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女性に対する暴力の根絶
女性に対する暴力は、
男女不平等が最も顕著な形で表れた現象
である。家庭内暴力からセクシャル・ハラスメント、人身売買、女
性器切除、
さらには職場におけるレイプや殺害に至るまで、女性
はすべての国々で日々、暴力の標的にされている。
国連によると、全世界で女性3人に1人が暴
力の被害を受けている。欧州連合では女性
の40~50%が、職場で迷惑な性的誘いか
けや身体的接触、言葉による暗示、
その他の
形態のセクシャル・ハラスメントを経験して
いる。
この割合は、
アジア太平洋諸国では30
~40%である。
暴力が多発している。女性に対する暴力はラ
ナ・プラザの産業殺人にも表れており、女性
は過度の長時間労働を強いられ、収入は生
活賃金に満たない。
過激主義が強まっている時代にあって、例え
ばナイジェリアの少女誘拐事件に見られる
ように、攻撃の矢面に立たされているのは女
性である。
中米の女性殺しの背後には麻薬・
マフィア戦争がある。
コンゴ民主共和国では
紛争鉱石がレイプを助長している。
あまりに
も多くの女性の潜在能力が、
ジェンダーに
基づく暴力によって無駄になっている。
1
労働組合問題
写真:
1. 2013年にバングラデシュのラナ・プラザ工
場崩壊で1,100人を超える衣料労働者が死亡
出所:Qamrul Anam
2. 2012年ニューデリー集団強姦事件を受け
てインド門で実施された無言の抗議
出所:Ramesh Lalwani
女性の多面的役割と性別を反映した責任が原因で、女性に対す
る家庭内暴力は職場にも関係してくる。家庭内暴力は職場にお
ける業績や安全性に影響を与え、突き詰めていくと労働組合の
問題である。
2
え女性を受け入れたがらない
ときがある。
「女性がきちんとした服を着
て身なりを整えると、
男性は
女性を侮辱し、売春婦のよう
だと言う。女性に対するすべ
ての嫌がらせと闘い、職場に
おける虐待と闘いたい。女性
委員会はセクシャル・ハラスメ
ントや暴力から私たちを守る
ことができる」
とエチオピアの
女性繊維労働者は言う。
社会的に構築された性差別はセクシャル・ハ
ラスメントを引き起こす。
それは主として権力
の乱用である。臨時雇用や非常用雇用のよ
うな不安定雇用に就く女性労働者は、職場
での嫌がらせに特にさらされやすい。
このよ
うな弱い立場に追い込まれるのは、女性労
働者は職場での権限が弱く、十分に保護さ
れておらず、仕事が不安定であるために嫌が
らせを報告する可能性が低いからである。
ブラジルのペトロブラスでは、女性契約労働
者がいじめや辱めを受け、低賃金に甘んじて
いる。組合の女性は、
自分たちのために声を
揃えて発言する必要がある。父権制に基づ
く文化や価値観、態度は女性にとって避け
られないものとみなされており、女性は男性
に従属する存在と考えられている。残念なが
ら、特に男性優位の部門では、
男性の同僚さ
セクシャル・ハラスメントはタ
ブーであり、
周囲の人々に不
快感を与えている。犠牲者に
つきまとう不名誉も、沈黙と暴力の永続化に
貢献している。
ほとんどの場合、加害者は処
罰を受けないか、軽い刑で放免される。多く
の国々では裁判に長い時間がかかるため、
女性は公正な裁きを求めることを思いとどま
っている。
予防は暴力を根絶するための最善の解決策
である。解決に向けた行動に男性を巻き込
まなければならない。一例はカナダのインダ
ストリオール加盟組織ユニフォーで、
同労組
では男性が
「私は決して女性に暴力を振る
わず、女性に対する暴力を黙認しないことを
誓います」
と誓約している。
さらに、女性に対
する男性の暴力を根絶するために、
男性たち
がホワイトリボン・キャンペーンを開始した。
労働協約にセクシャル・ハラスメントやいじ
めに関する条項を盛り込んでいる組合もあ
る。
その1つはCNQ-CUTブラジルであり、
大手採鉱会社ヴァーレとの協約で、
セクシャ
ル・ハラスメントやいじめがあった場合は糾
弾し、苦情を申し立てることができる旨定め
ている。労働組合は自分たち自身で、
あるい
は当局とともに、嫌がらせを糾弾するホット
ラインを設けることができる。南アフリカの
NUMはハラスメント担当役員のポストを設
置した。
ヨルダンの労働者センターでは、女
性向けに自衛訓練(いわゆるShefighter)
を
実施している。
トルコでは、
ペトロール・イス
が国際女性デーにツイッターで暴力反対キ
ャンペーンを実施した。
世界最大のファッション小売業者インディテ
ックスは、
スペインの組合と平等協約を締結
し、暴力とセクシャル・ハラスメントに幅広く
注意を払っている。
この協約は、
ジェンダー
に基づく暴力に対する認識、
訓練および保護
の形で予防対策を設け、財政援助、社内にお
ける別の仕事への異動、勤務スケジュールの
調整および雇用保障を定めている。
モニカ・ケンペール・インダストリオー
ル書記次長は言う。
ILO理事会でジェンダーに基づく暴力
に関する案を採択することを視野に
入れて、
引き続き各国政府に働きかけ
ていく必要がある。国際基準を達成す
るために圧力をかけ続けることが極め
て重要だ
ジェンダーに基づく暴
力を根絶しなければ
女性の解放はあり得
ない!