がんの診断・進歩と役割

がんの診断・進歩と役割
•神戸医療センター
地域医療研修センター
地域医療連携室
放射線科
森田瑞穂
放射線科医とは?
例えば
内科
薬で病気を治す
外科
手術して治す
眼科
目を治す
耳鼻科 耳鼻を治す
麻酔科 麻酔をかける
では、放射線科医って何をしている人??
放射線科医とは?
何を扱う?
内科
外科
放射線科医
聴診器や内視鏡や血液データ
メス
放射線
放射線科医
放射線を専門的に扱う医者
診断部門
CT,MRIで撮った画像の読影
胃や大腸の透視、血管造影、RI等の読影
治療部門
放射線を癌にあてて癌を殺す放射線治療
放射線とは?
運動エネルギーを持って空間を飛び交わしている素粒子
エネルギーが低いと
人体に対しての影響が少ない
人体を通り抜ける
X線写真、CT、血管造影装置
診断用
エネルギーが高いと
人体に対しての影響が大きいが
がん細胞に対しても影響あり
リニアック、重粒子線
治療用
がんの診断
がんが有るか、無いか
(存在診断)
問診・視診・触診で見つける
痰に血が混ざる
肺がん
便に血が混ざる
大腸がん
背中が痛い
膵がん
最近、やせた
ほとんどのがんの末期
お腹が大きくなった
ぐりぐりが出来た
がん性腹膜炎
がんのリンパ節転移
ふらふらする
脳転移
腰が痛い
骨転移
がんの自覚症状で一番多いもの
自覚症状なし!
検診で
•
•
•
•
•
1.肺がん検診
2.胃がん検診
3.大腸がん検診
4.乳がん検診
5.子宮がん検診
男性
女性
各がんの死亡率の特徴
肺がん…
生まれた年代によって死亡率が異なる
胃がん… 男女とも40歳代から70歳代の死亡率が減少。
結腸がん… 男女とも50歳代から死亡率が増加。
直腸がん…
男性では50歳代から60歳代で死亡率が増加、
女性では1980年代以降死亡率が減少。
子宮がん… 年齢階級を通じて死亡率が減少傾向だが、
30歳代では1980年代以降死亡率が増加。
卵巣がん… 1960年から1980年に40歳代以上で死亡率が増加
乳がん…
30歳代後半から70歳代前半で死亡率が増加。
特に50歳代の死亡率増加が目立つ。
肺がん
検診
3年前
1年前
2年前
発見時
ウィルヘルム・コンラッド・レントゲン
1895年 X線の発見
レントゲン自身の手
夫人の手
X線撮影(レントゲン撮影)
フィルムに直接
→従来のレントゲンフィルム
受光面でデジタル化
→ CR
DR
79歳 男性 検診で異常を指摘(右下)
?
デジタル画像で調節後
CT:Computed Tomography
コンピューター断層撮影装置
X線CT検査
人体を透過してきたX線をコンピュータで処理して、
人体を輪切りにした画像を描く検査法
人体の横断像が描出できるので、救急医療や最新医療
では必要不可欠な検査
CT( Computed
Tomography)
コンピューター断層撮影装置
物質の密度の差を
(放射線の通り抜け易さ)
絵にしている
Sir Godfrey N.Hounsfield
1967年CT
開発に着手
1967年開発に着手
EMI-MarkⅠ
頭部用臨床試験機(1971年)
東芝 T-CT900S
(1990年)
他の病院で頭部CTにて、前頭葉に石灰か血腫を指摘されMRIを依頼
持参のCT
当院のMRI撮影
当院のMRI撮影
R
L
良性の脳腫瘍
R
足元から見た画像
L
持参のCT
頭側から見た画像
胸部単純写真
左
右
1年半後
CTは断面で見るのでよりはっきり見える
お腹側
背中側
肺がん
70歳 前立腺癌患者
CTはデジタル画像なので
条件を変える事が出来る
骨条件
骨への転移
最近のCTの進歩
マルチスライスCT(MSCT)
マルチディテクターCT(MDーCT)
早い・薄い・きれい
66歳 男性
胸部単純写真
1年前と比べて陰影が
大きくなっている
1 年前
高分解能CT
手術で肺がんが確認
肺がんが疑われる
肺癌
こちらが高分解CT
多断面再構成法
Volumeデータ
表示したい断面の設定
表示データ
人体を色々な方向から切って断面を見られる
肺がん
冠状断(正面向き)
多断面再構成法
矢状断(縦斬り)
胸部CT
気管内に突出する腫瘤あり。
内視鏡モード
気管支内をポリープ状に発育
肺がんの一種
発見時 間接撮影
胃透視
(バリウム検査)
胃の壁が凸凹
発見時 間接撮影
胃透視
(バリウム検査)
胃の壁が凸凹
胃カメラ
早期胃がん
切除標本
早期胃がん
CTで胃透視のような胃の粘膜を描出できる
←が胃癌の中心
CT(再構成)
胃透視
造影剤を使ったCT検査
造影剤:血の流れの多い所が濃く見える薬
静脈注射で投与
①血管(動脈瘤など)を詳しく見る
②腫瘍(出来物)を見つける
血尿例
造影CT
単純CT
腎癌
C型肝炎の経過観察に超音波で腫瘤が疑われた
単純CT
肝がん
造影CT:早い時期
造影CT:遅い時期
より細かく
(MPR, MIP, 3D)
より早く
より広く
全大動脈のVR像
女性
胸部単純写真で異常陰影? 精査目的でCTを依頼
?
肺野や胸壁で特に異常を指摘できず
さらに頭側を観察
乳がんが疑われる
右腋窩リンパ節が腫れている
右乳腺組織が腫れている
右乳房のしこりは以前から気ずいていたが放置
左乳房のしこりは3ヶ月前から気ずいていたが、
夫が卒中で倒れて、介護にて放置
マモグラフィー
左乳房
右乳房
乳腺エコー
右:乳房全体の腫瘤(エコーでフローベを超える)
左:A領域32×18×13mm
両側乳がん
MRI検査
(磁気共鳴画像検査)
人体を強力な静磁場(0.5T~1.5T)の中に入れて
ラジオの電波で刺激すると人体を構成する水素の
原子核から特定の共鳴電波が発生してくることを
利用して人体の断層像を得る検査
放射線は全く使用していない検査
MRの歩み
原理,システム構成,安全性
臨床例、将来展望
概観の移り変わり
例:1.5T
1983
1991
1997
1.5T MAGNETOM
2002
(単純レントゲン写真)
お腹側
結腸癌術後
背中側
骨の濃度に
濃い薄いがある
CT
お腹側
正常の骨
背中側
骨構造が異常に緻密
右
左
MRI
お腹側
正常の骨
背中側
正常構造が
消えている
脊椎転移
73歳 男性
うつ傾向と外出が減り、筋力低下。最近よくこける。
平成16年4月 腎癌にて腎摘出
頭部CT
慢性硬膜下血腫
頭の打ち所が悪いと
骨と脳の隙間に
血が溜まって
脳を圧迫
水頭症
脳室の髄液が増えて
脳を圧迫する
脳の真ん中に腫瘤
頭部MRI
T1W
T2W
慢性硬膜下血腫
FLAIR
頭部MRI
脳の真ん中に腫瘤
腫瘤がはっきりわかる
脳外科にて
慢性硬膜下血腫除去
腫瘍摘出術施行
腎癌の脳転移
頭部造影MRI
核医学検査
(RI:ラジオアイソトープ)
ごく少量の放射線医薬品(ラジオアイソトープ)を
静脈注射して、特定の臓器に集めて、そこから放出
される放射線を検出して形態や機能を検査する方法
脳血流や心臓動態検査
全身の骨の検査
腫瘍を調べる検査
70歳 男性
胸部レントゲン写真
肋骨に瘤?
胸壁に盛り上がり
CT
リンパ節転移
左水腎症
多発肋骨転移
リンパ節の腫れ
右
左
骨シンチグラフィー
多発骨転移
左水腎症(前立腺がん)
PET (陽電子断層撮影法)
P:positron
E:emission
T:tomograhy
F-FDG
(ブドウ糖にフッ素 Fをつけた物質)
正常細胞
がん細胞
ブドウ糖の取り込みの盛んな部位、
臓器に多く集まる
ガンマ線が出てPETカメラで捕らえる
PETの適応
1.てんかん
2.虚血性心疾患
3.乳がん
4.肺がん
5.大腸がん
6.頭頚部がん
7.膵がん
8.悪性リンパ腫
9.転移性肝がん
10.原発不明がん
11.悪性黒色腫
55才 女性
PETによる治療効果の判定
H17年9月腹痛で内科受診
大腸がんが見つかり10月手術
施行
その後は経過観察されていた。
H19年7月に左鎖骨の上に
腫れを自覚。
PETで左鎖骨上窩リンパ節
転移と診断された。
治療前
抗がん剤投与後
リンパ節への集まりが消えている
71歳 男性 咳が持続
胸部CT
胸側
左
右
背中側
肺野に咳の原因は発見できず。
気管の前に腫瘤が見つかった。
リンパ節?
PETを依頼
心臓
PET
脳
心臓
心臓
膀胱
膀胱
胸には異常を示す信号がなく、
お腹で異常な信号あり。悪性リンパ腫や悪性腫瘍を疑う
PETで指摘の部位を腹部CT追加
腹側
左
右
腹側
背中側
背中側
血管の側に腫瘤あり
縦斬りに画像を作り変えると
血管の前に腫瘤を確認
今回のCT
半年後のCT
明らかに大きくなっている。外科で手術。結果は悪性リンパ腫
初診(初診料を含む料金)
単純CT 自己負担(3割)
5620円
造影CT 自己負担(3割) 10120円
MRI
自己負担(3割) 6970円
RI (心筋シンチ) 自己負担(3割)
30820円
PET検査 自費で10万∼13万円 保険 75000円の3割負担
脳ドック
自費で25200円
マモグラフィ
1方向2700円
子宮がん検診
3400円
大腸ファイバー
24500円
腹部エコー
5700円
2方向4300円
放射線被爆について
1.CT・・・20ミリシーベルト以下(mSv)
2.自然放射線(宇宙・大地・食物)・・・1年間に2.4mSv
3.白血病やがんになる放射線量・・・1度に1000mSv以上
4.胎児に影響が現れる恐れのある放射線量・・100mSv以上
妊娠中や妊娠の可能性がある場合は避けた方が無難
月経開始日より10日間