特許事案のクレーム解釈について

特許訴訟
クライアント・アドバイザリー
2015 年 1 月 20 日
米国最高裁判所、特許事案のクレーム解釈について
上訴審理の基準を変更
U.S. Supreme Court Modifies the Standard of Appellate Review for
Claim Construction in Patent Cases.
弁護士
ジョセフ・サルティール
米国最高裁判所は、2015 年 1 月 20 日、Teva Pharmaceuticals USA, Inc. 対 Sandoz, Inc.事件の判決に
おいて、特許事案のクレーム解釈についての上訴審理の基準を変更した。本件は、Teva が Sandoz を特許
侵害で訴えた案件である。Sandoz は、専門家の意見を根拠に、Teva のクレームは不明瞭ゆえに無効であ
ると主張した。Teva は、自らの専門家の意見に基づき、当該クレームは明確であると反論した。地方裁
判所は、Sandoz 側の専門家の意見に依拠せず、クレームは明確なものであると解釈した。上訴において、
連邦巡回区控訴裁判所は、地方裁判所の認定をデノボ(de novo)による再審理、すなわち、Sandoz 側
より Teva 側の専門家を信用するという地方裁判所の判断に従うことなく、独自に審理した。巡回区控訴
裁判所は、Sandoz 側の専門家の意見を採用し、本件のクレームは不明瞭であり、それゆえ、Teva の特許
権は無効であると判示した。
最高裁判所は、巡回区控訴裁判所が地方裁判所の判断を無効とするにあたり、地方裁判所が Teva の専
門家の意見に依拠したことに明白な誤りがあったことを確認していないとして、巡回区控訴裁判所の判断
を覆した。米国連邦民事訴訟規則第 52 条(a)(6) では、巡回区控訴裁判所は、地方裁判所の事実認定に明白な
誤りがない限り、これを「無視してはならない(“must not . . . set aside”)」と定めている。クレーム解釈は法
律上の問題ではあるものの、最高裁判所は、本規則は、主要事実ではない補助的事実の認定に基づく地方
裁判所のクレーム解釈を、巡回区控訴裁判所が再審理する際にも適用されると判示した。巡回区控訴裁判
所は、補助的事実の認定に明白な誤りがないかを審理すべきであるが、クレーム解釈の最終的判断は、デ
ノボによって再審理できる。最高裁判所は、非本質的証拠、例えば専門家の証言に基づく判断が、補助的事
実の認定を必要とすることがあるのに対し、本質的証拠、すなわち特許および出願経過に基づく判断は、事実
認定を必要としないことを明示した。最高裁判所は、変更後の審理基準に基づき前回の判決を再審理するよう、
本件を巡回区控訴裁判所に差し戻した。地方裁判所が、特許クレームを事実認定に依拠して解釈する場合、今
回の審理基準の変更により、上訴人が上訴審で勝訴することが以前より困難になると見られる。
本書に関するご質問は、知的財産テクノロジー部門副主席のジョセフ・サルティール弁護士(電話:
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