漁 場 環 境 調 査 情 報

陸奥湾
平成 17 年 9 月 28 日
水産総合研究センター
漁場環境調査情報
増養殖研究所
電話 017(755)2155
底質調査(7 月 7,8 日、8 月 29,30 日実施)と貧酸素監視のための東湾ブイ周辺の臨時水質調査(9 月 27 日実施)の結果が
判明しましたので、その結果の概要をお知らせします。
臨時水質調査結果
9 月 27 日の東湾ブイ地点での 30,37,41,45m の溶存酸素量は、6.1∼6.9mg/L の範囲で、全観測層で夏季の酸素量が
低下する時期の底層の基準値の 4.3mg/L を上回っており、調査時点では貧酸素または低酸素状態は認められませんでした。
また、水温分布をみると、30∼41m 層で 21.4∼22.1℃、海底上 2m の 45m 層で 19.5℃と、海水の鉛直混合が 40m 層付近に
まで達していました。
同じ時刻の東湾ブイの観測結果では、 底層(海底上 1m 層)の水温は 16.9℃と低く、溶存酸素量は 4.08mg/L と基準値未満
となっていることから、東湾ブイの海底直上には貧酸素水がごく薄い層となって張り付いていて、その上層との混合が進んで
いないことが考えられます。
今後、海底直上ではまだ酸素量が低下するおそれはあるものの、海水の混合が海底まで及ぶようになるにつれ、低酸素
状態は徐々に解消されるものと考えられます。
底質調査結果
IL は 2.4∼9.8%、TS は 0.01∼0.19 mg/g、COD は 3.5∼35.7mg/g で、含泥率が 4.1∼70.0%の範囲で、COD については
St.1∼5 では基準値を超える値となりましたが、図に示したとおり、全項目とも平成 8 年からの調査結果の変動範囲内で
あり、湾全体での有機的な汚染の進行は認められませんでした。
また、沿岸寄りの調査地点である St.7,8,9 では変動の大きい TS を除き、低い値で推移しています。
むつ
調査項目
平舘
脇野沢
8
●
5
●
2
●
3
●
横浜
4
7
●青森ブイ
●
底質調査地点
TS
:全硫化物量(海底泥中の硫化物量)
COD
:化学的酸素要求量(海底泥中の有機物量)
含泥率
:63μm 以下の泥粒子の重量百分率(細かい泥には有機物が多い)。
※これらの 4 項目は全て底質の有機汚染の指標で、数値が高いほど汚染が
9
●
野辺地
青森
:強熱減量(海底泥を高温で加熱した際に燃える有機物の量)
●
6
●
1 ●
IL
蓄積しているといえます。
項目
「水産用水基準 2000」による基準値
TS
0.2mg/g 乾泥以下
COD
アルカリ性法で 20mg/g 乾泥以下
IL
15
%
10
5
0
8.7
8.9 9.7 9.9 10.7 10.9 11.7 11.9 12.7 12.9 13.7 13.9 14.7 14.9 15.7 15.9 16.7 16.9 17.7 17.9
TS
0.5
mg/g
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
8.7 8.9
9.7 9.9 10.7 10.9 11.7 11.9 12.7 12.9 13.7 13.9 14.7 14.9 15.7 15.9 16.7 16.9 17.7 17.9
COD
50
St.1
St.2
St.3
St.4
St.5
St.6
St.7
St.8
St.9
mg/g
40
30
20
10
0
8.7
8.9 9.7
9.9 10.7 10.9 11.7 11.9 12.7 12.9 13.7 13.9 14.7 14.9 15.7 15.9 16.7 16.9 17.7 17.9
含泥率
100
80
%
60
40
20
0
8.7
8.9 9.7 9.9 10.7 10.9 11.7 11.9 12.7 12.9 13.7 13.9 14.7 14.9 15.7 15.9 16.7 16.9 17.7 17.9