7章 章 問題 2)陽イオンと陰イオンが規則正しく配列してできた結晶を(A)結晶という。結晶のなかで陽 2)陽イオンと陰イオンが規則正しく配列してできた結晶を( )結晶という。結晶のなかで陽 イオンと陰イオンを結び付けているのは静電力である。(A)結晶の構造は陽イオンと陰イオ イオンと陰イオンを結び付けているのは静電力である。 結晶の構造は陽イオンと陰イオ ンの数の比、イオン半径の比などに支配される。各イオンはできるだけ多くの反対符号のイ オン(その数を(B)という)に取り囲まれて安定化する。代表的な構造として 型、岩塩型、 オン(その数を という)に取り囲まれて安定化する。代表的な構造としてCsCl型、岩塩型、 という)に取り囲まれて安定化する。代表的な構造として 閃亜鉛鉱型があり、それぞれ(B)は8、 である。CsCl型の構造を図示せよ 型の構造を図示せよ。構成イオ 閃亜鉛鉱型があり、それぞれ は8、(C) は8、 、 (D)である。 である。 型の構造を図示せよ。構成イオ ンが同種原子の場合、この構造を(日本語 ンが同種原子の場合、この構造を(日本語(E) 日本語 、英語(F)及び略号 英語 及び略号(G))という。結晶格子中の 及び略号 )という。結晶格子中の 原子の占有率は68%である。単位格子に含まれる原子数は( である。単位格子に含まれる原子数は(H)個である。 原子の占有率は である。単位格子に含まれる原子数は( )個である。 陽イオンと陰イオンの半径比がCsCl型より小さくなると岩塩型構造が安定化する。岩塩型 型より小さくなると岩塩型構造が安定化する。岩塩型 陽イオンと陰イオンの半径比が 構造の陽イオン、陰イオンが各々形成する格子を(日本語 構造の陽イオン、陰イオンが各々形成する格子を(日本語(I) 日本語 、英語(J)及び略号 英語 及び略号(K))という。 及び略号 )という。 単位格子中に(L)個の原子を含む。 単位格子中に( )個の原子を含む。この格子の構造を図示せよ )個の原子を含む。この格子の構造を図示せよ。 この格子の構造を図示せよ。 岩塩構造における陽イ オン、陰イオンが同一原子の場合、単純立法格子(simple cubic, sc)といい、占有率 といい、占有率52%であ であ オン、陰イオンが同一原子の場合、単純立法格子 といい、占有率 り、この単位格子に原子は(M)個含まれる。 り、この単位格子に原子は( )個含まれる。 閃亜鉛鉱(ZnS)型として 型としてCuCl, CdSなどがある。( などがある。(B)が4であり、 型や岩塩型に比べ単位 閃亜鉛鉱( 型として などがある。( が4であり、CsCl型や岩塩型に比べ単位 が4であり、 格子はもっとも隙間が多い。陽イオンと陰イオンをともに炭素にすると(N)となる。そのよう 格子はもっとも隙間が多い。陽イオンと陰イオンをともに炭素にすると( )となる。そのよう な構造を(N)構造と言う。占有率は34%である。 )個含まれる な構造を( 構造と言う。占有率は34%である。この単位格子に原子は 構造と言う。占有率は34%である。この単位格子に原子は( この単位格子に原子は(O) A B C D E F G I J K L M N O H 上級問題 占有率の導出 例 同一原子からなるbccで: 同一原子からなる ccで: 単位格子中の原子数(D)個 単位格子中の原子数( 個 1個の原子の体積は半径rと 1個の原子の体積は半径 と して(4/3) )πr3/a3 して( )πr3だから単位格子の1辺の長さをaとすれば占有率は( だから単位格子の1辺の長さを とすれば占有率は(D)× とすれば占有率は( ×(4/3) 3) 次の化学反応式及びイオン反応式の係数を求めよ 1) NH3 + O2 → NO + H2O 2) KMNO4 + HCl → KCl + MnCl2 + H2O + Cl2 3) Cr2O72- + Fe2+ + H+ → Cr3+ + Fe3+ + H2O 1 2 3 4) 1) 2) 3) 4) 5) 1 2 3 4 5 反応式を記せ 金属ナトリウムと水の反応で水素ガスが発生 金属亜鉛と希硫酸の反応で水素ガスが発生 希硫酸に塩化バリウム の反応で塩化水素ガスが発生 炭酸カルシウムと希塩酸の反応で炭酸ガスが発生 硫化鉄(II) 硫化鉄( に希塩酸を加える硫化水素ガスが発生 5) 1) 2) 3) 1 2 3 イオン式を記す (Fe(OH)3は不溶) 2KOH + H2SO4 →K2SO4 + 2H2O Fe(NO3)3 + 3NaOH → Fe(OH)3 + 3NaNO3 K2Cr2O7 + 4H2SO4 + 3H2O2 → K2SO4 + Cr2(SO4)3 + 7H2O + 3O2 10) 次の反応を式で示す。 1) 塩化バリウム水溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を加える。 2) 硫酸銅(II)水溶液に、磨いた鉄釘を入れる。 硫酸銅( )水溶液に、磨いた鉄釘を入れる。 3) 酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加え、穏やかに熱する。 酸化マンガン( )に濃塩酸を加え、穏やかに熱する。 4) 食塩に濃硫酸を加え、穏やかに熱する。 5) 酸化カルシウムに塩酸を加える。 6) 水酸化アルミニウムに水酸化ナトリウム水溶液を加える 7) 炭化カルシウム(カーバイト)に水を加える 8) 銅に濃硝酸を加える 9) 石灰水に二酸化炭素を加えると白濁する(9A) 石灰水に二酸化炭素を加えると白濁する(9 がさらに加え続けると透明溶液となる(9B)。 がさらに加え続けると透明溶液となる(9 。 10)塩化アンモニウムと水酸化カルシュムの混合物を加熱する。 塩化アンモニウムと水酸化カルシュムの混合物を加熱する。 11) 亜鉛に希塩酸を加える。 12) ) 亜鉛に濃い水酸化ナトリウム水溶液を加える。 13) 銅に熱濃硫酸を加える。 14) 二クロム酸カリウムと希硫酸の混合溶液にエタノールを滴下しながら静かに加熱すると 赤橙色の溶液が緑色になり、アルデヒドが生じた(カルボン酸は生じなかったとする)。 15)1 1N炭酸ナトリウム溶液 炭酸ナトリウム溶液10 mlを1N塩酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定すると 炭酸ナトリウム溶液 mlを1 塩酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定すると 5mlで無職となった(15A )。同様の滴定をメチルオレンジを指示薬として行うと10mlで黄 5mlで無職となった( )。同様の滴定をメチルオレンジを指示薬として行うと mlで黄 色から赤色になった(15B)。 。 色から赤色になった 6) 次の反応の係数を決め反応式を完結させる 1) CaCO3 + HCl 2) NaOH + HCl 3) FeCl3 + H2O 4) Mg(OH) 2 + NH4Cl 5) AgNO3 + NaCl 6) Zn + HCl 7) AgCl + NH3 AgCl + 2 NH3 [Ag(NH3)2]+ + Cl8) NaCl + H2SO4 9) KBr + Cl2 10) Ca(OH) 2 + CO2 7) 硫酸鉄(II)の結晶 gが得られた。硫酸鉄 硫酸鉄( の結晶28 の結晶 gを長時間強熱したところ、酸化鉄(III)8 を長時間強熱したところ、酸化鉄( (II)の結晶の化学式は次のどれか。ただし、原子量は の結晶の化学式は次のどれか。ただし、原子量は H=1, O=16, S=32, Fe=55.8とする。 とする。 a) FeSO4・2H2O, b) FeSO4・3H2O, c) FeSO4・5H2O, d) FeSO4・7H2O, e) FeSO4・9H2O 8) 黄鉄鉱(FeS2)1.00 g を酸化剤とともに分解して、硫黄を硫酸に変えたのち、硫酸バリ 黄鉄鉱 ウムとして沈殿させ、その重量をはかったところ3.42 gあった。この黄鉄鉱の硫黄含有 あった。この黄鉄鉱の硫黄含有 ウムとして沈殿させ、その重量をはかったところ 率は何%か。また、同じ黄鉄鉱1 から98%硫酸が 硫酸が1.33 Kg得られたとすると、黄鉄鉱中 得られたとすると、黄鉄鉱中 率は何%か。また、同じ黄鉄鉱 Kgから から 硫酸が の硫黄の何%が硫酸に転化したことになるか。 2-1章 元素 原子 原子核 電子 陽子 中性子 復習 element atom (原子核+電子) atomic nucleus (陽子+中性子) electron e e- β線 proton H+ neutron 量子 quantum 2.1) 元素発見の歴史と原子 ●元素に関する知識の蓄積と周期表(不完全)の作成 1)18 1)18世紀末まで約 18世紀末まで約30 世紀末まで約30種の元素 30種の元素 2)19 2)19世紀に入ると、 19世紀に入ると、電気化学分析 世紀に入ると、電気化学分析( 電気化学分析(デービー、K, デービー、K,、 K,、Na、 Na、Mg、 Mg、Sr、 Sr、Ba、 Ba、Ca)、 Ca)、発光スペ クトル分析 クトル分析( 分析(炎色反応、 炎色反応、 Cs、 Cs、Rb) Rb)などにより、約30種の元素 3)原子量の順 3)原子量の順に並べると 原子量の順に並べると8 に並べると8番目ごとに類似の性質が現れる( 番目ごとに類似の性質が現れる(オクターブの法則) オクターブの法則) 4)1869 4)1869年 1869年 メンデレーフによる62 メンデレーフによる62種元素の 62種元素の周期表 種元素の周期表の発表 周期表の発表 ●周期表の完全化 第18族元素 単原子分子)の発見 18族元素:不活性ガス、希ガス 族元素:不活性ガス、希ガス (単原子分子 単原子分子 の発見 ○気体の液化技術 ○気体の液化技術と 液化技術と分別蒸留技術の開発による 分別蒸留技術の開発による ○19世紀末 世紀末Ne 沸 世紀末Ne、 Ne、Ar、 Ar、Kr、 Kr、Xeが発見された。また、一番沸点の低い Xeが発見された。また、一番沸点の低いHe が発見された。また、一番沸点の低いHe (沸 点-268.9℃ 年に太陽の輝線スペ 268.9℃, 4.18K、 4.18K、常圧では固体とならない)は1868年に太陽の輝線スペ 常圧では固体とならない)は クトル中の未知元素に命名されたもの。 太陽での水素原子 の 核融合 4個の 1H → 4He + 26.2 MeV ●周期表の完全化 周期表の隙間を埋める仕事 ○ランタノイド元素(La~ ~Luの の15元素 元素)と ~Lrの の15元素 元素)は、 ランタノイド元素 元素 とアクチノイド元素(Ac~ アクチノイド元素 元素 は、 各15種の元素の化学的性質が互いに極めて類似し、発見、解明に長時間を要 種の元素の化学的性質が互いに極めて類似し、発見、解明に長時間を要 した ○モーズリーの法則( 年、モーズリーは原子番号(Z)と元素の モーズリーの法則(1913年、モーズリーは原子番号 年、モーズリーは原子番号 と元素の特性 と元素の特性X線 特性 線の波 長(λ λ)の平方根の間に直線関係 の平方根の間に直線関係(2.3式、 式、a, の平方根の間に直線関係 式、 Z0は全ての元素について一定)を発見 は全ての元素について一定 を発見 1 λ = a(Z − Z 0 ) 図2.1 ○長岡半太郎(土星型原子模型、1904 長岡半太郎(土星型原子模型、1904) 1904)→ラザーフォードの原子模型(1911 ラザーフォードの原子模型(1911) 1911) →ボーアの原子模型(1913) ボーアの原子模型(1913) 1. 電子衝撃により K電子が飛び出す 2. 外殻電子がK殻に飛び込む 3. 振動数νの特性X線が発生 L Kβ Kα Kγ Kγ K K Kβ プランク・アインシュタインの式 E = hν = Lγ hc λ = hck ν:振動数、h 振動数、h:プランク定数、 c:光速, :光速, λ:波長、k :波長、k:波数 Kα Lβ Lα プランク・アインシュタインの式 E = hν = hc λ = hck 振動数、h:プランク定数、 ν:振動数、h :光速, λ:波長、k:波数 c:光速, E = mc2 (粒子) 粒子) 電子 原子核(陽子+中性子) K殻(shell) 水素:原子核は 陽子1個のみ L殻 Li:原子核は 陽子3個+ 中性子3, 4個 He:原子核は 陽子2個+中性子1 (3He)、2(4He)個 原子核 He2+ α線 K殻 L殻 M殻 N殻 O殻 収容電子数 総電子数 2 2 8 10 18 28 32 60 50 110 n 元素 1 H, He 2 Li, Be, B, C, N, O, F, Ne 3 Na, 4 5 Br(臭素) 電子数 35 陽子数 35 中性子数 42,43,44,45,46,47 79 35 Br 81 35 質量数=陽子数+中性子数 Br 原子番号=陽子数 ウラン以降の超ウラン元素 超ウラン元素の合成に、原子核への放射線 放射線α線 超ウラン元素 (ヘリウム原子核 ヘリウム原子核He 電 ヘリウム原子核 2+)、β線(原子核の崩壊により放出される電 子)、γ線(高エネルギー電磁波))の照射、加速器により人工的に 得た高エネルギー粒子(中性子、陽子、他)の照射、Uや超ウラン 元素の中性子照射、超重元素 超重元素の重イオン照射が用いられた(原 超重元素 子番号93から114まで) 1)α線:正電荷をもつ質量の重いα線 は少し曲げられる。無磁場では気体中 電磁波 を直線的に進行し、進路に沿って多く の分子をイオン化する。 2)β線:質量が軽い負電荷のβ線は、α He2+ 線と反対の方向に大きく曲げられる。 3)γ線:波長の短い電磁波で、透過力 電子 は強く、磁場の影響を全く受けない。 人体に極めて危険である。 原子が放射線を出して他の元素に 変化・・・放射線崩壊(α崩壊、β崩壊) 図2.3 元素の分類 典型元素: 典型元素:1族、2 族、2族、12 族、12族 18族の47 12族-18族の 族の47元素。これら以外は遷移元素 47元素。これら以外は遷移元素 遷移元素: 遷移元素:3族―11族の ―11族の64 族の64元素(原子番号 64元素(原子番号111 元素(原子番号111までに 111までに限り) までに限り)d 限り)dまたはf またはf 軌道に電子が入る。 アルカリ金属元素: アルカリ金属元素:1族中の6 族中の6元素(Li, 元素(Li, Na, K, Rb, Rb, Cs, Fr) Fr) アルカリ土類元素: アルカリ土類元素:2族中の4 族中の4元素(Ca,Sr,Ba 元素(Ca,Sr,Ba, Ca,Sr,Ba, Ra) Ra) ハロゲン元素: ハロゲン元素:17族中の 17族中の5 元素(F, Cl, Cl, Br, I, At) 族中の5元素(F, 希ガス元素: 希ガス元素:18族中の 18族中の6 族中の6元素(He, 元素(He, Ne, Ar, Ar, Kr, Xe, Xe, Rn) Rn) 意味のない暗記法:すいへいりーべぼくのふね、なまあるけいりん いえんある、かっかすかっちばくろーまん 2.2) 原子の構成 原子は、半径10 原子は、半径10−5~10−4Å(1Å= 1Å=10-8 cm = 0.1 nm)の原子核を中 nm)の原子核を中 心として電子が半径1 心として電子が半径1~2Åの電子軌道を廻るモデルで説明される。 2Åの電子軌道を廻るモデルで説明される。 原子核は陽子 原子核は陽子( 陽子(+1価)と中性子(0 中性子(0価 (0価)より構成され、陽子の数 より構成され、陽子の数Nが 原子番号つまり元素を規定する。 原子番号つまり元素を規定する。陽子の数(+ 陽子の数(+N価)に相当する数の 電子が電子軌道に存在し原子は0 電子が電子軌道に存在し原子は0価である。 価である。 ○質量 電子静止質量(me = 9.109×10−31 Kg) 陽子(1.6726×10−27 Kg)や中性子(1.6749×10−27 Kg)の1/1836 原子の質量はほとんど原子核が決定 ○同位元素 同位元素また同位体 同位体: 同位元素 同位体:陽子の数が同一で、中性子の数が異な る元素。 水素の場合 1)質量数が1の1H 2)一個の中性子が加わった重水素 重水素( デューテリウム)、 重水素 2HまたはD:デューテリウム デューテリウム 三重水素( トリチウム) 3)さらに一個の中性子が加わった三重水素 三重水素 3HまたはT:トリチウム トリチウム Dは自然の水素中に1/3500~1/5000含まれている。Tは自然界にも 存在するが、主に核反応により人工的に作られる放射性元素 放射性元素である。 放射性元素 1H – + 2H(D) + – 3H(T) – + 水素 1H、重水素 2H(D)、三重水素3H(T)の構成 – 電子 + 陽子 原子核 図2.4 中性子 2.3) 3) 水素原子の電子軌道、発光スペクトルとボーア模型 放電管に封入された水素に電圧をかけ放電すると、 原子状水素から、2.5式に従った多くの輝線スペク 原子状水素から、 式に従った多くの輝線スペク トルが紫外~赤外領域に観測された 実験結果 1 λ = R( 1 n1 2 − 1 n2 2 ) 2.5式 式 図2.5 水素原子のスペクトル系列とエネルギー準位。 n = ∞より上のエネルギー準位からの光の放出は連 続スペクトルを与える。左縦軸はn = 1の準位からの エネルギー(V単位)、右縦軸はn = ∞の準位からの エネルギー準位(cm−1単位)で、各系列の数字は波 長である(Å単位)。 自由電子状態 エネルギー E2 – E1 = hν O殻 n=5 N殻 n=4 M殻 n=3 E2 L殻 n=2 E2 バルマー系列 可視部 電子励起 電子励起 E1 励起された電子が 下の軌道に落ち込 むとき光を出す K殻 n=1 水素 パッシェン系列 赤外部 励起状態 E1 ライマン系列 紫外部 イオン化ポテンシャル(イオン化電圧 電子親和力(E イオン化ポテンシャル イオン化電圧、I イオン化電圧 p)、電子親和力 電子親和力 A) 原子・分子をイオン化(Cation 原子・分子をイオン化(Cation, Cation, Anion)するに必要なエネル Anion)するに必要なエネル ギー 電子が自由な状態にある時のエネルギーを基準(真空準位、図2.5の水素分子(下図左) での右側の尺度)としたHOMO軌道(分子の場合)のエネルギーで、このエネルギー以上 の光を分子に照射すると電子が外界に出る(下図右、赤矢印)。一方、LUMO軌道のエネ ルギーは電子親和力で示され(右図青矢印)、系に電子を入れると、EAに相当するエネル ギーが出る。 0 Ip EA ε n K殻 1 L殻 2 M殻 3 N殻 4 副殻 s軌道 s軌道+p軌道(3個) s軌道+p軌道+d軌道(5個) s軌道+p軌道+d軌道+f軌道(7個) 主量子数:殻のエネルギー、 主量子数:殻のエネルギー、 s軌道 p軌道:3重縮退 軌道:3重縮退 軌道の形を決定する量子数:方位量子数 軌道の形を決定する量子数:方位量子数 d軌道:5重縮退 電子を詰める(復習)パウリの排他律とフントの規則 電子の運動・・・軌道運動(n 電子の運動・・・軌道運動(n、ℓ、mℓ)+自転運動(スピン 運動) スピン運動を規定する量子数・・・スピン量子数 スピン運動を規定する量子数・・・スピン量子数 (s=+1/2, -1/2) アップスピン、ダウンスピン。磁場により エネルギーは2 エネルギーは2本に分裂する。 パウリの排他律 二つの電子は4つの 二つの電子は つの量子数を同一にで つの量子数を同一にで きない・・・一つの軌道上の電子はアッ プとダウンの2個の電子 プとダウンの 個の電子 フントの規則 同一エネルギ-の縮退軌道には、同じ向 きのスピンを極大まで入れる 磁場ナシ O Be B F C 磁場アリ 2s軌道 軌道 1s軌道 軌道 3重縮退 重縮退 p軌道 Ne N パウリの排他原理とフントの規則に従って、水素原子からネオン原 子まで電子を詰めた結果を表2.3に示す。 軌道に1個しか電子の無い場合を赤く示す(不対電子 不対電子, 不対電子 ラジカル電 子)。その軌道に2個目の電子が入ると電子対 電子対を形成したといい、 電子対 スピン量子数の総和は零となる(青)。C、N、Oでアップスピン(ダウ ンでもよい)のみがp軌道を占めるのはフントの規則による。 表2.3 水素からネオンまでの電子配置およびスピン状態 1s 2s 2px 2py 2pz 電子配置 H He Li Be B C N O F Ne 1s1 1s2 1s2 2s1 1s2 2s2 1s2 2s2 2p1 1s2 2s2 2p2 1s2 2s2 2p3 1s2 2s2 2p4 1s2 2s2 2p5 1s2 2s2 2p6 n 殻 1 2 K L 3 M 4 N 5 O l= m=0,±1,••±l n−1,・ 軌道数 2l+1 ・・0 0 1s 0 2s 1 2p 0 3s 1 3p 2 3d 0 4s 1 4p 2 4d 3 4f 0 5s 1 5p 2 5d 3 5f 4 5g 0 0 ±1,0 0 ±1, 0 ±2, ±1, 0 0 ±1, 0 ±2, ±1, 0 ±3, ±2, ±1, 0 0 ±1, 0 ±2, ±1, 0 ±3, ±2, ±1, 0 ±4, ±3, ±2, ±1, 0 1 1 3 1 3 5 1 3 5 7 1 3 5 7 9 総軌道 殻に入る 数 総電子数 n2 2n2 1 2 4 8 総 電子 数 2 9 18 28 16 32 60 25 50 110 ボーアの原子模型と以下の条件を用いると、水素原子の発光スペクトルは ボーアの原子模型 矛盾なく説明できた(Rの値まで) 1)光の放出、吸収は、原子核( 1)光の放出、吸収は、原子核(電荷+ 電荷+Ze)の周りを 運動している電子( 運動している電子(質量m)の異なった二つの定常 状態( 状態(エネルギーE1, E2)間の遷移に相当し、2.4 間の遷移に相当し、2.4式 2.4式 (E=hν)が成立する。従って、各一つのスペクトル 線の振動数は式で表される。 hν=E1− E2 (2.6) 図2.6 2)電子は原子核を中心とした半径 2)電子は原子核を中心とした半径rの軌道を速度vで回転している(定常 状態)。角運動量 状態)。角運動量 L = mvr は次式で規定される( は次式で規定される(角運動量の量子化) 角運動量の量子化)。 L = nħ (ħ=h/2π /2π, デイラックのh、 デイラックのh、n:主量子数) (2.7) (2.7式は仮定である (2.7式は仮定である) 式は仮定である) 量子(quantum)は、1900年にマックス・プランクが発見・提唱した物理量の最小単位。不 量子 連続な量であり、物理量はこの最小単位の整数倍 整数倍をとることになる。量子を扱う自然科 整数倍 学の理論を量子論と総称する。量子の発見は、20世紀の科学に革命を起こした。 2.4) 2.4)電子は粒子と波の2重性 4)電子は粒子と波の2重性をもつ:ドブローイの業績 電子は粒子と波の2重性をもつ:ドブローイの業績 ハイゼンベルグの不確定性原理と 原理と零点エネルギー ドブローイの提案(光は波と粒子の2 ドブローイの提案(光は波と粒子の2重性をもつ) ○整数がごく自然に現れる物理現象として 整数がごく自然に現れる物理現象として波動運動の方程式 として波動運動の方程式の定常状態の解が 波動運動の方程式の定常状態の解が ある。は、原子中の電子の安定な運動の決定に整数が必要である( ある。は、原子中の電子の安定な運動の決定に整数が必要である(L=nħ)ことから、 電子を単に粒子とみなさないで, 電子を単に粒子とみなさないで,周期性( 周期性(波の性質) 波の性質)も与えられなければならない。 ○原子核の周囲を回転する電子の場合、電子軌道の円周の長さ ○原子核の周囲を回転する電子の場合、電子軌道の円周の長さ(2 電子軌道の円周の長さ(2π (2πr)が電子波の 波長( 波長(λ)の整数倍なら定常波であり の整数倍なら定常波であり( 数倍なら定常波であり(2πr = nλ 2.13式 2.13式)、その条件を満たさない波な らば波動は干渉により破壊され、存在しえなくなる。 ● r 図2.7 原子核の周りを回転するよ うに強制された電子波の概略図。 実線は定常波の一つである。破線 の波の波長はそれよりも少し短い ので干渉により破壊される。 光を粒子とすれば E = mc2 、光を波とすれば E = hν 両者の性質を持つならば mc2 = hν = hc hc//λより (2.15) λ =c /ν=h /mc =h /p 2πr = nλに2.15式を入れると mcrr =n h /2π→ L=nħとなる 2.15式を入れると2 式を入れると2πr =n h /mcで、変形し mc 。 電子も光と同様に粒子と波の二重性をもつ。 電子も光と同様に粒子と波の二重性をもつ。 質量数 原子番号 A Z W 元素記号 典型元素 遷移元素 青枠元素を内部遷移元素(fブロック遷移元素)ということがある 赤枠元素のランタノイド、アクチノイドを除き主遷移元素(dブロック遷移元素)ということがある アルカリ金属元素とハロゲン元素のイオン化 イオン化 (ionization) s軌道 軌道 H, Li, v K, Na, Rb, Cs H, Li, v K, Na, Rb, Cs s軌道 軌道 – 水素、アルカリ金属元素 電子構造は不活性ガス型 電荷は +1価 陽イオン(cation) ) 陽イオン( イオン化 F, Cl, Br, v I, At F, Cl, Br, v I, At + p軌道 軌道6e 軌道 で満席 ハロゲン元素 p軌道 軌道 電子構造は不活性ガス型 電荷は –1価 1価 陰イオン(anion) 陰イオン 2-2章 化学結合 目的: ●原子や分子を結びつける機構は何か ●結び付きを解き放つにはどうすれば良いのか ●解き放ったら何が起こるのか ●どの様に結びつけると、どの様な構造・機能が生じるのか は、化学の4命題「 は、化学の 命題「結合 命題「結合」、「 結合」、「反応 」、「反応」、「 反応」、「構造 」、「構造」、「 構造」、「機能 」、「機能」の視 機能」の視 点であり、原子や分子の中の電子が主役 電子が主役である。 点であり、原子や分子の中の電子が主役である。 これらの命題のうち 「原子や分子を結びつける機構は何か」を3章以降で説 明する。ここでは結合の分類と内容を概説 明する。ここでは結合の分類と内容を概説する。 結合の分類と内容を概説する。 2-2.1.結合の種類 2-2 1.結合の種類 ●イオン結合: イオン結合: 硝酸 過塩素酸 石炭酸 フェノール アニリン 1)構成原子(H, )または分子(HNO 1)構成原子( Na, Cl)または分子 )または分子 3, HClO4, C6H5OH, C6H5NH2), が、電子 が、電子(整数・・端数の場合は下記 電子 整数・・端数の場合は下記 の電荷移動力を参照)又は の電荷移動力を参照 又はプロトン 又はプロトンを授受し、 プロトンを授受し、 2)原子および注目している原子団(NO 2)原子および注目している原子団( 3, ClO4, C6H5O, C6H5NH3)やその原子が安定な希ガス型電子配置 )やその原子が安定な希ガス型電子配置(また 希ガス型電子配置 また は分子軌道が閉殻安定電子構造)をとるように陽イオン は分子軌道が閉殻安定電子構造)をとるように陽イオン (cation) cation)または陰イオン(anion) または陰イオン(anion)となり、 (anion)となり、 3)反対イオン間の 3)反対イオン間のクーロン静電引力 反対イオン間のクーロン静電引力が働いて結合が安定 クーロン静電引力が働いて結合が安定 +Cl−, Na+NO −, Na+ClO −, 化する[Na 化する 3 4 C6H5O−Na+, C6H5NH3+Cl−]、 、大きな分子イオン、巨 大なクラスターイオンのイオン結合もある ●ファンデルワールス(van ファンデルワールス(van der Waals)結合 Waals)結合 構成原子または分子が接近して電子雲がある程度重なり 構成原子または分子が接近して電子雲がある程度重なり 合い、結合力が発生する 合い、結合力が発生する: 、結合力が発生する: 瞬間的電場の発生(分散効果)、 ダイポールモダイポールモ-メントによる電子雲の分極(誘起効果、配向 効果)による 重原子間(II、 、SS)、 、ヘテロ原子間 、π電 重原子間 ヘテロ原子間(SN)、 子間(π π)なども、この結合に属す。水素、酸素、 間(ππ 窒素を冷却すると液化する。また、二酸化炭素炭 酸はドライアイス 酸はドライアイスとなる。これらの液体・固体中の ドライアイスとなる。これらの液体・固体中の 分子間に働く力がファンデルワールス力である。 ヘテロ原子:炭素、水素以外の原子で一般に、酸素、窒素、リン、 硫黄、ハロゲン ●水素結合 水素原子H 水素原子Hが電気陰性度の大きな原子X が電気陰性度の大きな原子Xと作る結合 H···X 分子内の原子X 分子内の原子Xが、電子を引き付ける強さは、原子の種類ごとの相対 的なものとして、その尺度を決めることができる。この尺度のことを電 気陰性度と言う(表)。一般に周期表の左下に位置する元素ほど小さ く、右上ほど大きい。 電気陰性度の差が1.7 電気陰性度の差が1.7以下の原子間の結合は共有結合性が支配的 1.7以下の原子間の結合は共有結合性が支配的 であり、それ以上の場合はイオン結合性が支配的になる。表中の色 であり、それ以上の場合はイオン結合性が支配的になる。表中の色 をつけた原子は、水素より電気陰性度が高く、水素結合を形成する。 他に、XH 他に、XH・・ XH・・π ・・π電子, 電子, CH・・ CH・・π ・・π電子, 電子, CH・・ CH・・n ・・n電子なども水素結合である。 電子なども水素結合である。 表 H Li Na K Rb Cs ポーリングによる原子の電気陰性度 2.20 0.98 0.93 0.82 0.82 0.79 Be 1.57 Mg 1.31 Ca 1.00 Sr 0.95 Ba 0.89 B 2.04 Al 1.61 Ga 1.81 In 1.78 Tl 2.04 C 2.55 Si 1.90 Ge 2.01 Sn 1.96 Pb 2.33 N 3.04 P 2.19 As 2.18 Sb 2.05 Bi 2.02 O 3.44 S 2.58 Se 2.55 Te 2.10 Po 2.00 F 3.98 Cl 3.16 Br 2.96 I 2.66 At 2.20 ●共有結合 原子同士で互いの電子を共有することによって生じる化学 結合。結合は非常に強い。単原子分子は除き分子は共有 結合によって形成される。配位結合 結合によって形成される。配位結合も共有結合の一種 配位結合も共有結合の一種 無機化合物に比べ有機化合物の種類は多く、無尽蔵に増え続 けている。2007 7年の段階で化合物は9300 けている。 年の段階で化合物は9300万種が知られ、その 9300万種が知られ、その 90%は有機物である。この種類の多さは、炭素特有の共有結合 %は有機物である。この種類の多さは、炭素特有の共有結合 に起因するところが大きい(炭素骨格の長さ[メタン、エタンと炭素 に起因するところが大きい(炭素骨格の長さ メタン、エタンと炭素 数を増やしたC 数を増やした nH2n+2のアルカン系鎖状炭化水素に上限は ない。ただし、現在の技術での高分子は分子量の一定しない混 合物]、 重結合、 3重結 重結合に関して 合物 、分岐の多様性、単結合、2重結合 制限がない)。種々の元素(N, など)が 制限がない)。種々の元素( P, O, S, Se, F, Cl, Br, Iなど)が 炭素に結合し多様な官能基を形成する。ほとんど無限といって さしつかえのないほどの有機化合物の多様性は、生物の構成要 素としての化学物質に必要な性質である。 ●配位結合 結合を形成する2つの 結合を形成する つの原子の一方からのみ結合電子が提供 つの原子の一方からのみ結合電子が提供 される化学結合である。孤立電子対 孤立電子対を持つ電子対供与体 を持つ電子対供与体 される化学結合である。孤立電子対を持つ (ルイス塩基)から ルイス塩基)から電子対受容体 )から電子対受容体( 電子対受容体(ルイス酸)となる原子へ、 ルイス酸)となる原子へ、 電子対が供給される。 オクテット則を満たさない第13 )の共有結合化合物は、 オクテット則を満たさない第13族元素( 13族元素(B, 族元素( Al)の共有結合化合物は、 強いルイス酸であり配位結合により錯体を形成する。あるいは遷移金 属元素の多くは共有結合に利用される価電子の他に空のd 属元素の多くは共有結合に利用される価電子の他に空のd軌道などを 持つ為、多くの種類の金属錯体が配位結合により形成される。NR 持つ為、多くの種類の金属錯体が配位結合により形成される。 3と BF3でできる化合物の窒素上の孤立電子対(2個の赤点)が できる化合物の窒素上の孤立電子対( 個の赤点)がBの空い 個の赤点)が の空い ている軌道に入って配位結合をする。この時、配位結合を電子対供与 体から電子対受容体へ→ 体から電子対受容体へ→で示すことがある。H で示すことがある。 3O+、NH4+は配位結 合でできるが、H 合でできるが、 3O+の3本の結合、NH の3本の結合、 4+の4本の結合はイオンの中 で等価(共有結合)である。 電子式 例 L殻電子 殻電子(n=2)の元素 の元素 s軌道、 軌道、p 殻電子 軌道、p軌道を考えず、元素記号の周囲に 8電子までを記す。一個の丸は不対電子を示し、2個揃うと電子対を形 8電子までを記す。一個の丸は不対電子を示し、 個揃うと電子対を形 成したとする(共有電子対、非共有電子対)。 Li Be O +2H B C N O Ne F H H + H OH H O H H O+ ヒドロキソ H2O 共有結合(covalent bond) 共有結合 N +3H H + H NH H NH3 3 ニウム 配位結合(coordination bond) 配位結合 H HNH H NH4+ アンモ ニウム 共有結合、配位結合は、結果として、等価である ●金属結合 金属原子(Na 金属原子(Naなど)の原子核が周期的な位置に固定され Naなど)の原子核が周期的な位置に固定され (熱振動している)結晶格子 (熱振動している)結晶格子を作り、金属原子の最外殻の電 結晶格子を作り、金属原子の最外殻の電 子が結晶中をほぼ自由に動き回ることに伴い、クーロン力と 量子力学的安定化(非局在化 量子力学的安定化(非局在化による安定エネルギー)によ 非局在化による安定エネルギー)によ り結晶ができる。 非局在化(delocalization): : 非局在化 例1)Naのs軌道の電子は、原子核から放出(イオン化)さ 例1)Naの 軌道の電子は、原子核から放出(イオン化)さ れて、Na++eーとなり、電子は特定の原子核に束縛され るのではなく、結晶全体を運動する。 例2)ベンゼンのパイ電子は、炭素原子に束縛されず、6 個の炭素原子が形成する六角形骨格を動き回る。 3.1)イオン結晶 3.1.1) 原子イオン間のイオン結晶 ●無機イオン結晶は、電子を出して安定な陽イオン(cation ●無機イオン結晶は、電子を出して安定な陽イオン(cation)となる原 cation)となる原 子と、電子を受容して安定な陰イオン(anion) 子と、電子を受容して安定な陰イオン(anion)となる原子との間にクーロ (anion)となる原子との間にクーロ ン静電引力が働いてできる結晶である。 ●各イオンは最外殻が満たされた安定な希ガス型電子配置 ●各イオンは最外殻が満たされた安定な希ガス型電子配置をとる。代 希ガス型電子配置をとる。代 表例は、周期表1族Na(電子配置 電子配置1s と17族 族 表例は、周期表1族 電子配置 22s22p63s1)と Cl(1s22s22p63s23p5)から構成される食塩(岩塩)で、 から構成される食塩(岩塩)で、3.1式である。 から構成される食塩(岩塩)で、 式である。 Na + Cl → Na+(Ne型 型) + Cl−(Ar型 型) (3.1) 1) ●Na→ →Na+のイオン化反応に必要なエネルギー(イオン化ポテンシャ のイオン化反応に必要なエネルギー(イオン化ポテンシャ ル、Ip)は5.14 )は eVである。一方 である。一方, →Cl−により3.61 により eVのエネルギー のエネルギー である。一方 Cl→ 利得(電子親和力 がある。従って、3.1式の右辺のイオン対形成 利得(電子親和力, 電子親和力 EA)がある。従って、 がある。従って、 式の右辺のイオン対形成 に5.14 − 3.61 = 1.53 eVのエネルギーが必要である。結晶に凝集す のエネルギーが必要である。結晶に凝集す ると、異種イオン対間のクーロン引力、同種イオン間のクーロン反発の )が得ら 総和による安定化エネルギー(マーデルング・エネルギー 総和による安定化エネルギー(マーデルング・エネルギー, マーデルング・エネルギー M)が得ら れる。岩塩の凝集エネルギーは約7.9 れる。岩塩の凝集エネルギーは約 eVで、 で、3.1式の右辺へ必要な で、 式の右辺へ必要な 1.53 eVを凌駕しているので安定なイオン結晶となる。 を凌駕しているので安定なイオン結晶となる。 ●イオン結晶を得る第一の条件は3.2式である。 ●イオン結晶を得る第一の条件は 式である。 Ip − EA < M (3.2) 2) イオン結晶の一般的性質 無機原子イオンから成るイオン結晶は、融点が高く、電気の絶 縁体で、水などの極性溶媒によく溶け、電解質として働く。 中には、イオン伝導性に優れたものがある。しかし、これらの性 中には、イオン伝導性に優れたものがある。しかし、これらの性 質に従わない多くの例外があり、また、有機 質に従わない多くの例外があり、また、有機-無機複合系イオン 有機 無機複合系イオン 結晶や 結晶や有機物イオン結晶は、一般的性質を要約するのが困難 有機物イオン結晶は、一般的性質を要約するのが困難 なほど多様性に富んでいる。 ヒドロキソニウム(H3O+),アンモニウム(NH ),アンモニウム(NH4+)・・・・・ オニウム 過塩素酸イオン(ClO 過塩素酸イオン(ClO4−)、硫酸イオン(SO 硫酸イオン(SO42-)、硝酸イオン (NO3-), 酢酸イオン(CH3CO2-), ハライド(F ハライド(F-, Cl-, Br-, I-), 擬ハライド(CN 擬ハライド(CN-, SCN-, OCN-, N3-) 3.2) イオン結晶の構造 イオン間に働くクーロン静電力は方向性をもたない ので、イオン結晶の構造は陰イオン(半径R)、陽イオ ン(半径r)の数の比、半径比、分極率によって支配さ れる。 各イオンはできるだけ多くの反対符号のイオン(その 各イオンはできるだけ多くの反対符号のイオン その 数を配位数 数を配位数:coordination 配位数 coordination number)に取り囲まれるよ number に取り囲まれるよ うにして安定化する。 陽イオンと陰イオンの数の比が1:1 陽イオンと陰イオンの数の比が1:1の場合の配位数 1:1の場合の配位数 は、8、 、4である。 である。 は、 、6、 1) CsCl型 CsCl型 陽イオンの半径と陰イオンの半径に大きな違いがない 時(r/R>0.73 であると)、主に塩化セシウム型 であると)、主に塩化セシウム型: 塩化セシウム型: CsX( CsX(X = Cl, Cl, Br, I)、 I)、NH )、NH4X(X = Cl, Cl, Br, I)など、約 I)など、約50 など、約50種の化合物があ 50種の化合物があ る。配位数 る。配位数8 配位数8。 2r R √2 √2 1 1 √2 1 (2R+2r)/2R=√ (2R+2r)/2R=√3 r/R=0.732 全 て の 原 子 が 同 種 な ら 体 心 立 方 格 子 (body centered cubic, bcc, 占有率68%, 全てのアルカ 占有率 リ金属、 リ金属、Ba, 多くの遷移金属が属す。 多くの遷移金属が属す。 2)岩塩型 陽イオンが小さくなり0.73 陽イオンが小さくなり0.73 > r/R > 0.414ならば 0.414ならば岩塩型 ならば岩塩型:上 岩塩型:上 記CsX( CsX(X = Cl, Cl, Br, I)を除く全てのハロゲン化アルカリが I)を除く全てのハロゲン化アルカリが 属す。200 属す。200種以上の化合物がある。 200種以上の化合物がある。配位数 種以上の化合物がある。配位数6 配位数6。 1 1 2r 2R 1 (2R+2r)/2R=√ (2R+2r)/2R=√2 r/R=0.414 陽 イ オ ン 、 陰 イ オ ン は 各 々 面 心 立 方 格 子 (face centered cubic, fcc, 占有率74.1%)、 、全てが同種原子な 占有率 ら単純立方格子(simple cubic、 、sc, 占有率52%, Poの の 単純立方格子 占有率 低温相)である 低温相 である。 である。 3) 陽イオンが小さくなり、陰イオンが大きくなると(0.414 陽イオンが小さくなり、陰イオンが大きくなると(0.414 > r/R)閃亜 鉛鉱型 (別名CuCl (別名CuCl型 CuCl型: 閃亜鉛鉱( 閃亜鉛鉱(ZnS) ZnS)、CdS、 CdS、ハロゲン化銅(I) ハロゲン化銅(I)など (I)など40 など40 種近くの化合物がある。Cu 種近くの化合物がある。Cu+, Cl−の位置に炭素C の位置に炭素Cをいれるとダイヤモ ンド構造となる。配位数4 配位数4)やウルツ鉱型 )やウルツ鉱型( ウルツ鉱型(別名ZnO 別名ZnO型 ZnO型) (ウルツ鉱 (ZnS、 ZnS、ウルツ鉱は閃亜鉛鉱の多形で、より稀に産出する), ウルツ鉱は閃亜鉛鉱の多形で、より稀に産出する), ZnO, ZnO, CdS, CdS, AgIなど AgIなど20 など20余種の化合物がある。 20余種の化合物がある。配位数 余種の化合物がある。配位数4 配位数4)をとることが多い。 √2 O Q O 1 P L Q 2r L R P 閃亜鉛鉱型(CuCl型), r/R =0.225, R/(R+r)=√2/√3 全原子が同種でダイヤモンド型構造 ダイヤモンド型構造 (4配位、 図3.2d) ウルツ鉱(ZnS) Si,Ge,灰色Sn,占有率は34%)である 型 (ZnO型)
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