レポート提出前のチェックシート ver. 1.2

レポート提出前のチェックシート ver. 1.2
化学系のレポート・論文はある程度定まった共通のフォーマットで記述する決まりがあります。レポ
ート作成がはかどるよう、共通のフォーマットの書き方に慣れるようにしましょう。レポートの基本的
な書き方は『自然科学総合実験』テキストで既に紹介されていますので、そちらを参照して下さい。こ
れまでの先輩方のレポートを参考に、ミスしがちな点をチェックシート形式でまとめました。レポート
提出前の最終確認に用いて下さい。また分からない点は、レポートを提出する前に担当教員に尋ねるよ
うにしましょう。
また、ここで書かれている内容はあくまで一般的な書き方を列挙しただけのものです。指導教員から
レポートの書き方について指示があった場合はそちらに従うこと。特に指示がない場合は、下記の一般
的なやり方に従ってレポートを作成しましょう。
【レポートの構成のチェック(最重要!)
】
□
表紙に『Title』、
『Author』はありますか。
□ 『Abstract(実験の概要。何を行い、どんな結果を得たかを簡潔に記す)
』はありますか。
□
『Introduction(実験の導入・背景。なぜその実験を行うのかを記す)
』はありますか。
□
『Experimental(実験手順)』はありますか。
□
『Results and Discussion(結果と考察)
』はありますか。
□
『Conclusion(結論の簡単なまとめ)』はありますか。
□
『References(参考文献)
』はありますか。
□
課題があれば、特に指定がなければレポート末尾に記載しましょう。
(短いレポート・論文の場合は、Abstract, Conclusion は省略される場合もあります。)
【レポートの体裁のチェック】
□
物理量を示す記号は斜体で表記されていますか。定数、係数を示す記号(平衡定数 K、温
度 T など)は斜体で記します。化学式や単位は斜体にしません。なお、酸解離定数 Ka の
“a”や溶解度積 Ksp の“sp”のように、物理量の下付きの文字は斜体にしない場合が多
いです。
□
表のタイトルは上、図のタイトルは下に表示されていますか。
(例)
Table 1 タイトル
□
13
A0
A1
A2
A3
A4
A5
草原
森
5
10
-3.00
18
d C
-5.04
-3.87
-4.01
-5.44
-7.71
-7.80
d O
-7.40
-7.14
-7.36
-7.29
-7.63
-7.84
δ13C (‰)
試料名
草原の石筍
草原の石筍
草原の石筍
草原の石筍
草原の石筍
草原の石筍
-6.00
-9.00
0
15
20
25
石筍表面からの深さ (mm)
Fig. 1 タイトル
ギリシア文字、記号は symbol フォントを使用していますか。
(例 マイクロの“”は半
角英数字の“m”を symbol フォントに変換。微分を示す記号の“”“”は半角英数
字の“d”, “D”を symbol フォントに変換。日本語全角フォントの“μ”
、
“Δ”は使わ
ない)
□
単位は SI 単位系で書かれていますか。数字と単位、単位同士の間に半角スペースは入っ
ていますか。“スラッシュ”を使っていませんか。
(例 濃度の単位 …… mg kg-1, mol dm-3 (ppm, M, mol/L は使用しない。moldm-3
と間を開けずに書かない)
。体積の単位 …… dm3, cm3 (L, ml は使用しない)
)
□
複雑な数式を平打ちテキストで書いて、誤った表記になっていませんか。必要に応じて
Windows Office 付属の数式エディタを使用するか、印刷後に手書きで挿入しましょう。
1 
n
100  1 NH 3 
1   1 NH 3    2 NH 3    3 NH 3    4 NH 3 
2
3
4
K
1

a2b 3
 0.123
456
n
など。
□
有効数字は正しい桁数で記載されていますか。
□
平衡を示す式は“ ⇌ ”(両片矢印)で示されていますか。
“⇔”や“⇄”は使用しません。
【『Title』、
『Author』のチェック】
□
共同実験者がいれば、共著者として記入しましょう。
□
学籍番号は記入しましたか。実験台番号などが割り振られていれば記入しましょう。
【『Experimental』のチェック】
□
有効数字の桁数は適切ですか。
□
実験日の日付(年月日)、気温は入っていますか。
□
使用した器具、機器、試薬は記入されていますか。
□
過去形で記述されていますか。
【『Results and Discussion』のチェック】
□
有効数字の桁数は適切ですか(Result の場合、有効数字も立派なデータの一部です)
。
□
誤差が必要な場合、表記されていますか。
□
過去形で記述されていますか。なお、一般的な事実、定理は現在形で記述します。
(例 水
酸化ナトリウムの水溶液は塩基性である。0.1 mol dm-3 に調製した水酸化ナトリウム水溶
液の pH は塩基性を示した。)
□
データの引用に参考文献が明示されていますか。(例 “~の平衡定数は pKa = 5.6 であ
る(名前, 年号)。
” もしくは“~の平衡定数は pKa = 5.6 である[References の通し番
号]。”)
□
『Discussion』は実験の感想文になっていませんか。得られた結論に根拠はありますか。
真偽の明らかではないインターネットからの情報などを根拠として記載していませんか。
値を得られた値の評価、妥当性は議論されていますか。その他実験に関して改善・提案も
あれば記入しましょう。
【『Conclusion』のチェック】
□
結論のみの簡潔な文章になっていますか。
【『References』のチェック】
□
参考文献ごとに通し番号は打たれていますか。
□
参考文献は著者名、書名が書かれていますか。
(参考文献の書き方の例(Analytical Science 誌の場合))
(書籍の場合)[通し番号] 著者名, “タイトル(斜体)”, 発行年(太字), 出版社, 出版社
の住所(Tokyo, New York など).
(雑誌の場合)[通し番号] 著者名, 雑誌名(斜体), 発行年(太字), 巻(号)
(斜体), ペ
ージ.
卒業後も使える Excel 小技集
【傾きと切片の求め方】
例えば左のように直線で近似できるデータがある場合、
傾きに、
=slope(y の範囲, x の範囲)
切片に、
=intercept(y の範囲, x の範囲)
と入力すると、
(灰地下線部はキーボードではなく、マウスのド
ラッグで入力可能です。
)
以下のように直線の式に近似した際の傾きと切片を求めることができます。
・データが直線になっているか、グラフを作図して確認するようにしましょう。
・Excel の散布図ならば、右クリックして“近似曲線の追加”で、傾きと切片を表示させることが可能で
す。
・グラフの枠線はつけないのが一般的です。
(X 軸と Y 軸の線と、目盛りのみ表示。)
【平均値、標準偏差の求め方】
左のように複数回測定したデータがある場合、
平均値に、
=average(値の範囲)
標準偏差に、
=stdev(値の範囲)
と入力すると、
(灰地下線部はキーボードではなく、マ
ウスのドラッグで入力可能です。)
以下のように平均値と標準偏差を求めることができます。
・測定値が複数ある場合も、計算式のセルをドラッグすることで上記のように一度に計算が可能です。
・“=stdev(値の範囲)*2”と入力すると、2の値を直接求めることができます。
・表をレポートに貼り付ける際は、値の有効数字に注意しましょう。誤差の値によって有効数字は変化
します。
(例 測定値②は、11.7 ± 0.2 という書き方と、11.71 ± 0.21 という書き方があります(2)。
どちらが適切か各自で考えて、レポート中で書き方を統一して使用して下さい。
)
・エクセルでは
で、表中の有効数字の桁数を変更することができます。
更新履歴(数値は Version 番号です)
(追加・要望などありましたら [email protected] まで。
)
1.2
改行の位置を調整しました(内容は未変更です)
。更新履歴に連絡先を加えました。
1.1
【レポートの体裁】の、
“Ka”、“Ksp”の下付き文字の部分を斜体にしない説明を加えました。
1.0
Web に公開(131029)