森の科学(1) 善本角1孝

森 の科 学(1)
し、 パ イブよ り鉄筋 と言いたい くらいの 代
が 、軟 かい所 とは どこで あろ うか 。春 に 出 ク
物 で あ る。 水の連機通路が不要 とな ったの
来
で 、ス ギ、 ヒ ノキは同 じ材料 に ち ょっと手
を加 えて 自分 の体 を支え るの に役立 つ強 度
取 囲む壁が薄 い ことは前 に述 べ た。 ここは
材料 を作 りだ した と言 えそ うだ。 この鉄筋
が 少 な く軟 かい。 そ こで 当然 なが らサ ン ダ
一 がけの時 に早 く落 ちる。 一方 、夏 に 出来
の列 は数箇 か 、時 には1 0 をこえるが 、 いず
にそれ を
た仮道管 は水の通路 の大 さの害」
空 気 の 占め る割 合が大 き く、壁 つ ま り実質
れ に して も生産作業 は夏中 に終 って しま う。 た 仮道管 は大 きさも小 さ く、 しか も水の通
スギはい ろい ろな 日的 の工芸品 に各地 で 路 の大 さの割 に壁 は厚 い。 つ ま り笑が つ ま
東京大 学 催学 問;
善本角1 孝
l l より
使 われ てい る。北海 道 以外の 日本の どこで _ ― _ てい るか らこの部分 は春 に 出来 た「
ー
ン
けで
ダ
くサ
が
まで残
る
が
よいせいだ
後
。
も生 える し、安価 で加工性
。 硬
'フ
れ た り、芸 で味 わ えた りす る こ とも しば
皮の内側 を通 って送 られ て きた砂糖 で 、製
そん な工芸品 には木 日が くっき り出て い る ― ス ギは業が毎年 な くなる木ではない が 、
のが共通 である。 天然の スギ を切 り倒 して そ れ で も こ うい った ' 年 ご との繰返 し活動
見 た ときよ りも木 目の凹 凸はず っと際立 っ を してい る。 ヒノキ、 マ ツな ど針葉樹 はそ
しばで 、 木の 年輪 は我 々に とって身近 か に
品の パ イプはそ こか ら中心 に向 って送 り出
てい るのが普通 だか ら、工芸 品では木 目を
う で 、木材 の 8 割 以上 を しめ る仮道管でお
あ って障れ を感 じさせ るもの らしい。 それ
さをしる。
「
五 月病J と い う名で知 られてい る現代
は っき りさせ るための処理 が されてい るこ
こ
4 で あ る。 パ イプの製造工場 は樹皮 と材 との
1間
の 数が数 えた くな る。年輸 が 人の次 に感 じ
で形成層 と呼 ばれ る所 、原料 は葉か ら樹
末の切 り口を見る と子供 な らず とも年輸
な ら木に とって年輸 とは何 だ ろ うか。
とにな る。
と
る変化 のせいで人は丸大 に年輸 を見 うる。
ころが ナ ラや ブナな ど広実樹 は仮道 管 を
春 になる と木 々は冬 の眠 りか ら 目覚め 、
病は 、木 々が緑 を濃 くす る呑節 と結 びつ け
もたず、水の吸 い上 げ役は道管がす る。 と
ブせやが
水 を 大地か ら吸 って体 全体 にめ ぐ′
て よ く話 され る。木 々の緑 は人 に気持 の よ
ころが春生 まれ の道管が夏生 まれ の道管 よ
て「
芽が出 る。キ葉 は青葉 にな り、幹 が その
い もの とされ てい るが 、五 月の緑 は余 りに
`
も強 い。 その生命力に圧倒 され る人がでて
り本 い な どとい うこ とはないか ら同 じ理 く
つ では年輪が現 われ ない。 幹 を支 える役の
も不思議で はない。木 々の仮道管作 りは こ
方 は繊維 がす る。繊維 では仮道管 ほ どには
の頃 が盛んであ る。
春生 まれ と夏生 まれ で差 はないが 、 それで
夏 の声が聞 える とき、木 はすで に水の運
搬 に 十分 な パ イ プをつ くり上 げてい る。 そ
まれ た もの よ り可 l」
kり 小 さいので顕 微鏡 な
のア」は 15列 を こえてい よ うか。数 は木 、
‐
本 ム
本で違 うし、年 に よって も違 うか ら
‐
概 には言 えないが 、手 元 にあ る顕微鏡写
が見 えることもある。
こ みに耐 えかねて 大地 に枯葉 を落す 。冬 に
は 全ての活動 が と絶 えて木 々は春 を待 つ 。
斯 く一 年が巡 るあいだに幹 に年輪 が 一 つお、
え、 その分 だけ木 は大 くなる。
も最後 に生 まれ た もの は次 の年の最初 に 生
ら 1年 ご との反復 はわか る し、内眼 で年輪
トウヒの年輪の境
広業樹で年輸がは っき りす るのは 、道管
が春にだけ生 まれ る樹種 の場 合で ある。 道
真で数 えると大な の ものが 15列とか20列 と
いわゆ る 「スギの木 目J を 出す にはい ろ
管 は繊維 よ りず っと大 きいので 目立 つ 。 そ
い ろな方法が あるが 、要 は、軟 かい所 が硬
↓ヽ
所 よ リサ ン ダーが けで早 くお ちる とい う
れが ク リや ケヤキでは春 にだけ しか生 まれ
暑 さが どうこたえ るのか 、夏 に スギや ヒ
こ との応用で ある。木 の表 を ガスの 火 な ど
るので ある。
ノキは ま ことにIウみ な こ とをや る。 内側 ヘ
で焼 くことは木 目を出すの に よ く使 われ る
値物が季節の影響 を敏感 に受 け とるのは
送 りこむ バ イアの大 きさを十分 にす るのだ。
′
くイブ と言って きたが 、実際 は絵の よ うに
や き スギ」 な どと呼 ばれ る。 暁
前処理 で 「
くと軟か い所がサ ンダーで簡単 に落 ちる。
思 えば ご く当 り前で あ る。 その跡 が幹 とい
い る。 よの 大地 か らの吸上 けには去年 まで
四 白だか ら、中心 に 向 )た方 向の辺 だ け を
酸 な どの薬品 に よる前処理 もよ く行われ 、
か し何 百年 も残 るとい うの は木 の幹 のほか
〕た 六 ィブライ ンが先ず使われ 、 それ
に作 ・
半分 ぐらいに短か くす るのである。 それ と
こす って生 まれ た凹凸の味 わ いが特異 で 、
'フ
にその 年作 られ た ものが加わ る。 スギや
同時 に壁の 厚み も培 す。 こ うして 出来 た も
tと
のは 、 どうみて も良 い バ イブ は 言えない
草 ばれ てい る。
にはない。年輪 の神秘性 は木 の幹 の長い寿
1命 にあるよ うに私 には思 え る
。
数である。この時期までに作られた
■1 ? ■
パ イプは水の連搬 を 日的 としてい るだけに、
その壁 は通 路 に くらべ 薄 い。
春 になる と末は沢山の水が欲 しい。 │ │ が
な増 えてい く葉か らの蒸散 、 北合成 によが
L ノ キ、 マ ツ では仮道 管 とい う名 の パ イブ
7 6 技 術 教 室
ないか ら、道管 が人の 日には境 い 日に見え
う器官 にあ らわれ るの も理解 しやすい。 し
軟 かい所が早 く削 り落 とされ ると言 った
No421 1987年
8月 号 77
森 の科 学(2)
た りとい うことで木材 は膨ん だ り委んだ り
セ ル ロ ー スが鉄 筋 な ら リグニ ンは ヨ ン ク
す る。 こ うい うことの限 りない繰 り返 して
リー トとい うわ けで二 つ の 異質 な もの の 協
木材が疲労 しやがて脆 くなるので はないか
力で 木 材 とい うもの の 構 造 体 が で きて い る 。
こ うい った もの の強 さが格 別 で あ るの は 一
とい う想像 も根拠 の ない こ とで はない。 殊
般 的 な こ とで 、例 えば ス キ ー や ア ー チ ェ リ
ー に使 われ て い る F R P な ど もあ る これ
。
に水が滲み こんで木材 の中で氷 った ら膨 ら
むか ら大きな力が生 まれ る常であ る。 こん
東 京大学 農学 部
ヒノキ
サクラ
ホオノキ
ス
シ
ハ
エゾマツ
ギ
ラカシ
リギリ
ハ
ブナ
ヨナラ
リモミ
イタヤカエデ
サクグル ミ
善本 知孝
「
が腐 ってい る」 とい うのは よ く耳
根1 生
や カ ビで も木材 を食 べ る物好 きは少 ない ら
にす る声業 で、 支えを失 った人の心 が脆 く
な って しまい他 人に不快感 を与 えるの を示
しい。 その 下手物 食 い はキ ノコであ る。 シ
イタケや シ メジはその 仲間の一 員で担 子菌
すの に使 われ る。石や金属が脆 くな った と
と呼 ばれ るグル ー プだ。
きに も 「腐 ったのか な」 と言 うこ とが あ る。
しか し木が 店 る とい うのは これ らとは大分
キ ノコの仲間 は胞子 として空気中 を飛 び
木材 にた ど りつ いて発芽 し菌 糸 となる。菌
) ていて 食物 が腐 るの と似てい る。 つ ま
違・
糸は木材か ら栄養 を とって繁殖 し子実体 を
リカ ビが生える煩て 徴生物が木 を分解 した
つ くる。 子実体 は普通 きの こと呼 ばれ てい
ためお こることで あ る。
るもので成熟 して胞 子 をまきちらす。 この
││││││■
││■
│││■1111111‐
│
左は腐 る前 、右は腐 って縮 んだ木
食物 が 腐 るの は季節 に よって は一 晩 で も
【―才"
(、
_)
( 数値 は手 で折 れる年)
らでは プラ スチ ックが ガラ ス繊維 で補強 さ
間、水分 と温度 はあ る範囲内になけれ ば な
な ときに木 は壊れ ないか。 この点 につ いて
木 は コン ク リー トな どよ りず っと強 い。菅」
らない。木材 の合 水率 は2 0 % 以 │ : で
温度 は
れ 日が 出て くることはあ って も木材が脆 く
れてい る。
セル ロー スと リグニ ン との共 存は こうい
2 5 ∼3 0 °
C が よい とされ てい る。家 の柱や家
なることはない。 これ は木材が その中 に沢
った物理的 な強 さだ けで な く、木材 を他の
具 な どは合水率 が1 0 物前後で あるか ら、 こ
山の空気 を抱 えこんでい るせいで 、空気 は
れ らの 本材 は腐 らない。湿 気の多 い ところ
で木の表 の黒 くなる こともあるが あれ は カ
外か らの力に緩衝材 になった り水でお きか
わ った りして 、木材 本体 の技害 をへ らすの
値物体 よ り腐 りに くくも してい る。 セル ロ
ー スは ブ ドウ糖 のつ なカエった もので この こ
ビが つい たので あ り、 カ ビは木材 を腐 らせ
に役立 ってい る。
よ うな胞 了の発芽 か ら千実体 の誕生 までの
t″│
3本ツ4
られ ないか ら雑布 でお、くと落 ち、木材 には
何の跡 も残 らぬ 。
とではデ ンブンと同 じで あ る。 ただ ブ ドウ
害!りば しさえい ちぜん だ と折 りに くい。
糖 と ブ ドウ糖 との結 びつ き方 が違 い 、人間
始 め 多 くの動物は七 ル ロー スを ブ ドウ糟 に
木の強 さは相 当な もので あ る。木材 が強 い
す る酵素 を もって い ないので 、 それ を栄 炎
にで きない。
お こ るが木材 は 勿論 そん なに簡単 には腐 ら
の よ うに光や酸 素 に よる劣化 があ りそ うで、
のは繊維 のせいだ とよ く思 われて い る。繊
維 の素 つ ま リセル ロー スは木材 の 5割 を し
ない。 3 c m 角
6 0 c m の杭 として 上に半分 ほ ど
家 の外壁の スギ板 に木 目が浮 きでてい るこ
め 、 び っち り結晶状 にな ってい るので引 っ
た もので もな けれ ば他の糖 が結 びつい た も
ので もない。 また脂肪で もない。 そ こで )
木材が脆 くな るのに プラ スチ ックの劣化
ところが リグニ ンは ブ ドウ糖 の結 びつ い
も埋 めてお くと杭 は地 際か ら腐 りだすが 、
とか らも、 この よ うに考 え るのは 自然 で あ
張 られ て もなか なか にちぎれ ず木材 を強 く
そ こが 手で折れ るほ ど脆 くなるには 4 ∼ 5
る。 しか し光 は木材 の中の 方に しみ通 らな
す るの に哀献 してい る。 そのほか 木材 には
グニ ンを栄 黄 に してい る生 き物 はなか なか
年 はかか るのが普通 であ る。
「木を食べ てい るみたい」 な どと味 の悪
い し、酸素 だけの分解 力は弱 いか ら光 と酸
にあ りそ うにない。リ グニ ンが あるか ら木
素 に よる劣化 は木材 の表面か ら l m m さ
え進
材 を食べ る生 き物 が限 られ た種類の ものに
さを示すの に言 う くらい本 は人間の食 べ物
まない。板 が折れ るほ どの劣化 はお きに く
リグニ ンと呼 ばオ
■る ものが 3害Jほどもあ り、
セル ロー スの周 りにへ ば りつ いてい る。 リ
グエ ンその ものは脆 いが 、 セル ロー スと り
にはな らない。 t は 微生物 の時 り場 で 、 そ
こで 4 ∼ 5 年 も木材が もつ の は バ クテ リヤ
く、 ま して柱が くずれ る筈 はない。
グニ ンの 混在 が木材 に他の植物体 にはない
とになる。樹木以外 の植物 は木材の リグニ
性質 をあた えてい る。
ンに似 た もの を殆 どもってい ない。
7 6 技 術 教 室
温度が上 った り下 った り水が入 った り出
│
な り、 だか らそれ だけ 木材 が腐 りに くい こ
No422 1987年
9月 号 77
森 の科 学(3)
こ うして減菌 したおが層 に、冷 えてか ら工
さて憧れ の きの こ、 マ ツ タケはまだ部屋
/ キ タケ菌 を うえれ ば1 8 C・の 部屋で無菌 の
の中で は作れ ない。 マ ツ タケ山 を管理す る
だ けで あ る。 人のや ってい るのではな くマ
おが粉 をエ ノキ タケは どんでん食 い進 む。
別 に無 菌室 はい らない。 3 週 間 も経 ってか
ら低温室 へ移 す と、 きの こが で る。 ( なお
実用 で はおが粉の1 / 3 の米 ぬか も含 む。)
束求大 学 農学 剤;
善本知孝
ツタケ 自身 のや ってい る殺 菌について は興
味深 い観察 が ある。 マ ツ タケが マ ツの若 い
城J
根 に と りついて 養分 をもらいだ し所謂 「
「
先生、 これ は ワタシの作 った シ メジ、
をつ くる と、根 は黒 くな り具 い揮発物 をだ
す。 これ は殺菌剤 らし く他 の カ ビや バ クテ
莫 を殺菌 して使 った。 方法 は秘 密 」。 日本
か ら帰 国 した ロバ ー トは トロン トで 、 こ う
さな根 とともに外側
に マ ツ タケは マ ツの′
jヽ
リアが 「城」 か らい な くなる とい う。さ ',
カ ビが生 えるのは不 潔 な感 じだ 。 「カ ビ
が生 えち ゃ った」 だの 「カ ビて るか ら食 ベ
生 きていた し、 それ に九大 の 内部 は空気 も
名 ヒラタケ)
説 明 して くれ た。 シメジ ( 本
エ
ノキ
タケ同様 、殺菌 おが粉 で
は 日本では
へ拡 ってい くとき、 内側 に残 った所 をポサ
ボサの水気の ない もの とす る、 とい う。 つ
ちゃ駄 日」 と言 われ て育 って きたせいか も
栄 養分 も乏 しいか ら菌 は住 みに くか った。
生産 され るが 、高 価 な殺 菌釜 は 買え ないの
知れ ない。木 に 力 どが生えて腐 っ らゃ う、
したが って穴 をあけ シイ タケ菌 を うめ こめ
ま り他 の菌 や細菌 の生育 に都合が よい環境
を破壊 す るのだ。 かつ マ ツ タケは マ ツ と協
とい うのに も同 じ語 感 が あ る。 実 は カ ビ
ば シイ タケは 「
徹J ゃ 細菌 にわ ず らわ され
べ
に
ず 木材 を食 て育 つ 。 1 年 半後子実体 つ
で莫 に秘密 の菌 を うえ殴酵 させて殺菌 す る
方法 を ロバ ー トは とった。 これ は欧 米最大
( 徴) で はな くキ ノヨ ( 草) で 腐 るのだが 、
その結果でて くるもの を普通 は きの こ と呼
んでい る。
とであろ う。思 えば丸大は数 か 月前 まで は
ま りきの こがでて くる。 この途中に シイ タ
ケ以外の菌や細菌 がメし
大 の 中 に入 って くる
使 われ る方法で ある。
マ ッシ ュル ー ム を育 て るには藁が い る。
細 菌
ヅ1 菌
不安 は全 くないわ けではない が 、栽培 の管
それ と馬糞 な どが藁の醸酵 に役立 つ 。馬糞
理 が正 しけれ ば、最初 にメL 大に とりつい た
と藁の まざった もの つ ま り馬厩肥 を適度 の
シイタケ菌 は最 後 まで支配 力 を維持 す るの
出 に して堆肥 にす ると、菌な どわざわざ加
が普通であ る。
Cと な る。
えず とも醸酵 し 1日 に して70∼80°
丸大 の中は 6 割 が空気で あ り、木 の実 質
い わば間仕切 りを くい ちぎってい くので 、
本 を食 べ るのに時間がかか る。 も し、丸大
しめ じの栽 培
力 して わが身 の前後 を殺菌 して育 つ 。
の栽培 きの こ、 マ ッシ ュル ー ム を作 るの に
微生物 の世界
こん な状況 が半 月 も続 くと藁 は殺菌 され 良
ッシ ュル
好 な堆 肥 となる。 これ を冷や しマ 、
マ ツタケは弱 い生物 とい う。 他 の菌 との
ー ム菌 を うえつ ける。 以後 は シイタケ、 エ
共存が しに くい らしい。 こん な殺菌方式 を
をつぶ して木層 やおが暦 に した ら菌が 木の
ノキ タケ と同 じだが 、 きの こを出す には土
もって い るの もそん な ことの 現 われか も知
れ る機会 はず っと増 える告 だ。例
実質 とお、
つ ま リ ピー トの技覆 が必要 らしい。 きの こ
れ ない。 これ とくらベ マ ッシ ュル ー ムは強
えば 2 c m の
ンクが 十分腐 るには 3
木 の ブ ロ、
は 2か 月で とれ る。
い菌 に違 いない。鹸酵熱 の殺菌 な ど不十 分
の このお が粉栽培 は、 こん な考 えで始 ま り
な もの だか ら滅菌 後の莫 に も菌や細菌が い
る。 ただ マ ッシ ュル ー ムに実害 を与 えな い
にす ぎない。 生 き物 と生 き物 との均 り合 い
さなが らに 作 られ て い る。 「徴 J と違 い
「
葺」 には元来不潔 な感 じが ないが 、栽培
広 まった。 しか し、面倒 な こ とが 一つ お こ
の上 に欧米の栽培方法 はな りた ってい る ら
った。 おが粉 に なって空 気 に触れ る面が増
しい。 まことに欧米 くさ く、他 民族 との共
した きの こは清潔 その ものであ る。生産 で
えると空 気中の菌 で木が強 く汚染 す るのだ。
きの こは 今や健康 食品の エ ー スで ある。
バ イオ産業前駆者 の誇 りも高 く 工場生産
、
か 月 もかか るが 、7 0 0 m e のお が 粉 は 1 か 月
で エ ノキ タケに食われ て しま うほ どだ。 き
は他 の菌 の侵人 を防 ぐため ベ ス トな処置 が
きの こは無 菌の ところに生 えるのが立 て前
存の上 に成立 つ文化 を思 わせ る。 これ と較
べ 、 わが 日本の殺 菌釜使用 の方法 はまこと
Lてい るか ら,ど
とら″
。シ イ タヶ、ェ ノキ タ
ケ、 マ ッ シュル ー ムそれ に マ ツ タケ と生産
だか ら、 おが層 を栽培 に使 うには先ずおが
に潔 白好 みの もので、栽培者 は エ ノキ タケ
層 の減菌が必 要 とな った。殺 菌 は加 圧 蒸 気
民族 以外 の ものの存在 を認 めぬ完肇 さで清
■ども。
方 法 は違 うけ″
で1 4 0 0・3 時 間 も行 う。使 う殺菌釜 は全設備
潔 な きの こを作 る。
女
L 太が清潔 な もの とは誰 が気が つい た こ
5 4 技 術 教 室
投資額 の1 / 3 をくう程 であるが効果 は抜群。
マツタケの城
No423 1986年 10月号 55
森 の 科学(4)
どん な種類 の木か ' 9 もH i てくる ガ スな らそ
フィ トンチ ッ ド物
を1攻い こんで元気 になるのは フ ィ トンチ ッ
れ が森林 の ガ スをつ くる とす るの も不 自然
ドの この信仰 のせいで あろ う。唆念 だが こ
で はないだ ろ う。 そ こで それ らを種 に して
トー キ ン、神 山の話 とは別に私 の フ ィ トン
チ ッ ド物 語 を ここでや ) てみ よう。
の こ とにつ いては信 じて よいほ どの証拠 は
ない。 フ ィ トンチ ッ ドの過 半を しめ るテ ル
ペ ンは内服業 にはな らない 。 ユ ー カ リか ら
とった もの な どは皮膚 にぬ る と消炎剤 には
なる。 テルペ ンは濃度が高 い と殺 菌作 用 を
示すが 、低 い と′ヽツ カネ ズ ミにl_E動
力をケ
東京大学 農学部
えた り、 目を覚 まさせ た りと言 う話 も伝 え
洋木知孝
られてい る。 この ごろは 「
聞呑療法Jと tヽ
って 、 テ ンペ ンな どの 香 りをか くことで 白
律神経 の乱れか ら くる病 へ の 効果 を期待 し
森の空気 は きれ いだ。 空気のおい しさが
体 に よい と何か化 学物質 が体 に入 って きた
肺 に しみ こんで くるよ うであ る。眼 をあげ
せいだ と考 えた くなるのが 我 々である。私
る と緑 の うね りも心地 よ く出の陵線 は遠 く
に幸 せが あるこ とに確 信 をもたせて くれ る。
な ど口か ら人 って 胃に落若か ない と効いた
た治療 も試み られて い る とい う。 そ うす る
気が しない。 フ ィ トンチ ッ ドが ある とい う
森林 は どん な両 か ら見て も人間 に とって安
と未知の ガスの著効 も期 待 で きる。
と森が 人の健康 に よい とい うの に も説 得力
らぎを与 えるか ら 「
森 へ い くと元 気 になれ
がでて くる。
るJ と い われ る と誰 で も 「そ うか な」 と思
フ ィ トンチ ッ ドとい っ名の森林 の ガスは
トー キ ン と神山の二 人に よ り日本 に紹 介 さ
れ た。 ソ連 の学者 トー キ ンは 「
高等植物が
3つ の道が あろ う。第 1は 殺菌作用 、 人に
スとして 時 ってい るか とい うと、今迄 に 見
つ か ったのはテルペ ンガ スだけで ある。
有毒 な菌 を殺 す力が フ ィ トンチ ッ ドにあ る
森 の ガ スが人の役 に立つ 高L抜 を集め るこ
傷 つ くと、 その周囲 にあ る他の生 物 を殺す
ことで あ る。 そ ミや トウ ヒの葉 をきざんで
とは フ ィ トンチ ッ ド信仰 を少 しづ つ確か な
物質 を出す」 とい うことか ら フ ィ トンチ ッ
ドの考 え方 にた ど りつい た とい う。 それ は
置 いた とき、 そ こか ら出 るガ スが赤痢や チ
ブスの商 を殺す。 これ は トー キ ンの実験 結
れ で十分 に示 され るか。 人が地球 1二
に生態
1930年頃 らしいか ら、私 が子供 の頃聞 いた
果 だが 、 そのほか に も葉 のテ ルペ ンが菌や
的 な地 位 を占めた とき森 は既 に存 在 したの
の も存外同 じ種の話 か も知れぬ 。 その 後の
トー キ ンの考 え方の深 化や 日本 に紹介 され
てか らの マ スコ ミの取 り上 げ方のせい もあ
植物 の生育 を妨 げる例 は多 いの で 、 フ ィ ト
ンチ ッ ドに この作用 を私 は期待す る。第 2
を思 い起 してみ ると、私 には 、 それ だけで
は不 十分 で ある。森 が人の 誕生 を喜んだの
の道 は森 の消臭作用で あ る。即 ち人に有 毒
り、 フ ィ トンチ ッ ドは森林 が 出す人間 に好
か 、憎ん だのか 。 その 気持 を木 々は人に ガ
な物 質の吹着除去 だ。 ガスが ガ スを吸着す
スとして伝 える と言 うことはあ りえないか
ましい ガスと理解 され て 、現実 に存在す る
され い な空 気のほか に何か人間 に よい も
るとい う話 は フ ィ トンチ ッ ドとしては殆 ど
かの よ うに思 われて い る。 これ はそれ な り
昆虫の雄が雌 をガ スで 集 め るように。 それ
のが森 の 空気 に まざ ってい る と考 えたの は
と りあげ られ た ことが ない けれ ども、私 の
にそ もそ も樹 木が ガスを作 る 目的 は何で あ
に説得力はある。 しか し私 の知 る限 りでは
森林 にあるガ スその もの を分析す る研 究 は
期待 は こ うで ある。近時 、植物体 か らと り
るのか。
余 りない よ うで 、森林 か ら出 るテ ルペ ンガ
ときには ガスとして も効果 を発揮 してい る。
に よ く出て くる。 日本のお とぎ話 にそん な
つ。
千葉清澄
誰 だ ったろ う。私 は子供 の頃 「
森 には オブ
ンが ある。喘息 の子 供 には特 に良 い」 と聞
樹木が出す ガ スには こ うい った 3つ の 作
森のガ ス
フ ィ トンチ ッ ドが健康維 持 に通 じるには
だ され た化学物質が消良剤 として売 られ 、
用が あ るよ うだ。 しか しこれ らが森林 に ガ
もの とす る。 しか し森 と人 との関わ りはそ
森 の精 とい うのは ヨー ロ ッパの 古いお話
か され たの を憶 えてい る。 もう50年 も前 の
スについて 気象 との関わ りが指摘 され てい
話 で あ る。 自分 で研 究がやれ るよ うにな り、
これ は特殊 な フ ェ /― ルの配 糖体 であろ う
る程度で ある。 これ は勿論興味深 いけれ ど
のが あ ったか と思 い 出そ うと してみ たが 、
ォ ノンの匂 い を初 めてかいだ とき、 どうに
が 、 多 くの樹 木が含 む もので あ る。 こん な
も フ ィ トンチ ッ ドは人間の健康 と関 わ るガ
どうも出て こない。森 に ガ スが ある とい う
も森の香 と結 びつ かず 当惑 した。森 に フ ィ
こ とか ら フ ィ トンチ ッ ドが ガスを吸着 、除
スなので 、話 は別であ る。森林 ではな く樹
空想 も少 ない ようだ。 フ ィ トンチ ッ ドは 日
トンチ ッ ドが あ る と聞か され たの はつい こ
去す るのではないか と私 は夢 み るのだ。
木の出す ガスの こ ととな る と研 究 は可 成 り
の頃 の ことで あ る。
茉 づ けの 子
と会 に生 きてい るためだ ろ う。
7 0 技 術 教 室
本で珍 しい森 の精の話 か も知れ ない。 この
第 3は 健康促進作用 で あ り、 フ ィ トンチ
多い。 それ らの なか には森林の ガスと呼 ば
森 の精 は環境破壊 とい う社会的 背景 を持 っ
ッ ドの魅 力の核心部 だ。 人 々が木常や秋 田
れ て よいほ ど多種 の木か ら出 るもの もあ る。
て現 われ たけれ ども、 なか なか に深みの あ
な どの森林 へ 行 き大 きな息 でた っぶ り空気
る夢 を 'え て くれ そ うで あ る。
No424 1987年 11月号 71
森 の 科学(5)
食べ られ ない よ うな可: 夫を実 に仕組 まね ば
一
由出成分の つ が
な らない。 そ こで作 ったす
突然 につ くの だ。 年輪 で数 えてみ ると外か
ら10∼20年で色が つい てい る。こ の ことか
タ ンニ ン らしいのだ。 ゴ ) ラ に数百種 の値
物 を与 え てみた ところ、タ ンニ ンが比較的
ら外恨1へ大 ってい く時 内 部 に10∼20年喰 さ
れ る と色素が で きる とい う考 え方が取れ る
で あろ う。 色素 は抽 出成分 で あ る。 ところ
で ここで作 られ る抽 出成分 は調 べ てみ る と
東京大学農学部
少 ない2 2 種を食 べ た とい う実験 が あるそ う
だ。針 が あ って も、人の 日に出来 ない青味
べ
を も っていて もゴ ) ラ は物 ともせず に食
た とや`うのだ。 つ ま リタ ンニ ンが あ ったた
洋本 知 孝
め 多 くの植物が食 べ られ ないですんだ こ と
作 ってお くのだ。 これ は木が 長持 ちす る '(
一
事 な理 由の つ と言 って よか ろ う。 木 は持
‐
の新 しい部 分で は樹脂 を作 り、 古 くな った
お 茶 を飲 む習慣 を不思議 に思 い ませんか。
7 シ 容…… 世界各地 で ど
禄 茶、紅茶 、 ウー に
本の エ キ スには水 で抽 出 され る染料や生 薬 、
ん なに 多 くの 人が この習慣 をもってい るこ
になる。
油で溶 けで る樹5 旨
が あ る。 お 茶 には 本 の業
大抵が微生物 の毒で あ る。 つ ま り古 くな ,
た持の ところに樹木 は微 生物 に毒 な もの を
や革が使 われ るけれ ど実 が良いのは言 うま
l
部分 で は有 毒成分 をつ く って 外か らの政l■
に立 ち向 ってい るのだ。 1司りの 白い所 を辺
とだ ろ うか。大 l l R の
お茶 は木 の葉 の エ キ ス
で もない。 チ ャの 末の 皮や根 な どは使 われ
材 、中 央の赤 い所 を心 材 と呼ぶ 。
だか ら我 々は空 気の よ うに森林 の ニ キ スを
て ないだ ろ う。 こ うい うこ とか ら同 じ木 で
体 に と りこん でい ることになるのだ。前 回
も葉 と根 の エ キ スは違 うのがわか る。
樹 木 は この よ うに して幹 に毒 を しこん だ。
皮や根 は幹 よ り腐 りやす い状態 にあ るか F,
の話題 「フ ィ トンチ ッ ド」 の続篇 の意味 も
こめ 木の エ キ スを と りあげる。
エ キ スとなるものは樹 木中では抽 出成分
樹 木は、葉、花 、幹 、根 、種 子 な どで 、
大文 の器官 の役割 に適 した抽 出成分 をつ く
, てい る。例 えばf こ
の抽 出成分 は どん な も
のだろ う。花 には何 よ りも虫や鳥 を引 きつ
として 1000年生 きた 、 とい う話 は 本が長持
ちす る例 え話 に よ く使 われ るけれ ど、では
ある と考 えた い。 実際 タ ンニ ンは微生物 の
け る役告」
が期待 され るか らそ こでは色 素が
木の幹 には どん な工 夫 を樹木 は して い るの
で あろ う。 マ ツの幹 に傷 をつ け 、明 くる 日
に見 るとそ こには樹 脂 が時 ってい る。 これ
飲 む とい うのは毒 を飲 んで い る こととな り、
はなはだ奇妙 な習慣 であ る。 なぜ こん なこ
は樹 木 が して い る L夫 だが工 夫 はそれ だ け
とをす るのか 。 毒も少 しては業 とよ く言 う
ことか らす る と、 人間 は岳 の タ ンニ ン も4少
みが きがあ るか ら葉緑 素が抽 出成分 である
のがわか る。葉 の役割 として光 合l J k が
余り
に も有 名であ るの で実 には他 の抽出成分が
お、と思 いつか ない ほ どだカミ
、さ っきふれ た
旨を幹
戟 で新 たに樹渇
に止ま らない。傷 の末」
一
の中 に作 りだ し、半 月 も か月 もかか って
傷 口を うめて い くこともや る。 樹脂 はテ レ
ナつと り業 として い るのか も角1れない。
し才
森林 が出す ガ ス、 フ ィ ト)チ ッ ドが 人間
ビン油 に溶 けるか ら勿論抽 出成分 で ある。
の役 にたつ らしい とは前 回の べ たが 、 この
本 は年 と共 に大 くな るのは有名 だが 、年
輪 の こ とか らわか るように幹 は中 央に近 い
は しないだ ろ うか 。
効 力 も タンニ ン とlllて
ほ ど昔 にで きた もの で あ る。 この古 い とこ
る。 これ も今 まで 見つ か った ものは動 物 に
あ るろ うか。 お 奈を飲 む と渋 い。 子供 な ら
いや な味で ある。 ここに秘密が ないだろ う
ろは周囲 と くらべ 赤 くなった り、黒 ずん で
い るこ とが 多い。 これ は輪切 りに した 丸 太
毒 な ものば か らであ る。
か。
を うょぅと注意 してみ る と誰 て も気 づ く。
どん な もの で も古 くなれ ば よごれ ると考 え
と似 た もの らしい とみ る考 え方もとれ るか
る人 もい よう。 しか しこの色 は 占 くな った
か ら汚れ た と言 った もの とは違 い 、 ある年
それ に して もお 奈を飲 む習 慣はいつ唄 か
お 奈の エ キ スが あ る。 お 奈の タンニ ン と言
われ るもの を含む。
で は実 は何 のために タ ンニ ンを作 るので
動物 た らは 本の 芽や 木の葉 をよ く食 べ る。
に使 わイ
■るよ うだが 、も とも とは エ キ ス ト
樹木 は実 を動物 の部 のために作 ったわけで
ラク トextract、
抽出物の意で あ ろ う。 樹
はない、食べ られ ては困 る。 つ ま り樹 木 は
5 8 技 術 教 室
ヒ ノキは1000年も生 き、 更 に法隆寺 の柱
ってお く。業 に しこん だ タ ンニ ンは動物 に
一
食べ られ ない よ うにす るた めの 種 ブ)毒で
作 られ よう。 また 香料 の生産 も虫 をひ きつ
ク ロロ フ ィルム 入 りな どとい うカムや 歯
エ キ スは物の本質 とい う意味 で も日常的
サルはお茶 を飲む
生育 を妨 げ る。 さて 、 そ うとす る と妙 な こ
とにある。 人間が好 んで 木の 実の エ キ スを
けるため行われ てい る。
メー プル シ ュガ ー の採取
似 た ことをここで も行 ってい る。 この よ う
に樹 木 は体 の各部に毒 を抽 出成分 として作
と呼 ばれ 繊維質 な どと区別 され る。
フ ィ トンチ ッ ドも葉 の押 発性ナ
由出成分 で あ
だか ら フ ィ トンチ ッ ドの英効 は タンニ ン
も知れ ない。
女
,ラ
台ま ったのだろ うか 。
No425 1987年12月号 59
数 」) 化学物質がで きることにな る。炭索独
森の科学(6)
エ / │ ) ン クス」) 梅鞭が梅物 ブ) 進化 につオ│
抽 出成分で ' ) る。
て変 ってい ‐
ってい る。 そ し 〔何 と, 由
文分
出卜
この抽 出成分 の数が どブ) く ' ぅ
いであ るか
進 化
とい うのは知 りたい こ とだが 、誰 も教 えた
人は い ない。 いない 、と 断 声て きるのはそ
うい う本が ないか F , でぁ る。抽出成分 な ど
東京 大学農学部
洋本角1 孝
炭素の骨組 をもつ 化 合物 を扱 った辞書 に バ
L シ ュタイ ン とい う有 名な ハ ン ドブック
イブ
が あるが 、4 度 日の補遺 が1 0 年ほ ど前 にで
食 草の 言い もブ) をつ まんで 1 1 に入れ る と
廿酢 ) はい 宅い が つ 一 ん と 卑 に 抜 け た 。
「こ まつ 業では な くほ うれん 申: ナ
チ, た の だ
な」 と思 う。 それ に して も何 とまあ 史いは
一 つ 一 つ うことか
違
。 l F 物は種類 が違 うと
最 後の ものが ヒ トだ」 と言 うのに過 ぎない。
る。
コケ、 シタ、裸千植物 の 順 に進化 し てい
植物 に も地球 に現 われ た順番はあ って ウ メ
1 9 5 9 年までの文献か らとった とあ った。次
るか ら、値物 は進化す る程 多種の フ ェ ノー
や サ クラよ リ スギ、ヒ / キ は先 輩 であ り、
は何年 に出 るのだ ろ う。 も う買い手 は大学
) ッ クスを作 ってい る ことに なる。1 由
出戊
シタは大先 輩 であ る。 その サ クラはサ クラ
の大 きな図書室 ぐらい になった。
釘 の 実 い を、 ウ メは ウ メの 香をただ よわす
とい った 風に、大 々が仲 間 とも先輩 とも遠
変 えてい く主 な道筋 は少 ない。 ‐つ か ら多
ア ン トシア ニ ジン
フ ラバ ノ ン
イ ソ フ ラ ハミン
進 化 の枝 分 れ
券
、
リ ツク
ヽ
ノ
フエ ﹁ ヽ
イ ツフ ラボ ン
くが生 まれ てい くと聞 くと木か ら枝 ので き
実 い 、色、味 な どは ビタ ミンと同 じでl t
た ってい る。
物 の もつ 化学物質で あ る。 これ らは繊維 な
枝は 3 本 であ る。 3 本 が夫 々にい くつ か に
どと遠 って 水や油 に浴 けで るか ら抽 出成分
分れ 、 t ヽくつ かが 多数 に分か才
■るのがヤ
桑り
とよばれてい る。抽 出 といえば草木染や漢
返 えされ て数限 りない もの となる。 この現
マ メ科 に ダ, し
ベ ジア とマ ケ リウン
、とぃ う
二 つ の属が あ る。 ■億 年 も 出1 、南 ア メ サヵ
が ア フ ) 力 に く■
) つい てい た頃 地球 には '
方楽 を思 われ る 方がおあ りの よ うに、十
由出
わ し方 に よれ ば 、抽 1地
成分 が つ くられ てい
ルベ ジア しか なか った。 それ が 今 の位置 に
液 は様 々であ る、 つ ま り植物 の抽出成分 は
く‖
頂序がわか り、あ とか らでて くる抽 出成
、
落 らイ,い てか らマ ウ リウエ
が41またLた とい
快 りな く多い。 この 限 りない輸 出成分 が大
分は新 しい枝 となる。木 の枝ぶ りは植物の
う。 ダルベ ジアは 世 界中 にあ るのに マ ケ )
古か らあ ったのか 。植物 が進化 して 数が増
種類 で違 うけれ ども、植物界全体 でみ る と、
えたよ うに抽 出成分 も始 めは数が少 なか っ
木の形 は可 成 り似 ていて どの 木で も太い 3
ウムは 南 ア メリカに しか ない とのが証拠 の
一 つ それ に
抽出成分 イツラボ ンは 両者 に
、
たのか 、 と言 う疑問 は梅物が 多種の抽出成
本の枝 に多数 の小 枝が は 千
)てい る。 つ ま り
あるの にその 後 にで きる イ ソフラベ ンは マ
分 を作 った謎 を と く鍵 であ る。
植物 は種類 に よって違 った抽 出成分 をつ く
ケ リウムに しか ない。
成 分 の枝 分 れ
4
植物 は輸 出成 分 を作 る原料 に ブ ドウ糖 を
るが 、つ くる上の原理 は似て い るらしい。
植物 が進 化 して新 しい種 が生 まれ るのに
使 う。業 での光 合成 で作 った ものである。
棋か ら吸上 げた ア ンモニ ヤ を原料の一 部 に
植物 の進化 を同 じよ うに木の枝分れ 図で
は新 しい抽 出成分 を作れ るよ うにな らなけ
あ らわす と、大 い枝 は コケ、 シダ、保子梅
ればな'フ
ない よ うだ。抽 出成分 、つ ま り臭
す ることもあ るが補で 、 ブ ドウ樽 の切断 、
接 着で作 りあげ る。 一 つ の ものが無限 に変
物 となる。 シダの あ とに 木本性 の ものが現
い 、色、味 な どは新 しい もの とな り複雑 に
われ最 後が草本性 とな るのは少 し奇異 だが 、
なる必 要性 が ある と言 えそ うで ある。
化 して しまうの は不 思議で ある。 ブ ドウ糖
この こ とは詳 しい研究 で確 かめ られて い る。
る とい うの は、抽出成分 が値 物 / 1 生態的 な
位置の確保 に重 い役 を果 してい るの を示 し
てい るが 、重 い役 とは一 体何 であろ うか 。
7 、酸素 6 コ か , , なる
は 炭素 6 コ 、水素 1 2 二
「ヒ トは方物 の 霊 長 、最 も進 化 した 動
にす ぎないの だ。 しか しこの 6 コ の炭 素 だ
えてい った とす ると両 者 に関係が ある と考
物」 といわれ る と何 とな くよい 気持 にな る
けではな く、他 の ブ ドウ梼 の炭 素 も使 って
5 4 技 術 教 室
が複雑 にな ってい るのだ。 こ うい う傾 向 は
るの を思 うが 、抽 出成分 生成の場 合、 大い
抽 出成分 も植物 も木が枝分れ した形 で増
けれ ども実 は地球 11には先査達 が沢山い る
分 の木 は進化 してい る脱 物 の もの程 枝ぶ り
っと細かい所 、例 えば マ メ
植物の分類の も・
科 の中の 一つ の 属 と他の 属 との間で もな り
う臭 い 、色、味 な どを誇 ってい る。
ン タ
に シダには フラバ ノ) と そヴ) もう 一つ 化、
デ
)
しが あ り、裸 F 植物 に│ よ
小枝 フラバ ノー ツ
に
ア
ヽ
に もう 一')の′
ぅ
〕
枝 ア ン トラ予 ニ ブン もり
‖ォ
た。 E l 科辞 典なみの本であ る。 あれ で確か
色 も香 りも味 も違 うのは 当 り前の こ となの
子
果子粒 物
あ らわれ るのです) る。 フ ェ / ― ナンク ' ス
ブ)
八
ブ
フ
ラ
/
)
は
[
7
ケ
)
‐つ
小枝
に しか ないカ
て 、 合計 の冊数が 1 5 0 冊を ら くに越 え て い
か。
〔
被子本
ご
物
の 小1 支
の うちあ とか ら出て くるものほ ど、
値物) 廷
化の小枝 ブ) あとか ' , 出て くるもの に
とい うことで 「
順番 こに地球上 に出て きた
植物が ブ ドウ糖 をい ろい ろな抽出成分 に
マ メ科
いて や , た, 尺
│IJの
の分 l l l に
llH物
よると、ノ
が3 0 ならば よや油 には某 に とける。 つ ま り
その数が3 0 くらい となる と組 合せて大変 な
えた くなる。抽 出成分全体 の分析では ない
が 、一 つ の大 い枝、 フ ェ /― リックスにつ
新 しい植 物が新 しい抽 出 J k 分を芝、
要 とす
No426 1988年 1月 号 55
森 の科学(7)
チ
r , 幼
とな , たす) は言 うまで もな
虫 力t 虫占者
せ を と門亡t 後 子 は 各生長十
七階 ごJ ) ケ
十1 忠) ‖
片
!
い. そ 才t / 1 けで│ よ
ない。 1 文
虫 上な _ た マタ
‐・t F ウは 力 │ じ
デ タ ラィ f を体 にいれ た ま
1定
しモ ) は 蚕 ′) 姉に │ ,
を と配 J る . ・l 」
なホ ′
ヤ,か ,た 1、
・
`
るブ)力
デ兄
先
ゎ モ は兜格5001《力ヽ
よ トウワ タを離れ る力に も1 丈
功 した, )「│ あ
‐
ヽ
ヽ
るJ こ ″とモrう に うことヵ lEこ るか。十 智
r , 2 5 m H とt ヽう= く 科々七て あ ) た。 そブ) エ
クブツ) と しヽうホ ′
t t , そ ザ) │ フ
つかF l 物て
│よ
、 マ ダラ■ 打ウを食べ た動物か どうな る
あ る シ 々! ) 根た ち地つ か r i 」) ●ぁる。 モ
れ も2 5 m H がなた と社! 2 5 H か , , とれ た ■
・
''こ
です) る。こ ″! 力`とた な まt l l t1を
士!1,
予
か を想像 す, t l よ
的中 →る. 蝶 を食 べ た動 物
は カルデ / ラ イ ドJ ) 持さに耐 え F , れず吐 き
東京大学農学部
地球 の うえに植物 と動 物が い る とい うヽ
た り前の ことが私 にはひ ど くイく
思議 に思 え
た こ と力`
ある。ど う言 うことか とい うと植
“
植物 には我 々が エ キ スと呼ぶ所 謂 抽 出
"力Sあ
成分
る。 これ は動物の毒 になる。 こ
の こ とは否定 しよ うもない。 しか しこれ は
べ させてみ る と、_■'日 げ)蝶て もうカケ ス
(,│れ │よ
い。 食ン
蚕│ よ
体 を十1 ヽL ( し 、 ' L
I Ⅲ
引そ! │ , │ :
た ごH う . シ ″′) 快
) , た
は 食 べ よ うとしなか →た と言 う。蝶 ′) 伴や
lよ
なん ともl l l t t rないかⅢ
か な色 をアオ カケ ス│ よ
苦 しみ と結 びつ け る
ホ ルモ ) が l l 1 /)1中1
脱│ と
ブ 1 4 児 さ, t た杵
キ
卓は科学 史 ブ) エビ ツー f t ! │ : ウそ うてあ る十
一
″
千ェ= ] ス1 7 八十アの 千
十半名 S l a m n は ア メ
リカに呼 │ = │才、自分ブ) と
千! 哉
→ る十 ウ カ メユ、
植物が たまた ま持 っていて 、 それ を動物が
れて い る。 この冷厳 な事 実が私 には頭 に し
た 、 と言 うよ うな言 わば結果で ある、毒 の
)く り落 ちつ か なか ったのだ。
・
意味 を こん な風 に考 えたか = , た。 しか し抽
“
出成分 の意味 を深 く考えだす と 抽 出成分
を作 る意味の うち最大 の ものは動物 に食 べ
"と
られ 過 ぎない ことに あ る
思 わ ざるをえ
た また ま食 べて 、 た また まそれが毒 であ っ
な くな って きた。値物 は動物 を避 けるため
る.
6 0 技 術 教 室
ん とr t 匹の ア オカケ スに吐 き気 を! ぷじさせ
シを飼合 した した。 とこ/‐
か とうし ても れ
るに/ L るカルデ ノラ イ ドを持 , てい る とい
令幼虫 で死んで しまう。 あれ これ 調 べ あ 〈
食べ つ 食べ られ つサ) 目ま くる しい関わ り
あいで あ るが 、得 をしたのは マ イラ千 耳ウ
ね_lkる│]飼有 楠 ブ)氏ブ)祇 を何気 な く持使 ,
〔― タナルに変 えてみた。 どうした
た ベ イ′
、シは, ヒななしヽ
ことか 、そ イt l 後ホ シカ メユ
毒 キ / コ 、毒草 な ど今 も我 々を脅かす有
の動物 には 食べ ' ラ
れ ることはない し、 それ
タ
ヒぬ 。 こブ)とは紙 の 'R料て あ る水ヴ)極類 に
毒 な植 物 はある。地球 の夜 明けの頃 は さぞ
か ' , はマ タラチ ョウが必 す花 を訪れ l ―
粉し
Jと うとう八
あるとみ た。研究 に1'十
究 を竜オ
か し毒に満 ちていた こ とであろ う。値物 は
て くれ るか らで ある。
ブ
Lサ ムモ ミが原因 とい う亭 をつ きとめた。
、そ ミブ)lll出
そ して 八,Lサン
成分の中 に昆虫
に初 めか ら満 足 な どしてい ない こ とになる。
動物が同 じ地 球 の うえにい るの も自然 にな
な くな , た。 一匹 J ) マダ ラチ ョウブ) 雄│ ま
な
のだ。 SlaHlaはい ろい ろ な祇 製 古
│」
を徹 底
ーに
べ
メ
7′
ア
リカの
ヨ
に
た
は
的 調
新間で
。
考 え方 を認 めれ ば 、植物 は 食べ られ ること
T 、は 8 い こみたか , た。 そ うな │ ) 、1 直
物と
学習 に成功 した としか 考え_ ようが ない。 こ
うして マ タラチ ョウヴ) 食べ ′
ラれ る機会 は 少
だけだ ‐
, たで あろ うか 。 そ うとは 言えない
は思 う。 ト ウ i 7 クは 大分得 を してい る。
と宅、
何故 か とい う相変 わ らず マ タラチ ョウ以外
にい ろいろ工大 を してい るので ある。 この
値物 は 食べ られ ることに満足 してい る、
′
とぃ ィ こr , ょぃ, ) か、植物 1 身が い わば食
べ │サ
イ1 るのに 何 ブ) 狐抗 も[ ャ
ない 、 とその時
ろ うか , 幼 若 ホ■■ ) │ ユニ く│ 々性r , │ │ │ │
アオ カケ スとい う鳥 に マ タ ラ! F コ
ウを食
物 は動物 に食 べ r)れるのが初 めか '9決まっ
てい るのに、 lhl方
が 一つ の地 球 の 11に生 ま
森林
た。
[11し
持本 知 孝
六、日 本t7もの よ りもホ シカ メヱ
ペシゎま
よ(
動物 を嫌 っていたか らヽ然の ことだ。 それ
ご く微 丑で も作 用の あ る葉物 をホ ルモ ン
なの に動物 は現 われ た。動物 が毒 を乗 り越
とよぶ 。 人間 、見虫 それ ぞれ に違 った もの
↓モ ン、 ジ . バ ビォ ン と同 じ
が もつ 幼キ ホ メ
えたのであ る。 この こ との意味 は どうで あ
であ る。動物 は必 要 な もの を梅物か らよ く
物 を見つ けたの で ある。
ろ うか 。
貰 うか らホ ルモ ンも貰 ったって不 思議で は
か ら蛍
動物 はホルモ ンの原料 を多分l l a 物
ない。 しか し考えるとこれ は在 . っ
て な らな
, てい る。 そオ
■を自分 に者「合が まい もブ) に
い。 ご く微 星で効 くもの を食物 として とれ
加工 してい るに違 いない。植物 か見虫 の ホ
ば ち ょっ とした変化で体調が狂わせ られ る
ルモ ンを作 ・
, た とい うのは 、 そん な動物 の
か らだ。 それ なの にl l F 物
に昆 虫 のホ ルモ ン
仕組み を真似 た こ とになる。 なん とい う植
昆虫 が毒 を乗 り越 えたあ との話 であ る。
カルデ / ラ イ ドとぃ う毒物が あるが 、ト ウ
rプ
タとい う相物 は これ を含んでい るので動
物 に食 べ られ ないですん だ。昔、古 の こと
であ る。 ところが長い ことかか って マ ダラ
が ある らしい 、 といわれ だ したのであ る。
物の能 力であろ う。 それ が み な食べ た動物
チ ョウの幼虫 は カルデ ノラ イ ドを食 べ て も
これ は動物 に とって大 事件 で ある。
に害 を ケえるよ う仕組 まれ てい るび) である。
平気 になった。毒 を乗 り越 えたのであ る。
トウ ワ タを食 べ る動物 は他 にい なか ったか
昆虫 には幼若 ホルモ ン と悦皮 ホルモ ンの
お、たつ が あ り、前者が幼虫か ら幼虫 へ の変
と動物 は人間 の考 え も及はぬ様 な とこ
llh物
ろで深 く結 びつい てい る。
No427 1988年 2月 号 61
つ
の割 合が極 めて大 きい とい うの もその ‐
森 の科学い)
木の強さ
であ る。木材 パ ル プとい われ てい る木の繊
ろい ろな人が調 べ てい る。 方法 に よ り結果
は違 うが硝化 セル ロー スを粘度法で測定 し
か ら 9害」をも占め る。
維 は 木の本体 の 8害」
た時 、木 の セル ロー スは7000-8000と され
本 は繊維 の塊 とい って もよい。
てい る。木綿 は15000ぐらい 麻は 9000ぐ ら
木の繊維 はその 名か ら思 うほ どには長 く
いに もな り、 この こ とが繊維 を取 り出 して
リぐらいで ある。木 材 パ
使 う_Lで両 者 に大 きな違 い を生 む。例 えば
はない。 1-4ミ
ル プは工 作の ために ときどきつ かわれ るが 、
繊維 を紙 にす るな どの場 合で あ る。 しか し
東京大学農学部
そん な ときに指 の先で解 してみ ると、長 さ
こん な違 い も木や麻 その ものの性質 に 大き
善本知 孝
が そん な程 度 なのがわか る。綿 の繊維 (10
-50ミ リ)や 麻 の繊維 (10センチ以上 )と
な違 い を作 りだす とは思 えな い。
木の繊維 、 その中の セル ロー スが 木の強
た ちの軒食 に もな らずに存続で きうるので
比 べ ぐん と短かい。木 の繊維 の も う一 つ の
さで三 い意味 をもつ 。 しか し、 これ は どん
こ とで ある。 こ うい うと奇妙 に思 う方 もお
あ る。 この秘密 は どこにあるので あろ うか 。
特 徴 は繊維 の中心成分 となる告 の繊維素が
られ るだろ う。人の営 みに例 えるな らば 、
工
皆 さんのお宅 の壁 が何 で出来 てい るか を
な繊維 に も共通 にお こるこ とで あ り、木 の
繊維独特 の こ とで はない 、今 まで述 べ て き
場 で生産 物 と廃棄物 が蓄 まるこ とに似て い
考 えた ことがおあ りだ ろ うか。木、或 いは
森が栄 える とい うのは物 が蓄 まって い く
るのだ。なに、公害 、と目をむ く方 もお られ
土 とい う答 えは正 し くない。 10年ほ ど前 は
よ う。樹木 が空中か ら炭酸 ガスと酸素、地
確か に木 だ ったが 、今 は石膏 ボ ー ドにほぼ
限 られ る。 石言 ボ ー ドの主 な原料 は石 膏 で
中か ら水 を使 って 、生 きてい くの に必要 な
体 や エ ネ ルギ ー を作 る。一方使 用ずみの物 、
他 の繊維 の場 合 と比 べ す くない ことで あ る。
木綿 では 9割 、麻 では 7割 に もな るの に木
の繊維 で は繊維素 つ ま リセル ロー スは 5害J
た範囲の セル ロー スの性 質 で はそ う考えざ
にす ぎない。 この ような繊維 の特 徴が木、
はセル ロー ス以外の成分 に よ りお こる こ と
麻 、木綿 の性 質 に反映 しないはず はない。
になる。 リグニ ンがその成分 の名 であ るが
今 はセル ロー スの ことに こだわ る。
るをえない。 そ うとすれ ば木 に独特の こ と
あ る。 石膏 が どん な原料 よ りも廉 いので石
繊維素 は専門的 に高分子 と呼 ばれ るもの
木 の葉 は地上 に落 とす し、茎 の古 い所 は幹
膏 ボ ー ドが家の壁 を独 占す るよ うにな って
で水 に溶 けた り、食物 として動物の体 に吸
さて 木が何百年 も地上 で形 を保 つ には物
の内側 にためてお く。木 は これ らを二 度 と
しまったので ある。 石膏 は脆 いのに 1セ ン
理的強 さとは別の強 さも必 要 であ る。他 の
使 うことはない。木 の実 は微生物 に分 解 さ
チの 厚み もない板 がで きるの は とて も不思
議 だがその秘密 は石 膏 ボ ー ドの なか に 5%
収 され た りす る低分子 とは違 う。低分 子 に
は例 えば カ ロ リー にな るf1/糖
、業 になる ビ
タ ミン、色素 になるア ン トシア ンな どが あ
は他の植物 と同 じよ うに■物 としての防御
れ形 が な くなるが 、古 い茎 は幹 の内部 に蓄
生物 の攻撃 に耐 える強 さで あ る。 つ ま り木
弱 入 ってい る繊維質 にある。繊 維が入 ると
板 が強 くな るの はい ろい ろなボ ー ドで経 験
る。高分 子 は低分子 と無関係か と言 うとそ
をす るだ ろ うが 、 それ だ けで は巨体 を維持
うではない。植物 は低分子 をつ ないで 高分
で きる とはお もえない。 そ こで単 なる有 機
済みで あ る。 例 えば プラスチ ックに繊維 を
入れ た もの は木 の板 に代 わ って スキ ー に使
子 をつ くるか ら、高分子 には必 ず単位 とな
る低分子が ある。繊維 素 つ ま リセル ロー ス
物 として他 の生 物 に 食われ 難 い体 を作 って
われて い る。繊維 のllRざった石 膏 はそん な
には強 くないに して も建物 の壁 くらいには
の単 位 は ブ ドウ糖で ある。 ブ ドウ糖 が単位
となる高分子 はセル ロー スの他 に も幾 つ も
れば この ことも木の繊維 の化 学成分 に 由来
す る告 で ある。実 は β-1、 4と い う ブ ド
十分 に使 える強度 を持 つ。 さて繊維 には何
あ るが 、 β-1、
ウ糖 とブ ドウ糖 との結 合は生物 に食われ 難
を使 ってあ るか とい うと、 これ はか つ て石
スだ けで あ る。 この結 合 を とると高分 子 と
くす る ,1でも重要 な意味 を もつ のだ。生物
綿 が図抜 けて よ く使 われ た。 しか し石綿 の
高分子 とがぴ った りくっつ く。 糸が束 に成
が高分子 を観 とす るには 、 それ らを体 に取
発癌性 が指摘 され てか らは次第 に木材 の パ
る と強 くなるように、高分 子 も穴 になる と
屋久杉の森は残骸のかたま り
使用済みの 占い≧が幹の一部 として地 1=
ル プが 多 くなった。
石膏 ボ ー ドの壁が必 ず しも安 ′
いで きる材
強 い。特 に強 く束 になったの を ミセルな ど
で形 を保 ってい られ るとい うのは、岩 でも
料で ない ことは経験 され た方が もうおあ り
性 が増 すのが解 ってい る。ミ セルの大 きさ
り入れ てか ら先ず酵 素で低分子 に変 えね ば
な らない。 ところが β-1、 4を 分解 で き
る酵素 をもつ 生物 はそん なに多 くはない。
も しα-1、 4な ら、 こ才tlよデ ン ブンだが
弱れ るとい う自然界のことを思 うときわめ
か も知れ ない。 九太 の先で うっか り突 っ突
は麻 と木の繊 維 とでそん なには違 わず 、木
て不思議 なことではなか ろうか。幹 の この
部分は生命体 としてではな く物質 として何
いた らば っか り穴 が あ く。 こん な力 には石
膏 ボ ー ドは耐 え られ ない。
と麻 の違 い を説 明す るもの にはな らない。
ブ ドウ糖 のつ なが る数 はセル ロー スの 由
高年の風雪に耐 えうるのである。 また動物
木の強 さにはい くつ かの秘密が あるが繊維
来 に よ り違 うのは誰 で も考え ることで 、 い
まる。 その割合 は森 の全ての半分 に も及ぶ
程で ある。森 は物 のた まる場所 なので ある。
6 2 技術 教 室
4と 言 う結 合は セル ロー
と呼 ぶがその割 合がふ える と、繊維 の強靭
い るとみ るのが 自然 で あ る。 も しそ うとす
極 めて 多 くの生物がそれ の分解酵 素 をもっ
てい るので 、食 べて しま う。 これでは体 を
つ くって も100年はお ろか10年 も もた な い
し、森 な ど到底で きそ うに ない。
No428 1988年 3月 号 63
森 の科学(9)
木になる
良前 と同 じだか ' , 、ス ギや し ノキブ) 化祖は
エ キスの 油で 六 イプの 内側 を生 , た結
ltg物
だけ て佐化 したの ごはない。 この ことに関
係 してい るのであろ う。 リク■■ンを食べ る
果、水が少 ない エ ネⅢギ ーで運 べ るよ うに
生物が地球 1 1 になか なか現 われ なか ったす)
なった。 これ はl l a 物
に と , て大夜有利 な こ
であ る。 そ う宅、
は空 想 してい るのだが 、 こ
を
れ は ら 貨うと今 ヒ トが化学 某品の力 G フ ラ
とで あ る。
それ だけに │ 1 1 ま
らなか った とい うのがl _ / 、 スチ ックを作 , たの と似てい た。今 ノラ ス
東京 大学農学部
持本 角i 孝
武蔵野 にたって ケ十キの柏 が 冬の言 い任
に とけこんでい くのに 日を焼 らす。 あの小
は格 別の工夫が あ るの だろ うか。
木の 水輸送 につ いての空想 を してみ よ う。
の前 とは別の生想で ある。昨 が しゃん とし
たの だ。 r t l 来
た高分 子物 は もともとの パ イ
プを作 っていた セル ロー スと遅卦って山が り
物 は少 なか , た。 そ こで スギゃ L / 十 ブう佐
に くい ものだ った。 それ迄 な ら幹が大 き く
祖 は思 う存 分勢 力を広けた。5 0 0 0 万年 も 1
なる と葉の重 みで しな って しまったの に 、
億年 も繁栄 した。 やがて 高類の なか C ′) 最
改良後は幹 が ひん と立 ってい ることとなっ
も進化 した担 十菌が リダニ ) を 分解す る よ
うになる まで 。
チ ッ クを分解す る微 生物 が少 ない よ うに 、
当時樹 木の作 ) た リグニ ンを分解で きる牛
枝す)先にやがて若実 がで る。 この 大地 か ら
床 の上 に よを流 す 、油 がひいてある とさっ
た。 お陰 で周 りの梅物 よ り背が 高 くな った。
あん な高い所 まで ケヤ キが 水 を連ぶ 。 そ う
と水か流れ る。 そ っと流 した者 なの に、 あ
勿論 それ だけ沢山陽 に 当た ってい られ る と
木の強 さの 秘密 は木の繊維 にあるが 、繊
8い なが ら梢 の/!ヽ
枝 に 目を凝 らしてい る と、
自分 の 胸 ブ)なかの潤 い も1支ll先に吸 い上 げ
,とい うまに遺 くまで流れ て大 事 な物 を濡
・
言 うわけで 、背 の高 く成 った 利益 もた ち ど
維 は繊維 素 つ ま リセル ロ ー スだけで な く り
ら した、 子供 の頃 学校 の掃除で こん な こと
ころにあ らわれ た。
グニ ンとよぶ もの も■、くん でい る。 これ は
前 ( 木の強 さ- 2 月 号) に 書 いた。 サ クニ
ンが木の紘維 の性 質 を独特 の もび) としてい
られ てい きそ うで あ る。
に どなた も桂駿 がおあ りで あろ う。 そん な
こん な良い ことを植物が一 口│ で忘れ る常
ことを、 野、 むか し 2億 年以上 も前、ス ギ
や ヒノキの先祖がや ったので はないか 、 と
7
はない。 スギや ヒノキの先 祖 はその 後 も 二
ニ フ ェ リルアル コール を作 り続 け 、背 をの
い うのが私 の空 想 の核 であ る。 それ も偶然
ば し、地球 上に とん どん 勢 力 を増 してい っ
の 考えで あ る。
起 きた ことだ、 とい うのが程、
た。
エ キ スとい うのは漢 方実 に使われ てい る
あれ であ る。 その ときまで も、 エ キ スを値
物 はたびたび作 って きたが 、 その ときに水
輸送 パ イ プの 内面 に作 った ものは今 までの
武蔵野のケヤキ
いげ るのは何 とな く実感 と
中i が水 をt t l c上
樹木が際立 = , て他 のt l F 物
と違 うのは沢山の
リグニ ンを持 ってい るこ と、 これ は私 の生
の植 物 の室 と違 うのは もう ) グ ニ ンで代表
さ才とるよ うな性 質 とい うこ ととな , て も打〔
思議ではな い。
リグニ ンは どん なものか 。身近 ブ) 物を例
・
`
に取 る とフ ラ スチ ックにイ
以 〔tヽる。リ クニ
想で はな く絶対的 真実で あ る。 そ [ ャ
て 普通
の酵素 に よって活性 体 に変 化 して しまった
の説 明では リグニ ンは木が幹 を支 えるため
ンの 2割 り程 入った木の繊維 は、)グ ニ ン
のない綿 の繊維 と比 べ る と堅 く、脆 い。木
ので あ る。 そ してみ るみ る うちに空気で高
に作 ることにな ってい る。 し か しこ才とは程、
の幹がが ,し りとして 山が りに くいのは リ
分 了の もげ)に変わ ‐た。 この高分 卜は水 に
も油 に もとけない。 パ イ プは セル ロ ースで
には散文的 にす ぎる。 い まい った空想 が私
グニ ンのせ いで あ る。
にはび った り逢 う。
ケヤ キが とって も高 い ところ まで水 を吹
作 って あ ったが 、 セル ロー スに くらべ この
) グ ニ ンの誕 生は全 く予期せぬ 出来事 だ
高分 子は水 をは じ く。学校 の床が水 を弾 く
くイブで
の と同 じf早同で ある。 そ こで輸送 ′
つた とい うのが私の考 えなのである。偶然
らぬ ところが ある。 そ う繊維 が どうして よ
l T った コニ フ ェ リルアル コ ー , し
が リグニ ン
つ の亭件が起 きてい る。
を うん だ。 ここで 一
生物 の つ くった もの は生物 に よ り分解 され
を通 じるのか とい うのが 落 ちてい る。紘維
吹 い 11げた水 は よ り早 く太 に 向 って昇 って
tヽ「
,た。
も高い ところにあ る。 あん な所 へ 水が どう
発 して しまった水 のぶんが パ イプを使 って
=改
大地カギラ補給 さオしる。こ の ことは パ イフ
7 8 技 術 教 室
た高分子 物 は リグニ ンと呼 ばれ 今地球 1 1 で
セル ロー スにつ ぎ多 い物質 であ る。 そ して
ない。 樹木 は繊維 と繊維 とす) 接着 に も リグ
ニ ンを使 . , てい る。 こ うなる と木の幹が1 也
もの と少 し様 子が違 った。彼 らが作 った コ
ニ フ ェ ナルアルコー タ
しはで きた途端 に細胞
して解 る。真綿 に水が吸 い込 まれ る如 し、
だが ケヤキt 7 D Iは3
付 0 メー トル も4 0 メー トル
して 〔ほ くのか。 そ ブ) ことにつ いて 樹木 に
ここで コニ フ ェ リルアル コールか ら出来
る。 リグニ ) の 水での役割 はそれ だけでは
広い★ っばの 表 面か らよが蒸発す る。蒸
い上 げ ることで始 ま ,た この 話 、少 し胴 よ
ヽ
はなか力ま
か ら , ば で 、壁 に も′
さな穴 力ヽ
」
あ
るので あ る。 スギ、ヒ ノキで は仮導管 と呼
る。 しか し リグニ ンの生産 は一 部 、生物 の
ばれ 、全体 の 9 割 を占め る。 ケヤキで は仕
力では な く、空気の化学 反応 に よってい る。
7 ニ フ ェ リルアル コ ールは■物の 力
つ ま り・
事の分業 が 行 なわれ 、 その代わ りに導管 と
真l L 木繊維 とが あ る。
No429 1988年 4月 号 79
森 の科学中0
とは昔 か ら言われ て きたが 、現実 J ) 婆
ltlだ
もそ うだ とい う. そ れ に こブ) 頃 │ グニ ) も
柱 にl l T い
千夕とい うことが ぃ ゎね 〔い る。 セ
ル ロ ースが 5 削 を占め るのに リグニ ンは 3
木がちぢむ
告」
弱 だか らこれ は細 い 柱であ る。 また セル
[ 7 - ス が水 を吸 いや す い′) に、 │ ダ ニ ンは
東京大学 畏学部
キ本角l 孝
水 に用‖
染 まない。
セル ロー スと ' グニ ンで 出来て い る壁 は
に過 ぎないが 、厚
容積で は 木材 の 十分の ‐
みは 2 ∼ 3 μ m も あ り、他 の f L a 物
の壁 と比
べ て 厚 い。 この厚 い壁 は どん な 木 で も1 5
宮 山湾の海 の氏 に スギの 林がR民ってい る
, ていた状況 て 大変 に違 うが 、例 えは弥生
と声 う話 は ときどきテ レビに もでて くる。
この 魚lt埋没林 と呼 ばれ てい る スギ林 は rl
時代 に埋 ま った とい うカシの ブ 1 7 ックが 1
`
か 月で 十分以 1 1 にな , たと記 され てい る。
万年 も前 に海 の底 にi売んだ とい
千年か ら ‐
うが そのイタも化学分 析値 も今地 11にある ス
どうして こん な奇妙 な事が起 こるのか 、 そ
ど電 い 木 だ けで 普通の 末材 は よに沈 まない。
び)わけは よ くはオ
つか ってt`ない。は っき り
水が短時 間では入れ ないか らである。 つ ま
ギ と大 き くは違 わ ない。 またに 久島 の縄支
してい るの は 木材が らぢ まないで す ます手
り木 材の中 に控 つ も間仕 切 りが あ り水 は通
杉 は ヒ千 年を越 えた命 とか 。 ま ことに木の
段 であ る。 掘 りだ した らす ぐ水 につ け る。
り抜 け難 い。
形 は 人のは いな どほかぬ程長 く明れ ない も
従 って この種 の 大手な資料 はみん な水に浸
の である。
か ,てい る。
くらいの比 重が あ るか ら木材は簡単 に水 に
沈 みそ うで ある。 しか し沈 むの は シタンな
問 木の水の通路 であ るパ イプは スギ、ヒ
ヒノキの 電顕摸式 図 ( ×1 5 0 )
ノキでは仮道管 と呼 ばれ る長 さ 4 ∼ 5 m m の
か ら1 0 倍。 つ ま り正常 な木 材な ら七 Ⅲ 1 7 スが しめていた年間 もセル ロー スJ ) 分解 の
ちぢむの は見掛 けの問題 である。 らづむ
細胞が つ なが った もので ある。 つ ま り問I L
ため この木材では水が 占めて い る。 さてと
どろんて い るとい う話 は ご存 じで あろ うか 。
時 何が起 こったか は木材の造 りと洋 く係 わ
切 りとい , たが 、 そ こは二 つ の細胞の紫 ざ
も ,と も こ ちらは数百年 、 たか だか 千年余
一
の言
舌であ る力`
。 見ば っとしない こブ)話 も
ろ う。実際 、木材 は中 まで び っち り語 まっ
めで ある。繋 ぎめの壁 には細か い欠 が々 い
た もので はな く造 りが ある。 その最大 の事
てい る。 この穴 は大 半の ものが 、樹 末時代
気中 に出 たはか リブ) 末│ ル ) 細砲「
たは七 , L ロ
ー スの柱 に水が一 杯 に 人■
ゥて いた。 ところ
で七の 中か ら地 上に出て木材か ' , よがネ発
11のなかでは何 で も腐 るの を思 うと随 分不
あも年気が あることだ。 だ
が木材 の中 に80つ
か ,,そう
思議 なことではなか ろ うか 。 lllJ表
か 'ラ
の ように空気が抜 けて ちぢむ こと
風舟ヽ
分にあるか ら、木
深 くない所迄 は酸 素 も iム
だ って 考え られ な くは ない。 しか しこの空
には空 いていたか ら大地 か らの水の吸 い あ
げに使 えた。 それ が一 旦水が蒸発 して しま
った 木材では人の 多 くが閉 ま ‐
, てい る。水
程 の 力を持 たない。 そ うとすれ ば木 材は ち
を腐 らせ る微生物 も多い。 従 ってそん なPlr
気 、実 は樹 木が 大地 か ら吸 い上 げ るのに使
,た パ イブの中の水 が伐 木後蒸発 した時 に
は簡単 には木 材の中 に 入 りこめない。
ぢんでいか ざるをえない 、と い うのが程、
の
人 りこん だ ものであ る。従 って外の年気 と
は パ イプを通 り壁 に しみ こんで い く。比重
水 に浸 けておいたので は 木材 の保 存には
つ なが ってい るか ら木材が上の中 か ら空気
1 5 の 壁で も水の人 りこむ隙 問 は あ り、 水
は壁 の3 0 ? あ
までは入 り込 め る。 人 り込ん だ
水は セル ロー スの柱 の中 にあ る。
さて│ 口
│ り道 を したが 、木 が らぢむ話 に戻
なって も展ホ には適 さない。 そ こで 水の代
わ りに もっとセル ロー スに近 い化学構造 を
・
ドリエ チ レング ) コ ー ル を木材 に しみ
持つ テ
こ ませ る。 ポ リエ チ レン グ ) コ ール は空 気
ろ う。 上の中か ら掘 りだ した木材 の場 合 も
中で も揮発 しないか ら木材 の形 が崩れず 、
事柏 は同 じで ある。水 は仮 道管の細 胞壁 に
入ってい る。 壁 つ ま り七ル ロー スの柱 の 中
だ したい 古い 木製品 を展示出
博物館 はF r t り
か くて長 い問 ま
さて 、 木材が 大地の奥オ、
で は 木材 はす く腐 り、形 が な くな って しま
う。 しか し+1のなか数 メー トルで も酸 素 は
減 る らしく、 それ に乾 いていた り、逆 に水
が充満 してい る と末材 を食べ る徴生物 は育
ちに くい らしい。 そん な所 の上 に埋 もれ る
中 に出 た ときに抜 け るとい った ものでは な
tの
い。 そ うとす る と本が ちぢむのは パ イフ
と、数 高年経 .ゥ
てか ら掘 りだ され て も木材
壁 に起 こった こ とのせ いになろ う。
は元の形 を保 ってい ることもあ る。
樹木 の幹 の造 りの うち、最 も特 色が あ る
のは水の吸 い上 げ パ イプの壁 である。 それ
ところで ここで ら ょっと但 し書 きが い る。
とちちんで しま う、 3言」とか 5割 とかが ち
はセ ル ロー スな ど多糖質 と 'グ ニ ンでで き
てい る。 セル ロー スと リグニ ンは混 ざ り合
ってい るか とい うとそ うで はな く別 々にあ
ぢん で まうので あ る。 その 変 りよ うは埋 ま
る。 セル ロー スが 本の強 さを作 り出すか ら
こブ)種の木材、掘 りだ され た ときの姿 は普
通 の もの と変 わ らぬが 、間 もな くシコー ツ
7 8 技 術 教 室
なにが しかの時 間 をか けて入 り込ん だ水
す るにつれ どん な変化が起 ころ う。 七 メ
しロ
ー スは分解 してい る
。最早 木材 ブ) 形を保 つ
思 う筋 書 きで ある。
) た木材 には こ
来 ることになる。き通 の腐 ■
に よが ある限 り木材 はちちまないで すむ。
ん な性 質が ないのはい うまで もない。地 中
これ は経験的事実で ある。実験 に よれ ば水
深 く数百年眠 っていた木 だ けの持 つ 神秘 で
の量は木材の 3 倍 を こえ る。普通 は3 0 らだ
あ る。
No430 1988年 5月 号 79
れ に添 え木 をす る。 ただ し一 方は真 っす ぐ
森 の科学00
本が曲がる
テ レビ画面 に横綱千代 の富士 の力 こぶ が
ク ロー ズア ップされ る。 そ こには どん なも
のが詰 まってい る事 だ ろ う、 さぞや 普通の
人 とは違 ってい よ う。敵 に 力 を加 えれ ばそ
の分 わが身 に跳ね還 って くる、 これ は力学
の教 える所 で 、強 い 力の人 はその強 い分 だ
これ はなか なか に解 けぬ疑 間で ある。 マ ツ、
に他方 は幹 の途 中 か ら45度 に 曲げた添 え木
スギが逆 に上 面 に対 引 っ張 り力用の物 質 を
をす る。 そ して木が添 え木 に添 ってのび る
作 ったか らと言 って不思議 は ないのだ。
よ うにいつ も注意 を払 う。二 ヵ月 もたつ と
若 い木 は一 方 は真 っす ぐに、他方 は大地 と
は45度で育 つ。 この幹 の上面 と下面か ら別
ンは作 り易 い もの らしい とぃ うこ とだ。 リ
グニ ンを作 る とい う能 力 は樹 木が地球上 に
敢 えて言 えば マ ツ、 スギに とって リグニ
々にサ ンプル を削 り取 って きて分析 を して
現 われ た ときに授か った こ とは確 かであ る。
み る。 マ ツ、 スギ な ど針 葉樹 で は上 面 つ ま
東京大学農学部
そ こで古 い時代 に地 球 に登場 した マ ツ、 ス
り地面 と反対の面か らのサ ン プルは木材 の
善本知孝
ギは必要 に迫 られ リグニ ン生 産能 を使 った。
宿命的 な分析値の範囲 に納 まって い るが 、
これ は圧 縮 力に強 いか ら曲 った所の ド面の
地面 に近 い、下面 か らのサ ン プルは異常 な
°
値 を しめす 。下面 のサ ン フル で は リグエ ン
補強用 に よい。彼 らに比 べ進化 してい るポ
え る物が 曲 った幹 には必要 となる。
木 の化 学組成 は木の種類 、幹 の 上部 、下
部 を問 わず殆 ど同 じで 、 セル ロー スは50夕
あ、
ヘ ミセル ロー スは20∼30%、 リ グニ ンは20
∼30%と な ってい る この は
値 草の茎 の化
。
の害」
合が大 きい。普通 の木で30%な らば 5
プラ、 ブナは多様 な能 力 を持 って い るので 、
リグニ ン生産 とは違 った仕方 で 曲 った とこ
%も こえてい るので あ る。 マ ツ、 スギな ど
ろの補強 の仕組 み を作 りあげ、新 しい住 み
の曲が った幹 は 「あて材」 と呼 ばれ 、 その
か を見付 けて行 った。
下面 、 つ ま り 「あて」 の部分 で は この よう
に異 常 な リグニ ン生産が起 こ るが 、 それ 以
な ど広葉樹 と比 べ5000万年 以上 も古 く地球
マ ツ、 スギな ど針棄樹 は 、 ポ プラ、 ブナ
けの力で も壊れ ない ものが体 の中にな くて
学組成 とは大 変 に違 う。例 えば稲 に同 じ分
析法 を当て嵌 め る とヘ ミセル ロー スが ぐっ
は な らない。大地 に吃立 す る樹 木の幹で も
と増 える し、リ グニ ンは減 る。特 に リグニ
外 に も異常 なことが起 きてい る。細胞 の断
上で繁栄 した とされ てい る。 つ ま り広葉樹
事情 は同 じであ る。直立 した幹 には沢山の
ンは どん な植物 と比 べ て も違 いが 目立 つ 。
面が四角 よ り丸 に近 い とか 、細胞 と細 胞 と
は後か ら現 われ た、 よ り進化 した植 物 で あ
葉の重 みが懸 か る。草 の茎 な ら当然潰れ て
樹木 は リグニ ンを作 ることで葉 の重 み に耐
の間の 隙間が大 きい とか 、 それ に生長 が早
しま う告であ るが 、樹 木 は壊れ ない。 それ
えてい る。
い こ ともある。 主化学成分 に起 こ る変化 と
る。 両方 とも木 部 を作 る事 で は似 てい るが 、
違 い も多 い。 リグニ ンの 質 も少 しはちが う。
ところで 木 に重 い木 と軽 い木があ るのは
しては リグニ ンの増加のみが顕著 であ るか
よ く知 られ 、重 い木 ヨ クタン、軽 い木 キ リ
ら、樹 木 は押 し潰す力 に耐 えるため リグニ
それ に量 も。 広 葉樹 で は20∼25%の 木が 多
いのに対 し針 葉樹 では25∼30%の 木が多 い。
ンを特別 に作 った として よいだろ う。
木部 を作 るの に針葉樹 はそれ だけ大 き くリ
に耐 えるだけの もの を貯 えてい るか らであ
や
る。 曲が った幹で は ど うか。真直 く
な幹 と
比 べ業 の重 みが左 右 で釣 り合 ってい ないか
の名が よ く例 に出 る。水 を 1 と した ら、 そ
ら、 曲 った幹 では 負担 が大 きい。枝 の雪折
れ ぞれ の比 重 は0 . 9 6 、0 . 2 9 とぃ うか ら大変
さて ポ プラ、 ブナな ど広 棄樹 では事情 が
グニ ンに依存 してい るこ とに なる。 こ うし
れ の場 面 を 目に浮 か べ る と解 りやすいが 、
に違 う。 また スギは0 . 3 8 、ブ ナは0 . 6 3 。こ
か な り変 わ る。 これ らは特別 な リグニ ン作
ん なに違 うと木の化学組成 も違 いそ うで あ
るが 、 セル ロー ス、 ヘ ミセル ロー ス、リ グ
ニ ンの害」
合は比が違 って も殆ん ど変わ らな
りを しない。 それ どころか 曲が った所 の下
てみ ると木 を曲げ るの に マ ツ、 スギが リグ
ニ ンを使 ったの も一 層訳が あ りそ うに思 え
面 に工 夫 をす るこ とさえ しないのであ る。
て くる。
それ で は どうして過 大 な負担 に耐 えるか と
い。 上 に示 した凡 その 範囲 にはい って しま
言 えば 、当然上面 に工 夫 を してい る。 そ こ
針葉樹 には比較的 曲が った木が少 ない。
スギ、ヒ ノキな どを思 っていただ きたい。
う。木 の重 さは木の細胞 の厚み を反映 して
の割 合 は似 た よ うな値 なのは、樹木 は幹 を
に外 見 か らゼ ラチ ン層 と言 われ るもの を作
る。 これ はセル ロー スが中心 の物 質 で あ る。
ゼラチ ンの所 だけ を とって分 析す る とグル
コ ー スが98.5%も ある。下面 と違 い上面 は
この よ うな組成 で作 り とげ る運命 を背 負 っ
引 っ張 りの力 を受 けるので ポ プラ、 ブチは
て地 球上 に現 われ たかの ようで ある。 それ
こ うい った繊維質 を作 って 引 っ張 る力 に耐
とすれ ば 、幹 が曲が る とい うのは進化の過
が木が 出が った途端 、 この値が大 き く変 わ
えてい るとい うことになろ う。
程 で木が身 につ けた能 力 と考 えては可 笑 し
るので ある。
それ では何故、 マ ツ、 スギは下面 に、 ポ
プラ、 ブナは上面 に特別 の工夫 をす るのか 、
い ことで はないだ ろ う。
上面には引 っ張 る力が働 き、下面、 つ ま り
大地 に近 い側 には押 し潰す力が 働 いてい る。
さ
真直 くな時 にはない特別 の力で 、 これ に耐
い るが 、主化学成分 の組成 とは無関 係 なの
だ。 どん な木 を分析 してみて も主化学成分
曲が った木に力がかかる
7 4 技術 教 室
二 本の若 い木 を別 々のポ ッ トに植 え、 そ
曲が りが 目立 つ のは今 を ときめ くマ ツか 。
山が荒れ る とマ ツが多 くな る とよ く言われ
るが 、 これ は今 が良 い時代 と言 うことでは
ないで あろ うか。幹 を曲げた こともマ ツが
生 きやすい一 つ の訳 ではなか ろ うか。 そ う
NQ431 1988年 6月 号 75
森 の 科学│つ
大分違 う。 広葉樹 と針業樹 で は大 変 に違 う
本が しなう
この ことを裏付 け る証拠 は殆 どないが 、
ろか 同 じ木 で も細胞 の種類 に よって違 う。
植物か ら取 り出 した ヘ ミセル ロー スの性 質
こん な こ とか らも樹木 は 自分 に 合 うヘ ミセ
にはそん な推論 を自然 に思 わす よ うな もの
ル ロー スを作 ってい る様 が窺 える。 そん な
ために木材中 に在 るので あろ うか と言 う疑
がい くつ か ある。力 が 加わ る と簡単 に延 び
るア ラ ビア ガムはその 一 例で あ る。 それ に
も う一 つ こん な話が あ る。 4∼ 5年 前 、千
間が頭 をかすめ る。
「ヤナギが一 番美 しいの は 3月 28日 、29
供 の玩具 に 「スライ ム」 とい うのが流 行 っ
た。 この玩呉 は一 「1でい うと粘 +1のよ うな
日、30日 」 と若 い 日に教 え られ た ことが あ
ものだが 、ず っと水 っぼ く軟 らかい。 しか
工 夫の産物 の ヘ ミセル ロー スが接着 だ けの
東京 大学 農学 部
洋本角1 孝
ア ラ ビア ガム とい う言葉 を耳 に した こと
てい る こ とに なろ う。
し、広葉樹 で も樹種 に よ り違 う。 それ どこ
る。年、年 この言葉 を思 い起 し注意 してみ
し可成 りの水 を加 えて も水 が こぼれ て くる
が おあ りであろ う。液体 の糊 として郵 便局
リグニ ンは プラ スチ ック、働‖
染 み に くい両
者を 一
体 の もの とす るのが ヘ ミセル ロー ス
るが 、今年 もその 日 々は繊細 な緑が 目を楽
よ うなこ とは ない。 「スラ イ ムJは 水 を沢
の窓 口には必 ず置 いて あ った。 今 もと ころ
の仕 亭 と言 え よ う。
しませて くれ た。 その 日 々の 後。 日に 日に
山抱 え られ たか らで あ る。手 敬 りが よ く、
に よってはあ る。 これ は切 手の糊 にはまこ
重 さを増 す業 に柳 は身 を屈めて い く。 風が
い じる と思 うよ うに形 が変 わ ってい く。服
とに具 合が良 い ものであ った。 どろ っ とし
吹 けば 尚更の こと、木 が あの よ うに しな う
について も簡 単に とれ た。 これ だけ考 えて
て いて伸 びが良 くそれ でいて 切手 が濡れ 過
ものか と改 めて思 わせ られ るほ どだが 、考
も良 い玩具 とな る条件 は十分 にあ った。 可
ぎる程水 っぼ くは ない。 ア ラ ビア ガムはア
カ シア ・七 ネガル とい う木 の樹 脂 で ある。
しか しマ ツヤ ニ とは大変 に違 い 、 ア ラ ビノ
えれ ば木材 が しな うのは弓 として古来使 わ
れて きた性 質 で ある。 しな って元 に戻 る木
成 り流行 った もので あ る。 あれ は豆 の種か
らとった ヘ ミセル ロー スで作 られ ていた ら
ガラ クタン と呼 ばれ る多糖類 で あ る。澱粉
イ ヌガヤ 、 イチイ、 マユ ミ、 ハ ゼ /キ な ど
も多糖類で あるが 、澱粉 の糊 は粘 り気が少
だ ったそ うで 、 これ らの表 裏 に竹 を貼 って
な く紙 に心み込 みやすい。障 子張 りの時 に
あ るのが多 くの弓 と聞 く。梓 弓 は著名 で あ
「スラ イ ム」 は加 え られ た力 で 容 易 に キタが
変 わ った。木 の中の ヘ ミセル ロー スが そ う
木 は しな って耐え る
ヘ ミセル ロー スが木の中で作 られ てい く
るが ア ズサ とい う正式名 称 の 木 はな く ミズ
で あるか も知れ ない よ うに。
ア ラ ビ ノガラクタンの よ うな 多糖類 はヘ
ミセル ロー スと呼 ばれ る。 ヘ ミセル ロー ス
は 木の 多糖類の うちセ ル ロー スや ペ クチ ン
手順 は なか なか凝 ってい る。樹 木 は先ず セ
ル ロー スの柱 を建 て る。次 に住の周 りをヘ
ミセル ロー スで包 む。 4 月 に生 まれ た細胞
とい うよ り 「
粘 り」の ある木が好 まれ る。
バ ッ トには トネ リコ、 タモの類 が使 われ て
つ の性 質 と思 う。引 っ張 って もぬ けない強
さに役立 つ のが セル ロー ス、押 し付 け られ
い る。
て も潰れ ない強 さには リグニ ン とすれ ば 、
を除 いた ものの呼 び名だが 、普通 は樹 脂 と
してではな く幹 の一 部 として樹 木 は セル ロ
ー スの半分 に も及ぶ程 ヘ ミセル ロー ス つ
を
が初夏 を迎 える頃 、リ グニ ンが セル ロー ス
木が しな うのは木が大量 の空気 を合 むせ
の柱 と柱 の間 を埋 め る。 こん な手順 を知 る
いで あ ろ うが 、木 の細胞 の壁 は厚 いか ら、
には 、幹 の細胞 が樹 度の内側で作 られ 中心
壁の化学成分 の どれ か は しな うの に耐 え ら
大 き くしな って外 力にFrlえる とい う強 さに
寄与す るの はヘ ミセル ロー スと私 は思 う。
どの木 も20∼30夕
あもヘ ミセル ロー スを含ん
しロー スが作 られ る
くる。何 のため ヘ ミセ ブ
のか 。 5割 の セル ロー スは木 に強 さを、2
∼ 3害」
の リグニ ンは木 に木 らしい堅 さを 与
に 向 って送 り出 され るの を時間 をお いて電
れ る性 質 を持 つ で あろ う。細胞 壁が力 に よ
でい る。 これ だ けの物 が接着剤 としてだ け
顕 で観察 した り、化学成分 を測定すれ ば よ
い。 こん な ことか らヘ ミセル ロー スが接 着
り反 る ときには分子 と分子の 間 で ずれ が起
の役 を呆 た してい る とす るのは不 自然で あ
こ り、力が除かれれ ば分 子 は また元 の位 置
え る。 そ こに 2∼ 3害Jのヘ ミセル ロー スが
剤 として働 いてい る との考 えは納得 出来 る
る。 それ に針業樹 に20∼25夕
あの ヘ ミセル ロ
ー ス含量 の木が多いの に
、道 化 した広 業樹
入 りこみ 、幹 の 9割 以 上が出来 Jと
が ること
にな る。 そん なヘ ミセル ロー スの役割 はア
股 粉糊 を付 け過 ぎて紙 が破れ て しま うのは
よ く経 験 す る。
の強 さ。弓 に使 ったのはヤナ ギではな く、
メ らしい。野球 の バ ヽ
ン トにな ると「しな う」
、
しい。 あの 「スラ イユ
」 の規 水性 、粘性 は
ヘ ミセル ロー スの性 質 をよ く代表 してい る。
木が しな うとい うの は木 の強 さを示 す一
もの となる。
コ ↓ロー スは どの 木で も同 じとされ てい
に戻 る。 こん な事 を木材 の どの分子がで き
るで あろ うか 。 セル ロー スか 、リ グニ ンか 。
セル ロー スは結 晶 とな ってい るか ら大 きな
には25∼30らの 木が 多い。 これ も空想 を誘
い 、広葉樹が ヘ ミセル ロー スを使 って 「し
ラ ビア ガムの よ うに棚 として、 セル ロー ス
る。 リグニ ンは広 葉樹 と針業樹 では少 し違
伸 び縮 みには耐 え られ ない。 リグニ ンは プ
なって耐 える」 と言 う高級 な構造 を一 層党
と リグニ ンの接 着剤 として入 りこむ とされ
うが 、 これ も木 に よる違 いは少 ない。 これ
と比 ベヘ ミセル ロー スの中身 は 木 に よって
ラスチ ックの ご と くあ るか ら融通性 は少 な
肇 なものに仕上 げた とした くなる。余 りに
い。す る とその役 はヘ ミセル ロー スが担 っ
突拍子 な考 え方 で あろ うか 。
てい る。 大まか に言 えば セル ロー スは紙 、
7 4 技 術 教 室
陥432 1988年 7月 号 75
森 の 科学10
木の防御
ヤ ニ は木 を長持 ちさせ るの に 役立 つ か ら
木の強 さの秘密 の一 つ で あ る。 そ して ヤ ニ
こん な スギ クィム シが幹 の なか にはい りこ
む と木 は抵 抗 を始め る。乗細胞が外敵 侵 入
を生 み 出す仕組みは次 の よ うに樹 木 独特 の
′)情報 を受 けて活 動 を開始 しヤ ニ を生産す
もので あ る。幹 の 木部の細胞 は樹皮の内 側
る。作 られ た十 二は心 み 出て い って スギ ク
、シを包Ellす
イユ
る。 ヤ ニ は木喰 い虫 に とっ
で作 られ 、 9割 はす く死んで しまう。 ヤ ニ
を運 ぶ パ イブライ ンも これ ら死んで しまう
もの とともに出来 る。 しか しこの時 には中
東京大学農学部
洋木知 孝
幹 を バ ッ トで叩 いた り、先で な ぐった り
とい うことは子供 で な くともや るけれ ど誰
るのである。
「人を切.,たら血 が出 る、本 を切 った ら
も木が倒れ る とは 思 っていないか ら出来 る
ヤ ニが出 るJ。 そん なわけで あ ろ うか 。 血
身 の ヤ ニ は まだで きてぃない。 パ イブの 中
はをで あ る。 しか しパ イプライ ンの周 りに
ところで 十 二 を作 る柔細 胞 は /tさ てぃ る。
木は何 十年 、何 百年 も生 きるが 兵細胞 は 何
ヤニ を作 る乗細 胞 (樹8旨
細胞 とも呼ぶ )が
年位生 きるの だ ろ うか 。細胞 が生 きてい る
あ る。柔細胞 は 1害Jの生 き唆 った細胞 で あ
か ど うか とい うことは綱胞 の中身 を調 ベ オl
ばわか る。大 い木 を切 り倒 し、外 か ら柔細
胞の生死 を調 べ ると十数年 、場 合に よ り数
のだ ろ う。 木 はそん な傷 では死 なない もの
は身 体中 を耐 えず 循環 し、 山1管が傷 つ くと
る。 これ が少 しずつ ヤ ニ を作 る。作 られ た
ヤ ニ は パ イ ブラ イ ンにi留まってい く。 そ し
て幹 が傷 付 け られ た とき十 二 は外 に出 るの
と決 め 付 けてい るのだが 、実際 には ど うで
る。 十 二 も似た ものか と何気 な くは
幌 lHlす
だ。 パ イ ブライ ン とい う呼 び 方を して きた
あろ うか。 た しか に木 は強 くその程 度の傷
思 うが 、こ の比喩 は良 くない よ うだ。 ヤニ
ものは専 門的 には樹精道 とい う。実 は これ
には耐 えるが 、傷 をその ままほお っておい
は血 よ り少 ない。 細抱 全体 での割 合で ヤ ニ
イ
の 六 イブラ イ ンは 1ら 弱 に過 きない。 それ
は特 別の細胞で はな く、細胞 と細 胞の隙間
て はい けない。 ち ゃん とT l 創言 を貼 ってお
くので ある。水絆 台け富; のよ うな液体 を幹 の
゛
中か ら出 し 〔傷 日を実 く。 つ ま リヤ ニ を出
て毒 なので 、木喰 い虫 はそれ 以 L内 部 に侵
入で きない。
に十 二 は幹 を絶 えず 循環 して いる訳で もな
であ る。 マ ツの仲間で は必ず この よ うな隙
間がで きる。 マ ツ以外 に もヤ ニ を作 る木 は
十年 も生 きてい る。 つ ま り木の 中 の方 に も
生 きてい る細 胞 、つ ま り柔細 胞が存 在す る。
それが ヤ ニ を作 る。柔細胞 は 全体の 一言」
程
度で あるが 、 それ が何十 年 も生 きてい る と
い うのは随分不思議 な事 で はなか ろ うか
い。傷 11のヤ ニ は幹 の中の何 処かに紹 まっ
多 く、 スギ、 ヒノキ な ど針 葉樹 は皆 ヤ ニ を
。
大体 の生 物 は細胞 を次 々に作 り替 えてぃ く
の に、木 は乗細胞 を何 十年 も保存 してぃ る
■に代 わ
す 。 そオt か ら長 い時間 をか けて ヤ ど
ていた ものが傷 ││に温れ て きた もの に過 ぎ
作 るが 、 これ らの大体 の木 にはヤ ニ を運 ぶ
ので あ る。
って 新 しい細胞 をつ くり元の姿 に戻 してい
ない。 ヤ ニが同 まるの は 、外気 に触れ た と
きに十 二の 内の揮 発 しやすい部分 (精油 と
樹指道 が ない。 スギではャニは 乗細胞 か ら
木は長寿である
7 6 技術 教 室
傷 ロヘ心み出てい く。
木が風雪 に耐 え、 人げ)実感 が及ばぬ 歳 月
い う)が 年気中 に 飛ん だためで ある。精 油
柔細胞 は常 にヤニ を作 り続 けてい るか と
生 きてい られ るのは木が強 いか 'フ
だ。 本は
確か に物理的 に強 い。 しか し物理 的強 さに
が飛ん だ 後 に唆 って 人の 日に触オLるの は滑
りILめに良 く使 うヤ ニの一 部松月
旨 (ロ ジン
い うと決 してそ うではない。傷が つ い た と
は限 界が あ り、耐 え られぬ 力 を受 けた とき
い う情報 を得 る とヤ ニ生産 を始 め ると言 う
木 は少 しず つ くずれ る。 くずれ た 後 どうな
とい う│で ある。 この よ うな手順 は山1液の
方が む しろ 普通 で ある。良 い例が木喰 い虫
焼国 とは まった く違 う。
侵 人の場 合で ある。木喰 い虫 では マ ツ クイ
るであろ う。放 ってお けは 木 も生物 だか ら
他の生 物 の侵略 を うけ る。何 かが くずれ た
血液 とは違 うけれ どヤニ も防御用物質 で
ム シは有名で 、 マ ダラカ ミキ リについ て連
ばれ る材 線虫が マ ツを食 い 荒 らす とい う。
ところの補強 をや らね は な らない。何かが
あ る。動物 の血 液 は 免疫作用 を持 ち異物が
人って きた ときそれ を異物 と認識 して防御
しか し スギの スギ クイム シ も これ に劣 らな
物質 を作 る。 この よ うな こ とが樹木 には 出
い 大敵 で あ る。 この虫 が つい て も樹木 の 見
来 ないが 、 ヤ ニの 絆 創言 が傷 口を柔 くだけ
か けは変 わ らない。枯 れ るほ どにはな らな
この場面で 木 は何 十年 か生 き続 けた案細胞
を使 うのであ る。木 の長寿 が この イく
思議 な
♂うもび)な び)か とい うと、そ うではないび)'ど。
いが 、切 り倒 して中 をrlPぃ
てみ る とこれ は
傷 1 1 を室 ぐため に使 ) たヤ ニの なか には殺
業細胞 の使用 と関 係が ない とは思 えない。
見か け とは大違 い 、あ ちこちに穴が あいて
南斉J も入 ってい るので あ る。 ヤ エ はホ絆 印│
:と
畠 い うよ りこの 頃流 行 の バ ン ドエ イ ドに
細胞の保 存よ り作 り替 えの 方が 大抵の生 物
しまい 、材木 としての 商品価値 が台無 しに
の選ぶ ところで あ るの に木 は あえて保存 を
な =っ
てい る。 この害 は 馬庇 にな らない。幹
選ぶ 。
似て いて 木 の物理 的 な保護作用 とともに化
が スギ クイム シに よ り物理的 に弱 くな り大
学的 な防 由作 用 もお こな う。
きな台風で林 が薙 ぎ倒 され た こともあ る。
とい うと木の持 つ生物化 学 的働 きがで あ る。
具体的 には柔細胞 に よる十 二の生産で あ る。
木 よ り長寿 の生物 はい ない。木 の強 さは
何 と独特 な こ とであろ うか 。
No433 1988年
8月 号 77
森 の科学やつ
出来 るか ら中心 に近 い もの ほ ど古い。 だか
木のいのち
東京 大学 農学 部
洋本角l 孝
‐
斉 に葉が出 るときの原料 となる。 そん な
ら中心 部 の細胞 は長 4 1 きの 証 人 とな りえる
とさ l E 合成で作 ら, t る砂格 G は 1 宗
料が足 り
ことに なる。
直径 3 メ ー トルの ラワ ン材 な どとい うの
なt ヽ
カギ, 実細胞保管 プ) もJ ) を使 う。 また車
↑
に傷がイ
すいた ときに ヤニカ`
出 るが 、 そブ) l L j h
に出会 うが 、生長 は 1 年 1 セ ンチ といわれ
料 に も使 う。 これ だけて も乗細砲の仕 事 は
てい るか ら、3 0 0 年も古にで きた この 中 心
可成 りな もので あるが 、 それ に 1 に
まらない
部の細砲 に 木の長生 きの秘密 を探れ まいか
の G あ る。
と思 うが 、そ うはいか ない。中′
b 部! の孫
日打
包
は樹 皮の内償1 で作 られ 、作 ' サ
乗細5 包
イ│ た
u
t
然
ものは幹が 太るに連れ て外 界か ら
離れ
てい く。 空気 は徐 々に少 な くな る し、 日 り
は皆死んで い るので ある。生 きてい る細 胞
にあ る筈の小器 官 が これ らの細胞 には 全 く
木の寿 命が どの くらいであ るか とい うの
と呼ぶ ところで
細胞 は樹皮の内側の形 l J k 層
無 い。 こ うい った細胞 内 の 小 格官 の 有無 を、
は 簡単 そ うでいて正確 には解 りに くい。長
で きる。 この形成 層の細胞 はl l l y ) 先
端 の細
切 り倒 した 直後の九 太の中心 部 か ' ) 外に 向
キ の 木 を切 り倒 して年輸 を調 べ るな とは勿
砲 か ら分裂 して生 まれ た ものだか ら梢 の細
って 調 べ てい くと、小器官 の ある細胞 に出
論 出来 ぬ ことだか ら、例 えば 同辺 の似 た木
胞 は 大 先輩 とい うこ とになる。 文形成 日の
会 うのは 日
丁成 り樹皮 に近 い所で ある。樹 皮
で正確 に年齢 の 解 った ものか ',日標 の木 の
細胞 は どうなるか とい えば 、分裂 した とき
常 にその片割れ を残 し自分 は外 側 へ退 く。
側か ら数 えて2 0 年輸 ぐらいの所で あろ うか 。
年 を推定す るな との方法があろ うが 、 それ
で も これ ぞ lL確とい う仕 方はない。し か し
退 いた ものが次 の分裂 を する。 勿論形成層
い うのでは ない。 それ らの1 0 り
ぅくらいに 小
世 の 中 には格 別 に 良考 と言われ てい る木が
の細砲 は木 の周囲 に沿 って も分裂 す る。 こ
器官 が あ るに過 ぎない。 こん な傾 向は樹皮
ら樹皮中 を循環 して きた階 分 も使 う。 そ し
て柔細胞 は生 命活動 をや め る。細胞 が1 0 年
畿 つ か在 る。 「
森 林女老、
携」 とい う林 野 ヴ、
うしてキタ
成 層の 外、つ ま り中心 に近 い 方に
済 会の 末に よる と、2000年とい う スギが 高
細砲 が蓄 まって い くにつれ 、 木は大 くなる。
の ところまで続 く。 つ ま り最近2 0 年間分で
は全細 胞の 1 割 ( 2 年 輸 相当 ) カ ミ
生 きてい
るが 、仕亭 をや る とい うの も奇奇に怪 であ
知県 大豊町 にある とい う。 これ は周囲167
メー トルで あ る。 尤 も最 も大 い 木 は鹿 児島
県市生 ブ)大障 とされ242メ ー トルで 、 これ
贋次形成 層に近 い似1 に
後で生 まれ た細胞 は‖
るこ とになる。事情 は3 0 0 年間 分 取 って も
る。
それ も全ての細胞が小器 官 をもってい る と
同 じで 2 年 輪十
日当が生 きてい るに過 ぎない。
こん な ことは こう単l t に言J り切れぬのは 言
は樹齢 820年とされ てい る。 面 白 い こ とに
うまで もない ことで 、数値 は樹種 ご と個 体
ご とに違 うか ら上 の話 は 大 まか な傾 向に過
背 の高い木 に長寿 の ものが 11記リス トに 余
り見当 らぬ 。樹高55メ ー トル、樹 齢 1300年
とい うク スが高知 県遠池 にある とされ てい
の細 胞 か ' っ
のF E 迫もな くなる。 来細胞 は年1
きてい く力 を少 しず つ 失 う。 この と化 して
い った 乗細胞 はやがて 命 を' 〔う事 にな るが
・
その 向前 に仕 事 をや る。 莱細 胞 はデ ン フ)
を使 ってヤ ニ」) 生産 を始め るのであ る。 白
tン
分が貯 めていたデ ン ブ だ けで な く、業か
も生 きてい ること白体が不 思議 なことで あ
さて この 「老後の仕 事J は 何のためだろ
う。基 ぐ傷 卜i もないの た。 わ けは出来 たヤ
ニ を調 べ てみ ると解 るブ) だか 、 それ ' っ
のヤ
ニ は微生物 に毒 な もす) ばか りであ る。 それ
ぎない。 そ うではあるが 、 「木 材 は生 きて
に顕微党 で 見る十 二は 乗細胞 内 に止 ま ' っ
ず
い るJ と い う言 い方 は下 し くない。
同囲の細胞壁や、細胞 の 出 人 1 1 にくっつい
るが 、 その他の /ッ ポな 水は 人体 500年 ぐ
2 0 年 も生 きてい る細 胞 は 乗細胞 と呼ん で
らいで デ ブの木 には1000年位の ものが 日白
い るもので あ る。前 可 ( 8 テ] 号 ) ヤ ニ を作
ニのせいで 、本 を食べ 難 いの が想像 出来 る。
押 しなの と対照的 で あ る。 人と違 い 木 は肥
る細胞 と紹 介 した ものの仲間で ある。木 の
が長寿 だか F,末の敵 は風 とい うことに
lrt体
細胞 は堅 く、強 い と繰 り返 し紹 介 してい る
の に、 「
楽」 な どとは変 だ とお 考 えの 向 き
細胞が生 きていれ ばそれ な りに エ ネ , レ
ギ
ー を食 う
月が経
ち
。年
柔細胞 と樹 │ えとの距
なろ う。
木が他 の値 物 と比 べ 長仁 きなわ けは幾 つ
もお られ よ う。幹 の 普通の細砲の仕事 は 水
てい る。 外か ら幹 に 人 り込ん だ 微生物 はヤ
離が増 大すれ ばす る程 ヤ ニ を作 って 傷 口を
か あ るに遠 いない。で も何 にを
と日→″[ば秘
の道通や樹体 の維持 で あ るか ら確 か に堅 い。
埋 め る仕事 も減 る。 化 きる力 も弱 まる。 こ
の まま老い さらば えるよ リー仕事 とい うこ
密 に近 付 けるであ ろ うか。 木 の体 の中で長
生 きに付 き合 って 最 初か ' , 最後 まで存在す
ところが 兵細胞 の平常 の役青1 は益分保管 で 、
とであろ うか 。柔細胞 は生 命体 としての最
樹体保持 な どを しな くて よい。 そ こで造 り
るもの はなんで あろ うか。 それ は l l t の
先端
が柔 らか く 「じ, Ⅲ
う」 の冠 が付 いたの で あ
後の 仕事 、木 の防 腐斉」
作 りをす る。
本の長 f F の秘密 には とて も触れ られ なか
ろ う。保管 益分 はデ ンブンや惰防であ る。
っが 、木の 仕組みの 合理性 には らょっと立
これ らは1可に使 うか とい うと、例 えは春 に
ち人れ たので はなか ろ うか 。
の細胞 と、昨 ブ) 中央の細胞で あ る。何故 そ
うか を述 べ るには少 し回 り道が い る。 幹 の
8 2 技 術 教 室
屋久 島の縄文杉
No434 1988年 9月 号 83
赤」 は丸大 の中心部 の赤 なので ある。 この
森 の科学19
本 のいろ
色の付 いた部分 を心材 と呼 んで 、 周囲の赤
ないはすで ある。 しか し リグニ ンの色 は リ
グニ ンの一 部 の異常 に よ り生れ 、異常 は樹
みの ない ところ辺材 と区別 す る。
種 に よ り少 し違 うせいで現実 にか な り色 白
の木 とい うの もい く種か知 られて い る。 シ
ナ /キ や オ ー クな どはその例 で 、 白い木 と
して選 ばれ てい る。 それ にお棺 には白以外
の色が 日本 人に とって考 え られ よ うか 。 こ
れ はモ ミが よ く使 われ る。
東京大学農学部
羊本 知孝
ぬ り絵 で木材 が出て きた らどん な色 で塗
ー
ります か 。 茶色、 ク リ ム色 それ とも黄色、
そ うあ らた めて言 われ る と困 るか も しれ な
い。 「
木 は木の色 さ」 とい う こ とに な るか
も しれ ない。 そ う言 いた くな るのは木 の色
に随分個体 差が あ るか らで あろ う。木 の種
類 に ち ょつと詳 しい方 な ら色名 が入 った名
をい くつ もあ げ られ よう。 白檀 、紫 檀、黒
エ
檀 、黒 柿、赤 ラワ ン、 レ ッ ドウ ッ ド、 イ
ロー メランチ、 グ リー ンハ ー ト、 ク ロマ ツ、
ア カマ ツ。最 後 の二 つ は幹の色 だが 、先 ず
大抵 の色 の種類 が木の名前 に入 って い る。
い ろ と りど りの木材 が ある とい うわ けだが、
そ う名の ついた木 は色が原色 の赤 、 原色 の
青 で あ るか とい うと勿論 そ うで は ない。 木
赤 みが か ったJ木
の色 プラス赤 、 つ ま り 「
紫色 をおび
材 、木 の色 プラス紫 、 つ ま り 「
ワン
ラ
、紫檀 な ど
とき赤
うな
た」 木材 の よ
と呼 んで い るので あ る。 そ うす る とや つぱ
り木 の色 とは何 か とい うのが重要 になって
しま う。
木 の色 の定義 は勿論 ない。 そ こで私 は考
えるの だが 、木 に特別改 まって色 名 をつ け
て呼 ぶのは、 その本の色が普通 の本 の色 と
遅 っ所為 だか らで はないだ ろ うか。 そ うと
す ると普通 の木の色 とは取 り立 てて木 の名
に使 われ てい ない色 とい うことになろ う。
それで は、木 の名 に取 り上 げ られ てい ない
色名 はなん だろ うか。 それ は洋 の東西 を問
8 2 技 術 教 室
ところで人の植 物 の色素 へ の執 念 は草木
染 として強 く現 われ て い る。 それ は花 や葉
の鮮やか な色 を自らの身 に着 ける願 いで あ
わず茶色、 また は ブラウ ンで あ る。 ブラウ
ンラワン、 チ ャマ ツな どとい うの は聞 いた
ことが ない。 茶色 に濃淡 は勿論 あるが、 そ
れ が茶色 であ る限 り、人 はそれ を木 の色 の
範 囲 と見て しま うので あろ うと私 は思 って
い る。
木 の茶色 は どん な色 素 のせ いで あろ うか。
それ は紛 れ もな く木で な くて は出ぬ色 で あ
り、リ グニ ンのため と考 え られて い る。 ど
ん な種類の木 も リグニ ンを持 つ し、他 の主
ー
ヘ
ル ロー
化学成分 で あ る セル ロ スや ミセ
ろ うが 、植物 の色 素 は実用 になるほ どに多
紫槙 (濃い心材部が 柴)
量 にはなか なか に取 り出せ ない。 大体 は色
樹木 は幹 の 中の方 を赤 く染 め る、心材 の
素以外 の植物 エ キ スに鉄 、 アル ミな どの媒
赤 はい ってみれ ば こうい うこ とであ る。木
染剤 を加 えて色 を出 してい る。木材 か ら色
の細胞 は樹 皮の内側で作 られ中心 に 向 って
素 を取 り出すの も勿論困難で 、限 られ た種
お くりこ まれ るか ら、赤 の所 もか つ て は 自
類の木材 が色 素 の原 料 として使 われ たに過
か った。 そ こで樹 木 は赤 く染 めた とい うこ
ぎない。今 も使 われ てい る もの に中米の ロ
とにな る。 この赤の色素 は リグニ ン とは可
ッグウ ッ ドが あ り、 これ は京染 めの黒 にな
成違 った仕方で出来 る。 それ は、木 の不思
ってい る。 もっともこの場 合 も実際上 は媒
議 の一 つ として前 回紹介 したが 、樹皮 の 内
染剤の世話 にな ってい るが 。
スには色 を生 む構造 が ないか ら、茶色 が リ
グニ ンの所為 とされ て い る。
側で作 られ た細胞 の うちの 1割 を占め る柔
さて こん なに も人が関心 を払 う木の色 は
細胞 の仕事で ある。柔細胞 は10年以上 も生
樹木 に どん な意味が あ るのだ ろ うか 。樹 木
さて茶色 に付 け加 わ った色 、つ ま り赤 ラ
き、抽 出成分 を作 って死ぬが 、 そのひ とつ
は どうして幹 の なか を赤 く染 め るのであ ろ
ワンの赤、黒檀 の黒 は リグニ ンのせ い とい
うわけ にはいか ない。何 故 な らこれ らの色
は樹種 に特有 の もの だか らで ある。 この付
け加 わ った色 は木材 の含 む抽 出成分 の所為
一
と普通 いわれ る。 般 に抽 出成分 は樹種特
有 だか らで あ る。
こ うい うと 「はあ、 な るほ ど。 違 った原
因 なのですね 」 と言 うことで終 わ りに な っ
が色素で あ る。
うか。 木材の周 りには樹 皮が あるか ら、樹
心材 とな るときに樹 木が作 る抽 出成分 は
木が生 きてい る間 は木材 は陽 に 導 らない。
木の種類 に よって違 ってい る。色素 も同 じ
花 の色素 は陽 に 当 り様 々な色 とな って昆 虫
で 木の種類 で大変 に違 うか ら、様 々な色 の
た ちを誘惑 す るが 、幹 の色素 は これ とは意
木材 が存在す ることになるので あ る。 そん
味 が違 う。幹 の 内部 は色が有 ろ うが 、無 か
な多様 な木材 の色 は人 に とって憧れ で あ る。
ろ うが誰 に何の影響 も与 えない。 そ うとす
清潔 な ヒノキ、暖 かい スギ、 こ うい った 印
象 は薄黄 (ヒ ノキ)、サ ーモ ン ピ ン ク (ス
けるので あろ うか。 思 いつ くこととして は
る と何 のために樹 木 は幹 の中の方 に色 をつ
て しまいそ うで あ る。 「そ う簡 単 に害1 り切
い。ち よつと
らないで」 と私 はお願 い し'こ
ギ)と 言 った色ぬ きには考 え られ ない。 そ
木の色素 は色 が 目的で は な く、他 の 目的 で
れ に白い木 とい うの も人が強 く求 め るもの
作 った もの に、 た また ま色 が あった とぃ う
木 の色が木の何 処 にあ つたか思 い起 こ して
なの を気づいてお られ よ うが。木 の茶色が
ことくらい ある。 そ うとしか私 には考 え ら
リグニ ンのせいで あ り、リ グニ ンは木材 の
れ ない。
ほ しい。 丸大 の断面 ( 木口 とい う) を 目に
心部 だ けが赤 いの を思 い 出 さ
浮 か べ る。 中′
何処 にで もあるか ら辺 材部 も白 と言 う木 は
れ たで あろ うか 。 樹種 に よって は薄黒 い 中
付 け加わ った
心部 の もの もあ る。 つ ま り 「
NQ435 1988年 10月号 83
森 の 科学10
呼 ばれ る こ とも多いが 、 この 木 片 をお湯 で
‐日も煮 ると
、真 っ赤 な液が出来 る。 これ
に紬 を漬 けて 何炉1 も男の作業 者が もみ込 む。
泥染め
赤 く染 まった紬 は山間の泥 日に もち こまれ
る。 こん どは泥水 に納 をつ けて何 回 ももみ
込 む。紬 の赤 は ―
層確 か な もの となる。水
で好 く洗 って一 1 可日の作業 は終 わ りと声 う
東京 大学 黒学 部
持木知 孝
南 の奄 美群島 はサ ンゴ昧 に囲 まれ てい る。
ことにな り、染 まった紬 は再 びテ ーチ 木 の
煮汁 に漬 け られ る。 もみ込んで納の赤 は深
ま り、泥染 めで黒ず む。 こ うした作業 が1 0
唇赤 い。 その赤が鉄 分 な どの煤 染作用で深
回 、2 0 回と繰 り返 され る と、紬 の色は黒 に
ジ ェ ッ ト機 の 上か ',海岸線 を日で通 )てい
まる。 タンニ ン分が 多いせいで あ る。 シイ、
近 くなる。2 0 数回の作業 で 大島紬の泥染 め
くと海 の 青に海岸の 向いT/1/が
良 く映 えてい
カ シな どに も タンニ ンは 多い。 タンニ ンは
は完 了す るが 、 その色 は黒 であ る。 そ して
る。 その背 後の ところ どころに ホ い,大
地が
alRく
。 そ して森 の青が延 々と続 く。 サ ン」
シイの 実 の苦 さ も41む。こ の タ ンニ ン分 は
が った黒 こそ大島紬 の泥染 めの
泥で染 め 十
二
鉄 や アル ミに 向会 うとホやま色 に発色す る。
色 として世 の なか にひろ まる。
礁 に出来 た大島 新空港 にお り草 を走 ',せて
これ は 草木染 で媒染 として 知 られ てい るこ
みて森 の青 が常 禄樹 の海 で あ ったのがわか
とであ る。実 は シ ャ リンバ イを斧で切 った
った。 木 々は 大地 にへ ば りつ き、た 地 が 末
々に覆 いつ くされ た よ うに見える。 本州の
ときに付 く赤錆 は にに タンニ ンの色が鉄 の
商品 に泥 を使 うとい うの は何 とな く阿‖
染
まない。 しか し思 えば泥の利用の 一つ には
ヨ ー ト紙 が あ る。 雑誌 で写 真 な どの印刷 に
媒染 作用で強 まったせいの もので ある。
使 って あるあの紙 で あ る。泥 つ ま り精上 が
よ うな スギ、Lノ キの林 が ないせ いだ ろ う。
普通 の 中木染 めでは媒染 を電 の灰 に求 め
紙 全体 の 7 割 も使 って あ るため表 面がす べ
す べ してい る。印吊1 イ ンクが好 く付 き、写
延々と続 くシイ
大島紬は泥 に漬 ける
それ に奄美 大島 には平地が少 ない。 それ が
ち
層 木 々の生 命力 を強 調 してい るよ うで あ
て きた。草木 が燃 え 、唆 った灰の なか には
る。少 ない 平地 を支配 す るの はサ トウキ ビ。
が残 っていた。 それ を利 用 したのであ る。
真 の よ うにデ リケ ー トな ものの表現 に都 合
が よい。 コー ト紙 は 目方 か ら言えば紙 と言
大地 は ホ く、農作 には 合って い ないのであ
ところが奄 美 では違 っていた。 代わ りに何
うよ り上で あるけれ ども、仕 上 が り画の滑
して な りた っていたのであ る。 南国 とはい
ろ う。奄美 の 自然 は 大和の国のそねンとは可
を使 ったか。 それ は奄美 の空か ら見 えた大
らか さは他 に比す るもの はない。
え、冷 たい水の なかで 日 々仕事 を しなけれ
戊違 ってい る。
地 の赤に関 係が あ る。
奄美の林 を支配 す る イタジイ、 それ に シ
ャ リンバ イは 大きな木ではない。 曲 ってい
、、鉄分 な ど
車木が持 っていたアル ミニ ウ″
こ美 の上の 赤 は紅 の赤 である。 こん な土
F L で染 めた大島紬 ( 泥大島 ) に も人肌 ヘ
い。何 せ 全体 で 今 も200億円 に もな る産業
であ る。 あ る時期 には400億円 に もな ,た。
それが近代科学 と離れ た染 め方 に強 く依存
ば な らない。 それ は どん なに 大変 な こ とか 。
の嗣1 染み 、軽 さに独特 の ものが あ るとい う。
)に くい環
離島 と言 う、近 代工 業 の成 り立 イ
には鉄 分が 多い と言 われ る。 その なかの 2
土地 の試 験場 の分 析 に よれ ば 、l F L 大
島の 日
境 だか らこそ存続 して きた産業 なのだろ う。
て しか もなか なか堅 い。作 も折オ
tん ばか り
価 の鉄 には灰の 中の鉄分の よ うに媒染作用
方 の 3 割 は生地 に心み込んだ 上に負 って い
東京 ではそん な想像 を していた。しか し「そ
で 切 り倒 して 見る と年輸が 大変 につんでい
が あ る。 自 ',の大地 の この特 色 を奄美の 人
るとい う。 色 だけで な く風 合い も請物 に と
れだけで ない」 と、私 は奄美 の土地 に足 を
る。 それ は育 らの悪 さを示す。 切 った面 に
は 卓木染 に使 ったので ある。紡 いだ 糸 を シ
つ けてみてそ う思 いだ した 。平地 の 少 ない
合の鉄 分が赤 くこび りつ くの も特 色で ある。
ャ リンバ イの煮汁 で染 め、 これ を大地 に も
って重 要 なのはい うまで もない。 もし世 の
‐
般 の灰媒 染 に よった ら泥 大島の風合 いは
こん な どの こ とを と りあげて も これ らの木
生 まれ なか った。奄美 の 上を媒染 に使 うと
てい る森林 、
豊かではない 七壌 と赤 い 上、
六
が 木材 として使 いに くいの を示す 。 奄美 の
とす。 大地 の鉄 分 に よ リシ ャ リンバ イの赤
は一 層強 め られ る。 しか も鉄分 の媒染作 用
い う祖先 の知恵 が独特 の産 物 を奄美 に生ん
調 に代 表 され るよ うな友 しい民品 、 こん な
山 に本 州 の よ うな林業 は育 た ない告 で ある。
で 示が布か ら落 │)に くくな り堅年 な反 物が
だので あ る。
風上 に人 々が愛 若 を持 て ば 、 そ して 人 々が
大島 に紬 産業が発 達 したの は約 1 3 0 0 年も
大島紬の染色法 には泥染 め 、泥藍染 め 、
忍耐強 くあれ ば 、泥染 めが 化 まれて くるの
告 とき くが 、その染料 に シ ャ リンバ イが使
`
る。
ILtt L力
P L で染 めた大島紬の色は黒で ある。納 の
化学染 色 そ して草木染 めが ある。 泥 、泥藍
染 めはテ ーチ木 を一 寸程度 に砕 く所か ら始
まる。 シャ ) ン バ イは土地 ではテ ーチ 木 と
は極 めて 自然の ように思 ったのだ。泥染 め
われ だ したのは 明治にな ってか らとい っ。
シ ャ サン′ミイの 材 も4 ナし赤t ヽ
が 、 者 i l は一
染 めの 占め る害J 合は 5 年 前 までは 8 割 、今
は経 済行為 に 1上
まらず 、文 化 であ ると私 は
は 5 割 強 とい う。 その 占め る重 みは今 尚重
思 う。 大島紬の黒 はそれ だ けな く人を打 つ。
7 4 技 術 教 室
土地 、 シイや シ ャ リンバ イに埋 め 尽 くされ
No436 1988年11月号 75
森 の 科学中つ
流行はライ トブル ー
東京大学農学問;
持本 角1 孝
色 を管理 しなけれ ば商売 に さしつ か えて く
) 持い
間が たてば経 つ は ど何か につ け 〔海 す
る。 ここに も木材 を扱 う人間の生 きがいが
て くるものであ る。 たで 変色す る能 ブ
J も切
存在す る。 では色の コ ン トロー ルは どうし
てや るか 、 大低 は 水分 の調節でや られ る。
り倒 して枚 ってお く時 間が 多けイ1 ば 多い 柱
‐
少 な くなる。木 か落 ちつ い てくるのだ。 )
水分が な くなる と切断 後急 に進 む変色 は抑
) とい
ま り少 々の時 間来譜 の陰 にあ , たか す
え らイ1る ことが 多いか らで あ る。
「
額 を外 した らぼ っか り跡 が ついて とっ
って 、 そ こだけが 変色 し唆 る とい うことは
ない。 切 り倒 してす くブ) 木とは違 って たに
て も困 った」。 こん な ことは 壁 紙 で も よ く
当 ) たか らとい って位 い時 間で色が 4 わ る
起 こるけれ ども木では コ ン トラ ス トが鮮 明
で ある.
な どとい うことは起 こらないわ │ 十
iい
力た
こうい ヤこ1 生
質 を使 えば楽譜 ′) l ltlつ
であ る。額 の陰 には光 が 肖た らない。 光 が
る程 に 末の 色の変 わ りよ うは激 しい。
あた る と木材に色系が生 まれ 、 見た 日に額
ビア ノは生 まれ に くい。 ここが 木材ブ) 技術i
この更 は とて も涼 しか . ブ
た所為か 、 東京
では ブー ′( ンの 女性 が 日につい た。 虜に入
前に 110月 号)に おゝ
れ た よ うに木 の色 は
ペ シキの色ではな い。 色で木肌が蔽 われ る
の陰 を白 く浮 きだたせた訳で あ る。 そん な
者の晩 の 見 せ所 になる。
ときには どうす るか。 ばたばた1荒てて もど
れ た 六 ントとよ く釣 り合 うのか しらとも思
とい うのは │1本人の好みには 合わ ない。 木
うしよ うもない。放 ってお くこ とで あ る。
こうい った ことで 全て力H斉めは蚊 いは ラ
イ トブル ーの 木材 は現 われ ないてすんだの
・て 兄た りもした。流 行 は誰か が作 るもの
の 茶色 に どん な色 をのせ るか 、 そののせた
木材 の変色能 力は無 くな ってい るわ けで は
か も拍れ ない等 と思 うブ)だが 、 まあ聞 いて
で もない 、や は り何かのわけで 生 まオとるも
色が木の色で あ る。 ヒノキは黄 色、 スギは
ないか ら白い ところ もたにあたれ ば少 しず
,木 村 を10年
いただ きたい。 切 り倒 してか ′
の と啓、
は思 うものだか ら。
赤色 とい う言い 方で あ る。 木には赤 ラワン、
つ 色が請 いてい く。額 の境 が完 全に消 え る
も20年 も放 っておいてカギ,使 うな と 上t―)
黒 使 な どとい う呼 び 名が あるよ うに様 々な
わけには いか ないに して も時 間が任 Cば 兄
時代 は凡そ消費 を美徳 と'る この収 と離イt
色の 木がある。 そ こで 色の流 行 りに応 じた
は えはず っとよ くなる告 で ある。
た位置 にあ る。 強 色 しない木 材 を も ,と11
今年流 行の 木材の色 を ご r F じですか 。
珊瑚秩の海の ライ トブル ー、 なん とこれ
が 今所[行ってい る木の色だ とい う。 勿論木
の 奈色が ド地 にあ るか ,)、ラ イ トブル ー と
,手って も絵の 具の ラ イ トブル ー とは 大分違
い、 と ' し
ばなr ) な
二
時 日に作 り_ 1げなけれ
'暁
F,ょ
tヽ
た
か 。日 │十して も「
1立 たない ■ )
木材 を峠備 してお くとい うのは専門の業 者
たで木 につ いて くるの は色 とい うよ りも
には 難 しt`ことでは あ って も不 H丁
能 Cは な
い。 それ は仕事 としてのや りが いに も黙が
色 と言った らよいのか 、 これ は蛇 ける前 の
に テめ ピア ノに色 をつ けてお く、誰 で も世
│よ希望 を暗示す る とい うよ り、冷静 さ、曜
ることであ る。 それ に 木材 は生 きものか ら
木の 色 に若 け加わ った色 なのだが 、 この 色
いつ く技 lfTの
登場 とな ったので ある。
めた感 じを思 わせ る。 この頃流 行 りの 「角]
人が もらい受 けた ものであ る。 同 じ スギで
あ って も一‐
本 、一 本 の色がか な り違 う。 ス
ギを使 うに して もその時 の 人の好みが サ ー
が可 1文り強烈 なのは焼 けてみて誰 も驚 く。
う。も ,と ,古さが底の方 に潜ん でい る。青
的 な 賞安に ピ ンタ リJな のか も々日れ ない。
木の色は 奈色 と決め付 けてII意な どしな
いの が普通 であろ うが 、木 の 色の好 みは信
日焼け とい った方 が適 切か もしれ ない。祐
│ ヽ
壁祇 の汚れ な どとは桁違 いで あ る。 これ も
4質感 を出来 るだ けi民なわ ない エ
木材 の 本
うに して色 をつ け ることが 高級 な商品か ',
│
生 きものが持 つ能 力、 大事 に しな くて は等
こない よ うに 、
秘か に進 イ
rし てい った。日 立 ′
気 づかれ ない よ うに。 それ が 木製品 の染 色
モ ンビンクか紅 か で tl」
り倒 す産地が違 .っ
て
と自然愛護 の気持 ちで対応 して いただけれ
じ F,れない程大 きな変 わ り方を してい るも
くる。流 イ
子りを判断 して相 応 しい 木 を選 ば
ば 木材関連 の 人間 に とっては大変 に有 り難
の美徳 だ った。
の ごある。 この FLj5ま
で茶色それ も深 い 色が
なけれ は100年 前 に値 えて くれ た祖 先 に 申
いの だが 、現実 はそ うは行か ない。 壁 ぐら
求 め ,)れた。 本色 の時代が 可成 り続 いた よ
し訳が立 た ない。
い な らば大 目に見て くだ さる人で も ピア ノ
地球 1 1 には様 々な色の木が ある。 グ サー
ンハ ー ト等 と名の付いた もの さえある。 し
うに憶 えてい るが 、 その間で も奈色は少 し
ず つ 中身 を変 えてい った。 その 前は白、 ワ
インカラーが 求 め F,れた 時 代 も あ .,た。
「不況のP 子
イ
(1よ
内J と聞 いて ぃ た か ら 「1 7
木材 は 切 り倒 してか らも少 しずつ 色 を変
の上 に置 いた楽譜 の跡 で は、 これ はただで
えるの を ご存 じで あろ うか。木 は切 り倒 す
と直 くに死ぬ とい うわ けで もない。 メ
し太ん
は許 していただけない。 早速 に ピア /製 造
会社 に クレー ムが くる、 「ど う して変 色 し
ぼか らオが 出 た と言 う話 が よ くある くらい
ない 木材 を使 わ ないのですか 、他の ビア ノ
か し ブル ーはない。 フ ル ー は 木の色 として
は
もっとも不 自然 なものの 一 つ で ある と智、
思 う。女性 の ブーパ ンも見慣れ ぬ うちは十
十
酒落 として ハ ッと日を意 いた。 しか しl14々
l ' こし, ) J と
+ ン カ ラーはl k l lの証か
思 った こ
とが あ ,た 。 この道 の ベ チラ ンに言 わせ る
で あ る。 こうい うせい もあ って製材所 で切
と交換 して 下さい。Jこ うな る と木材 の 技
断 した後で 色が どん どん変 わ ることが木の
術者の出番で ある。
と、 「
=点 セ ッ トを 電せて い た だ けれ ば ご
千
こ類 に よっては起 こ る。大体 の木 は深 い 色
木材 は切 り倒 してす くに使 うとい うのは
結婚 の 年をちて ます 。
Jと い う。 党 台 、 和
となる。 色の好 みが 売れ 行 きを支配 す ると
大体 において良 くない。木 は野葉 と違 い鮮
なもの」。 そ うい う思 いが して きた。
ラ イ トブ■ 一の 木 の 出現 は 何故 か ジー ″ヽ
タンス、洋‖
kタ シ スのそれ で 、 そ うぃわれ
なれ ば 是れ は 由 々 しき問題 、 なん とか木の
度 を去 々す る商品では ない 。切 り倒 して時
ンの吉 を思 いだ させ る。
6 0 技 術 教 室
の よい 安1士が こぞ って ジー 六 ンをは き1/し
た '9「や っば リブー′じ は 女1上には不 白然
No437 1988年 12月号 61
森 の 科学中0
ブル ーヘ イズは 本当にt t h 林
の ガ スなのか 。
森はブ ル ー
東京大学農学部!
洋木 知 孝
森林 が ガ スを作 ってい るの を思 った こと
あの青 いか すみ ( ブル ーヘ イズ) を 生 む と
がお あ りで し ょうか。森林が オ ツンを作 る
い うのが説の■ 旨で あ る。 モ / テ ルペ ンや
とい うの を年配 の方 な ら思 われ るか も しれ
イツクレ ンは空 気中 に 存在す るオ ブンな ど
ない。 フ ィ トンチ ッドを思 わ才じる方 もおあ
と気十
H で化学反応 して粒 子状 の物質 となる。
りだ ろ う。フ ィ トンチ ン ドの言
舌は 前 11987
これ が ブル ーヘ イズを生 む と考 えるので あ
年 11月号)に 敬れ た。 この正体 はなか なか
る。
に解 りず らい。 ここで 牧れ たい もの は もっ
と確か な カ スの こ とである。
の
高等植物が発散す るカ ス、つ ま りfLE物
揮発性 成分 はお よそ400種角│られ て い る 。
それ らブ)夕 くは エ ステル、ア ル コ ー ルの 類
いで 花 の 香 りとして印‖
染み な も′)であ る。
森林 の 木 々も この 種の ガ スを出す けれ ども、
これ は どちらか とい えば車花の専売特許 で
あろ う。森林 の専売 特許の揮発性 成分 は こ
森はブ ルー
れ とは違 ってモ ノテルベ ン、 イ ツブ レン と
呼 ばれ る もので あ る。地球全体 でみた とき
ガ スの色 と言 うのは大変 にデ リケ ー トで
の年 間発散畳で は これ らの実 面か らの モ ノ
テルペ ン、イ ツフ レンが 一番多 い とされて
あ る。紫 煙 とい うのが ある。 煙草 に火 をつ
いて 、何 と 1億 トンと も8億 トンと も言わ
けた ときに ││がる煙 りで あ る。 程、
は煙 草を
吸 わ ないので実感 としてわか らないが 、一
″してい る。 モ ノテルベ ン、イ ツブ レンは炭
服 、肺 のなかにず うっと吸 い込 みゆ っ くり
化水素で あるが 、 これ ら森林が 出す炭化水
吐 き出す と、 ここで現 われ るの は紫煙 では
索の量 は 人間が 石油化学 工業 な どで空中 に
な く白煙 であ るが 、 この移 ろいに も煙草の
秋 出 してい る炭化水素 ガ スの 最を上 回 って
楽 しみが あるらしい。吸 い込 まれ た煙 草 の
煙 りの粒 子は肺 では水分 をBr4着
す る。紫 煙
い る との ことで あ る。
森林が出す ガ スは空気中でその 後 ど うな
るのであろ う。 その答の一 つ に 、森 へ の ロ
では 1ミ ク ロン以 下だ った粒子が もっと大
マ ンチ ッ クな思 いに ビ ッタ ) な 「ブル ーヘ
は紫 には映 'フ
ない。 ただの 白い煙 りに しか
イズ」説 とい うの力`
ある。山 々にかか る、
見えない。
6 6 技 術 教 室
きな粒子 にな って しま う。 これ が人の 日に
あ りた。 か くして青いかすみ │ブル ーヘ イ
ア メリカの研究者が ブル ーヘ イズをt t h か
,)
ズ)は 森 か ',生まれ る とい う ロマ ンチ ック
採集 して きて分析 してみた話 が ある。 空気
中 に漂 い 、 ブルーヘ イ ズとして人の 日に感
な考えは 「
かすみ」 と消 えて しま ,た。
ス
森 の ガ は ブル ーヘ イズヘ の寄 ケが少 な
じられ るの は0 . 1 ∼1 ミ ク ロ ンの 微 粒 子 と
され ていたので 、彼 らは 0 ∼ 2 5 ( 微 粒 子)
ミクロンと2 . 5 ∼1 5 は R 粒 子│ ミ ク ロ ン と
い 、つ ま り主 因では ない。 それ ではi因 の
SO― !は どこか ら来たので あ ろ うか 。 こ
れ について も詳 しい分 析が 行われ てい る.
に 大きさを 2 分 して採 集 して きた。 両者の
色 々な 発生源 について統 計的 な処1とを行 │
告J 合は8 0 対2 0 であ , たか ら、 この カ スは ブ
ル ーヘ イ ズに相応 しい組戊 だ った といえ よ
が発生 源 とな ってい る こ とを明 らか に して
う。 さて化 学分析の結果 であ る。微粒 子が
tヽる。
どん な組成 だ ったか とい うと、S O l ! イ
オ ンが なん と5 0 ? ゎ
以上 しめていたので あ る。
それ ては森林 か ら出 るテ ,Lペン類 は どこ
へ 行 って しまったのか 。 モ ノテル ベ ン分子
これ は硫黄 S が 入 . ゥ
てい るか らモ ノテル ペ
の 大きさは1000分の 1ミ ク ロンほ どで あ る
ン、イ ツプレン由来 とは言 いがたい。 モ ノ
テル ペ ン、 イソブ レンは炭化水 素で あ って
か らこれが 1ミ ク ロンの 微粒子 になるの に
炭素 と水 素が 大半 を占め、 これ に酸素が ち
ては別の研究 での実験 や観 lBlに
よってテ ル
てい るが 、 その結 果石 炭 を使 う入 力を十
と所
は何かの条 件が必要 で ある。 この点 につい
ょっ と加わ った もの 、勿論硫黄 はない。 さ
ペ ン類 が大気中で粒子 に なる こ とが証明 さ
らに も う ―つ微粒子が森林 ガ スの生ん だ も
の とす るには都合が悪 いデ ー タがでた。 そ
の微粒子が そ / テ ルベ ン由来 な ら当然 に 在
れ てい る。 ブル ーヘ イ ズヘ の 重みが小 さい
ことが ここで述 べ た研 究 に よ り示 され ただ
けであ る。
るはずの有 機炭素が微粒 了には少 ない こと
それ に して も空気中で はい ろいろな こ と
で あ る。分析結 果だ と行機 炭素 は1 0 物ぐら
が起 こる もので ある。 太陽 の たで年気中 に
いで あ る。
で きた OHラ
ジカルや オ ツンが元凶 らしい。
これ らの値 は違 った地 方の森か らとって
これ らとの反応 に よって テル ペ ン類 は変 化
きた ガ スで も同 じで あ った。 つ ま リブル ー
す る。 空気中の テルペ ン類 の寿 命 を しらべ
ヘ イ ズの原因 は S 0 4 2 と
た話 だ と 4時 間で80ろが変化 して しまうそ
ぃ ぅ こ とに な っ
て しま う。 ほん とに S 0 1 2 が 日で み て ブ
ル ー なのか 。 この疑 間 に答 え るデ ー タを次
に と, っ
てみた。 日で見た感 じを 「
視底」 と
地 にあ る。発電所 のだ した ガ スのせいか も
い うl l l 定
値で示 して1 0 日ほ ど観損1 してみた。
しれ ないが 、地名 な どに見 られれ ば矢張 り
日 々空気中の S 0 4 2 を
それ は森 の木 々のせい とした くなる。地 汗タ
測定 した の は言 う
まで もない。結果 は S 0 4 2 の
濃度が高 い
ほ ど 「祝底」 が高 い 、つ ま り景色 は ブル ー
ヘ イ ズの感 じにな った とい っ。
こん な研 究 は都 市で も出来 ない もので は
ないが 、 これ らは正真正銘 の大 自然 か らと
うであ る。
青 い要みが たなび き易い ところは1世界各
のせいで霞 みが 出易 いのか も しれ ない し、
格 別 に揮発成分 の多い 木が あ るせ いか もし
t な いけ″L と も。
″
ブル ーは森 の色 として そ っ ととって置 き
たい気持 であ る。
ったサ ン プルに よるもので ある。 ア メリカ
の バ ー ジエア とテ ネ シーの出の森林地域 と
No438 1989年 1月 号 67
森 の科学中り
森は レモ ンの 香 り
東京 大学 農学 部
洋木角1 孝
りを草がけ
」と`
傑地 ご、 そす) 1 司
. 運 末は ' ' キ
村ヨ七 十ツ) 1 中
、
■ ) の 付j F lと
1占
│ 、事 は 力 7 ス メ
いに し `も 十'tべ),ス
る方f)、 程には,【
十ブ) 十
1題
けと力t 出
十『可な と夕伸てす) る。 │ │ │ │はす
│
ー
う
なの r r ) る。 ミ . ラ と1 予
来てい ろF L F 由
い るです)ろ う。証拠 も社 ')か ごてい る.
1 子 の研 先に よる と、動物 た らが この 裸地
`〔 にはな , てい ない し 地 夕
を牛t フ
町凶
、 昨 、気
l
l
主
クてい なか
早
にな
な
ともF
分
由
象、 1 1 地
けの もの ごは ない。御 存 じブ)方か 夕い よ う
ケ
くナごF)るヽ
レ・
│と、す ブ
l・
llよ
章丹
i千川1ケ ンス に )
, た。 あイとこれ 調 べ最終的 には原因は濯 木
' べ ) カ スの せい とい うことにな
の ユ│ ギ' ・
,
た 。
「
持 が休林ヤヽとか に森 へ 行 く。 河1を流 し
ご│デ
十
分 も山 を越 えてみ た。 そ こでは好 い 匂
いがす るのか と くん くん Lltlい
てみ たが 、感
た ら、そ うとうに々
rt`
中をお持 らなの だ ろ
森 林 に人が なかれ るのは 、 そ こに 人の体
)れ たヴ)は何 と自分 」)│「実 さだ け。 畜 生、
じ′
の 同 りす) 傑地 サ) 1 1 壌にはそJ ) カスを生む精
に良 い ものが 有 るせいだ。 こうい う考え_ 方
と 子に持 ・た小枝 を打 った。 す る と末やか
な 否 りが 埠 をつ いた。」
が 日本人に 今、受 け 入れ らオ
1 て い る。 この
ベ ンが 人 , てい た し、申: の恨 はそ′)
油 テ' レ
ベ ンに弱か , た。車 の 種の中に さえテ
十1 し
ルベ ンは泌み込み発 ナを妨 げた。 これ だけ
木 /11■
lに つ いて 賠│うた試SIl答
突が こん な
イ)ト ロて始 ま ,てぃ た。 森 ブ)否と木材の
・ ベン
が あ り、
た 木 / D 実の 中 には沢山」力 ) し
それ力i 木々丁) 十
司りにた ちこF ) ていた。 虐 木
ことは フ ィ トンチ ンドの言
l13し
とて既 に紹 介
した ( 1 9 8 7 年
1 1 月) 。テルペ ンガ ス = ア ィ
トン チ ンドとは勿論 い えない。 フ ィ ト) ! チ
れ物 に とか │十〔
を使 い 、似 た ことを他純 ′)れ
す■へ )llス の成 力は、句 論 (1値frl町
た
↓
け│ よ
ブ) つくの を' l l l l る
る して│ デ
R に力 t ど
、局
′「
‐) ま
り‖
方由剤 として使 わオi てt ヽ
る. 4 卜
く
〔1 1
, ぃあ る と由が市 た ■ ( ■
に1 0 0 0 p p n lFく
るな どの 十 一 , も あ る。
木び) 柴か ら ごるテ ルヘ レカ スに こだ わ │
て 木材か ' ラ
出 る方 を忘才l て しま, た が 、裕
集 にあ , た 「
吾 r i と 子の 小枝 を打 Ⅲた ら木
の 香 │ ) J ブ) こブ) 香りは 水材 か ら│ │ │ た
もゴ) モ
あ る。 テ ■ベ ンの種業
ては木の 実丁) も
ヨと[ ャ
J ) 内側 に 包
の とブ
ないが 、樹 │ え
( して夜わ ' ラ
証拠 が揃 うとこブ) 裸地 が濯 木の 出す テ ルペ
まれ てい るか ら、 木材 ブ) 千Ⅲべ ) は 神 た し
) l l ス の毒性 のせいて 出 来た と考 えざるを
ないていた。
テブ
じベ ンt l スとなる もす) は 多 くは 木卜
4/1
本 との関 係 を言い 得 て砂であ ると思 ッた。
森 には 香が殆 どないのが村、
の経験 であ る。
‐方 ヒ /キ の
呑が前築 」)′
宍に漂 うブ)は事実
ために樹 木はを 気中 に快 りだすのだろ うか。
ごあ る。
す) る。 そ して この訪3 明を補強す るよ うな面
白い現 象が 見つ か , た 。 この ‐
帯 の 上地 で
脚i の中に無駄 な もの な ど在 るはずはない。
はほば2 5 年ご とに 自然 た火が お き、湛 木が
ある。 ものの 本に よる と法隆 寺ブ) 柱は 「年
ましてや厳 しい 化 作競 争の 横 行す る自然界
森 か F , はテルベ ンう スが 毎年 1 億 ヽ 8 億 ト
ン もで るげ) は前 号にネ
す
│イ
卜した。 この カ スは
焼 きR く さ才1 、 中の天 国 とな る とい うこ と
た ,て も'とをか けた ら ツ ー )と ヒ ノキブ)呑
での こ とで ある。 それ では森林の作 るテ ル
G あ る。 火災後濯木か徐 々に力 を増 し、 あ
りを及 , た とあ ったが 、 「さ もあ りなん 」
1時 十
ド
] も経 た ない う4 ) に他ブ) づ スと化学 反
「
L ベ ンは
R , て 変化す るが 、変化の 前げ) テメ
こん な話 があ る。
ブ) 探地 が再 び現 われ るのは 言 うまで もない 。
・ルベ ンガスは
ラ
大変 に 火が点 きや すい。
'
け
ベ
ンが濯 末ともに雅 えた(
チ
自然 た火 して
う。 「
と思、
我か夕 の に は衆 後 年 な プ) に 香
' , ない」 とお , し ゃ r ) れよ う。 それ は夫而
きれ ば 、草 に と り敵が消 えた ことにな ) て 、
は ヒ / 十 を使 ってい ない フ) か もしれ ないか 。
森 には 何 も匂 う物が ないの であろ うか。
ンドの 十
, ザわか F ) ないか らだ。
L 体 はt H 変わ ′
それ に して も、1 億 トンもの ガ スを何 の
ベ ンカ スの 効能 は何。 その例にな りそ うな
呑 りか ないか と言 うと, えしてそん な ことは
ない。 悼‖
尚が資
r い例である。 悼1 尚
はテルベ
ンフ) ‐つ。空気中 に' 女″てお くと少 しず つ
カ ス化 し、刺 す よ うな匂 い を放つ 。森 の テ
ルベ ンカ スも匂 うはずである。匂 わ ない げ)
は漢度が1 専
いせ い としか 考え ようカミ
ない。
森 の テ ルヘ ) カ スを測 , た十
記録 に よる と、
) 党に1 0 0 0 分ブ) 1 得 だそ うで 、 そん
pp叫1ブ
なにお い と大瓜ブ) も′) は人には感 じられ な
い。 名高 t l とえ物 ′) 分十 C も こブ) i 段
度 ブ) レ
ベ ! しごや ) と 人が気 づ くとさオt てい る。森
森 に レモ ンが … 7
カ ) ホルニアの 南部の海 岸l lいに
l ・ 濯木 ブ)
林て 匂t ヽ
を感 ビた とお ‐ しゃる ブ
ブがお f , れ
H L林が細長
‐
く続 いてい る。 この林 の周 f t l は
7 2 技 術 教 室
えな くな る。車 はそ こに使 人で きないの で
中で は精 油 とい う液体 に な , てい る。 こん
な状 態 の精 ヤ
由の揮 た しに くさは想 像 l l l i C
を飽で削 らないか らで あ る。 い や 、 あ るい
その地 周辺 を支配 出来 た。 しか しその地 に
木 プ) 呑は何処か他の 物で も宅いた と思 わ
i 芭した ブ) はアキギ リの 仲間 な どの濯 木で 、
こォげ) が 支配 し、テ ルペ ンガ スをま
結rHlは
ないであろ うか 。安 は 果物 に も似 た ものが
きち らす 。 やがてその テ ルベ ) の せいて 自
が 入 ってい る。1 定全には同 じとい うわけて
然 発火。 こブ) 繰 りす
としで ある。
テ ■ベ ンガ スが値物 同 上の争 いに使 われ
はないか ' ) 同じ匂 い とはな らないが。 しモ
ンブ) シ トラー ル な どとい うテルベ ンは 人に
る とい うす) は、 こ うい った特 殊 な場 合に限
来やか な感 じを与える ようで 、 これ は 末げ)
られ ない と考えた方が よか ろ う。 テ ■ベ ン
を多 く含む木の種類 は 可戊 り多 く、 ユ ー カ
チルペ ンに もあ る。森 て 夫やか な感 じが し
リ、ク スノキそれ に スギ、ヒ ノキ、 マ ツな
ど大体のi l ☆樹 は☆ にテ ルベ ) を 含んで い
ある。特 に レモ ンには 木」) 精油 と似 た も′)
た ら、 しモ ンの 香 りを思 い起 してイく
思議で
はない。
NQ439 1989年 2月 号 73
森 の科学90
バ ニ ラ臭
使 って ツ トロネ ラー■、 リナ ロー ル な どの
では 上役は バニ ) ン とい う結 品物 、有機 化
香料 が作 られ る。 これ らは安 い石鹸 の 香料
Tラ 、
す)ア . に は
であ る。 「
朝 、シ ■ )」 ‐
学 てい うと芳 香挨 ア Ⅲデ ヒ ドである。 これ
ウ トロネ ラー ルや リナ ロー ルの よ うな 太や
に, あ
役の数 1 種 の揮 た性 香気成分が加わ り
バ ニ ラの 香 りが 出来 L が るが 、 パ ニ ) ン だ
か な香 りが好 まれ る。 こ うい った呑 りは果
けで も十 分 に バニ ラの匂 いが す る。
物 を通想 させ るび) で 全ての 人が翔‖
染 み安 い
そ うで ある。
東京大学 農学部
持本角1 孝
「朝、シ ャ ンJな どと言 う言葉 が,れ行 っ
い
て る。学校 へ 行 く前 、会社へ 行 く前に頭
るであろ うか 。 こん な疑 間 は洋1 実
子 を作 ' ,
れ る方に とっては愚間で あ ろ う。 天然 J ) 八
出 て くる。 これ は水 に1子くのでか き集 めれ
ニ ラを想像 され るので はなか ろ うか 。 これ
‐
は 甘い 香 りであ る。
ニ ラは とて も高 い値 で売 っていて別 に安 い
1宣の バニ ラエ 、
ノセ ン スを売 ってtヽるか らで
│ずよい。 そ うはい って も木の実 は 大変 に嵩
ある。
天然産 に対す る安 い バ ニ ラェ ッセ ンス、
この廿 い香 りの もとは何 処か ら来 たす)か。
バニ ラマ メの二級品 なのか 。 ここで また木
「レモ ンの 香 り」 とは香 りを現すのに物
を持 r)出しての例 えでの 言い 方、別 に味覚
思 った ら、 /1:にあ F,ず、 その 後、心地 よい
と似 た言 い方 も多い。 廿 い 、酸 っばい 、苦
匂 い を体 につ け ることも 「朝、シ ャンJの
い な どの言 い方 で あ る。木 の業 か ら取 る精
なか に入 る らしい。岩 い 人は匂 い に随 分敏
いJ「古 いJ
は どち らか とい えは 「
1由
限 っ│ゴ
感 で あ る。
など 「
十 い」 と反対 の ものが 多い。
トに も似た こ とが観奈 されてい るそ うで あ
ニ ラの実 だけで 大量 の需要 をまか な , てい
りが倒‖
染 み安 いだ ろ うか 。 ア イ スク ) ― ム、
張 るか らこん な方 法 はいか に も効率が思 い。
昆虫 の雄 と雌 が ガ スで交信 を してい るの
`
たであ ろ う。 そ″とに して も ′
良が高ね , , れ
生某子 、 こ うぃ った洋 風の もの な , ブ
先ず バ
どそ うで 、眠 ナ
こさこそが
を洗 うとい うこ とナ
は有 名 な話だが 、哺▼し
動物 の マ ウ スや ラ ッ
を求 め よ うが 、 お東 r と い った らどん な呑
バ ニ ラが ぃ る。勿論 、栽培技 術は改良 に改
業 に吹 き付 けた ときに水 と一緒 に蒸発 して
若 さの最 大特徴 と思 って 育 った オ ブン族 に
は信 じらオとない風俗 であ る。 それ に シ ャ ン
ブーで_Hgを洗 うのは汗 宅さを取 るだけか と
「
朝、 シ ャ ン」 は呑 りに政 っ│ ゴさ、古 さ
、だ けで も膨 大な 吊! J )
さてア イ スクリー ツ
材が登場 す るこ とになる。 木材が 大量 につ
おiされ る、勿論 六 ル プカヤつくられ る時 で あ
ー ス しか要 らな
る。 その とき祇 にはセル lヨ
いか ら、不 要な リグエ ンが 唯液の中に拾 て
,てい る香料 で 有名 なのに
木 の ☆か らと■
は ユ ー カ リが あ る。 スー ッとす る夫やか な
られ る。 サ ル フ ァイ ト法 と言 う方法で 水ル
プを作 った とき、何 とその リグニ ンは分 解
香 りで あるが 、大量 利用 とい う程で もない。
い るltrの実団 の 先情期 を誘発 し、促進 す る
業 と似 た精油が幹 に もあ るので これ を使 う
作 用 を もつ の だそ うだ。 そ して人間 に さえ
も似 た こと力ま見らイした とさをしてやヽる。男 1生
ので ある。 幹 は 葉 の よ うに嵩ば らない し、
シ ャンプ ー とアイス ク リー ム は木の香 り
ア イ スク リー Z 、
の 年間i 産 量 と言 う統 計
を見 る と、世 界で一 番 アイ ス ク リー ム を食
それ に パ ル ブ材 と して大 量に集め られ る と
べ る国民 はア メ リカ人 、約5 0 0 万 キ ロ , ッ
の匂 い を宮か に女十学 生の寮 に持 ら込 ん だ
ところ、一 緒 に接ん でいた学 生達 の生理期
が 徐 々に同調 し始 めた とい うので あ る。
い う便利 さが ある。枠 の中の精 油 は紙 をつ
トル、次 が何 と日本 人、約9 0 万キ ロ リ ッ ト
くるの には全 く不必要 だか ら、幹 を煮 て紙
の ちて材卜十六ル ブを とる ときには捨 て らオLて
ルで 、 その次 ぎの イ ン ド人の約4 3 方キ ロ リ
もあ る。量 が 多 けれ ば 分離 も楽 にで きる。
か くて バ ニ リンが木材か ら大量 に 生産 され
匂 いの 原料 つ ま り否料 は 多 くが値物起 源
で あ る。ブ 十 ス ミン、ロー ズ、ラベ ンダー な
しま う。 思 えばそれ は大 変 に勿体 ない。 マ
ツヤ ニか らテ レビン油 (精油の一 種 )力 ヽと
ッ トルとは可成の差力`
あ る。ア イ スクリー
ムの主 な香料 は パ ニ ラ、 チ ョコ、ス トロベ
ることになる。
シ トロ ネ ラールや バ ニ リン とい う大量 使
) 一 だか ら、大変 に沢 山の パ ニ ラが使 われ
用 され る 香料 が木材か らとれ るの は切‖
染め
ない ことの よ うに も思 える。 しか し― 寸考
る。雄 の尿 中 の匂 い物質が、寵で飼育 して
大量利用の代表例 は幹の精 油 の場 合で ある。
つくf と
どづ く誰 に も思 い′
の 香 りが あ る。樹
して 廃液 中で バ ニ リンに な ってい るので あ
る。廃液 には 勿論 前述 の精 油や樹 月
旨の類 も
入 ってい るか ら、 これ らと分 けなけれ ば な
らないが 、何 せ )グ ニ ンは木 材の30?っ
近く
れ るのは ご存 じの こ とで あ る。 そん なわけ
で マ ツ を原料 に ′くル プを作 る ときに限 って
るこ とにな る。
バニ ラは もとは ラ ン科 の ツル性植物 の 名
えていただ けれ ば 、 それ は と.)ても自然 な
召和30年
祐,向を集 め る丁 夫が さオLだ した。 日
で 、今 はその実か らとった香料 の 名 として
ことで あ る。 地球 │二
のllh物
の うち最 も大量
に使 われ てい るのは木の幹 で あること、呑
勿論 しない。 ガ スの発i 源 で あ る物質 を葉
台の半ばの ことで あ る。 以 後今 日まで クラ
イ
フ ト法 の 六 ル フ化が 行われ るときには精 油
知 られ てい る。 ところで 実 は パ ニ ラの実 に
料 は比 較的高価 な化学 製辞1であること、 そ
力すラ取 り出 しての利用であ る。 それ らの物
が集 め られ る。 この精 油 は ピネ ンと呼ぶ も
は香 りが ない。 キ ュア リング と呼ぶ ‐
種の
発酵 に よ リバニ ラの 香 りが生 まれ て くるの
質 は 大抵精 油 と呼 ばれ るもので 、水系気 を
のが 中心 であ るが 、ビ ネ ンか ら化学 反応 を
であ る。 その人造成分 で あ るパニ ラの 香気
は とて も論理的 といえよ う。
木が午気中 に放 出す るガ スは レモ ンの 香 り
と前 号に述 べ たが 、 その利用 も当然 人は考
えた。 ガ スを袋 に対 じ込 め る とい うこ とは
7 8 技 術 教 室
うとすれ ば木の幹か ら香料 の原料 を取 るの
No440 1086年
3月号 79
森の科 学 (21)
ス細胞 だけになって しま う。 カル スだけで
猫の皮膚 をはんの 1ミ リ平方切 りとって培
地で育て る。1ミ リか ら 1匹 の ペ ル シ ャ猫
も何年 、十何年 も生 きる。 それ に して もカ
`…・
がでて くる とす る と・
、考 えただけで も
ル スは何 と妙 なものだ ろ う。生物 の細胞 は
ぞ っとして しま う。植物 細胞 で は理 屈の上
が あるのが当た り前で、多数
それ ぞれ役害」
で は これ が出来 る。好 ま しい植物 の細胞 を
の細胞が集 まって根 を作 る、或 いは葉 を作
培養 に よって大量 に増 やす 。 それ を必要 に
る、花 を作 るとい うのが よ く見か け る姿 だ。
応 じて元 の植 物体 に戻す 、 これ がで きる と
東京大学農学部
等本 知孝
それ が カル ス細胞 は多数集 ま って も細胞集
い うのだ。実際 には様 々な障害 が あ り、 ま
団で あるにす ぎず 、根 で も葉 で もない。私
だ実用的 には な らない。今 出来 るのは、木
は この ことを口にす るたびに ガン細胞 を思
の芽 、木 の根 の微小 片 を大量 に増 やす こ と
昔話 しに花咲 か 爺 さんが枯れ木 に花 を咲
い 出 して しま う。 自己増殖 だけが 目的 とい
で しか ないが 、 この こ とだ けで も病気 に罹
だ けに庭 には 見事 な木 々があ るが 、中 にす
かせた とあ った。 「
花咲か爺 さん が使 った
灰 は何 だ った っけ」、 「
枯れ木 は本当に枯れ
うのは考 える と何 ともや りきれ ない。 それ
っていない首 を容易 に増 やす こ とな ど大変
っか り枯れ た古木 も混 ってい る 。 「ど う し
だけ植物細胞の生 命力が強 い とい うこ とに
ていたんだ ろ うか」。枯 れ 木 に 播 い た 灰 は
なろ うが 。
人間の役 に立 ってい る。例 えば ランの増殖
な どに使 われ てい る。植物 の 一 つ一 つ の細
値物
胞が親 の植物 になれ る とい う性質 は 「
か移 しか えを繰 り返 す と、細胞 は全て カル
枯れ本に花
京都 の鳴川 の畔 に 「くに荘」 とい う共済
の ホテルが あ る。 久題宮 ゆか りと言 われ る
て こん な木 を」 と思 って幹 を上 に上 に辿 っ
て 行 くと、 ば っさ り折れ た辺 りに数本 の小
確 か柳 の木で作 った 口 を悪 いお爺 さんが焼
カル スの不思議 さは実 は こん なこ とだけ
いて しまってで きた ものだ った し、 その柳
で はない。 大地 で 、 また花 を咲 かす能 力 を
枝 が 寒 そ うに延 びてい る。寒 そ うで はあ る
は 「ここ掘れ ワンワン」 の大が殺 され埋 め
が校 の張 り具合 に春 を持 つ 気配 を十分 に感
細胞の全能性」 と呼 ばれ る。
秘めて い る。 カル スの細胞 は花 に も実 に も
花咲 か爺 さん の 話 は 樹 皮 の 内 側 に あ る
じさせ る。皮が所 々落 ちて 木部が露 に見 え
られ た土地 に生 えた ものだ った 。 「灰 に秘
な らない無 目的 な細胞 で 、 こ うい うの を脱
「
形成 層細胞 の全能性 」 の話 で はなか ろ う
密が あ ったのか しら」。 「それ とも木 が枯れ
る幹 には春 は決 して訪れ そ うに もない けれ
分化 した細胞 と呼ぶ 。 つ ま り花 、実 な どの
か と私 は思 う。 外見か らは死 んで い るよ う
ていなか ったので は」。
よ うに分化 した もので はないのが カル スの
状態 なの に、花 が咲 くとは 一旦 悦分化 した
に見 え る樹 木、 それ は石 も同然 で あるの に
ども。
葉が落 ち、幹が折れ 、皮がめ くれ て しま
ヾ
って人 目に死ん だ とみ えて も、木 はなか な
ものが再 び分化す ることなのだ。 そん な こ
この不思議 さが話 の中心 にあ る。樹木 の生
る形成 層内の細 胞 が したたか に生 き続 け る
とを カル スはや る。
カル スが 一人前 の植物 にな る とい うのは
死 は動物 の ときの ような見か けでは決め ら
れ なぃ、 つ ま り/fy細
胞 の生命活動 の停止が
ためで あろ う。枯 れ 木 で はないが 、例 えば
元気の よい若 い木 の形成層 を取 って きて培
今 も信 じ難 いが 、 それ を20世紀 に入 った頃
確認 で きなけれ ば 、条件 に よって は、石 の
か に しぶ と く生 きるものだ。皮 の 内側 に あ
地 にいれ てお くと形成 層の細 胞 は育 ち続 け
る。 この培地 は植物 の生 育 に必 要 な栄 養物
の他 にオ ー キ シ ン、 サ イ トヵィニ ンと呼ぶ
植物 ホルモ ンを含 んでい るが 。
ペキ
培地 で細胞 が生 きる期 間 は十数 日あ るい
は数十 日で あるが 、 この 間 に細胞数 は増 え
てい く。大 き くな りどん なものにな るか と
8 2 技術 教 室
予想 した人がい る とい う事 だ し、 またそれ
よ うな枯れ木か ら芽 がで枝 がのびて も不思
を信 じて努力 し実証 に成功 した研究者 がい
るので あ る。 スクー グとその 仲間 と聞 いて
議 ではない。
い る。彼 らが タバ コの カル スの培地 に入れ
る植物 ホ ルモ ン (オー キ シン とサ イ トカイ
秘密 はないだ ろ うか。焼 いてで きる灰だか
花咲 か 爺 さんが使 った灰の なか には何 か
らその中に有機物で あ る植物 ホル モ ンが残
ニ ン)の 割合 を変 える こ とで根 と苗 の出方
を コ ン トロール したのは1957年頃 の こ とで
の細胞 は生 きていれ ば植 物 ホ ル モ ンをもっ
ある。 その後 い ろい ろな植物 での似 た研 究
てい るか ら、 それ を外か ら加 えな くて も適
ってい るの は考 え られ ない。 しか し形成層
い うと、 それ は根 とか葉 とかい った類 の物
で カル スが原植物 となるのは今 や真実 とな
当な刺激 さえ与 え られれ ば 、細胞 の活 動 は
ではない。 白い塊 に過 ぎないのである。 こ
って しまった。
起 きるか も しれ ない。 その 引 き金 に灰の 無
植物 の細胞 の不思 議 さは植物細胞 を動物
細胞 に置 き換 えてみ る と私 には 一層身近 に
機分が なったのではないか しら。
感 じられ る。仮 に動物細胞 でそん な こ とが
起 こった らどん な ことにな るか 。 ペ ル シ ャ
ばか り人 に夢 を見 させて くれ た。 立春 の 日
れ を カル ス と呼ぶが 、 カル スは傷 つぃ た形
「くに荘」の枯
外か らの刺激 で新 しい植物 を生み だ した。
成 層細胞の傷 口を塞 ぐための ものだそ うだ。
この カル スの一 部 を とって他 の培地 に移 す
と、 なん とまだ カル スは増 え続 ける。何回
鴨川 とその向 こうに覗 く東 山の姿が少 し
の ことで あ る。
陥441 1989年
4月 号 83
森 の 科学 (22)
形成 層の細鞄 は上 へ、上 へ と積み竜ね られ
るか ら20年 前にだろ うと、 100年 前 だ ろ う
木にベ ンチ がなるか ?
とベ ンチが接 していた幹 の位置 は今 と変 わ
りは ない。 だか ら今 も木 に 食 い込んだ時 の
ベ ンチ位置 、つ ま り足 は大地 につ いて い る
東京大学農学 部
キ本角l 孝
私 の前に一 枚 の写 真が あ る。 太いナ ラの
細胞 も長細 い。 その長 い方 向に少 し延 び る。
400校の木 な ら初 めの100年間 で 2倍 か ら 4
倍 にな るが 、 どん な木 も100年 を過 ぎ る と
形成層の細胞 の長 さは ,危 に なる。 ここで
上 の ベ ンチの話 に少 しの飛解 が あ ったのに
ことにな る。写真 で ベ ンチの足 は どうか と
気づかれ た 方もお られ よ う。形 成層 を構成
い えば 、確 か に大地 の近 くにあ る。
す る細 胞 が上下 方 向に大 き くなった とすれ
この クイズはお 出来 にな ったで あろ うか 。
木の背 は10年 も経 つ と大 変 にのび るとい う
ば 、 その 分だ けベ ンチの 足が大地 か ら離れ
常識 が チ ラつい で存外 難 しい。
る。 つ ま り糖分が木材質 に変 わ る。生 まれ
る こ とになる。 そ うで はあ るが大地 の近 く
に ある とい う結 論 に大 きな違 いはない。
形成 層の細胞が延 び る とい うのは我 々が
木が大地 に屹 立 して い るものであ るが 、 よ
くみ る と幹 か ら鉄 の パ イプが数 本突 き出 て
た娘細胞 は木 の 中心 に 向 って押 し出 され る。
い る。写 真の説 明 には こ うあ る 。 「ナ ラの
ら木の 中心 へ 向 って押 し出 され た細胞 の時
末 に よせてあ った鉄 の ベ ンチが 、 ここに腰
まった ものが木材 で 、形成 層は木が大 くな
掛 けた少年 た ちが中年 になる間 に木 の生 長
るにつ れ少 しず つ 外偵1に拡 が って 行 く。 ち
に よ って徐 々に 呑み込 まれ てい った。J
狂 いやす いか といえば この 部 の細胞 は 長 さ
ょっび リオ:右に も広が りなが ら。木 が 太 く
が外偵1の細胞 と比 べ る と短 か く、 そのため
木材 を使 う上 に大 きな影 響 を与 える。 大き
これで クイズの 半分 は解 ける。形成層 か
さて 、 クイ ズで あ る。 「この ベ ンチ の 足
な るとき、樹 皮は ベ ンチ を倒 すか と言 えば 、
は常 に浮 いてい たか 。 それ とも地 面 につい
樹 皮はそ っと押 す し、乗 らかで もあ るか ら、
ていたか 。
J
ベ ンチが樹 皮 に食 い込 む。形成 層は樹皮 よ
りもっと柔 らかい。 一度破れ て も形成 層の
人に年輪 を感 じさせ るように木 は 少 しず つ
修復 は 平い。 そ こで20年、30年 と経 つ とベ
大 くなってい く。 しか し大 くな る と同時 に
木 は背 が高 くなる。 どち らか と言 えば この
ンチは 当然 木材 の 内部 に取 り込 まれて しま
う。木 が ベ ンチ に食 いつ いた よ うにな る。
方に人の 日はで われ が ちであ る。 この クイ
20年、30年経 つ 間 に 木の高 さは どうなる
ズは 「
木が延 び るの と大 くなるの とは どん
か 。 10倍 も高 くな る と、 ベ ンチ は空 中高 く
な関 係 にあ るの」 と問いか けてい る。
釣 り ││がってい よ うか 。 その正解 は高 くな
幹 が大 くな るには糖分が 木材 に変わ らね
るための原料が ど うして供給 され るか を考
ば な らない。 その糖 分は葉か ら運 ばれ る。
え るとわか る。植物 は どれ も葉 で全ての粉
て弱い し、狂 い 易いか らで あ る。何故 弱 く、
ここでは細胞 が拡大 して い る し、拡 大して
行 き方 も細胞 に よって一 定 で はない。 その
ため外側 と比 ベ スカ スカで あ る し、吸 った
水 も均 一 には蒸 発 しないか らであ る。 こ う
して形成層の細胞 の長 さが 安従 してい ない
ヽ
外樹 皮
時期 に生 まれ た ものは木の弱 さ、狂 い 易さ
を生 む とされ てい る。 そ こで切 り落 とす羽
日になるのであ る。
形成層の細胞 は 一度出来 た ものの作
→
朔
木が 人 くな るのは ご承知1の通 りであ る。
な木 を使 う時 には中心部 を我 々は切 り落 と
すのが普通 で ある。 この 部分 は外似lと比 べ
例 の光 合成で空気中の炭酸 ガ スと水 で作 ら
分 を作 る。 出来 た糖分 が細胞 に変 わ る。形
れ た糖分 がそれ で ある。 どこで糖分 は木 材
成層の細胞 も木の先端 で作 られ た とい うこ
形成 層は 2 ∼ 5 層 の細 胞 の集 ま りで 、 そ
れ ぞれ の細 胞 が分 裂 して 木 の中心 方 向に娘
に変 わ るのか。 それ は樹皮のす ぐ内側で あ
とになる。
り変
えはない。木 の先端か ら新 し く生 まれ た も
のは皆前 の ものの上 に 上に と積み重 なる。
栄 養を木の先端か ら補給 され なが ら、 一 巳
出来 た形成 層の細胞 は100年も、200年 も分
裂 を繰 り返 す 。内部 に木質化 した細胞が貯
細胞 を生み出す。 母細胞 の方 は残 ってやが
る。 これ は前号 (1989年4月 号)で の べ た
まってい く。 よ く木 は生 きてい る と言われ
程、
達 の常識 としっ くり合いに くいのは 、
て又 次 ぎの娘 細胞 を生み出す 。 これ は 前に
が 、形 成層 と呼 ばれ る 1ミ リの10分の 1程
新 しい形成層の細胞 が古 い形 17k層
の細 胞 の
述 べ た事柄で あ るが 、 この作業 を 1 0 0 歳 の
るが 、本質化 した細胞 に 命は ない。形成層
の 層がと大 な幹 の製造工場 であ る。 つ ま り
とつ ま り木の先端 に近 い側 に作 られ て も古
木な ら1 0 0 年間続 けて来 たわ け で あ る 。 そ
形 成 層 を作 .っ
てい る細砲 だけが幹 では分裂
い細胞が相変わ 'フ
ず元気 に活動 してい る所
木 の神秘性 は 人間の再 命を遥 かに越 えた
で きる。 それ よ り内側 に も沢山の細胞 が木
為ではなか ろ うか。 古 い ものは亨Pしつ ぶ さ
の1 0 0 年間、形成層の細胞 は 何 の 変 化 も し
ていないか とい うと、 そ うで もな い。少 し
にはあ るけれ ども、 それ らは分裂 出来 ない。
形成層の神秘 で もある。形 成 層の細胞の秘
れ て死んで しまうと思 いが ちだか ら。
ばか り丈が延 びてい る。木 の大部分の細胞
密が解 った ら長寿の秘密 が解 るか もしれ な
は 上下 に長細 い こ とか ら解 るが、形成層の
↓`。
形成層で は分裂が起 き新 しい細 胞が 生 まれ
7 2 技 術 教 室
これ で答 えはおお よそ解 って しまった。
の細 胞 だけが 生 きてい る。
長巧の所為 だ と私 は思 うが 、長る の 神秘 は
NQ442 1989年 5月 号 73
森 の科学 (23)
い。 しか しク スギ、 ニ レな どでは春 に生 ま
変 わ らないか らで あ る。 す ぐ巨大 な木 に な
れ た導管 は材面 を粗 とし、 それ が年輪 にみ
るとい うの も間違 いで あ った。 ジ ャングル
える ( 1 9 8 8 年8 月 号) 。
の 中で は ラワンの 仲間 は周囲の 本 に抑 えつ
け られ 、頭 を他の 本の上 に 出 せ な い 。 1 0 0
年経 って も ヒ ョロ ヒ ョロで あ るとされ てい
る。 それが他の 木 々の上 に頭 を出 してか ' 9
は グングツ大 き くな り、温帯 の 木で は考 え
られ ない程 の巨 大 な木にな る。
東京大学 農学部
年輪 とは先ず美感の問題 で あ る と多 くの
羊本知孝
方 は思 われ るで あろ う。 それ が実 はか な り
定年 後南へ仕事 を求めて出掛 けた人の話
る。幹 の細 胞 には三 つ の役割が ある。機械
だ と雨期 と乾期 しか ない熱帯気候 の単 純 さ
的支持 、水分通導 、 それ に栄 養保持 、難 し
違 ってい る。 思 っていただけ なか ろ うか 。
粗 と密が年輪 を生 む。 一定 範 囲に年輪の数
は 日本 に慣れ た身体 に こた えるそ うで ある。
くい うとこ うで あ る。 この役 をす る細胞 の
が 多いのは密 が多い とやヽうこ と、つ ま り年
年 中気温 が変 わ らない とい うの は確か にや
名 をそれ ぞれ 木繊維 、導管 、柔細胞 とい う。
輪 の少 ない木 と比 べ て 、細胞 が沢山にあ る
りきれ ない ことだ ろ う。寒 さか ら暖 か さへ 、
但 し スギ、ヒ ノキの よ うに十分 に進化 して
とい うことであ る。細砲 が詰 まってい るの
温 か さか ら涼 しさへ移 る頃 に 日本人が生 き
てい る甲斐 を一 番強 く感 じるの は確かで あ
い ない針 葉樹 で は機械的支持 と水分通導 は
一 種の細胞 つ ま り仮導管 の仕事で ある
、
。
と、大 きな細胞が疎 らにあ るの とどっ らが
る。 反復や って くる変化 に我 々は 弱 い。 つ
この仮導管 とそれ に導管の穴 とが春 出来 る
プラスチ ッ クと石 とどっちが強 いか と言 う
いほ ろ っとして しま うよ うであ る。丸 太を
細胞 で は夏 に出来 る細胞 よ り大 きいので あ
質問 と同 じで 、詰 まってい る方が強 いの は
■1 ま
強 いか。細胞 は 7 害」
が空 気だか ら、 こオ
見る と年輸 を数 えた くなるの も温常 に育 っ
る。 ここで思 い起 こ していただ きたいのは
た民 族特有 の心情 ではなか ろ うか 。 あの反
春 の息吹、生 命活動 の横温で あ る。命 の充
復現 われ る模様 には 日本人の気持 ちを落 ち
満、 その命の あ る ところには水 がなけれ ば
昭和 三 十年代 になって ラワンが 身近 に使 わ
着 かせ る何かが ある ように思 う。
な らない。水 は大地 に しか ない。春 には大
れ 出 した時 の違和感の ことをであ る。 の っ
く、だか ら高い値 で売れ るの は 言 うまで も
温帯 の樹 木が季節 の変化 を感 じてい るの
地か ら 卜分 な水 を吸 い 上げ ること、 それ こ
ぺ りとして と りとめ な く広が る木肌 、良 く
ない。
は新緑 、落葉 か ら誰 で も気 づ くこ とであ る
そ仮 導管、導管 の仕事で あるか ら、春 に生
見れ ば 木 だ とい うことは わか るけれ ども。
が 、幹 が季節 を感 じるのは存外知 らない方
が 多い。樹皮 の ご ',つい感 じが季節 を無縁
まれ た細胞 の穴が大 きいのは とて も自然で
こん な見か けの もの を木の仲間 に入れ るの
注意深 く読ん で下 さった方 のために ここ
で コ メン トを一 つ 入れ なけれ ば な らない。
当た り前 とい うこ とにな る。 そ うとすれ ば
ご年配 の方 な ら覚 えてお られ るで あろ う。
年輸 の数 は木材 の性 質 と深 く関わ ることに
なろ う。年輪 の多い、詰 まってい る木が強
あろ う。少 し立 ち 人った話 だが 、導管 の穴
は何 ともため らった ものだ った。 ラワ ンに
春 か ら夏 とばか り繰 り返 し述 べ たが 、秋 か
の もの に人に思 わせ るのか も知れ ない。実
はセ ンサ ーはその樹 皮の内側 にあ る。形 成
の春 と夏での違 いは仮導管での違 い よ りず
は ラワンの魅力が あ るな どとい う考 えが広
ら冬 それ に春 まで細砲 を作 る とい う点 で樹
っと小 さい。 しか しク スギ とか エ レ とか特
が りだ したのは、時 日が経過 し、 ラワンが
木 は居眠 りを してい るか とい う疑間で ある。
層 と呼ぶ 木の細胞 の製造 工場 がそれ で ある。
別の広葉樹 ででは殆 どの導管が春 にだけ作
木の仲間 として市民権 を獲得 してか らの 出
その通 り、細胞 の数 の増 加 は この期 間 には
ここで 幹の仝ての細胞 が作 られ るのは既 に
られ る とい うことが あ る。
来事 で ある。
ない。 しか し質の充実 が行 われ てい る。 そ
(4月 号、5月 号)述 べ た こ とで あ るが、
生 きて い る木の幹 、 あの ごつい樹皮の下
その細 胞が季節 に よって違 う。例 えば春 に
で も季節活動 は斯 くの如 く行われて い る。
一 年中同 じよ うに成長す るため何の模
は細5包の穴が 大き くなる。細胞 の穴 、つ ま
春出来 た細胞 と夏 出来 た細胞 との 大 きさが
生 まれ ないんだ ろ うし、す ぐ大 き くなるん
る。 この細胞 は樹木の栄 養保持 の役 をす る
り細砲陛 は■ きてい る細胞 では細 胞質が あ
違 えば 、鋸 で切 った木材面 を人の 日で 見た
だろ うな どと何 とな く私 は考 えた ことだ っ
が 、秋 には 木の中心 に近 い柔細胞 では中身
る ところだが 、幹 の細 砲 は 大体 が生 まれ て
ときに粗密 感が で る。 その粗 密感がわれ わ
れ には年輸 に感 じられ る。 スギ、ヒ / キ な
た。 この考 えは季節 が なけれ ば年輪 が ない
に変化がお きて 、幹 の保護 剤が作 られ る。
つ ま り栄養保持か ら保護 に乗細胞 の役が変
ど針★樹で は午輪 が は っき り出 るし、 広葉
てて も ラワ ンには年輪 は生 じない。 ラワン
わ るので あ る。 これ も幹 の なかで行 われ る
樹では粗密感が少 な く年輸 はは っき りしな
は広葉樹 で 、 その導管 の誕 生 は季節 で殆 ど
季節的 な仕 事 の重要 な もので あろ う。
す ぐ死ぬか ら細胞質 は 消 えて穴 とな る。 ど
うして 春出来 る細 胞 では穴 が大 きいか 。 そ
ブ)わけは細胞 の 役割 を考えて見 る と少 し解
技
術
教
室
年論 の ない ラワンは熱帯 に生 えるせいで
様も
と言 う点 では正 しい けれ ど、仮 に 日本で育
れ は 9 割 を占め る導管 、木繊維 、仮導管 な
どの細胞 で はな く、柔細胞 での 出来事 で あ
No 443 1 9894千6月 号
77
森の科学 (24)
なオ ー キ シンのために十分 な分裂 を為 し得
ない。 これ は不 思議ではないだ ろ う。
森 の 本 │よ
ス リム
何 十年 か前 に行われ た実験 の報 告で見た
が 、一 つ 林の中の 木 を比 べ てみ る と、上 の
方に突 き出た、所謂優勢木 とその下 に押 さ
えつ け られ ていた劣性木 とで は、葉の量 が
断然優 勢木 に多 く、 そん な優勢木 は根元 の
幹 が大 い 中年女性 型 で あ った とぃ ぅ。劣勢
木が娘型 の ス リム なもので あ ったのはい う
東京 大学農学 部
まで もない。
洋本知孝
私 の住んでい る東 京 の清頼 には良 く探 せ
ば まだ武 蔵野 のl m影
‐が見つ か る。 立派 なケ
ヤキ も雑木林の チ ラ、 ク スギも見 え る。 そ
うことになる。根元が大 くな らないの も同
の 清瀬 か ら西武 線 に乗 って3 0 分 も走 = 〕
て飯
じで あろ う。 で は何が細胞 の分裂 を起 こさ
能 を越 える と雑 木林 は殆 ど見 な くな り、奥
武蔵 の山の斜面 には スギの造林地 が 目につ
せ ないので あろ うか 。
く。 スギは山の斜面 に逆 らうよ うに真 っす
で あ る。 ホルモ ンは ご く僅かで植物 の働 き
ぐ天 をつ く。林 は暗 く、幹 は どれ も仕立 て
られ た よ うに直線 で ある。 それ も根元か ら
を左右す る物質 で 、 オ ー キ シン、 サ イ トカ
イエ ンな どが あ る。 この オ ー キ シンが細胞
の分裂 を引 き起 こす 。 これ は どの植物 で も
梢 まで同 じ大 さなのだ。雑木林 の古 いナ ラ
た ちの ように 、根 同 りが大 くどっ し りして
い る様子 はない。 これ が中年 の女 性 とすれ
ば森 の 木 は年 ご ろ娘の ように スリムで ある。
私 にはそ う見え る。
木が 曲が った り、真 っす ぐにのびた りす
る とい うの は、 人の手 入れのせ いが少 しは
あろ うが 、木の生 まれ つ きの性 質 と考 えて
ヾ
よいだ ろ う。 だか ら真 っす く
だ って 、 曲が
っていた って私 には不思議で はない。 しか
し木 の大 さが根元 か ら1 0 メー トル まで も殆
ど変 わ らない とい うの は ど うも理屈 に合 わ
同 じであ るが 、木 で違 うの はオ ー キ シンの
作 られ る場所 が分裂 す る形成層か ら遥か 離
れ た所 だ とい うこ とだ。 ォ ー キ シンは新芽
で沢山作 られ るか ら背の高 い木 だ と、新芽
で作 られ た オ ー キ シンが10メー トル も20メ
ー トル も移動 して オ ー キ シン
が必 要 な形成
層 までや って くることになるのだ。移動 は
形成 層の中の始 源細胞 とい うところを通 っ
て 1時 間 に10ミ リほ どの ス ピー ドで起 こる。
背の高 い森の木 に新芽が生 まれ 、 そ こに
オ ー キ シンが出来 て 高 い位置 の形成層か ら
順 番 に 下の方の形 成層 までゆ っ くりとお り
の 分 だけ細 い 告で ある。恨元 か ら同 じ太 さ
と↓`うのはネ
内得 しがたい。
成層で使 われて も何時 か は根元 の部分 の形
て くるの を 日に浮 か べ ていただ きたい。沢
山の 、有 り余 るオ ー キ シンな らばJI部の形
成 層に も辿 りつ こ う。 しか しォー キ シンの
る形成 層の働 きに よる ( 本紙 4 ∼ 6 月 ) 。
量が少 な ければ 、高 い位置の形成層 は 十分
なオ ー キ シンをも らえ十分 な分裂 をす るこ
形成 層の細胞 が分 裂 して 木の細胞 が増 える
とがで きて も根元 の部分 の形成 層は不十分
技
術 教
う。 これ は無数 の新芽か ら くる有 り余 るオ
ーキ シンの活
動 を示 していた ので あろ う。
ここで一 つ の疑間が沸 くの だが 、森の スギ
を何故 ス リムに作 るのだ ろ う。 スギの林 を
作 る ときに苗 を植 える間 隔 をもっ と開 けれ
ば 出来 て くるスギ林 で は一 本 一 本の葉が も
っ と茂 った もの とな り、根 元 の大 い どっ し
植物 に もホ ルモ ンが あるのは動 物 と同 じ
ない。 だ って 1 年 に 1 メ ー トル仮 にの びた
とす る と1 0 メー トル の ところは根元 よ り1 0
年 分 は年輸 が少 ない こ とになる。 だか らそ
木が大 くなるのは樹皮 と木部 との間 にあ
小学校 の校庭 の桜 は葉 が思 うが ままに繁
茂 して幹 が どっ しりとして ぃた ょ ぅに今思
ため木が大 くな る。 そ こで 木が大 くな らな
い のは形成 層の細胞 が分裂 しないせい とい
奥武蔵 の山の森林 は格別 に大 きな もので
はない。 この一 帯 は西 川林業 と呼 ばれ て い
る東京 の周辺では珍 しく成功 してい る林 業
地 であ る。大消費地 に近 いか ら製品の輸送
にお金がかか らない し、道路 が良 く発達 し
てい るか ら木 を切 りだすのに も少 ない経費
で すむ。 そん な林業地 の スギ林 に入 って上
を見上 げ る と葉が一 面 に広 が ってぃて 、陽
の光 りは僅か しか こばれ て こない。一 本 の
スギの 木 と隣 の スギの木 の葉が重 な り会 う
よ うになってい る。太陽 の光 りが無駄 な く
スギの 生育 に使 われ てい る とい えょ ぅ
。
こん な環境 に あ る スギの 木が ス リム なの
であ る。根元 に近 い幹 の大 さとloメー トル
上 の幹 の大 さとが余 り変 わ ってぃない。前
に述 べ た 「ォ ー キ シンが形成 層の細 胞 を分
裂 させ 、幹 を大 くしてぃ く」 とぃ ぅ見 方か
らす る と、森 の木 では新芽 の作 るオ ー キ シ
ンは根元近 くの形成層 に十分 には
辿 りつ い
ていない とい ぅことにな る。 そ う私 は考 え
りした中年女性型 の幹 とな る筈で あ る。其
の方が幹 は大 い し、材木 の総 量 は多 くな り
そ うである。 それ を何故 しないので あろ う
か ? 太 い柱 とい うの は使 い手か らみて魅
力的 のはずで あるの に。 このわ けは木の使
い方 に あ りそ うで ある。 木 は どう使 うか と
言 えば 、柱、板用 の時 、長方形 に鋸 で切 ら
れ る。台形 の柱や板 は ない。 そ ぅとすれ ば
幹 の一 部が大 い とぃ ぅの は利用上都合の よ
い形 ではない。大 い ところは切 り落 とされ
、
細 い所 に揃 え られ る。 つ ま り森 の木 は ス リ
ムであ るのが使用上 の 目的 には ピ ッタ リ
と
い うことにな る。
今 、 日本では森林 をつ くるの に3000本か
ら4000本 の 苗 を100メ ー トル四 方 の 面 積
(1ヘ クタール)に 植 え るのが 普通で あ る
。
30年 もたつ と間伐 とい う言 わば 間引 き
作業
に よ り、数 を 1ヘ クタール 当 り1000本以下
に落 とす 。 それが最 も効率 的 に ス リムな ス
ギ材 を作 り出す と考え られ てぃ る。
たい。
室
No444 1989年
7月 号
81
森 の 科学 (25)
る。限 界を決 め るには、何 度 も繰 り返 して
高 さを測定 し、測定値 が安定す る まで測定
東京大学農学部
吉本知孝
技 術の時 間 に使 うのだ とい って次 男が木
本 当 に どの木 も壁 は同 じなので あろ うか 。
材 を持 って帰 って きた。 「お 父 さん 、 ケ ヤ
― ンの 木の最1 製が出来上 が る
。
我 々が 日常 に使 う木材の合水 率 は1 5 ? あ
く
を繰 り返 せば よい。 その限 界の重 さを絶乾
らい とい うこ とになって い る。 生の木か ら
重量 と呼ぶ 。最 初の重量 を気乾重量 、木材
水が少 しず つ抜 けてい って大 気中の水分 と
の合水率 は絶乾重 量 を基準 に とる ( この こ
平衡状態 になった時 の値 で あ る。従 って大
とが 木材 独特 なのであ る。) 。従 って含水率
気中の水分の量で合水率 の 値 は ちが って く
は次の よ うに示す こ とにな る。
あ ( 心材辺材混 みの平均値 )
るが 、 まあ1 5 夕
とい うことにな ってい る。
( 気乾重量) 一
( 絶乾重量)
×100
( 絶乾電量)
木材の比重
樹種
最
色 々な研究 者が測定 した結果 に よる と、細
キリ
0.19 ∼
キだ って さ ? 」 と得意 げにい う。 「な に 、
胞壁 の比重 はほぼ1 . 5 6 。バルサ もケヤキ も
果物や野菜 な どで は水 を含 む試料が基 準
スギ
0 . 3 0 0 ∼. 3 8 0 ∼. 4 5
ケヤキだ と」、理 屈 を こね るの は 得 意 で も
1 . 5 6 だそ うで あ る 。 木 本 植 物 は 幹 を比 重
なので 、木材 で言 えば気乾重量 が基準 で 、
ヒノキ
0 . 3 4 0∼. 4 4 0 ∼5 4
木工 は全 く駄 日な私 はケヤキ を削 ってい く
1 . 5 6 の細胞壁で つ くり、細胞壁 の厚 さを木
の種類 ご とに変 えた。 一 定範 囲内の細胞 の
それ が含水率計算の分母 に くる。 だか ら果
ホ オ ノキ
息 子の苫労 を思 い 、 「先生 は ど う して ケ ヤ
物 な ら合水率 が1 0 0 % 以 上 とい う こ とは 起
ブナ
0 5 0 ∼ 0 . 6 5 0∼ , 7 9
キを選んだのだ ろ うねJ と 尋ね たが 、中学
数 は木 の種類 で変 らない。 そ こで壁が厚 い
こらないが 、木材 で は1 0 0 % 以 上 と言 う こ
ケヤキ
0 4 7 ∼ 0 . 6 9 ∼
0 8 4
生 か らは勿論納得 のい く答 えは返 って 来 な
タイ プでは穴が小 さ くなる し、薄 い タイブ
とも起 こる。
ア カガシ
0 8 0 ∼ 0 . 8 7 ∼
1 0 5
か った。私 どもには木工 な らホオ ノキ を連
では穴が大 き くな る。 このせいで人 に とっ
想 す るのが普通 で あるが 。
小
平 均
034 ∼
最 大
040
0 . 4 0 ∼0 . 4 9 ∼ 0 6 1
樹木が化 きて い る ときの幹 の含水率 は ど
て切削 しやすい木や重 い 木が あ るので ある。
れ くらいで あろ うか ? こ の値 は大 変 に違 う
合水率 1 5 % の 時 、よ は皆細胞壁 にある。
木 日が真 っす ぐで ある とか 、 加工性 が よ
木の断 面を顕 微鏡 で 見る と穴 だ らけで あ
二つの値 か らなる。 木 には全ての細胞 が死
細胞 の穴 には残 っていない。 これ は木材 の
い とか とい う木の専 門家が 口にす るよ うな
る。樹木 の幹の とき、 この穴 には水 が詰 ま
んで い る心材部 と 1 割 ほ どが生 きて い る辺
大事 な性 質 で合水率 が3 0 ? あ
以下 の木 材では
こ とは切 削には勿論大事ではあ るが 、 それ
ってい る。 だか ら軽 い 木 は沢山の水 を、重
1 2 月号 ) が 、辺材部
材部 とが ある ( 1 9 8 7 年
水は皆細胞壁 にある。 この とき細胞壁の比
は別 に して 、木 の重 さの大 変 に違 うことが
い木 はそれ よ り少 ない水 を含んで いた こと
の含水 率 は2 0 0 7 あ
に もな るの に心 材 部 の 含
重 はち ょっとT が り1 . 3 8 G あ る。 この よ う
ホオ ノキ とケヤキで は切 削の難易 を生 む。
にな る。 この穴 は樹 木が根 か ら水 を補 まで
水率 は4 0 ∼5 0 ? ぅ
程 に過 ぎない。 こん な違 い
に木材の細胞壁 は水 を含 んで も比重 が 1 以
ホ オ / キ の比重 は0 . 4 8 なのにケヤキの比 重
持 ち liげる通水路 だ った。通水路 の大 さに
がお こるの は両者の役割 の差異のせいで 、
L だ か ら、 どん な木の細胞壁 も水 に沈 む こ
は0 , 6 2 もある。重 さが 何故 切削 に難 易 を生
木の種類 で大小が あ る とい うのは、樹木 が
辺材部 は根 か ら業 へ の通水路 、心 材部 は樹
とになる。 しか し不思 議 な こ とに木材 は大
むのだ ろ う。木 の比重 は木 の細胞壁 の割 合
それ ぞれ に生 き方 に工 大 を してい る記としの
木の強 度保持 で あ る。 その辺 材部 は1 5 年輪
抵水 に浮 く。 これ は どうした こ とで あろ う。
い を反映 してい るか ら、木 の実 質 が比電 の
よ うで程、
には面 白 い。
ぐらい あるのが普通 だが 、実際活発 に通水
してい るのは一 番外側の 2 ∼ 3 年 輸で、 こ
細胞の穴 は水の通路 だ ったのだか ら水 に漬
基が って 、木材 は比重 1 以 上 とな り沈 む 、
大 きい木では比 重 の小 さい木 よ り大 きい こ
木材 の大事 な性 質 に水 を どれ程 含 むか と
とに なる。木 の実 質 ではない ところは空気
い うことが ある。 水 を含 まない木材 な どと
で あ る。 だか ら比 貢 の小 さい木 は空 気の穴
い うものは考 え られ ない し、 含む程 度 も相
この 含水率が残余の辺材部 よ り1 0 % 以 上 高
い との デ ー タもあ った。
の書」合力ヽ
大 き くて肖」り易い ことにな る。こ
当に バ ラツキが あ る。 その 水の量 に よ り木
近 ご ろ発達 した技 術 に樹 木 を染 め る とい
そ うなって も不思議 では ない。沈 まないわ
けは木材で は一 度乾燥す る と細 胞 と細胞 と
の こ とは比重 が0 . 1 6 のバ ルサの こと を思 っ
材 の性 質 が大変 に変 って しま う。 だか ら含
うのが あ るが 、伐採直後根元 か ら送 り込 ん
の繋 ぎ 日の孔が塞がれ るか らで ある。 その
て いただけれ ば よ く解 ることで あろ う。
水率 は大亭 であ る。木材 の含水率 を表わす
だ色 素 を この辺材 の水 の流れ に乗 せて実 の
ため水 は侵 入で きな くな る。 つ ま り木材の
には木材狙1特の約束 が あ る。合水春 を測 ろ
先 まで流 し込 むので ある。 色素 は グ リセ リ
比重 は細胞陛 も含 めた 全体 で 考えたほ うが
め る と L に述 べ たが 、 バ ル サの細胞壁 とケ
うとす る木 材の重 さを測 ってお き、 その 木
ンに溶か して あ り、 グ リセ リンは葉が縮 む
実用的 と言 うことになる。木 が沈 まない と
ヤ キの 細胞壁 とが同 じ比重 の ものだ とい う
材 を105度に保 つ 。 105度にす ると水 は どん
い うこ とには 見か けか らの想像 のお よば な
前提 が なけれ ば こん な論理 は成 り立 た ない。
どん 蒸発 す るが 、最 早蒸発 しない限界が あ
の を防 ぐらしい。葉 が落 ちるの も注入季節
を誤 らなけれ ば防 げ る。 か くて エバ ー グ リ
細胞壁の木 全体 での告1 合が木 の比重 を決
技
術 教
室
けれ ばその通 路 に水が心み こみ 、穴 は水で
い秘密が ひそんでい る。
No445 1989年
8月 号
79
森 の 科学 (26)
水運搬 を しな くなる と、 唯子しの マ Ⅲゴは時
とともに くたびれ るのか仮準管 とに将管 y )
本に水が入 らない
東京 大学農学 部
) 4 ) かに告 , て
中央 にい F , れな くな って ど■
れ 、厚 い
しま う。 そ ブ) とき薄 い マ l t ゴは1 消
トー ■ スが壁子との 入 り1 1 を表 いて しま う。
そ うなれ は ど うなるか 。 ト ー ル スは 水 を通
さないカギフ仮導管 と仮導管 との間での水 の
移動 は極 めて効率 が悪 くな る。 思 えば水 を
まず来 剤 ′)人 っ'こ夕)ンク /1前"1気 。大 気
‖: ドては よ銀住 は7 6 0 ミ リ、こ れ を減 旺 し
て 、容 器内 を1 6 0 ミ ) 程にす る 。 こy ) 圧 に
大
し
置 くこと3 0 分、 そ′) 後人気F に 戻す と★
内部 と案 剤 との間 にE 力 とが 生 まれ英 剤が
f L 太に侵 人す る。 次が加圧。程 度 はに カキ
│
表示 で 4 ヽ 1 5 【/ c 市程。 本当 の圧 力は も う
日圧時 間 は 1 ∼ 1 0 時間。 こ
1 忙 / n i 高 い。 」
だ け、樹 木 に とつて基 いでお くに しくは な
l D 加に ドに も楽剤 は l L 太に入 る。 大│ く
1:に
十
〔
に
に
吏
を外
出す。
てか
ら余分の英剤
もどし
い。 幹 を切 り倒 して直 ぐの よ
L 大は この よ う
な壁子しの 一部 を閉 じてお り、勿論 水 を沢山
前 と同程 度 の排気 を行 う。 水 にi 容け てい た
類 な どは 一部が木
業斉」
、 つ ま リフ ェ / 一' ↓
含ん で い る。前 号に述 べ た よ うに木材 本体
の重量 と同 じかそれ 以上の 水を含む。 それ
flに吸着 し、残 りが排 気の ときに回H又され
る。 これが 普通 の防 腐楽 剤注 人処理 であ る。
が午気中 に放 って置 くと最終 的 には本体 の
こん な火げ さな操作 でや っと業剤 は 枕木 な
げていたので あ る。幹 は水 の通 り道 だ った
15ク
うぐらいの水分 に落 ち若 く。 その経過 を
',辺材 全体 に人 る。 しか し心材 には楽斉」
は
入 らない。
キ木知孝
束安 十しののめ) の 問地 で悲惨 な幼女 殺
木材が 水に浮 くとい うのは程、
達 に とって
害 事件が あ った。 同地 と共の1 司
辺 を テ レビ
ヵ メラが年か ら捕 えた とき、新集 の 高層 ビ
ヽた り前 の こ とで ある。 木材の比 重 は0 4
∼0 6 だ とは前 に述 べ た 1 1 9 8 9 年8 月 号) 。
ツ
L の 1 毎くうしろに木材 の 役が川画 に浮 いて
しか し] え ばイく
思議 で はなか ろ うか。木 の
い た。 お よそ事件 には 合わぬの どか な風情
幹 は 大地 か ら葉 まで水 を とうとうと波み上
で あ る。 そ うい えば束雲 は木場 に近 く、 そ
こは東京 いや 日本最 大の木材朱散地 で あ る。
通 さな くなれ ば穴 な ど外敵 の侵 入に利す る
ので ある。丸 大が 水につ か ■
, た ら切 り「1 か
々
' ) 水に除 に人 り込 まれ 、 やがて は水で一
追 ってみ よ う。
の 木材が 3 分 の 2 を 占め るか
今 は外国か ' ラ
らメ
と太を役 に組んで 水に浮 か べ て貯 えるな
杯 にな りl t んでい く( 木の 真の比 重 は1 5 2 ) c
ど とい うこ とも少 ない。1 ヽ
で運 ん で来 た も
そ うと考え る方が筋道 が通 ってい るので は
が ら水 は伐倒 木か らよ! てい く。 この 間 に も
しスの 占拠 が続 く。
幾 つ かの壁イL ではを トー ノ
の 方法 は代木 直後の皮付 きの生丸 太だけに
の を ト ラッ クで性送 し、陸 上に B T 木す る こ
なか ろ う力、
これ は 日の仕事 ではな く、月 の仕事 、年 の
使われ るもので あ る。 六 ィ フサ)なかの水の
通 りに くくな った壁イしを少 しず つ通 りな
も っと自然体 の注 入法 もあ る。 1800年頃
フラ ンスで 発 明 され 落差注 入法で あ る。 こ
スギ、ヒ / キ な ど針 葉樹 の幹 での水の連
っを水分が切 っ
仕事 で あ る。 細砲 本体 の3 0 ク
どこか に空 気が 人った ときに水 の 流れが悪
が 普通 だ った。水 にだか った 丸人は腐 らな
股 役はl l t 導
管 と呼 ばれ る細胞 である。 この
てか らは細砲 の壁 に心み こんでい た分 もて
い し、 それ にポ ンポ ン船 て簡単 に 移動 で き
イ
反ヨ
事管 は炉きさが3∼4ミ リ、復虫ょo.03ミ リ│ユ
る便 利 さは格 別で あ る。 また佼 か ら使 へ 飛
どで サヤ エ ン ドウの輸 の よ うな形 を してい
る。 この 水が ゆ っ くりとでて い くのは言 う
せると
まで も無 い。 もし水の出 るの を急 カミ
くなるのは 日常 よ く経駿 す るが 、 あれ を避
け るのが この '主入法で あ る。切 り倒 して直
び移 る仲乗 りさんの米の 見せ場 で もあ った。
る。 上下 、左右で他の仮導 管 と接 してい る。
無理が綱胞 の どこか にかか り木 の害1 れる こ
流れ 出 ない よ うに蓋 をす る。 丸大 の 長 さと
もし軸 その もの な ら水 が抜 けないか ら、仮
とさえ起 こる。良 く経験 す る ことで あ る。
同 じぐらいの格 を組 み 、格 の 11に業液 そ う
導管 は 大地か らの水の連搬 役 にはなれ ない。
この よ うに して乾 いた 木材 で あ るか ら壁孔
を据 え付 け 、元 口を 11にす る。 元 llの蓋 を
そ うなれ るのは鞘 の壁 に穴が 空 いてい るか
の大 部分 は基 がれて い る。 水 に漬 けたか ら
外 し落差 を使 って /L日か ',木「1(1常
の 方)に
ら である。 これ は厳宮 にい うと, ( ごは な く、
クて直 くに水が木 に侵 人す る とい うこ
とい ・
向けて樹液 の流れ の よ うに楽 液 を流す 。案
細胞壁が持 くなった ところで ある。専門家
ともない。 これが 役 に組ん だ f L たの状態 で
液 は■に硫酸銅溶 液が使 われ る。 この 方法
は これ を壁孔 と呼ぶ 。詩 い嘆 は マル= デ
、マ
あ る。 木が沈 まないの は矢張 り当 り前の こ
で は辺 材 には 全面的 に楽液がは い る。 かか
ルゴの中央 には肉 厚 の トー ル スが あ る。 水
となので あろ う。
る時間は伐木後 1日 以内な ら 4∼ 7日 間とい
ミヽゃミ
ミ ミ慕
ヽミ
一残
とが 多 くな ったが 、往時 は使 での水 中貯木
壁 孔 ( 周囲 の網状が マルゴ
中央 の 円状が 肉厚 の トー ル
ス)
技
術
教
室
く地 面に近 い 方の断面 (元凹 とい う1に水が
ゴの 部分 を通過 す るので あ る。
は このマ, じ
, て行 く
九 末に水が 入らないの は木 を1 吏ヤ
ナ
仮導 管 は年 々作 ら,■占tヽもυ)は 十
」側 に押
土で よい ことはか りてはない 。 ご承知 の よ
天然物 を自然 に逆 らわぬ形で扱 うと、 こ
し込 まれ る。仮導 管が水 を連披 してい る と
うに本材 は腐 る。 そ こで 腐 り難 くす るには
ブ)ように無理 な く,主人で きる。 自然体 が好
主 は マル ゴであ るが 、年 月が維
き壁孔 _ l l 役
某剤 をと 入す る必 要が あ る。楽 剤 には水 に
溶か した肪 腐剤 、例 えば フ ェ ノー ル類 無
機 フ ッ化物 系防腐剤 な どを使 う。
きな 方には 'を 回
「いて迎 え られ よ う。 しか
ち、運搬 役 を自分 よ りお い細胞 に譲 った あ
と、 この トール スが重 要 な役害」を呆 たす 。
う。簡単な装置で しか も短時間に注入が行える。
し技 術者 に と ,〔は余 りに も策が な さす ぎ
るよ う● に思 える。
No 446 19894手 9月 号
79
森 の科学(27)
水で木を乾かす
東京大学 農学部
首本知孝
きて 、木材 全体 としてみ る と水 の分布にむ
の中の どこかで ドッキ ングす る。本 の 温度
らがで る。
と水温 との間に余 り差が ない とす ると、細
あ
このむ らは何 を生 むか 。木材 の水は30ク
胞 の陛 にあ る水 は 木の外に 出 てい けない。
が細胞の壁 に入 って い る。壁 の水 は細胞 を
ー
構成 して い る セル ロー スや ヘ ミセル ロ ス
だか ら木 は乾燥 しない と考 え るのが常 識で
と結合 して い る。つ ま り水 の30ら は木材成
の関係 で 蒸発 し、壁 が少 し乾燥 す ることが
分 と似 た役 を してい る。 だか ら この 水が急
起 こるか も しれ ないが 、 それ は信かで あろ
に熱 で蒸発 す る と細胞 の壁 には空 洞が出来
て しまう。 空 いた と ころには セル ロー スな
つ。
どが本来 の形 を崩 して入 り込 む。 こん なこ
とが急 に起 これ ば細胞壁 に ス トレスがカウヽ
うの はあ り得ないのだ ろ うか 。 も う少 し考
あろ う。細胞 の壁 に 入って いた水が蒸 気圧
それ では 「
木 を水 に漬 けて乾 かす」 とい
察 を続 ける。 水 に漬 けた とき抽 出成分 は ど
「
水に漬 けて 木 を乾 かす」 とい う話 を聞
が木工 の 話 で柱や床 とい った大 きな材料 の
く。木 か ら水 を抜 くのが 「
乾 かすJ と い う
ことでは ない。 だか ら量産 よ り手作 りに関
こ とだか ら、 この話 は筋が通 って い ない。
係す る作 業 だ とい うこ とで あ る。大量 の 木
釣 り合い を保 ちなが ら水が抜 けれ ば壁 にか
想 えば木 には こ うい った筋 の通 らない言 い
材 を工業的 に乾燥 す るには密閉 室 に木材 を
ようが 、1 箇 月 も 2 箇 月 も水 に潰 けてお く
回 しが多い。 「
木が生 きて い るJ な ど とい
入れ熱 をか け、室 内の湿気 を注意深 くコ ン
トロー ル しなが ら木材 の水分 を蒸発 させて
か る無理 は少 ないか ら割れ は起 こ りに くい。
木材 の乾燥 は こん なデ リケ ー トな問 題 を含
む。 上記 閉 じた ピ ッ トが原因で生 まれ た水
ゆるん でい き、 やがては水 に溶 け る。 そ う
分分布の む らは木材 の乾燥時 に害Jれを起 こ
なれ ば当然 、溶 けた抽 出成分 は除 々に拡 散
し木 の外部 の水の方 へ移 る。 ビ ッ トの隙間
うの はその代表例で、切 り倒 して何十 年 も
経 つ 木材 が生 きてい る筈 はないの だが 、木
い くのが普通で あ る。
材 の吸湿性 や 、反 り、狂 い などが生 きもの
「
水 に漬 けて 乾 かすJと きに作 業者 が期
に例 えられ て 、 「
木 は生 きて い る」 との言
待 してい るのは これ とは少 し違 うようで あ
い回 しが好ん で使 われ る。 こん な言 い回 し
り、壁の一 部 が害Jれる。 しか し少 しず つ、
しやす くす る。
うな るだ ろ う。乾 き気味の心材 で は ピ ッ ト
の隙間 にヤ ニ、 タンニ ンが へ ば りつい てい
と、 へ ば りついた抽 出成分 も少 しずつ 水で
ピッ トが良 い乾燥 を行 ううえでの邪魔 に
か ら、 ヤ ニ、 タ ンニ ンが少 な くな り、 その
分 だ け水の通 りが良 くなる。 前記秋岡氏の
本に よる と水で乾燥 した ときヤ ニが水の中
る。作業 者が期待 してい るの は 「
水 に漬 け
な るのは こん なわけで あ る。 それ に現実 の
を好 む ところに人の 木 へ の親 しみ を私 は感
てか ら空気中に放 ってお くと木 は乾 き易 い
木材 には閉 じた ピ ン ト以外 にも邪魔者が あ
じるのだが 。
し、乾 いた後、木 に狂いが 来 ない」 とい う
こ とらしい。 そ うとすれば思 い 当 るこ とが
る。邪魔者 は抽 出成分 と呼 ばれ るもので 、
ヤ ニ、 タ ンニ ンなどの類 いで あ る。 これが
す る。水 の通 りが よ くなる と容 易 に乾 き、
私 にはい くつか あ る。
閉 じた ピ ッ トでの隙間 を更 に基 いでい る。
容易 に乾 いた木 にl T いは少 な い 。 「水 に つ
抽 出成分 は心 材 に多い。 心 材 とは 丸大 の中
けて乾かす」 とい う意味 は私 には この よ う
なこ とだ とは前 号 (1989年9月 )で 述 べ た。
樹木 の幹 は根か ら実 へ の通水路 で水 を多量
心 に近 い 、色 が濃 く見 え る部分 で あ る。心
に理 解 で きる。
材 の周 りは辺材 であ る。 心材 と辺材 で は抽
水 に木材 を 1 箇 月 も 2 箇 月 もあ る時 は 1
に含んで い るか ら木 は沈んで 当然 なのだが 、
出成分が違 い 、心材 の方が 量が多 い。 この
ヵ年 も漬 けてお くとい うのは量 産では成 り
通水路 の途中に水 門 (ピッ トと呼 ぶ)が あ
抽 出成分 が水 の 出 入 りに大変 な障害 を起 こ
立た ない。 また 、乾燥食 て を天然状態 で行
り、乾 か して使 うとき ピッ トは閉 じるか ら
す 。 ある 目安 で水の透過性 を測 った ところ、
うの も大量化産 には向いてい ない。 だか ら
外か ら水 が 入らず 「
木 は水 に浮 かぶ」 こ と
心材 は辺 材 よ り10倍以上 水が通 り難か った
「水 に漬 けて 乾 かす」 との言 い回 しは こ
れ とは少 し違 って よ り現実的 なよ うで ある。
とい うの は今 も木工 の作 業 者には水 につ け
て木 を乾か してお られ る方 がい るか らであ
「
木が水 に浮 かぶ 」 とい うの は思 えば妙
に沢山た ま るとあ り、上 の説 明 と良 く 一致
「
水 につ けて乾 かす」 とい う方 法が小規模
になる。木 を熱 で乾 かす ときに も、 この ピ
とい う。 また水分量 も大変 に違 う。例 えば 、
な木工業 で行われ てい るの も自然 なこ とで
ッ トは閉 じていて水 が抜 け るの に邪魔 にな
幹 で測 って針葉樹 だ と辺材 は100夕あ以 上 の
あろ う。
る。即 ち木の水 は細胞 の壁や降 にあ り、熱
水分 を含むの に 、辺材 は50?月写しか 含 まな
樹木 が まず幹 の大 部分 を通水路 に使 い 、
で温 度が_とが る と、陛 か ら ピ ッ トを通 り次
不要 にな ってか らは水門 を条 いで ホの蒸散
る。 そん な話 はお経 を書 く木簡で聞 いた し、
また秋岡芳 夫氏の 「
木― しらきJ と い う本
の降 に 入 り、 これ を繰 り返 してやがて 木材
い。 切 り倒 して 木材 として使 うときには15
?あ以下 に下 が ってい る。
の外 に 出 る。 閉 じた ピ ッ トは水の い くて を
「
木 を水 に漬 けたJ と しよう。 何が起 こ
殺菌剤 で あ る抽 出成分 を軟 き詰 めた。 この
には例が 4 つ ほ ど紹介 され てい る。 これ ら
阻む障 壁で ある。 だか ら水が上手 に ビ ッ ト
ろ うか。勿論 木の中 に も 十分 な水が あ った
巧妙 な仕組 み を経験的 に見抜 いたのが 「水
を通 り抜 けた ところ、抜 けない ところがで
とす る。本 の 中 か らの水 と外か らの水が木
につ けて乾かすJ と い う知恵 で あ ろ う。
木をに る
を読 んで共通 に感 じらね″
ることは 、す べて
技
術
教
室
1 周辺 に
を防 ぎ 、更 には外 敵防御 のため水 「
No447 19894千 10月 号
87
森 の 科学 (28)
本は水の塊
葉 が 水 を吸 い 上げ るの を妨害 す る力は 気
泡 な ど以外に も考え デ
っれ る。例 えば 琶 l J ゃ
も しれ ない。水 は 大地 か ら補給 され るゴ)だ
か r)、大地 に 水が少 な くなれ ば 当然大量の
通導 組織 の抵抗 が あ る。 これ に抗 す るほ ど
水 ブ)移動 は起 こ りに くい 。 その時 何が起 こ
葉 の蒸発 力は大 きいの だろ うか。 この 議論
/1′
るのか 。葉 ブ)中ブ)前ナ
)波!正は 水 の 17/動
が
ブ) 答 えには数値が必 要 で あろ う。樹木 とい
正常 な ときにはす く0に もどるが 、大 地 に
うl ■
l いの中で水が抜 け る と減圧状態 にな る。
よが な く、水の 千
夕動 が起 こ りに くい ときに
は減 「
I は 大き くなった ままの状 態 が続 く。
その 程 度 を或 る約 束で測定 して メガパ スヵ
メ
L と い う単位 で示す。減 圧 をマ イナ スとす
洋木知孝
る と、昼 日中 、 実か ら水が 蒸 たす る とき情│
7 量 た
は 多 い
合 程 て
割 れ つ
の そ ま
そ ヽ詰
ヽか は
穴 る に
い す 代
な 達 時
も も の
方 に 幹
た り が
の 割 よ
中 8 に
の ら 前
材 か 全
木 り 代
する水量 にはぼ 相当す る。
か ら、水の吸 い上 十
木 水 の 。は る い 木 い な つか が い 水 様 キた
仕 大 な て か ん 議 さ そ 思 垂 枚 不 の 何 は 水 o
に り か 私 よ い か さ な L 重 は ?
こ の で う
の 体 塊 ろ
水の1 也り路 は 向作3 0 セ ンチの 末 な F ? 5 ミ )
1 せらず 丁) 幅にあ る細胞 、 その部分 をホ ー ス
に換 算 してみ た , , そ
こが 6 セ ンチ く' ) いの も
ブ) にI H ±
1 →る。 この ホ ー スで 末陽 の 出 てい
る時 間 1 1 0 時間 くらいか 1 内 に風月に水 を
レ≡業 る る の 孔 ら に
ャリ あ い る
一
か
環
︱ か 方
I た 上 !い
︲
だ
ー
ロ 助 い 一 樹 oた
か ︱
部 は 補 動 れ 残 る ﹁
令 日 の ft わ 広 い 占
ヽて と
は 役 上 つ使
よ う る 向 に 分 れ る
る 幹 け へ 般 輸 わ い
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、 ★ 連 年
⋮ 十
か の 3 と い
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ヤ
﹁な 吹 部 ホ ヽ 分 動
ま は 々一生 。 2 輸 か
I t 水 水 い は 年 よ
北
ら 力 な で 1 の
庁
i
中 い か 昨 も 問 は 村
の な 地 ヽて や て 一
幹 か 大 方 け 針 ︲ く
いれ るの を想像 してみ ると幹て 丁) ホ分の移
動 の イ メ ーデか 1 勇く.
1 ″ 〔い る こ とす) 意味 が 日頃 言われ
木か ヽ
るが 、 よす) 移動 はその 意味 を極 めて 共体的
o
う
と か せ る 国 鶴
ぞャ
ち ザ
⋮
だ
!
■ 一
を保 て る と、水 プ) 通路 であ る準管時 、仮準
管 堆 を水に濡れ させ うる。 こす) モ細管中 の
教
室
わかれ ば 、木 が あ る と同辺 は涼 しくな るわ
けが 明確に なる。 大地 か ら吹 い上 げた 風呂
桶一 杯の水が 周囲か らで う気化熟 は馬鹿 に
はな らない。
応 な どに水 を使 って物 を作 イ
) て も計算 に よ
うよか t と
ん な 力′) せいて5 0 メ
そん な ' ( 岳
iび
ー トt ブ) 高さまで手
予ち l i けら, しるのア│ ろ う。
F ) 焼集 力は 大きいブ) で実か F , 恨まで連続性
術
ネ発 が水の吸 い │ 二
げの 原動 力 とい うことが
l l る。
た るよ柱 を引 き 1 1 1る
│よ
す。 水
根 か ら 草にt `
1 1 )ゴよJ ) セ│ よ
70X
とt ヽラ T 、か わ 十人る氏十
う ■ ヤ) まt ) 2 1 0 1 ′│ ) , ごあ る
6()X50と
に打 ち勝 , て水 を吸 い上 げ うることに なる。
それ に して も一 日数十か ら数百 ) ン トツ
し
もの 水 を本 は何 に使 うのだろ う。北 合成 反
ブ) イ
( ごあろ うと吹 い 1 1 ける力は水のネ 花か
' ) 牛まる吸 水 力に 負 ′
だ い る。 こ」) 吸水 カ
1定て 〔hろ んi、イく
そ/t■にか す)よ
十
号1'Fを
かす
(1Ⅲ
也Ⅲ) !口よヽ1 1 1 ちに ) 位は ム1 1 になん
に も■: る
と独 │ │ , す し力す, 教│ 「) ′ ヽ│ し
木の内部 で生 まれ る減圧 の程 度 は - 6 ∼ 一
8 メ ガ ′くスヵルで あ る。 一 方前述 の水 を吸
う 1 1 の抵抗 の 大 きさは1 0 0 メー トルの 木 で
さえ 2 メ ガ 六 スヵル程 度 らしい。 だか ら蒸
発で生 じた吸 引力が電 力 な どの祇抗 に十 分
に' ふ
す。 本が無 くな才1 は 木が吸 い 1 1 げ蒸 発
す る分だけ水 は地顧i から液体 として海 へ流
それ 丁) 最ブ
ご ) ヴき 金は業か らの水 び) ネた と
い うことかわか , てい る。 例 え5 0 メー トⅢ
水の柱 ?
技
東京大学 農学部
H9iし
よ うと遠心 ナ
サを使 ってみた と
よ│ 卜
をツサ
ガ ′( スカ■)
ころ 、 ブ
( 夜に 大きな 力 1 2 2 . 3 メ
ご
二そ う ')る 。1反に子
田‖
うiZ、要 十二′十
包の なか
る とその 巳の 5 りっもあれ ば よい。 つ ま り9 5
う
クもの よは追週 す るだけなブ) である。 こん
な大 量の 水の通過が 木 に どん な利益 を生む
び) だろ う。 そブ) ゎけ として以 前ネ散時 の 宝
ブ) 温度 げ) 低 ドをl g l ,した
こ 人がいて 、ネ 散 ブ)
冷却 効 果が , 張 され た ことが あ , たか 、暑
い時期 に も★ ブ) │tく子
しが財J じることな どこの
説 に オほ した ことが 多 く兄つ か り、信頼 度
は薄 い。ガ」
の考 えに 、水 の 流れ にす) , て 大
地か ら移動 す る無機 物 び) ために 水が沢 │ │ 1 要
この戻 らな くな ,た減 圧の 大 きさを実5t「
的
に 再現 してそれ とた合成速 度 との関 係 を担」
定 した。 その結果 をみ る と少 しJ)減││■例
えは -15メ ル くスカル くらい まで ,な ら
北 合成 は下常 にtLこるが 、 -2ヽ -3メ ガ
パ スカルに もなると樹 水は 光合成
を始ん ど
しな くな ,て しま う。 と うして こん な こ と
―
が抱己こ るの ア
どろ う。わ │十は「
っか る。
肉限 ごオ
こん な ときには実 の 気イしが 閉 じてぃ るの だ
。
つ ま り外気か ら炭酸 ガスを吸収 十
1 1 来な くな
つて しまってい る。 水 と茂酸 カ スを原料 と
す るのが光 合成だか ら、気丁L がP f l し
れは光
′
合戊 は 当然 l n L こ
, な くな る。
十分な水が あ ると程 に, 'れ
ケ るド カか ケタ_
r , れてい る。 これ は面感的 にわか る
.す る
と沢l 1 1 の
水 を吹 い 1 1 1 , る
の は実 に膨仮 I I を
確保 す るのが 大きな 目的 ては なか ろ うか .
本ヽか ど うか 、 これ だけげ) 杖拠 では証 明に
はな ' , ない 程複雑 な 桐檀 で あ ろ う。 しか し
何 とな く沢山 ブ) よを使 うわ │ 十
か少 しわか る
よ うな気が す る丁) てはなか ろ うか ?
木は高 い力■わえャに ′
とき ごぃ くす) に他 ′) h Ⅲ
物 よ り大変 有利 だが 、 そす) 高さ故 たヒの ょ
を吸t ヽ
上 げ る とt ‐う行 命 をギ予負 ″てt ヽる。
そ して使 わ な くな ったヽ管 に残 , た よは持
の 中 に時 女_ ' , イ
t る。 こイt は 水の 保管 であ る.
る とす るF ) があ るが 、 次の移動 の極 端 に 少
ない場 合で も栄 生 不足は起 こ ' っ
ない こ とが
また水補給 ′) ために ホl i 恨を発達 させ 、せ、
要 な水 分 を恨の周辺 に確保 し ごい る。 こ│
ユ、
て気1 也
が 部分的 に水柱 を切断
や!ゴ
京なtと
わか りこの 考 え もとオ1 そ うにない. 夕 堂 ブ)
水ブ) ゼ、
要 は も , とマ ク1 7 なレベ す
↓′) │ │ │ │ブ1)題
│よL[1に「
れ ,,二十
高力t直 く`
Fサ也にiキ
こ
れ !!キ
るプ)を
して も、晴」ダ) 通路 が あ って 全体 としては水
ようで あ る。
t r が切的i され ないブ) て l i )ブ理I E は戊 り立つ 。
t `ごい ることにな る。
'方
木は水の1 鬼ごあ る_
そのわ けは こん な ことに関 係が あ るのか
No 448 1989年 11月 号 91
森 の 科学 (29)
物の貯め力教えます
分 くらい までは炭酸 カ スを出す。つ まり呼
り
) るおい L T lて
えをしてい る。 外I H l す
に
めも ,
│li
bに
す
と
か うときに'成
とも多く、そ の量は
あ る。 なお ジ ャ
をi 也ご したあ とブ) Z 、
需占品l ‐
とヽ
る。 収鹸 カスがせ 1 7 のところは″
十
■ごここ
るチ うブ) ブ) 告
1 合では杖か幹 よ リタ少 大き
) ブ ンをR 手え_ る
カ イモ丁) 御
) 其 うに 恨 に , ・
1ブ
とt `うことは情1 木て も起 こ ろ。実質 に 対 '
モ ミのエ ネル ギ ー (糖 )の 獲 り方 、使 い方 (森 林地 1平 方米 当 りの乾燥 重量 3)
善本知孝
′
木が 大変 な時蓄京 であるブ) I J 吉か く
づい
〔
てい ることであ る。 それ に森林 とな る と農
地 な どとは比 べ もブ) にな らない ほ と大きな
鳳
オ│ ■を代す。木 か幾 つ もび) 曙 をな して生 え
て い るか ら、 太陽 び) 光は どの唇か にひ , か
申に較 べ 本は非 た合成器付 げ) を
1 り合いが 大
き く、 それ だけ幹 な ど♂) 呼吸 で使われ るエ
ネ ルギ ーは 大きい。 た合成て えた エ ネル ギ
ヤ
ーの うち4∼ 8害」
D才と〔しま う。
が呼,及に1吏オ
巳しその十 分は: 菜
て使 われ るもので ある。
イ
消費
獲得
期間
東京 大学農学部
光合成
貯
蔵物 分解
呼吸
生長
貯
5 ∼ 6 月 前半
6 月 後半 ∼ 8 月
342
0
182
0
930
820
650
600
0
9 月∼ 1 1 月
721
0
414
137
170
( 木村 、1 9 6 9 年
蔵
160
よ り)
は呼 H l k を
してい ない。 若い / 1 s と
と いた木の
いか もし│ とない。 し か し幹 その ものの 量力t
日辺部同士 を較 べれ ば若 い 木 の方 がい っは
根 その ものの量 よ り遷 か に 大きい。 だか ' ラ
か ゥてしまい 、大 地 に辿 りつ きに くい。辿
実 で作 られ た ブ ドウ棺 が幹 での呼 吸の原
い呼吸 してい る し、森 で優勢 な 木は 劣性 な
デ ンブン時代量 は地 1 1 部が 8 告」方を占め る。
り市 けば そ こに 草を生 む。 それ だ け 工 れ ,
ギ ーが 有効 に使 われ てい ることに なろ う。
木が 全体 として効率良 く光エ ネル ギ ー を
f l にな るには動 いて 行かね ば な らないが 、
木 よ り炭酸 ガ スを多 く出す 。 それ では幹 と
何処 を通 るか とい うと樹 皮の内側 をなす帥
また 、 その 8 割 が幹 に よる時蔵 であ る。
木の ‐
年 をエ ネ■ギ ー との絡 みで思 い 起
部 の師管であ る。 ここは根か , ) 水を l i げる
枝 とでは ど う違 うか とい うと、 同 じ大 さで
かと
較 べ る と これ は幹 の 方が 大 きい。1 , i 故
使 うこ とか F , 、本の業 一 枚 枚 もさぞか し
導管 とは違 って毛細管 で はない。 そ こ を葉
占えば同 じ太さな ' ) 枝の 方が幹 よ り歳 を取
こしてみ る。春 先 、上 にの び るため │ て
実を
出 してい くために エ ネル ギ ーがい る。 こげ)
た r i 成を効率的 にす るか と思 うと、 こオi は
か ら砂糖 を浴か した水が ど うい うわけで動
ってい るか ら、枝 での呼吸が小 さ くな る。
頃 は光 合成生産 は低 いので 時蔵 して あ った
さに丼 ず 、農作物 の実 と較 べ る と相 当 に非
いてい けるのか 良 い説 明 はない。 こん な と
幹が呼吸 をす る とは生 きて い る別の 言い
効率 ごあ る。例 えば炭酸 ガ スは 光 合成 の必
き洛 質 の拡散 とか原形 質材3 動な どとい う説
っは死ん だ細胞 だが 、
1 呵しで ある。幹 の9 0 ク
デ ンプ ン、8 旨
肪 を使 う。 季節 が進 む と北 合
成 生産が盛ん にな るので エ ネルギ ー源 は 徐
需 l iだが
品 、★ 1 0 ヤ1 方セ ンすが 1 時 間 に吹 う
明 をつ けるの が キ通 だが 、移動 の早 さは毎
炭政 ぢ スの 量は農作物が2 0 ∼4 0 m ど
なのに ス
時 5 0 ∼1 0 0 センチに もな り、 そん な説 明 で
形l J k 層
、内樹 皮 、 それ に辺 材 の 条細胞 は生
きてい る。 これ らが仕事 をす るの には エ ネ
なる。作 られ た エ ネ ルギ ー は季節の早 い う
ギ、 L / キ な どは 4 ∼ 1 5 m く
に過 ぎない。熟
は不 自然で ある。 また師 管 の不思 議 な働 き
ル ギ ーがぃ る。 これ ら細胞 の ある場所 は樹
ちは呼吸 の外に業の生産 に使 われ 、季節 が
帯1収
庄 ′) C 4 植 物 な どは5 0 ヽ8 0 m ピに も な る
に 、春 先☆の無 い とき樹 皮に時 え られ た砂
糟 が葉 び) 方へ動 くこ ともある。例 の メー ブ
戊の内部 だか , ) 、とれ も光 合成 を しないの
で 白分で は エ ネルギ ー を獲 得出来 ない。仕
器官 、例 えば枝 、詐 な との
進 む と非 光合lk」
i 産 に も使 われ だす 。 しか し根 の生産は ,
ル シJ ガ ーが代表例。 メ ー フうレシュ ガーは
番遅れ るとされてい る。 秋 に なれ ば 光合成
でで きた ブ ドウ糟 ( エネルギ ー) の 一
部は
温″l た もの を集 めて精製 した もので 、 ホ ッ
トケー キが好 きな仲間 の印‖
染 みの蜜 で ある。
事 にい るエ ネルギ ー を業か ら貰 う。但 し樹
・
皮 と辺材の乗細胞 はデ ンフ ン として エ ネル
ギ ー を貯 め るこ とが 出来 る。 そ こで ☆が落
ちて エ ネルギ ー獲得方 法 を失 った樹 木で は
あの厚い樹 皮 を思 うと草
令が呼吸す る とい
乗細B 包は次 の活 動 のための エ ネル ギ ー時蔵
う′) は翔‖
染 みに くい。呼吸 の証拠 は こん な
倉庫 とな る。 どん なキタで 時蔵す るか は木 の
させて頂 くと表の よ うにな る。 多年生 であ
る木が た合成で えた エ ネ ルギ ー を どん なに
な る。 勿論 、業 も増 えるけ' とと もそ' と
以 11
ことに あ る。幹 を切 って きて 、横断 面 を同
囲か r ) 中心 に向か , て 切片 を作 り、 それ ら
か出 す炭政 ガ スを定量 す る。 こ うすれ ば何
処が 一 番呼吸 を してい るかがわ か る 。 1 0 0
の ブチ を例 に とると1 司
年 くr ) ぃ
囲か ら4 0 年
種類 で違 うが 、 デ ンプン としてか 、8 旨
防と
‐
してかのいずれかで あ る。 根 や実が デ ンフ
T/1み
に振 り分 けてい るこ とか 。呼 吸 つ ま り
に草
や、枝、恨 な どブ) と 合成 に関 係 しない幣
ンを貯 え るの は 、 それ を食 べ るせいか不思
議 には思 わ ないが 、幹 に も テ ンプンが あ る。
保 と、時蔵 つ ま り来年 出発時 とのために 、
エ ネルギ ー を適切 に 分 けて い るのが 、表 か
, ては葉 の ない 冬
それ は多年生 の樹 木 に と■
らおわか り頂 けるて あろ う。
の だか ら木は随 分効率が忍 い。
た合成 で作 , た ブ ドウ楷 つ ま リエ ネルギ
ーは 当然 宝で の 光 合成 を行 うために
も使 わ
イ│ る。 使われ た唆 りは砂糖 としていろい ろ
な場 所 に移動 す る。業以 外の所 での呼吸 に
使 った り、生長 に 使 うためてあ る。
ところ ご木 は齢 とともに i 長 して 大升夕に
官 が増 える。 優 か とした森 林 を思 ブていた
だ くと分か る こ とだか 、 もチ業は増 え る余
地 が ないのにそオ│ でも幹は 太 くな ) てい く。
78
技
術
教
室
春= 月 、わ ナ ダの カエ デの幹 に傷 をつ け、
々に新 し く作 られ た ブ ドウ機 に 負 うよ うに
時蔵 に向け られ るよ うにな る。 こうした エ
ネルギ ーの収支 を木村 さん の研究か ' フ
引用
今 日の生 存 と、生長 つ ま り木来 であ地 位確
No449 1989年
12月 号
79
森 の 科学 (30)
表 ユ ー カリ属樹木の辺材 と心材の ミネラル (ppm)
省 ミネラル システム
カ ンバ ヌラ タ
グ ミフ ェラ
グ ラ ンデ T ス
東京大学 農学 部
洋本角l 孝
るよ うに この頃 な って きた。 ミ ネ ラル を1 容
この 変化 は樹 戊や辺 材で もお こるが実 では
顕著 であ る。 その年 に4 1 まれ た業 で P 、 K
か してい る水 を我 々が信用 しな くな ったせ
につ いて 見る とキ 多 く、秋 には 半分 になる。
いだ ろ う。 だ , てご 七社1 様も似 た水 を飲ん
新 しい業 に この種 の ミネ ラ■が 多いほ ど木
のア
が よい とす) ことであ る。光 合成 を し
11長
ミネラルな どとい って特 別 の飲 み物 を取
でいて格 別に 支障 があ ったわけで はなか ,
しと声い
たの だ。 それ を今改 まって ミネラツ
てい くには P 、 K 力 亡夕量 にい るらしい。●
出 すのは 、水道水 への不 信以外 に理 由はな
つ 日の 秘官 は ミネ ラルの 本の 中での動 きが
さそ うであ る。
ミネ ラルが 大切なの は植物 も同 じで 、 P
生 長 の時期 と関 わ る こ とらしい。 才が出 て
か ら一‐ヵ月間 に車
令では P が 8 0 ヽ9 0 り、K 力 i
( 憐) 、K 十 力 ) ウ ユ、
) 、 M g ( マ ダネ ラ ウ
に1 成る。 こ うし‐った ことか ら ミ
70う
ちくらt ヽ
ラウム) は 不
エ
、) 、S i 硫 ☆ ) 、C a l 力 , レ
日
f 火なた素 とされ てい る。 これ ' , のミネ ラ
ネラ■は必要 な調; 化、新芋 に集 め , , れる と
ブ
しは地 球表面 の上 に沢1 出
はない。 " く
出 ある
ブ) 考えが生 ま' t てくる。
″
ろ うか ?
来るt F D だ
と、
要 な もF ) は何 処か F フ
、、,大な とて
の は酸 素、lt素 、ア 'Lミニ ウユ
,
必要 に店 じ恨か ' , 吸うとい うこと も考 え ′
、は五 番 目 ご339りぅ。 rlナ
あ り、カ ル シウエ
たで ミネラルのや り繰 りを
れ るが 、 器官 I H ′
、は ヒ添 日 (240クク│.硫 技 に 至 ぅ て は
ウソ
してい るとF l 考えだ って あ り得 る。特 に 木
!、
植物
の場 合はそ うだ ろ う。 出 昔、地 1 1 に
15喬 日で006う に過 ぎない。随 分 少ない も
す)がi直
物 の必需市で ある。少 ない もの を使
,て値物 は地球上 を支配 してい る。 そ こに
や微生物が少 な く、1 1 壌が 少 ない頃 に木は
ア
1 1 えていたげ) だ。 つ ま り有 ころだ │ ) けて 、
P も K も r l に対 じこめ られ てお り、それ ら
は秘行 が あ りそ うであ る。
一つす)秘密 は ミネ アルが樹木 の どの器官
を使 いに くか った頃 に木 は育 ) たのだ。 乏
に も同 じように 入 ってい るので はなtヽこと
とい時 のや り繰 りは何 も人間 だけの ことで
にあ りそ うだ。 つ ま り適 │ ■
西己分が 行われ て
はなか ろ う。
い るらしいす) である。 スギす) 幼い 本で す) 童
) 方の キ と
や り繰 りの明確 な例は 木す) l i げ
をみ ると受や禄 " 1 支には P や K が おおい。
そ び) 下す) 方の 草 とす) 間て1 日られて い る。 キ
限 化物 として P も K も 乾 l f 物の 1 つクくらい
と較 べ 、幹 や棋 にr r
が 入 ・てい る。 これ ' ぅ
│げ
) 前 ご任す) ド′) 方につ いてい る■ は成熟
) 秘を は ミネ
る最は ‐桁 小 さい。 もう一ヤ ) す
ラ■が 存飾て 並
8
4
技
術
をえる ことにあ りそ うだ。
教
室
して2 0 1 1 も経 つ とP 、 K の 合有■ を十分 も
J げ ) す。 つ ま りこ′) 下の 方の 業 は 自分 の牛
育 を終 えると、生育中 プ) 1 1 の方の★ に P 、
K
P
樹種 名
辺材
心
53
8
53
12
103
辺材
材
160
7
心
514
230
1087
238
ミク ロヨ リス
80
8
545
37
ピル ラ リス
43
5
494
7
サ リグナ
110
3
1000
材
32
35
(Bttadle 1 9 6 8年 )
K を 送 り出す らしい。 この ことは稲で も認
もの もあ るが結 じて顕 者 であ る。 各種 ユ ー
め られ てい る。 この場 合 ミネラルを無 くし
カ リの 測定値 を表 に示 した。
た☆ は枯れ る。 では業が落 ちるときは どう
どうして こん な 大きな変 化が起 こるので
か 。落 らる前 にはその業か ら ミネラルが 消
あろ うか 。 「もし P 、 K を 心 材 に 封 じこ め
えてい くのだ。ミ ネ ラルは移動 す る。 ク ) 、
ク文ギ、 ヨナ ラな どの落 葉樹 にそん なデ ー
像 してみ る と、 それ を考 える上 で良い とン
ておいた らどうい うこ とが起 こるかJ を 想
タが あ る。例 えば ク リの P は 柾葉 した葉 で
トが出て くる。心 材 に入 った らK 、 P は そ
は7 7 ? あ
に減 り、落 実 した業では2 6 ク
っにな っ
れ以 後千年│ 】
1 じこめ られ 、木 に 役立 た ない
て しま う。 こオt は杵L ★が女
台まった ときP が
もの とな る。千年 間地球上 か らその分 だけ
業か ら枝 に移 動 し始 め るためで あろ う。仮
P 、 K が 消 えて しまった も同然 となる。 こ
れ が どん な損失 か。 P 、 K の 乏 しい時 は ‐
に落実 と共 に ミネ ラルが地 中 に入 って 、 白
分がそれ をlllび
吸 うのは間違 い ないの に、
へ
か
器官 ら器官 と、 よ り合理的 な再利 用 を
行 ってい るわ けである。
木の木であ る所以の幹 て も ミネラルの移
動が起 こ ゥてい る。 これ は 上壌 とは離れ た
日 だ ろ う。 それ を避 けて 本 は 、辺材 にあ る
細砲が死んで心 材の細胞 とな る ときに P 、
K を 吸 い戻 し辺 材 に入れ る。 こん な仕組 み
が幹 に出来 てい る らしい。
ミネラルの うちで カル シウムは P 、 K と
場所での出来 ご とだか ら、や り繰 りだ とい
梅物での役割が違 う。 また P 、 K の ように
うこ とがは っき りして い る。幹 の 1司
辺部 の
必要 な所 に動かす こともない らしい。 カル
辺材 と中心 部の心 材 との間の 出来 ご とで あ
シウムが上の中 に沢山あ るせ いで あろ う。
る。 辺 材 と″
Ь材 、幹 の中で起 こるこの不思
カル シウムは幹の心材 に シf . ウ酸 カル シウ
議 な変化 にはわか らない ことも多い。 言葉
の定 義か ら辺材 には 1∼ 2告け
生 きた細胞 が
ム、炭政 カル シウムな どの形 で塊 とな って
、の使 t ヽ
ある。 この カル シウ之
沼 まる こと力`
あ り、心材 には生 きた細胞が ない。辺材 の
方は外か らの敵 の防御 を 日的 とした ものの
細胞 が心材 の細胞 に変 るのだか ら両者の間
よ うであ る。熱 帯 の 本 には シ リカが 多ぃが
には行機物の種類の変化 はある として も、
これ も防御 の 目的 に使 った ものの よ うだ。
P、 Kな ど元 素 の変化 はな さそ うであ る。
シ リカは大地 に大 変沢山 あ る ミネラリ
けで あ
それ なの に 多 く木では心材化で P、 Kが 激
る。
)て は変化が少 ない
減 す る。 木の種類 に よ■
No450 1990年
1月 号
85
森 の 科学 (31)
幹のプロテイン
リサ イクルす る。 しか しヒ ノキや ア カマ ツ
か ない とされて い る。 ‐方微 生物の場 合、
の人工林 だ と半分 は カ スで空気中 に とびだ
栄 崖物 には炭素 と窒 素が4 0 対 1 ぐ らいの害」
して森 林 に施肥す る ことが 少 ないか らこれ
合で入 ってい るのが好 ま しいが 、木材の炭
ら樹木 は窒素 欠乏 に追 い込 まれやす い。
合は2 5 0 ∼5 0 0 対 1 に 過 ぎない 。
素 と窒素の書」
窒素 の地球 規模での循環 を考 える と、陸
上では微生物 に よ り固定 され る窒 素が年 1
工業的 に固定 され るのが440
億3500方 トン、
万 トン、 ほぼそれ に釣 り合 う 1億 9000方 ト
室素 とい う元素 は とて も大 切なの に 日頃
東京大学農学部
ンが上壌微生物の脱空作 用で大気 に もど っ
差本 知 孝
てい る とされ てい る。 この サ イクルには じ
冬素 を流 し込んでお くと言 った具 合で ある。
話 題 に上 らない。 それ で も何年かお きに タ
ン六 ク質 とか ブ L7テイ ンとかい う言葉 で コ
どの部分が死んで い る。 だか ら生 命体特 有
マ ー シ ャル に入 りこむ。 プ ロテ イ ンの最 も
の もの を余 り含んで い ない。 つ ま リプ ロテ
樹木の幹 は革 とは 大変 に違 ってその 始ん
火事 な元素が窒 素 である。窒素 は午 気の要
イ ンだの D ヽ A だ の とは縁 が薄 い。 そ こで
らない部分 ぐらいではす まない。 それ に遺
のは予想で きる。事実木材
篭素合 最がl r N ぃ
伝 子の話 に出 るDNAの
Nは スクレオチ ド
の ヽ、ズ クレオチ ドは核酸 で ここで も窒素
が重要 な役 を呆 た してい る。 これ ら二 つ の
例で解 るが Nは 生 命1活
動 その物 と密接 な関
係が あ る物で ある。糖 が栄 氏物や構造物 な
ど生 命体 を マ クロに支えるところに使 われ
の窒 素 は0 1 ∼ 0 . 0 1 つ
あに過 ぎ な い 。 この 少
ない空 素が昨 の何 処にあ るか を研究者が調
べ た結果 に よれ ば 、表 1 の 通 りで ‐
番多 い
部位 は形成唇、 その隣 の 末分裂 まもない辺
材が これ に次 ぐ。値 は形成 噌の物 よ リー 桁
リカや北欧 の文 明国 です らその青J 合は 6 クう
に及ぶ 。 わが国ひ と り 2 う とい うの は異 常
ために 日本 全体が窒素過剰 に陥 り出 して い
であろ う。 さてその燃 した木材の窒素分 は
分 は大気中 に戻 らず大
るそ うで ある。過乗」
どうなるので あろ うか 。 空 気中 にでた客 素
地 に貯 ま りやがて は海 にで る。 それ は と り
分 は酸化 して一 酸化窒 素、 そ して二 酸化冬
返 しの つ か ない害 、例 えば赤痢 な どの発生
を生 むだろ う。 この頃私 が読んだ文 には こ
素 と変化す る。 この過程 で太 陽 光線 で生 じ
た ラブカルな どと関係 して北 化学 スモ ング
ん なこ 旨の ことが書 かれ て あ った。
これ に較 べ 木材 は実 に窒 素が少 ない。幹
あ る。今 、大都 市で発生す る光化学 スモ ッ
なの とは反
にを素 が少 ない とい うのは過乗」
グは 自動車 の排 気 ガ スが原因で あ るとされ
対にだが色 々な ところに彰響 を及ぼす 。有
てい る。 ガソ リンの 中 に微量 に入 ってい る
窒 素が酸化 され る らしい 。
以 ドだか ら性 質 が際 立 って くるので あろ う。
な り難 い こ と
第一 に見 虫や微生物 の llFfに
が なか った ら、 千年 分の室素が 木材中 に時
まって いて 、木材 は到底安 す べ き除料 には
が あ る。木食 い虫 は初夏 に羽 あ りとしてわ
, たに違 いない。 そ して微生物や
な らなか ■
これ と余 り変 らない。 心材が辺材 と余 り変
ない。前 回紹介 した Pや K並 みの 少 な さで
らないのは P 、 K の 場 合 とは違 う。 P 、 K
あ る。 そ うで はあ るが窒素の少 な さは P、
は心 材で は急 に減 っていた。 これ らの こと
Kの 少 な さと訳が違 う。窒系 は弘物 として
か ら考える と樹 木 は窒 素 の管理 を P 、 K よ
木 の種類
大地 にあ ったわ けではな く、空気中 にある
りず っと厳 しくや ってい るよ うであ る。窒
トウ ヒ
沢山の本 素 ガスが 色 々な方法で しみ こんで
素が必要 な場所 、つ ま り生 命活動が活発 に
大地 に存れ す るものである。 その 量は細菌
行われ て居 る場所 にだ け空 素 をお いてお き、
が年素同定 した ものが 全窒素固定量 の63ら
用が無 くなると直 ぐ吸 い反 して他の必要 な
次 ぎが 人間の ア ンモニ アエ業 に よるもので
場所 に再配置す る。 そん なこ とを思 いた く
24ク
ο、唆 りは稲芸や株焼 で生 じた ものであ
る。 その よ うなわ けで 少 量 しか 大地 にない
な る。
一 本一 本の木 に とって こん なに大事 な窒
素 であ るが森林全体 での リサ イクルの程度
は必 ず しも大 き くない。熱帯降 雨林の よ う
る ときには古 い実 は 自分 の窒素 を新 しい★
に外か ら手が 入 らないl t l 林
で は窒素 は植 物
にや る。実 は落 ちるときにはその前 に枝 ヘ
や動物の遺体 として大地 にH 民り7 ∼ 8 割 が
84
技
術
教
室
を生む。 あの 日が チカチカす る大気汚染 で
カ
機物 は窒 素 を10数 バ ー セ ン ト (5∼ 30う
ーセ ン ト
なの
にそれ
が01パ
のが普通
含む
の 量は何 と16番 日、告け合いは003?ク に過 ぎ
ものだか ら、 Pや Kが そ うであ った様 に値
す む問題で あ る。 地球 全体 でみ る と末だ半
分の木材 は燃料 として使 われ てい る。 ア メ
本 は大量 に農作物 を輸 入 して い るが 、 その
この大切 な空 素 は大地 の地 表 にあ る元素
物 は窒素のや り繰 りをす る。新 しい業が 出
フないで
る問題 で ある。 否、正 し くは起 こ ′
つ に1200年かか るそ うで あ る。 ところで 日
低 い。 しか し成 熟 した辺材では分裂 まもな
い辺 材 よ り告素 含量 は更 に一 桁低 い。J ヽ
独
心材 での合量 も
点 以 ドニ 桁 であ る。 そ して′
るの と対照的 で あ る。
多 くの微生物が木材 を何 に出来 ない理 由の
一 部が ここにあるのは間違 い ないだ ろ う。
第 二 は木 を燃 や して燃料 とした とき起 こ
表1
幹
も し木の幹 に窒素 をや り繰 りす る仕組 み
の部位 と客 素量
` 撤 巌 重 置 に対 す る% う
マツ
トチ
エレ
ュ ーカ リ
形成層
1 11
未 熟辺材
辺 材
0 27 0. 047 0 062
3. 25
4 70 0 83
4 80 0 88
2 08 0 52
心
材
0 012
0 22
0 28
0 062 0 081
( C o w l i n g
e t
a l
1 9 6 6 )
れわれ の 日につ く見虫で あ るが 、彼 らは木
木 食 い虫の格好 の観 食 にな って しまい
材の タ ンパ ク質 を利用 して い きてい る。木
方 が もともとは タン′くク質
材 の窒 素 は 9 言」
, たで あろ う。
が使 いに くい 材料 とな■
を作 りあげ るものであ った。 それが年月 と
共 に タ ンパ ク質が変化 して しま う。 木食 い
虫 は冬 素 の 少 ない 木 の 古い部位 には くっつ
No 451 1990年 2月 号
85
人
森 の 科学 (32)
したのでは決 して発 根 しない 木で も工 夫で
― 卜が 出 る と完全 な
幼植物体 となる。 つ ま
根が 出 る。根 の つい た芽 は生長 して 、小 さ
いなが らも一 人前 の幼植 物 とな る。 これ は
り苗が出来 る。
苗に相 当す る。
も う少 しバ イオ臭 い方法 もあ る。 とい っ
東京大学農学部
羊本知孝
そ こは天 国の よ うであ る。豊 か な森 に囲
型で あ る。 しか しこれ は スギに限 るので あ
まれ た、 山の なかの僅か な平地 に、30セ ン
り他の林 木 では挿 し木 は何故 か成功 しない。
チに も充 たない木 々が苗代の稲の ように整
そ こで種 子に よる増殖 に頼 るのだが、種子
の場合少 し性質 が変 って しま う。 そ こで バ
あ る。 その姿の可愛 さに思 わず 目を細 めて
ィォテ ク ノロ ジーの登場 、 バ イオは何 に役
立 つ か とい えば 、今 の バ イオ、 つ ま り組織
しま う。見 まわす と何 人 もの年寄 りが それ
培養 は ク ロー ンを作 るの には誠 に都合が良
ら幼 い木 々の間 を通 り抜 けなが ら こまめに
い。
植物 の細胞 には不思議 な性質 が あるの を
草 を とってい る。
ここは首圃 と呼 ばれ る林業 での作業場 で 、
ご存 じであろ うか 。 今 まで に何 回か出たが、
そ こで 木 は稚樹 か ら育て られ 、何 度 かの植
えか え作業 をへ て 、 五年 ほ ど経 つ と山に持
全能性 と呼ぶ値物 全体 を再生す る能力が ど
の細胞 に も潜ん でい る。 つ ま り適切 な条件
ち出 され 、森 を作 る木 として植 え られ る。
さえ与 え られれ ば どの細胞 も植物体 になる。
苗圃 が都市 の人間の 日につ くことは殆ん ど
この性質 は人 に例 えれ ば 、指先 の皮か ら人
無 い。
が生 まれ ると言 うことにな り、共感 を呼 び
スギの苗 は林木 として珍 しく挿 し穂 で 、木
に くい けれ ども、繰 り返 し学者の証 明が な
されてい るもので あ る。 バ イオを使 って ク
の先端の業 を とって きて大地 に挿 す と、挿
ロー ンを増やす 上の原理 は ここにあ る。
種子 か ら苗 を育 て るのは原則で あ るが 、
され た穂 はやがて根 を出 して育 ってい く。
原料 は試験管 内の挿 し木 にであ る。但 し
この方法 では親 の性質がその まま子 に伝 わ
元 になるのは植物体 で はな く例 えば先端 の
り、誠 に便 利 なので穂 を採 るだけが 目的 の
採穂 園が作 られて い る。 ここの スギは背 が
芽 ( 頂芽) や 葉 の 付 け 根 か ら出 た芽 ( 腋
低 く、 なるたけ沢山の穂が採れ るよ う様 々
育 て る。 人工培地 は化学薬品 だけか ら成 り
一
立 つ ものが多 いか ら、案 品の 部 の濃度 を
な工夫 が されてい る。
全 く同 じ植物 を親か ら子 へ と増殖 して い
くの を ク ロー ン増 殖 とい う。何 か ら何 まで
全 く同 じの クロー ン人間 な どとい うのが ア
ニ メに登場 す る くらい、 この言葉 は流行 に
な った。 スギの挿 し木は ク ロー ン増殖 の典
84
技
術
教
室
芽) で ある。 これ を試験管内の人工培地 で
変 えた り、 あ る実品 を除 くのは簡単 に出来
る。害 菌に悩 まされ ないで作業 をす るの も
容 易で ある。 こん な利点 を使 い 、培 地 の薬
品組成 、特 に植物 ホルモ ンの割 合を工 夫す
る と植 え付 けた頂芽 、腋 芽 は発根 す る。挿
ってい る。植物 の細胞 は どれ も 目的 をもつ 、
例 えば葉 の細 胞 、花 の細胞 な どとい うょ う
て も要 は挿 し木で 、 これ は_上
記頂芽 、 腋芽
に。 それ が カル スの細胞 は 目的 をもた ない。
その もの を幼植物 にす るのではな く、 これ
方 向性 をな くして しまった細胞 なので ある。
ら芽 の植 え付 けた場 所 周囲 に発生す る組織 、
カル スは大量生産 に 向 いてい るが都合 が悪
い ことに変異が起 こ りやす い。植物 の性 質
これ を不定芽 (ふて いが)と よぶが 、 これ
を切 り取 った もの を別の人工培地 に移 して
育 て る。 不定芽 を育 て るには、頂芽〈願芽
を育 て るのに較 べ多 くの工夫がい る。 これ
が バ イオであ る。 で も不定芽 は一 度 に数本
は 出 るので成功すれ ば効 率 が良い。育 て た
不定芽 か らは シュー トとい う若 い葉がで る。
不定芽 一 つ か ら 4本 は採れ るので 、 その シ
ュ ー ト1本 1本 を切 り取 って発根用培地 に
移 して根 を出 させれ ば、仮 に 3週 間 に一 度
が元 の もの と変 ることが あ るのだ。 だか ら
折 角良 い性質 の木の ク ロー ンを育 て るつ も
りなのに カル ス化で変 った もの となる とい
うことも起 こ るのであ る。
‖Ⅲ町
品││
巾
﹂ ■柿■一一
然 と植 え られて い る。良 くみ る と形 は小 さ
くとも スギであ り、ヒ /キ で あ り、 マ ツで
ところで この カル スは実 に妙 な性質 をも
シュ ー トを切 った として も 1年 に40億本 の
幼植物 がで きる計 算 になる。不定芽 とは耳
慣れ ない名 だが 、芽 は頂点 とか葉 の腋 とか
か ら普通 はで るの に、 それ以外か ら出て く
るこ とが あ り、 それ らを名 づ けた もので あ
る。特別 な性質 は ない らしい。
さて もっと人工的 なバ イオもあ る。今 ま
での と同 じよ うに頂芽 、腋芽 を人工培地 に
植 え付 ける。但 し人工 培地 の実品 を工夫 す
バ イオの基本 は 自然 では特別 の植 物 で し
か 出来 なか った ことを多 くの植 物 で しか も
人工的 に量産す る こ とで あ る。 バ イオを使
った増殖 ( マイク ロプ ロパ ゲ ー シ ョン) は
塊が出来 る。 これ は カル ス と呼ぶ細 胞 の集
世界 中で研究 され ていて 、 テ ー ダマ ツ、 ラ
ジア ー タマ ツ、 ュ ー カ リ、 ポ プラな どで成
団で あ る。 この カル スは簡単 に バ ラバ ラに
功 して い る。 しか し実用化 の例 は未 だ ない。
な るので微生物 の よ うに育 て易 い。 バ イオ
在来法 と較 ベ コ ス トが合わ ないそ うで あ る。
に ピ ッタ リの植物体 であ る。 さて この カル
実用化 されれ ば採 穂 園の仕事 はな くな る し、
る。 そ うす る と植 え付 けた芽 の周辺 に 白 い
スを培地 を工 夫 して育 て る と先 ず不定胚 が
首圃 も激減 す るので 、筋 肉労働 の削減 は 明
分化 して くる。 不定胚 とい うの も不定芽 同
かで あるが 。
様耳慣れ た言 葉で はない。受精 していない
のに 、受精 した ときと似 た形 で 出 る胚 が不
定胚 で 、普通 の植 物 で も出来 る こ とが あ る
が 、培養細胞 では よ く出 る。 この不定胚 は
適 当 な人 工培地で育 て る と、根 が出、 シ ュ
No 452 1 99o年 3月 号
85
裸 の細胞
捧本角1 孝
東京大学 の演 習林が南房総 にあるが 、 そ
の 名物 の一 つ 「
相の沢 スギ品種試験地」 で
は 日本中か ら3 3 品種 の スギを集 めて きて挿
し木 で 高を育 て 、最 大7 8 本、最小 1 7 本、 合
品種 がで るチ ャ ンスが ある。
スギは一 つ の花 に雄 しべ と雌 しべ が つ く
タイ ブ 〔
両性花 ) で はな く、一 つ の 木 に雄
計 1 3 8 0 本の スギが 品種 ご とに縦 に生 えてい
花 と雌 花 が つ くタイプ ( 異性花 ) で ある。
雄 しべ の花粉 、雌 しべ の極珠 は前年 の夏頃
る。 1 9 4 1 年4 月 に苗 を植 えた とあ るが 、 も
で き次年 の春二 月、雄 しべ か ら花 粉 が飛ん
う見 事 な林 とな って いる。 南西斜面 に広が
べ につ く。例 の スギ花粉症 で有名 な
でl t t し
った林 には遠 くか らみ る と明瞭 な縞が現 わ
多量の花紛 の発生 で ある。雌 しべ にた ど り
れ る。縞 の 美 しさは品種 ごとの 生長の違 い
ついた花粉 は花粉管 を雌 しべ の中に伸 ば し
が生んだ 自然の妙で あ る。 スギ の学 名 は
て受 精 に成功 す る。
で あって 、 これ 以
こん な千順 を人の意志 でや るのは存外大
外 の 名 はつ いてい ない。木 の種類 に よる と
変種 とい うのが あ って 、v a r … … とつ け
くわ え られ る。上 に述 べ た 3 3 種 の スギは
変 であ る。新 しい 品 種 を得 る こ とを 「育
種J と い うが 、育 種で予 め選択 した スギの
変種 ではないか ら分類 学 では区別出来 ない
す るには まず雌花 と して選 んだ木の雄花 は
程似 てい ることになる。 だか ら生長 の違 い
邪魔で ある。 それ を除か なければ な らない。
はその 品種がその 七地 に合 っていたか どう
放 ってお けば招かれ ざる交配が起 こるか ら
で ある。 また選 んだ雄花 を取 って きて 一つ
か に よ り生 まれ た と考 えて よか ろ う。
べ を交配 させ よ うと
雄 しべ と別の木 のl t E し
スギの苗 は 、九州地方では挿 し穂 で育 て
一つ
、雌花 につ け るの も木の背の高 さを考
るこ とが 多 い。 つ ま り好 く育 ち、耐候性 、
え ると楽 ではない。 こん な面倒 な仕事 は少
Frl病
虫害性 に勝れ た精鋭樹 と呼 ばれ る スギ
しの誤差 は覚悟 で もっ と単 純化す るのが 自
の穂 先の実 を とって きて大地 に さす。挿 さ
然の成 り行 きだが 、現実 に も交配の 目的 に
れ た穂 はやがて根 を出 し育 ってい く。 この
は採種同 と称す る植物 園が つ くられ てお り、
方 法 は数 を増 やすのには誠 に便 利 であ るが 、
合 日的的 に 木を配置 して 白然の力で行 って
規 の性 質が その まま子 に伝 わ ってい くだ け
い る。例 えば選択 したl t r 花
を持 つ木 を中心
で あ って 、新 しい性質の スギは■ まれ て こ
に 、 その周辺 に選択 した雌 化 をもつ 木 を多
ない。新 しい品 種 を うるにはご承知の よ う
数配置す る。選択 した雌 花 は 自分の木 の雄
に 惟 しべ と雌 しべ を く, , つけて 種 を とる方
花 とも交配す るが 、 これ か ら生 まれ る種 は
をサ
及る。 こ うして ■ またけこもt / ) に
新 しt ヽ
術
教
る。 これで可成 り労 力の減 った仕事 とな る
こ うい った育種 に所謂 バ イテ クが どん な
れ た細胞 同士 は簡単 に融 合 させ る。細胞瞑
風に使 えるか は成 果が労 力節減 に繋 が るだ
けに興味 が あ る。 バ イテ クの簡単 な利用 に
東京大学 農学 部
技
が周辺 の雄花 との交配 で生 まれ た もの と成
ス トと呼ぶ もので あ り、勿論 その周 りには
と
細胞膜 (持は原形質隈 )が あ るので細胞 の
経験 が ある。 そ こで発芽 した ものは殆ん ど
森 の 科学 (33)
室
半分は発芽 しない し、生長 も しない とい う
中身が こばれ 出 ることは ない。 この裸 に さ
は比較的 簡単 な処理 で穴が開 く。 キ リとポ
プラの プ ロ トプラス ト融 合の例 で は 、 カル
はl T N の
培 養 が ある。受精 はす るが親が類 縁
シウムイオ ン と高濃度の ポ リエ チ レング 1'
関係が うす い ときにはl T N は
育 ちに くい とい
コールが使 われ てい る。 さて 2種 の プ ロ ト
う。 受精 したl T S を
無 菌的 に取 り出 して適 当
な培地 を探 して培養すれ ば一 人前 の植物 と
プラ ス トが融 合すれ ば、条件 に よ リプ ロ ト
なる。 これ は従来の交配 に バ イテ クを絡 ま
育 てて新植物 を得 る。 キ リとポ プラの融 合
せた方法で、栄養 を良 くして未熟児 を育 て
は地 球上 にない植物 を生 む。 しか しこの誕
る類 いで あろ う。
生 には難問題 が多す ぎて ポ プラギ リは未 だ
自然 の交配 とは花粉 の細胞 と胚珠 の細 胞
プラス トの周 りに細胞壁 がで きる。 これ を
生 まれ てい ない。残念 な こ とに キ リとポ プ
を融 合 させ ることで ある。花粉 や胚珠以外
ラとの融合で はポ プラの プ ロ トプラ ス トが
の細胞 をお互 いに くっつ けて も両者 は融合
キ リの プ ロ トプラス トの中 は入 った ものの
しない 、 これ は言 うまで も無 い こ との よ う
細胞膜 の合体 は起 こらない。 つ ま リポ プラ
に思 われ てい る。 バ イテ クはそれ に挑戦 す
る。 そ こで どの細 胞 を選ぶか 。既 に述 べ た
を抱 えた キ リの細胞が生 まれ たに過 ぎない 。
それ では一 つ の塚 として品種が違 うポ プ
が植物 の細 胞 は どの細抱 も全能性 をもつ 。
ラ同士 の プ ロ トプラス ト融 合は どうだ ろ う。
だか らどん な細胞 だ って融 合 しさえすれ ば
それが 出来 ただけで もポ プラの耐病性 が 向
生 まれ た新細胞 は両 植物 の性 質 を持 つ 新植
上す るこ とはあ りうる。 だか ら似 た もの同
物 となる筈で ある。花粉 や睡珠 以外の細胞
士 の融合 も無駄 ではない。斉藤 さんの仕事
で 人工的 な融 合 をす るには融 合の邪魔 とな
だ とキ リ同士 、 ポ プラ同土 の融合 は 出来 た
る組織 を採 り除 けば よい。 そのためには ど
とい う。
うす るか。先ず細胞 の レベル まで植物 をバ
ラバ ラに る。 そ して細胞 の皮 を幸Jいで裸 に
ころ個体 に まで殆ん ど生育 しない。花粉 と
す る方法 を とる。
か胚珠 とかの細胞 を プ ロ トプラス トに まで
細抱 と細 胞 の接着部 を壊 し、一 つ一 つ の
バ ラバ ラの細胞 にす るには ペ クチナ ー ゼ と
単純化 したためにお きた障害 で あろ う。
い う分解酵素 を使 う。接 着部が ペ クチ ンで
は ミカ ン とニ レで知 られ て い る程度で あ る。
出来 てい るか らで あ る。次 に細胞 の皮 を剥
しか し植物細胞 の全 能性 を信 じれ ば、 この
く。細胞 の皮 は細胞壁 (吉は細胞膜)と 呼
方法が育種 で役立 つ の は 日に見 える。
しか し融 合 した プ ロ トプラス トは今 の と
今 までに融合 した細胞 が植 物 に成 った例
ばれ て い るが 、 なんで 出来 てい る とお考 え
で あろ うか。 それ は主 にセル ロー スで あ る。
そ こで 壁 を除 くには酵 素 セル ラー ゼ を使 う。
酵素 はかせい ソー ダな どと同 じ化 学試薬 で
安定 な もの は商品 にな ってい る。 セルラ ー
ゼで皮 は景Jがれ る。残 ったのが プ ロ トブラ
No453 1990年
4月 号
85
甘 ノ
/