 ス ー
パ ー オ キ サ イ ド(O-2)産 生 能 を検 討 した .O-2は 貧
糖 尿 病 患 者 で 低 下 す る と の 報 告 が み ら れ る20)21)
食 球 が細 菌 を貧 食 時,最 初 に産 生 され る活 性 酸 素
砺 が 関 与 す る こ とが いわ れ て お り,佐 野 や,我 々
で あ り,又,O-2は
の 結 果 は,同 時 にNBT還
直 接 細 菌 に作 用 して 殺 菌 作 用 を
示 す こ とが 推 定 さ れ て い る こ と もあ り,O-2産 生 能
が,NBTの
還 元 は,Baehner22)ら
に よ り主 と して
元 能 の 低 下 の機 序 を 説
明 す る1つ の 根 拠 に な る と思 わ れ る.
509
昭 和58年6月20日
次 に0万 産 生 能 の低 下 が 臨 床 的 諸 因 子 と ど の よ
示 唆 さ れ た.又,持
続 的 高 血 糖 が,ス
ーパ ー オ キ
うに か か わ りあ い を も っ て い るか を,多 変 量 解 析
サ イ ドの 産 生 低 下 を も た ら す 可 能 性 が あ る こ と か
法23)によ り試 み た.一 般 に単 相 関 分 析 で は 相 互 の
ら長 期 の血 糖 コ ン トロー ル が重 要 で あ る こ とが 示
関 係 を 除外 して いず,真
唆 さ れ た.
の相 互 関 係 を み る に は相
結
互 の関 係 を 除 外 した偏 相 関 分 析 を 行 な う必 要 が あ
る.8項
目の 臨 床 検 査 所 見 とO-2産 生 能 の単 相 関
分 析 で は,10分 値 で ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
相 関 傾 向 が み られ た だ け で,他
との み 負 の
の7因 子,特
に佐
野 ら13)が関 連 あ り と した 空 腹 時血 糖 値 と も全 く相
関 は み られ な か った.一 方,偏
値 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
相 関 分 析 で は10分
と有 意 の 負 の 相 関
が み られ,更
に30分 値 に お い て も負 の 相 関 傾 向 が
み られ た.過
去,多 変 量 解 析 法 に よ り臨 床 検 査 所
語
糖 尿 病 患 者 の 易 感 染 性 の 機 序 を 知 る 目的 で 患 者
多 核 白 血 球 をPhorbol
激 し,ス
myristate
acetateに
て刺
ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 を 検 討 し 以 下 の
結 論を得た。
1.糖
尿 病 患 者 多 核 白 血 球 の ス ーパ ー オ キ サ イ
ド産 生 能 は,健
2.臨
常 人 に 比 し 有 意 に 低 下 し て い た.
床 的 諸 因 子(年 齢,性,治
網 膜 症,蛋
白 尿,空
腹 時 血 値,ヘ
療 法,罹
病 期 間,
モ グ ロ ビ ンA1値)
見 とO-2産 生 能 の 検 討 を 行 な った 成 績 は な い が,
と ス ー パ ー オ キ サ イ ド産 生 能 と の 関 連 を 多 変 量 解
相 互 の関 係 を 除 外 した 偏 相 関 分 析 に お い て,年 齢,
析 し,偏 相 関 分 析 に お い て ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
性,治 療,罹
意 の 負 の 相 関 を 認 め た.
病 期 間,合 併 症,空 腹 時 血 糖 値 とは
全 く相 関 が な く,ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
との み 有 意 の
負 の 相 関 が あ っ た こ と は 興 味 深 い.1968年
Rahbar24)ら に よ っ て糖 尿病 患 者 で は,ヘ モ グ ロ ビ
ンA、 値 が増 加 して い る こ とが 見 い 出 され て 以 来,
ヘ モ グ ロ ビ ンA1値 は,1∼3ヵ
月前 の血 糖 値 と強
い 正 相 関 す る こ とが証 明 され,長 期 の 血 糖 コン ト
ロ ー ル を示 す 最 も鋭 敏 な 検 査 と して 注 目さ れ て い
る.ヘ モ グ ロ ビンA1値
と易 感 染 性 との 関 連 に つ い
て,堺 ら35)は興 味 深 い報 告 を行 な って お り,感 染 症
出 現 頻 度 とヘ モ グ ロ ビ ンA1値
述 べ て い る.又,我
と が 正 相 関 した と
々 も前 述 の殺 菌 能 の 検 討8)にお
い て,殺 菌 能 の低 下 は,空 腹 時 血 糖 値 よ り もヘ モ
グ ロ ビ ンA1値
と密 接 な相 関 が あ る こ と を 見 い 出
し て お り,今 回 の ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
とO-2産 生 能
の 偏 相 関 分 析 に よ る有 意 の負 の 相 関 は,こ れ らの
知 見 を 裏 づ け る1つ
と し て注 目 され る.す なわ ち,
多 核 白血 球 か らみ た 易 感 染 性 とい う点 に お い て
は,持 続 的 高 血 糖 が 悪 影 響 を及 ぼ して い る こ とは
ほ ぼ 間違 い な い事 実 と思 わ れ る.
以 上,今
回 得 られ た 知 見 を 総 合 す る と糖 尿 病 患
者 多 核 白血 球 のO-2産 生 能 は低 下 して お り,こ の
O-2産 生 能 の 低 下 は ヘ モ グ ロ ビ ンA1値
と逆 相 関 す
る こ とが 証 明 され た.易 感 染 性 の 機 序 の一 因 と し
て多 核 白血 球 の殺 菌 能 低 下 が い わ れ て い るが,そ
の機 序 と し て ス ーパ ー オ キ サ イ ド産 生 能 の 低 下 が
と有
(稿 を終 るに あた り,御 援 助下 さ った 弘前 大 学病 院 中 央
検 査 部,小 亀 圭一 博 士,山 本 藤 男技 官,中 田伸 一技 官,葛
西 猛 技官,並 び に藤 沢薬 品中 央研 究 所,西 田実 博士,峯 靖
弘 博 士,俵 修 一研 究 員 に深 謝 す る。)
1) Mowat,
文
献
A. G. & Baum, J.:
Chemotaxis
of
polymorphonuclear
leukocytes from patients
with diabetes mellitus. N. Engl. J. M., 284: 621
-627
, 1971.
2) Hill, H.R., Sauls, H.S., Dettloff, J. L. & Quie, P.
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昭 和58年6月20日
Superoxide Anion (OE) Production by Polymorphonuclear
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Yoshiro KUMASAKA*, Hisashi NAKAHATA*, Yuichi HIRAI*, Hiroyuki ISHITO*,
Tomio ONUMA*, Mikihiko KUDO*, Kenichi IMAMURA*,
Kazuo TAKEBE* & Hazime KUKO * *
*Third Department of Internal Medicine, Hirosaki University Schoolof Medicine
(Director: Prof. K. TAKEBE)
**CentralLabolatory, Hirosaki University Hospital
(Director: Prof. H. KUDO)
The superoxide anion (O0 production by polymorphonuclear leukocytes in 54 diabetics stimulatated
by phorbol myristate acetate was determined and compared with those of 25 controls, and the
correlation between
production and clinical laboratory indices was investigated.
The Oi production in diabetics was 30.04 10.93 (meanSD, nmol per 4x 105 cells) at 10 min., 57.18
16.78 at 30 min., and in controls 38.81
8.11 at 10 min., 69.76
12.60 at 30 min., statistically
significant differences were observed between these two groups at both 10 min. (p<0.001) and 30 min.
(p<0.01).
The correlation between Oj production and 8 clinical labolatories indices (age, sex, kinds of therapy,
duration of diabetes mellitus, retinopathy, proteinuria, fasting blood glucose value, hemoglobin Al value)
in 54 diabetics was investigated by multivariate analysis. In simple correlation, all clinical laboratory
indices were not found to be related to Oi production at either 10 min or 30 min. In partial correlation,
however, O production at 10 min possessed a negative correlation with hemoglobin Al value, (p<0.05).
These findings suggest that impaired Oi production might be one of the factors accounting for
impaired bactericidal activity of polymorphonuclear leukocytes in diabetics, and that a protracted
hyperglycemia might shed some effect on Oi production.