「グローバル・アクション・プログラム」(GAP)とは?

<ESD/ユネスコスクール東北コンソーシアム>
No.1
宮城教育大学国際理解教育研究センター
2015 年 1 月発行
宮城教育大学では、今年度から文部科学省より「グローバル人材の育成のための ESD の推進
事業」の採択を受け、東北地方の多様なステークホルダーと連携して、
「ESD/ユネスコスクール
東北コンソーシアム」の構築を進めているところです。その一環として、
「ユネスコスクール通
信」を発行し、ESD に関する国内外の最新情報と東北地方の ESD/ユネスコスクールの優れた
実践を発信・共有して東北地区の ESD の取組の質的な向上に寄与したいと考えております。
第 1 回目は、昨年 11 月に名古屋で開催された「ESD に関するユネスコ世界会議」で世界に向
けて発信された「グローバル・アクション・プログラム」
(GAP)と今年度の宮城教育大学・東
北地区ユネスコスクール実践大賞を受賞した気仙沼市立唐桑幼稚園の ESD の実践を紹介します。
◆「グローバル・アクション・プログラム」
(GAP)とは?
「グローバル・アクション・プログラム」
(Global Action Programme on ESD=GAP)は、
「国
連・持続可能な開発のための 10 年」
(DESD)が 2014 年で終了するにあたって、DESD 後の
ESD の更なる推進・拡大をめざして UNESCO が提案したものです。2013 年の第 37 回ユネス
コ総会で採択され、昨年 11 月に名古屋で開催された「ESD 関するユネスコ世界会議」で世界各
国に向けて発信されるとともに、12 月の第 69 回国連総会にも提案され決議されました。
GAP の全体目標は、持続可能な開発を加速するために、教育・学習の全ての段階・分野で行
動を起こし強化することにあります。 その実現のために、GAP では、以下の 5 つの「優先行動
分野」を示し、各国及び各ステークホルダー(実践者)にコミットメントを促しています。
GAP は、DESD の後継プログラムとして今後の ESD 推進の方向性や枠組みを示すものです。
グローバル・アクション・プログラム(GAP)ロードマップ
5つの優先行動分野
政策的支援
機関包括型
アプローチ
教育者
ユース
ローカル
コミュニティ
主なステークホルダー
・政策立案者
・市民社会組織
・国際機関
主なステークホルダー
・全ての教育機関の長
(一般企業、コミュニティの
長、親等の支援のもと)
主なステークホルダー
主なステークホルダー
主なステークホルダー
・ESDを実行する教育者
・15歳~24歳のユース
・教育者を養成する者
・大学教員
・マスメディアや活動家を
・公的諸機関、地域教育関
係者、私企業、市民社会、
NGO、個人、地域メディア
アクション
アクション
アクション
アクション
カリキュラムや教育
基準にESDを導入す
るなど、国内外の教
育、持続可能な開発
へのESDの統合。
ESDに関する全体的な
視野をもって、幅広いコ
ミュニティと連携して、
学習に専念できる環境
において、ESDを実行
できる構想・計画の開
発。
・教員養成プログラム
へのESDの統合
・高等教育における持
続可能性の教授水準
の向上と研究の実施。
・職能開発プログラム
への持続可能性の視
点の導入。
学習だけでなく、ネッ
トワーク作りのため
のソーシャルメディア
を含む、情報通信技
術の多大なる利益を
活用する機会をユー
スに提供する。
・地域レベルでのマルチ
ステークホルダーのネッ
トワークの強化。
・学習と協力のための地
域プラットフォームの質
の向上。
期待される成果
期待される成果
期待される成果
期待される成果
教育、持続可能な開
発に関係する政策枠
組み、計画、戦略、プ
ログラム、プロセスの
中へのESDの統合。
学校、他の訓練学校、
公的・私的組織によっ
て実行される、持続可
能性の計画、戦略の開
発。
・教員養成プログラ
ムへのESDの統合。
・教育者の訓練機関
の能力の強化。
・コミュニティーの計画・
意思決定過程への
ESDプログラムとESD
の視点の統合。
・マルチステークホル
ダーのネットワークの増
加と拡大。
含むユースによる組織
アクション
期待される成果
・ユースへの質の高
いオンライン研修の
提供。
・ESDアドボカシー、
政策開発、実行への
ユースの参加。
文部科学省資料より
平成26年度
気仙沼市立唐桑幼稚園のESDの取り組み
気仙沼市立唐桑幼稚園
1 研究テーマ「からくわ
2 研究仮説
いちばん」-唐桑のすてきなところを探そう・遊ぼう-
次のような取り組みをすれば、園児は唐桑のよさに気づき、その環境を大切に
していこうとする態度や意欲を育むであろう。
⑴唐桑のよいところを見に行き観察・体験する。
⑵園に帰って作ったり、描いたり、演奏したり、話し合って再現してみる。
3
研究の概要
○「いいものみっけマップ」
散歩で見つけた唐桑の様子を地図に
○「唐桑漁協加工センター交流」
⑴唐桑の海にはカキ、ウニ、ホタテ、ホヤ等た
した。ザリガニ池、タンポポの丘、カバ
ンの木等と名付けた。
くさんの生き物がすんでいる。
⑵唐桑の海はとても栄養がある。
⑶唐桑の人たちは親切だ。
○「宿うちばやしの伝承」
うちばやしを見て、⑴やってみたい。⑵太鼓を
作ってみたい。⑶運動会で発表したい。
○「体験で学んだことを再現する」
みんなでシェアする。ウニやカキやホ
タテや魚などを園で再現してみる。太鼓
を作る。
4 研究の成果
⑴ 唐桑の自然や伝統芸能にふれ、それらを大事にしていこうとする意欲や態度が育まれた。
例えば、
「海は汚さないようにしよう」「ゴミは捨てないように」「弁当は残さず食べる」等
の発言が増えてきた。
⑵ 自分たちで作る、演奏する、発表する、話し合うことで、進んで周りの環境を大事にして
いこう、育てていこうとする態度が見られるようになった。例えば、進んで太鼓演奏をした
り、今まで以上に飼っている生き物の世話をしたりするようになった。
5 今後の課題
園児の表現力を育むことも平行して行っていく必要性を感じた。