ESD 円卓会議配布資料/2015//06/12/開発教育協会 2015 年 6 月 12 日 「ESD に関するグローバル・アクション・プログラム実施計画」への提案 特定非営利活動法人 開発教育協会/DEAR 代表理事 上條直美 我が国における「ESD に関するグローバル・アクション・プログラム」実施計画案(以下、実施計画案)へ のご提案です。 1.項目について 現在の実施計画案には、原則や目的に当たる部分が見当たらないことから、以下の項目を追加してください。 また、GAP の原則、目的を重視したものにしてください。 【1.原則】 GAP に記載されていることを確認し、政府の責任や重視するべき項目を明確にして下さい。 <理念> ・ESD は、グローバル・アクション・プログラム(GAP)に掲載されている「原則」(a)~(g)に従うも のとして理解され、合意されている。ここに GAP の原則(a)~(g)を引用する。 <政府の責任> ・教育は権利であり、公共財である教育の基本的な責任は政府にあることを確認する。 <包摂性の確保> ・年齢、ジェンダー、障害の有無、居住地域、言語・文化等を問わず、すべての人々が、教育および持続可能 な開発の主体である。政府は、その実現を保障する。 <マルチステイクホルダーの参加> ・ESD の推進にあたって、政府は、説明責任と透明性を確保した上で、市民社会、民間セクター、学術界お よび地域コミュニティを含むすべてのステイクホルダーが、政策策定と決定から実施、モニタリングを含むす べての段階に参加する権利を保障する。 【2.目的】 GAP に書かれている2つの目的に従って、具体的に記載して下さい。 <教育の再方向付け> ・教育を、持続可能な開発に貢献するために再方向付けすること。具体的には ―学校教育においては地域の多様性を尊重し、地域ごとに持続可能な開発プロセスに対応した学びが実現して いる ―学習者が主体的に学校や地域の持続可能な開発に貢献している、そのための環境が整っている ―年齢、ジェンダー、障害の有無、居住地域、言語・文化等を問わず、すべての人々が生涯にわたり良質な ESD の機会を得られる環境が整っている <教育を通した持続可能な開発の促進> ・持続可能な開発に関連するあらゆる政策および事業において、教育・学習の役割を強化することで、教育を 通した持続可能な開発を促進する。具体的には ―ESD および持続可能な開発に関する政策が、参加型のプロセスで、省庁間および部門間で協調し、「原則」 にあるあらゆるステイクホルダーと協議・連携し作成されている ―行政、学校、地域、NGO、企業等のあらゆる分野で、個人および組織レベルにおいて、持続可能な開発の 理解に基づいた行動の変容がより広がっている 1 ESD 円卓会議配布資料/2015//06/12/開発教育協会 2.基本的考え方 (2)ステイクホルダーへの期待 ・ステイクホルダーの重要性が記載されていますが、そのステイクホルダーが実施計画にどのように参加す るのかについては、明確に記されていません。以下の項目を追加してください。 <すべてのステイクホルダーの参画の保障> ・政府は、本計画の責任者として、政策策定、決定から実施、点検、評価まですべてのプロセスにおいて、す べてのステイクホルダーの参画を保障する。そのために、政府、市民社会、民間セクター、学術界および地域 コミュニティを含むすべてのステイクホルダーにより構成される円卓会議がその役割を担うべきである。それ が難しければ、各セクターにおいて「政策協議モニタリング委員会」(仮)を設置し、定期的に開催し、関係省 庁連絡会議に提案する(補足資料参照) 。 <協議による政策決定および各ステイクホルダーの主体性の重視> ・質が高く、信頼される政策を作るために、あらゆる主体から幅広く意見を聞きそれを反映させることが重要 である。そこで、政策策定に関しては、説明責任と透明性を確保した上で、最も早い段階から、上記の委員会 等の方法で、意見徴収にとどまらない市民参加を保障する。 3.優先行動分野ごとの実施計画 ・本項で記載されている実施計画には、政府関係省庁による、政府セクターの実施計画です。この実施計画 に各ステイクホルダーがどのように関わるのか、また、各地域や分野の実施計画の策定・実施については明 記されていません。従って、以下の項目を追加してください。 <実施計画へのすべてのステイクホルダーの参加> ・以下の実施計画は、すべてのステイクホルダーの参加と意思決定を重視して実施される。 <各実施主体の地域、分野ごとの実施計画の策定・実施の支援> ・政府は、全国各地の自治体やセクターごとの ESD 実施計画を策定・実施・点検・評価することを推奨し、 政府は財政的支援する。 4.点検・見直し・評価 点検(モニタリング)と評価は別項目として考えられる必要があります。実施計画の点検については、すべ てのステイクホルダーと政府が共同で行うこと、評価に関しては、政府から独立した評価委員会が政府関係 省庁の施策を外部評価する仕組みが必要です。 <点検> 点検(モニタリング)については、GAP の「原則」に基づき、政府、市民社会、民間セクター、学術界およ び地域コミュニティを含むステイクホルダーが、指標の策定から実施までを定期的に行う。またこれに基づき、 政府と各ステイクホルダーが共同で「ESD 国内モニタリングレポート」を発行する。 <データ収集> ・政府は、各ステイクホルダーと協力して、基礎調査を含む点検に必要な調査を実施し、信憑性のあるデータ を収集、提供する。 <見直し・評価:評価委員会の設置と透明性の確保> ・政府は、政府から独立した評価委員会を設置し、委員の選定と評価プロセスおよび結果について十分な説明 責任と透明性のもとで、定期的に評価を実施・公表する。 <政策の見直し> ・評価委員会からの提案をもとに、政策の見直しを行う。 以上 2
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