北海道の自然学散歩-4「アポイ岳 北海道の自然学散歩-4「アポイ岳の

北海道の自然学散歩-4「アポイ岳のかんらん岩
北海道の自然学散歩-4「アポイ岳 のかんらん岩」
のかんらん岩 」
襟裳岬の北西 30kmの海岸線に、真っ直ぐ流れ込む様に稜線を傾
けた山が今回の主役「アポイ岳」
です。
この山は道央の日高山脈に属し、北海道の大地の成り立ちを立証す
る貴重な岩石で構成された山として、日本ジオパーク
に認定さ
れています。
話しはまず北海道の屋根である、宗谷岬と襟裳岬を結ぶ脊梁山脈群の成り立ちから始まります。
約 1,300 万年前頃から歴史年代まで、西側のユーラシアプレート
に乗っかっている日本列島の
北部の島と、北米プレートに乗って移動してきた千島列島に属する島が衝突を起こして隆起し、
日高山脈をはじめ北海道の脊梁山地が形成されたのです。これはヒマラヤやヨーロッパアルプスの
成り立ちと同様で、いわばそのミニ版と考えれば良く理解できます。
アポイ岳を構成する主な岩石である「かんらん岩」
に存在するマントル
は、地殻の下層
に由来する非常に珍しい岩石で、純粋なものは美
しいオリーブ色を呈し、宝石(ペリドット)としても珍重されています。
プレート同士が衝突しその部分がめくり上がった際、地中深くにあった
この岩石が同伴され持ち上げられて地表に出てきたもので、言わば激しい
衝突の証拠品なのです。この岩石は最初に発見された場所に因んで「幌満
かんらん岩」と名付けられ、世界的にも稀有な鉱物です。
かんらん岩のサンプル
かんらん岩の サンプル
様似町役場前にある
アポイの名は、アイヌ語の「アペ(火)・オイ(多い所)・ヌプリ(山)」 「かんらん岩広場」より
が略されたもので、「大火を焚いた山」と言う意味です。つまりアイヌの人々がこの山で焚火神事
を行なっていたという故事が示す様に、貴重な石が存在するアポイ岳は神聖なパワースポットとし
て崇められていたのです。
またアポイ岳は固有の高山植物が自生する花の山としても良く知られております。かんらん岩に
含まれているマグネシウムやクロミウムが一般の植物を寄せ付けず、この特別な環境に適合した植
物のみが生育していて、アポイ・ヒダカ・サマニの頭文字が付いた固有種が 20 種もあります。
登山中に思わぬハプニングがありました。たまたま当日 NHK 室蘭支局のテレビ取材チームに遭遇
して、インタビューを受けたのですが、それが全道向けの番組で放映されました。
山口県から来たという事で取り上げられたのでしょうが、記念すべき出来事がひとつ増えました。
エンルム岬よりのアポイ岳(右端は襟裳岬)
かんらん岩塊の中に咲く高山植物群