国語科学習指導案 第5学年2組 指導者 1.単元名 永嶌 裕美 文語調の詩を集めて、自分の「お気に入り詩集」を作ろう 2.単元について 子どもたちは、この単元で初めて文語調の詩を学習する。 学習指導要領では 〈読む〉C(1)ア C(1)エ 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。 登場人物の相互関係や心情、場面についての描写をとら え、優れた叙述についての自分の考えをまとめること。 〈伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〉 (1)ア(ア)親しみやすい近代以降の文語調の文章について、内容の 大体を知り、音読すること。 を指導事項としている。 文語調の詩は、日本語の響きの美しさを認識するのに適した教材である。児童は、自分たちの毎 日の生活にはない視点や感性、こまやかな情感に触れ、文語調の詩に対し新鮮な印象を持つのでは ないだろうか。 詩を繰り返し音読するという言語活動から文語特有の言葉のリズムを味わったり、比喩や象徴の はたらきを通して情景をイメージしたりすることなどから、詩の世界を実感していくものと思われ る。それは子どもたちの情感を豊かにし、言語感覚を研ぎ澄ませていくことにもつながるだろう。 文語調の詩を集め、お気に入りの詩集を作る活動では、選んだ詩のどこが、どのように印象に残 ったのか、具体的な情景や、作品の言葉など根拠をはっきりさせてまとめるようにさせる。作品全 体に対する自分の意見や感想も書かせるようにし、自分の考えを自分の言葉でまとめる力をつけて いきたい。 3.児童の実態(調査人数33名) 本学級の児童は、4年生で「いろいろな詩 ニンジン/ケムシ/ミミズ」「ヘビ/ミドリカナヘビ」 「大きな木」を読み、5年生では 、「水平線」「山頂から」の詩を「様子が友だちにも伝わるよう に声に出して読む」学習をしてきた。 1.文語調の詩を知っていますか。 (1)知っている・・・・・・2 (2)知らない・・・・・・28 (3)聞いたことはある・・・3 2.歴史的かなづかいを知っていますか。「 ( だらう」「いふ」「おもふ」など) (1)知っている・・・・・・2 (2)知らない・・・・・・22 (3)聞いたことはある・・・9 - 5 年 2 組 1/5 - 3.文語調の詩集の紹介を聞いて、どんなことを感じましたか。 ・少し難しい ・意味がわからない ・言葉はわかる ・リズムがいい ・いい言葉が出てくる ・昔っぽい ・いろいろな詩がある ・作者の心が伝わる ・おもしろい ・個性的 ・繰り返しがある 4.どんな詩を読んでみたいですか。 ・楽しい詩 ・うれしくなる詩 ・おもしろい詩 ・元気の出る詩 ・リズムのある詩 ・わかりやすい詩 ・やさしい詩 ・季節の詩 ・おぼえやすい詩 ・繰り返しのある詩 ・宮沢賢治 ・石川啄木 ・室生犀星 文語調の詩は、テレビで耳にしたり、励みタイムで読んだ経験はあるが、ほとんどの児童が「難 しい」「意味がよくわからない」という印象を持っている。どんな詩を読みたいかというイメージ もつかめない者もいるが、リズムのいい詩、元気の出る楽しい詩、季節の詩、宮沢賢治の詩を読ん でみたいという者が多かった。 詩を読むことは好きで、競い合って暗唱に取り組んだりするが、情感豊かに読むまでには至って いない。 文字を丁寧に書くことが苦手な子が多く、作業への取り組みには個人差がある。今年度に入っ てから詩集や絵本作りの経験はない。 4.指導観 初めて出会う文語調の詩であるので、まずしっかりと音読させ、繰り返し音読することで、日本 語の美しいリズムの快さを味わわせたい。児童は 、「言葉が難しい」という抵抗感を持っているの で、言葉のリズムに触れさせる中から詩の情景をイメージさせたり、情感が心にしみていくような 感覚に触れさせていくことをねらいたい。読んでみたい詩として、美しい表現や情感に目を向けて いる者はほとんどいないので、繰り返し音読することで、自分たちの日常とは違う感性に気づき、 文語調の詩の世界のすばらしさを実感してほしいと思う。 本学級の児童は、文字の形を整えて書いたり、丁寧に作業をしたりすることが苦手な児童が多い。 丁寧に視写をさせることで、表現に目を向け、お気に入りの表現を見つけたり情景をイメージする ことをめざしていきたい。 日常触れる機会の少ない文語調の詩であるので、読書指導員と連携をはかり、なるべく多くの詩 集を用意し、子どもたちが手に取り、ページをめくる中から、自分の詩集に載せたい詩を見つけさ せたい。また、ブックトークで詩集の紹介をし、代表的な作品は積極的に提示していきたいと考え る。 根拠をはっきりさせて自分の意見を書くことは苦手な児童が多いので、詩に添えるコメントは根 拠を取り上げることを意識するよう助言していきたい。 自分だけの詩集を作ることを目標に丁寧に作業をさせ、自分のコメントを入れることで、愛着の 持てる詩集、大切なお気に入り詩集になるよう意欲の継続をはかりたい。 - 5 年 2 組 2/5 - 〈言語活動を充実させるための手立てとして〉 ①繰り返し音読する これまで児童は、朝の励みタイムや授業で詩を音読してきているが、文語調の詩にはほとんど触 れてきていないので、まず繰り返し音読し、日本語のリズムの心地よさに気づかせたい。繰り返し 音読する中から、自然と情景をつかんだり、情感を感じ取ることができるようになると考える。 ②モデルの提示 本学級の児童は、根拠を示して自分の考えをまとめることが苦手な児童が多い。そこで、モデル を提示し、こうやって書けばいいんだという見通しを持たせ、書くことへの抵抗感を減らしたい。 内容については、自分の思いを大切にしながら、根拠をはっきりさせるよう留意していきたい。 視写も、丁寧に文字の形を整えて書けない児童がいるので、モデルを見せることにより、丁寧に 書いて自分だけの詩集を作るんだという意欲を持たせたい。 ③必要に応じて話し合い活動を 子どもたちは、好きな詩を見つけても、なぜその詩が気に入ったのか根拠を書くとなると、なか なかうまく表現できないのではないかと思われる。そこで、必要に応じてペア対話やグループ対話 をすることにより、友だちの表現や着眼点を参考にさせ、改めて根拠について考えさせたい。 ④環境を整える 文語調の詩集をブックトークで紹介し、子どもたちが手に取れるように用意することによって、 一人一人に自分のお気に入りの作品を見つけさせたい。代表的な作品は、印刷して全員が目にする ことができるように準備する。 ⑤詩集にして読みあう 集めたお気に入りの詩は、それぞれが1冊の詩集にまとめ、感想を話し合う。自分と同じ見方を している友だちがいたり、自分とは違う表現や視点を持つ子がいたりすることに気づくことをねら っていきたい。 そして、大切に持っていたいお気に入りの詩集になるよう丁寧に作業をさせたい。 5.単元の目標 〈児童の活動目的〉 ○自分の「お気に入り詩集」を作ろう。 〈教師の指導目標〉 ○詩集のモデルを見て興味を持ち、進んで詩集を作ろうとする。 (関心・意欲・態度) ○自分が選んだ詩の、優れた表現や選んだ根拠について考えをまとめることができる 。(読むこと) ○文語調の詩の内容の大体を知り、音読することができる。 - 5 年 2 組 3/5 - (読むこと) 6.指導計画(6時間扱い) 次 時 一 学 習 内 容 指導上の留意点(○) 学習材 ・ブックトークで文語調の詩の紹介を聞く。 ○読書指導員のブックトークで ・詩集 次 詩を紹介し、文語調の詩に興 ・モデル 味を持たせる。 ・「お気に入り詩集」を作ることを知る。 ○詩集を作ることを知らせ、学 2 習の見通しを持たせる。 ・教科書の4つの詩を読み慣れるまで繰り返 し音読する。 ・表現の特徴をおさえながら、情景や思いを イメージする。 ・印象に残った詩を選び、選んだ理由をノー ○選んだ根拠を自分なりに書か トにまとめる。 0 せるようにする。 ・励みタイム等を使い、文語調の詩を読む。 ○なるべく多くの詩集を用意し 、・詩集 二 次 たくさんの詩に触れさせる。 2/3 ・詩集の中から、気に入った詩を視写する。 ○丁寧に視写させ、愛着の持て ・用紙 る詩集にさせる。 (本時 ) ・モデル ・集めた詩に、選んだ根拠や自分の感想など ○自分の思いがしっかり書ける コメントをつけ、詩集にまとめる。 ように、ペア対話やグループ 対話をさせる。 三 1 ・友だちの詩集を見合う。 ○ペア対話で感想を交流しやす ・詩集 くする。 7.本時の指導(4/6) (1)目標 ○詩集にすることを意識して、情景や作者の思いをイメージしながら、自分が選んだ詩を丁寧に 視写することができる。 (読むこと) (2)言語力育成のための手立て ○モデルを参考にさせ、レイアウトを意識しながら視写するようにさせる。また、丁寧に視写す ることにより、自分だけのすてきな詩集になることを声かけし、意欲が続くようにする。 ○その詩を選んだ理由をメモ書きさせ、最後にコメントを書く抵抗感をなくすようにする。 - 5 年 2 組 4/5 - (3)展開 時 学習活動と内容 指導上の留意点(○ )と評価(◎ ) 配 言語活動を充実させるための手立て(☆) 3 1.既習の詩を音読する。 ○その詩の雰囲気を生かした読み 学習材 方ができるよう声をかける。 2 2.学習問題を確認する。 文語調の詩を集めて「お気に入り詩集」を作ろう。 5 3.前時に視写したお気に入りの詩を何点か ○どこが気に入ったのか、意識し 音読で紹介する。 ながら音読するよう声をかける 。 4.自分の選んだ詩を視写する。 ○罫線の下敷きを使って書くか、 ・この詩の明るい感じが好き。 厚い紙を使うか、自分で用紙を ・モデル ・この表現から美しい風景が浮かんでく 選ばせる。 る。 ・用紙 ☆しっかりと詩を見て、丁寧に視 ・このリズムが覚えやすくて、楽しい。 25 ・詩集 ・イメージが浮かびやすい。 写するように声をかける。 ☆中途半端に改行することになら ・きれいな表現が気に入った。 ないように気をつけさせる。 ・やさしい感じがする。 ☆視写できたら、選んだ詩の好き ・モデル なところや感想をメモさせる。 ○1つの詩が書けた子には、次の 詩の視写に入るようにさせる。 5 5.本時に視写した作品を何点か音読で紹介 ○詩のイメージを思い浮かべなが する。 ら音読するよう声をかける。 3 6.視写の手順カードを見ながら、今日の学 ◎お気に入りの詩集になるように ・視写の 習について、それぞれ振り返る。 丁寧に視写できたか、それぞれ 手順カード 振り返らせる。 (観察・詩集・視写の手順カード) 2 7.次回は、詩に選んだ根拠や感想などにつ いてまとめたコメントを書いていくこと を知らせる。 - 5 年 2 組 5/5 -
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