鹿児島医療センターでのアブレーションの成績 2009 年から 2014 年までの症例 2009 年より不整脈に対するカテーテルアブレーションが常時可能となり、昨年 2014 年 までの症例の推移はグラフ(電気生理学的検査は含まれず)のとおりです。 心房細動は徐々に増加し、その他の疾患の症例数はほぼ横ばいです。 過去 6 年間で、総数 698 例で、上室性頻拍(房室結節回帰性頻拍、房室回帰性頻拍、心 房頻拍、心房粗動)が 337 例、心室性頻拍(心室頻拍)27 例、心房細動 288 例、房室結節 焼灼 9 例、電気生理学的検査 37 例でした。 心房細動以外のアブレーション 平均年齢は 55±18 歳、9 歳から 99 歳まで施行しています。成功率は上室性:97.9%、心 室性 88.9%でした。再発率は、上室性 1.77%、心室性 3.7%、心房粗動 3.7%でした。合併 症については、0.28%でした。いずれも多くの施設とほぼ同等の成績でした。 180 161 160 131 140 127 120 AVN VT AFL AVNRT WPW AT af 97 100 80 68 77 60 40 20 0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 房室結節(AVN) 0 2 2 2 1 2 心室頻拍(VT) 2 4 6 10 4 1 心房粗動(AFL) 17 15 18 19 18 24 房室結節回帰性頻拍(AVNRT) 10 16 23 28 15 17 WPW 症候群(WPW) 9 16 13 17 15 27 心房頻拍(AT) 4 2 2 2 3 7 心房細動(af) 26 22 33 53 71 83 心房細動 288 例で男性 217 例、女性 71 例。年齢は平均 61 歳±11。25 歳から 80 歳です。2012 年 から 2014 年までの症例の生存曲線は下図のとおりです。単回の焼灼では、発作性心房細動 で 70.9%。 非発作性心房細動で 56.7%。 複数回のアブレーションで発作性心房細動 87.6%。 非発作性心房細動で 82.9%でした。合併症 4.9%(14 例) 10 例が心嚢液貯留、その他、 仮性動脈瘤、胃拡張、横隔神経麻痺でした。多くは心嚢液貯留でした。最近は早期に発見で き、心嚢ドレナージを留置する症例は少なくなりました。洞調律維持率、合併症とも文献で 発表されている他の施設と同等の成績でした。 発作性心房細動 洞調律維持率(%) 初回アブレーション 複数回アブレーション 非発作性心房細動 初回アブレーション 複数回アブレーション 100 87.6% 82.9% 80 70.9% 60 56.7% 40 20 0 5 10 15 20 25 30 35 40(月) カテーテルアブレーションの成績は、ほぼ良好で、合併症も多くの施設と同等の成績でし た。今後、高齢化に伴い、高齢者の症例が多くなることが予測されます。高齢になると合併 症も多くなります。今後も慎重に手技を行うよう心掛け、さらに成績の向上と合併症をなく すことを常に心がけてまいります。症例の約 90%は紹介患者さんです。皆様のご期待に沿 えるよう鋭意努力いたします。
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