河川及び洞爺湖における人為起源温室効果気体の挙動に関する研究

河川及び洞爺湖における人為起源温室効果気体の挙動に関する研究
荻本
拓史 (環境地球化学研究室)
【背景・目的】
今日の地球温暖化への寄与は二酸化炭素 (CO2) が 67%であるのに対してメタンは 19%と低い [環
境・バイオの最前線, 2003] が、1 分子あたりの温暖化能は二酸化炭素の 25 倍であり、地球温暖化につ
いて考える上で重要な気体である。農業由来の栄養塩濃度が高い河川は富栄養の状態になり、河川水中
のメタン濃度が高くなりやすいという研究結果が報告されている [Wang et al., 2009]。本研究では壮瞥川
が酪農地帯や市街地を流下するにつれて、周囲の環境により河川水中のメタン濃度がどの様に変化して
いるか、また純閉鎖系水域である湖沼である洞爺湖を挟むことにより 1 つの流域生態系の中でメタンの
濃度にどのような違いが生じるかを把握し考察することを目的とする。
【方法】
観測地点は洞爺湖への流入河川のソウベツ川で 1 測点、洞爺湖から流出後の、壮瞥川から長流川との
合流地点までの 6 測点、洞爺湖内 3 測点とした。観測項目は溶存酸素 (DO)、メタン [Tilbrook and Karl,
1995; Yoshida et al., 2004]、化学的酸素要求量 (COD)、栄養塩 [海洋観測指針 第 1 部, 1999]、気温、水温、
pH、風速を、洞爺湖内ではこれらに加えて透明度も測定した。
【結果・考察】
メタンの分析結果から DO の値が低いところでメタン濃度が高くなっている所が多かった (図 1 )。
SR03 でメタン濃度が急激に高くなったが、測点 SR03 と SR04 は新山沼であり、河川水が滞留している
ためと考えられる。SR04 が滞留している地点であること、カモが生息しているためその糞尿が堆積し
還元環境下で生成されてメタン濃度が高くなると考えられるが、9 月の観測では SR05 でメタンの濃度
が最も高くなっていた (図1 b)。これは採水日の前日まで雨が降っていたことにより、堆積物が下流に流
されたためと考えられる。11 月の観測でも雨が降っていたので、卒業論文本文及び卒業論文発表会では
気象条件とも比較して考察する。
COD は DO、メタン双方との関係性は特にみられなかったが、洞爺湖への流入口である SR00 と流出
口である SR01 で高い値を示した。
卒業論文本文及び卒業論文発表会では以上の結果に加えて、栄養塩や洞爺湖のメタン濃度の分析結果
も含めて総合的に考察する。