廃石膏ボードのリサイクル法の探索プロジェクト

廃石膏ボードのリサイクル法の探索プロジェクト
The search project of recycling law of waste gypsum board
14ME223 ファン クーン マン (PHAN CONG MAN)
1. 石膏ボードの定義
石 膏 ボ ー ド ( せ っ こ う ボ ー ド ・ gypsum
board)は、石膏を主成分とした素材を板状
にし、特殊な板紙で包んだ建築材料です。
特徴としては、断熱・遮音性が高く、また
とても丈夫ですが値段が安いで、壁や床を
造る際には広く使われている。
2.石膏の変態と条件
図 1 のように、紙を分離した状態の
廃石膏は硫酸カルシウムの二水石膏
( CaSO4 ・ 2H2O ) で 、 加 熱 す る と 約 42 ℃
か ら 結 晶 水 は 分 離 開 始 し 、 約 130 ~
160℃で 2/3 の結晶水を失い硫酸カルシ
ウ ム と 1 / 2 水 和 物 の 半 水 石 膏
( CaSO4 ・ 1/2H2O ) に な る 。 こ の 半 水 石
膏 に 水 を 加 え る と 固化し て 二 水 石 膏 に 戻
る性質がある。
さ ら に 約 180 ~ 600 ℃ で 加 熱 す る と 硫
酸 カ ル シ ウ ム ( CaSO4 ) の 無 水 石 膏 に な
る が 、 こ れ に 水 を 加える だ け で は 固 化 し
な い が ア ル カ リ 雰 囲気に よ り 固 化 し て 二
水 石 膏 に 戻 る 性 質 が あ る 。 な お 、 180 ~
190 ℃ で 加 熱 時 に 生 成 さ れ る Ⅲ 型 無 水 石
膏 は 、 そ の ま ま 加 熱する こ と 無 く 放 置 す
ることで半水石膏に戻る性質がある。
図 1:石膏の変態
日 本 で は 1921 年 か ら 生 産 が 始 ま り 、
1960 年 代 に 入 っ て 、 公 害 対 策 の た め 火
力 発 電 所 や 肥 料 工 場など の 排 煙 対 策 と し
て 脱 硫 石 膏 が 大 量 に排出 さ れ る よ う に な
っ た こ と で 石 膏 ボ ードの 生 産 量 は 増 加 し
ていった。図 2 より 1974 年の第一次オ
イ ル シ ョ ッ ク 以 降 、建築 量 が 横 ば い に な
ったが 1982 年に住宅金融公庫が定めた
「 省 令 準 耐 火 構 造 」にお い て 石 膏 ボ ー ド
の 使 用 が 誘 導 さ れ た事に よ り 、 合 板 か ら
石 膏 ボ ー ド へ の 切 り替え が 急 速 に 進 ん だ
ため生産量は増え続け 1997 年にピーク
に達したが今後も年間 450 万 t 程度の供
給が予想される。
し か し 、 石 膏 ボ ー ドを使 用 し た 建 物 の 寿
命により解体が始まった 1990 年頃から、
建 物 新 築 時 の 端 材 ととも に 廃 石 膏 ボ ー ド
の 最 終 処 分 場 で の 硫化水 素 の 発 生 や 有 害
物 質 ( カ ド ミ ウ ム 、ヒ素 、 フ ッ 素 な ど )
の 溶 出 な ど 様 々 な 問題が 発 生 し 課 題 が 明
ら か に な っ た 。 解 決策の 検 討 は 進 め ら れ
て い る が 有 効 な 対 策が無 く 、 早 急 な リ サ
イクル用途開発が求められている。
図 2 日本の石膏ボード生産量推移
(石膏ボード工業会データより)
3)廃石膏ボードの現状
建物新築時に使用する石膏ボードの切断端
材や余剰材料を新築系廃石膏ボードと呼び、
建物の寿命(物理的、経済的)により解体
に排出される石膏ボードを解体系廃石膏ボ
ードと呼ぶ。
新築系廃石膏ボードは、建物の内壁や天井
下地寸法から端材が最小限になるように検
討する歩留まり管理や、使用量を精緻化す
る発注管理などの努力により排出量が減少
し、将来的にも 16 万t/年程度の排出量で
安定すると予想されている。
一方、図 3 のように日本の建物の平均寿命
が 26 年程度2)であり、1970 年頃に建設さ
れた建物の解体が始まった 1990 年代になっ
てから解体系廃石膏ボードは急激に増加し、
2000 年には新築系廃石膏ボード排出量の 2
倍を超えて増え続けている。
1999 年に複数の安定型処分場において硫化
水素の発生事故が発生し、社会問題になっ
た。調査した結果、有機物入り紙を剥がし
た廃石膏でも安定型処分場の土に存在する
有機物で硫化水素が発生することが明らか
になったため、2006 年 6 月以降、廃石膏も
管理型処分場への廃棄が義務づけられた。
そのため、紙を分離する必要が無くなった
解体系廃石膏ボードは紙付のまま分離して
管理型処分場に廃棄するのが主流になった。
一方、新築系廃石膏ボードは品質が安定し
ており、紙の分離が容易なので廃石膏はリ
サイクルされているが、解体系廃石膏ボー
ドは品質問題からリサイクルは進んでいな
い。これから増え続ける解体系廃石膏ボー
ドの排出量を見込んで紙を分離する設備を
導入した産業廃棄物業者から、解体系廃石
膏ボードから紙を分離した廃石膏の利用用
途を探索する動きが活発になったが有効な
対策はなかなか見つかっていない。
3.1) 新築系廃石膏ボードの状況
図 3 建物の平均寿命
(平成 8 年建設白書より)
図 2 のように、1990 年以降、新築に使用さ
れる石膏ボードは年間 450 万t供給されて
おり、今後も安定的に供給(使用)される
ことが予想されている。解体系廃石膏ボー
ドの排出量は図 4 の 2030 年の予想量が 225
万 t であることから、2060 年頃には解体系
廃石膏ボードの排出量が年間 450 万tに達
し、新築系廃石膏ボード 16 万tの合計 466
万tほどの廃石膏ボードが 2060 年以降、毎
年排出され続けることが予想される。
図 4 廃石膏ボードの排出量推移
(石膏ボード工業会データより)
施 工 者 の 活 動 ( 歩 留り計 画 な ど ) で 減 少
傾向にあり、現在 30 万 t/年が施工者の
活 動 ( 分 離 収 集な ど )で 回 収 さ れ て いる 。
仕 様 が 明 確 ( メ ー カー、 製 造 時 期 な ど )
であるため、写真 1-1 のように汚れや仕
上 げ 材 な ど 他 材 の 混在が 少 な く 、 比 較 的
大 型 な の で 紙 の 分 離がし 易 く 、 品 質 も 安
定している。回収された 87%(26 万 t/
年 ) が 石 膏 ボ ー ド へのリ サ イ ク ル さ れ て
おり、今後は 16 万 t/年で安定する予測
です。
新 築 系 廃石 膏 ボー ド の状態
3.2) 新築系廃石膏ボードの状況
現在 91 万 t/年が回収されているが、
工 期 や 経 済 性 の 面 で機械 解 体 や 他 材 と の
混 合 廃 棄 物 と し て 処分さ れ る も の は 除 か
れ る 。 手 解 体 に よ る分別 活 動 に よ り 進 め
ら れ て い る が 、 仕 上げ材 除 去 や 下 地 か ら
の取外しが難しく写真 1-2 のように小さ
く 砕 か れ る の で 紙 の分離 や 分 離 石 膏 の 取
出 し が 難 し く 品 質 が安定 し な い の で 石 膏
ボードへのリサイクルは進んでいない
3.3) 廃 石 膏 ボ ー ド の 取 り 扱 い に つ い
ての変遷
従来、廃石膏ボードは一般的な建築廃
棄 物 と し て 安 定 型 処分場 に 廃 棄 さ れ て き
た 。 し か し 、 安 定 型処分 場 で 発 生 件 数 は
少 な い も の の 有 機 物が存 在 す る 嫌 気 性 下
で 廃 石 膏 の 硫 酸 塩 が硫酸 塩 還 元 菌 に よ り
硫 化 水 素 が 発 生 し ている ケ ー ス が 認 め ら
れることから、図 1-4 のように 1998 年
6 月に廃石膏ボード(紙 付)は管理型処分
場 に 廃 棄 す る こ と が義務 づ け ら れ た が 、
廃 石 膏 ボ ー ド か ら 有機物 で あ る 紙 を 除 去
し た 石 膏 は 従 来 通 り安定 型 処 分 場 へ の 廃
棄 が 認 め ら れ た 。 この時 、 多 く の 産 業 廃
棄 物 業 者 は 石 膏 ボ ードと 紙 を 分 離 す る 設
備 を 導 入 し て 石 膏 ボード か ら 紙 を 取 除 い
た 石 膏 ( 以 下 、 廃 石膏と 称 す ) を 安 定 型
処 分 場 に 廃 棄 し て いった 。 な か で も 解 体
系 廃 石 膏 ボ ー ド は 、解体 時 に 手 作 業 で 回
収 す る コ ス ト を か けても 紙 を 分 離 す る こ
と で 廃 石 膏 を 安 価 な安定 型 処 分 場 に 廃 棄
で き る た め 、 産 業 廃棄物 業 者 に メ リ ッ ト
があった。
し か し 、 1999 年 に 複 数 の 安 定 型 処 分
場 に お い て 硫 化 水 素の発 生 事 故 が 発 生 し
て 社 会 問 題 に な っ た。調 査 し た 結 果 、 有
機 物 で あ る 紙 を 剥 がした 廃 石 膏 で も 安 定
型 処 分 場 の 土 に 存 在する 有 機 物 で 硫 化 水
素 が 発 生 す る こと が 明ら か に な っ た ため 、
2006 年 6 月以降、廃石膏も管理型処分
場 へ の 廃 棄 が 義務 づ けら れ た 。 そ の ため 、
紙 を 分 離 す る 必 要 が無く な っ た 解 体 系 廃
石 膏 ボ ー ド は 紙 付 のまま 分 離 し て 管 理 型
処 分 場 に 廃 棄 す る のが主 流 に な っ た 。 一
方 、 新 築 系 廃 石 膏 ボード は 品 質 が 安 定 し
て お り 、 紙 の 分 離 が容易 な の で 廃 石 膏 は
リ サ イ ク ル さ れ て いるが 、 解 体 系 廃 石 膏
ボ ー ド は 品 質 問 題 からリ サ イ ク ル は 進 ん
で い な い 。 こ れ か ら増え 続 け る 解 体 系 廃
石 膏 ボ ー ド の 排 出 量を見 込 ん で 紙 を 分 離
す る 設 備 を 導 入し た 産業 廃 棄 物 業 者 から 、
解 体 系 廃 石 膏 ボ ー ドから 紙 を 分 離 し た 廃
石 膏 の 利 用 用 途 を 探索す る 動 き が 活 発 に
な っ た が 有 効 な 対 策はな か な か 見 つ か っ
ていない。
図 3.3: 廃 石 膏 ボー ド の取 り 扱 いに つ い
ての変遷
4)廃石膏の再利用への取組み
廃石膏の用途について、以前から国や業界
(主に石膏ボードメーカー)あげて開発推進
されてきており、表 2 のような用途と進捗
状況および各用途において処理可能な最大
量が示されている。石膏ボードメーカーに
よる石膏ボードの原料への再利用で現在 26
万t処理されているが、廃石膏は新しい石
膏に比べ強度が低いことから再利用は 10%
程度が限界であり、しかも比較的品質の良
い新築系廃石膏ボードから得られた廃石膏
に限られている。また、セメント系地盤安
定材で廃石膏を再利用されているようだが
明確な処理量は把握されていない 3) 。再利
用の検討対象は比較的再資源化が安定して
いる新築系廃石膏ボードであり、解体系廃
石膏ボードから得られた廃石膏の物性が不
安定であるため、有効なリサイクル用途は
開発されていない
表 1:廃石膏ボードのリサイクル状況
技術
開発
ユ
ー
ザ
ー
需
要
最大処
理可能
量
ー
に
○
○
50 万 t
整
合
△
×
66 万
t
焼結鉱の
粘結媒体
△
×
40 万
t
セメント
固化促進
添加材
○
○
46 万
t
汚泥固化
材 ( 吸 水
材)
△
△
26 万
t
用途
石 膏 ボ
ー ド 原
料
セ メ ン
ト 原 料
化
製 鉄 所
の 焼 結
原料化
セ メ ン
ト 系 地
盤 安 定
材
石膏ボ
ド原料
再利用
凝結調
用の配
材
そ の 他
固化材
合計
228 万
t
( 廃 石 膏ボ ー ドの 再 資源化 促 進 方策 検
討 業 務 調査 報 告書 よ り)
5)26 年度の予定⁻目標
廃石膏の問題は放置すると硫化水素を出す
ことであり、これを防ぐための措置につい
て検討する。また、これまで廃石膏をポー
ラスブロック状にすることに成功している
ので、リサイクル用途の一つとしての有効
な利用法を探索する。たとえば、重金属除
去の効果を検証する。
6)実験方法
*)実験用のもの
ボード破砕品
ベントナイト
6.1)石膏添加量と Ca イオン溶出濃度の関
係
① 3 つのビーカーにそれぞれ 600ml 蒸留
水を入れる。
② 石膏を 1.0g、1.5g、2.0g 加えて攪拌す
る。
③ 3min 、 10min 、 30min 、 60min 、
90min、120min の間隔でサンプリング
して、溶液を濾過してから pH と Ca2+
濃度を測定する。
6.2)ベントナイト加えた場合と加えない場
合の石膏へのヒ酸イオン吸着量
① ヒ素濃度が 20mg/l のヒ酸溶出を調整す
る。
② 7 つのビーカーにそれぞれ 300ml 蒸留
1 のヒ酸溶液を 3ml ずつ添
水を入れ、○
加する
2 の溶液のうち、3 つのビーカーにそれ
③ ○
ぞれ 0.5g、0.75g、1.0g の石膏ボード破
砕品を加え、3 つのビーカーにそれぞれ
0.5g、0.75g、1.0g の石膏ボード破砕品
及びベントナイトを 6g ずつ添加する。
④ 3h 攪拌してから遠心分離し、上澄み液
を濾過してからヒ素測定セット 331(ガ
ステック)によりヒ素濃度を測定する。
6.3)ベントナイトの添加量と石膏へのヒ酸
イオン吸着量の関係
① 蒸留水 600ml 3 つにそれぞれ 1.0g 石
膏粉を添加し、3h 攪拌する。初期 pH
と初期の Ca2+濃度を測定する。
1 の 3 つ溶液にそれぞれ 1.0g、10.0g、
② ○
ベントナイトを加え、蒸留水 600ml に
ベントナイト 50.0g を加え、30min 攪
拌してから、pH と Ca2+ 濃度を測定す
る。
2 の 4 つ溶液と蒸留水 600ml にヒ素濃
③ ○
度が 20mg/l のヒ素溶液を 4ml ずつ加え
る。10min 攪拌してから、pH、Ca2+濃
度及びヒ素濃度を測定する。
④ 攪拌してから 60min、120min の pH、
Ca2+濃度及びヒ素濃度を測定する。
7)実験結果と考察
表 3:廃石膏の添加による Ca2+溶出濃度
3
1.0g 廃
石膏
1.5g 廃
石膏
2.0g 廃
石膏
30
60
90
335 388.5
407.5
425
459
524
552.5
621
472 549.5
599
614
622
284
397.5
10
7.1)廃石膏の添加による pH とカルシウム
イオン濃度
表 2:廃石膏の添加による pH
時間(分)
1.0g 廃石
膏
1.5g 廃石
膏
2.0g 廃石
膏
3
5.99
10
30
60
90
6.16 6.56 6.61 6.52
6.1
6.19
6.4 6.52 6.57
6.1
6.26 6.45 6.48 6.62
各試料で廃石膏の添加によって溶液 pH が増
加する傾向にあることを示している。これ
は各試料中の Ca2+等のアルカリ分の溶出に
よるものと考えられる。
7.2) ベントナイト加えた場合と加えない
場合の石膏へのヒ酸イオン吸着量
表 4:廃石膏とベントナイトの添加によるヒ
素濃度
時間(分)
0.5g 廃石膏のみ
0.75g 廃石膏のみ
1.5g 廃石膏のみ
0.5g 廃石膏+6g ベントナイト
0.75g 廃石膏+6g ベントナイト
1.5g 廃石膏+6g ベントナイト
0
0.18
0.18
0.18
0.18
0.18
0.18
90
0.18
0.17
0.18
0.11
0.15
0.12
表 6: 廃石膏の添加による Ca2+溶出濃度
時間(分)
0
60
120
1g ベントナイト+1g
409.5
435
456
廃石膏
10g ベントナイト
170 171.5 201.5
+1g 廃石膏
7.3) ベントナイトの添加量と石膏へのヒ
酸イオン吸着量の関係
表 5: 廃石膏とベントナイトの添加による
pH
0
60
120
1g ベントナイト
8 7.91
7.6
+1g 廃石膏
10g ベントナイ
9.16 9.07
8.38
ト+1g 廃石膏
50g ベントナイ
10.67 10.8 10.54
ト+廃石膏無し
表 7: 廃石膏とベントナイトの添加によるヒ
素濃度
0
1g ベントナイト+1g
廃石膏
10g ベ ン ト ナ イ ト
+1g 廃石膏
50g ベントナイト+
廃石膏無し
60
120
0.13 0.07 0.06
0.13 0.06 0.06
0.13 0.13 0.13
今回の実験では、ベントナイトと廃石膏を
添加するとヒ素濃度が減少したということ
が明らかになった。これはヒ素(ヒ酸イオ
ン)が廃石膏から溶出するカルシウムイオ
ンと反応し、難溶性のヒ酸カルシウムが沈
殿する可能性が考えられる。
8)全体的なまとめ
背景は、わが国で建築の下地材などで使
用されている石膏ボードが年間 450 万 t
使用されており、その廃材処理について
有効な手段がなく社会問題になっている
ことでした。
石膏ボードを使い始めた建物の寿命が
訪れた 1992 年以降、解体現場から廃石
膏 ボ ー ド が 排 出 さ れはじ め 、 新 築 時 の 端
材ふくめて現時点で約 100 万 t の廃石膏
ボ ー ド が 発 生 して い る状 況 を 知 り 、 今後 、
解 体 現 場 か ら の廃 石 膏ボ ー ド は 増 え 続け 、
将来的には 466 万 t の廃石膏ボードを処
理 す る 必 要 が あ る ことを 明 ら か に し た 。
ま た 、 廃 石 膏 ボ ー ドは廃 棄 す る 場 合 、 最
終 処 分 場 で 硫 化 水 素が発 生 す る 事 故 が 発
生 す る た め 、 管 理 型処分 場 へ の 廃 棄 が 義
務 づ け ら れ て い る が、全 国 の 管 理 型 処 分
場 も 限 界 が あ る の で、業 界 を あ げ て 廃 石
膏 ボ ー ド の リ サ イ クル用 途 を 研 究 し て き
た に も か か わ ら ず 、特に 品 質 に 問 題 が 多
い 解 体 系 廃 石 膏 ボ ードの 有 効 な 対 策 が 確
立 さ れ て い な い の が現状 で あ り 、 継 続 性
が あ っ て 大 量 処 理 できる 建 材 へ の リ サ イ
ク ル 用 途 の 研 究 が 急務で あ る こ と を 明 ら
かにした。
主に解体系廃石膏ボードを再資源化する
方法を研究した。回収した石膏ボード廃
材から付着物や紙を分離して石膏だけを
取出した。この石膏は2分子結晶水を持
つ硫酸カルシウム(二水石膏)である。
これに 130~160℃の熱を加えると 4 分
の 3 の結晶水を失って半水石膏になる。
逆に、この半水石膏に水を加えると固化
して二水石膏に戻る特徴がある。半水石
膏を、さらに加熱すると結晶水を全て失
って無水石膏になるが、水硬性は無くな
り固化するためにはアルカリ刺激が必要
になる。ここで、建材へのリサイクルを
考えるとき、半水石膏の方が水硬性によ
り現場施工での建材や工場生産の定型建
材へのリサイクルが考えやすいことと、
半水石膏の方が再資源化コスト(設備投
資や再資源化変動費)を抑えることがで
きると考えられるので、比較的簡易な設
備で合理的に、建材として使用可能な半
水石膏を再資源化する方法が見つかり、
解体系廃石膏ボードから得られる再生石
膏の得失も明らかにした。
9) 今後の課題
現在、ベトナムでは、鉱業活動が盛んにな
っていることによって溶出される重金属が
河川に流入され、大きな問題となっている。
それで、今後は今回の実験の成果を活かし
て、ベトナムで応用できるように方法を考
えると思う。
参考資料
石膏粉添加による土壌中の自然由来ヒ素の
不溶化と
その機構
常松 哲 植松えり子 齋藤謙一 田村紘基
廃石膏ボードの再原料化とリサイクル用途
の研究
埼玉大学 環境制御工学 大西 克則
石膏ボード
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%
E8%86%8F%E3%83%9C%E3%83%BC%E3
%83%89 (2015/02/13)