いしかわ花酵母を用いた石川県オリジナル清酒の開発 合同会社 西出酒造 西出裕恒* ■技術開発の背景 当社は粟津温泉の近くに位置し,清酒製造業,卸しの他,小売,温泉観光客を中心と した直販も行っている。当社では,多様化する顧客ニーズに対応できるよう,バラエテ ィに富んだ品揃えの必要性を感じていた。その折,県内酒蔵有志による「いしかわ花酵 母開発プロジェクト」が発足(設立:H25.5,会員:14 社)し,開発に参画した。プロジ ェクトでは,石川県産業創出支援機構の活性化ファンドからの支援を受け,開発を進め た。 当社は花酵母清酒を実用化するため,工業試験場から兼六園の八重桜および白山高山 植物園のハクサンフウロから分離した酵母の提供を受け,石川県オリジナル清酒の開発 を行った。開発にあたり,工業試験場からは酵母の特性及び醸造方法の指導,醸造後の 製品評価について支援していただいた。 [兼 六 桜] ■技術開発の内容 新製品の開発にあたっては,以下のようにコンセプトを定めた。 (1) 酒米,仕込み水もこだわり,オール石川県産 (2) 花酵母をイメージさせるような清酒 (3) 香味のバランスがとれた清酒 ■製品の特徴 兼六園の八重桜酵母を用いた清酒は,酒米を石川門(石川県産米), 仕込み水を白山麓の伏流水として純米吟醸酒を造った。なお,清酒の 名称は,兼六園の桜から分離したことにちなみプロジェクトで「兼六 桜」と決定した。仕込みの第 1 弾は甘口の「兼六桜」,第 2 弾は辛口 の「兼六桜」ができあがった。それぞれ次の特徴を持っている。 第 1 弾の「兼六桜」(甘口)は,甘味と爽やかな酸味のバランスがよ (甘口) (辛口) く,フルーティーさも感じられる清酒に仕上がった。また,アルコール度数も 13 度と 近年トレンドの低アルコール酒となり,特に女性に人気の商品となった。第 2 弾の「兼 六桜」(辛口)は,香りが高く,すっきりとしたキレのある清酒に仕上がった。アルコー ル度数は 19 度と高く,香りは「きょうかい酵母」とは異なるオリジナリティーのある 清酒となった。 ハクサンフウロ酵母は,酒米を五百万石(石川県産米),仕込み水を白山麓の伏流水と して本醸造酒を造った。できあがった清酒は,ほどよい甘味と爽やかな酸味のバランス がよく,花酵母をイメージさせるフルーティーな清酒に仕上がった。 ■今後の展開 花酵母清酒としては,春は桜にあわせて兼六園の八重桜酵母を使った商品,夏は山 開きにあわせてハクサンフウロ酵母を使った商品といった,季節にあわせた商品展開 を考えている。今後もさらに顧客ニーズにお応えできるよう,従来製品の伝統の味を 守りながら,トレンドをキャッチした新製品開発をしていきたい。 * 代表社員 Email: [email protected] 代表者名: 代表社員 西出裕恒 住 所: 〒923-0326 小松市下粟津町ろ24 TEL 0761-44-8188 FAX 0761-44-4521
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